(劇場版ガンダムダブルオーか)
20代半ばと思われる青年が二次小説をネットで閲覧していると、劇場版ガンダムダ
ブルオーの情報についてサイトの管理者が語っている日記があった。
(ダブルオーか、少なくともシードディスティニーよりかは楽しめた作品だな。…そういえばシードの劇場版てどうなったんだっけ?)
青年がgo*g**で検索し、検索結果の中からいくつかのサイトを選び、閲覧していった。
(監督が仕事できないため延期か?、もう負債はヤメロ、etcetc。めちゃくちゃたたかれてるな。まあ原作があれだったからな、ディスティニーなんて最後はグダグダだったしなぁ)
PCを閉じ、風呂に入ったら寝るかぁなどと思いつつ青年はガンダムシードのことを記憶の片隅に追いやった。
!!-!、!!-!
(サイレンの音がうるさい)
翌日青年はアパートの周囲が喧騒としていてうるさかったためが目を覚ました。
(そういえば今日は4月1日か。三年前は緊張しながら入社式に出たんだよなぁ)
青年が思い出を振り返りつつ、顔を洗おうと起きると、
「は?」
と声をあげてしまう。
自分の部屋とは全く違う、SFにでも出てくるかのような部屋に青年はいた。
今は未だ知らないが青年はガンダムシードのCEにいた。
あれから青年は部屋の外に出た。
アパートの外はどう見ても21世紀の町ではない。社会人になってから自分が暮らし始めた町の景色はみじんもなかった。
近所の住民(どう見ても日本人じゃない)がいたため話かけようとすると、向こう
から話しかけてきた。
「君、大丈夫か」
「ぁええと、一体何が?」
混乱しながら、自分に何が起きたのかという質問をしたのだが、住民は今何が起こ
っているかの説明を求めたと解釈した。
「わからない!深夜にザフトによる攻撃があったそうなのだが、何か関係している
のだろうか?」
(は?ザフトってシードの?この人は何を言っているんだ?極度のアニオタか?)
「ラジオもテレビもつながらないんだ。くそっ!どうなっているんだ!」
住民が憤っているのを見つめながら、青年はぼうっとしてしまう。
(朝、起きたら、知らない部屋にいて、しかもあった人がザフトなど口走っている
。これは夢か?)
青年が頬をつねろうとしたとき、上空のヘリから、声が響いた。
「あわてないでください、現在、政府の発表ではザフトによる工作で発電所に障害
が発生しているとのことです。政府、軍が対応していますので、住民の皆さんは避
難所に集まり、政府からの指示を待っていてください。繰り返します…」
(ここはガンダムシードのコズミックイラの世界)
青年は、部屋から貴重品(と思われるもの)などを持ち出し、住民と一緒に避難所に
来ていた。そこで、一人ぼうっとしながら現在の状況を考えていた。
(現在、原作のエイプリルフールなんとか?ニュートロンジャマーが地上に打ち込
まれた日、俺はこの世界のショウヤ=ナカノ、日系人、職種はプログラマー、休日にはジャパニーズケンドーの練習を行い、市民の大会(日系の人や珍しさでケンドーをしている人のみの参加者が少数の大会)でも優勝している)
貴重品には仕事で使うメモ帳があり、中が日記になっていることに気づき、それを
読んでいく。
(ナチュラル。恋人はいない。友人は会社の同僚と、ケンドー仲間)
日記に書いてあることは自分が普段やっていることとほぼ同じだったので、ほんの
少しだけ顔に苦笑が浮かんだ。
(ほとんど俺と同じか、でもこの世界のプログラムなんてわからないし、貯金もあ
まりない。これからどうやって生きていけばいい?…つうか、こんな某監督が神の
世界で死にたくねぇよ!)
しかし、これからのことを考えると深刻になったしまう。なにせ、この世界は一般
人が大量に死亡する世界だ。エイプリルフールクライシスの影響で、地球人口が1
割は減ってしまうのだ。さらに種死でもコロニー落としがある。平和な日本で生き
てきたショウヤにとってこの世界は地獄だ。
(食いっぱぐれがないのは、軍に入ること。それしか仕事なさそうだ。避難民の面
倒をみるのもいいが、要はボランティアだし、仕事などではないだろう。戦後はどうする?軍は死ぬ確率は一番大きいがうまくすれば戦後の面倒もある程度見れくれるか?次は避難民として生活すること。しかし、今の状況では難民生活もきつい。治安は最悪だろうし、戦後プログラマーとして技術系の会社にはいるなんてのは絶対無理。つまり…)
ショウヤにとって苦渋の判断だが、これから生きていくための道は一つしかなかっ
た。
(軍に入るしかないのか。んでディスティニーで反ロゴス派に所属して終戦。給料
をもらって、後はその時考えるかね………しかし不安だこの世界、人物の大半があ
れだし、いやここはもう現実だし奴の加護もないはず?…大丈夫…かなぁ?だけど
生きていくには、こうするしかない、いやしかし、ああでも…。でも死にたくねぇ
、これがUCならまだしも、CEでみじめに死ぬなんて絶対に嫌だ!原作を崩壊させてでも生き抜いてやる!)
だらだらと考え込みながら、それでもこの世界とある人物への反骨心でこの世界で生き抜くことをショウヤは決意した。