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No.21290の一覧
[0] 【習作】とある科学の絶対包囲【とある科学の超電磁砲 オリ主 最強】[ゼブラ](2013/05/18 01:05)
[1] 第1話 VS最強[ゼブラ](2010/12/09 23:02)
[2] 第2話 ひとりのミサカ[ゼブラ](2011/01/27 23:53)
[3] 第3話 最強と最速[ゼブラ](2011/02/03 00:24)
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[21290] 【習作】とある科学の絶対包囲【とある科学の超電磁砲 オリ主 最強】
Name: ゼブラ◆ade9e36a ID:72a9f08e 次を表示する
Date: 2013/05/18 01:05
 総人口230万人、その実に八割を学生が占める街――それが学園都市。
「記憶術」だの「暗記術」という名目で超能力研究、つまりは「脳の開発」が行われている。
 その為に人為的に生徒の脳にある種の障害を起こさせ、通常の人間と違う『才能ある人間』に身体をつくりかえる。
 何十年か前ならば神の御業とでもいうような奇跡が人間の手によって開発されている。

 そんな不可思議が当たり前のことのように現実としてある学園都市に席を置くようになってそろそろ十年が経つ。
 完全な無能力と断定された初診からとある機密の研究部署に所属し、五ヶ年計画を経て“能力開発”に成功。以後、年単位で能力のさらなる向上の日々が続いていくはずだった。


 そんな俺の現在はというと。

「をい、こっちん! おいらの勇姿を見てみぃ、やっ!」

 数少ない“普通の友人”である天木 雨靖(あまき あまやす)、通称あまちゃん少年が無駄に甲高い叫びと共に検査用の砲丸(10kg)をオーバースローで投擲した。

「たーまやー、とでも言えば良いのか?」

 雨靖が投擲した砲丸は、その掌から離れたと思った次の瞬間には100m先に設置されていた専用の緩衝材に深々とめり込んでいた。
 そして、雨靖が立っている円の隣に大層な機材を設置してモニターを睨んでいた担当者は端末を操作しながら事務的に『記録 283m/sec 』とだけ告げた。

「ヲッシャーー! 記録更新やっ!」

 片手を天に突き上げながら片足も膝蹴りの要領で上げて喜ぶ雨靖は、遥か上空へと嬌声を轟かせながら自身も天へと昇っていった。
 雨靖が晴天に漂う雲のひとつに突っ込んだところで俺の番が回ってきた。

「次、大河内 青(おおこうち あお)」

「……はい」

 青。大河内 青――それが俺の名前だった。名前が【青】ってどうよ。たまに【あお】が【あほ】って聞こえるのが悔しいです。
 今日は、俺が通う四條坂高校で身体検査システムスキャンが行われていた。四條坂高校は、基本的に中階層の能力者が多く在籍しており、大能力者レベル4が2人、強能力者レベル3が5人、残りの8割が異能力者レベル2、あとの数%が低能力者レベル1と無能力者という構成になっている。もちろん、中には成長を続けている生徒もそれなりに居るので徐々にだが学校全体のレベルは上がっていると思われる。
 そんな四條坂高校の出世頭といえば、ようやく天上の雲を引き裂いて落下してくるあまちゃんこと雨靖である。
 凄まじい落下速度で降って来る雨靖の存在に他の生徒達は気付いており、すでに避難も完了している。

「ぉぉぉぉぉぉぉぉおををををををををっ、しゃ!」

 推定数百m上空から自由落下してきた雨靖は着地寸前で一回転し、ドッゴンッ! というおよそ人間が高所から落下した際に生命を失うのに十分な轟音と振動を生み出した。雨靖の能力は【万能発射カタパルト】。鉄球だろうと人間だろうと生卵だろうと子猫だろうと物理的に接触できる物体ならば何でもかんでも射出できる人間砲台だ。但し、まだ射出する対象が雨靖本人よりも軽く小さいモノに限られている。そのため雨靖は鍛えに鍛えて鋼の筋肉というウェイトを備えている。2mを越える長身と巌の如き豪筋を軋らせるその威容はまるで鬼ようだとよく言われているが、本人はそのことを気にするどころか喜んでいるのだから羨ましい。

「をいをい、こっちん! 成長期真っ盛りのおいらはすっごいやっ!?」

 どこぞの世界記録保持者の決めポーズのようなポージングをする雨靖のキラリと光る白い歯が眩しい。

「雨靖は、いつでもすごいよ。たった1年で低能力者レベル1から大能力者レベル4に成長した四條坂の出世頭だもんな」

「ち、ち、ち! おいらを褒める時は【四條坂の鬼神】と呼ぶやっ!」

 雨靖には悪いがその通り名を呼んでやれるほど俺の羞恥心は薄くはない。
 いい加減、事務的な表情が崩れそうになっていると思われる担当者の無言のプレッシャーが背中を引っかくので手にした砲丸を標的に向かって構える。

「こっちんは、前ん時ゃあ散々だったんし、今日は頑張りぃやっ!」

 眩しい白い歯を覗かせる真夏の太陽のようなサムズアップに脱力してしまう。

「ま、前ほど悪い結果にはならないと思うけどな」

 四條坂に2人だけ在籍する大能力者レベル4のひとりは、【四條坂の鬼神】こと天木 雨靖。もうひとりの大能力者レベル4、それは俺だったりする。数年前の身体検査システムスキャン大能力者レベル4の判定を受けた俺は、それなりに高待遇で四條坂に迎えられたのだが、四條坂に入学する直前に遭遇したとある事件以後、能力が安定して行使できなくなっていた。それからの数ヶ月は地獄のような毎日だった。
 俺は中学校時代から学園都市の治安維持組織のひとつである風紀委員ジャッジメントに所属していたこともあり、中学校時代からの知り合いが多く進学していた四條坂では、俺が大能力者レベル4だったということが周知されていたため、昔のように能力行使ができなくなったことが広まると結構な数のお礼参り希望者が集まった。
 そんなときに俺を助けてくれたのが、まだ大した力もない低能力者レベル1だった当時の雨靖だ。

『 をいをい、逃げるときも格好良くしぃやっ! 』

 そんな台詞をそれほど親しくもない中肉中背のクラスメイトが言ってきたら感激するか、それとも呆れるか。俺の場合は驚いて声もでなかった。何しろ、雨靖が低能力者レベル1だというのは、その数日前の身体検査システムスキャンで俺もお礼参り希望者たちも知っていた。そんな奴がいきなり現れても怪我人が増えるだけだと思ったものだ。それがどうだろう。雨靖は得意の【万能発射台カタパルト】を使って俺を校舎の2階(実際はベランダの鉄柵をギリギリ掴めるくらいの高さ)へと射出し、本人も同じように2階の鉄柵を跳び掴み、颯爽と現場から離脱することに成功した。もちろん、2階に逃げた程度では少しの時間を稼いだだけ。それから数ヶ月、俺は力が回復するまでの間は雨靖の“遊び”付き合うことにした。
 あのときの似非ヒーローも気が付けば大能力者レベル4にまで成長し、名実共にヒーローと呼んでも良い男になった。友人付き合いするようになって気付いたのだが、雨靖に英雄願望はない。どちらかというと冒険心といった感じだった。ここ1、2年で怖いくらいの筋肉男になってしまったが、雨靖は良い意味で子供のままで居てくれる貴重な人材だ。

「こぉぉぉおっちん、ファイヤ、やっ!」

 凄まじく逞しい子供な友人の声援を受けて少しだけ前向きな気持ちで能力を発動させる。
 突き出した右手に持っていた砲丸を掌の上で転がして回転をかけながら標的へ向かって優しく放る。

 緩やかな回転が砲丸の落下するにしたがって徐々に回転が増す。
 掌の上では、2秒で1回転。地面に落着した時点で1秒1回転。地面に落下した砲丸はまるで自身の重さを忘れたように軽い調子で地面を標的に向かって転がっていく。
 ゆっくりと、しかし、はっきりと分かるペースで砲丸の回転は加速する。
 そして、標的の数m手前まで接近した砲丸に向かって突き出していた拳を引き戻し、渾身のストレートを虚空に叩き込む。

五重回転フィフスドライヴ交叉加速クロスバースト

 約97m前方の砲丸に叩き込むように突き出した拳。
 すると、98m前方へと進んでいた砲丸が、突如として物理法則を無視した回転を始めた瞬間、現実の法則を超越し、俺の現実が新たな法則を砲丸の回転に【力】を与えた。







 身体検査システムスキャンも終わり、俺に下された今回の判定結果を自分のことのように喜んではしゃいでいた雨靖とも別れて帰路に着く。
 本当ならば放課後には風紀委員ジャッジメントの仕事に就かなくてはならなかったのだが、雨靖に付き合わされて時間に大分遅れてしまった。これから支部に向かっても最終下校時刻が迫っているので今日の業務には結局間に合わない。仕方ないので直属の先輩に連絡を入れようと思ったら先方の方から連絡が入った。

『まずは、大能力者レベル4復帰おめでたいさね』

 皮肉ったような台詞を何の裏もなく口にする尊敬しつつも怖いと思う先輩の第一声に笑えない気まずさを強いられる。

『ま、今日の無断欠勤はあまちゃん君から聞いていたさね。彼、子供な癖にそういった手回しはこっちんの3倍くらいは巧いさね』

「すみません。次からは自分で報告するようにします」

『それは結構さね。けど、ドタキャンは勘弁して欲しいさね』

「了解です。次はないようにしますよ」

 本当にこれからはそうする。俺が本気でそう答えたと信じてくれたのか、先輩は『支部の蓄えが尽きかけてるという現状をお知らせしつつ、バイバイさね』と分かりやすいおねだりの言葉と共に通話を終了した。

「貴女も子供でしょうに」

 繋がりの切れた携帯電話にまったく気にしていない愚痴をこぼす。
 夜の時間に入った街の中、とある陸橋の中ほどを歩いていると突然目の前に風力発電機の羽根が突き刺さった。

「……いや、死ぬから」

 突き刺さった発電機の羽根。それに“最初に気付いた”のは俺だ。いや、俺以外の人間は“まだ気付けない”のだろう。
 それは“ずれた認識”だからだ。“ずれ”に気付いた俺は、その瞬間に“ずれた認識”の流れに乗ってしまった。
 ゆえに俺は“ずれた認識”の流れに正常な認識が追いつくまでもとの流れに戻れない。

「もしくは、この“ずれ”の元凶を正すか。……らしくない物騒な考えだぞ、馬鹿」

 静かに待てばいい。このような“ずれ”を長く続けることは世界が許さないだろう。
 視線を動かせば見覚えのある黒髪の少年が、凄まじくあれな格好の鋼糸使いの女侍?に苛められている現場が見て取れる。
 女侍の方は俺に気付いているようだが、現状はこちらから行動を起こさなければ無視する方向らしい。少年の対応が終わればこちらに何某かのアクションを起こす可能性は十二分にあるが、この“ずれた認識”から抜け出せれば逃げの一手で面倒も回避できる。“動くモノ”が無数に存在する街中は俺の能力の幅を広げるフィールドであり、今日は2年ぶりに“感触”を思い出すほど調子が良い。

「うわっちゃぁ~。痛そうだが、“そっち”に俺の居場所はなさそうだ。勘弁な」

 女侍に苛められて血だらけになる少年に心の中で謝りつつ逃げ出すチャンスを狙って“事前準備”を始めることにした。


























 ※ 指摘を受けまして冒頭を数話先のネタと入れ替えてみました。
   







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