よく開いてくれた
残念だがこのネタには『殆どオリ主』、『TS』、『殆どオリ主の無双』などが含まれている
騙して悪いが書きたくなったんでな、読んでもらおう
メインシステム 戦闘モード 起動します
意味不明、理解不能、言葉にすればそのような言い方になるだろう。
自分は死んだはずだ、敵ネクストとの戦いの最中、これ以上の無い限界に行き着いて穿たれたはずだ。
動かぬ体、動かぬネクスト、そんな物ただの金属の塊に過ぎない。
だから攻撃を避けられず被弾、蓄積するダメージ、結果自身が操るネクストは行動不可能、撃破された。
意識はあった、海中へと沈んでいく自分と、自分の名を呼ぶ彼女の声だけが響き、死んだなと客観的に感じ取って二度と浮かび上がる事の出来ない真っ暗な底へと沈んでいった。
だと言うのにこれは何の冗談なのか、何故自分が生きていてこんな事になっているのか。
そんな考えは無意味だった、自分では答えを出せないし、答えてくれる者も居ない。
だから答えの出ない疑問を破棄する、ではその次は?
これも答えが出せなかった、今まで生きてきたのは何の為だったか。
生きるのに必要な金を稼ぐ為に傭兵をやってきた、戦って戦って戦い続けて、興味の無い通り名が付けられるくらいには戦った。
伝説、傭兵界隈で知らぬ者は居ないほどと言われていた気がするがどうでも良い。
依頼を受けて騙し騙され、そして戦い生き残り報酬を手にしてきた。
それもあっという間に崩れてしまった、旧型となってしまったアーマードコア、通称ノーマルに乗って未確認機動兵器の撃破の依頼を受けてから全てが変わったのだろう。
オーバードブーストによる超高速、クイックブーストによる超高機動、重装甲のノーマルさえ一撃で葬る攻撃力、そして実体、エネルギー問わず機体を保護するバリアとでも言うべきプライマルアーマー。
全てがノーマルと隔絶した性能を持つネクスト、それが未確認機動兵器の正体であった。
始めて見る強大すぎる敵、今まで戦ってきたどの敵性存在よりも強かった。
逃げられれば良かった、だがそれを許す敵ネクストではなかった。
軽量級のノーマルでさえ時速五〇〇キロ前後のスピードしか出せないのに、ネクストは軽くその倍以上の速度を叩き出す。
直線のみだがオーバードブーストを使えば時速一〇〇〇キロは軽い、クイックブーストと併用すればさらに跳ね上がる。
そんな化け物のネクストを前にすれば逃げる事など不可能、生き残る手段は応戦して撃破するのみ。
その結果、掠り傷一つ負わせる事無く大敗。
即死せず辛うじて生き残り、忘れられない彼女との出会いを迎えた。
それからの自分の人生は決まっていた、ただ一つ彼女の為に生きる事。
戦力が必要とされればリンクスとなり、AMS適性の関係で乗るために酷い苦痛を伴うネクストでさえ駆って戦った。
そうしたのは簡単な話、自分は彼女に惚れていたのだろう。
自分と彼女が住むコロニー・アナトリアの維持の為、アナトリアの傭兵としてネクストを駆り様々な依頼をこなしてきた。
ノーマルを潰し、時にはネクストも撃破してきた。
敵ネクストと戦って負けたときのは簡単な話だ、自分はノーマルに乗り、敵はネクストに乗っていた、ただそれだけだ。
同じ土俵に立てば負ける気などさらさら無い、ただ苦痛を我慢すれば同じ土俵に上がれるのだから敗北など考えなかった。
淡々と依頼をこなして金を稼ぎ、時には味方、時には敵となったジョシュアとの決戦。
それからは彼女にもう良いと言われた、戦う必要は無いと、一緒に行こうと言われた。
自分は頷いた、彼女と共に居られるのであればあまり変わらなかったのだろう。
点々と移動してその日を生きる為の糧を得る為、細々と仕事をしていた。
だがそれは年を重ねる毎に厳しくなり、どこか定住の地と仕事を得なければいけなくなった。
その場所は定住の地はラインアーク、その仕事はリンクス。
笑い種だろう、結局傭兵(レイヴン)は傭兵(リンクス)だった。
ラインアークで得たネクストはジョシュアが駆ったネクストを手がけたアブ=マーシュ、彼が作り上げた完全ワンオフフレームのホワイト・グリント。
かつて倒したネクストが使っていた武器を持ち、ホワイト・グリントで戦場を駆け続けた。
その結果、ネクストの基幹であり人体に毒となるコジマ粒子が蓄積し、重度のコジマ汚染に晒されての不明。
そうだ、死ぬはずだった。
治療不可能なレベルの重度コジマ汚染、被弾して行動不可能になり海中へと沈んでいくホワイト・グリント。
助かる要素など無かったはずだ、だが現に今生きて青空を眺めていた。
白を基調とし、袖口と襟首の赤と黒、そして裾の一部が赤と黒で彩られたスカートを履いて、つまり女子制服を着て空を眺めていた。
「……レイヴン! レイヴン・アークネスト!」
考えに耽っていたら自分の名が呼ばれている事に気が付いて、窓の外に向けていた視線を教室内へと戻した。
靡くのはカラスの濡羽色と言って良い短めに揃えられた髪、輪郭は小さく整い、目は切れ長、鼻筋も通り一目で美少女と言える少女は窓から空を見上げていた。
名はレイヴン・アークネスト、学園のIS操縦者の中でもかなり特殊な出の少女。
素養のありと判断された一般や国家の代表候補として入学してきたわけではなく。
『企業連』と言う多数の企業、ムラクモ・ミレニアム、ジオ・マトリクス、ミラージュ、キサラギ、GA、アクアビット、BFF、有沢重工、オーメル・サイエンス・テクノロジー、インテリオルなど。
その他多数の企業がIS開発の下、提携した企業連の代表として入ってきた異例な存在。
中には政治力にも長けた企業があり、恐らくは各国のISの情報を掴む為にねじ込んできたのだろう曰く付きでもある少女。
資料が確かならきわめて低いIS適性で異常とも言えるほど高い実力を持ち、IS学園生徒の中では生徒会長の更識 楯無を含み追随を許さない。
生徒の中で抜きん出た実力を持つ代表候補生、彼女に限ってはそれを凌駕する企業連代表。
もしかすると教師連中よりも上の可能性もある。
その少女が向けてくる視線は興味が無いと言わんばかりの物、今教室で起こっていた話も聞いていなかったのだろう。
「アークネスト、クラス代表者を選出しなければならないのだが、自薦でも構わないが推薦はあるか?」
そう聞いて、レイヴンは一度教室を見回した後。
「………」
無言のまま視線を窓の外に戻した。
「……無い様だな」
誰が代表になろうと関係が無い、と言ったところか。
「アークネスト、お前も代表なのだから少しは興味を持て」
その言葉の後、一瞬の間を空けて教室内が騒がしくなる。
「……どこの代表候補なんだろう」
その呟きを皮切りに予想が入り乱れるも、当の本人は代わらず無関心。
「静かに、この一年一組には何人か国の代表候補が居るがアークネストは少し事情が違う」
一言目で生徒たちは黙り、公共IS学園の一年一組担任教師、織斑 千冬の声に耳を傾ける。
「レイヴン・アークネストは国の代表候補生ではなく、企業連の代表だ。 企業連を知らない者が居るだろうから説明しておこう、企業連とは国籍を問わず多数の企業がIS開発と言う名目で提携している組織だ」
少々長めの説明、それを聞いても良く分かっていない者が大半と言ったところ。
「企業連? 聞いた事ありませんわ、どうせ中小企業の寄り集め──」
いくつか縦巻きになっている金髪のロングヘア、イギリスの代表候補生のセシリア・オルコットの声を遮って注釈を入れる。
「世界を股に掛ける、いわゆる超一流の企業がいくつも参加している。 その影響力は下手な国よりもかなり強いだろう」
近年発足したばかりである為にその知名度は低い、だがその影響力はかなりのもの。
でなければねじ込んでこれる訳が無い、その言葉にセシリア・オルコットは黙りこくってしまった。
「……何か企業連ってかっこいいけど悪そうな感じがするな」
静かになった教室で織斑 千冬の弟、世界で唯一ISを扱える男子の織斑 一夏の声が響いた。
『作戦を説明する。 雇主はいつものGA、目標はイギリスの代表候補生セシリア・オルコットが駆るブルー・ティアーズと世界で唯一ISを扱える男と噂の織斑 一夏が駆るISの撃破だ。
ブルー・ティアーズは射撃を主体とした第三世代型ISだ、主力武装は六七口径特殊レーザーライフル『スターライトmkIII』、その威力はかなりのもので直撃すれば一撃で『絶対防御』が発動する驚異的な威力を持っている。
他には機体名の由来となっているビット、『ブルー・ティアーズ』がある、装備数は6機で内4機はレーザー、残り2機がミサイルを搭載しているらしい、企業連の偉いさんからすれば結構な『欠陥品』らしいが、冷静に対処すればたった六つで邪魔にもならんだろう。
あとおまけ程度にショートブレードを備えているらしいが、セシリア・オルコットは滅多に使わない、もし接近戦になったら一応注意しておけ。
やはり国の代表候補としてけっこうやるようだが、お前さんならさほど問題なく捌けるだろう。
ブルー・ティアーズはこの位だが、問題は織斑 一夏のISだ。
残念ながら織斑 一夏のISの情報はまだ入ってきていない、専用機を用意するらしいが必死に隠しているようで詳細は不明だ。
だがIS操縦者の織斑 一夏は未熟中の未熟、素人に毛すらも生えていないだろう、まあ本命は織斑 一夏では無くISの方だ、織斑 一夏が駆る未確認ISのデータを時間を掛けて観測後に倒す、それだけだ。
最後に報酬を得る為の条件が一つ、両者に対し一発の被弾無く倒せ、との事だ。
所詮代表候補生、偉いさんはそう考えているようだ。
かなり難しい条件だと思うが、お前さんとホワイト・グリントがあれば簡単だろう。
こんなところか、一発が明暗を分けるが成功させれば見返りは十分大きいぞ。
連絡を待っている』
二回目のミッション仲介人の音声を繰り返した、つまり今回の依頼。
受ける受けないはこちらの自由だが、受けない理由は何一つ無く依頼を受けると連絡を入れていた。
そうして視界を上げた先にはモニター、その中では青を基調としたブルー・ティアーズと名称不明の白いISを装着した二人が戦っていた。
射撃を主体としてあるだけ弾幕を張り、長大な近接用ブレードを一本だけ持った白いISを押さえ込んでいる。
ミッション仲介人の連絡通り、それなりのレベルだが隙だらけ。
頭の中で映像を見ながらシミュレート、その結果開始5秒でブルー・ティアーズのエネルギーを0にして絶対防御を発動させる事が出来る。
完勝とも言えるがシミュレートは所詮シミュレート、想定を上回る事など幾らでもある。
そうして食い入るようにレイヴンはモニターを見つめ続け、時間にすれば二十五分も経っていた。
織斑 一夏は辛うじて避け続けているも、蓄積されたダメージは手痛い一撃を食らったものと同程度はある。
このまま突破口を見出せなければ嬲り殺されるだけ、そもそも近接用ブレード一本だけで攻め込むにはあまりにも分が悪い。
それを理解していないほど馬鹿では無いはず、と言うことは武装面が近接用ブレード一本だけしかないのだろう。
普通に考えれば武装が一つだけと言うのはありえない、ならばあの白いISは一次移行すらしていない可能性がある。
レイヴンが織斑 一夏は負ける、そう判断した次の瞬間にはブルー・ティアーズのビット、隠していたのだろう五機目と六機目が飛び出して織斑 一夏にミサイルを浴びせた。
もくもくと上がる黒煙、普通であればこれで終わったと思うだろう、だがレイヴンはその黒煙の中で動く物体を一瞬で捉えた。
一次移行<ファースト・シフト>、漸く織斑 一夏のISは基本性能を発揮できる状態へと変化した。
その様子にレイヴンは感情を全く揺らさず眺めていた、織斑 一夏が一次移行に達する前に落とされていても変わらなかっただろう。
予想外の状況など幾らでもある、依頼を受けて戦場に出向いたら誘き寄せる為の罠で敵ノーマルや敵ネクストが襲ってきた事など良くあった。
故に動じない、むしろレイヴンならあの黒煙の中にレーザーを撃ち込んでいただろう。
そうして戦況が動いた、黒煙が晴れ二人が何かを話した後、ブルー・ティアーズのビットが動いた。
変化した近接用ブレードを片手に突貫、高い推進力を持ってビットに接近、すれ違いざまに切り捨てた。
断ち切られたビットは織斑 一夏の後方で爆発、セシリア・オルコットが慌てて残り一機のビットを動かすがもう遅い。
懐に飛び込んだ織斑 一夏が近接用ブレードを下から上へ、逆袈裟に払おうとして。
『試合終了。 勝者──セシリア・オルコット』
勝者と敗者が決まった。
当事者の二人は訳が分からずに佇み、レイヴンも終了した理由が分からなかった。
織斑 一夏がビットを切り捨ててブルー・ティアーズに接近して近接用ブレードを振るう直前まで、攻撃らしい物は一切受けていないように見えた。
だが織斑 一夏が駆るISのエネルギー残量は0と判断され、セシリア・オルコットが勝利した。
レイヴンが見るモニターの死角から織斑 一夏に何かが当たったのかもしれない、何にせよレイヴンにとってどちらが勝とうが関係は無かった。
それから一時間の間を置いた、本来ならば日を置いて休息を取るべきであったが。
セシリア・オルコットと織斑 一夏が連戦でも構わないと言ったので、レイヴンとしても問題が無かったので軽い休息を経て戦う事となった。
そもそもこの戦いは三つ巴の総当たり戦、各々が二回ずつ戦って一番勝率が高かった者が代表となる話。
レイヴンは代表者の選出など興味が無い、戦うのも依頼があってこその物。
さらに言えばIS学園に入る気すらなかった、ただIS適性が有り、金払いの良い企業のIS操縦者となっただけだ。
始めはIS適性が有り、ISでの戦闘能力を確かめるテストに出てみただけだ。
無論そこに自身の興味から来るものではなく、ただ支援とやらで普通に働くより多額の金銭が手に入るから受けただけだった。
そして受けた結果IS適性はD判定、動かすだけでギリギリのその通知を受けて内心笑った。
ネクストでもお世辞にも適性があるとは言えなかった、動くだけで苦痛が全身に走り、広がる視界には多量のノイズが乗るほど低かった。
そう言った最低の適性と言う共通点に笑ったのだ、まあネクストと違いISは動きが鈍かったり、ハイパーセンサーにノイズや死角があったりする程度。
つまりはネクストよりマシな状況だったという事だ、だから軽く動かして専属ではなく依頼を受けて動く傭兵的なものとして企業連のIS操縦者となった。
最もレイヴンが言う軽くとは、A判定のIS操縦者よりも機敏で正確な攻撃を繰り出した程度、技術者からして見れば興味が湧き上がる者であったのは確か。
そうしてISを与えられ、フィッティングからフォーマットを受け、レイヴンだけのIS、『ホワイト・グリント』が生まれた。
「………」
セシリア・オルコットと織斑 一夏の戦いが終わってから一時間、控え室で無言で座り続けていたレイヴンが立ち上がる。
その姿、ISスーツに身を包んだレイヴン、機能性を最大限に重視した作りである。
ISの操縦には指などでのマニピュレートではなく、操縦者の生態電流を感じ取って動かすものである。
つまり肌から直接感じ取ってタイムラグを極力減らして機敏に反応するというもの、故にIS適性D判定のレイヴンは可能な限り機能性を重視しなければいけない。
と言うことは生態電流を極力感じ取らなければいけない為ISスーツは肌の露出を増やさなければいけない、言うなればレイヴンのISスーツは肌の露出が八割以上。
隠しているのは胸と股間のみ、一見して黒いチューブトップ型の水着に見えるISスーツ。
面積としては平均的なISスーツの半分を下回っている、恥ずかしいかどうかで言えば、レイヴンはどうでも良かった。
どうでも良いがこれ以上面積が減るなら少々考え物だ、ISスーツとは言えこれ以下の面積となれば痴女と言われかねない。
とりあえずはそんな考えを消し去り、相手が待つアリーナステージの前。
分厚いであろう閉じられたゲートの前に佇むレイヴン、その状態から数秒と経たずにゲートが音を立てて開き始める。
三秒も掛からずゲートが開ききり、アリーナステージから大歓声が上がった。
試合開始の鐘が鳴る前までは観客席の音声はアリーナへと伝えられる。
「良くぞ来ましたわ」
セシリア・オルコット、一時間前の戦闘の疲れを見せずブルー・ティアーズを戦闘待機状態で中空に佇ませていた。
「………」
とりあえずレイヴンは視線をアリーナへと一遍する、ノーマルの時に何度か出たアリーナと似たような感覚。
国家解体戦争が起きた後はネクストに駆ったので、アリーナなど縁が無くなった。
懐かしいと言えば懐かしいだろう、数十年来の昔の記憶だった。
「──いてますの!? 早くISを展開しなさい!」
話を聞いて居なかったレイヴンに焦れたのか、表情を歪ませつつ急かす。
それを聞いてレイヴンは歩き出してアリーナの中、そして足を止めISを起動させた。
それは瞬きより速く、0.1秒も掛からずに全身装甲型のIS『ホワイト・グリント』が現れた。
その姿はファースト・シフト前の織斑 一夏のIS、白式に似ていた。
一言で言えば無骨、機能性を重視し無駄を削ぎ落としたパワードスーツと言うより人型メカと言って良い姿。
おおよそ他のISと一線を画す、複雑なディテール。
角のようなものが斜め上に突き出ていたり前へと鋭角的に尖る頭部に、肩や股関節付近に五角形の装甲。
背面部分はT字に突き出してブースターや、左のハードポイントには折りたたみ式の長大なレーザーキャノン。
右手には全長の半分はあるライフルに、左手には何も持っていないが前腕部分にはレーザーブレードがポイントしてあった。
地面に立つ全身白いIS、言えばブルー・ティアーズや白式のような生身の部分を一切見せていない、完全な機械の様相を呈している。
そのホワイト・グリントの単眼、青い光を放つ機械式の瞳、ハイパーセンサーがブルー・ティアーズを捉えた。
『メインシステム、戦闘モード、起動します』
『警告、敵ISを確認しました。 『ブルー・ティアーズ』です、戦闘タイプは中距離射撃型と予想されます。 敵IS主兵装に大口径レーザーライフルを装備、正面からの攻撃は危険です。 また小型の射撃機能を有する機動兵器を装備、高機動を駆使してのかく乱が有効と予想されます』
淡々と流れる敵ISの情報、依頼の音声ログを簡略化したような説明。
それを聞きながらブルー・ティアーズを眺めるレイヴン。
「全身装甲型なんて珍しいですわね……」
ホワイト・グリントを見たセシリアの呟き。
基本ISは生身の部分を露出している、危険といえば危険だがシールドバリアーや絶対防御があるため狙われてもさほど問題は無い。
その他使用エネルギーの低減などの理由もあって簡単に可視出来るほど胴体部分は晒されている。
そう言った点での全身装甲型のISは非常に珍しく、セシリアが言う通り極めて数が少ない。
「………」
それに対しただ無言、セシリアの言葉に反応は一切返さない。
ただ試合開始の鐘だけを待ち、そこに立ち続ける。
「まあ、企業連とか言う訳の分からない組織のISなど、このイギリス代表、セシリア・オルコットが打ち倒して見せますわ!」
自信満々にその言う姿、やはり興味なくレイヴンは佇む。
「……むっ、何とか言ったらどうですの!?」
徹底的に無言を貫くレイヴンに、セシリアは怒りを露にするが。
それを遮るように試合開始アナウンスが聞こえ始め、観客席の音声も遮られ聞こえなくなる。
『試合開始まであと五秒、四、三、二、……、試合開始』
大きく鳴る鐘の音、それとほぼ同時にセシリアは極めて甲高い吸引音を聞いた。
その音の発生源はレイヴンが駆るホワイト・グリントからであった、それにほんの僅かに遅れて重低音の聞いた爆発したような音。
──警告! 敵IS射撃体勢に移行、トリガー確認。
それと同時にホワイト・グリントが弾けた様に脚で地面を擦りながら、セシリアから見て右に一瞬で移動した。
セシリアは油断したつもりなど無い、ブルー・ティアーズの戦闘スタイルに適した行動を取ろうとした。
だがそれより速く、ホワイト・グリントが攻勢に出た。
一瞬で八メートルほど横にスライドし、体を右に傾けつつ爆音と共に姿が消えた。
警告がセシリアのハイパーセンサーを伝って流れ続けていた、セシリアが消えたと思った姿は三百六十度の視界を確保するハイパーセンサーは霞むホワイト・グリントの姿を捉えていた。
惜しむらくはそれにセシリア自身が反応出来なかったというもの、警告を頭の片隅にでも留めて置ければまた違った反応が出来たはずだった。
そうしてブルー・ティアーズは絶対防御を発動させた。
「馬鹿な……」
呟いたのは織斑 千冬、ほんの数秒前に繰り広げられた光景をリアルタイムモニター越しに見て驚愕の声を禁じえなかった。
白いIS、ホワイト・グリントが行ったのは『瞬時加速』<イグニッション・ブースト>での左への高速機動と右手のライフルによる射撃。
そして爆発的な推進後ブルー・ティアーズの隣を通り過ぎて急停止と同時に反転、背後に回りこみ左腕のレーザーブレードで背面への一撃というもの。
たったそれだけだが、行われた時間が二秒弱と言うありえないと言って良い試合時間。
ブルー・ティアーズとホワイト・グリントの間にあった距離は約一〇〇メートル、それを一瞬で埋めつつ背後に回り込んでの一撃は背筋が凍るほどのもの。
本来ISは宇宙空間での活動を想定している為、ほぼ全てのISはPICでの浮遊、および加減速を行う。
だがホワイト・グリントは浮遊せず地面に立ち、試合開始後もそのスタンスを変えなかった。
それを見た織斑 千冬はPICでホワイト・グリントを浮かばないのではなく、浮かべていないと見た。
先ほどの試合で得られたホワイト・グリントの情報を呼び出し、モニターに表示させてそれを見る織斑 千冬は自身の想像が合っているだろうと確信した。
ホワイト・グリントが水平に移動した際の最大瞬間速度は時速八〇〇キロを超え、ブルー・ティアーズとの距離を埋めた加速は時速一二〇〇キロを超えていた。
PICで浮かんでいない理由はこの強力すぎる瞬時加速によって発生する慣性を相殺させる為ではないかと、そう織斑 千冬は予測した。
それでも体に掛かる負荷はかなりの物だろう、よくもあれを耐え切り攻撃する事が出来たなと感心した。
その感心を他所に、絶対防御が発動したブルー・ティアーズの元からISを解除しつつ平然と歩き去っていくレイヴン。
「………」
「一二〇〇キロ!? ISはこんな速度が出せるのかよ!」
背後からモニターの情報を盗み見た一夏が驚きに声を上げる。
無論通常のISでは時速一〇〇〇キロと言う馬鹿げた速度は出せない、相対速度と言う点でなければまずお目に掛かれないもの。
そのISネーム、ホワイト・グリントは名前通りのものであった。
対峙したセシリアからすれば文字通り『白い閃光』<ホワイト・グリント>に見えただろう、一瞬で接近されて映る視界には白、また次の瞬間には視界から消え去る。
ハイパーセンサーで三百六十度の視界を得ていなければ間違いなく見逃す、そもそも人間の反射速度ではハイパーセンサーで捉えていても対処できない。
企業連は一体どれ程のふざけた改造をISに加えたのか、そしてそれを乗りこなすレイヴンは一体何者なのか。
自身がホワイト・グリントと対峙して、セシリア・オルコットの二の舞にならないと決して言えなかった織斑 千冬であった。
設定?
レイヴンちゃんはカラスですから黒髪、性格なんて分からんから喋らない
TSすれば一夏の「たった一人の男のIS適合者」が守られる、だからTSすると宣言した!
名前は簡単、元レイヴンなんでレイヴン、アークネストはレイヴンズアークとレイヴンズネストから取ってます
変態技術の企業が寄り集まって作ったISに、変態技術を持つレイヴンが乗ったらどうなるのか?
瞬時加速と書いてクイックブーストと読む。
一次移行はAC4のいわゆるジョシュアグリント、二次移行はACfaのホワイトグリント、三次移行はあるのかな?
ホワイト・グリントの換装装備には勿論タンクや四脚、VOBが入った夢の箱
ホワイト・グリントの単一仕様能力は基本性能のアップ的なモノ? シールドバリアーがプライマルアーマーに? つまり絶対防御に使われるエネルギーでアサルトアーマー?
コア・ネットワークでホワイト・グリントが進化したらアレサみたいになる?
所詮書き捨てか
まあいい
予定通り続きを書いて見たくなった人に任せることにする
作戦目標クリア システム 通常モードに移行します
誰か本当に書いてくれないかな(チラッチラッ
自分で書くよ、書きゃいいんだろ!(一巻終わりまで)