俺の名前は平塚忍(ひらつかしのぶ)。
年齢は十七歳で、家族構成は両親に歳の離れた妹が一人。
子供の頃に大きな病気をしたことが原因で体が弱く、それを反映してか、学校の成績は勉強面はそこそこだが運動面は若干苦手。
特にマラソンや水泳のような激しい運動を禁じられていたので、当然と言えば当然なんだが……体力面で大きなハンデを負った俺は当然のように体が細く、女みたいなツラと八月二十三日生まれという宿命からかよくからかかわれて、弱いのにケンカして泣いてばかりの子供だった。
ま、中学に入って持病が完治してからは必死になって体を鍛えてそういうコトもなくなったが。
趣味と呼べるものは特に泣く、強いて言えばゲームとネット程度。
自分で言うのもどうかと思うが、特別どうということもないフツーの高校生。それが俺だ。
「…………なんでだ?」
いや、自分ではそのつもりだったんだが、さっきから嫌な予感がして仕方がなかった……。
「っていうか誰だよコイツ?」
些細な違和感は目を覚ました時からあった。
たとえば視線がいつもより低い。
昔の目線と言うか、見慣れた天井が妙に高かった。
そして起き上がろうとした時に自分の手が目に入って、その細さに驚く。
女のようにか細く、真っ白な手。
それはひ弱な外見を払拭しようと体を鍛える前より酷い。
……そう認識した時点で、俺は気が動転してたのだろう。
頭をかこうとして異様に長い髪が右手に纏わりついたのに気付かず、なぜか部屋の隅に置いてある馬鹿デカイ鏡の前に立ちつくした俺は、必死になってソレを否定していた。
「いやオレ男だし」
鏡の中のソレを指さすと、向こうもお返しとばかりにこちらの真似をする。
「守護星座が乙女座とか関係ないし。一日早く生まれていれば獅子座だし」
腕を組んでウンウンと頷くと向こうもそれに同意する。
「ガキの頃……確か四つか五つだったか? に癲癇(てんかん)で倒れちまって禁じられたからさ、運動神経が絶望的なのは仕方ないだろ? 一番大事な時期に鍛えられなかったんだから……」
さすがにどこぞの美少女艦長のように歩いただけで転んだりはしないが。
「でもオレだって努力したんだ! 体も鍛えたし、暗いって言われた性格だって改善できないものか頑張ったんだぞ!!」
今では私服でも女の子に間違われることはない。それがこの俺、平塚忍の筈だったのに……。
「だっていうのにさぁ……!」
鏡に映っているのはやっぱり……どう見ても女だった。
寝間着姿でボサボサの長い髪と一緒に頭を振っている十六、七歳の少女。これが俺だというのか……?
「……………………」
どれほどそうしていたのかは分からない。
時計の針は九時過ぎを差しているから、最低でも一時間以上はそうしていたのかもしれない。
疲れはてて鏡の前に座り込んだ俺は、そろそろ認めなければならない、と嫌々ながらに認めた。
こんなのユメに決まっていると、つねりすぎた頬を撫でながら他人事のように呟く。
「……どうしよう。オレ……女の子になっちまったよ……」
いやいやいや、どうしようじゃないだろ? まずいだろコレ?
───ある朝目が覚めると、女の子になっていた────
「……それってどこのエロゲだよ?」
いや、やったことないけど……これ、家族とか知り合いとかにどう説明したらいいんだ?
女だぞ? 女みたいって言われたことはあるけど本当に女なんだぞ?
寝間着の上から確認してみたが、股間はまっ平らで胸は微妙に膨らんでるやがるんだぞ?
こんな事が知られたら目を丸くされるか、ようやく本来の性別を取り戻したかと十年来の悪友に……って問題はそこじゃない!!
「ぶっちゃけ信じねェだろフツーは……」
特に薄情な父親は『女装は褒められた趣味ではないぞ?』って真顔で言いそうだし、そんな父親以上に薄情な母親は『あらいいじゃない? 似合ってるわよ』ってこれまた真顔で言いそうだし……。
「妹に至っちゃ『やった! わたしお姉ちゃんが欲しかったの!!』って、今までのオレを喜んで否定しそうだし……」
ああ、いかん。考えるだけで気が滅入る。
……悪夢のような未来予想図に、できれば一生部屋の中に引き篭もっていたかったのだが、物理的にはそうもいかないわけで。
男だろうが女だろうが、人間である以上逃れられない生理現象を我慢するのも、そろそろ限界。
のろのろと立ち上がった俺は、ふらふらとした足取りで廊下に出て、洗面所に向かおうとしたところでソレに直面した。
「あっ、お姉ちゃんおっそーい」
両手を腰に当てて怒ったような顔をしているクソ生意気な妹。
名前は芽衣(めい)。俺より三つ年下で、十四歳になったばかりの妹は果たして、いま何て言ったのか……?
「日曜だからって気を抜きすぎだよ! いま何時だと思ってるのさ!?」
「……いやちょっと待ってくれ?」
「なに、言い訳なら聞かないよ? 朝ごはん冷めちゃったじゃない」
「いやだからな……オマエいま、オレのことなんて言った?」
「……クソ姉貴?」
「そうそれっ……じゃなくてだな! 驚かないのかオマエは!?」
「何を? ……ヘンなお姉ちゃん」
いやお前の方がよっぽど変だって……!!
「……オレ女なんだぞ?」
「うん知ってる」
「……女の子になっちゃったんだぞ?」
「はあ? 生まれたときからそうだったでしょ?」
俺が何を問題にしているのかまったく解らないという顔で、妹はあきれたように溜め息をついた。
「いいから着替えてきなよ。その間にごはんあっためとくからさ」
そう言って居間へと向かう妹の背中を眺めながら、俺はこの現状を無情にも理解させられた。
つまり女になった俺は現代の科学で説明できない怪奇現象のシンボルとして扱われるでもなく、当たり前のように受け入れられ……それどころか『生まれたときから女だった』と認識されている、と。
「なんだこれ……ご都合主義にも程があんだろ?」
あるいは生物的な性転換ではなく、『平塚忍が女として生まれた』という、並行世界だかパラレルワルードだかの自分に憑依でもしたのだろうか?
そんなコトがあり得るかどうか不明だが、現実に俺は女になるという不条理を体験しているのだ。細かい事を気にしても仕方ないだろう。
「つかヤベ……漏らしそうなのを忘れてたわ」
まずは失敗一つ目。そしてトイレに入って失敗二つ目。
「あー……女って座らなきゃできないんだっけ?」
立ったまましようとして慌てる。
トイレの中でどうしたものかとそわそわするこの現実。これは実際に体験した者にしか分からない違和感だろう。
「……大でもないのに座ってるのって初めてだよな?」
それでも用を足して立ち上がったところで三つ目の失敗に気がつく。
「…………そうか、女って小さい方も拭かなきゃダメなのか」
朝っぱらから下着をダメにしたことで、たかだか着替えるのにも全裸にならなければならなくなった。
しかも部屋の隅には馬鹿デカイ鏡……これは興味がなくても目に入るのが当然だった。
「いや、俺も男だから興味はあるんだけどさ……」
何しろ堪る速度は全年齢中最速という時期だ。煩悩に支配されるのも無理はあるまい。
「……………………」
……だというのにこのマヌケさ加減ときたら何なのか。
「なんだよ……この鏡の前で×××丸出しのような空しさは」
ネットでしか知らない女の裸が目の前にあるが、それが自分のものだと思うと馬鹿馬鹿しい気分にしかならない。
あくまで他人のものと割り切れば客観的な評価はできる。
白い肌はきれいだし、胸は若干小ぶりだが全体的には悪くない。
それに密かな好奇心の対象だった股間のあたりも綺麗なもんだ。
「……だがそれだけなんだよなぁ……」
興奮なんぞ間違ってもしないし、見てて楽しいものでもない。
「これはアレか……同性には反応しないという、生物学的な見地から大いに結構な健全な反応と────」
言いかけて気がついた。
これが自分の裸だからというなら問題ない。肉体に引きずられて精神まで女性化していないという事だから。
だが同性だからとなるなら話は別だ。もしや今の自分は、男の裸に……。
「やめやめ! 考えるのやめ!!」
ぶんぶんと頭を振って嫌過ぎる思考を中断した俺は、クローゼットの引き出しを空けたところで硬直した。
「……………………」
やっぱりと言うべきか、中にあったのは女ものの下着だ。
色気のないブラジャーとパンツの数々。それがまともに見れない。
「……………………」
なんと言うべきか、恥ずかしいような申し訳ないようなこの気持ち。
それは近所の服屋で展示中のソレを目にしたような……。
「よかった……心は男のままだよ、オレ……」
女の下着を握りしめて感涙にむせび泣くのは男としてもどうか、と、後になって自己嫌悪に陥ったのはここだけの秘密だ。
そうして数ある品々の中から(本当になんでこんなにあるのか不明だ)一番無難だと思えた黒いパーカーと白いショートパンツを装着したところで、部屋を出て居間に向かった。
体が空腹を訴えていることに気がついたからなんだが、もう一つ嫌なコトを思い出しちまったからだ。
「まったくいつまで待たせるのよ……あっためたご飯がさめちゃうじゃないの」
「すまん」
……生来の貧乏性と言うべきか。
お金とか時間とか、そういうものを無駄に消費することに耐えられない性分の妹に頭を下げて席に着く。
「すまんじゃなくてごめんでしょ?」
「……わるい」
慣れた手つきでご飯をよそい、朝から気合の入った料理の数々を並べた妹は俺の前に座ってお茶を淹れる。
そのままずずっと啜った妹は、メシを食べる事に集中する俺をあきれたように眺めて溜め息連発。
「ねえお姉ちゃん。今さら言うのもなんだけどさ……少しは女の子らしくしたら?」
「いやオレ男だし」
「出た。恒例の自分は男だ発言」
「なんだよ恒例って……」
「だってお姉ちゃん昔っからそうじゃない。オレは男だーって、何かあるたんびに主張するしさ」
いや、まあ……昔はホントに男だったし。
「お父さんもお母さんも気にしちゃってさ……なんて言ったけアレ? 自己同一性障害だったかな……? そういうのを気にして専門家に相談したりしてたの忘れちゃった?」
「……嫌な相談すんなよ」
まあ女の身でそういう主張をしたら疑われるのは分かるけどさ……なんていうか色々あってへこんでるところにそういうコトを言われると。
「とにかくお姉ちゃんは黙っていれば美人なんだから、あんましヘンな事を言ってお父さんとお母さんを困らせないこと。それと悩みがあったらいつでも相談して? わたしで良かったら聞いてあげるからさ……以上」
……なんだコイツ。
男の頃はクソ生意気なだけだったが、女になって立ち位置が変化したのか……いい妹になったじゃないか。
「…………ところで親父とお袋はどこに行ったんだ? 朝から姿が見えないんだが……?」
「お父さんは出張中で、お母さんもそれについてったの忘れちゃった?」
……ぶっちゃけ初耳。
親父は小さいとこだが社長だし、お袋も役員だからそういうコトもあるかもしれんが……今のでハッキリした。
オレの知ってる二人は昨日までそんな事はなかった。
だと言うのに今朝になってそうなってるって事は、つまり……。
「オレはこの世界の住人じゃない……?」
「……お姉ちゃんまたヘンなこと言ってる」
それからの時間は調べ物に使った。
ネットでキーワードを入力して少しでも可能性がありそうなサイトやブログに目を通したが、目立った成果は無し。
……まあ考えれば当たり前か。
性別の戻し方ならともかく、元いた世界への戻り方など、そっち方面の創作しかヒットすまい。
そうして疲労困憊とまではいかないまでも、十二分に疲労して煮詰った俺は二度目の食事を黙々と済ませたところでその爆弾発言を耳にした。
「お姉ちゃんお風呂入るよ。準備して」
「えっ……? あ、風呂の準備するから入れってことか」
「うん。一緒に入るの。わたしと」
「はぁああああああああああああああっ!?」
おいおい……頭大丈夫か、コイツ?
「ヘンな声を出さない。それと何をそんなに驚いてるのよ? いっつも一緒に入ってるじゃない?」
「……一人で入れないのか?」
「お姉ちゃんがね。それにそっちの方が効率的だし」
「俺が!? っていうか効率的ってなんだよ!!」
「だから別々に入ってお湯を足したりとか無駄もいいとこじゃない? こんなご時世で限りある資源を無駄にするなんて犯罪だよ、犯罪」
いや、犯罪って言われてもな……。
「馬鹿か。入るなら一人で入れ……っていうか兄貴と一緒に入ろうとするな。そういうコトが許されるのは小学校低学年までだ」
「出たよ、自分は男だ発言」
「だからな……今のオレが女だってコトは、まあ、嫌々ながら認める。……でもそれは体だけだ。心は男なんだから一緒に入るのはマズイ。以上、良心的な男子高校生の発言でした」
「頭の悪いコトを言ってないでさっさと入る……怒るよ!?」
「おい……いやだから待てって!」
「待たない。お姉ちゃんこうでもしないとお風呂にも入らないんだもん」
「ずあああ! 腕を引っ張るな兄貴を引きずるな強引過ぎるぞオマエ……!!」
何がそんなに気に食わなかったのか、本気になった妹は、それはもう凄いもので。
少なくとも女になった俺の力では到底敵わないような馬鹿力で脱衣所に連行した妹は、背後のアコーディオンカーテンを閉めて。
「よっと」
「つああああ! 兄貴の前で服を脱ごうとするなー!!」
叫びつつ大慌てで後ろを向く。
……マズイ。
マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイだろこれッ!?
妹の裸なんて望んで見たいものじゃないし、自分の裸────それも女になった自分の裸はもっと見られたくない。
「ほらお姉ちゃんもさっさと脱ぐ!!」
「馬鹿! 人の服を脱がそうとするヤツがあるかッ」
……全力で抵抗するも結果は変わらず。
いや、これが互角の闘争であったなら話は別だが。
少なくとも妹の裸を見るまいと固く目をつぶったハンデがある以上、剥かれるのは時間の問題だったわけで。
「ああもうっ、あまり手間をかけさせないでよ」
哀れにも下まで剥かれてしまった俺は背中を押されて風呂場でコケそうになった。
「……なにやってんだか」
「お前がやったんだろうがッ!?」
思わず怒鳴った拍子に目を開けてしまった俺はそれを見た。
「お姉ちゃん耳まで真っ赤」
少なくとも心だけは男のままというコトを再確認。
喜ぶ半面、罪悪感のようなものも……。
「少しばかり乱暴だったことは認めるけどさ……そんなに怒らなくてもいいじゃないの」
それを怒らせたためだと勘違いしたのか、急にしおらしくなった妹は続けた。
「……ごめんなさい。今のはわたしが悪かったわ。反省してます」
「お、おう……」
「お姉ちゃん、シャワーで体を流したら湯船に入っちゃって? わたしは先に体を洗うからさ」
「お、おうっ……」
「本当にごめんね……背中を押しとして転びそうになったら何やってんだかじゃ、怒るのも無理はないよね」
……なんだコイツ。
男だった頃にはカケラも思わなかったが……可愛いぞ?
「そんじゃま、ちゃっちゃと洗っちゃいますか」
言われるままに体を流して湯船に浸かる俺の横で、鼻歌なんぞを口ずさみながら上機嫌で体を洗う妹。
しかも洗い終わった後に俺の代わりに湯船を使うのかと思えば、「一人じゃ洗うの大変でしょ?」と無駄に長い髪を洗ってくれる妹。
……なんだろうこの気持ち。
妹が欲しいなどとほざいてるヤツには、そんなにいいもんないって現実を教えてやるのが男時代の俺だったが、女になった今の俺はヤツらの幻想を理解できた気がする。
しっかり者で口うるさいが、面倒見がよくってだらしのない兄の世話を焼いてくれる妹。
しかも風呂の面倒まで見てくれる……そんな妹はただの幻想だ。現実には存在しない。
だが俺が兄ではなく姉ならあり得るのか……。
俺の前で平然と裸になり、前を隠そうともしない思春期まっただ中の妹。
男の頃は手のひらを返したように距離をとった妹が、こうも無防備に俺の頭を洗っている。
それは未だに男の心を持った俺にとって、ある種の感慨を抱かせるに十分な『奇蹟』だった。
「……ありがとうな」
「? お姉ちゃん何か言った?」
「いや、頭を洗ってくれてありがとうって」
「いえいえ。どういたしまして」
一気に身近な存在となった妹……だからこそ『男の部分』で汚すわけにはいかないと思った。
妹がこうしてくれているのは、俺が『だらしない姉』だからだ。
俺が『だらしない兄』のままだったら、口うるさく注意はしてもこんな事をしてくれる筈がない。
だからこそ男の心で今の妹と接する事は許されない、と俺は思った。
「お姉ちゃんか……」
女の体を受け入れたわけではないが、今の自分を当たり前のように受け入れてくれた妹に対しては『姉』として接しなければ、色んなものに申し訳が立たない。
朝目を覚ましたら女になっていたという不条理に動転していた俺が取り乱さず、錯乱しなかったのはそんな妹の存在が救いになっていたからだと自覚した俺は、「はいオシマイ」といって立ち上がった妹の太ももをうっかり見てしまってまたしても赤面した。
「それじゃあ流すから目をつむってー、って言われる前につむってるし」
はいごめんなさい。色々とごめんなさい。いいケツしてきやがったなと少しでも思った俺の中の男は全力で謝れ。
「なあ……やっぱり今度から風呂は別々にしないか?」
慣れたら慣れたで色々と問題があるが、今のままでは心臓に悪い……。
足や背中だけならまだしも、妹の大事なところを目にした日にゃ、申し訳なさで土下座しそうな自信がある。
「だーめだって……前にも言ったけど、ずぼらなお姉ちゃんはこうでもしないとお風呂に毎日入ってくれないし」
「いや頑張るからさ」
「うん、オッケー。もう目を開けていいわよ」
言われるままに目を開けて、そして見てしまった。
長すぎる髪のシャンプーを落とすという世話焼きが終わったら湯船に向かうはずだと、ふつうは思うだろう。
だと言うのにこいつは俺の前に座って両手を伸ばしてきたのだ。
「ばっ……何してんだオマエは!?」
「何ってリンス」
……土下座のタイミングを逃した俺は、ただひたすら直前の映像を頭の中から追い出すので精一杯だった。