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No.37832の一覧
[0] 【ネタ】いろいろなヤンデレを書いてみるテスト(オリジナル)【習作】【完結】[秋吉台](2013/12/11 00:33)
[1] テストその2[秋吉台](2013/07/15 22:29)
[2] テストその3[秋吉台](2013/09/26 21:29)
[3] テストその4[秋吉台](2013/12/11 00:33)
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[37832] 【ネタ】いろいろなヤンデレを書いてみるテスト(オリジナル)【習作】【完結】
Name: 秋吉台◆ce53145c ID:b904995f 次を表示する
Date: 2013/12/11 00:33
 
 突然ですが、私は兄さんのことが大好きです。
 兄、とはいっても義理ですけど。義兄ですね。同い年ですし、血のつながりもありません。つまり、結婚できます。合法的にらぶらぶちゅっちゅできるんです! まぁ、仮に血がつながってても関係ないですけどね。えへへ。


 私の朝は兄さんを起こすところから始まります。
 正確にはそれより前から起きて朝食の準備やら洗濯やら始めてはいますが、すべては愛する兄さんのためですから、兄さんがいなければ話にならないんです。
 いつもならば固く閉ざされている兄さんの部屋の鍵は五分前後で開けられます。うふふ、これまで培った技術の賜物ですね。針金かちゃかちゃです。ですが、今日は勝手が違いました。なんと十分もかかってしまいました! どうやら鍵を新調したようです。
 まったく、兄さんってば本当に妹思いですね。万が一、私と兄さんの愛の巣の鍵をなくしてしまったときのために私に練習させてくれているんですから。でも安心してください。そんなことは天地がひっくり返ってもありえませんから。

 鍵を開けたら、そーっと部屋に入ります。カーテンの隙間から覗く朝日がまぶしいのか、兄さんはいつも布団をすっぽりとかぶっています。寝苦しいんじゃないかな、と思って、頭を逆向きにしたら、と一度提案しましたが、北枕は嫌、だそうです。兄さんってば結構信心深いんですね。そういうところもかわいいんですけど。
 物音をたてないように傍に近寄って、布団をゆっくりはがします。ここで重要なのは決して焦らないこと。兄さんは割と眠りが浅い方ですから、少しの物音ですぐに起きてしまうんです。
 え? 起こしに来たんじゃないかって? ふふ、せっかく兄さんの寝顔が見れるんですから、そんなことをしては勿体ないんです。いつもはきりっとした兄さんも、寝顔はあどけなくてかわいいんですよ? まぁ、私以外の誰にも見せるつもりはありませんが。義妹の特権、ですね。
 しばらく眺めてから、兄さんが眠っているのを確認。鼓動がうるさいくらいに激しくなるのを感じながら、顔を近づけていきます。眠っている愛しい人を目覚めさせる手法は古来からひとつ――キス、です。
 ゆっくり、ゆっくりと。ばくばくと高鳴る心臓の音に急かされることはせず、一瞬一瞬近づいていく兄さんの顔を網膜に刻んで。あと数センチ、というところで目をつぶり、そして――

 兄さんが、目覚めます。

 おはよう、と寝起きとは思えないほど爽やかに挨拶をしてくれる兄さん。兄さんが朝起きて初めに目にし、初めに声をかけるのは私。それはそれで嬉しくって、それはもう天にも昇る心地なのですが、やはり残念だな、と思う気持ちが否めません。私が兄さんを起こすようになってから早十年、一度も目覚めのキスに成功したことはありません。いつもすんでのところで、実は起きていたのではないかと疑いたくなるくらいにすっと私の唇をよけてしまうのです。
 残念ではありますが、納得できなくはありません。目覚めのキスは古今東西、いつだって王子様の役目ですからね。私に譲るわけにはいかないのでしょう。良い女とは男を立てるもの。なのですっぱりと諦めます。
 ところで兄さん、私の部屋の鍵はいつでもオープンですよ? 


 兄さんを起こしたら、次はリビングへと舞い戻って朝食の仕上げ。兄さんにはいつでもできたての温かいものを食べてほしいですからね。
 しばらくすると、身支度を済ませた兄さんがリビングにやってきました。制服に身を包んだ兄さんは格好よくって、毎日惚れ直してしまいます。もう、罪な兄さんです。
 今日のメニューは和食。白ごはんに焼鮭、たくあん、納豆、味噌汁と、これでもかというくらいに定番メニューです。兄さんは和食派ですから、我が家は週に五日は和食です。
 いただきます、と斉唱してから私はまず兄さんが味噌汁をを口にするのをドキドキしながら待ちます。兄さんはいつも味噌汁から食べ始めるんですよ。これマメです。
 期待と不安に胸を高鳴らせながら、兄さんがお椀に口をつけて、傾け、嚥下するのを喉が動くことで確認します。ゆっくりと椀を置き、兄さんが微笑んで一言。

 ――今日はちょっと鉄分が足りないんじゃないかな。貧血に気を付けるんだよ?

 嗚呼、嗚呼! 私は興奮でどうにかなってしまいそうでした! 身悶えしそうになる体を抑え、自分でも紅潮しているのがはっきりとわかるほどに熱い頬が緩まないように、私ははい、と答えました。
 私がなぜこんなに興奮しているかって? 簡単ですよ。味噌汁には私の血液が入ってるんですから。私の一部が、兄さんに吸収されて兄さんと一つになる。うふふ、なんと素敵なことでしょう!

 私が手料理に『私』を混ぜるようになったのは、ある事件をきっかけとしてからでした。その一件でひどく動揺した私は、ついつい料理中に指を切ってしまったのです。普段の私ならばありえないような凡ミス。じわ、と滲む赤い液体は、私が呆然としているうちに、その日の汁物に一滴、入ってしまったのです。
 当然、私は慌てました。なにせ兄さんに食べてもらうものですから、最高においしくあってほしかったのです。私は半狂乱になって流しにぶちまけてしまおうとしたのですが、それを止めたのは兄さんでした。
 大丈夫、と。せっかく作ってくれたのに捨ててしまうのは勿体ない、と。兄さんの制止を振り切って捨ててしまおうとした私を尻目に、兄さんはお玉で掬って、私が止める間もなくそれを口にしてしまいました。
 そのときでした。絶望の中にあったはずの私が、奇妙な高揚感を覚えていることに気付いたのは。
初めは一体なぜなのか、皆目見当もつきませんでした。兄さんが励ましてくれたからかな、などと感じていたくらいだったのです。
 実際に食卓に饗し、兄さんが一口、また一口と嚥下していくたびにとうとう気付いたのです。あぁ、今、私は兄さんと一つになっているのだ、と。そしてそれは、限りなく幸せなことなのだと。
 それから今に至るのです。当初は気付かれないように一滴かそこらしか混ぜていなかったため、兄さんも気付いていなかったのですが、いつからかもう一滴、もう一滴と量は増し、今では恥ずかしいことにばれてしまっているようです。まぁ、白味噌の味噌汁が赤味噌の味噌汁ばりに赤かったらさすがに勘付きますよね。まして聡い兄さんですから。
 料理の最高のスパイスは愛情と言います。うふふ、私の料理には最高のスパイスがたーっぷり。ですよね、兄さん?


 食事が終わったら、学校へ行く支度をします。私と兄さんは当然ながら同じ学校ですが、私個人としては、兄さんに群がる雌猫が跋扈する学校へはあまり行きたくはありません。
 しかし、行かねばならない理由があります。それは義務教育だからとか、出席日数が足りないから、などという低次元な問題ではありません。
 僭越ながら、私は兄さんよりは多少勉強の才能があるようでした。兄さんも決して頭が悪いわけではなかったのですが、私には一歩劣り、受験なる制度のためにあわや別々の学校に、という絶望的な状況だったのです。
 無論、私がそのような事態を看過するはずもありません。話は簡単でした。単に志望校のランクを一つ落とせば良いのですから。私にとって価値あるのは兄さんだけ。学校なんてどうでも良かったのです。
 しかしながら、それに渋い顔をしたのは兄さんでした。自分のために私が不自由な思いをするのは許容できない、と何度も何度も私を説得しようとしたのですが、私の意思は変わりません。頑として譲らない私に、業を煮やした兄さんは、とうとうこう言ったのです。いわく、自分と一緒ならいいんだね、と。
 そこからは兄さんの猛勉強の始まりでした。普段から勤勉な兄さんであるのですが、この時ばかりは常の比ではありませんでした。毎日毎日、早朝から深夜まで、部屋に籠って勉強三昧。見ているこちらが倒れてしまいそうになるほど、この時の兄さんは我が身を省みていませんでした。たまらず私が考え直すから、とやめさせようとしたものの、聞き入れてくれることはありませんでした。思えば、口だけそう言って、実際の受験届は兄さんと同じ学校にしてしまおう、との私の浅知恵が読まれていたのでしょう。
 その甲斐あってか、結果私と兄さんは揃って県下ナンバーワンの進学校へと入学を果たしたのでした。
 私の駄々のせいで兄さんには苦労をかけてしまった上に、その間なかなか構ってもらえないという苦痛を味わいました。登校拒否などして兄さんの苦労を無駄にするわけにもいかず、また自らへの戒めとして、私は今日も登校します。


 学校へ行くのは嫌と言っても、兄さんと二人きりの登校はやはり心躍るものがあります。比較的家から近く、道も狭いので私たちは徒歩での通学をしています。兄さんと二人並んで歩く通学路は、なんというか、これぞ青春! という感じがしてどこか面映ゆく、また幸せなものです。
 あれやこれやととりとめもない話をしながら、兄さんの横にピタリとつけてゆっくりと歩いていきます。も、もしかして私たち、カップルとかに見えちゃったりするんでしょうか? え、えへへ……。
 ゆったりと流れていく穏やかな時間。こういうのが幸せ、というのでしょう。


 しかしまぁ、相対性理論。そんな時間は矢の如し、疾く過ぎ去り、とうとう学校へと到着してしまいました。
 名残を惜しみながら、私は兄さんとは別の教室へと入っていきます。
 兄妹は同じクラスになれない、という縛りを作ったのはどこの誰でしょうね。心の底から物申したいものです。このときばかりは妹である我が身を呪ってしまいます。
 加えて、兄さんがクラスで汚らわしい雌猫どもに群がれていると思うと気が気ではありません。兄さんの優しさは間違いなく美徳ではあるのですが、勘違いする輩も湧いてしまうのですから、少しは気を付けてほしいものです。
 とはいえ、最大の懸念は別学年、一年生と三年生の二匹ですからね。気色の悪いボーイッシュ気取りの電波女に、暴君(タイラント)なんて呼ばれている厨二病の幼児体型。あいつらも接触できないことを考えると、少しは気も休まるというものです。
 しばしの小休止。問題は昼休みです。兄さんとのほとんど唯一の接点である学校で、あの電波女と幼女は接触を図ってくるに違いないのですから――


 と、思っていたのですが。
 クラスメイトからも鼻歌を指摘されるほどに今日の私は上機嫌らしいです。
 事実、るんるん気分なのです。今にもスキップで跳ねてしまいたいほどに。
 昼休み、授業後すぐに兄さんの許にダッシュした私。終礼もそぞろに教室を抜ける私に、昼休み直前の授業担当の教師はあまり良い顔をしていませんでしたが、それも仕方のないこと。幼女はいわゆる不良ですから、授業にもまともに出ておらず、昼休みが始まって私が兄さんの許に辿り着く前に兄さんを拉致していくことがままあるのです。それを阻止するには、幼女の前に私が兄さんを保護する必要があるのです。
 そしてどうやら今日は私の勝ちだった模様。兄さんの手を引いて、もう一人の雌、電波女が現れる前に私は脱兎のごとく駆け出しました。
 電波女は兄さんと二人きりになろうとは画策してきません。ただ、代わりに私と兄さん二人きりのらぶらぶ空間に余裕で割って入ってくるのです。こんちはーっす、とかほざきながら。空気の読めなさがとにかく半端ないんです。既に流行遅れ気味ですが、AKY(あえて空気読まない)どころではありません。KN(空気ってなぁに?)です。
 しかしそんなKNも、私たちが避難した先に現れることはありませんでした。最近では幼女か電波女の一方、あるいはどちらも現れることがほぼ通例となっていたので、久しぶりの兄さんとの二人空間でした。
 ふふ、リア充、ですね。爆発はしませんが。


 加えて、帰り道にもどちらとも現れなかったのです!
 久方ぶりの快挙! 私の機嫌が有頂天なのも頷けるというものです!
 これは……天啓、なのかもしれません。今日この日こそ、私にとっての運命の日なのだと!

 私は今、脱衣所の前に立っていました。
 扉越しに脱衣室に隣接する浴室からシャワーの音が聞こえてきます。
 ごくり、と私の喉が鳴ります。緊張で掌と背中には汗がじっとりと浮かび、呼吸も荒く浅くなっていました。心臓は今にも口から飛び出してしまいそうなほど暴れまわっています。
 突然ですが、私には小さいころからの夢があるのです。兄さんに恋してから抱き、されど今日までついぞ達成されることのなかった夢が。
 ――兄さんと一緒にお風呂に入る、という夢が。
 叶えられることがなかったのには当然理由があります。頼んでみてもはぐらかされますし、また押し入ることも出来ないのです。脱衣所にも鍵はありますが、それはさほど大きな障害ではありません。兄さんに鍛えられた私の錠開けスキルはこの程度の障害、余裕で踏破するに足るものですから。
 ところで、我が家の脱衣所は、廊下側からは押戸、脱衣所側からは引戸という構造となっているのです。それだけでは当然何のことはない、ただの扉です。
 真の障害、それは洗濯機なのです。
 我が家の掃除は基本的に私が一手に担っているのですが、当然私も一人の普通な女子。えぇ、普通の女子ですとも。何か文句でもおありで? 当然、ないですよね。そんな私ですから、巨大な家具家電の裏や下はどかしてまで掃除することはできません。ゆえに、兄さんがその担当なのですが――
 兄さん、洗濯パンだけは毎日掃除するのです。洗濯機を扉の前にどかしてまで。そして、そのままお風呂に入ってしまうんです。
 結果、扉が開きません。物理的に。
 わざわざ毎日掃除しなくても、と言うのですが、私にばかり毎日の掃除をさせていて申し訳ない、と言われてはどうしようもありません。ふふ、なんとも妹思いの兄さんですよね。
 ですから、なにもお風呂の前にせずともよいのでは、とか、洗濯パンに洗濯機を片付けてからお風呂に入れば、とかあの手この手を使ってみるのですが、掃除して汗をかくから風呂に入る前に掃除したい、とか、ついうっかりでいつも片付けるのを忘れてしまう、とか返答されてしまいます。合理的でありながら、うっかりさんな兄さん。
 ギャップ萌え、ですね。
 そんなわけで、こうして今日まで私の目的は達せられることはありませんでした。

 しかし――しかし今日! この運命の日!
 きっと兄さんは、今日こそ洗濯パンに洗濯機を片付けているはず!!

 左手にはバスタオルと着替え。完璧です。非の打ちどころもない装備品です。
 そっと右手をドアノブにかけます。
 目を閉じて、すぅ、と深呼吸をしました。
 今までの試行錯誤が脳裏を過ぎります――ですが、それも今日まで!
 くわっ! と括目し、ドアノブを回して、扉を押して、そして――

 ――ガツン、と洗濯機にぶつかりました。

 ……………………。
 もう一度ドアノブを回して、扉を押して、ガツン、と洗濯機にぶつかりました。
 
 ……先人たちは、偉大なる言葉を残しています。

 いわく、『一寸先は闇』、と。

 私はしんしんと泣きました。
 明日の朝食のコーンスープはミネストローネカラーに染まりそうです。





あとがき。
タイトル通り、ヤンデレな女の子をタイプごとに書き分ける練習をしてみようかと。
第一弾は比較的ライトなヤンデレ……のはずがなぜかギャグタッチに迷走。これが深夜のテンションか……。
続くかはわかりません。


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