本・書評
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安易な観光利用に警鐘 澤宮優『天守のない城をゆく』
2024/3/29 05:05 1397文字<金曜カルチャー 西部発 文化&芸能> 熊本県八代市出身のノンフィクション作家、澤宮優(59)=写真=が『天守のない城をゆく 城の楽しみ方、活(い)かし方』(青土社)を刊行した。全国の天守のない城跡を訪ね歩き、行く先々で専門家に取材を重ねた成果が詰まった一冊。「城=天守」のイメージを覆し、天守のな
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綾部ゆかり65人が選ぶ「私に響いた1冊は」 私設ミニ図書館が初書評誌 /京都
2024/3/29 05:03 493文字綾部市若松町の私設ミニ図書館「ことばの泉・ねじ文庫」は、綾部ゆかりの65人が1冊ずつ本を紹介する書評誌「あやべ あんな人 こんな本!」=写真=を初めて発行した。児童書や小説、漫画、専門書など、さまざまな分野のおすすめの本や思い出の本が取り上げられている。同文庫のほか、あやべ特産館、同市図書館などで
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特集ワイド
ケアって何だろう? 説明できないものを体験できる本「ひらく」シリーズ 医学書院の編集者、白石正明さんに聞く
2024/3/28 13:06注目の連載 2783文字一度会ってみたい人がいた。医学書院の編集者、白石正明さん(66)。コロナ禍では、医療従事者が脚光を浴びる一方、育児や介護現場で「一緒にいる」が危機にさらされ、人びとは「ケア」に注目した。でも、それよりもずっと前、2000年にシリーズ「ケアをひらく」を始め、43作品を世に送り出したのが白石さんだ。こ
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Interview
麻布競馬場さん(作家) 似た傷負った先輩として 「タワマン文学」の雄 Z世代描いた第2作
2024/3/28 13:06 1490文字タワーマンションなどを舞台に人々の格差や生きづらさを描く「タワマン文学」で話題となった麻布競馬場さん(32)の第2作『令和元年の人生ゲーム』(文芸春秋)がこのほど、発売された。蛍光黄色の帯には「<何を考えているのかわからない>Z世代の取扱説明書」の文字。平成初期に生まれた「平成世代」である麻布競馬
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埼玉近刊
『さよちゃんのおくりもの』=彩樹けい・著 /埼玉
2024/3/28 05:02 195文字やんちゃで優しい小学生たっちゃんが、さようならの大切さを教えてくれた「さようならの精」さよちゃんとの出会いと別れで成長する創作童話。彩樹(さいき)けいさんは1965年生まれ、さいたま市在住。「雪と花」(2023年)に続く2冊目の出版。「“さようなら”の大切さや美しさをまっすぐに表現し」「優しい気持
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今週の本棚・次回の予定
3月30日の毎日新聞書評欄は鼎談書評『網野善彦没20年』ほか
2024/3/25 11:00 581文字3月30日の毎日新聞朝刊「今週の本棚」で掲載予定の本の主なラインアップを紹介します。 ①川本三郎さん評『大楽必易 わたくしの伊福部昭伝』(片山杜秀著・新潮社) ②荒川洋治さん評『詩の中の風景 くらしの中によみがえる』(石垣りん著・中公文庫) ③本村凌二さん評『ヨーロッパ史 拡大と統合の力学』(大月
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京都・読書之森
連鎖 /京都
2024/3/25 05:04 1272文字(小杉健治・著 集英社文庫、814円) ◇謎解きの鍵に「安野光雅」 京丹後市出身の女性が殺人容疑で逮捕された――。丹後を舞台にしたミステリー小説である。事件に隠された秘密を、主人公の男性弁護士が解き明かしていく。謎を解く鍵は、絵本作家の安野光雅(1926~2020年)に憧れた、京丹後の早世の画家が
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上川多実さん
日常から問う部落差別 上川多実さん著『<寝た子>なんているの?』
2024/3/24 02:00 1783文字関西の被差別部落をルーツに持つ上川多実さん=写真=は、“見えない壁”とずっと闘ってきた。「部落ってなに?」「部落差別なんてまだあるの?」。無理解に出合うたび、一つ一つ異議申し立てをしてきた。その来し方をつづった初めての著書『<寝た子>なんているの? 見えづらい部落差別と私の日常』が里山社から刊行さ
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保育現場で学びを生かす 絵本の専門家「認定絵本士」 筑紫女学園大で認定証授与式 /福岡
2024/3/23 05:23 432文字絵本の専門家「認定絵本士」の認定証授与式が22日、筑紫女学園大(太宰府市)であった。同大は九州の4年制大学で唯一、養成講座を開設している。幼稚園教諭や保育士を目指す学生たちは、保育の現場で学びを生かそうと意気込んでいる。 認定絵本士については国立青少年教育振興機構(東京都)が大学と連携して養成講座
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本はともだち
読書感想画コンクール表彰式 未知の世界を見る、作者とつながる
2024/3/23 02:02 828文字<くらしナビ ライフスタイル> 本を読んだ感動を絵で表現する「第35回読書感想画中央コンクール」(全国学校図書館協議会、毎日新聞社など主催、文部科学省など後援、TOPPANホールディングス協賛、竹中工務店特別協力)の表彰式が2月29日、東京都千代田区の如水会館で開かれた。最優秀の文部科学大臣賞に4
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本はともだち
読書感想画コンクール表彰式 未知の世界を見る、作者とつながる 印刷博物館を見学
2024/3/23 02:02 418文字<くらしナビ ライフスタイル> 表彰式後、受賞者ら36人が、TOPPANホールディングスの印刷博物館(東京都文京区水道1の3の3)を約1時間、見学した=写真・篠崎真理子撮影。 常設展では、印刷の歴史や技術を紹介するため、約300点が年代順に展示されている。受賞者らは、現存する世界最古の印刷物とされ
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今週の本棚
鴻巣友季子・評 『名場面の英語で味わう イギリス小説の傑作』=斎藤兆史、髙橋和子・著
2024/3/23 02:01 1331文字(NHK出版・2090円) ◇さりげない英文に潜む妙を知る 日本語話者はどうしてなかなか英語を話せるようにならないのかという議論が喧(かまびす)しい。 その大きな理由の一つとして、インプット(読む・聴く)の圧倒的な不足があるのだけれど、不思議なのは、あたかも英語には読む、聴く、書く、話すという四つ
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今週の本棚
養老孟司・評 『ヤバい統計』=ジョージナ・スタージ著、尼丁千津子・訳
2024/3/23 02:01 1349文字(集英社・2640円) ◇額面通りにも極端にも加担しない 現代ではいたるところに統計数字があふれている。病院に行くと血液検査の結果が多くは数字で示される。私の血管の中には数字が流れているのかと思うほどである。患者はそれを見て一喜一憂するが、実質的な意味はよくわからない。CTの画像は人体を小さな立方
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今週の本棚
『中高年の発達障害 二次障害をいきのびるための処方箋』=凪野悠久・著
2024/3/23 02:01 468文字(現代書館・2200円) 職場での悩みの8割は人間関係にあるそうだ。発達障害にみられる「周囲の空気が読めない」「ケアレスミスが多い」などは学生時代には寛容に受け止められても、社会人になり仕事に支障をきたせば、厳しい目を向けられ、精神疾患にいたる。臨床現場で、こんな症状を訴える中高年が増えているとい
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今週の本棚・CoverDesign
鈴木成一・選 『蜘蛛』
2024/3/23 02:01 143文字いったい何なのか、キラキラの幻惑的な画像に目を奪われる。どこにも属さない与(くみ)しない、サブライムな美とでも言おうか。かろうじて帯の文言等でサブカルを確認する。 ◆ 現代を生きる少年少女の、青春の一瞬を切り取った小説『蜘蛛(くも)』(にゃるら著・講談社・1815円)より。
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今週の本棚
『「守礼の光」が見た琉球』=ボーダーインク編集部・編、古波藏契・監修
2024/3/23 02:01 484文字(ボーダーインク・2640円) 都道府県単位や都市単位で戦後の社会や暮らしぶりを振り返る写真集は珍しくない。沖縄を扱う本書もそうした一冊だ。ただし、写真の出所が他とは大きく違う。雑誌『守礼の光』。1972年までの米軍統治下に、心理作戦部隊が無料配布していたプロパガンダ誌である。 だから、当時の沖縄
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今週の本棚
『チワワ・シンドローム』=大前粟生・著
2024/3/23 02:01 515文字◇大前粟生(あお)・著 (文藝春秋・1650円) タイトルからは内容の想像がつかない小説だ。ある日、800人以上が気付かないうちにチワワのピンバッジを付けられる「チワワテロ」が起きた。事件の直後、主人公・琴美(ことみ)の想(おも)い人、新太(あらた)が消息不明となる。琴美は親友でインフルエンサーの
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今週の本棚・なつかしい一冊
乗代雄介・選 『人間とは何か』=マーク・トウェイン著、中野好夫・訳
2024/3/23 02:01 1004文字(岩波文庫・715円) マーク・トウェインは、自分の死後も家族が収入を得られるよう、膨大な量の自伝を口述筆記で書きためていた。一九〇八年一一月二日には、『人間とは何か』という本についてこう語っている。良識的で知的な人物でも理解を示さないと確信していたので、偏見のない意見を聞くため、名を偽った自費出
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今週の本棚
中村桂子・評 『「はやぶさ2」は何を持ち帰ったのか リュウグウの石の声を聴く』=橘省吾・著
2024/3/23 02:01 1338文字(岩波科学ライブラリー・1650円) ◇私たち、地球を知る大切な一歩 探査機「はやぶさ」が、時に音信不通になるなどハラハラさせながらも小惑星イトカワへの往復の旅を全うした時の興奮を記憶している方は多いだろう。二〇一〇年に、一ミリグラム弱とはいえ、世界で初めて小惑星からの粒子を地球に届け、自身は大気
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今週の本棚
渡邊十絲子・評 『≪中学生日記≫のメディア史 自主性を演じるドラマ』=王令薇・著
2024/3/23 02:01 1332文字(創元社・3850円) ◇視聴者全員に問われたもの ひとつのテレビドラマが何十年間も続くことは珍しい。まして、不安や不満でつねにモヤモヤしているような中学生の日常を描いたドラマが40年間続く長寿番組になったのは、驚くべきことだ。それが、NHK名古屋放送局制作の『中学生日記』(1972~2012年)
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