情熱大陸

プロバレーボール選手 Vol.1301

髙橋藍

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05.19(日)

よる11:00

攻守「2刀流」!日本バレーの新鋭
最高峰リーグでの挫折と手応えと

「おはようございまーす!」
去年12月の密着初日、あまりに爽やかで屈託のない笑顔で現れた青年に、少し驚いた。
世界最高峰のバレーボールリーグ、イタリア・セリエAのモンツァで活躍する髙橋藍。その日に少し会話しただけの取材チームを夕食に誘ってくれるほど気さくで、人との間に壁を作らない柔和な性格。「本当に世界で戦うトップアスリートなのか?」と勘ぐるほど...だが、その思いはすぐに消え去る。
コートに立つとその表情は一変。驚異的な跳躍力と計算された多彩な攻撃で次々に点を重ね、雄叫びをあげる。スパイクだけでなくレシーブも一級品。中学時代に守備専門のリベロとしてチームを支えた才能を活かし、守りでも要となっている。いうなればバレー界に現れた「二刀流」だ。
大学を卒業したばかりの22歳は、単身イタリアに渡り3シーズン目。確かな手応えを感じつつある一方、高い壁にもぶち当たっていた。
2023年最後の試合。エースとして活躍していた髙橋は徹底的にマークされ調子が上がらず、シーズン初の途中交代を喫していた。チームも敗れ自問自答、ここからどう巻き返すのか。その後プレーオフを勝ち上がり、日本人として19年ぶりにファイナル進出を果たすまでの闘いを追った。
本場イタリアでの練習は驚くほどハードだ。午前中はボールを使い、昼食を終えた午後はウェイトトレーニング。たとえ試合が迫っていても、日々ハードな練習を欠かさないのがイタリア流なのだと、日課になったエスプレッソを片手に語る。さらに髙橋はウェイトトレーニングの量を増やすことを自らトレーナーに志願していた。身長188cmとトップレベルでは小柄。世界との体格差を克服するため、どこまでも愚直に自らと向き合う。
世界各国の有力プレーヤーが集うイタリアでも、髙橋の人気は圧倒的だ。試合後にはサインを求める列ができるが、必ず1人残って丁寧に対応していた。そこにあるのは、競技への感謝とその人気を自分が押し上げる、という強い責任感だ。
「バレーボールが恋人」と言い切る22歳は、どこまで高く跳び上がるのかー。

Ran Takahashi

2001年9月2日、京都府生まれ。
兄の影響で小学2年からバレーボールを始める。中学1年では守備専門のリベロも務めた。東山高校3年の時にエースとして春高バレー優勝。
日体大に進み2020年に日本代表初選出、東京オリンピックにも出場。
2021年に現役大学生ながらイタリア・セリエAのパドヴァと契約。
2023年、ネーションズリーグ男子バレーボールで46年ぶり銅メダル獲得に貢献。
2024年はセリエAのモンツァで主力としてプレー。チームをリーグ準優勝に導いた。
インスタグラムのフォロワー数は200万人超え。確かな実力に端正な容姿も相まって世界中にファンを持つ。暗い夜道やおばけが苦手。

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