愛の象徴=ミロクローゼ
神秘的な美女に恋をする子どものような外見の会社員、草食系男子の悩みを一刀両断する恋愛相談員、何者かにさらわれた恋人を探す片目の浪人。「ミロクローゼ(=太陽)」のタイトルが示すように彼らはみんな、自分だけの「愛の象徴」を持つ。一見、曖昧に結びついているだけの三者三様のラブストーリー。だが3人は同じ時空を生き、愛に惑い、溺れ、一人の愛する女になりふり構わず突き進む愚かな男なのだ。果たして男たちは「ミロクローゼ」をその手につかむことができるのか。ハチャメチャな奮闘が、ペーソスを交えた笑いを誘いだしていく。
世界席巻、異様にしてキャッチー
2011年3月の香港映画祭を皮切りに、2012年8月のインドのオシアン映画祭まで、約1年半にも及ぶ地球一周の巡回上映を経て、ついに日本に逆上陸! アメリカのニューヨーク・アジア映画祭ではオープニング作品に選ばれ、主演・山田孝之が日本人初のライジング・スター・アワードを受賞。北米最大級の映画祭であるファンタジア・フェスティバルでも長編劇映画部門 最優秀監督賞含む4部門に輝くなど、世界中のシネフィルの熱烈な支持を集めてきた。
コンテンポラリーでファッション性に優れた映像、リズミカルなカット割り、グルーヴィーなミュージック、異国情緒あふれる緻密な美術装置、ラストの絵巻を思わせる長回し。異様にしてキャッチーな本作は「何を、どう見せるか」にとことん拘っており、そして生み出されたノンバーバル的なスタイルが世界の幅広い評価を獲得した。まるで音楽を聴くようなカジュアルな感覚で楽しめるはずだ。
山田孝之が一人三役に挑戦
いまもっとも熱視線を注がれる俳優・山田孝之が扮するのは、愛に突き動かされる3人の男。ソウルの帝王ジェームス・ブラウンばりのダンス、『マグノリア』(99)のトム・クルーズを彷彿とさせる怪演で見せ切る恋愛相談員・熊谷ベッソン。現代劇、西部劇、時代劇をわたり歩く浪人・タモン。絵本のような世界に生きるチャーミングなキャラクター、オブレネリ ブレネリギャー。そのカラフルな演じ分けは、固定のイメージを持たない山田孝之の「真骨頂」と言えるだろう。また、本作を象徴するヒロイン"偉大なミロクローゼ"にはマイコ。彼女をめぐってオブレネリ ブレネリギャーとひと悶着起こす"なきゃむら"には名優・奥田瑛二。さらにタモンが恋する女性ユリに石橋杏奈、美女揃いの遊郭「天柘楼」案内人に岩佐真悠子、賭場の主人にプロレスラーの武藤敬司、壷振り師には原田美枝子、そしてナレーションに美波といった個性派が顔を揃える。また『ツィゴイネルワイゼン』(80)で知られる名匠で、石橋監督に多大な影響を浴びせた鈴木清順監督が、伝説の刺青師をコミカルに演じているところも注目。
主題歌「LOST AND FOUND」を手がけたのは、若者に絶大な人気を誇るONE OK ROCK。そのタイトルがあらわすように本作の世界観にあわせて書き下ろしたパワフルな楽曲だ。
ワールドスケールにふさわしいメンバーが集結。急転を重ねていく怒涛の90分に圧倒され、瞬きする暇はない!
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