今季中日の快進撃を支えていたのは投手陣だと言われていましたが、投手陣が良かったのは中日だけではありません。巨人も阪神も広島も防御率は低かったし、チーム打率も低くホームランも全然というほど出ていませんでした。異様なほどの投高打低になっていたので、もともと打てない中日打線が目立たなかっただけです。打ち合いではなくロースコアに戦いになるので、投手層が厚くリードしてしまえば絶対的な守護神がいる中日に有利になっていました。

　ただあまりにもどのチームもホームランが出なかったせいで「飛ばないボール」疑惑が囁かれはじめた途端に、今日の試合では各球場ともホームランが乱れ飛びました。今シーズ最多の13本です。これまでの最多が４月３日の８本だったそうですから、急に飛ぶボールに変わったのかというほどの違いです。もちろん「飛ばないボール」疑惑はあくまでも疑惑に過ぎないので、本当のところはわかりませんが、もしボールが飛ぶようになってしまったら中日の快進撃も止まってしまう可能性が高いです。

　去年までの中日は単打は出てもタイムリーが出ないので残塁の山を築いていました。ところが今年は貧打こそ変わらないものの、効果的にタイムリーが出ていて、それを投手陣が守り切るという野球に変わっていました。良い投手が揃っていて連打を浴びることは少ないので、出合い頭のようなホームランさえ打たれなければ守り勝てるというのが今季のパターンでした。

　ところが今日の試合はタイムリー欠乏症に戻ってしまい、８安打を放ちながら無得点で残塁が９。大事なところでホームランを打たれて試合が決してしまうという、まるで昨年までの中日の野球でした。今日は今季の快進撃を支えてきた中田翔と田中幹也が休養したマイナスもあるでしょう。ふたりが戻ってきたらこれまでの野球を取り戻せるのかどうか、まさに真価を問われる週末になりそうです。