恐竜・化石グッズの専門店 ふぉっしる

2022年のその他の古生物ニュース

Other Palaeontological News in 2022

化学物質から、エディアカラ生物の食性が推測されました。

 エディアカラ生物は、地球史で初めて眼に見えるサイズになった生物です。古くは約5億7500万年前(先カンブリア時代エディアカラ紀)の地層から化石が発見されています。しかし、その化石はほとんどが地層に残された凹凸(生痕化石)で体の化石はほとんど発見されていないため、その系統関係や食性についてはほとんどわかっていません。
 今回、白海の約5億5800万年前の地層に含まれる、エディアカラ生物の化石周辺の化学物質が調べられました。
 この結果、キンベレラは消化管をもち、緑藻類とバクテリアを食べていたらしいということがわかったそうです。
 一方、ディッキンソニアの周辺には食物に由来すると考えられる化学物質は発見されなかったそうです。ディッキンソニアは、体の表面から食物を吸収していたと、研究者は考えています。

11/23 Australian National UniversityGuts, gut contents, and feeding strategies of Ediacaran animals. Guts, gut contents, and feeding strategies of Ediacaran animals. Current Biology

イギリスのオルドビス紀の地層から、オパビニアに似た動物の化石が発見されました。

 古生代カンブリア紀(約5億3900万年前~約4億8500万年前)の化石鉱脈、澄江とバージェス頁岩からは軟体部が保存された多数の化石が産出し、初期の動物の多様性、生態、進化について多くのことがわかっています。節足動物は、葉足動物のような動物から、オパビニア類のような動物、ラディオドンタ類(アノマロカリスの仲間)のような動物を経て進化してきたと考えられています。
 今回、イギリスの約4億6700万年前~約4億5800万年前(オルドビス紀中期)の地層から、2点の化石が発見されました。1点は全長約13mm、頭部の上には硬皮があり、頭部の下にはプレートで囲まれた口があるとのことです。頭部の先端からは環状構造のある吻が伸び、吻の背中側には細いトゲが等間隔に並んでいるそうです。胴体の両脇にはヒレが並び、腹側には葉足動物のような肢があるとのことです。
 もう1点は全長約3mm、頭部の先端からは環状構造のある吻が伸び、吻の近くの頭部の側面には硬皮があるそうです。吻の背中側には三角形のトゲが等間隔に並んでいるとのことです。胴体の側面にはヒレのような構造があり、尾部には尾扇が確認できるそうです。
 大きい方は新属新種とされ、Mieridduryn bonniaeと名付けられました。小さい方は大きい方の幼体なのかまたは別種なのかの判断がつかないため、名前は付けられていません。
 系統関係が調べられたところ、最も可能性が高い結果として、この2体がオパビニア類よりも現生の節足動物に近いという結果が出たそうです。また2番目に高い結果としては、この2体はオパビニア類とのことです。この2体がオパビニア類だとすると、北米以外で初、そしてオルドビス紀で初のオパビニア類になります。

11/15 Harvard University, Department of Organismic and Evolutionary BiologyOrdovician opabiniid-like animals and the role of the proboscis in euarthropod head evolution. Nature Communications, 13(1), 6969

植物の複雑な根がデボン紀の大量絶滅の原因だったらしいということがわかりました。

 古生代デボン紀は、陸上植物の多様化が進み、生育範囲も大きく拡大した時期です。そして、海では何回も大量絶滅事件が起こったと考えられています。デボン紀の海で大量絶滅が発生した時、ほとんどの場合で海水中の酸素が無くなっていたことが知られています。この原因として、植物の上陸と複雑な根の進化が有力視されています。複雑な根によって岩石の風化と浸食が促進され、陸上にあったリンが海に流れ込んで海水が富栄養化し、藻類が大量に発生することで海水中の酸素が著しく減少し、大量絶滅事件を引き起こしたと考えられています。しかしその直接的な証拠はこれまで発見されていませんでした。
 今回、スコットランドとグリーンランドの5地点から、約3億9300万年前~約3億7200万年前(デボン紀中期から後期)の湖(またはその近く)で堆積した地層の岩石が採集され、その化学組成が分析されました。この期間、4回の大量絶滅事件が起こったと考えられています。
 今回の分析の結果、4地点で、大量絶滅事件が起こった時期のあたりでリンの流入が増加したらしいということがわかったそうです。また、リンの流入が増加した時期、気候が湿潤だったらしいということもわかったそうです。リンの増加が確認された4地点では、複雑な根をもつArchaeopteris本体やその胞子の化石が発見されています。しかし、リンの増加が確認されなかった1地点では、Archaeopteris本体の化石も胞子の化石も発見されなかったそうです。
 湿潤な時期には複雑な根をもつ植物がよく成長し、また生育範囲が広がることで岩石の風化や浸食が促進されてリンが大量に流れ込んだと、研究者は考えています。

11/9 Indiana UniversityEnhanced terrestrial nutrient release during the Devonian emergence and expansion of forests: Evidence from lacustrine phosphorus and geochemical records. GSA Bulletin

カンブリア紀の管状の棲管を作る動物の正体がわかりました。

 約5億5000万年前~約5億2000万年前(古生代カンブリア紀の直前から初めにかけて)に、骨や殻などの硬組織をもった動物が一気に出現しました。この出来事は「カンブリア爆発」と呼ばれています。カンブリア紀の地層から発見される硬組織の化石の中に、管状の棲管があります。現在の海では、いろいろな種類の動物が管状の棲管を作りますが、カンブリア紀の地層から発見される化石は軟体部が保存されていないものがほとんどのため、どのような動物の棲管なのかはほぼわかっていません。
 中国雲南省の約5億1400万年前(カンブリア紀)の地層から産出するGangtoucunia asperaは、上に向かって徐々に広くなる管状の棲管です。表面には環状構造が見られ、幼体のものと思われる小さな管がついていることもあります。これまでは環形動物あるいは触手冠動物または正体不明の動物の棲管と考えられていました。
 今回、軟体部が保存されたG. asperaの化石が発見されました。その軟体部は滑らかで、先端には触手で囲まれた口があり、消化管は隔壁で区切られているとのことです。これらは刺胞動物の特徴であり、系統関係が分析された結果、G. asperaはクラゲ類らしいということがわかったそうです。
 G. asperaは鉢虫類のクラゲのポリプのような姿で、触手の生えた口を棲管から出し入れすることができただろうと、研究者は考えています。

11/2 University of OxfordExceptional soft tissue preservation reveals a cnidarian affinity for a Cambrian phosphatic tubicolous enigma. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 289(1986)

環形動物に似た触手冠動物の化石が発見されました。

 現生の動物で、冠輪動物は、腕足動物や環形動物、軟体動物などを含む大きなグループです。古生代カンブリア紀に急速に多様化しました。しかしそのグループ内での系統関係や初期の進化についてはよくわかっていません。初期の冠輪動物の化石は、small shelly fossils (SSFs)と呼ばれる小さな殻などの硬組織の化石しか知られていませんでした。
 今回、中国雲南省の約5億2100万年前~約5億1400万年前(カンブリア紀)の地層から、生きていた時と近い状態で硬組織と軟体部の両方が保存された冠輪動物の化石が発見され、Wufengella bengtsoniと名付けられました。Wufengellaの全長は約1.3cm。環形動物に似た姿で、ずんぐりした軟体部の上面は中軸部を左右非対称な2列の硬皮で、その両脇を1列の硬皮で覆われています。そして軟体部の側面には上下2列に並んだヒレ状の構造と、根元が束になった剛毛があるとのことです。
 系統が分析がされた結果、Wufengellaは、腕足動物、苔虫動物、箒虫動物で構成される触手冠動物の原始的な種であるということがわかったそうです。これまで、触手冠動物の祖先は、自由に動き回ることのできる、硬組織をもつ環形動物のような動物と考えられてきました。今回の発見は、その推測と合致するものです。

9/27 Sci newsA Cambrian tommotiid preserving soft tissues reveals the metameric ancestry of lophophorates. Current Biology

Anomalocaris saronと考えられていた全身の化石が新属新種ということがわかりました。

 ラディオドンタ類は、節足動物の初期の進化と生態を知るのに重要なグループです。しかし発見される化石は断片的なもので、全身の化石が発見されることはめったにありません。
 中国雲南省澄江に分布する約5億2100万年前~約5億1400万年前(古生代カンブリア紀)の地層からは、ラディオドンタ類の全身の化石が複数発見されています。このうちの1つは、頭部先端の付属肢をもとに命名されたAnomalocaris saronの全身ではないかと考えられていました。しかし近年の研究で、この全身の化石はA. saronとは別種の全身であると考えられるようになりました。A. saron自身も、2021年にAnomalocaris属とは別属とされ、Houcaris saronに名前が変更されています。
 今回、A. saronと考えられていた全身の化石が詳しく調べられました。この結果、この化石は新属新種のものとされ、Innovatiocaris maotianshanensisと名付けられました。
 I. maotianshanensisの頭部の先端には、11個の節に分かれた付属肢があるそうです。そして付属肢の各節からは尖った突起が出ており、突起の前方には小さなトゲが並んでいるとのことです。頭部の後ろには6対のヒレがあり、胴体には10対の大きなヒレ、そして尾部には3対のヒレと後ろに向かって長く伸びた1対の尻尾のようなものがあるそうです。
 Innovatiocarisがラディオドンタ類のどのグループに近いかはよくわかっていません。

Innovatiocaris, a complete radiodont from the early Cambrian Chengjiang Lagerstätte and its implications for the phylogeny of Radiodonta. Journal of the Geological Society

約19億年前に、真核生物のような機能をもった原核生物がいたらしいということがわかりました。

 生命の進化において重要な出来事の一つが、原核生物から真核生物への進化です。しかし、真核生物がいつどのように出現したかはよくわかっていません。
 カナダには約19億年前の地層が分布しており、この地層からは原核生物の化石が発見されています。
 今回、この地層からストロマトライトが採集され、中に含まれる微化石の形や立体的な構造、そしてサイズなどが詳しく調べられました。
 この結果、これまでは発見されていなかった5つのタイプの化石が発見されたそうです。発見されたのは、複数の細胞が集まって共生するコロニー型、シアノバクテリアの休眠細胞に似た楕円型、栄養を細胞内部にためこんでいたと考えられる細胞組織内包型、動いたり栄養を有利に獲得したりするのに役立つ尾やトゲのような突起をもつタイプ(有尾型、トゲ型)とのことです。
 今回新たに発見されたタイプの細胞がもっていたと考えられる機能は真核生物に見られる機能です。しかし、細胞膜の特徴やサイズの違いから、今回発見された細胞は真核生物ではないと考えられるそうです。
 今回の発見から、約19億年前までに、原核生物は真核生物と同じような機能を獲得していたと、研究者は考えています。

8/29 東北大学Evolutionary diversification of paleoproterozoic prokaryotes: New microfossil records in 1.88 Ga Gunflint Formation. Precambrian Research, 380(15), 106798

Saccorhytusは、節足動物の仲間らしいということがわかりました。

 Saccorhytusは、古生代カンブリア紀の中国に棲息していた、袋状の体をもつ動物です。発見当初は、大きな口はあるものの肛門はなく、口の周りにトゲと穴がある姿をしていたと考えられました。口の周りの穴は鰓の前身と考えられ、最古の新口動物と考えられていました。
 今回、Saccorhytusの化石が新たに発見され、X線で詳しく調べられ、その形が3次元的に復元されました。この結果、口の周りにあった穴は鰓の前身ではなく、トゲが折れてその根元だけが残ったものだということがわかったそうです。
 今回の発見により、Saccorhytusは新口動物ではなく、脱皮動物(節足動物や線形動物などが含まれるグループ)と、研究者は考えています。

8/17 University of BristolSaccorhytus is an early ecdysozoan and not the earliest deuterostome. Nature

トリアルトルスが現生の甲殻類と同じような成長の仕方をしていたらしいということがわかりました。

 動物の成長の仕方とサイズの変化を知ることは、その動物の生活史を知るうえでとても重要です。しかし、古生物においては成長を直接観察することができません。成長線を調べるという方法もありますが、この方法は成長線が形成されない動物には使うことができません。三葉虫もそんな動物のひとつです。
 今回、約4億5000万年前(古生代オルドビス紀)の三葉虫トリアルトルス(Triarthrus eatoni)について、どのように成長したかが調べられました。1973年に報告された、体長が計測できるトリアルトルスの化石295体分のデータについて、それぞれの体長と個体数が調べられました。その後、成長線などの年齢を示す特徴が形成されない現生の魚や無脊椎動物に対して使われている手法を用いて、成長速度が計算されました。
 この結果、トリアルトルスの成長速度は遅く、4cmにまで成長するのに10年かかっていたらしいということがわかったそうです。トリアルトルスの成長速度は、小型で成長速度の遅い現生の甲殻類によく似ているとのことです。トリアルトルスは酸素の少ない場所に棲んでいたと考えられています。そのような環境下で、成長することよりも体の機能を維持するために酸素が使われていたのだろうと、研究者は考えています。

7/25 University of British ColumbiaReassessing growth and mortality estimates for the Ordovician trilobite Triarthrus eatoni. Paleobiology

エディアカラ紀の地層から、最古の捕食者の化石が発見されました。

 イギリスの約5億6200万年前~約5億5700万年前(先カンブリア時代エディアカラ紀)の地層から、二又に分かれたポリプの印象化石が発見されました。このポリプの周りには、固い外骨格の跡も確認できるとのことです。
 研究者は、この化石は原始的なクラゲ類のものと考えています。今回発見されたクラゲ類は、Auroralumina attenboroughiiと名付けられました。
 エディアカラ紀には肉眼で確認できるサイズの生物が出現しましたが、ほとんどは現生の生物との関係がわからず、硬組織をもつものもほとんどいませんでした。Auroraluminaは確実に刺胞動物といえる化石として最古のものです。
 今回発見された化石には触手も確認されています。この触手を使って、藻類や動物プランクトン、原生生物を捕まえて食べていたと、研究者は考えています。Auroraluminaは最古の捕食者だと、研究者は考えています。

7/28 Natural history museumA crown-group cnidarian from the Ediacaran of Charnwood Forest, UK. Nature Ecology & Evolution, 6, 1095-1104

気温変化が大きいほど、大きい大量絶滅が起こっていたらしいということがわかりました。

 約5億3900万年前に古生代が始まってから現在まで、大量絶滅は何回も起こってきました。その中でも特に大きな5回(約4億4400万年前の古生代オルドビス紀末、約3億7200万年前のデボン紀後期、約2億5200万年前のペルム紀末、約2億100万年前の中生代三畳紀末、約6600万年前の白亜紀末)の大量絶滅はビッグファイブと呼ばれています。これらの大量絶滅は急激な気候変化と関係して起こったと考えられています。しかし、気候変化と大量絶滅の関係が定量的に調べられることは、これまでほとんどありませんでした。
 今回、ビッグファイブにおける海棲の無脊椎動物と陸棲の四足動物のそれぞれの絶滅率と、当時の気温変化の関係が、これまでに発表された文献のデータをもとに調べられました。
 この結果、寒冷化、温暖化にかかわらず、大量絶滅が起こった時には気温が大きく変化していたらしいということがわかったそうです。海棲の無脊椎動物の大量絶滅が起こった時、地球全体の気温は7℃以上低下、もしくは7~9℃上昇しており、陸棲の四足動物の大量絶滅が起こった時、地球全体の気温は7℃以上低下、もしくは~7℃以上上昇していたとのことです。また、気温の変化が大きいほど、絶滅率も高かったらしいということもわかったそうです。

7/22 東北大学Relationship between extinction magnitude and climate change during major marine and terrestrial animal crises. Biogeosciences, 19(14), 3369-3380

花と寄生性の昆虫が一緒に入った琥珀が発見されました。

 ドミニカ共和国から産出した約3000万年前(新生代古第三紀漸新世)の琥珀の中に、トウダイグサ科のプルケネチア(Plukenetia)の花が入っているのが発見されました。
 トウダイグサ科は、世界中の熱帯地域または亜熱帯地域に生育する科で、約105属1800種が含まれています。トウダイグサ科は古いものでは中生代白亜紀(約1億4500万年前~約6600万年前)から知られています。果実の化石は古第三紀(約6600万年前~約2300万年前)の地層から産出している一方、花の化石の産出は非常に少なく、これまでアメリカ合衆国テネシー州の古第三紀始新世(約5600万年前~約3390万年前)の地層から1点が発見されているのみでした。今回の発見はトウダイグサ科の花の化石の2例目の発見であり、プルケネチア属の化石としては初の発見です。
 今回発見された花は新種とされ、P. minimaと名付けられました。果実がついた枯れかけの雌花とのことです。
 P.inimaの果実には、タマバエの幼虫が寄生し、花の近くにはトビコバチ科のHambletonia dominicanaが入っているとのことです。トビコバチ科は他の虫の卵や幼虫、蛹などに寄生して宿主を食べます。Hambletoniaは、雌花の近くにあった雄花(琥珀には入っていない)の花粉を食べるためか、タマバエの幼虫に卵を産み付けるためにやってきて、花と一緒に樹脂に閉じ込められたのではないかと、研究者は考えています。

7/11 Oregon State UniversityPlukenetia minima sp. nov. (Euphorbiaceae) in Dominican Republic amber. Historical Biology

3つの眼をもつラディオドンタ類がいたらしいということがわかりました。

 ラディオドンタ類(アノマロカリスの仲間)はカンブリア紀の有名な捕食者であるだけでなく、節足動物の進化を知る上で重要なグループと考えられています。しかしその化石は発見されている数が少なく、断片的なものがほとんどのため、その理解は進んでいません。
 今回、カナダのバージェス頁岩から発見されたStanleycaris hirpexの化石268点がくわしく調べられました。この結果、柄の先についた2つの複眼のほかに、頭部の甲皮の後ろに1つ大きな中眼をもっているらしいということがわかったそうです。さらに、脳は前大脳と中大脳の2つの領域に分かれており、前大脳は眼に、中大脳は頭部前方にある大きな付属肢につながっているということもわかったそうです。体には最大17個の節があり、尾には2対の細長い構造がついているとのことです。
 現在の節足動物の脳は、前大脳、中大脳、後大脳の3つの領域に分かれています。節足動物とラディオドンタ類の祖先は2つに分かれた脳をもっていたと、研究者は考えています。

7/8 Royal Ontario MuseumA three-eyed radiodont with fossilized neuroanatomy informs the origin of the arthropod head and segmentation. Current Biology

ロボットによって、アンモナイト類の得意な泳ぎ方がわかりました。

 アンモナイト類などの平面螺旋状に巻いた殻をもつ頭足類は、複数回あった大量絶滅を乗り越え、何億年もの間、繁栄してきました。正常巻きだけを見ても、厚さや密巻き緩巻きなど、さまざまな形の殻がありました。殻の形によって、水中で動く際の効率も違っていたと考えられています。
 今回、3Dプリントによって作られた殻の中にモーターを搭載した頭足類のロボットが作られました。そしてこのロボットを水中で実際に「泳がせ」、殻の形によって泳ぐ際の効率がどのように違うかが調べられました。
 3Dプリントによって作られた殻の形は4種類あります。螺巻が細く緩く巻いたタイプ(serpenticone)、螺巻が太く、殻全体が球形に近いタイプ(sphaerocone)、螺巻が薄く密に巻いたタイプ(oxycone)、3者の中間のタイプです。今回の研究の結果、殻に厚みが無いタイプ(serpenticoneとoxycone)は、一方向に安定して泳ぐことができたらしいということがわかったそうです。一方、殻に厚みがあるタイプ(sphaerocone)は、方向転換を簡単にできたらしいということがわかったそうです。殻の形によって異なった長所があったと、研究者は考えています。

7/5 University of UtahResurrecting extinct cephalopods with biomimetic robots to explore hydrodynamic stability, maneuverability, and physical constraints on life habits. Scientific Reports, 12(1), 11287

ジュラ紀のコウモリダコは活発な捕食者だったらしいということがわかりました。

 Vampyroteuthis infernalisは現生で唯一のコウモリダコ類で、深海に棲み、マリンスノーや動物プランクトンを食べて生きています。
 Vampyronassaはジュラ紀のコウモリダコ類です。Vampyronassaの化石が産出するフランスのLa Voulte-sur-Rhoneは、軟体部が残った、立体的に保存された化石が産出する化石鉱脈として知られています。今回、La Voulte-sur-Rhôneから産出したVampyronassaの化石3点が高解像度のCTスキャンにかけられ、軟体部が立体的に復元されました。
 この結果、Vampyronassaの体は細長く流線型だったことがわかったそうです。このことから、Vampyronassaは現生のコウモリダコよりも活発に泳ぎ回っていたと研究者は考えています。
 また、Vampyronassaの腕に並ぶ吸盤とトゲは、現生のコウモリダコのものに比べてがっしりしているということがわかったそうです。Vampyronassaの吸盤はよく動き、獲物を捕まえやすく、そして放しにくかったと考えられるそうです。現生のコウモリダコの腕のトゲには、食物を探し、食物を口まで運ぶ役割があります。Vampyronassaのトゲは太いため、食物(獲物)をより感知しやすかっただろうと、研究者は考えています。
 これらのことから、Vampyronassaは現生のコウモリダコとは異なり、活発な捕食者だったと、研究者は考えています。

6/23 European Synchrotron Radiation FacilityExceptional soft-tissue preservation of Jurassic Vampyronassa rhodanica provides new insights on the evolution and palaeoecology of vampyroteuthids. Scientific Reports, 12, 8292

石灰質のプランクトンは、これまで考えられていたよりも温暖化に強い耐性をもっていたらしいということがわかりました。

 円石藻類は、中生代三畳紀後期から現在まで生きている単細胞の植物プランクトンです。細胞の表面を、数枚から数十枚のコッコリスと呼ばれる小さな石灰質の鱗片に覆われています。コッコリスは化石として残りやすく、石灰岩を形成するほど大量に堆積することもあります。
 温暖化が起こった時期に堆積した地層中ではコッコリスの数が減少することが知られています。これは、円石藻類が気候の変化と海水の酸性化に弱いためだと、これまで考えられてきました。
 今回、約1億8300万年前(中生代ジュラ紀前期)、約1億2000万年前(白亜紀前期)、約9400万年前(白亜紀後期)に堆積した地層から、コッコリスの印象化石が大量に発見されました。この3つの時期は温暖化が起こった時期で、コッコリス自体の化石は非常に少ないかまたは全く発見されていません。
 今回発見されたコッコリスの印象化石は、花粉や胞子の化石にコッコリスの凹凸が残ったものです。円石藻類が死んでコッコリスが海底に堆積した後、さらに上に積もった泥の重みでコッコリスが一緒に堆積していた花粉や胞子、その他のやわらかい有機物に押し付けられ、その後、堆積物の粒子の間に入り込んだ酸性の水によってコッコリスが溶けてなくなり、花粉や胞子についた跡だけが残ったと、研究者は考えています。
 このようなコッコリスの印象化石はありふれたものであるものの、そのサイズがあまりにも小さく、そして意外な保存のされ方をしているため、これまで見落とされてきたのだろうと、研究者は考えています。通常、コッコリスそのものの化石が見つからなければ円石藻類はいなかったと判断されます。しかし今回の発見により、ジュラ紀と白亜紀の温暖化した時期にも円石藻類が個体数、種類とも豊富にいたらしいということがわかりました。今回の発見は、化石記録をそのまま解釈すると間違う可能性があることを示すものであり、円石藻類がこれまで考えられていたよりも温暖化に対して強い耐性をもっていたことを示唆するものだと、研究者は考えています。

5/20 University College LondonGlobal record of “ghost” nannofossils reveals plankton resilience to high CO22 and warming. Science, 376(6595), 853-856

三葉虫に“クラスパー”が発見されました。

 三葉虫は硬い殻をもっているおかげで化石になりやすく、たくさんの化石が発見されています。しかし付属肢などの軟体部については、ほとんど化石になることはありません。記載されている2万種ほどの三葉虫のうち、軟体部が残った化石が発見されている種は40種未満です。これまで、交尾に関係する三葉虫の軟体部は発見されていなかったため、三葉虫がどのように交尾していたかはわかっていませんでした。
 今回、カナダの約5億900万年前~約5億500万年前の地層バージェス頁岩から産出したオレノイデスの化石に、奇妙な付属肢が保存されているのが発見されました。奇妙な付属肢は一番後ろの胸節と一番前の尾節にそれぞれついている二肢型付属肢で、他の節についている付属肢に比べて歩脚が短く、歩脚の付け根のトゲがないそうです。
 この奇妙な付属肢をもつのは雄で、この奇妙な付属肢は体外受精をする際に雌の体を押さえるクラスパーのような役割をもっていたのだろうと、研究者は考えています。クラスパーのような付属肢は現生の雄のカブトガニももっており、体外受精の際に雌のトゲをつかんで体を固定するのに使われています。
 今回の発見は、生殖の目的で特殊化した付属肢として最古の例です。現生の節足動物に見られるような複雑な交尾の方法は、カンブリア紀に出現したと、研究者は考えています。

Geological Society of AmericaClaspers in the mid-Cambrian Olenoides serratus indicate horseshoe crab-like mating in trilobites. Geology

三葉虫で、節足動物で最古となる共食いの証拠が発見されました。

 「カンブリア爆発」は、海で複雑な生態系が急速に発達したことで特徴づけられます。この時期、捕食者にも被捕食者にも生体鉱物でできた硬い殻などの外骨格をもつものが現れ、そのような硬い外骨格をもつ生き物を食べる捕食者も登場しました。
 カンブリア紀で、硬い殻に捕食痕が見られるもっとも有名な古生物は、三葉虫です。今回、オーストラリアの約5億1400万年前~約5億900万年前(古生代カンブリア紀)の地層エミュー・ベイ頁岩から、捕食痕がある三葉虫Redlichiaの化石が38点報告されました。エミュー・ベイ頁岩からは、体が小さく堆積物食と考えられているR. takooensisと、体が大きく肉食と考えられているR. rexの2種のRedlichiaが産出しています。捕食痕は両方の種で確認できるとのことです。
 エミュー・ベイ頁岩から産出する古生物で、Redlichiaを捕食できた可能性がある古生物は2種います。1種はAnomalocaris aff. canadensis、もう1種はR. rexです。このうち、A. aff. canadensisの口器は軟組織でできており、方解石でできた三葉虫の硬い殻を噛み砕くことはできなかったと、研究者は考えています。一方、R. rexは付け根に楔形の突起が並ぶ付属肢をもっています。この突起は、三葉虫の硬い殻を砕くこともできるくらいの強度があったらしいということが、以前の研究で指摘されています。このため、今回報告された捕食痕はR. rexによってつけられたものだろうと、研究者は考えています。
 捕食痕はR. takooensisだけではなくR. rexにも見られるため、この捕食痕がR. rexによってつけられたものなら、R. rexは少なくとも時々は共食いをしていたことになります。今回の発見は、節足動物の共食いの証拠として最古のもののひとつです。
 また、R. takooensisにしろ、R. rexにしろ、捕食痕はそれぞれの種の中でも大きな個体に見られるそうです。捕食者に襲われた際、小さな個体は完全に食べられ、大きな個体は捕食者から逃げることができたためではないかと、研究者は考えています。

4/6 Live ScienceCambrian carnage: Trilobite predator-prey interactions in the Emu Bay Shale of South Australia. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 591, 110877

最古のベレムナイトの化石が発見されました。

 ベレムナイトは、中生代ジュラ紀と白亜紀(約2億100万年前~約6600万年前)に繁栄した頭足類です。体の内部の後方に矢じりのような形をした殻(鞘)があり、この鞘がよく化石として発見されます。約2億3500万年前(中生代三畳紀後期)の地層から発見された化石が、これまで最古のベレムナイトの化石でした。
 今回、宮城県の約2億4800万年前(中生代三畳紀前期)の地層から、新属新種のベレムナイトの化石が発見されました。これまで最古だったベレムナイトの化石よりも1000万年以上古い化石になります。今回発見されたベレムナイトは、Tohokubelus takaizumiiと名付けられました。
 今回の発見により、ベレムナイトは三畳紀前期に、当時超大陸パンゲアを取り囲んでいた超海洋パンサラサの西端の低緯度地域で出現したと、研究者は考えています。

4/1 東北大学

澄江動物群の動物たちが三角州の近くに棲んでいたらしいということがわかりました。

 古生代カンブリア紀(約5億3900万年前~約4億8500万年前)、生物が急速に多様化した「カンブリア爆発」が起こりました。中国雲南省澄江からは、約5億1800万年前の動物の化石が豊富に産出します。節足動物、環形動物、魚など、さまざまなグループにわたる250種以上の動物の化石が、この地域から発見されています。澄江から産出する動物たちは澄江動物群と呼ばれています。澄江動物群の動物たちについて生物学的な研究は進んでいますが、この動物たちがどのような環境に棲んでいたかについては議論があります。
 今回、澄江動物群が産出する地層を含む厚さ130mのコアが採取され、堆積構造と地層の化学組成が調べられました。この結果、澄江動物群の動物のほとんどは、三角州の先端に近い浅海に棲んでいたと、研究者は考えています。酸素と栄養が豊富だったものの、変わりやすい塩分濃度と速い堆積速度がストレスになっていたと考えられるそうです。そして嵐の時に起こった洪水によって酸素濃度の低い水深の深い場所に流され、非常に保存状態の良い化石になったと、研究者は考えています。

3/23 University of ExeterThe Chengjiang Biota inhabited a deltaic environment. Nature Communications, 13(1), 1569

タコの最古の仲間の化石が発見されました。

 アメリカ合衆国モンタナ州の約3億3100万年前~約3億2300万年前(古生代石炭紀前期)の地層から、新属新種の vampyropod(タコとコウモリダコを含むグループ)の化石が発見され、Syllipsimopodi bideniと名付けられました。これまでに発見されていた最古の vampyropodは約2億4200万年前~約2億3700万年前(中生代三畳紀中期)のもので、今回の発見は、それよりも8000万年以上古いものになります。
 現生種、化石種含めて、これまでに知られていた vampyropodの腕は全て8本でした。しかし、Syllipsimopodiには10本の腕があるとのことです。これまで、 vampyropodは腕を10本もつ祖先から進化したと考えられてきました。その説を支持する証拠が今回初めて発見されました。
 また、Syllipsimopodiの腕には吸盤があるそうです。吸盤が並んだ腕を使って、アンモナイトの軟体部を殻から引っ張り出したりしていたのだろうと、研究者は考えています。

American Museum of Natural HistoryFossil coleoid cephalopod from the Mississippian Bear Gulch Lagerstätte sheds light on early vampyropod evolution. Nature Communications, 13, 1107

新たなオパビニア類が報告されました。

 オパビニアは、アノマロカリスと並ぶバージェス頁岩を代表する動物です。しかしラディオドンタ類(アノマロカリスの仲間)がカンブリア紀からデボン紀までの地層から20種以上発見されているのに対し、これまでオパビニアの仲間はO. regalisの1属1種しか発見されていませんでした。
 今回、2008年にラディオドンタ類として報告された化石の形が詳しく調べられ、どのグループの動物なのかが分析されました。この結果、この化石はオパビニア類であるらしいということがわかったそうです。
 今回調べられた化石は、アメリカ合衆国ユタ州の約5億500万年前~約5億100万年前の地層から発見されました。胴体は13~15個の節からなり、胴体とヒレに剛毛が並んだ構造があり、尾には少なくとも7対のヒレがあるとのことです。このオパビニア類はUtaurora comosaと名付けられました。

2/9 Harvard University, Department of Organismic and Evolutionary Biology、New opabiniid diversifies the weirdest wonders of the euarthropod stem group. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 289(1968)

火災に耐性があったと考えられる白亜紀の花が発見されました。

 ミャンマーの約9900万年前(中生代白亜紀の中ごろ)の琥珀の中から、新種の花が2種発見されました。1つは現在の南アフリカ共和国に生育するPhylica属の新種で、Phylica piloburmensisと名付けられました。もう1つはPhylica属に近縁な新属新種で、Eophylica priscastellataと名付けられました。
 白亜紀の中ごろは地球の歴史の中でも特に気温の高かった時期と考えられています。そして白亜紀の酸素濃度は23~29%と、現在(21%)よりも高かったと推測されています。この時期に堆積した地層からは炭化した植物化石が多く発見されており、火災が頻発していたと考えられています。分子時計の分析によると、裸子植物と被子植物のいくつかのグループが、白亜紀に火災に対する耐性を獲得したのではないかと推測されています。
 今回発見されたP. piloburmensisとE. priscastellataは現生のPhylicaとあまり形が変わらず、火災にあっても生き残れるような適応が見られるとのことです。この2種が発見された琥珀の中には燃えた植物が一緒に入っているものもあり、この2種は火災が発生した場所に生えていたと、研究者は考えています。

2/2 Sci NewsFire-prone Rhamnaceae with South African affinities in Cretaceous Myanmar amber. Nature Plants, 8, 125-135

Callichimaeraは活発な捕食者だったらしいということがわかりました。

 Callichimaeraは、約9500万年前~約9000万年前(中生代白亜紀後期)のコロンビアに生きていたカニです。大きな眼と遊泳に適した肢をもっていました。
 今回、Callichimaeraの眼について、外側の構造と内側の構造の両方が調べられました。眼を調べることによって、棲息環境やどのくらい活発に活動していたか、捕食者だったのか被捕食者だったのかなどを推測することができます。
 成長段階の異なる標本を使って眼の成長速度が調べられた結果、Callichimaeraはカニの中で最も眼の成長速度が速かったらしいということがわかったそうです。また、Callichimaeraの眼は、現生の活発な捕食性のカニよりも鋭敏で、現生の捕食性の昆虫に近かったらしいということがわかったそうです。遊泳性に適した肢をもつことと合わせて、Callichimaeraは活発に泳いで獲物を捕る捕食者だったと、研究者は考えています。また、Callichimaeraは明るい環境に適応していたらしいということもわかったそうです。

1/12 Harvard University, Department of Organismic and Evolutionary Biology、The remarkable visual system of a Cretaceous crab. iScience, 25(1), 103579

最古の被子植物の蕾の化石が発見されました。

 現在、被子植物は植物の中で最も多様なグループです。しかし、いつどのように被子植物が出現したかは、よくわかっていません。白亜紀前期(約1億4500万年前~約1億100万年前)の義県層から多様な被子植物の化石が発見されたり、ジュラ紀(約2億100万年前~約1億4500万年前)の地層から花の化石が発見されたりしているため、ジュラ紀に被子植物が存在していたことは確実視されています。しかし、ジュラ紀の被子植物の化石記録は少ないため、初期の被子植物についての理解はいまだに進んでいません。
 今回、中国内モンゴル自治区の約1億6400万年前の地層から、被子植物の蕾と果実の化石が発見されました。今回の発見は、被子植物の蕾の化石として、最古のものです。今回発見された被子植物は新属新種とされ、Florigerminis jurassicaと名付けられました。

A Jurassic flower bud from China. Geological Society, London, Special Publications, 521

オーストラリアから新たな化石鉱脈が発見されました。

 化石から、現生とは姿が大きく異なる動植物が生きていた過去の世界を垣間見ることができます。しかし化石として残るのは、ほとんどの場合で骨や殻などの硬い部分だけであるため、軟体部を復元したり、硬組織をもたない生物がどのような姿だったかを知ったりすることは、困難です。
 例外として、普段は化石として残りにくい軟組織がよく保存される化石産地がいくつかあります。このような化石産地は化石鉱脈と呼ばれています。今回、オーストラリアのニューサウスウェールズ州から新たな化石鉱脈が発見されました。今回発見された化石鉱脈は、"McGraths Flat"と名付けられました。
 McGraths Flatからは、約1500万年前(新生代新第三紀中新世)の生物の化石が発見されています。ここからは、軟体部が保存されたさまざまな動植物の化石が発見されているとのことです。また、ここから発見される化石には、細胞やメラノソームといった細胞内小器官まできれいに保存されているそうです。さらに、昆虫の表面についた花粉、腹部に獲物が入った魚、魚に寄生したムール貝など、生物同士の関係を推測できる化石も発見されているそうです。
 中新世に気候は乾燥化し、オーストラリアではそれまで広がっていた熱帯雨林が縮小し、灌木地や砂漠が広がっていったと考えられています。McGraths Flatから発見された葉の化石から、当時、熱帯雨林の周りには乾燥した環境が広がっていたことが推測されるそうです。当時すでに、熱帯雨林が縮小していたのだろうと、研究者は考えています。

1/10 Australian MuseumA Lagerstätte from Australia provides insight into the nature of Miocene mesic ecosystems. Science Advances, 8(1)

ウミサソリ類の付属肢の動きが調べられました。

 ウミサソリ類は、約4億6700万年前~約2億5000万年前(古生代オルドビス紀中期からペルム紀の末近く)まで生きていた節足動物です。他の動物を捕まえて食べたり、死骸を食べたり、付属肢で小さい無脊椎動物をかき寄せて食べたりと、種類によって異なった食性だったと考えられています。しかしこの説を検証するための、生体力学的、運動学的な研究は、これまでほとんど行われてきませんでした。
 今回、アメリカ合衆国オハイオ州のオルドビス紀後期(約4億5800万年前~約4億4400万年前)の地層から発見されたメガログラプタス(Megalograptus ohioensis)の化石と、ノルウェーのシルル紀の後半(約4億3300万年前~約4億1900万年前)の地層から発見されたミクソプテルスの化石をもとに3Dモデルが作られ、付属肢がどのように動いたかが調べられました。この2種は両方とも、長いトゲの生えた長い第3付属肢をもっています。
 この結果、メガログラプタスは第3付属肢の長いトゲで獲物を押さえ、第2付属肢で獲物を引き裂いていたらしいということがわかったそうです。一方、ミクソプテルスは第3付属肢を獲物を捕らえるかごのように使い、第2付属肢で獲物を突き刺していたと考えられるそうです。

Spines and baskets in apex predatory sea scorpions uncover unique feeding strategies using 3D-kinematics. iScience, 25(1), 103662