朗讀詩集 地理の書 他八篇
大政翼賛會文化部(代表者・日比野士郎)編
1942(昭和17)年/翼賛圖書刊行會(代表者・下中彌三郎)発行
2,000円  四六判(128×188ミリ)/48頁
戦中の昭和16年(1941)に大政翼賛会文化部が企図し、高村光太郎・島崎藤村・千家元麿・北原白秋・佐藤春夫・尾崎喜八・三好達治・草野心平らが詩を朗読。 タイトルの「地理の書」は光太郎の朗読した詩題。藤村の朗読詩は著名な「千曲川旅情の歌」。文化部長・岸田国士が巻末に「詩歌の朗読運動について」という一文を寄せている。 文化部は全国の家庭・職場・式場・集会での朗読を提唱し、指導者の派遣も行った。本書は翌昭和17年(1942)の再版の複製で、発行部数5万だった。定価10銭。
人の今昔
澤本江南 著
1912(大正元)年/時事新報 連載  開成社書店発行
3,000円  四六判(128×188ミリ)/316頁
澤本孟虎(江南)が『時事新報』に連載し、明治天皇大葬直後に上梓した著名人77名の消息録。 明治の政界・実業界・法曹界・宗教界・言論界・文化界にわたる。彼らの成功と転落を、洒脱でジャーナリスティックな一文に著して読者の関心を喚起しようとしたもの。 読者はこのうち何人を記憶しているか。取り上げられているのはたとえば次のような面々。林有造・大井憲太郎・石川舜台・押川方義・錦織剛清・河野主一郎・大江卓・景山英子・石橋忍月・巌本善治・横井時雄・金森通倫・横山源太郎……。 多くは社会から次第に遠ざかっていった人びとである。定価80銭。
明日の人たち 日産勞働者のたたかい
日産勞組委員長 益田哲夫 著
1954(昭和29)年/五月書房 発行
1,500円  四六判(128×188ミリ)/54頁
本書は、戦後労働運動史上「百日闘争」と呼ばれた著名な争議の中間総括であり、報告集でもある。 著者は、全日本自動車産業労働組合(全自)とその支部である日産労組のカリスマ指導者だった。 1953(昭和28)年の日産争議において、組合の賃金闘争の要求に対し会社側は全面拒否を打ち出し、「ノーワーク・ノーペイ」、首切り、組合分裂を策動し工場閉鎖をちらつかせた。 これに対し日産労組は生産再開と就労闘争で対抗しようとするが、会社側の要求を受け入れ争議は敗北。争議中に解雇された益田だが、戦前の入社時に日産創業者・鮎川義介の寵愛を受けた人でもある。 五月書房のシリーズ「労働運動パンフレット」の一つ。定価40円。
大塚楠緒子短篇集
東亞協會文藝部編『曉靄(ぎよあい)集』より
1908(明治41)年
2,000円  四六判(128×188ミリ)/56頁
大塚楠緒子(1875~1910、おおつか・なおこ。名は「くすおこ」とも。歌人・小説家)の、『曉靄(ぎよあい)集』に収載された短篇5作(「カンフル」「捨兒」「上下」「馬の顔」「濱まつり」)。 楠緒子は、夏目漱石の友人であった美学者・大塚保治の妻だったが、雑誌太陽・朝日新聞・万朝報に短歌や小説作品を発表し、マクシム・ゴーリキー、メーテルリンクの翻訳も行なったという才色兼備の女性。 早世したとき、漱石は「あるほどの菊投げ入れよ棺の中」という手向けの句を詠んだ。
日本絹紡糸事業概観
島元義枝 著
1980(昭和55)年/日本絹紡協会 発行
4.800円  A5判(148×210ミリ)/188頁
明治10年(1877)官営屑糸紡績所設立にはじまり、生糸は明治・大正期の代表的輸出産業となり、最大の外貨獲得を担った。 明治政府の殖産興業の最大の柱というべきもので、原料としての養蚕業の二次産業的立場、各紡績会社の兼業的性格という、業界としての特殊性にもかかわらず、社会情勢の激しい変化にさらされながら絹紡糸事業はよく健闘した。 戦後は国内産業化の道を進んだが、その百年の歩みを初めて叙述した業界史。日本絹紡協会が同協会勤務の島元義枝に執筆を委託した。
琵琶湖運河の開鑿に就て(工學博士田邊朔郎氏講演)
大阪商工會議所 編
1941(昭和16)年
2,500円  四六判(128×188ミリ)/40頁 極秘印有リ
戦前、日本海と大阪湾を結び、本土横断を実現する琵琶湖運河の開鑿について調査・研究が行われていた(新日本海ルート)。 1万トン級の船舶の往来が可能となる。推進したのは大阪商工会議所交通部会。琵琶湖疎水や日本初の水力発電所の建設を指揮して、近代土木工学の祖といわれた田邊朔郎博士がこの問題について講演したのが本記録。 講演の3年後、博士は死去し、計画は今日に至るも実現していない。本書には関連する「艀鉄道(バーデレイル)建設」などについての計画書も併載している。

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