エナガのおしくらまんじゅう

エナガはいま、子育てのまっさかりです。4月21日、相模川の河川敷の樹林では、巣立ったヒナを連れた家族群が慌ただしく飛び回っていました。ヒナは親鳥ほどではないものの、いっちょまえに尾が長いのですが、顔つきは幼いですね。

エナガの巣立ちビナ

巣立ちビナは、あちこち動き回りながら親鳥から餌をもらうのですが、数十分も動いていると疲れるのか、ヒナ同士集まって休みます。その際、ピタッと体をくっつけ合います。

3羽でくっつきあう巣立ちビナ

野鳥の多くは、ひとたび巣立ってしまうとこうして体をくっつけ合うことはしません。しかしエナガは巣内でぎゅうぎゅうになっていたころの名残なのか、巣立って1週間ほどはこのようにくっつきあいます。この様子は「おしくらまんじゅう」とか「エナガ団子」などと呼ばれ、バードウォッチャーが見たいシーンの一つです。
そして、人間のおしくらまんじゅうは外側から押し合って、内側が押し出されることが多いのですが、エナガの場合は内側に強引に入りたがります。

強引に内側へ入ろうとしています

休んでいるのか遊んでいるのかわかりませんが、こんな押し合いへし合いの最中も目をつむって眠っているヒナもいます。

この時は、5分ほど団子になってからまた散り散りになって飛び回り始めました

この群は数えてみたら、14羽のヒナがいました。そして、餌を与えている成鳥が少なくとも4羽。エナガを含めて多くの野鳥が、繁殖に失敗したつがいや、早く生まれた兄弟が子育てを手伝うことがあり、これをヘルパーと呼んでいます。
この群も、近くで外敵に巣を落とされるなどして繁殖に失敗したつがいが加わっていたものと思われます。
(生物担当学芸員)

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生きものミニサロン「タンポポの種類を調べてみよう」を実施しました!

4月20日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは「タンポポの種類を調べてみよう」です。博物館お隣の樹林地に分布しているカントウタンポポと、博物館の駐車場などに多い、外来種とカントウタンポポの雑種の違いを観察しました。どうやって観察するかというと、外見の違いよりも確実な、花粉の観察です。まずは新緑が清々しい駐車場に出て、花から花粉を採集しました。

サポートスタッフが花粉の採集方法を説明しています

採集の仕方は簡単!セロハンテープを花の表面へ付けるだけ・・

誰でもできる花粉の採集方法!

それを、顕微鏡で観察しやすいように切った板ダンボールに貼り付けます。顕微鏡で観察するための穴を中央に開けてあります。

中央に穴を開けたダンボールに張り付けたところ

肉眼でも、花粉がびっしりついているのがわかります。

花粉がびっしり!

これを、博物館内の実習・実験室へ持ち込んで、実際に顕微鏡で観察します。

顕微鏡で見ると、意外とわかりやすい!

顕微鏡で見ると、たくさんの花粉の色や大きさが揃っているもの(樹林地内で採集したもの)と、色や大きさが不揃いなものが(駐車場)がありました。

いろいろな倍率で観察

粒ぞろいの方がカントウタンポポで、不揃いの方が雑種のタンポポです。

カントウタンポポの花粉

雑種の花粉

近接した場所に種類の違うタンポポがあったことを自分の目で確かめられたことが新鮮だったようで、スマホで顕微鏡の画像を撮影している参加者もいました。
次回は5月18日(土)12時から実施します。お楽しみに!
(生物担当学芸員)

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令和6年度、市民学芸員始動!

4月17日(水)、令和6年度初となる市民学芸員全体ミーティングを行いました。
当館では、複数のボランティア団体が各分野の専門性に基づく様々な活動を行っていますが、「市民学芸員」は博物館全体に関わるイベントや展示などを担っており、特定の分野に属さないボランティアとして日頃から博物館活動を盛り上げています。
今年4月以降、『市民学芸員かわら版』を担当する情報発信チームや、かるたチームによるれんげの里あらいそで開催中の出張ミニ展示など、個々のチーム活動はすでに進めていましたが、市民学芸員全体で顔を合わせるのはこの日が今年度初めてです。

今年度初対面のミーティング、参加者多数です。

「市民学芸員全体ミーティング」とは市民学芸員が毎月開催する定例会で、各チームの活動状況の報告やイベントに関する打ち合わせを行うなど、ボランティア活動を進めるうえで重要なミーティングです。この日は年度の初回とあって参加者が多く、確認すべき議題も盛りだくさんでした。

真剣にミーティングへ参加しています。

市民学芸員による毎年恒例の人気イベント、クイズラリー学習資料展についても企画検討中ですので、ブログをご覧の皆さまに楽しみなお知らせをいち早く届けられるよう、引き続き準備を進めてまいります。

ミーティング終了後は、当館特別展示室で現在開催中の企画展「第9回 わぉ!な生きものフォトコンテスト」ミニ企画展「STOP!クリハラリス 特定外来生物の分布拡大を止めるために」について、生物担当学芸員による展示解説会を実施しました。
今回の展示に合わせて初披露した迫力あるクマの剥製や、思わず「わぉ!」と声が出てしまうユニークな作品で毎年大人気の写真展、“かわいい”だけでは済まされない特定外来生物クリハラリスの分布拡大に警鐘を鳴らすミニ企画展の見どころを、展示の担当学芸員が力説しました。

市民学芸員に向けた展示解説会の始まりです。

お披露目展示のクマの剥製に興味津々…

さすが、日々の博物館活動で展示を観る目を養っている市民学芸員一同。展示解説後に鋭い質問が飛び交います。

クリハラリスが残す”フィールドサイン”とは?

令和6年度の市民学芸員活動についても、このブログでお知らせしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!

(歴史担当学芸員)

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4月20日、生きものミニサロンやります!

今年度も毎月恒例の「生きものミニサロン」を実施します!
じつは、4月6日にも臨時で実施しましたが、基本的に第3土曜日に実施するので、今月は4月20日が定例日となります。
今回のテーマは、「タンポポの種類をしらべよう」です。

カントウタンポポ

博物館お隣の樹林地には、もともと日本にあった在来種のカントウタンポポがたくさん生育しています。でも、一歩、博物館の駐車場へ入ると、見た目はそっくりなのに、ちょっと違うタンポポが生育しています。実はこのタンポポ、カントウタンポポとセイヨウタンポポの雑種なのです。

雑種のタンポポ

外見からはわかりにくその違いを、なんと顕微鏡を使って確かめます。
ご希望の方は博物館エントランスへ直接お集りください(申込み不要)。
4月20日(土)12時~12時30分です。
5月以降の実施予定はこちらからご覧ください。
(生物担当学芸員)

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ウグイスのさえずり

相模原市緑区の相模川の河原を歩いていると、すぐ近くでウグイスがさえずりました。薮を好む鳥ですが、この時はライバルのオスが接近していたのか、アカメガシワの枝上にススッと上がってきました。

ウグイス(オス)

日なたに出てくることがあまりない鳥なので、撮影できてラッキーでした。しばらくケキョッ、ケキョッと「谷渡り」と呼ばれる連続した鳴き方をしていましたが、ライバルが遠ざかったのか、ヤナギ類の込み入った枝へ戻っていきました。すると、通常のさえずりである「ホー、ホケキョ」と鳴き始めます。

さえずるオスのウグイス

始めの「ホー」のところでよく観察してみると、喉が膨らんでいるのがわかります。ウグイスは春を告げる鳥として、気象庁が「ウグイスの初鳴き前線」を生物季節観測の一つとして記録しています。初鳴きと呼ばれる鳴きはじめの頃は、「ホ、ケッキョ」などとうまくさえずることができません。それは、上の写真のように喉がしっかり膨らまないためなのです。それが、練習を重ねていくうちに喉が膨らむようになり、大きな音でしっかりフレーズを刻むことができるのです。
ウグイスを観察していたら、近くでエナガの声がしました。目で追うとオニグルミの幹の股の部分に、つがいで巣を作り始めていました。

巣作りするエナガのつがい

しかし、この時期で巣作りの初期ということは、1回目にしては遅すぎますし、1回目が巣立って2回目というには早すぎます。おそらく、1回目の巣が、巣立ち間際にカラスなどに襲われて失敗し、2回目に入ったということでしょう。今度は失敗せずに無事に巣立ってほしいですね。
(生物担当学芸員)

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津久井城跡市民協働調査のミニ展示を開催しています!

現在、当館のエントランスにて津久井城跡の市民協働調査の成果を展示しています。
展示の期間は6月30日までです。

津久井城跡は、小田原北条氏に与した内藤氏の居城です。現在では相模原市緑区根小屋にある県立津久井湖城山公園の区域となっています。
この津久井城跡がどのような山城なのか、相模原市教育委員会文化財保護課、当館、(公財)神奈川県公園協会とそれぞれに所属する市民ボランティアにより、市民協働調査の一環として、毎年発掘調査を行っています。

今回のミニ展示は、津久井城跡城坂曲輪(しろさかくるわ)群の7号曲輪の発掘調査成果を速報展として展示しています。
過去のブログでも7号曲輪の調査の様子を紹介しています。
https://www.sagami-portal.com/city/scmblog/archives/33429 (2023年の調査の様子。)

 

展示の様子(博物館エントランス)

7号曲輪の出土遺物(中世戦国期のかわらけなど)

このような展示は学芸員により設営されることがほとんどですが、このミニ展示は違います。
実際に掲示するパネルの文案やデザインは学芸員が作成し、パネルに貼り付けて展示ボードに打ち付ける作業は市民ボランティアにお願いしました。

展示パネルの順を検討

見やすい配置になっているか?

手作業で打ち付けるので、パネルの間隔や高さがちょうど良いか、来館者から見やすい配置か、それそれ意見を出し合いながら作業を進めます。参加者はいつも何気なく見ている展示がかなり細かい部分まで調整されていることを実感されていました。

市民ボランティアには、発掘調査の成果についてミニ展示の設営から詳細に知っていただくことができました。
山城の調査成果を知る貴重な機会ですので、お近くにお越しの際はぜひご覧ください。
(考古担当学芸員)

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シロバナハンショウヅルの開花

博物館お隣の樹林地の一角にキンポウゲ科のつる性木本(樹木)のシロバナハンショウヅルが生育しています。4月16日、開花を確認しました。

シロバナハンショウヅルの花

この場所は、博物館が許可をいただいて調査を行っている場所ですが、残念ながら一般の立ち入りができないエリアです。シロバナハンショウヅルは挿し穂で殖やせるため、昨年から増殖を試みて一部が成功しました。博物館駐車場のフェンスなどにつるをのばせるよう、さらに増殖していきたいと考えています。
近くでは、先日このブログで崩芽を紹介したヌルデがどんどんと新葉を展開しています。

ヌルデ

ヌルデはウルシ科の植物で、特に新緑の季節は葉に触れるとかぶれるおそれがあるので、慎重に撮影しました。
今年は花期が遅れているフデリンドウは、今がピークのようです。まだまだ花を楽しむことができます。

フデリンドウ

博物館前の道路沿いにもあるので、ご来館の際はぜひご覧ください。
(生物担当学芸員)

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【市民学芸員かわら版】魅力あふれる相模湖

4月9日(火)から、当館1階情報サービスコーナー入口横の定位置に市民学芸員かわら版の最新号を掲示しています。
第14号となる今回のタイトルは、「潤水都市さがみはらPart3 魅力あふれる相模湖」です。

近くに休憩コーナーもあります!

「市民学芸員かわら版」とは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」の情報発信チームが作成する壁新聞です。テーマ選定から情報収集、記事のレイアウトまで全て市民学芸員が行い、自然・歴史・文化に関する様々なトピックスについて、市民目線を取り入れながらわかりやすく紹介しています。

今回は、旧相模湖町の町名にもなった市内の人造湖「相模湖」をテーマに、歴史・ 生き物・特産品・観光スポットなどの切り口からその魅力を伝えています。
トピック別に色分けし、見やすく記事をレイアウトしたところも市民学芸員による工夫点です。

市民学芸員かわら版「魅力あふれる相模湖」

タイトルに‟Part3”とあるとおり、これまで津久井湖、宮ヶ瀬湖と「潤水都市さがみはら」が有する豊かな水資源を紹介してきたシリーズの第3弾となります。

今月末には待ち遠しいゴールデンウィークがやってきます。市民学芸員かわら版をチェックして、これからグリーンシーズンを迎える相模湖におでかけしてみてはいかがでしょうか?

(歴史担当学芸員)

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木もれ日に照らされるキノコ

4月16日、博物館お隣の樹林地を歩いていると、キノコがポコポコと出ていました。

アミガサタケの仲間

アミガサタケの仲間です。落ち葉にまぎれてしまう色合いですが、木もれびを受けて傘の濃淡が目立つ時間帯には見つけやすくなります。このキノコ、フランス料理ではモリーユ、イタリア料理ではモリケッタと呼ばれ珍重される食材のようです。ただ、国内で秋に多く発生する著名な山のキノコと比べて特別美味しいとも思えませんが(個人の感想です)、毎年同じ場所に出るとは限らない希少性が滋味を加えているのかもしれません。
駐車場の脇に植えてあるクワの木を見ていたら、ハラグロオオテントウの成虫がいました。

ハラグロオオテントウ

こちらは西日本から徐々に分布を広げてきて、この5年ほどの間に市内でも見られるようになった昆虫です。体長は1センチメートルを超えるものが多く、国内最大のテントウムシです。クワの葉を食害するクワキジラミという昆虫を食べてくれるので、カイコを育てるには都合のよい虫なので、大切に見守っています。
(生物担当学芸員)

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相模原ふるさといろはかるた、れんげの里あらいそで出張展示中!

4月11(木)から5月14日(火)までの期間、れんげの里あらいそ(南区新戸)でミニ展示「相模原ふるさといろはかるた」を開催しています。

施設に入ってすぐの展示ホールで展示しています!

「相模原ふるさといろはかるた」とは、市内47か所の名所・旧跡を紹介したかるたで、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」が7年がかりで制作したものです。
これまで、麻布大学いのちの博物館吉野宿ふじやでも出張展示をしましたが、今回はかるたで‟た”の札になっている「相模の大凧」にゆかりの会場での開催です。

‟た”の読み句「端午(たんご)の空 相模の大凧 舞い揚がる」

出張展示を開催している相模の大凧センター展示ホールは、世代交流型複合施設「れんげの里あらいそ」の一部で、訪れる人に本市の伝統「相模の大凧」の魅力を伝えています。ホール天井に展示されている「相模」の文字が力強い大凧は「7間凧(ななけんだこ)」とも呼ばれ、その大きさは12.1m四方、たたみ88畳分に相当します。
大迫力の大凧展示や「相模の大凧まつり」などの映像とともに、「相模原ふるさといろはかるた」展をお楽しみください。

展示設営はもちろん、かるたの制作者である市民学芸員自ら行いました。

手際よくパネルのピン打ちをこなします。

博物館活動で磨かれたスキルにより、パネルのピン打ちなどの設営作業はお手のもの。手際よく展示を仕上げ、最後は参加メンバーで仲良く記念撮影しました。

展示設営に参加した市民学芸員のメンバー。

設営日の4月10日(水)は雲一つない晴天で、施設のお向かいにあるJR相模線沿いの桜並木が青空に映えてとてもきれいでした。

JR相模線沿線の桜並木

おでかけが心地よいこの季節、かるたで楽しく市内の自然や歴史、文化を学べる「相模原ふるさといろはかるた」展をぜひご覧ください。

(歴史担当学芸員)

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