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競馬回顧 2024年2回阪神

第84回皐月賞(GⅠ)

ジャスティンミラノ

+10kg。前走東京戦も少し余裕残しに見えたが、大きくは変わらず。逆にいえば、数字分だけ成長している。しっかり踏めていた点も好印象。外からジワッとこの馬の出脚で好位直後。どんなペースでも折り合いが付くのが強みで、ジャンタルマンタルを前に置く形では有ったが、スムーズに流れに乗れていた。そのジャンタルマンタルが早仕掛けして、直線に向いた段階では少し距離が有ったが、坂を上ってジャンタルマンタルの脚が鈍り、コスモキュランダと一緒に追い込んでV。前走が1000m通過62.7秒で、上がり32.5秒。道中で余計なことをしないのがいい。当然、距離延長も苦にならない筈。次走東京戦も最有力。

コスモキュランダ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。舌がハミを越していたのは前走同様。ただ、今日の方が少し馬が緩い。歩様のキビキビ感も含めて、前走の方が馬に迫力は有った。ゲートで分が悪く、中段やや後方。最初から内に潜り込むつもりだった様で、1角では内ラチ沿いへ寄せていた。、3角から外へ持ち出して前を追い、コーナーでの手応えが悪くて、押して押しての分、4角は少し外へ膨れ気味だったが、直線に向いて猛追。ただ、道中で楽をしていたジャスティンミラノが交わせそうで交わせなかった。内容としてはこちらの方が強いが、立ち回りの上手さが違った。それでも無論、東京戦でも圏内で有ることは確か。

ジャンタルマンタル

2人曳き。前走東京戦の段階で、それなりの状態、そこからはほぼ変わらず。緩い印象はなく、集中して歩けていた。歩様も悪くない。好発。この馬の出脚で好位。行きたがる面の有る馬だが、ペースが速かったことも有り、この馬としては上手く走れていた。前を行くメイショウタバルが止まることは分かっていても、人気を背負った者同士で、早目に捕まえに行くのは当然。直線入口で先頭に立ち、坂下で一旦は後続を突き放したが、流石に最後は脚が上がり3着。それでも見せ場は充分。ペースひとつで勝っていた競馬。ただ、距離に余裕がないのも確かだろう。次走はマイル戦とのことだが、仕方なしの選択。当然、そこなら大本命級。

アーバンシック

前肢にバンテージ。-6kg。数字以上にスッキリした印象。それで居て、テンションも上がらず、ノンビリと歩けていた。歩様もスムーズ。ゲートで分が悪く、更に外から寄られてしまったことも有り、後方に近い位置。これも1角迄には内目へ寄せていたが、道中は少し行きたがっている場面も有った。3〜4角中間からコスモキュランダを追う形で進出、直線に向いて内へモタれていたが、最後迄諦めずに走ってここ迄。ただ、追って頭が上がり気味で、まだ馬が出来上がっていない印象。次走は出るだけになりそう。

シンエンペラー

あまり迫力を感じさせる馬体ではないが、纏まっている。超一流を目指すなら、もう一段の成長が欲しい。ゲート五分。この馬の出脚で好位。直ぐ内のジャスティンミラノとは似た様な出脚だったが、枠の分、1列後ろから。これも競馬に注文の付く馬ではなく、道中はスムーズに走れていた。ジャスティンミラノを追う形だから、展開的にも上手く行ったが、坂下で頭が上がって脚が鈍った。器用なだけでまだパワー不足。

レガレイラ

腹回りは他の牡馬と比較すると薄いが、それだけにトモのボリューム感は目立つ。ゲートで寄られたことも有るが、元々が出のいい方ではなく、後方から。これは想定内だが、外からウォーターリヒトにフタをされていたのは痛かったか。動くに動けない展開で、このペースとはいえ、4角でも最後方に近い位置。最後はメンバー中、最速タイの脚で伸びていたが、流石に厳しかった。恐らくはこれで前走と同じだけ走っているのだろうが、相手がそれだけ成長していた分も有るだろう。現時点で次走未定だが、限定戦なら何とかしたいところ。

メイショウタバル

下見は落ち着いて周回出来ていた。重心が低く、ダート馬の様な体型。少し歩様が硬いのは前走阪神戦同様。ゲート入りに梃子摺り、この段階でかなりテンションが上がっていたが、ゲートを五分に出たにも関わらず、意外に出脚がなく、押してハナ。これで掛かってしまい、1000m通過が57.5秒は流石に速過ぎた。4角手前で既に余力がなく、直線はバッタリ。今日は参考外。

JRA70周年記念 第29回アンタレスステークス(GⅢ)

ミッキーヌチバナ

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。気配は地味で、淡々と歩いていたが、これは何時ものこと。力強さは感じさせないが、歩様にブレがない。ゲートで分が悪かったが、被されなかったことと、この馬も出脚が有って、労せず中段。パサパサの良馬場で、力の要る馬場状態。道中はオッツケ気味の馬も多かったが、道中は手応え良く追走出来ていた。3〜4角も抜群の手応えだったが、4角は内目を回って、距離を稼いだのは結果的に正解だったか。先に抜け出したスレイマンが渋太く粘っていたのは想定外だったかも知れないが、キッチリ捕まえて最後はクビ差。着差以上に強い内容。ただ、前走中京戦の様に湿ったダートはダメか。仮に良馬場でも、見た目にパワーが有りそうではなく、本当の一線級相手でどうか。

スレイマン

前後肢にバンテージ。遮眼革。全体に少し立派だが、緩んだところはない。踏み込みも力強く、下見で目立っていた1頭。大外ながら好発。気合を付けて2番手。出して行ったことも有るが、これも道中はいい手応えで追走出来ていた。4角を手応え充分に回って、直線で先頭。ただ、結果的に少し早かったかも。坂下では既に抜け出していたが、そこから少しフワッとした様にも見えた。そこをミッキーヌチバナに強襲されてしまった形。初重賞挑戦だったが、上々の内容。外枠から頑張って先行しての結果だけに尚のこと高い評価が出来る。次走京都戦とのことだが、圏内の1頭に。

ハギノアレグリアス

+6kg。目一杯仕上げたと迄は行かないが、緩い印象もなく、しっかり出来ていた。歩様も悪くない。ゲートでの駐立が悪くて、この馬にしては出脚が鈍く、少し押して好位のイン。序盤はその分、行きたがっていた様にも見えた。それでも道中はスムーズに運んで、4角で外へ持ち出し、態勢は整えたが、いざ追って甘かった。重賞でも勝ち負けにはなる馬だが、競馬は上手いにせよ、毎回キッチリ勝てる馬ではない。58kgは微妙に影響しただろうが、馬力が微妙に足りないか。

トウセツ

遮眼革。シープスキンノーズバンド。下見で煩いのは何時ものこと。ダートだと少し細い位だが、これも前走中京戦と変わらず。ゲートは五分か、微妙に悪い程度だったが、行く気なく後方から。基本的には馬群の外で砂を被らない様に乗られた。向正面でジワッと動いたが、そこからコーナーでは置かれ加減。直線に向いて、再び差を詰めて来たが、3着のハギノアレグリアスとは0.8秒差。成績が示す通り、ワンパンチ足りない。

サヴァ

前後肢にバンテージ。毎度の話だが、これだと腹回りがボテッと映る。もう10kgは絞った方が良さそう。ただ、踏み込みが深く、デキ自体はいい。ゲートは微妙に分が悪かったが、内に馬が居らず、立て直しが利いて中段のイン。砂はそれなりに被っていたとしても、問題なく走れていた。4角も労せず捌いたが、直線は右手前のままでジリジリだった。ダートで頭打ちになって芝に活路を求め、再度ダートに戻って来たが、ダートの方が良さそう。絞れればもう少し動けていい。

ヴィクティファルス

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。ダートではそこ迄迫力が有る訳ではないが、馬はこんなモノ。ただ、明らかに歩様が硬い。好発。この馬の出脚で好位。前は比較的バラけており、いい形で運べていたが、向正面から手応えが怪しくなり、4角でアラアラだった。負けるにしても、負け過ぎ。芝から来た馬だけに、パサパサのダートは合わないか...。

第33回アーリントンカップ(GⅢ)

ディスペランツァ

-6kg。まだかなり太いが、多少なりともメリハリは出て来たか。その分、歩様にも力強さが出て来た。ゲートは微妙に悪かったが、1枠2頭が先行して関係なかったか。中団からジックリと。道中は少し引っ張り気味の行き振り。スローで馬群が固まり、外へ持ち出せず、直線に向いてから脚の違いでコジ開ける形。マイルで1000m通過60.9秒のスローで、直線でも暫くは全馬が伸びている中、ラスト200mでも前に10頭近く居たが、とんでもない脚を使っている。今日のダメージは無視出来ないが、次走東京戦も有力馬の1頭に。

アレンジャー

2人曳き。スプリントを走っていた馬にしては、品がいい。レースだと口向きが悪いとの話だが、下見では集中して歩けていた。手先も軽い。流石に出脚は一番速い位だったが、内からポッドテオが引かず、引いてその番手から。前述した様にかなり遅いペースだったが、この形でも折り合って走れていた。4角の手応えが抜群で、周囲の馬の手が動いている中で、坂下迄持ったまま。最後の最後でディスペランツァの決め手には屈したものの、一旦は抜け出して2着確保。完璧に運んで負けただけに相手を称える外ないが、器用さが有るのはいい。馬も良く出来ているので、次走東京戦も再度内枠が当たる様なら面白い1頭。

チャンネルトンネル

前走中山戦よりも、今日は妙に煩い。ただ、馬自体は良くなっている。馬体にメリハリが出て、歩様も悪くなさそう。好発。下見で煩かったことも有るのか、無理せず中段。意外と折り合いは付いていた。直線は自然と前が開いて、伸びていたが、坂を上る途中で右手前になってモタれたのが痛かった。同タイムだけに尚のこと勿体なかった。能力は持っているが、要は体力不足。権利は得たが、次走は苦しいか。

ワールズエンド

前肢にバンテージ。新馬の京都戦はまだ芯が入っておらず、明らかに緩かったが、大分ピリッとして来た印象。ゲートで後ろへモタれたところで開いてしまい、出遅れ。そのまま後方から。スローで腹を括って只管内ラチ沿い。鞍上の話では新馬は外枠だったので、馬群の中で力んでいたとのことだが、他馬も似た様なモノ。直線に向いてもいい脚を使っており、最後の進路は1頭分だったが、何とかネジ込んでここ迄。坂の有る阪神で上がり3F32.1秒は出色。ただ、父母共、古馬になって走ったイメージの有る晩稲の血統。未完成な状態でこういう脚を使ってしまうと、大成しない傾向も。

ポッドテオ

-6kg。前走東京戦は少しイレ込んでいたが、今日は集中して歩けていた。馬体も締まって、明らかに良くなっている。好発。出脚は1200mのアレンジャーの方が速かったが、最内枠だけに戦前からの決め打ちだったか、主張してハナ。そのアレンジャーはあっさり引いて、2番手のタイキヴァンクールがガッチリ抑えたことで、スロー。道中はリズム良く走れていた。直線は決め手の差だろう。この形でも慣れてくれば、競馬になりそう。

シヴァース

2人曳き。今日は明らかにテンションが高かった。数字のない馬で、良くも悪くも馬体に変化はないが。ゲートは少し分が悪い程度だったが、出脚もなくて、押して中段やや前辺り。前に馬は居たが、これも道中は引っ張り切りの追走。今日はこれで仕方がないが、最大の失敗は直線に向いて伸び掛かったところで、ワールズエンドと同じ位置に突っ込んでしまい、引かざるを得なかったこと。スムーズなら際どくなっていた。ただ、そもそも不利を食らう位置に居たのも悪い。ゲートは出るに越したことはない。

第84回桜花賞(GⅠ)

ステレンボッシュ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。-4kg。背丈が高く、本来はもう20kg増えても良さそう。見た目は少し細い位で、キッチリ出来ていた。ただ、歩様は少し硬い。ゲートは半馬身程分が悪く、後方から。折り合いが付くのを確認して、少し出して中段やや後方。後ろから行っているので、外にアスコリピチェーノが居て、決していい位置ではなかったが、3〜4角中間辺りで何とかネジ込んで進路を確保。今日はこれが勝因。アスコリピチェーノより先に抜け出し、最後は止まり掛かっていた様にも見えたが、何とか振り切った。時計もソコソコ速く、例年の水準級以上。あとは歩様が硬い点から、距離延長はあまり歓迎しないだろう。この点が東京2400mでどうか。

アスコリピチェーノ

+10kg。見た目にはこれ位が丁度いい。迫力が有って、馬のスケールは最上位。少し気負っていた様にも見えたが、歩様も力強い。これもゲートは微妙に分が悪かったが、出脚でカバーして中段。3角で狭くなって頭を上げそうになっていたが、ここで引いて何時でも動ける外へ持ち出せたのは大きかった。内から来たステレンボッシュの壁として、直線に向く迄、押し込み切れれば、この馬が勝っていただろうが、4角の手応えが案外で、ここでステレンボッシュにスペースをやったのが痛恨。しかも、そこで弾かれてしまい、更に1馬身のロスが有り、最後は猛追したものの、3/4馬身差がやっとだった。今日の内容だけなら、この馬の方が2400m向きというするのだが、マイルへ向かうとのこと。東京なら何とかするだろうが、少し勿体ない気もしないでもない。

ライトバック

2人曳き。下見だけパシュファイヤー。前後肢にバンテージ。馬体の迫力では上位2頭に負けるが、緩んだところもなく、デキは良さそう。完歩の小さい歩様は毎度。少し気負っていたが、前走京都戦より集中力も有った。これもゲートが怪しかったが、鞍上に行く気もなく、後方から。行きたがる面の有る馬だが、ジックリ乗られて、道中はリラックスして走れていた。直線も迷わず大外。コースロスは有ったが、リズム良く走れた分、良く伸びた。ただ、2400mは長いか。ベストは1400m。

スウィーブフィート

シープスキンノーズバンド。まだ成長途上。腹回りは少しボテッと映るが、トモに力が付き切っていない。ただ、物見が少なく、頭が低い分、前走よりはマシにも見える。ゲート自体は出ているが、鞍上に全く行く気がなく、最後方から。道中も外を通る気はなく、内目を回っていたが、直線は流石にインが開かないと見た様で、4角で外へ。ただ、その外も少しゴチャついて、前が開いたのは坂下辺り。右手前のままだったが、バラけてからは良く伸びている。上手く捌いていれば2,3着迄有ったかも知れないが、今日はギャンブル騎乗だけに、これで仕方がないところ。

エトヴプレ

前走と比較して、今日の方が集中力が有った。トモが張って、現状のデキ自体も良さそう。スケールの問題は有るが、歩様もしっかりしていた。抜群に出脚が速いという訳ではなさそうだが、内の出方を窺いながら、ジワッと行かせて2番手。道中は少し力んでいた様にも見えた。直線入口で、逃げたショウナンマヌエラを交わして先頭。坂下辺り迄は頑張っていたが、坂が上り切れず、掲示板止まり。もう少し道中をリラックスして走れていれば違ったか。これももう少し短い距離の方がいい。

クイーンズウォーク

前後肢にバンテージ。馬体に柔軟性は有りそうだが、まだ全体に緩い。馬体もそうだが、所作にも芯が入っていない印象。ゲートを決め、少し出して中段のイン。完璧にスムーズだった訳ではないが、道中のリズムは決して悪い様に見えなかった。直線に向いてからも、内ラチから伸びようとしているのだが、これも坂で甘い。とはいえ、エトヴプレは捕まえたかったところだろう。案外の競馬。マイルよりは長い距離の方がいい馬だが、今日の内容だと基礎体力不足かも。次走2400mで人気になる様なら、嫌ってみても面白い。

第42回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

エコロブルーム

2人曳き。前後肢にバンテージ。+8kg。元々がマイラー体型ということも有るが、この数字だと腹回りがボテッと映る。しっかり踏めていて、淡々と歩いていた点はいいのだが。ゲート五分。最初から少し行きたがっていた様に見えたが、ガッチリ短手綱で好位。馬群の中で窮屈そうでも有ったが、直線に向いた段階で突き抜けそうな勢いだったが、ボンドガールとユキノロイヤルの間を狙ったが開かず、ユキノロイヤルの外へ出して突き抜けた。負けていたら、完全に鞍上の責任になるところだが、馬に救われた格好。それだけ馬は強かった。当然、胸を張って東京へ向かうことになるが、久々にこのレースから勝負になりそうな馬。

ボンドガール

今年初戦になるが、緩んだところもなく、キッチリ出来ていた。歩様のブレもなくなって、明らかに良くなっている。好発も、出脚はユキノロイヤルの方が速く、ならばと引いて好位のイン。これも最初は少し力んでいた様に見えた。直線は、逃げたユキノロイヤルが外へ持ち出した為、ガラ空きのインから。同じ位置を狙ったエコロブルームも上手くブロックして、立ち回りは完璧だったが、エコロブルームの決め脚が一枚上手だった。阪神戦を除外されて、こちらへ回って来たが、実利を考えれば結果オーライか。ただ、これも次走は東京戦だそうだが、もうワンパンチ欲しい。

ユキノロイヤル

途中から2人曳き。後肢にバンテージ。数字の割に幅が有って、良く出来た馬だが、歩様には力強さを欠く。それ以上に、今日は妙に煩いのが気になった。ゲート五分。出脚が速く、スッとハナ。今日は馬場も悪く、下見で煩かっただけに、行かせた方が折り合い面で楽という判断も有っただろう。1000m通過が58.9秒と、ペースも手頃だったが、狙いはハマったか。4角で外へ持ち出して、内から来たボンドガールと併せ馬。渋太く粘っていたが、坂を上り切る前に脚が鈍り、立て直して外へ持ち出したエコロブルームにも捕まって3着止まり。東京戦の権利を確保出来たのは何よりだが、出るだけになりそう。勿論、1000万なら確勝級。

カズミクラーシュ

後肢にバンテージ。-10kg。馬体にメリハリがなくなった感も有るが、良くいえばスッキリ。ただ、トモが甘そうな歩様。ゲートはアオり気味だったが、出脚と枠の利でボンドガールの直後。我慢して走れていた。ただ、結果論になるが、3〜4角中間で前が詰まりそうな気配を察し、4角手前から外へ持ち出したのが失敗。逃げていたユキノロイヤルが外へ持ち出して、外へ行った馬は更に外を回され、全滅。その中での4着は強い。内でジッとしていれば、いい勝負になっていただろう。未勝利即でこれだけ走れれば文句なし。500万どころか1000万でも通用する馬だが、馬が若いので、次走も今日と同じパフォーマンスが出来るかどうかは未知数。

ドリーミングアップ

無駄肉もなく、馬はバランスの取れた造りで、良く出来ていた。ただ、今日は少し歩様が硬いのがマイナス材料。ゲート自体は出たが、ヨレ気味で出て、カズミクラーシュと接触して躓いてしまい、後方から。それでも、道中は良過ぎる位の行き振りで、4角の手応えも悪くなかったが、最初に外へ持ち出そうとしたところが前に馬が固まっていて、結局は内目。右往左往したのが勿体なかった。ゲートが決まって、道中も完璧なら際どくなっていただろうが、とはいえ微妙に足らないのも確か。

クリーンエア

シープスキンノーズバンド。寸の詰まったマイラー体型。見た目にはトモが張って、完成度も低くないが、これもトモが甘い。ゲート五分。出脚は速く、スッと2番手。キャプテンシーが外から来た際には2番手を譲っていたが、壁の有無に関わらず、折り合いは付いていた。直線に向いてからもジリジリ伸びていたが、坂下辺りで鞍上が手綱を離してしまい、一瞬追えなくなったのが痛恨。立て直してからも巻き返す気配は有った。今日は全く人気がなかったが、決して通用しない馬ではない。競馬に注文が付かないのもいい。次走注目。

第67回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

マスクトディーヴァ

前後肢にバンテージ。数字の割に迫力が有って、前走東京戦と見た目は変わらない。厳密にいえば、少し余裕残しだが。今日は好発。急かさず、行きたい馬に行かせて、その番手から。前走が嘘の様に、リズム良く走れていた。鞍上は4角で勝ちを確信しただろうが、あとは直線に向いてどこを割るかだけ。モズゴールドバレルとゴールドエクリプスの間を脚の違いでコジ開け、坂下で鞍上が手綱を離してしまっていたが、それでも軽く追った程度で先頭に立ち、余力充分に押し切った。最悪の競馬だった前走のダメージさえなければといったところだったが、これなら文句なし。ただ、次走の東京戦は、スプリント戦の様な競馬になり易く、ベストが1800〜2200mのこの馬にとって、ちょっと適性の面で合っていない気もしないでもない。

ウンブライル

遮眼革。-10kg。骨折明けの前走東京戦が太かったが、これ位で丁度。ただ、馬の迫力では上が居る。チャカついていた点は毎度だが。ゲート五分も、枠が遠く、折り合いに専念して後方に近い位置。1回だけ引っ張るシーンは有ったが、道中は外を回されながらも、前に馬を置いて我慢して走ってくれていた。直線もスパッと切れた印象ではないものの、ジワジワ迄伸びていた。マスクトディーヴァの方が余裕は有ったが、力を示した2着。これも東京戦へ向かう様だが、距離適性ではこちらの方が上。次走も面白い存在。

モリアーナ

2人曳き。パシュファイヤー。前後肢にバンテージ。牝馬らしい身体付きだが、緩んだところもなく、キッチリ出来ていた。踏み込みも深い。出遅れ1馬身不利。行く気もなく、後方からジックリと。直線だけ外へ持ち出し、ウンブライルの内から併せようとしているのだが、ハナが並ぶ迄に至らず、むしろ最後は甘くなって3着確保がやっとだった。マイルが久々だったことを考慮すれば、有る程度の評価は必要だろうが、一線級ではないのも確か。重賞で勝ち負けに持ち込むには、もうワンパンチが足りない。

シングザットソング

2人曳き。-10kg。腹が少し巻き気味。流石に少し細いか。下見でテンションが高いのは何時ものことだが。ゲートを五分に出て好位、馬群の中で宥める形。最近は1400mを中心に使われていたが、コントロールは利いていた。直線に向いて、馬群を上手く捌いて、一旦は2着も有りそうな勢いだったが、最後は微妙に甘くなった。ただ、甘くなったのが、距離なのか、細い分なのかが、今日は良く分からず。次走試金石。

ドゥアイズ

前走京都戦からはほぼ一緒だが、少しずつ馬体が増えているのはいい傾向。昨年のこの時期を考えると、大分ドッシリと見せる様になってきた。出遅れ1馬身不利。出脚も鈍く、後方から。道中も少しオッツケ気味で、行き振りもいい方ではなかった様に見えた。4角で大外へ持ち出し、直線に向いてからの反応もイマイチだったが、坂を上り出した辺りからグッと重心が沈んでエンジンが掛かり、ここ迄。ここ2走はマイルで好走していたが、今日の内容だけならもっと距離が有った方がいい。

第68回大阪杯(GⅠ)

ベラジオオペラ

シープスキンノーズバンド。スッキリ見せて、前走京都戦と変わらず。踏み込みも変わらずしっかりしていた。ゲート五分。出脚も有る筈だが、スタート直後から押して位置を取りに行って2番手。スタニングローズの逃げは1000m通過60.2秒とスローだったが、折り合いは付く馬で、壁がなくてもリズム良く走れていた。スローを嫌ったローシャムパークがマクりに来て、4角は叩かれそうになっていたが、何とか踏ん張り、直線は外からローシャムパーク、内からルージュエヴァイユと苦しい形となりながらも、一杯一杯振り切った。たった1Fだが、前走の甘さを払拭する勝ち方。適距離で持ち味を発揮出来た。やはりベストは1800〜2000m。次走も阪神戦だそうだが、逆にいえば2200mだけに厳しいか。

ローシャムパーク

2人曳き。前肢にバンテージ。昨年9月以来だが、良く出来ていた。前走中山戦は少しボテッと映ったが、背丈が伸びて、数字は一緒でも大分メリハリが付いた印象。気配も良かった。ゲートは出ているが、出脚で差が有って後方から。ただ、隊列が決まって一気にペースが落ち、前述した様にスロー。向正面に入ってから一気に動いて3角で2番手。ここで一息入れて、4角から再び仕掛けていく形。ただ、べラジオオペラが思いの外渋太く、直線で盛り返されてクビ差届かず。4角で叩き切っていたら展開も変わったが、その場合は後続にやられていたか。今日はこれでベストの結果。能力で負けた訳ではないが、敗因を求めるなら出脚のなさ。とはいえ、2200mでやれば、べラジオオペラには先着出来る筈。

ルージュエヴァイユ

-14kg。前走京都戦がそこ迄太かった訳でもないのだが、元々これ位の数字で走っていた馬。緩んだところもなく、デキは問題ない。昨秋に気になっていた歩様の硬さもなくなった。ゲートは出たが、ジックリ乗られて後方から。1角で馬群の切れ目が有り、内へ。セコい競馬が出来た。ただ、直線に向いて突き抜けるかの勢いだったが、坂を上って脚色が一緒になってしまった。一応はメンバー中、最速の上がりだが、このメンバーだと少し能力差が有るか。

ステラヴェローチェ

前後肢にバンテージ。首の長い馬で、良くも悪くも独特の体型だが、3歳時と比較しても、大分馬体をドッシリと見せる様になって来た。出脚は有る馬だが、そのまま行かせると引っ掛かりそうな気配も有り、ガッチリ抑えて中段から。それでも道中はずっと力んでいた様に見えた。4角ではルージュエヴァイユと同じ位置に居たが、こちらは少々強引に外へ。今日の様なスローだと内外の差は大きいが、最後迄、諦めずに走っていた。惜しい内容。下見から馬が良くなっていて、完全復調といっていい。次走注目。

ジオグリフ

-10kg。最近、馬体重の変動が激しいが、結局はこれ位がベストか。ゲートをポコンと出て、出脚が鈍かったが、押して好位。押した分、1角は少し行きたがっていた様に見えたが、内外前に馬が居て我慢して走っていた。窮屈では有ったが、気で走るタイプだけにこれはこれで良かった筈。ただ、直線に向いてからがジリジリ。このスローで位置取りは悪くなかった筈で、ローシャムパークの早仕掛けもいい方に出た筈だが、決め手不足。この馬とすれば、もう一雨欲しかったか。

タスティエーラ

2人曳き。前走中山戦が+18kgで明らかに太かったが、今日は-4kgでもスッキリ。走れる状態には見えた。歩様も問題ない。ゲート五分。内枠の利も大きいが、この馬の出脚で労せず好位。いい位置で流れに乗れていた。それだけに直線で全く伸びなかったのは解せないところ。デキが本当ではないのか...。

第56回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

パラレルヴィジョン

-16kg。まだ腹回りは少しボテッと映るが、馬体を絞って、メリハリが出た。前走は少し歩様に硬さが有ったが、その点も解消。舌がハミを越して遊んでいたのは何時ものこと。好発。行きたい馬に行かせて好位3番手。エエヤンが大逃げする形になったが、2番手のセッションがそれに付き合わず、4角で前と4〜5馬身程の差。ただ、セッションの手応えがそれ程でもなく、この馬が自力で捕まえに行く形になった。最後はエエヤンの脚が完全に上がったとはいえ、3/4馬身差だから完勝。中山巧者は間違いないところ。ただ、次走は東京戦。流石に出走するだけになるか。

エエヤン

2人曳き。-8kg。毛ヅヤが良くなったことも有るが、これも絞れたとみていい。元々、活気の有る馬だが、気配も変わらず良かった。ゲートは五分程度。セッションが無理矢理ハナへ行ったが、連られたのか、少し掛かり気味だったことも有り、そのまま行かせてハナへ。1000m通過57.8秒だから、ソコソコのペース。前述した様に、4角ではセーフティリードに見えたが、坂を上って外へモタれて止まった。とはいえ、3着には0.3秒差。久々の好走。セッションに連られたにせよ、最近は掛かる位の行き振りもなかった。アテにはし辛いが、これがいいキッカケになれば。

アスクコンナモンダ

前後肢にバンテージ。-10kg。見た目には数字が減った印象はない。少しトモが甘い歩様も毎度のこと。ゲートで少し後手に回って、中段やや後方から。道中はこのペースの割に少し行きたがっていた様にも見えたが、インで脚は矯められていたか。エエヤンが外へ持ち出したことで、内が開いて、しかもジッとしていた利も大きく、接戦の3着争いを制した。逆にいえば能力面の評価は出来ない。前走東京戦からこれ位走れてもいい馬だが、それ以上ではない。

ニシノスーベニア

前肢にバンテージ。-6kg。横から見ると数字の割にスカッと見せるタイプ。それだけ馬に幅が有る。これもゲートが微妙に分が悪く、後方に近い位置。一瞬、4角で外へ持ち出そうとしていたが、外に馬が居て、結局は馬群の中へ突っ込んで行く形。今日の展開で外へ持ち出してもいいことはなく、前も何とか開いて4着。ただクビ差だけに、アスクコンナモンダと枠が逆なら結果も違っていたか。重賞でも足りる。

ダディーズビビッド

前走と大きくは変わらず。やはり数字はこれ位の方がいい。ただ、微妙に歩様が硬い点は気になった。好発も、出脚で差が有って、パラレルヴィジョンにやられて、その直後から。全体で中段やや前辺りから。4角でパラレルヴィジョンが動いてくれて、展開的には絶好の形だったが、直線に向いて坂が上れなかった。今日のメンバーなら何とかいい筈だが、微妙に距離が長いのか...。

セッション

-4kg。少しずつでも絞れて来たのはいい傾向。まだボテッとは映るが、緩さはなくなった。踏み込みもしっかりしていた。ゲートは微妙に分が悪かったが、押して一旦はハナ。前述した様に、そこをエエヤンが叩いて行ったが、それに付き合わず、離れた2番手で折り合っていた様に見えた。それだけに直線サッパリだったのは意外。逃げた方がいいのかも。

インダストリア

今年初戦になるが、キビキビ歩けていて前走京都戦以上。数字通り、緩んだところもなく、見た目には出来ていた。ゲートは怪しかったが、押して好位。押した分、道中は行きたがっていた。4角を回り切るところで、ダディーズビビッドと接触し、少し弾かれ気味になったが、それにしても直線は案外。デキはいい様に見えたが、58kgは背負えないと見るのが妥当。

第54回高松宮記念(GⅠ)

マッドクール

+18kg。前走香港戦が少し細い状態で、回復分。ボテッと映ることは映るが...。例に依って、歩様は硬いが、この馬としては許容範囲。好発。そのままハナ。向正面の間はビクターザウィナーと並走していたが、3角で譲って2番手。直線入口でビクターザウィナーが外へ持ち出し、ガラ空きになった最内から。ナムラクレアの猛追は有ったが、一旦は完全に突き放したリードは大きく、アタマ差凌ぎ切った。内枠もいい方に出たが、この馬場を苦にしないパワーが一番の勝因。ただ、馬には何の責任もないとはいえ、レート的にGⅠ格維持が危ないレースのひとつで、上位4頭のレーティング平均が115ポイント必要にも関わらず、この馬で116と、厳しい状況。馬にとってもレースにとっても、まずは良馬場でないことには、本当の能力が分からない。評価しようがないのは不幸。

ナムラクレア

前肢にバンテージ。-8kg。前走京都戦がトライアル基準で95点なら、今日は本番基準で満点。数字通り、スッキリと仕上がっていた。いい時のこの馬。今日はゲート五分。本来ならマッドクールの直後に付けたかったところだが、ビッグシーザーとの並走を避けて、更に1列後方。全体で10番手辺りから。直線は最内に進路を取り、泥を被りながらも鋭い脚を使っているが、アタマ差届かず。馬は頑張っている。良馬場ならマッドクールに突き放す脚はなかった筈で、この馬が勝っていただろう。勝ち負けはツキの問題に尽きる。

ビクターザウィナー

2人曳き。寸の詰まった体型だが、見た目は少し太い様にも見える。ただ、トモが張って、馬自体が負けている印象はない。ゲートは五分程度だったが、出脚が速くハナへ。来日は勿論、海外遠征も初で、行き切ってペースを握った方が自分の力は出し切れると読んだ様。600m通過34.9秒だから、馬場状態を考えると遅く、理想的な形に持ち込めた。馬が道悪が苦手なのか、鞍上が内目を嫌ったのか、微妙なところだが、ずっと内ラチを開けた状態で、直線も内から5,6頭分開けていた。それでも追って甘く、3着確保がやっと。上位2頭とは明らかに能力差が有る。とはいえ、日本のGⅠでは、2018年宝塚記念のワーザー (2着) 以来となる外国調教馬の馬券圏内。一線級ではない馬がここ迄やれてしまうのは、日本調教馬のメンバーレベルが低いという外ない。

ウインカーネリアン

パシュファイヤー。シープスキンノーズバンド。前走東京戦と同様、もうひと絞り有ってもいい。踏み込みが力強く、迫力だけをいえば断然。この馬にしてはゲートが怪しかったが、押して揉まれない位置迄出して好位。狙い通りの競馬は出来たか。ビクターザウィナーの外だったが、こちらも最初から直線は外へ持ち出すつもりだった様で、ビクターザウィナーの更に2頭分外へ。ただ、そのビクターザウィナーに並ぶシーンすら造れず、内を通ったロータスランドにもやられそうになっていた。とはいえ、1200mもベストではないなら、道悪も得意ではない。これで良く頑張っている方。この馬の競馬に徹した鞍上を讃えるべき。

ロータスランド

前後肢にバンテージ。牝馬ながらはち切れんばかりの造りで、迫力満点。歩様も力強く、下見でケチを付けるところはない。ゲートは出ているが、ウインカーネリアンに少し寄られたことも有り、、下げて徐々に内ラチ沿いへ寄せる形。只管距離損を避けて乗られた。直線もインから来ているが、今日はスローでこれが一杯。内枠を引いてもう一列前なら違ったが...。ただ逆にいえば、最近はイマイチ枠に恵まれていない中で、健気に走っている。これで引退とのことだが、イズジョーノキセキと並んで、岩田康誠騎手でしか動かない馬として代表格といえる。

ママコチャ

下見で煩いのは何時ものこと。少なくとも下見は悪くなかったが、目立つこともない。良くいえばバランスが取れた造りということになるが...。ゲート五分。ジワッと行かせて好位から。ただ、行き振りがいい時と比較するとイマイチ。直線はビクターザウィナー、ウインカーネリアンの更に外で、距離損も大きかったのだが、それにしても案外だった。道悪も向かないが、鞍上の話通り、良績が暖かい時期に集中しており、この時期はダメ。

第31回マーチステークス(GⅢ)

ヴァルツァーシャル

遮眼革。前後肢にバンテージ。腹回りがボテッと見えるのは元々。もうひと絞り有った方がいい。ただ、前走と比較して、今日の方が歩様がスムーズ。好発も、鞍上に行く気がなく、中段から。序盤はインに居て、行き振りは少し怪しいかに見えたのだが、3〜4角中間から外へ持ち出し、今日はここの手応えが抜群。ミトノオーが突き放して、直線入口では5馬身以上のリードが有ったが、右手前のままでも、1頭だけ違う脚で差し切った。完勝。去年は殿負けだったが、別馬になった。ただ、今日はゲートが決まった利が大きい。好発切れずとも、もう少し序盤から流れに乗れると楽。

ミトノオー

パシュファイヤー。+16kg。デビュー以来、最高体重。前走名古屋戦の方が馬は良かった。今日は明らかに余裕が有る。それでも、気配はいい。ゲートは少しアオり気味だったが、それでも出脚は速く、少し押した程度でハナ。1000m通過60.9秒は少し速い程度だが、このペースを守って、後続を離して行く形。3角時点で既に4馬身近いリードが有り、更に突き放し、ラスト200mでも5馬身のリードが有ったが、ヴァルツァーシャルの決め手が違った。自分の形に持ち込めば、これ位の力は有るが、交流戦だと向正面から後続が追い上げて来るケースが多く、中々力が出し切れない。

ペイシャエス

前後肢にバンテージ。前走と比較して、少し煩い程度で、大きくは変わらず。脚が長い馬で、スッキリと見せていた。出脚も有る方だが、ミトノオーの先行策に乗る形で2番手。ただ、ミトノオーが飛ばして行ったが、それには付いて行かず、前述した様にミトノオーに大逃げさせる形。それでも追い掛ける脚が有れば良かったが、3〜4角でズブさを出して、ステッキが飛んでも中々進んでいかなかった。トビが大きく、その割にはバテていないのだが、3着確保がやっとだった。実力的に交流戦が主戦場となる馬では有るが、基本的には広いコースの方がいい。

キタノヴィジョン

前肢にバンテージ。-6kg。数字分だけスッキリ。迫力では500kgを超える馬に分が有るが、馬体にメリハリが利いて、良く出来ていた。一完歩目に躓いて、出脚が鈍り後方から。道中の行き振りは悪くない様に見えた。基本的にはヴァルツァーシャルをマークしていたが、3〜4角中間でヴァルツァーシャルが外へ行った際は付いて行かず、直線迄待って進路を探す形。一発を狙って、展開はハマったが、それでこの程度かという気もしないでもない。昨年の3着馬で中山は相性いいが、勝ち切る迄はなさそう。

ラインオブソウル

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+14kg。今日もキビキビ歩けていたが、流石にこれだと少し太い気もしないでもない。出脚がそこ迄速くなく、押して好位直後。道中は内目を回っていたが、これもキタノヴィジョン同様、勝負どころの手応えが案外。直線は雪崩れ込んだだけだった。初重賞挑戦だったが、現状では少し差が有る。絞れてくればまた違うのかも知れないが...。

ブライアンセンス

前後肢にバンテージ。前走京都戦とほぼ変わらず。これだと少し太い。ダート馬にしてはトモが甘い歩様もマイナス。ゲートで安目を売って、ミトノオーとペイシャエスに叩かれる形にはなったが、その2頭が行き切ってくれて好位から。ただ、道中は内へモタれる場面も有り、直線も全く伸びず。鍛錬が足りないやられ方。馬が若い。

第72回日経賞(GⅡ)

シュトルーヴェ

遮眼革。クビが長く、スッキリと見せるタイプ。首を上下に振って少し煩いのは前走東京戦と同様。1馬身出負け。そのまま後方から。マテンロウレオが大逃げする展開となったが、マテンロウレオのラップが1000m通過が60秒ジャストだからそこ迄速くない。それ故に3角からのロングスパート戦となり、となると後方で脚を矯めていた利が大きかった。3〜4角で少し手応えが渋い様にも見えたが、直線に向いてからは他馬と接触しながらも、狭いところをコジ開けて来た。一瞬の決め手が違った形。展開も向いたが、間違っても中山向きではなく、それだけに能力は高いといえる。古くは阪神競馬場新装記念のダイユウサク、東京競馬場リニューアル記念のタップダンスシチー等、単発の記念競走の覇者はその後に出世するケースが多いが、ジャパンカップ2023年ロンジンワールドベストレース受賞記念を制したこの馬もその可能性は高い。

クロミナンス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。完歩の小さい歩様は毎度。皮膚を薄く見せて、デキ自体はいい。ゲート五分。出たなりで中段から。序盤は少し掛かり気味だった影響か、1周目のホームで1列下げてボッケリーニを壁にして折り合いを付ける形。後述するが、そのボッケリーニが早仕掛けした際に付いて行かず、ワンテンポ待ってから外を追い掛ける形。これもコーナーの手応えは怪しかったが、その点は前走も一緒。とはいえ、本来はこれが正攻法。直線に向いてから、最後迄諦めずにジリジリ伸びていたが、シュトルーヴェの決め手を称える外ない。ロードカナロア産駒だが、距離をこなせるのがいい。ただ、これも東京の方が良さそう。

マイネルウィルトス

シープスキンノーズバンド。-4kg。もうひと絞り有ってもいいが、歩様に勢いが有って、活気充分。駐立は問題なかったが、ゲートが微妙に分が悪く、後方から。こういった馬場は苦にしないタイプで、道中は内目を追走。基本的にはボッケリーニを意識しながら、早目早目に追い掛けて行く形。新潟でも強い様ないい脚が長く使えるタイプで、この騎乗で正解。4角の手応えは上位2頭より良かった割に、スパッとは切れず、坂を上り切る直前に上位2頭に交わされていたが、それでもそこから渋太く盛り返して3着浮上。この馬らしい競馬。ゲート等、細かな改善点は有っても堅実。8歳馬がGⅡでちゃんと賞金を咥えて来れる点が何より。

マテンロウレオ

-8kg。馬に緩んだところがなく、良く出来ていた。気配も、首でリズムを取って、最近になく良かった。ゲートが速い方ではなかったが、戦前からの決め打ちだったか、押してハナ。徹底先行タイプが不在で、誰も鈴を付けに行かず、大逃げの形。ただ、この馬自身もコーナーで外へ逃げ影で、少し力んでいた様にも見えた。他馬が無理せず、大逃げになったのはその影響も有るだろう。向こう正面に入って折り合いは付いたが、後続の追い上げも早目早目となり、苦しい展開になってしまった。逆にいえば、それで0.2秒差の4着は良く踏ん張っている。ハマればGⅠも勝てる馬。海外遠征で一発有りそう。

ボッケリーニ

元々ノンビリと歩くタイプ。馬の見た目も前走と変わらない。硬ささえなければ、力は出せる馬。好発。出たなりで好位。競馬も上手いタイプで、道中の折り合いは全く問題なく追走。ただ、マテンロウレオが大逃げの形となり、それを向正面でアドマイヤハレーが追い掛けたことで、なまじ競馬が上手いだけに付いて行かざるを得ない。4角の手応えはそこ迄悪くなかったが、結果的にこれで最後の脚が苦しくなった。乗り方が変われば結果も違っただろうが、良くいえば責任感を持って乗られた結果。鞍上は責められない。

第71回毎日杯(GⅢ)

メイショウタバル

ドッシリと見せて、馬体は迫力充分。ただ、良くも悪くも動きが柔らかい。柔らかいこと自体はいいことだが、芯が入っていない様にも見える。好発。出脚はノーブルロジャーの方が少し余裕が有る様にも見えたが、主張してハナへ。1000m通過59.6秒は今日の馬場なら平均ペースだが、逃げていても良過ぎる位の行き振り。内回りとの合流地点で後続を一気に突き放し、あとは独走。終わってみれば6馬身差の快勝だった。直線に向いて直ぐの脚が矢鱈速かった。内ラチ1頭分だけが良かったとの話だが、1分46秒0の時計も馬場状態を考慮すれば優秀。ただ、明らかに気の勝ったタイプで、ゴールドシップ産駒らしく、アテにし辛いのはネック。

ノーブルロジャー

-6kg。前走京都戦は全体に重目に映っただけに、絞れたのはいい傾向。歩様の甘さも幾らかしっかりして来た。ゲート五分も、出脚は速く、一瞬はハナにも行ける勢いだったが、メイショウタバルが主張して2番手に控える形。こちらは最内を嫌って、メイショウタバルより1馬身外を追走する形。道中の手応えからメイショウタバルの方が明らかに良かった。直線は馬場4分どころ迄、持ち出し、前とは離れる一方。内をスクったベラジオボンドにも一旦は前に出られる有様だったが、何とか2着は死守。重馬場適性はあまりなさそうだが、能力は高い。東京戦へ向かうとのことだが、まだ完成度が低く、些か厳しい様に思えるが...。

ベラジオボンド

+2kg。数字は前走東京戦と大差ないが、少し腹回りがボテッと映った。歩様にブレがなく、馬体の迫力を含めて、いい馬なのは確かだが...。今日は五分の発馬。出脚も悪くなかったが、無理せず中段。基本的にはノーブルロジャーを前に置く形。道中の手応えは悪くない様に見えた。直線に向いてノーブルロジャーが外へ行ったことで、その内から。坂下辺りでは一旦前に出ているが、そこから坂が上れず、寸前のところで3着に。賞金が加算したかった一戦で、痛恨のクビ差。デビューから全て1800mを使われている馬だが、良馬場なら未だしも、こういった馬場だと距離が長い様な負け方。競馬は上手く、500万は楽勝級だろうが。

ファーヴェント

スッキリと見せて、垢抜けた馬体。2歳時と比較すれば非力な印象も大分なくなったが、如何せんイレ込みがキツい。ゲートも悪かったが、出てからの進みも悪く、後方から。こちらは最初から外。3角過ぎからジワッと進出して、4角の手応えも鞍上の話程、悪くなさそうで、直線に向いた段階ではノーブルロジャーに対し、3馬身程の差。充分勝負圏内だったが、いざ追ってフラフラ。下見は大分良くなっているのだが、まだ馬が若い。実戦面で気性的な問題はないのだが、イレ込みが直らないと本当に良くならないのかも。

スマートワイス

前後肢にバンテージ。全体に緩いことも有るが、まだ全体に子供っぽい身体付き。歩様にも甘さが残る。ゲート五分。出脚も余裕が有り、ジワッと好位。道中は流れに乗れていたが、4角は少し置かれ気味にも見えた。位置取りが下がった分、直線は後方に居たファーヴェントとの併せ馬になったが、追ってジリジリ。前走京都戦で外へモタれていたことを考えれば、まだマシなのだが...。これも暫く掛かりそう。現状だと500万も厳しい。

サトノシュトラーセ

+10kg。増えている分、前走小倉戦の方がキリッと見せていたが、垢抜けた馬体。歩様も問題ない。ゲートは出ているが、外枠だけに無理せず後方から。それでも少し行きたがる場面は有った。3角辺りが少し窮屈だったことも有るが、宥めている間に番手が更に下がり、自然と内目へ寄せる形になり、4角を内目で回って直線だけ外へ。掲示板にも載れなっただけに高い評価はし辛いが、最後迄ジリジリとは伸びていた。堅実は堅実。良馬場で改めて。

ニュージーズ

首の長い馬で、どうしても非力に見えるのだが、それを差し引いてもまだ馬が若い。新馬の中山戦からも特に良くなった印象はない。ゲートは出たが、直ぐ内のサトノシュトラーセが控えて、一緒に控える形で後方から。大外枠だったが、ファーヴェントが外に居て、これもサトノシュトラーセと一緒で、3角は少し窮屈になる場面。直線に向いてからもサトノシュトラーセとナイトスラッガーの間で狭くなって、そこで競馬を止めてしまった。1戦1勝の馬には疲れる展開になっただろう。今日は参考外。