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今月の表紙の筆蹟は、山田章博さん。

波 2024年4月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2024/03/27

発売日 2024/03/27
JANコード 4910068230447
定価 100円(税込)
「波」はお近くの書店からもご注文できます。
筒井康隆/キサラギ君 シリーズ第14回
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第79回
山田章博『「十二国記」アニメ設定画集』
小野不由美/『「十二国記」アニメ設定画集』刊行によせて

ガブリエル・ガルシア=マルケス、旦 敬介 訳『出会いはいつも八月』
小池真理子/グラジオラスの花束と共に
【矢部太郎『プレゼントでできている』刊行記念】
岸田 繁/モノより尊い“プレゼント”
[対談]矢部太郎×近内悠太/お金では買えないプレゼントって?
【伊良刹那『海を覗く』刊行記念】
石井遊佳/〈影響〉という名の翼
東出昌大/波のように迫る絢爛な言葉たち
【柚木麻子『あいにくあんたのためじゃない』刊行記念】
[鼎談]柚木麻子×chelmico/実話のタネが芽吹いたら

北村 薫『不思議な時計 本の小説』
萩原朔美/終わりなき探究の旅

ふかわりょう『いいひと、辞めました』
羽田圭介/失敗に至るかもしれない旅を

青木冨貴子『アローン・アゲイン―最愛の夫ピート・ハミルをなくして―』
下重暁子/もがく。ふたり暮らしの、その先で

服部正策『奄美でハブを40年研究してきました。』
ミロコマチコ/奄美で生きる、そうなんだからそうなんだ

三浦 篤『大人のための印象派講座』
野崎 歓/印象派と新たに出会うために

大木 毅『決断の太平洋戦史―「指揮統帥文化」からみた軍人たち―』(新潮選書)
戸部良一/比較史的視点で描かれた日本軍人の「独創性」欠如

中沢新一『精神の考古学』
[対談]細野晴臣×中沢新一/四〇年という時間を経て、今伝えるべきこと
【特別エッセイ】
南 綾子『婚活1000本ノック』
南 綾子/このドラマの主人公はわたし……なのか?
【新連載】
中村うさぎ/老後破産の女王
【私の好きな新潮文庫】
荻田泰永/冒険家が考える三つの自然との向き合い方
 須川邦彦『無人島に生きる十六人
 沢木耕太郎『
 深沢七郎『楢山節考
【今月の新潮文庫】
エドワード・アンダースン、矢口 誠 訳『夜の人々』
川本三郎/大恐慌時代の追いつめられた青春
【コラム】
太田和彦『大人の居酒屋旅』(新潮新書)
太田和彦/齢七十八、報恩全国居酒屋巡礼は今日も続く

三宅香帆/物語のふちでおしゃべり 第25回

三枝昴之・小澤 實/掌のうた

崎山蒼志/ふと、新世界と繋がって 第19回

[とんぼの本]編集室だより
【連載】
椎名 誠/こんな友だちがいた 第4回
高嶋政伸/おつむの良い子は長居しない 第12回
近藤ようこ 原作・梨木香歩/家守綺譚 第19回
梨木香歩/猫ヤナギ芽ぶく 第13回
エリイ(Chim↑Pom from Smappa!Group)/生時記 第20回
橋本 直(銀シャリ)/細かいところが気になりすぎて 最終回
杏/杏のパリ細うで繁盛記 第3回
坪木和久/天気のからくり 第8回
川本三郎/荷風の昭和 第71回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、山田章博さん。

◎「波」同様、〈出版社PR誌〉である「青春と読書」(集英社)の楽しみは四方田犬彦さんの連載「わたしの神聖なる女友だち」。最終回は女優矢代朝子さんで、矢代さんが書いた加賀乙彦さんへの追悼文(「群像」)も慌てて読み、襟を正す思いがしました。大体芸の世界には筆の立つ方が多く、「一冊の本」(朝日新聞出版)の太田光さん「芸人人語」も好連載。3月号では「セクシー田中さん」について、原作者のブログを読んで、原作を読み、ドラマを観て、「ドラマは原作にかなり忠実で、どちらも素晴らしい表現物である」と言う太田さんのぐいぐい思考を深めていくさまが感動的。
◎『古川ロッパ昭和日記』の推薦文を森繁久彌が書いていて(この師弟とも名文家)、曰く「師を始め十名近くが柳橋の料亭にお招ばれしたが、私がどこへ坐ろうか迷って、/『先生、どこへ坐ればいゝでしょうか?』/『どこへでも坐れ、お前が坐ったところが下座だ』」。これは談志師偏愛の挿話エピソードで、よく喋ったり書いたりしていました。家元始め立川流も文章家が多いのですが、一廉の芸人ならいい文章を書けて当然なのか、家元とソリが合わなさそうな小三治師にも『落語家論』等、小骨の多い名文多数。
◎実はここまでが枕、芸界の方の最新名文としてヒコロヒーさんの短篇集『黙って喋って』を紹介するのが目的でしたが、ああ紙幅がない。例えば中の一篇「「覚えてないならいいんだよ」」は――漱石『三四郎』冒頭、三四郎が九州から上京する際、名古屋で奇妙な女と一夜を共にしたが手も触れない。翌朝別れ際に女は「あなたは余っ程度胸のない方ですね」と笑う――あの挿話の鮮烈な現代版。やるせない恋の発端や行末を何とも魅力的な風情で語る全十八篇、快作!
▽次号の刊行は四月三十日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。