Paranoiacな日々
2005/08/11

*長い休息でした。何も書けなかったのよ。

*今日の朝日新聞社説「61年目の出発 ホリエモンの予言」が面白かったので、ちょっと復活。
 あと、選挙についても。

朝日新聞 社説 08月11日付
■61年目の出発 ホリエモンの予言

 戦後を告げたのはラジオである。60年前の8月、昭和天皇の声で国民は敗戦を知った。

 ラジオの役割はテレビの登場で小さくなった。広告費で見ると、テレビ、新聞、雑誌に次ぐ4位という時代が続いた。

 昨年、この順位に異変が起きる。8年間で113倍に急増したネットの広告費に、ラジオは抜かれたのだ。

(以下略)

*社説では『米国で話題になった物語「EPIC 2014」は、こんな近未来を描く』として、情報の洪水に呑み込まれ漂流する市民、という絵を強調する。

長野 弘子/dSb :: digi-squad*blog
January 14, 2005 「EPIC 2014」日本語訳

 話題になっているフラッシュムービー「EPIC 2014」日本語訳をしてみた。映像と一緒に観てほしい。このムービー、クリエイティブ・コモンズのライセンスなので、誰かフラッシュに字幕をつけてくれる人がいれば、私の翻訳を使ってもらっても結構です。

 なんとも古い話題であるわけですが、執筆子は今初めて知ったので、仕方がない。
 この"EPIC 2014"について、少し思ったことを。
 まだ見ていない方は、日本語訳だけでも見て頂きたい。
 また、このエピソードに対する論考などは全く見ていないので、見当外れのことを言ったり、既に論じ尽くされていることを言うかもしれないけれど、誰も気にしないしどうでもいいや。

 マスメディアが独占する「情報」を市民の手に。というメッセージは、よくよく考えたらとても共産主義革命的なイメージを持っていると思う。
 ブルジョワジーが独占する富をプロレタリアートの手に取り戻せ、というわけだ。
 現実の共産主義はその理想の高さゆえに失敗し、ある独占者から別の独占者に富を移動しただけで、市民の前には凍土、その手には鎚と鎌だけ、ということになったのだけれど。
 EPIC 2014に戻ると、そのストーリーの上で描かれる「情報を独占する共産党」は、AmazonGoogleが合併して出来上がったGooglezonという架空の組織。
 革命は、武力によらず、流血も(少なくとも表立っては)なく、単なる裁判結果として提示され、私たちの評議会は2014年3月9日(日曜日)に公開された。
 聞け万国の労働者、我々の世界へようこそ。

 EPIC 2014の描く「未来」というのは、とても新しい雰囲気を持ちながら、実はなにひとつ新しくない物語だと思う。
 実際に、マスメディアかが独占する「情報を発信する」という特権を、ネットワークは軽々と打ち砕いた。
 blogは、既存のメディアが伝えない、しかし貴重な情報をいくらでも(しかもタダで)教えてくれる。
 Googleで検索すると、どんな情報だって引き出せる気がする。
 Amazon.comにアクセスすると何もかも買えるし、こっちの好みに合わせてお薦め商品を提示してくれる。
 次の予想は?
 わりと、想像しやすい未来だと思う。
 もちろんそれを、リアリティのある形で提示したと言うのは、すごいことなんだけどね。

 別の方向から。
 Newsbotstar、Googlezon、そしてシステム"EPIC"の提示する、情報を送り出す仕組みは、それほど目新しいものではない、というか古典に分類される思想によるものと思う。
 つまり「その人物の情報の断片を無数に集め、系統立てて分類し分析することで、その人物のコピーを作り出すことが可能になる」というもの。
 そして、人は「好む情報を与えられ続ければ、それで満足する」という空想。

 パワフルな機械と仕組みとがあれば、無数の情報の断片から、ある人物のコピーを作ることは可能かもしれない。完全なコピーを必要としていないのだから、満足できる程の精度で十分だろう。
 そして人は、充足していれば、確かに満足する。
 結局は、EPICのシステムは現在のマスメディアの手法をより高度に、複雑に、精密にしただけのものなのだな。

 でも、この「満足感」は、結局は「EPICの提供する満足」でしかない。
 与えられる「満足感」だけでは「満足」しないのが人の常で、だから人は現状のマスメディアに対して不満をぶつけているし、そのためにネットワークと言う地平で情報を送受信しているのだから、EPICに満足しない人は必ず存在する。
 だとすれば、システムEPICから外れた場所にも人は集まるし、それは今となにも変わらない。

 長々と書いちゃったけど、結論として
「それほど目新しいわけでもないけど、それなりにリアリティはあるし既存権力への警句っぽく見えるから衝撃度はある」
というくらいでしょうか。
 R.U.R.社製のロボットが叛乱を起こし、SkyNETは審判の日を下し、メガロポリス・ヤマトのコンピュータ「ハレルヤ」は核戦争を起こし、独立記念日には宇宙人のコンピュータにPowerBookでウィルスを感染させる。
 そういう、昔っからあるSFの、ちょっとした変形、って感じかな。

 で、そういうお話に朝日新聞なんかが飛びつき、社説なんか書いちゃう、ということは。
 この物語の衝撃度が、既存のメディアにとっては大きいから、なんでしょう。
 なんたって「無謬機関・大朝日」だからな。
 中立公正は報道機関自身が決定すると公言して憚らない(今年1月13日の、NHK問題についての社説で本当にそう言った)し、今日の社説では「情報を発掘し、真偽を見分けるのは、報道の専門集団たる我々だ」と言っている。
 報道機関は、情報を独占し、通信手段を独占し、世論を操作して「第四の権力」を気取っているけれど、そこに利権や欲得やその他がぶら下がり、情報が捻じ曲げられているのは事実。
 そんな報道機関の力を削ぐかもしれない未来には、過剰反応も致し方ない、でしょうな。

 EPIC 2014のリアリティと嘘臭さとは「そんなシステムは産まれるだろうけれど、人はそれのみを満足して受け取り、他の何物をも必要としなくなるなんてことはない」ということ。
 だから、このシステムが産まれても朝日新聞やNYTがなくなることはないし、その必要性は(いくらか減るだろうけれど)ちゃんと存在する。
 もちろん、既存のメディアの既得権益は、大きく侵されるでしょう。
 だからこそ朝日新聞は『そんな社会はごめんだ』と言うのだけれど、その姿は、利権にぶら下がり既得権益の確保に汲々とする、郵政民営化に反対する旧態依然とした政治屋の姿に重なる。
 人は所詮その程度にしか現実を認識できない、と言ってしまえば、ペシミスティックに過ぎるか。

*で、その郵政民営化について。
 そりゃもう、既存のマスメディアは「特定の団体に不利になるような情報を発信しない」という素晴しい「社会の羅針盤」っぷりを晒して、この選挙を「小泉政権へのNO!」なんて雰囲気を醸成しようと必死になっていますが。
 もっと深く、もっと重要で、もっと面白い情報は、個人のblogがタダで発信しています。
 ええ、そりゃもう。
 この現実を見てしまうと、EPIC 2014の世界のリアリティが質量を持った現実であるかのように感じられるくらいです。

gori/Irregular Expression
August 10, 2005 民主党よ郵政民営化から逃げるな!

小泉総理の「郵政解散」に対し、民主党岡田代表が言う争点は「ムダづかいをなくす」だって。なんか小学生の夏休みの目標じゃないんだからさ。

それにしても、民主党が掲げる「ムダづかいをなくす」は基本的に郵政民営化ともリンクする事で相反する争点にならない。
自民党は「郵政民営化を起点にして公務員削減をはじめとした支出削減を行い小さな政府の流れを進める」という事で結局「ムダづかいをなくす」って言ってるのと同じだろ?民主党は郵政民営化の意味が分かってないんじゃないか?しっかりしてくれよ、と。

今回小泉さんが「郵政民営化」を選挙の争点にした事はとても重要な意味がある。

徳保隆夫/趣味のWebデザイン
備忘録2005年08月10日 なぜ、郵政公社を民営化するべきなのか?

 なぜ、郵政公社を民営化するべきなのか? 素人有権者の一人として考えた内容をまとめました。

 こういう評を読んじゃうと、新聞記事ってのがどれ程「真偽も定かでない、煽情的な内容のゴシップ記事」であるか、判っちゃうよなあ。
 もちろん、これが唯一真実、とは言わないけど。
 でも、とても現実的に感じる。

 なにが一番現実的かってと、つまり「公務員を減らさないと遺憾」という事実について。
 節約をしよう、と思ったときに何を削るべきか。
 支出のうち一番大きい割合のところを削る、というのが、一番効率的で当然の方法です。
 公務員の給料が、支出の中で一番大きいらしいので、そこから削っていくというのは、正しいわな。

 実は私は、結構「共産主義的」な政治志向がある。
 いわゆる「大きい政府」の方が望ましい場合もある、と思うし、リストラしたらおっけいという考えにあまり積極的に賛成は出来ない。
 それでも、今の日本を立て直すのには何らかの改革が必要だと思うし、だから、小泉首相の改革は方向として正しいと思うのです。

*でわ。

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