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2019年3月4日

<ソウナンですか?@アニメ化おめ>

唐突ですが、遭難しかけました(挨拶)
久々の更新だというのに、少々不穏な出だしでごめんなさい。

で、本題なんですが、はい、遭難しかけました。

ここ3ヵ月以内ならいつ調査に行ってもいいような仕事上の用事が
宮崎市(宮崎県)に出来まして、だったら天候の良い週末と調査日を繋げて、
市内に近い適当な山にでも登ってこようかなと思ったのが事のはじまりです。
九州百名山に選ばれている山の中から市内にそこそこ近い「花切山(669m)」
という山をチョイスしたのですが、今思えば、登り始めから確かに幾つかの
不安要素はありました。


■不安点その1「天気」

冒頭にも書いたようにね。
三日前に天気予報見て、わざわざ天候良さげな週末を選んだにもかかわらず、
三日前・晴れのち曇り → 二日前・曇り時々晴れ → 前日・ずっと曇り、
でもって、当日の朝が今にも降り出しそうな空模様、って感じ悪くないすか?
チェンジ繰り返したらブスい方向へ逆張りしだしたデリヘル店のプチ悪意程度
にはよくない流れを感じるわー。狙い撃った筈の日程でこの外れ予報は流石に
テンション落ちるとしか。


■不安点その2「行政が登ってほしくなさそげ」

今にもフロントガラスにポツポツきそうな車中にて憮然ツラしつつ、
まあとりあえず登山口までは…と来てみたら、いきなり出だしがコレモンで、
テンション更にダダ下がり。



これ映画「セブン」の冒頭や重めの刑事ドラマで見たことある奴やん。
てかメチャメチャ黄色テープやん。もうあからさまに「現場」やん。
この時点で「撤退」の2文字がふと頭をよぎりましたが、登山ガイド本の
最新版でも紹介されているコースなわけだし、そこまで荒れてはいないだろうと、
ここは「押し」を選択。


■不安点その3「山も登ってほしくなさそげ」

うん、そしたらね。かなり荒れてる感じなわけですよ、これがまた。



確かにガイド本にファミリー向けの山とは書かれていなかったけど、
「低山ながら深山の趣を持つ緑濃い山」とか紹介されちゃってたけど、
その売りポイントである「深山の趣」、このコンディションだと悪い方向に
いっちゃってない?ねえ大丈夫?



しかもこの山、渡渉ポイントがあるんですよね。
もし本降りにでもなろうもんなら、増水からの立ち往生で低体温死とか、
これ遭難あるあるの奴だわ、スレで「低山でパンパカしたアホいたこれ」
とか書かれちゃう奴だわ。やだーもうー

そしてこの登山道、先へ進むにつれ、荒れている・渡渉がある、以外に、
道標のテープが少ない・想定以上に急登である、などのその他不安点も
あることが徐々に分かってきました。

加えて、空模様は先程のポツポツからシトシトちょい上レベルの本降りへと
変わりつつあり、これら総合状況を鑑みた己のテンションは、今自分が何で
この場に存在しているのか分からない自己レゾンデートル消失の危機にまで
落ち込んでいることを如実に感じつつあり…

この好ましくない状況を打開すべく、考えた結果。


■ぶちとばしていく。



ぶちとばしていくことにしました。

登山に詳しくない一般の方にも分かりやすく書くと「勢いに走る」という奴です。
この場の状況に照らしてより正確にいうなら「モーレツに急ぐ」ということです。
とにかく増水による立ち往生が心配だから、急がざるをえない。

よーし、ぶちとばしていくぜえええ! バーチャルさんはヒナ押しだぜえええ!


■ともかく山頂には着いた。



はい、特に迷うこともなく、ほぼ眺望ゼロ・中央に三角点がポツンと
置いてあるだけの地味な山頂に、登り始めから約2時間で無事到着しました。
まあ達成感はなくもなかったけど、今はそれの倍以上に不安感の方が大きすぎて…
だって雨、メッチャ降ってるんだもん。川が…増水が…
てことで、早々に下山することに。



さて、行きはなるべく早く山頂に着きたかったもので、距離が「滝コース」より
少し短い「尾根コース」を通ってきましたが、はたして帰りはどうするか。
増水でよりダイナミックな流れになってそうな渓谷沿いを楽しむべく「滝コース」
を辿るか、とにかく安全第一を念頭に行きと同じ「尾根コース」を戻るか。

考えた結果。


■ぶちとばしていく。

ぶちとばしていくことにしました。
登山に詳しくない一般の方にも分かりやすく書くと「アゲていく」という奴です。
この場の状況に照らしてより正確にいうなら「モーレツに急ぐ」ということです。
あ、これさっき説明しましたね。同じことを二度言うか、こんにちわ老害です。

そして急いでいく以上、コースは行きと同じ「尾根コース」を戻ることにしました。
急ぐということは、それだけ周囲に気を配れなくなる=道迷いの危険性が高まる、
ということでもありますが、それを防ぐためにわざわざ行きと同じ道を馬鹿みたいに
忠実に戻ることにしたわけだからね。これで迷う無能おる?いないっしょ、流石に。


■うわっ… 私の知能低すぎ…?



いたわ

無能ここにおった

しかもコイツ、下山30分で迷いおった。

その事実を信じたくなくて、遮二無二ぶちとばしてきたけど、登山道が登山道と
しての機能を完全に失い始めたんで、こりゃいかんと思って、GPS連動の登山
補助アプリ「YAMAP」起動して確認してみたらね。



なんか自分、明らかにいちゃいけない場所にいるんですけど?
本来のルートたる尾根道をもろにはずして、谷筋に落ちこんじゃってるんですけど?

だがしかし、こういった非常事態の為に我々はいつも登山届を… 出してないわー 
低山ということを甘く見すぎていた慢心、確かにあったかもだわー

あ、でも今日この山に登ることを誰かしらに… 連絡してないわー
登山直前、ツイートしようとして電波ギリだったんで、めんどくなってやめてたわー

ま、まあ最悪迷いまくって夜になっちゃたとしても、ここにちゃんとヘッドランプが…
持ってきてないわー。家を出る前、電池を変えようとしてそのまま置いてきちゃってたー

はい、登山やっちゃいけない三冠王、息をするようなお手軽さで達成。全盛期の落合か。
そしてこんなにも絵に描いたような遭難ある?いや、ない! と言ってくれ誰か…!
今、世界一「山をなめるなー!」って言われざま殴られる役にマッチしてる自信あるわ。

これでもしパンパカ(=往生)でもしようもんなら、登山雑誌「山と渓谷」辺りに、
「実際1000m以下の低山で迷う奴おるプププー」的な彼のあさはかで山を甘く見た
態度がこの悲惨な結末を生んだのだ、みたいなことをお堅い文章で書かれちゃうんでしょ?

イヤー!絶対イヤー!

というような事柄が脳内を一気に駆け巡った末、私は何故か「滝コース」の方向を
目指して道なき山中を再び、ぶちとばしはじめたのでした。


■遭難しかけるとこうなる・その1「あせる」

いやいや、とりま一旦落ち着けよ、って思うでしょ?
「遭難した時はまず落ち着くこと」、これ初心者向け登山ガイド本にも書いてある
基本中の基本だから、って思うでしょ?

それ書いてる奴、絶対遭難したこと、な・い・か・ら!

そういうことじゃないんじゃよー、落ち着けない状態だから遭難なんじゃよー
道迷いを自覚しちゃった時点でマジ頭真っ白なんじゃよー。
あせりまくってるから、まず普段はとらないような突拍子もない行動に走って
しまいがちなんじゃよー

その心理状態が、この私をして
 ・雨もウザいし、とにかく早く帰りたい
 ・あ、現時点の場所からだと、滝コースの登山道が近くね?
 ・よし、ゴー!ぶちとばして…(以下略)
というような、とにかくバナナを取りたくて仕方ないサルのごとき短絡的思考に
走らしめた、としか今は言えません。フ、この私が、まさかな…(事後の余裕)。

その結果、どうやりくりしても降りられなさそうな崖に行きあたって立ち往生、
今まで歩いてきた道のりが全て無駄だったどころか、それまで下ってきた分を
今度は登り返さなければいけないという致命的ミス&ロスに気付いた時。

脳内も実際の現実も、もう完全に「ショーシャンク」状態でした。



その上ね、これまで下ってきたルートをただ単純に戻ることはもう出来ないの。
急な斜面を滑るように下ることは出来ても、それを登り返すことはほぼ無理で、
元いた場所に戻るためには、九十九折的な迂回に次ぐ迂回を繰り返さなくちゃ
いけないの。マジなんなのこの苦行?

こうしてますます私はあせりまくっていったのでした。


■遭難しかけるとこうなる・その2「疲れる」

でもってね、あせると、とにかく疲れるわけですよ。

なに当たり前のこと言ってんだオメー、と突っ込まれそうですが、
これただの疲れじゃなく、あせりからくる疲れも加わってるから、ホントその
影響が半端ないわけです。
実際、歩く道筋がほぼ確定している場合と、行くあてがまるで見えない場合とで
疲労度の比較をした場合、少な目に見積もっても後者の方が2倍疲れるんでは
ないかと、今体験を通して如実に思いました。

いやだって普段ならまず滑らないような場所で、ズルズルいきまくったからね。
雨で山全体の土壌が緩んでいるというのも勿論あるけど、それにしたってバランスを
崩す回数が通常時に比べて多すぎたからね。
ホントなんてことない斜面で滑るたび、やりたくもないギニュー特戦隊のポーズを
何度とらされたことか。因みにリクームの頻度多め。こんなにも役に立たない気付きある?



…からの、どうにか耐えたと思って一歩踏みだした途端に、またズルッといかれる。
こんなことが何度も続いてりゃ、そらイライラもつのりますわ。
特に登山ズボンの奴ね。クソ濡れて常にずり落ちてくるのに苛立ちすぎたあまり、
「ラッパー気取りか!」てセルフ突っ込みした途端、また斜面をずり落ちた時は
とうとう沸点を突き抜けて、素で「絶対に許さない!」って叫んじゃいました。

誰を? 天気予報士だ。許さんよお前。

あーあ、とうとう人のせいにしはじめちゃった。
ホントこういう時こそ、本当の人格が出ますよね。
自分、多人数で何か危機的状況に陥った時、まず犯人捜しを始めるタイプの奴でした。

つまり遭難すると、本当の自分をイヤでも知ることが出来る特典があります。
…が、こんなに役に立たない豆知識もそうはないすね。自分も出来れば一生知りたく
なかったわ。

あと山中一人でなにやってんだ。


■遭難しかけるとこうなる・その3「動けなくなる」

そんなこんなで、先が見えない感、行くあてのない感、を心中に抱えたまま、
滑ったり転んだり、その度に「アーモウ!」を繰り返しているうち、あら不思議。

動けなくなっていました

疲れたからじゃあ休もう的な自らの意思が介在する流れじゃなくて、ホント突然
ストンって腰から砕け落ちる感じで。でもそこは斜面なので、そのままゴロゴロ
いって、そこそこ平らなところでようやく止まって、そこでもう立ち上がれなくなる。

今日は〜、迷う、滑る、転ぶ、そして、動けなくなる〜(ピクミンな感じで歌おう)

もうね、ガイド本指すところの「深山の趣」フル満喫。
こんなにも深山を満喫してる奴、そうそういないわー。
ただ非常に残念ながら、この趣、二度と味わいたくなさすぎる…!

……………………………

あの、今考えるとこの「動けなくなる」が良かったんじゃないかと思います。
カミーユに仕上げられる直前のシロッコばりに動けなくなったもんだから、
考える、いや、考えさせられる時間が半強制的に出来たわけです。
そのおかげで、向かいたい方向はあっちだから、この斜面を登ってこういけば、
そうなって、なんとか… みたいな頭の整理をすることが可能になりました。
加えてザックの中に菓子パン系の甘いものが残っていたのも大きかった。
これ食った数分後「あ、少しは動けるかも」って感じれるくらいのホイミ級
効果は確かにありましたからね。

とはいえ、歩くまでは可能になったものの、眼前の急な斜面を登っていけるまで
回復したとは到底思えなくて、さあどうすんべ、と考えた結果。


■原始への回帰

四つん這うことにしました



両足で登れないなら両手も使う。
これでまず「両手+両足」で2倍のパワー(コーホー)、
そして地面との接地面積も増すので、その分摩擦係数も上がって滑りにくくなる筈。

傍目には斜面で行うほふく前進みたいな感じになりました。無様極まってる。
そこそこまともな状態だったら、汚れるのがイヤで絶対とらない選択肢でしたが、
既にここまで全身ドロにまみれた以上、もうそんなの全然関係ない…!

ちょっと登っては迂回し、少し滑ってまた迂回し、急斜面を避けては迂回し、
折れた木の根や藪を避けては迂回し、その都度YAMAPを見て現在位置を確認し…

……………………………

苦闘2時間、そして。



これ見た瞬間ね。ものっすご自然に「生きたー」って声が喉の奥から迸りおった。
たまのドラムの人ばりに、胆からまほろび出ましたわ。

世俗の垢を落としたくて、社会の軛から離れたくて、自然の中へ身を投じた筈なのに、
その象徴たる人工物をみて歓喜とは、愚かにも程があると思いました。あいすみません。
それでも人生は続く。続いてくれて良かった。


■今回のまとめ。

・YAMAPに感謝。(これガチ)

・ウォーズマン理論は正しい。

・あまり、ぶちとばすな。

・山をなめるな。

・でも天気予報士ゆるさんよ。

・嘘です、反省しています…

・以上。



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