2024年5月4日土曜日

The Beach Boys by The Beach Boys(Genesis Publications 2024)

 本年1月30日Melinda Wilsonが77歳で逝去された。哀悼の意を捧げる。
 2000年代以降、音楽界の伝説Brianの傍らには常にMelindaという存在があった。
 単なる伴侶やビジネスパートナーを超え、彼女は彼の音楽、人生、そして精神を支える光であり、時に影となる複雑な関係を築き上げてきたのだ。
 公私に渡ってブライアンを支え、彼の才能を開花させたMelinda。しかし、その関係は常にスムーズだったわけではない。Brianは躁うつ病などの精神疾患を抱えており、Melindaは彼の世話役や精神的な支柱となることもあった。時には、彼の気分や行動に振り回され、苦悩することもあっただろう。しかし、彼女は決して彼を見捨てず、献身的に愛情を注ぎ続けた。
 Melindaは、Brianにとってかけがえのない存在であり、彼の音楽、ビジネス、そして私生活において重要な役割を果たしてきた。彼女の献身的なサポートと深い愛情が、Brianを支え、彼の人生をより豊かに彩っている。

2024年グラミー賞でもMelindaへの弔意が捧げられた

 Melindaの死から2週間後の2月14日、ロサンゼルス郡上級裁判所へ後見申立てが行われる。申立てはBrianのパブリシストである Jean Sieversとビジネスマネージャーである Lee AnnHardの両名による申立てであった。
 Brian自身のケアにまつわる代理人や後見行為には過去様々な経緯があった代表的なものとしては以下の通りである。


1970年代後半: Stan LoveがBrianの身上監護のためにWilson家に派遣される。
後年StanはDennisに対する住居侵入等の不始末やWilson家に対する利益相反行為で放逐される。

1989年9月: Eugene Landyのコントロール下にあったBrianが、Irving Musicらを相手にSea Of Tunes売却に関する訴訟を起こす。

1990年: StanはBrianに対する後見申立てを行い、Stanの後見は認められなかったが主張の一部は裁判所で認められる。

1991年: 裁判所は、LandyとBrian間の個人的および経済的関係の切断を命じる。

1992年:

3月9日: Brianが精神的に無能力であると法廷で判断された後、Jerome Billetが後見人に任命される。

4月: Sea Of Tunesの訴訟は法廷外で和解し、Brianは1000万ドルを受け取る。

8月: MikeがBrianに対して作曲クレジットと報酬の分け前を求め公訴の提起を行う。

1994年:

12月24日: Mikeは裁判で勝訴し、Brianは500万ドルを支払い、35曲の将来の印税を折半することに同意する。

1995年:

BrianはMelindaとの婚姻後Billetを後見から解任し以後Melindaが後見行為を行う

9月: Brianは、前保佐人となったBilletをMikeとの訴訟での利益相反行為を持って1000万ドルで訴える。

Melindaの死去により後見が終了となるため、今回申立ては必要となるのは自然な流れである、肉親以外のビジネス関係の人物が後見人または​​保佐人に就任するのは一抹の不安があるが、Wilson家側としてはSNSなどを通じて今回の申立てについてはBrian、彼の7人の子供たち(Carnie及びWendyそして養子の五人)、Brianの医師等ケアに関わるスタッフとの慎重な検討と協議の末決定したことである旨主張しているので問題ないと思われる。

筆者の入手した法廷資料から伺われるのは、今回の申立ての目的はBrianに対する全ての権利のコントロールというよりは、今後も在宅ケア中心にBrianが自宅で快適に暮らしていけるための大きな配慮が感じられる。

同資料から

「Wilson氏は、自身の身体的健康、食事、衣服、または住居のための適切な世話を提供することができないため、妻であるWilson夫人が日常生活の世話をしていました。ウィルソン氏は、健康管理のために妻を代理人として指名する事前ケア指示書を持っています。しかし、ウィルソン氏の事前ケア指示書には後継代理人が指名されていませんでした。そのため、Wilson夫人の死去と事前ケア指示書に後継代理人が指名されていないことから、Wilson氏のために保護者が任命される必要があります。」



 とある、事前ケア指示書は自身が意思無能力状態や話すことができなくなった場合にのみ使用するもので、本人が希望する医療における選択肢を周りの人に知らせるための文書である。そして代理人は、本人が意思表示できない場合に、医療に関する代理決定を行うことができる。第二、第三のEugene Landyの跳梁跋扈を許さないための抑止力としては後見申立ては適切な措置と考える。Melinda死後の適切な代理人選定までの後見行為ということを信じてBrianを見守っていこう。


閑話休題と、いうか前置きが長くなってしまったが

 2024年4月刊行された本書は前年に500部限定でメンバーのサイン入りで販売されている。
普及版としての出来はというと、こちらも公式バイオ本だけあって装丁や品質のクリティも非常に高い。サイズ自体30cmx25cmx4cmで4キロ弱もありパラパラ軽く紐解くには程遠い重厚感がある。そもそも発行元のGenesis publication社はミュージシャン/バンド系の豪華本を得意としてきたので、さもありなんといった風情である。

CDと比べても圧倒的な大きさ

 本書の監修はIconic Brothers IP LLCとBrother Record両名で行われている。
 Iconicは音楽マネジメント界の大立者Irving Azoffの傘下にあるIconic Artist Groupと繋がりがある。同社はミュージシャン/バンド系の知的財産及びブランディング管理に特化した企業だ。同社は近年活発にミュージシャン/バンド系の知的財産の購入を行い、Bryan Ferry,Rod Stewart,Graham Nash,Cher,Joe Cocker,David Crosbyなど多くの顧客を持ち、同社へ知的財産や原盤権など様々な権利・ブランドの売買が行われている。我らがThe Beach Boysも顧客の1人だ、同社は2021年にBrother Recordの過半数議決権相当の株式を購入しており資本を通じてAzoffの影響下にある。Azoffは多くのレーベルの運営も行っておりその中のGiantからはBrianのソロ作「Imagination」がリリースされている。Giantには当時、今回Brianに関する後見申立を行った人物のうちの一人であるJean Sieversがおり、以降のBrianのソロ作でも積極的にサポートしていくことになる
 本書の構成は編年体で出生から時系列に時代ごとの出来事が編纂されているが編集方針としてオリジナルメンバー存命期にフォーカスしたため1980年までの事績を対象としている。


序文はBrianだ、「共同創業者」の顔を立てて
Mikeの御真影も掲載


こういったレア写真が大判で
これでもかと出てくるのが本書のいいところ


Surfer Girlの手書き歌詞は珍しい


これでもかと出てくるのは素敵じゃないか?


Brian邸のステンドグラスはもちろんあのジャケットの.....


 大半の事績や画像は既出の物で数ページおきに初出の事実などが現れ、飽きさせない内容となっている。しかし編者Howie Edelsonによる文章はビジネスライクというよりThe Beach Boysに寄り添う内容となっている。Howieは過去「Sail On Sailor」「Feel Flows」のライナーを担当しているから信頼性の点では折り紙付きだ。参考にしたテキスト群については各書のつぎはぎではなく、Alan Boysがかつて「Endless Harmony」作成時に行ったインタビュー等を基盤としている。ただし、決定的な研究書を求める御仁には期待外れかもしれない。むしろ「終活本」としての側面が強いので愛蔵版としてはふさわしい内容だ。

2024年4月29日月曜日

鈴木博文 古希記念 ライブ 「Wan-Gan King 70th Anniversary」


 今年5/19に70歳の誕生日を迎える鈴木博文(ムーンライダーズ)の古希を祝う、鈴木博文 古希記念 ライブ「Wan-Gan King 70th Anniversary」が6月1日 (土)に開催される。
 
 この記念すべきライブでは、博文氏の14thアルバム『どう?』(METROTRON NOTERON-1009/2017年)のプロデュースを手掛けた、シンガーソングライターの猪爪東風(ayU tokiO)がバンマスを務め、現ムーンライダーズのドラマーで、セッション・ドラマーや音楽プロデューサー、エンジニアとしても活躍している夏秋文尚をはじめ、カーネーションのベーシストの大田譲、同バンドの元ギタリストの鳥羽修、そしてayU tokiOのサポート・キーボーディストでシンガーソングライターのやなぎさわまちこがバンドメンバーとして参加している。
 またゲスト陣に、青山陽一、あがた森魚、emma、加藤千晶、直枝政広(カーネーション)(50音順)を迎え、彼のキャリアを総括する新旧の縁あるミュージシャンが一堂に会することでも注目されている。
 なお掲載日の時点でチケット予約は予定枚数を終了しているので、当日券について会場に事前チェックして欲しい。


鈴木博文 古希記念 ライブ 
「Wan-Gan King 70th Anniversary」
 2024年6月1日 (土) 
open 17 : 00 / start 18 : 00
新代田 FEVER

■出 演
鈴木博文
バンドメンバー : 
gt/etc 猪爪東風
ba 大田譲
gt 鳥羽修
dr 夏秋文尚
key やなぎさわまちこ
ゲスト: 青山陽一, あがた森魚, emma, 加藤千晶, 直枝政広

■チケット 前売り ¥7000 / 当日 ¥7500 +1d ¥600 (お土産付き)
■チケット取り扱い(4/6 AM10時より発売開始)

 ■問い合わせ
新代田 FEVER
03-6304-7899 


 昨年12月に紹介した、なんちゃらアイドルのカバー・アルバム『Sentimental Jukebox』のレビューでも少し触れたが、80年代にライダーズを愛聴していた筆者は、作詞面で鈴木慶一、博文兄弟が描いた唯一無二な詩世界に夢中になった。それは音楽批評文にまでおよび、10代の頃ミュージック・マガジン誌で博文氏が高評価した洋楽アルバムをレコードショップやレンタル・レコード店でチェックするのがルーティンになっていたので、筆者にとっては影響力が大きい。
 折角の機会なので、ここではそんな鈴木博文氏がソングライティングしたベストソングのプレイリストをサブスク化したので紹介する。

鈴木博文ベストソング★WebVANDA管理人選

(テキスト:ウチタカヒデ








2024年4月21日日曜日

Wink Music Service:『Fantastic Girl』


 サリー久保田と高浪慶太郎による拘りのポップ・グループ、Wink Music Service(ウインクミュージック・サービス/以降WMS)が、今年2月から隔月で7インチ・シングルを3枚リリースするが、その第2弾『Fantastic Girl』(VIVID SOUND/VSEP861)を4月24日にリリースする。カップリングはフランス・ギャルがドイツ語で歌った1968年の「Der Computer Nr.3」のカバーということで取り上げたい。
 本作ではギャルのカバーのシチュエーションからゲスト・ボーカルには、日独ハーフのモデルで13歳という若さのオーバンドルフ凜を招いているのも注目である。 
オーバンドルフ凜

 WMSについては、昨年のデビュー・シングル『ローマでチャオ/ヘンな女の子』(VSEP859/現在廃盤)を筆者(弊サイト管理人)の年間ベストソングに選出したが、第3のメンバーというべき作編曲家の岡田ユミによるアレンジが凝りに凝りまくっていて、そのサウンドも音楽研究家に注目されているのだ。 
 そもそもWMSは、ネオGSムーブメントを牽引したザ・ファントムギフトを皮切りに、近年ではSOLEILからザ・スクーターズなど数多くのバンドに参加するベーシストでプロデューサーのサリー久保田が、ピチカート・ファイヴ解散後に音楽プロデューサー兼作曲家で活動していた高波慶太郎に「極上のポップ・ミュージックを作ろう」と誘い結成されたユニットからスタートしている。ジャケット・デザインを含めたトータル・プロデュースはサリー久保田が手掛け、高浪の作曲とボーカル、マイクロスターの飯泉裕子の作詞、岡田のアレンジという4名によるサウンド・ラボと考えていいだろう。シングル楽曲ごとにボーカリストを迎えるというスタイルもデビューから崩していない。

Wink Music Service
(左から高波慶太郎、サリー久保田)

 デビュー・シングル『ローマでチャオ/ヘンな女の子』と今年2月にリリースされた『素直な悪女 c/w ラ・ブーム ~だってMY BOOM IS ME~』(VSEP860 /現在廃盤)では、コロンビア人元プロボクサーの父親と日本人の母親の間に生まれたハイティーンのモデル兼女優、タレントのアンジーひよりを迎えて制作していた。この2枚はノスタルジックなキャビンアテンダントのコスチュームを着用した彼女のジャケット・フォト効果もあり、即ソールドアウトしてしまったという超人気盤だった。
 
 そんな前作にも少し触れるが、「素直な悪女」は高浪と飯泉のオリジナル曲で、岡田によるホーン・アレンジにはフランスの巨匠ミッシェル・ルグランの「la pasionaria」(『Le Jazz Grand』収録/1979年)からの影響が強く、ルグランが作編曲した緻密で構造的なスコアを米東海岸のミュージシャンがプレイしたというヨーロピアン・ジャズの匂いがするクールでハードエッジなリズムを持つポップスだ。DJ諸兄はレコードバックに入れておくべき1曲だろう。 
 カップリングの「ラ・ブーム ~だってMY BOOM IS ME~」は、シンガーソングライターのカジヒデキがブリッジ解散後の1997年にソロでメジャー・デビューしたシングル曲で、渋谷系アーティストとして一般にもその名を知らしめたヒット曲である。セカンド・バースからサビに掛けての広範囲をXTCの「Mayor Of Simpleton」(『Oranges & Lemons』収録/1989年)からの影響を受けていた。ここでのカバー・ヴァージョンは、全編的にディスコ・ビートのダンス・ミュージックにモディファイされており、イントロにはBeckの「The New Pollution」(『Odelay』収録/1997年)のそれを引用していてマニア心をくすぐる。

『素直な悪女 c/w ラ・ブーム ~だってMY BOOM IS ME~』
/ ゲスト・ボーカル:アンジーひより

 
 ここからは本作の収録曲を解説していく。
 「Fantastic Girl」は、サリーがゲスト・ボーカルのオーバンドルフ凜をイメージして作曲し、飯泉が作詞した書き下ろしの新曲で、ソフトロックとして非常に完成度が高い。編曲クレジットはWMSと岡田の共同名義になっているので、リズムセクションはサリーを中心にヘッドアレンジしているのだろう。ゲスト・ミュージシャンでノーナ・リーヴスのギタリスト、奥田健介のインタープレイが聴きものだ。
 また岡田による上物のアレンジは、筒美京平氏追悼企画で筆者がベストソングに挙げた南沙織の「美しい誤解」(『20才まえ』/ 1973年)に通じる、ピッツィカートのシンコペーションやスラーが効いたストリングス、木管と金管が適材配置されたホーン・セクションとのコントラストが美しく、転調やモンド・パートの挿入など展開が複雑で聴き飽きさせない。ゲスト・ボーカルのオーバンドルフの幼さが残るボーカルは高浪が終始サポートしていて微笑ましく、60年代後期のソフトロックの空気さえ感じさせる。なお間奏の英語と独語のモノローグは、オーバンドルフ自身が担当していて非凡さを感じさせる。

 
Wink Music Service / Fantastic Girl - Der Computer Nr.3
2024/4/24 Release 

 カップリングの「Der Computer Nr.3」は、ユーロ・ガールポップの最高峰とされるフランス・ギャル(France Gall 本名:Isabelle Geneviève Marie Anne Gall)がドイツ語で歌った1968年作のカバーで、ドイツ人作詞家兼プロデューサーのGeorg Buschorと、彼とのコンビで多くのヒット曲を生み出した作曲家のChristian Bruhnのソングライティングによる曲だ。1968年7月4日にドイツのポピュラー・ミュージック・コンクール“Deutscher Schlager-Wettbewerb”で3位を獲得し、同国のポップス・チャートでも最高24位を記録した。歌詞のテーマはコンピューターによる恋人選びで、登録されたデータベースから相性が合う異性を的確に紹介するという点で、現在の婚活サイトの先祖だろう。
 それはさておき、肝心のサウンドに触れよう。この曲は一聴すれば陽気なバブルガム・ポップスだが、イントロから重要なエレメントとなるリフで牽引する構造はR&Bがルーツである。ホーランド=ドジャー=ホーランドがモータウン専属だった時代(1961年~1967年)にこのパターンを発明したと言って過言ではないと思うが、彼らは古き良きスイング・ジャズやジャイヴ・ミュージックで演奏されたホーン・セクションのフレーズを、当時エレキギターやエレキベースにアダプトしてポピュラー・ミュージックのエレメントとして昇華させたのだ。弊サイト読者にはお馴染みのトニー・マコウレイが作曲した「Love Grows (Where My Rosemary Goes)」(Edison Lighthouse/1970年)から京平先生作曲の「男の子女の子」(郷ひろみ/1972年)、ニューウェイヴ時代にはXTCのコリン・モールディング作の「Life Begins at the Hop」(1979年)などもこの構造でアレンジされているのが理解出来る筈だ。
 ここではオリジナルを踏襲しつつ、よりスムーズなシェイクのリズムを基調とし、肝心のリフはイントロでサリーのベースから奥田のエレキギターが受け継いでオクターブ・ユニオンでプレイしている。原“GEN”秀樹の巧みなドラミングも含め、YMOヴァージョンの「Tighten Up」(1980年/オリジナル:Archie Bell & the Drells/1968年)に通じる洒脱なダンス・ミュージックに仕上げられていて、一流のセンスを感じさせるのだ。このサウンドに高浪にサポートされたオーバンドルフのボーカルが乗ることで新鮮に聴けてしまう。またオリジナルではベルリン訛りが強い独人男性によるブレイクのコンピュータ・ヴォイスの台詞は、オーバンドルフと高浪が独語の呪文のように節をつけ、二人楽しく歌っているのがハートフルでいい感じだ。原曲の良さを継承し、オーバンドルフのキャラクターを活かしたチルドレン・ソフトロック風のガールポップにブラッシュアップされていて、ギャル・ファンの筆者も非常に嬉しいカバー・ヴァージョンである。

※筆者所有フランス・ギャル『Der Computer Nr.3』
オリジナル・ドイツ盤7インチ(Decca / D19935)

 今回のWMSに限らず、サリー久保田がプロデュースした企画はその審美眼によるセンスを感じさせるものが多い。昨年12月リリースの”サリー久保田グループ feat. 平山みき”名義では伝説の一流女性歌手に、本作同様にフランス・ギャルの知る人ぞ知るアフロサンバのシングル曲「ZoZoi」(1970年 ※オリジナルでピアノ演奏しているのは後年エリス・レジーナの夫となり音楽面を支えたセザル・カマルゴ・マリアーノだ)や、The Velvet Underground の「I'm Waiting For The Man」(『The Velvet Underground & Nico』収録/1967年)を取り上げて歌唱させるなど、ボーカリストの資質を見抜き、意表を突く絶妙のカバー選曲で音楽通を唸らせてくれたのだ。オリジナルが世界的にヒットしてアドバンテージのある選曲とは一線を画す、彼のような審美眼に裏打ちされたカバー企画は極めて少ないので今後も期待したい。
 なお本作『Fantastic Girl』は予約分が受付終了しているようなので、大手レコード・ショップの店頭発売分を事前チェックして入手し聴いて欲しい。

56年の時を超えて・・・

(テキスト:ウチタカヒデ