ようこそ、高木薫のサイトへ。

謹告。本サイトは、日本人の成人男性の閲覧に供することを目的として作られています。また差別的な表現など、閲覧者ならびに関係者を精神的に傷つける表現をやむをえず使うことがあります。以上をあらかじめご了承の上、ご閲覧ください。

 本サイトの内容は、予告なく削除あるいは移動することがあります。リンクはご連絡不要です。

 では、ごゆっくりどうぞ。


平成十九年八月二十七日記。
今年は例年になく夏休みがとれたのでコミケ全日参加を予定していたが、
暑さに負けて結局家でアニメ漬けしていた。
それでも最終日は店番の約束があり、
店番のAS君とまたしても「うる星やつら」の話をした。
とにかく竜之介についてやたら語ったような。
田中真弓は今もワンピースのルフィ役で活躍しているのは素晴らしい。
相手役の島津冴子は、残念ながらダーティペアのユリ以降は特に記憶に残る役がない。
(日本アニメーションの青春アニメ全集の「あすなろ物語」での島津はすごかった。
 同シリーズの「春琴抄」の島本須美と好勝負だった)
「うる星」のシリーズ中盤に「ミス友引コンテスト」がある。
単行本のほぼ半分を使っており、オチは例によってチャンチャカチャン♪なのだが、
全体的な盛り上がりは、高橋先生に何か神様が降りてきているとしか思えない。
そしてこのあたりが良くも悪くも一つのピークという気がする。
あたるとラムの人間関係も固定化というか、危なげがなくなり、すっかり夫婦のようである。
それを象徴するエピソードが「ミス友引」の直前にある「夜を二人で!!」だろう。
今回に新装版の単行本にて読み返しながら感心したのが、
ランとレイのタイヤキ話(「あんこ悲しや、恋の味!?」)である。
ランはレイから二回キスをされるわけだが、二回目はランがタイヤキをヤケ喰いして
アンコを口元につけてしまい、それをレイに……という段取りである。
ところが一回目のキスはどういう段取りだったか、発表当時はトンと頭に入っていない。
ランもタイヤキを食べていてアンコが付いたんだっけ、みたいないいかげんな印象だった。
今回ゆっくり読んでみたが、これが実に恐ろしいことになっていた。
まずランがレイにタイヤキを「あんこがたっぷりよ」と両手で差し出す。
このとき実は、はみだしたアンコが少しランの指についた、ということになっている。
そしてランは黙ってレイを眺めながら物思いにふける。
彼が自分に会ってくれるのは食べ物が目当てであって、
「まだラムちゃんのこと忘れてないのかもしれないけど」と自分の両頬にそっと手をあて、
「でもいいの……いっしょにいられるだけで…」と己をなぐさめる。
このリリシズムの中で指のアンコが頬につく。
それをレイが見つけるのである。
残酷であり、切なくもあり、そしてまたおかしくもある。
ランの魅力は、このエピソードにおいて描ききられたと思う。
まったく感心する。


Copyright © 1998-2007 TAKAGI KAORU (Surname first as Japanese tradition.)