1981年にシングル1枚で消えてしまったUSパワーポップバンド、ザ・ビングス。40年の時を経て11曲入りのお蔵アルバムが発表されました。サウンドから当時の空気を感じることが出来つつ、2023年のリミックスによって新譜としても何ら見劣りすることのない内容にパワーポップフリークは歓喜のことでしょう。#1「Please
Please Please」/#2「Oh, No!」が唯一発表のあった7"だ。80s直前にレコーズや20/20、シューズ、ロマンティックスといったパワーポップバンドが登場。ナックがヒットしたのもこの頃。それらの風をまともに浴びたかのようなサウンド。#1「Please Please Please」はラモーンズマナーなメロディラインを持っていながらもパンクではなく、ロマンティックス的なパワーポップに仕上げられてる。個人的にはドンキーズの楽曲と相性がよさそうだなど。#2「Oh, No!」もまさにBomp!直系のパワーポップサウンド。この2曲で最高のシングルだな。で、驚かされる#3「Don't Stop Dancing」。120%完璧なパワーポップ。例えばロマンティックス「What I Like About You」やイノセンツ「Sooner Or Later」なんかとともにクラシック化しても良い出来だ。#4「There She Goes」でさらに驚く。このタイトルは多くの人はラーズの代名詞曲で認識している事と思うが、イントロが鳴った瞬間元ネタかも?って勘ぐってしまう音だったから(おそらく偶然でそんなことはないと思うが)。このメロディアスなミディアム・バラードがビッグスターやスポンジトーンズさえも守備範囲であることを知らしめる。ソリッドでリフ主体のロックッチューンである#5「She's Got The Power」。初期のチープトリックがそうであったようなアプローチだ。#6「Go Bye-Bye」は軽快/陽気なカントリーポップンロールと言える。南カリフォルニア出身らしいサウンドとも言えますね。#7「Close Your Eyes」も個人的なハイライト曲。強烈なフックにだけ頼らないパワーポップ。全体を包む良質メロディがめっちゃ心地良くて大好物な曲です。#8「Just A Child」。この曲こそライブにおいてのアンセム曲になり得るシンガロング必至な展開が胸躍らせる。#9「Hold On」もラズベリーズやバッドフィンガーのパワーポップルーツをしっかり受け継いでるナンバーで最高!#10「Billboard By The Highway」はザ・カーズ/コステロちっくな要素も漂させながら80sのポップフィールドにタイムスリップしたかのようだ。ラスト#11「Snowbound In Our Town」。これもめっちゃ良い曲。本当にこれが最後の曲なのか・・ビートルズ路線のアレンジも聞けるポップソングです。マジで優秀なバンドとしか言えない。自分が聴けて良かったと思うと同時に40年前にリリースされなかったクエスチョンも...。内容はまさにパワーポップだが一辺倒でないのがまさにパワーポップ・プラネットでありミックステープの趣だ。このアルバムが2023年の新譜として世の中を席巻して欲しいところだが、そうはならないことは知っている・・。でも僕の心は間違いなく渦巻いた。ほかに未発表曲があるのなら是非聴いてみたいですね。 |