一発目の花火       発砲者  岡島



 どうも鈴木グループの方々、派手な発進おめでとうございます。
最初からDACなどと言う地味な商品から出してどうするんだろうと危惧しておりましたが、
dc1.0は完全に常識を打ち破りました。個人的に言えば比較試聴の意味さえありません。
むつかしいことはわかりませんが、CDだけに絞れればここまでやれるのだ、という
事なのでしょうか。既存のどの製品も見えなかった地平がここにあります。

 久しぶりです、今回のソウルノートのデビューで矢も盾も無く書く衝動に駆られました。
やっと製品版が届いて、試聴版と何も変わらないことを確認しました。すさまじい描写力です。
CDにこんなに音が、情報が入っていたのかと思えるほどです。知らない音が出てきます。
だから比較試聴がいらないわけです。トラポ、あるいは普通のCDプレーヤーでも十分に
効果があります。HT-01からdc1.0を介してCR-D1SEにFOCUS110でも聞けてしまいます。
もちろん吉田がすでに述べておりますが、トラポ、アンプで音は予想通りに違います。
音全体にがっちりdc1.0の支配力が及びますが、これは強烈な個性の支配力ではなく、
圧倒的な情報力という支配力です。

 さてお問い合わせの多いクロックですが、すでに6日の馴らしがしてあるのですが
あくまで今の段階でのご報告をいたします。XO3で救えなかったCDプレーヤーを救う
D-clockを載せるとどう変わるか、はい変わります。若干描写力が上がります。
一部響きが薄くなることもあります。現況ではクロック無しで、響きも自然で音楽
として快く聴けます。
吉田は諦めが悪いようで、まだごそごそ取り付け位置や引き回しを変えて実験してます。
もし、この後大きく変わるようであれば、お知らせすることになるでしょう。


2006年09月28日    発砲者     吉田苑


ありがとうございましたN氏

シャープの名物男、N氏が退官される。これからと云うときに残念でならない。
 1bitの立役者、吉田苑の良き理解者、子供達に優しい気遣いをする総会屋さん。
元歌手(カラオケがうまいのを褒めるのは失礼なことでした(汗))
本当にお疲れ様でした。吉田苑としてはお世話になりっぱなしでした。
 試聴会の会場の都合を付けて頂いたり、貴重な試作品を何度も
持ち込んで頂いて勉強させていただきました。
 また、フェイキー発見の功労者H氏の上司でもあり、H氏の豊富な音楽への
情熱や知識も吉田苑には貴重なバックアップでした。
もちろんフェイキーの1ビット録音には多大なご協力は忘れることは出来ません。
本当にありがとうございました。
 田舎のステレオ屋と音響部門だけとはいえ、大企業のシャープさんと
なんだか一緒に道をあるいてきたかのような錯覚を起こさせる数年間でした。
一流企業のお勤め人以上に個人的に魅力を満載した人だからこそ、吉田苑の
子供のわがままみたいな物にも笑っておつきあい頂けたんだと深く感謝しています。

 とはいえ、エネルギッシュなN氏だけにこのままおとなしくこの業界を
お捨てになることは無いと思います。今度は個人として、膨大な人間関係と
カリスマ性でこのオーディオ業界にどかんと一石を、いやいや二石も
三岩も投げ込んでいただきたいと思っております。

吉田苑はN氏にいつでも用意してます。以下の言葉を
「おかえりなさいませ オーディオの世界へ」

                                       吉田 修一


2006年08月19日     発砲者 吉田


今回は9月9日(土)、10日(日)の福岡オフ会も近いのでオフ会に参加いただくFAKiEの
ニューアルバムをネタに少し書かせていただきます。

まず現在の製作現場の状況ですが、現在のPCM録音はパンチイン/パンチアウト(曲の切り貼り)が
パソコン上で高精度で簡単に行えるようになっています。
歌い手の音程や速さまで自由自在に近いくらいまでパソコン上で扱えると言っていいでしょう。
J-POPはもちろんですが、ジャズやロック、大手のクラシックまで当たり前のように使われています。
実際歌がうまいと思ってたアーティストが実はライブで聴くと下手だったり結構多い事です。

で今回のFAKiEのニューアルバム「To The Limit」ですが、クオリティ重視でシャープの
1ビットプロセッサーを選んで録られています。
ただこの1ビットプロセッサーが試作機の為、今では当たり前にできるパンチイン/パンチアウト
(曲の切り貼り)が出来ません。
その為にFAKiEはひとつの曲を何回も通しで演奏して、録音されたものになっています。
OKテイクを出すのに多い曲になると50回近く演奏した曲もあるそうです。
つまりこのニューアルバム「To The Limit」は、昔で言うダイレクトカッティングに近い感覚で一曲
一曲録られたものを、録音からミックスダウンまで最新鋭の機材を使いでCDにしたと言えます。

前置きが長くなりましたが、この前、今回の録音をされたタクトミックスの下川晴彦氏と
お話をする機会がありました。
その時に色々ネタを貰ったのですが、そのひとつに今回のCDは演奏の良いもの、
FAKiEの気持ちの乗ったテイクを優先したため、曲によっては少々のノイズや音の乱れは
仕方ないものとしてCDに入ってるそうです。すでにお持ちの方で気が付かれた方も多いでしょう。

お話を聞いた後、ちょうど福岡オフ会のために店のNM01を整備、調整し「To The Limit」を
モニターしていたのですが結構、演奏外の音があります。
本来こういう聴き方は邪道かもしれませんが、オーディオショップとしては面白いネタになりますので
あえて取り上げた次第です。
CDに入っているクオリティが高いので、システムの確認に丁度いいでしょう。
お持ち方も多いと思いますので、確認できるかチェックしてみてはいかがでしょうか。

例としましては、@7曲目「Ride On Time」の1分59秒辺り 人の声、何と言ってるでしょう。
A11曲目「That's the Way It Gose」1分51秒〜2分05秒辺り ノイズが結構入っています。
B同じく11曲目「That's the Way It Gose」2分05秒辺り ボーカルの入り際、定位が右下より中央上に
大きく動きます。
難易度、大、中、小あります。お持ちの方は他の曲でも遊んでみてください。


2006年05月07日     発砲者 吉田


私も最近あまり書いていませんでしたので、早速軌道修正しながら今回は
リハビリで軽く発砲します。
今回は光城精工の新型電源ミティークと東京オフを通して気がついた事です。

まず従来の増幅素子SITを使用したDA-7000シリーズが完了し、
新型ミティークが発売になりました。
このモデルは増幅素子にIGBTを使用したモデルで、従来のSITとはまた違った
印象の電源になっています。
ミティークに関しては同じIGBTを使用したDA-7020iが比較的よく出来ていましたので
期待はしたのですが、3月に最初のサンプルを試聴した時には採用とはなりませんでした。
位相が揃わずうるさい印象で、ごつごつした感じです。
残念ながらサンプルの返却となります。
しかし光城精工の担当の方は再チャレンジしたいとの事でしたので、再度調整したデモ機の
到着を待つことになります。
それから二度目の試聴。
確かに最初のチューニングよりはかなりよくなっていましたが、低域方向の伸びがカットされ、
全般的に硬く腰高な印象が残ります。この時点でも採用は見送りとなりました。

そして4月中盤に三度目の試聴となります。
従来素子のSIT搭載のDAの良いところは、素材としての癖の無さ、S/Nの良さ、
電源として非常に抜けの良いすっきりした印象があり、この部分はSITの最大の持ち味で
評価していた部分です。
それに対して今回のIGBTを採用したミティークですが、S/Nとぬけの良さでは従来の
SITモデルには残念ながら及ばない感じですが、当初のごつごつした感じが無くなり適度な
バランスで、力感(特にこの部分が持ち味でしょう。)のアップ、それからスピードは
従来シリーズよりも若干ですが速くなっていて、繋いだ機材のスピードが落ちないところは
評価して良い部分です。
SITとIGBTの素材の違いでしょうが、DAシリーズとは特徴は異なりますが普通に使える
電源になった感じです。
最終的な販売価格から見るとややミティークの方が高くなりますので、多少コストパフォーマンスが
下がった感じはしますが、機器的な相性をよく見て使い方次第では、これはこれでかなり有効な
電源と思われます。

次に関連した内容ですが、前回、前々回の東京オフを終えて電源周りで印象深かった事は、
50Hz地区と60Hz地区では電源の効果がかなり違うと言うことです。
当然といえば当然なのですが、当社は福岡ですので当然60Hz地区で、店のコンセント電圧を
測ると常時102〜105Vをキープしています。
店頭でDA-7100やミティークを加えてもS/Nやニュアンスの改善は確認できるものの、
東京オフの会場やお客様宅で感じられたようなエネルギー感の向上が50Hz地区に比べると
薄く感じます。
ものによってはエネルギー感がかえって少なく感じるものもあります。
電源を販売したお客様の反応を見ても、概ね50Hz地区の方の方が評価も良い感じです。
60Hz地区よりは50Hz地区の方が効果は大きいといえます。
それから60Hz地区でも電源電圧が建物が古い等何らかの事情で、満足に100V出てない
ケースもあります。こういった場合にも有効と思います。

ただし電源は機器の性能には強く影響する部分ですので、特に反応の良い機器を
お使いの方には注意して選びたいところです。50Hz、60Hzに限らず元の電源事情や機器に
よっては繋いでもメリットを感じない機器がある事も事実です。
その辺はよく調べて注意が必要でしょう。

ミティークに関して効果的に使うと言うことで追記しますが、入出力のカスタマイズも可能
ですのでカスタマイズのサービスをうまくご利用いただくのもひとつの方法です。
例えば通常100V入力の100V(60Hz)出力ですが、200Vがご使用できる環境であれば、
200Vでの入力も可能ですし、出力も120Vまで1V単位で指定が可能ですから、200V入力の
105V出力でカスタマイズしたり、輸入品でしたら、例えばヨーロッパ製品ならば100V仕様の
シールが張ってあっても実際には110Vの仕様の方が適した商品もありますので、110Vや117V
での仕様にも対応します。
それから100V入力でもコンセントの電圧が低いようでしたら出力を数V上げて使用する等、
効果的に使う方法も考えられます。

今回プロトモデルでの確認でしたので、連休明け製品版の展示品が入荷後、音質に問題が
無ければ取り扱い開始いたします。


2006年05月06日     発砲者 吉田


4月22日の岡島の砲台に関しまして。
お客様より直接当社へ内容が不適切とのコメントがありました。
「言いたい砲台」としてはふさわしくない文章と判断いたしましたので4月22日掲載の「言いたい砲台」は
削除させていただきました。
コメントをくださいました方以外にもご不快に思われた方もいらっしゃると思います。
お詫び申し上げます。
近々「言いたい砲台」に即した内容にて心機一転発砲させていただきます。   吉田


2006年03月19日     発砲者 岡島


スピーカーケーブル比較試聴で色々聞いて勉強になってます。

無責任な話ですが、最近高級スピーカーケーブルを聞いていませんでした。
今回みたいな企画は要るなぁと思った次第です。あいもかわらずプアリスト
オーディオデザインのぬるぬる感、とはいっても一番安いミ○○○イなので
店長が言うには、「思ったほど悪くは無い」とのこと。1m600円のコードの
「充分に信頼に足る」から考えると、1m150円くらいの感じかな。
いよいよ電線が無いときに、なんとか通電できればいいくらいの時にはお勧め。
もちろんエンファンスは150時間以上掛けてくださいね、でないと
通電しなくてもいい。いや、しない方がいい。

通例として日本人に受ける商品としてはネーミングがうまいですねぇ。
「ミズノセイ」ですとか、「ドミナス」ですとか、「ちゃくら」とか 
「くらいまくす」。他に市場は無いから、日本人にだけは覚えて貰おう
という感じですかね。 

 なかなか信じていただけないんですが、吉田苑ではかなりの機材を一度は
聴いています。2度と聴きたくないのでなかなか2度目を聴くこたないですが、
たとえば、”THE BASE”発表当時に話題になったあのスピーカースタンド。
軸のずれたスピーカー。位相に狙いのずれたCDプレーヤー等高級といわれる
機材も無理をしながら試聴するように努力しています。 

この頃アズールを誉めまくってますが。お客様の電話で似たような平型ケーブル
のご質問を受ける事があります。「同じようなのか?」と、
「ノーどす」と、吉田は京都弁で答えています。
いいたい砲台で発砲済みなのですが、〜だったらなんでも言い訳ではないのです。
導電体が平べったいから良い訳ではありません。ストレート単線構造、
低質量、締め付けず鳴き止め等色々な要素があのケーブルの凄さなのです。
 吉田苑は、わざわざ悪口を言うために砲台を開いておるわけではありません。
ひどい製品があっても極力笑顔でいようと思っております。
ですから、新製品がたくさん出たのにもかかわらず砲台でなにも紹介されない
のは、吉田苑的に(あくまで吉田苑的の基準に適わないからです。)
買うなと申し上げているいるわけではありません。


2006年 2月07日     発砲者 シュテルンクランク 寺村


「ハイスピード」を考える

今日のオーディオのキーワードと言って差し障りないであろう
「ハイスピード」について、いささか私見を述べさせて頂きます。

「ハイスピードな音ってどんな音?」とオーディオの初心者に尋ねられたら、
ベテランでも上手く答えるのは難しいんじゃないでしょうか・・・?
「そりゃオメェ・・・30分の演奏が28分で終わっちまうくれぇ速ぇ音だよ」
・・・こらあきまへん。ならば、「低歪率・ハイパワー再生」・・・
これならどうでしょう?「そんなモンとは違うわぁ!」、と一喝されそうです。
「ハイスピードな音ってどんな音?」、という質問に答えるためには、まずは
オーディオシステムに於ける「スピード」とは何か?を定義する必要があります。

今、「オーディオシステムのスピード」を、「インプットされた信号の時間軸
上の配列(以後時間軸と言う)を乱さずにスピーカーからアウトプットする能
力の指標」と定義したとします。
「つまり位相だろ?」・・・そうかも?でも私の辞書には「位相」という言葉が
無いのでよくわかりません。さて、この定義が妥当なら、時間軸を乱す悪玉がい
て、そいつを追い払えば「スピード」は上がるはずです・・よね?ではその悪玉
とは何か?・・・話はイキナリ、一気に怪しくなります。私のパラノイアックな
分析の結果、その悪玉は、「コンポーネンツの質量(重量です)」と、ゴムなど
の「粘性の高いマテリアル」であると判明しました。前者は振動エネルギーを蓄
え、後者はエネルギーの解放を遅らせます。
                                              
つまり、「オーディオシステムのスピードは、システムが受け取る振動エネルギ
ーの減衰時間でほぼ決まる」と言いたいのです。「振動」それ自体は悪玉ではあ
りません。
                                                                                             これは経験からの推測です。科学的な検証はやっていません(できません)。
「コンベアで流れ作業をしている作業員の疲労が溜まると、コンベアの搬送スピー
ドに作業スピードが追いつかなくなる・・・時間軸が乱れるというのはまぁこうい
うことか」、くらいに私は想像しています。

時間軸が乱れたオーディオシステムは細やかな音、柔らかいタッチが出せません
(グレン・グールドが何をやっているのか絶対にわかりっこありません。息を呑む
ほどの精妙なタッチでグールドが「美」に直に触れていることを恥ずかしながら私
は最近になって漸く知りました。30年近く聴き続けてきたというのに!)。時間
軸が乱れると音と音の繋がりも失われます。1曲を「切れ目の無い連続体」として
感覚できなくなり、数秒毎のセグメントしか知覚できなくなります。そして脳はセ
グメントを繋ぎ合わせる編集作業にグッタリしてしまいます。我々オーディオマニ
アは、自分のオーディオが直面している問題の在り処を見誤っています。つまり、
CDの出始めの頃に一部のアナログマニアが、そして昨今のハイ・サンプリングCDの
仕掛人が言った・・・「44.1kHzのフォーマットでは不十分」にではなく、
「44.1kHzフォーマットのスピードに再生系が追いつかない」・・・これなんです。
「44.1kHzに追いつけないシステムで・・
(恐らくこの先も追いつけないでしょうが)・・SACDかけてどうなん?」ということです。

私はケーブルをあれこれやった結果、次のような確信を持つに至りました。
1.「時間軸を乱す主犯はケーブルである」 
2.「ケーブルがコンポのポテンシャルを封印している」 
3.「44.1kHzフォーマットは演奏家のやりたかったことをきちんと収めている」
・・・ただいまケーブルのPR中・・・
・・・「買ってください。安くはないけど・・・
あなたのオーディオの壁を取り払い、全く新しいステージに引き上げてくれます。

 で、「ハイスピードな音ってどんな音か?」でしたね。それは、「演奏家が見ているも
 のが見える、やろうとしていることがわかる音」です。「いい音」か「悪い音」かでは
 なく、「それ」が「可能」か「可能でないか」・・・ただそれだけです。そして、
「ハイスピードな音に何ができるのか?」それを教えてくれるのは吉田さんではなく(失礼!)、
 あなただけの師(演奏家、指揮者、作曲家)です。


2006年 2月07日     発砲者 吉田


 お久しぶりです。この頃の電話やメールでのご相談に頻発している
項目がありますので、ご報告も含め久しぶりに発砲しましょう。
掲示板とか、ブログなどで、私どもがお勧めしているスピーカーが
「鳴らしにくいのでは」というのでよくお問い合わせをいただきます。
まあ気持ちは分かるのですが、聴きやすい、鳴らしやすいなどの言葉は、
大変耳に優しく、購入の時、後押しになって商売的にはありがちな言葉だと思います。
 しかしながら、オーディオを趣味になさる方は、「鳴らしにくい」スピーカーを
鳴らす意思が無くて、自信をもてなくて、一体何をやろうと言うのでしょう?
組み立てたガンプラ(ガンダムのプラモデル)を買うことはプラモデルを
趣味にしているといえません。 繋いですぐ自分の好みの音が鳴ると、
お考えではないとは思いますが、もう少し趣味でオーディオを楽しむならば
チャレンジされればと思うことが最近多々あります。
 音楽ファンのお客様には、その音のイメージを確立されていらっしゃる方が
多いようで、猶の事鳴らしやすいシステムが、音のイメージと違うと言う事が
ある程度お分かりのようです。
半完成品として最終的なイメージを思いながら鳴らすことを理解されてい
るようです。
 ディノウディオは、確かに簡単になついてくれるスピーカーではありません。
それを自分なりに鳴らしてこそ、オーディオの趣味ではないでしょうか。
FOCUS110というスピーカーの出現をスタッフが喜んだのは、
少し、鳴らし難かったあの頃のディナウディオが復活したからです。
趣味として楽しむならば、少々難しそうな物に意欲を抱くのは楽しい事だと
思うのですが。



2006年 2月07日     発砲者 岡島


これがSONYでしょう。
 必要性があろうがなかろうが、欲しい物がある。手に取ってしまうともうしょうがない。

SONY  PCM-D1
マグネシウムとチタンの触感が手に馴染む、古いカメラのような質感は、
本当に「何に使うんだよ!」と否定的な突込みを黙らせてしまう。
あのカセットデンスケのD5以来の好感度である。
スイッチのタッチ、ボリウムの操作感、本当に「久しぶりのソニー」
いやぁ、好きです。ありがとう、こんなんが欲しかったんです。

マイクも凝った作りでうならせます、開角を取りながらスペースを
省くために相対セットして、アブソーバーで守る、このデザインも心憎い
ばかり。ちょっと精度が不安そうなVUメーターもあの「デンスケ」と
同じデザインセンス。液晶はなまじ格好いいものをつけずに
日中の明るい環境でも使える旧来の物を採用。

左右連動の録音ボリウム、見事に連動してくれる
実際、余程の事が無い限り左右を別のレベルで
録音する事がないので問題ないし。右手親指を
良く理解した重さと位置である。
後は、PC上で編集すればいいことで、恐れ入りま
した。突っ込みどころに困るくらい(笑

 データ形式もWAVEです。あの馬鹿なソニックステージなどというMP3より音の悪そうな
形式もありません。付属の三脚も軽金属製で軽く、無垢の脚はまとめると一本の円柱になり
丈夫で使いやすい。しかも美しい、これ単品でも結構高価な物だと思われます。
あとはねぇ。メモリースティックをやめて貰って、もう少し汎用性とメモリ当たりの安価な媒体を
使えなかったかと(無理でしょうけどね。)残念です。折角の長時間録音16Bitにわけのわからん
SBMをつけるのもやめて欲しかったかなあ。ただSBMもオン、オフできるので問題はないが。
お宅が30年前にフィリップスと提携して作ったメディアを否定してどうするんでしょ?
この2点があったとしても、世界中のメーカーがどんなに努力をしてもこんな価格でこんな魅力的
な商品を出せるのはSONYだけです。

ね、馬鹿誉めでしょ?(笑 吉田苑は、ご存知の方が多いと思いますがソニーショップなのです。
こんなんが出て売れるのが一番楽しいんです。
 さ、そろそろ本格的にちゃんとしたデジタルアンプ出してください。SONYには充分音の判った
あのひとがいるじゃないですか。


2006年 1月29日     発砲者 岡島


ネットで調べ物をしていたら「戒目餐」なる言葉が出てきた。
ちょっとなんだか判らんので調べていくと袁牧って食通に繋が
ってきた。
袁牧 多分十八世紀の趣味人、食通 
若くして仕事やめて、田舎に広大な庭園を造って
飯三昧、詩作三昧の日々を送る。

この人の著作に 随園食単 というメニュー本が有名なのだが
冒頭にある六文字に目が行って離れなかった。

戒耳食
戒目餐

噂でうまいなんて騙されるなよ。見た目でご馳走だと思うなよ。
趣味の世界は200年前から何も変わってなかったか、と悲しかった。

凄いかっこつけて文章を書こうと思ったら、教養に欠けるので
小学生の作文みたいな事に成ってきた。無理は良くない、やめよう

 オーディオの趣味って本当に偏っていて、「それがどうした?」
って言われたら簡単に崩壊しそうな、はかなさに反して、装置と
聴く能力と音楽趣味次第では、音楽はこんなにもスリルに満ちた
快感だったのかと思える貴重な趣味だと思う。
 壺中に天を得るように、(こらこら無理はするな)まるで、ホログラムのように、
現出するイメージ。それって、メーターやリモコンの有る無しや、
他人の発言に影響を受けてたら実現できない、自分だけの楽園。
 さてもう一度、夢に向けて助走の準備をしようかな。


2006年 1月13日     発砲者 吉田


明けましておめでとうございます。

砲台への登場も久しぶりになりますが、振り返ってみると砲台ももう10年目、
初めた頃から見ると内容も随分様変わりしてきました。
今年は多少の修正も入れつつ10年目を進めて行きたいと思います。
今回はPioneerのスピーカーを取り上げてみました。
S-1EX ペア1,050,000円(税込)です。

Pioneerの高額なスピーカーとしてはTADブランドのM1に続き2作目、 スピーカ
ー事業というかこれをきっかけに、2chオーディオの方もかなり 本気で取り組
むようです。 輸入品なら150万〜200万くらいの価格設定はしてそうな外観と
作り。 最初9月に試作を試聴した時は低域の分離が悪くもうひとつぱっとしなか
ったのだが、 製品として出来上がった時には、かなり欠点をクリアーして商品と
しても まとまりを見せている。
ドライバーはTADのブランドで見るからに優秀そうで、実際9月の時点でスピード
はあったしユニットだけ欲しいと思ったほどだ。
細かい能書きはカタログもしくはWeb、雑誌で確認していただくとして、

肝心の音の方だが、残念ながら環境設定がかなり必要なスピーカーのようで、
難点と言えば距離が必要。カタログを読むと3mは必要な書き方をしてあるし、
実際鳴らしてみてもかなりスピーカーから離れないと、低域の位相が揃わず
クリアー にならない。色々小手先で距離を短くして聴いてみたが、優れた中高域
にうまく連動 した低域を確保するにはかなりの広さがこのスピーカーには必要な
ようだ。 勿論スピーカーの周りの空間も広めに必要で、置くのに10畳前後じゃ厳
しそうで倍 ぐらいは最低欲しい。
商品の内容から考えても価格はリーズナブルだが、良く考えて購入しないと大失敗
する可能性もある。 ヨーロッパでデザインされた概観を見る限り、しっとりと深みのあ
る低域、繊細で つややかな音を想像してしまうが、実際には逆。
TADブランドのイメージを引き継いでいるのか、比較的乾いた張りのある音である。
低域の量感も多くも無く少なくも無く、中高域も含め全般的にフラットな傾向、
反応が良くこのサイズにしては重くない鳴り方。 モニター調のスピーカーと言ってい
いだろう。 環境、条件さえ揃えばかなり面白く遊べそうで、スピーカーとしては上級者
向き。 商品としては生真面目で、もうちょっと小さく密度のあるものを作るとか、
何となくだ がもうちょっと遊び心が感じられると購入対象者が増えたと思う。
それから注意事項として、ユニットの増し締めは注意が必要。



2006年1月15日  吉田苑の言いたい事 総まとめ 発砲者 岡島 信行



1.CDは、メディアとしては充分に信頼に足るメディアである。
  アナログが面白い事は、スタッフも充分に知ってます。
  実際に、吉田も長いことアナログをやっていたことですし
  岡島も、元々は小物、オーディオアクセサリが得意分野でしたから
  シェルやリード線から始まり、SPU−Aを鳴らしたさにRMA309
  などと言うわけのわからないものを輸入した位ですから。
  しかし、オーディオを趣味とせずに音楽ファンであろうと
  したときに不確定要素が多すぎる、操作が煩雑な物を
  奨める気にならないというわけです。ま、マニアにとっては
  たまらない分野ですから止める気はありませんし、廃盤になった
  ままのアナログディスクがある以上、これからも支持者は減らないでしょう。
  更にSACDまで必要があるのかと言うことですが、ソフトウェアが
  少ない現状ではいかんともしがたいわけです。

2、スピードに関して
  恥ずかしい話ですが、私も吉田苑のお客の頃「スピード」という言葉が
  良く判りませんでした。その頃のスピードのあるシステムとして提唱
  していたのが、A10XBTL CD10改 AE1 組合せである意味スピード以上に
  個性が強いものでした。その後スピードという言葉に対応するスピーカー
  アンプなどが出てきて、なんとか私にもわかるようになりました。
  去年も言いましたとおり、聴きに来ていただくのが一番なのですが、
  何とか言葉にしてみましょう。
  牛乳瓶が割れる音、花火の爆発音などに限らず、例えばせせらぎの水音
  等にも凄いエネルギーがあります。それが再生できれば思わず振り向いて
  しまうほどインパクトがあります。吉田がこの頃ギターに復活しまして
  たまに店で弾いてます。安いギターですし、それほどうまくもありませんから
  びっくりする事は無いのですが、知らずにその音がスピーカーから出てると
  勘違いしたときに、背筋がゾクっとします。つまりそれが実際の音の
  エネルギーです。まだまだ、吉田苑が現在出している音も、実音に負けますが、
  実在感、エネルギーをスピードと呼んでいます。また、スピードと呼ぶ以外の
  他に言葉が見当たりません。誤解を多く招いている事は残念です。

3、偶然音が良いでは、お客様に提案できない。
  ま、原因不明でもスタンドアローンで改善の効果のあったRR-77など、お勧め
  することはありますが、ケーブルや端子部品などは、何故こうなったか
  こうするとこうなるはずだ等の推論、追実験が出来ないとお勧めしません。
  アマチュアの方は、偶然良くなったで構わないと思います。私たちは様々な
  環境のお客様に提案をしていくためには、不完全は承知の上でも理論を組んで
  いく必要があります。ブランドや、価格に惑わされず、冷静に判断していく
  事を忘れたくありません。

その他、ぐち
  もし、エジソンが蝋菅の録音再生機を発明したときに、映像のまで同時録画再生を
  つけていたら、オーディオは趣味としてなかったでしょう。外見が魅力的な歌手が
  歌っていたら、実際DVDの方が楽しめるでしょう。本当に危ういバランスでこの趣味
  は成立していると思います。しかしながら150億円掛けた、映画が3000円
  なのに45分間音だけのCDが同じ価格ということは、これから音楽ファンなろうと
  する人に抵抗になるでしょう。普通にいい音を普通に録音して安価な価格で出して
  欲しいとレコード業界に臨みます。音楽ファンを作る事が、オーディオ業界にも
  商業音楽も最も大切な事なのに、あほらしい音楽をドラマの主題歌やCMに混ぜ込んで
  聞かせて刷り込み学習、そんな催眠商法が無くなればいいなと思います。