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2006年 10月 11日
9月22日より、ブログ更新をしていません。その間コメントいただいたり、トラバをいただいたり、恐縮しています。まずこちら「Web読書手帖」からスタートしましたが、ネット書店 四谷書房を開設。同時にブログ「四谷書房日録」をはてなにオープンしました。
「四谷書房日録」にも書きましたが、別な仕事で少々多忙になっています。「四谷書房日録」も「Web読書手帖」もと欲張っていましたが、実際やってみてむずかしいことがわかりました。こちらはあまりムリせず書けるときに書こうと思います。 以前より「Web読書手帖」をご覧の皆様にはたいへん申し訳ありませんが、「Web読書手帖」の更新ついては「四谷書房日録」に必ず明記しますので、そちらを見てリンクしてください。尚、「四谷書房日録」にリンクしていただければ幸いです。 ▼四谷書房のサイトはhttp://yotsuya-shobo.com/ こちらから。 #
by h_osd
| 2006-10-11 06:49
| et cetra
2006年 09月 21日
宮部みゆきさんが3年ぶりに現代を舞台にしたミステリー『名もない毒』(幻冬舎)を出版しました。そのインタビュー記事が朝日新聞の9/20有権に掲載されていました。
同様の現代を取り上げたミステリーは『理由』『模倣犯』等ありますが、最近は時代小説の仕事の方が多くなっています。この記事で知ったのですが、『模倣犯』は6年の歳月をかけ完成させたそうです。 今回のミステリーも「市民の日常から社会のひずみに迫る」というもので、大財閥の娘婿となった社内報の編集者を主人公とした『誰か』(光文社)の続編といいます。 そのインタビューの中で、次の話が印象に残りました。 <物語の伏線となった土壌汚染の取材をしていて、有機溶剤を使う町工場が排水処理を十分しなかった場合、汚染が敷地内で済むのが外へ出るのかは、土地の高低や雨水の流れる方向でわからないと聞きました。これは犯罪者の無差別の悪意がどこに向かうか分からないことと似ています。> 今の時代、無差別な悪意が行き場のない状態で潜在化しています。それが何かのきっかけで突出し顕在化する。動機も契機もわからない悪意の、そんな時代になってしまったのかもしれません。 いろいろな条件が錯綜する中で、善意よりも、悪意は明らかに存在し、いつ、どこに、流れ出すか、わからない、そんな不気味な時代に、われわれは確かに生きています。 ▼四谷書房のサイトはhttp://yotsuya-shobo.com/ こちらから。 #
by h_osd
| 2006-09-21 00:08
| 新聞・雑誌
2006年 09月 17日
9月8日の「小池民男 『時の墓碑銘』 (朝日新聞社) を読んで」の追加です。
渡辺一夫さんのページと一緒に付箋がついているのが、P・K・ディックです。このページのタイトルは「アンドロイドは電気羊の夢をみるのか?」。 ご承知の通り、映画「ブレードランナー」は1982年近未来とアンドロイドを描いて、大ヒットとなりました。この映画は公開以降も、いろいろな映画に影響を及ぼし、いまでも見続けられています。 <映画が公開された八二年、欧米、日本では反核運動が空前の盛り上がりを見せた。核戦争という破局への想像力が八○年大の廃墟イメージは背景にあったといえよう。 原作は米国の作家フィリップ・K・ディック(一九二八~八二)のSF小説『アンドロイドは電気羊の夢をみるのか?』(六八年)である。人間そっくりにつくられた人造人間アンドロイドをめぐる悲劇を描く。 彼らは記憶を埋め込まれ、すぐれた知能とある種の感情も植えつけられている。自分は人間なのかどうか、悩むこともできるアンドロイドたちである。 「二十世紀の前半はカフカの時代だった。後半はディックの時代だ」。そんな評価も聞かれる。カフカは全体主義体制の不条理を小説にし、ディックは電脳社会のあやうさを予言的に描いた、というのだ。>p53-54 カフカとディックはその小説 (映画も含め)を通して、人間と社会を描いています。「二十世紀の前半はカフカの時代だった。後半はディックの時代だ」というように、二十世紀からいま二十一世紀に至る状況を考えると、まだディックの時代は続いています。 そうしたことを承知してか、最後に小池さんはこういいます。 <ディックが描いた世界に、現代社会は急速に近づいている。現実とは何か、という彼の問いも切実さを増している。>p55 さて、この切実さを切実さとして伝えてくれているのは、ディック亡き後、誰になるのでしょうか。ふとそんな思いが脳裏をよぎりますが、誰といって、すぐには浮かびません。 ▼四谷書房のサイトはhttp://yotsuya-shobo.com/ こちらから。 #
by h_osd
| 2006-09-17 22:33
| 単行本
2006年 09月 10日
昨日より、また数多くのトラックバックがありました。ブログ内容と関連のあるものでしたならば問題ないのですが、まったく関係のない英文のトラバです。ブログを気をつけてみているのですが、止むような気配がありませんので、しばらくトラックバックを一時中止します。たいへん申し訳ありません。
四谷書房 店主 #
by h_osd
| 2006-09-10 17:56
| et cetra
2006年 09月 08日
小池民男さんが今年4月25日ガンのため亡くなりました。『時の墓碑銘』は「朝日新聞のコラムニストの絶筆のエッセイ集」です。
小池さんは今を見る確かな眼と広く深い知識をもって、あの「素粒子」、「天声人語」などを担当してきました。まさに名コラムニストになるような王道を歩いてきました。 昨年からは編集委員兼論説委員を兼務し、朝日新聞にエッセイを書いていました。そのエッセイを読んで、わかりやすく文章、適切な引用、鋭い批評にいつも感心していました。 いくつもの付箋が付いている中から、例えば「この小さなノートを残さねばならない 渡辺一夫」 。 ここには渡辺一夫さんの1945年3月1日からの日記のことが書いてあります。この日記の大半がフランス語で綴られていたというからすごい。そして小池さんは書いています。 <敗戦前後について書き記した日記は少なくないが、渡辺のそれは、いわば全身全霊をかけて時代状況に立ち向かった「魂の手記」とでもいうべき切迫感がある。たとえば次の一説。 「この小さなノートを残さねばならない。あらゆる日本人に読んでもらわねばならない。この国と人間を愛し、この国のありかたを恥じる一人の若い男が、この危機にあってどんな気持で生きたかが、これを読めばわかるからだ」>p57-58 これも迫力の一文です。さらに、こう結びます。 <国家というビヒモス(怪物)が強権をむきだしにして国民を追い立てた時代に、一人の人間の立場から異議を唱えた人たちがいたことを思い返す。>p58 たかが3ページのエッセイですが、されどなのです。こうした内容のエッセイが続きます。秋の虫の声を聞きながら、ゆっくりとじっくりと読みたいものです。 この本、「幾時代かがありまして 茶色い戦争がありました 中原中也」から「権力は腐敗する 弱さもまた腐敗する ホッファー」まで、46の「忘れられない一言がここにはある」(帯より) これを書き、ポストし、ブログを読んでいますと、巌谷大四さんが90歳、老衰で亡くなったという記事がありました。心よりご冥福をお祈り致します。 ▼四谷書房のサイトはhttp://yotsuya-shobo.com/ こちらから。 #
by h_osd
| 2006-09-08 00:08
| 単行本
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