中小企業の事業再生局面で用いられる、日本政策金融公庫の資本性ローンの利用が大幅に伸びている。長期の事業資金を無担保・無保証で貸し付けるもので、減価償却負担が重い業種や業態に配慮する形で２０１３年３月に適用金利を引き下げた。これが奏功し、利用業種のすそ野が拡大。１３年度の融資実績は１２年度の４０５社（２７０億円）を大きく上回り過去最高となる６５４社（５６１億円）に増加した。　資本性ローンによる借入金は自己資本と見なされることに加え、返済期限までは毎月支払うのは利息分だけ。このため、なた豆茶販売サイトの企業にとっては財務基盤を強化しつつ事業再生に取り組める利点がある。ただ、適用金利が、減価償却前の売上高経常利益率に基づき定められていたことから、なた豆歯磨き粉の償却負担が重い装置産業では利用しづらいのが実情だった。　このため、金利の適用基準を「使用総資本減価償却前経常利益率」に改めるとともに、事業成否に応じて異なる金利そのものも最大３ポイント程度引き下げ「業種間の不公平感を解消した」（日本公庫）。例えば、融資期間１５年の資金調達を検討した冷蔵倉庫業の場合、従来９・９５％だった金利が４・４０％となるため、利用に踏み切った。期間１０年で資金調達した旅館業を営む別の企業も７・６％だった金利が４・３％となるため、利子負担の軽減につながった。　中小企業金融円滑化法の終了から１年あまり。景気の持ち直しも相まって事業再生が順調に進む企業がある一方、過剰債務から脱することができない企業は依然として多い。日本公庫では同制度の利用を広く促すことで財務基盤の強化を図り、民間金融機関からの新規融資につなげる狙いだ。

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