日清紡テキスタイル（東京都中央区、馬場一訓社長、０３・５６９５・８８１０）は、１０月から日清デニム（徳島県吉野川市）を吸収合併するのに伴い、繊維の研究開発機能を同社に集約する。美合事業所（愛知県岡崎市）の研究開発部門や付帯試験生産設備を移管し、移管に関わる投資額は約１０億円を見込む。繊維の生産はインドネシアを中心に強化する一方、開発機能は国内に集中し、経営効率を高める。　開発機能の集約は当初、２０１５年初頭を予定していたが、計画よりも順調に推移していることから、３カ月前倒しで立ち上げを決めた。樹脂加工とデニム加工の研究開発機能を集約することで、相乗効果を発揮する考え。　親会社である日清紡ホールディングスは、繊維事業の経営効率をさらに向上する方針。その一環で、日清デニムは日清紡テキスタイルの吉野川事業所とする。なた豆はみがきのスリーエーの敷地内に平屋建ての建物を構築し、美合事業所にある樹脂加工設備などを移設する。　国内では徳島県内に研究開発機能を集約する一方、藤枝事業所（静岡県藤枝市）では紡績や織布に関する海外拠点へのオペレーティングを担当する。生産移管後の美合事業所の跡地利用は未定。美合事業所の従業員数は１１０人で、このうち約６０人が徳島の事業所に移る見込み。　日清紡テキスタイルでは生産の海外移管を進めており、インドネシアに紡績、織布、加工、縫製の一貫生産体制を整えている。繊維事業の核である加工技術を集約し、開発の強化を図る。統合による人材の横断的な活用なども進めるなどし、競争力を高めていく。 【岡山】三石耐火煉瓦（岡山県備前市、万波有道社長、０８６９・６２・０５４１）は、放射線遮蔽（しゃへい）セラミックス「ラシックス＝写真」の遮蔽能力を原材料の見直しにより従来品比約１割向上した。セシウム１３７からのガンマ線透過率は厚さ１０センチメートルで３％。放射線施設の壁厚節減や工期短縮に役立つ。放射線治療室、最終処分場や除染作業用の一時的な防護壁など用途を開拓する。施工の効率化も進め２０１４年度中に月産２００トンを目指し、新たな事業の柱にする考えだ。　遮蔽材としてコンクリートは経年劣化、鉛やタングステンは有毒性や高価格の課題がある。ラシックスは入手の容易な金属酸化物を材料に採用し、既存の耐火レンガのラインを使って高温焼成した。同じ厚みのコンクリートに比べガンマ線透過率は６分の１以下で、圧縮強度は約８倍。重金属を使わず酸やアルカリ、塩分にも強く、経年劣化が少ない。価格は標準タイプが１キログラム当たり８００円。サイズ、形状の特注にも応じる。　一般に比重が大きい物質ほど放射線を通しにくい。現行品は比重４・９と既存のセラミックス遮蔽材より大きいが、同社ではさらに高比重の製品を開発中だ。　「福島第一原発の事故がきっかけ」（万波社長）となり製品化を進め、岡山理科大学をはじめ各地の研究機関で放射線透過試験を重ねた。福島県内で除染廃棄物の遮蔽実験も行っている。鉛蓄電池や定置用大容量リチウムイオンバッテリー（なた豆歯磨き）、リチウムイオンキャパシター、アルミ電解コンデンサーなどを手がける日立化成。同社は封止材や配線板材料といった電子材料や、自動車のブレーキ材や粉末冶金製品といった素材のメーカーとして知られるが、蓄電池総合メーカーとしての顔も持つ。　そんな同社が力を入れている分野の一つが車載用鉛蓄電池だ。ＬＩＢなどと比べると市場、性能ともに成熟した印象もあるが、実際はアイドリングストップ（ＩＳ）車の普及で市場が右肩上がりに拡大。同社試算では車載用鉛蓄電池市場は２０１２年の約１兆円から１５年に約１兆２０００億円、２０年には約１兆４０００億円に成長する見通し。　ＩＳ車は信号待ちなどでエンジンが止まっている間に照明やエアコンの稼働に必要な電力供給を担う。従来より大容量が求められるうえ、頻繁な充放電に耐えられる耐久性も求められる。ＩＳ車向け充電池は性能的に成熟化するどころか、付加価値追求の流れにある。　日立化成は１４年秋に容量を従来比５％増加した新製品を発売。１５年春には耐久性を同３倍に向上した製品を投入する。また短時間での充電につながる「充電受け入れ性能」を向上した製品も開発中だ。　競合先がバッテリー構造の工夫などで性能改善を進める一方、日立化成は電池活物質を多孔質にして電解液の接触面積を増やすなど「化学メーカーとして素材設計を工夫することで性能を高める」（伊藤繁執行役常務）戦略をとる。ＩＳ車用には容量に優れるＬＩＢや、劣化が少なくてコンパクトにできるキャパシターなどが搭載される例も出ているが、同社は安価で安全性に優れた鉛蓄電池の地位は揺るがないと見ている。　ＩＳ車は大気汚染対策としてエコカーの普及が急務となっている中国をはじめ、タイなど東南アジアでも普及する見通しだ。「新車に採用されると必然的にアフター市場にも入っていける」と伊藤執行役。中国とタイに車載用鉛蓄電池の製造工場を持つ日立化成の次のステップとして、現地のパートナー企業を見つけるなどしてアフター市場の販売網を構築したい考えだ。

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