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Last-modified: 2017-09-12 (火) 05:35:48 (2415d)

「相棒」
「あ〜いぼ〜う」
「なんだデルフ?」
「村雨ばっか相手してねぇで、俺っちも相手してくれよ」
「ん〜」
「泣くぞ」
「ん〜」
「怒るぞ」
「ん〜」
「あえぐぞ」
「すんません、それだけは勘弁して下さい」
此処は、才人が学院内に自作した風呂場の釜の中
才人は風呂に入りながら村雨を抜いた状態で、何やら考え込んでいた
「で、何を考えてるんだ?相棒」
「村雨って杖にもなるじゃん」
「そうだねぇ」
「ガンダールヴって全ての武器を使いこなすんだろ?魔力の無い俺にも、杖の機能も使いこなせないかと思ってさ」
「そいつぁ、新境地だね」
「だが、どうやってやろう?」
「試しにルーン唱えてみりゃ良いんじゃね?」
「それもそうだな」
ルーン自体は勉強会で基礎と応用の組み合わせ方法、普段頻繁に使われる呪文は教えて貰っていた
自身の系統なぞ知らないので、4系統適当に唱えるか
試しに着火を唱える
剣先にごく弱い炎が一瞬だけ着き消える
ウィンドブレイクを唱える
ごく弱い風が才人を少し撫でる
釜に向け錬金を唱える
釜の縁にほんの少しだけ錆が増える
ウォーターバレットを唱える
風呂のお湯から水滴がほんの少し飛び上がる
「……使いこなしてるじゃねぇか、相棒」
「……確かに使いこなせてるな、だけど」
「「これじゃ使えねぇ」」
はぁ〜と、深い深いため息をたてた
ハルケギニアでも、世の中は甘く無いらしい

自身への模索が続く才人と、それには気付かないルイズの前に、純白の衣装を着た亜麻色の髪の女性が来訪した
才人は彼女を見て感嘆する。ルイズと違い、出る所は出、引っ込む所は引っ込む
正に完全無欠。少々儚さをおびた表情は、庇護欲と征服欲を同時にそそられる
『なんで、ハルケギニアは美女,美少女ばかりなんだ。我慢するこちらの身にもなって欲しいわ』
と、突っ立ったまま考えてたら
膝をついた礼をするルイズから、叱咤が飛ぶ
「サイト、姫様の御前よ、臣下の礼をしなさい」
「んな事言われても、臣下になった憶えも無いし、礼も知らん」
「うっ、あたしの真似すれば良いでしょ。使い魔なんだから言う通りにしなさい」
「使い魔が、臣下の礼をしなきゃいけないなんざ、初耳なんだが?」
「貴方が噂のルイズの使い魔さん?使い魔さんの言う通りですね。ルイズの負けです。使い魔さんはそのままで構いませんよ」
「それでは」
ルイズの隣で臣下の礼をする
「なんで、最初からしないのよ」
「納得出来なかったからさ」
「今は納得したの?」
「ああ」
「何処によ?」
「胸」
「あああ後で憶えておきなさい」
クスクスクスと笑い声が響く
「本当に面白い使い魔さんですね。あのルイズが、そんな風に人と接するのは、初めて見ますわ」
「そんなお言葉、勿体無いのうございます姫様。この犬めはまだまだ躾が足らぬ無礼者でして、姫様の御前で無ければ、無礼討ちが本来妥当というものです」
「酷い言われ様だな」
姫様は名をアンリエッタと名乗り、依頼をルイズに持って来た
曰く、アルビオンの王子に手紙を届けて欲しいと
ルイズは感激し、二つ返事で承諾するが、才人はいまいち面白く無い
「報酬は?」
「な、何言ってるのあんた?姫様の依頼なんて大変名誉な事なのよ?」
「良いか、良く聞けルイズ。報酬を貰うってのは仕事を行うとして当然なんだ。例え友人にしか頼めない事であっても、金銭が絡めばそれはプロとしての仕事を要求される事になる」
「つまり、本当に姫様の為を思うなら、なぁなぁでこなすのではなく、報酬を貰う事により、自身の行動に責任を持て」
アンリエッタは、動きを止める
「あんたは使い魔の身分で、報酬欲しいからそう言ってるんでしょ?」
「いいえ、ルイズ。使い魔さんの仰り様は、正に真っ当であり、国の根幹に関わる部分に於いて、非常に重要な示唆を含んでます」
「私の方がお友達に気軽に頼む程度に考えており、その考えの浅はかさを、覚まして下さった使い魔さんには感謝致しますわ」
「姫様、この犬に其処までの言葉は勿体無うございます」
「これはアルビオン迄向かう為の費用です。報酬は改めてお支払い致しますわ。ルイズ、貴方が信用出来ると判断した者を伴うのは構いません」
「その分も別途お支払致しましょう。使い魔さん、私のルイズを宜しくお願い致しますね」
其所でアンリエッタが才人に向けて手をかざす
『これは確か、映画とかで見る手の甲にキスをしなきゃいけない場面だよな。でもハルケギニアじゃ口同士かもしれないし』
「何やってるのよサイト。キスしなさいよキス」
ルイズは小声でキスを促す
「キスね」
才人はおもむろに立ち上がり、アンリエッタの唇にキスをする
アンリエッタが驚き目をみはるが、更に舌の侵入を許し、パニックに陥る
右手で頭を抑え、左手を腰に回し、全身の感触を楽しみながら、アンリエッタの口腔内を存分に犯すと、アンリエッタはその場に崩れ落ち、真っ赤な顔で呼吸を整えた
今まで見た事無い大人のキスを眼の前で見せられ、ルイズは怒りより興奮を憶える
才人のキスが何をやってるかは解らないが、姫様が才人の動きに合わせて、身体をビクビクさせるのを見てしまい、言葉を失った
「いいい犬、あんた何やってんの?」
「キスしろって言ったの、ルイズじゃん」
「手の甲にキスしろって意味だったのよ」
「え、そうなのか。すいません姫様。間違えてしまいました」
「い、いえ、構いません。忠誠には報い無ければなりません」
崩れたままの状態で息も絶えだえ、アンリエッタは言う
そしてそのままの姿勢で手の甲を差し出す
『立てないのか』
才人はそう判断し、今度は間違えずに手の甲にキスをするが、アンリエッタがハンカチを取り出し、声を出さない様に食いしばるのをルイズは紅い顔して見る
「ちょちょっと才人、何してるの」
「見ての通り、やり直し(敏感過ぎだけど)」
「じゃあ、何で姫様があんなに苦しそうなのよ?」
「それは姫様に聞くべきだろう?」
「何でもありませんルイズ。使い魔さんは悪くありませんから」
「ですが」
「ルイズは使い魔さんとしてないのですか?先程の……とか」
「してません」
「あら、勿体無い」
「どういう意味でしょう?」
「そのままの意味ですわ」
「姫様、立てますか?」
段々険悪な空気が流れ始めたので、割って入る
こちらを見たアンリエッタは眼を潤ませ、かぶりを振る
「今日は何で来られました?」
「馬車ですわ」
「ではそこまで送りましょう、失礼します」
そういって才人はアンリエッタを背負う
「ひゃいっ!?」
アンリエッタはつい声を上げる
「ちょっと馬鹿犬、いきなり無礼よ」
「歩けないんじゃ、仕方無いだろう?」
才人に両足を抱えられ股間や胸が密着する
そこに才人が歩き出した衝撃が加わり、その刺激はアンリエッタの脳髄を溶ろけさせるには充分過ぎた
つい密着した股間を擦りつけ、胸が密着出来る様に可能な限り力をいれる
才人の首筋に、アンリエッタは顔を寄せ、悩ましい声を才人に送り続ける
「あ、はっ、ん〜〜〜〜っ」
「あの〜、姫様?」
「はっはっは、ふぅ」
「ルイズが見てますよ?」
「あ、何でしょう?」
耳打ちしながら、そのまま舐められかねない
「そんなに良かったですか?」
「はい、とても」
「想い人にだけ、見せた方が良いですよ。こちらも我慢するのは辛い」
かぁっと、アンリエッタは赤面する
「‥‥あの私達王族は」
「ストップ、それ以上は、この犬めには重いでしょう」
「申し訳ありません、つい」
「いえ、手紙の相手は想い人なのでしょう?」
「解りますか?」
「俺は異国の人間なので、手紙がどれだけ重要なのかは解りません」
「が、手紙一通を届けるには大仰過ぎますし、其れほど大仰にしなければならないなら、それだけの危険が待ち受ける可能性があり、その危険を犯してでもとなると、届けたい相手は限られますからね」
「家族又は恋人、重要な商談といった所ですか。姫様みたいに年頃なら多分恋人かなと」
アンリエッタは眼を丸くする
「使い魔さんは、本当に凄いですね」
「一応社会人だったもので、多少の経験は」
「経験だけで、身に付くものではありませんよ」
「買い被りですよ」
「謙遜なさるのね」
「あの、秘密とかで無ければ構いませんか?」
「そういうのであれば」
「実は、望み薄なんです」
「それでもですか」
「はい」
「大丈夫です。きっと気持ちも届きますよ」
「何故そう思いますの?」
「俺が仕事を承けたからです」
「先程とは違って、自信家ですのね」
「仕事と評価は別ですから」
「まぁ」
アンリエッタは楽しそうに笑う
「あんな姫様初めて見る、む〜」
馬車が見える所迄見えると、一人の騎士が此方に気付き、駆けて来る
「貴様、高貴なる姫様に触るとは無礼だぞ。即刻離れろ」
才人に剣を突き付ける
「アニエス、下がりなさい」
「ですが」
「この使い魔さんは、私が立てないのを知るや、此処までおぶって来て下さったのですよ。礼を言いこそすれ、剣を突き付けるとは何事です!?」
「此処は魔法学院ですし」
「私の恥を衆目に晒せと?」
「は、失礼しました」
「使い魔さんに謝りなさい」
剣を納め才人に向き、頭を下げる
「済まん」
「気にすんな。俺がお宅の立場なら、そうするさ」
其処でアンリエッタの腰が、微妙に動いてるのに気付く
「ちょっと待て貴様。やっぱり私が替わる」
「だ、そうですが、姫様?」
「使い魔さんは馬車迄持ちそうですか?」
「何とか」
「ではこのままでお願いします。アニエスは警護を」
「はっ」
「はいよ」
「馬車の中迄お願いしますね」
「了解しました」
馬車に着くと中に入り、アンリエッタを腰から席に座らせる様に降ろす
「使い魔さん」
アンリエッタは才人の手を取り、スカートの中に導く
「姫様凄。大洪水」
「使い魔さんのせいです。もし気持ちが届かなかったら、契約不履行の責任取って下さいね」
「はははは(どうしろと?)」
馬車から降りると、先程の剣士が話しかけて来る
「先程は済まなかったな」
「気にしない気にしない」
「しかし貴様、一体殿下に何をしたんだ?」
「見ての通り、おんぶ」
「なら何故、あんなに?」
「姫様に聞いてくれ。俺にも解らん」
「そうか」
「仏頂面ばかりじゃ、せっかくの美人が台無しだね」
「貴様、女なら誰でも良いのか?」
「只の感想だよ」
「モテる気は無い」
「勿体無い」
「仕事では不要だ」
「それは真理だね」
才人は深く頷く
「変な奴だな貴様。名は?」
剣士は目をぱちくりさせて尋ねる
「才人。平賀才人だよ」
「私はアニエス=シュヴァリエ=ド=ミランだ。改めて礼を言う。では」
「笑った顔は可愛いね、アニエスさん。またね」
アニエスは驚いた顔をし、馬車の護衛に戻って行った
「あぁ!?」
「どした?ルイズ」
「そういえば、姫様は水のトライアングル」
「へ、って事は?」
「自分で腰治せたんじゃないの」
「んな事は、俺は知らんぞ」
「解ってるわよ。やってくれるじゃない、あのアマ」
桃色のオーラが溢れ出し、才人はそれに震える
「才人、今の女性は誰だい?」
タイミングを見計らってたのだろう、マリコリヌが話かけて来る
ルイズを見ると首を振っている
「ルイズの友達さ。腰が抜けたんで、馬車迄送ってた所だよ」
「ルイズ、今の女性を紹介してくれないか?」
「い、嫌」
マリコリヌの気迫に思わず下がるルイズ
更にマリコリヌが、ルイズの手を取ろうとするが、マリコリヌの鼻先1サントに刃が突き付けられる
「はい、踊り子さんには手を触れない」
「わ、解ったから、これしまってくれ、才人」
「ったく、次からやり方考えろよな」
チン、村雨を鞘に収める
「わ、解ったよ」
「ルイズに触って良いのは、俺だけだっての」
「…馬鹿犬」
「…わん」
「今、聞き捨てならない言葉を聞いたのだけど、気のせいかしら〜?」
「何の事でしょう?マイロード」
「あんたがあたしの所有物であって、あたしはアンタの所有物じゃない!!」
「ギャン!?」
股間を痛烈に蹴られ、悶絶する才人
「ふん」

所変わって、ルイズの部屋
「はぁ〜、剣を突き付けたサイトカッコ良かったぁ」
「『ルイズに触って良いのは俺だけだ』ですって。ウェヘヘヘヘヘ」
『相棒。早く帰って来てくれよう。嬢ちゃんキモチワリィよう』
おぶる際に邪魔なので、置いて行かれたデルフである


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