晩春の黄葉
北海道の友人の庭ではプリムラやオムファローデスが満開を迎えているという知らせ。
関東のGWを彩る植物はサツキやツツジにハナミズキ。
当家のベランダでは仕事を終えて長期休暇に入ろうとする植物ばかりで、夏に向かって活動を開始する植物は2〜3種だけであります。
ヒガンバナ科の植物が多いベランダは殆どの葉が黄変をはじめて休眠に入ろうとしているところです。
旺盛で華やかな春の庭・・・というイメージとは逆に葉を枯らせていくものばかり。
強い日差しに当てないように少しでも日陰になる場所へと移動させてやらなくてはいけないこの季節。
球根植物の多くは来季に向けてこの時期のケアが最も大切な仕事のひとつ。
少しでも多くのゆるい日照を保ちながら、少量の水と薄い液肥を与えつつ、「最後の光合成」の仕事を支えてあげなくてはいけません。
この緩やかな晩生機をしっかりと作ってあげられるかどうかが秋からの活動期に大きく影響するのです。
なぜかと云うと、球根植物の多くが展開させた葉に残った養分を球根に向かって逆流させながら回収する時期がこの黄葉期だからです。
黄色く枯れてしまって見苦しいからと云って黄変した葉を取り去ってしまわないように。
養分の回収を終えてカラカラになったのを見届けてからゆっくりと枯葉を整理する、見守る心のゆとりが必要な季節なのです。
原種シクラメンのローフシアナム、30cmのプラ鉢からは毎日のように表面の用土がこぼれてきます。
今年はやっと黄変が始まったところですが、葉から回収する養分で球根(塊茎)が肥大(膨張)しているから土嵩が増してきているのです。
ブルンスヴィギア・ボスマニアエの葉は5日の間で緑色から黄色に変化し、葉を落としました。
休眠期に入っても根は動いているので決して水は切らさずちょぼちょぼと与え続けなくてはいけません。
秋から冬にかけてにたくさんの花を咲かせたネリネは夏季生育型の一部を除き黄葉を始めました。
梅雨期に入るまでは黄色に染まるベランダを眺めながら過ごす週末です。
毎年のことではありますが、晩春から初秋にかけてはガーデン・ネタがなくなる拙ブログです。
仕事のネタは掲載しないことにしましたので、やすみやすみ音楽ネタでもアップしてみたいと思います。
仕事と孫と音楽に植物、ときどき妻。いや最近は自分の身体の心配?
ゆるやかに時間が過ぎて行く黄金週間です。
ラケナリア・クリプランデンシス
春眠暁を覚えず。
春の彼岸が近づくと眠くなる。
気温の上昇と関係があるのでしょうか?
目覚めが悪くなるのではなく、夜の11時を過ぎると急に眠くなる気がします。
ラケナリア・クリプランデンシス(Lachenalia kliprandensis)の花が1週間でほぼ頂上まで咲き上がりました。
今年は例年よりも咲き進む速度が早いですね。
急に春がやって来た印象を強く受けます。
キジカクシ科(ユリ科・ヒアシンス科という説もあり)、南ア原生のケープバルブのひとつです。
15年ほど前には10種ほどのラケナリアを育てていましたが、いまはこの個体を含め4種類ほどに淘汰(?)されました。
スイスの植物学研究家ベルナール・ド・ラシュナル(Werner de Lachenal)に献名されています。
一番大きな花穂の長さが23cm。二番目が17cm。
2008年に初めて花を見た個体なので既に16歳を超えた球根です。
一球しかなかったものが8球まで増えました。
考えようによっては成長が遅く、なかなか分球しない種ともいえるでしょうか。
しっかりとした生育環境を作って上げればもう少し大きく育っていたことでしょう。
どうも私の場合はネリネの育て方に近づいていってしまうようです。
ラケナリアはこまめな手入れをしていないにもかかわらず毎年元気に花を咲かせる丈夫で忍耐強い植物。
まあそういうものしか当家では生き残っていないのですが。
さて毎週のようにしつこくアップしてきたアネモネ・パブニナの八重に変化してしまった個体のその後なのですが、一番花をカットしてから今朝は四番花まで開花しました。
春に開花する植物は、なぜか花の命が短い傾向にある印象なのですが。
そう感じるのは私だけでしょうか。
こちらが「二番花」↑
これが「三番花」↑
そしてこちらは「四番花」↑
奇数の開花に八重咲き性質が強く表れています。
四つめの花は既に八重咲きではなく単なる多弁花に先祖返りしてしまっているように見えます。
突然変異で八重咲きが出現した・・・、春の夢と思いつつこの先の変化を見守りたいと存じます。
なお、開花終了後と次の秋の発芽の際にはジベレリンの散布を実行するつもりです。
こうなったら実験植物として頑張ってもらおうと思う次第です。
春の朝はベッドから起き上がることが辛い季節?
熟睡は良いことなのですが、寝過ごさないようご用心。
見納め
暖冬と云われていてもなかなか最低気温が上がらない関東の冬です。
天気予報では今週から再び春らしい気候が続き、第4週には桜の開花が見られそうです。
ベランダではラケナリア・クリプランデンシスが咲きはじめました。
彼岸のあたりで満開を迎えるはずなのでおおよそ例年通りの生育状態のようです。
花穂の下から少しずつ開花がはじまり、頂上に至るまで10日〜2週間。
咲き進むスピードが気温の上昇と比例しているので今年はよく観察しておいて上げないとすぐに終わってしまうかもしれません。
当家にやって来てから十数年、毎年確実に花を咲かせる種です。
今年は花を咲かせることができそうな花穂が5本。
華やかな桜の開花に隠れて少し気の毒なラケナリアです。
こちらは原種シクラメン・コウムのCSE21/N88397という採集地コードナンバーが付されたいわゆるプラチナリーフの個体。
秋から春にかけてギラギラした怪しいプラチナ発色を見せる葉を持つ種なのですが、花はそれほど派手ではなく小さめで控えめ。
花の色は濃いピンク色の蕾から花が進むと薄く紫色に変化する性質があるようです。
まだまだこの先、どういう変化を見せるか野生種特有のワクワク感がある個体です。
さて飽きもせず3回目の掲載ですが、アネモネ・パブニナの「八重咲き」に変化してしまった個体です。
一番花の開花発見が2月21日でしたので、本日で18日間咲き続けていることになります。
一般的なアネモネ・パブニナは一重咲きで花の寿命は1週間から10日間。
このまま放置していては株(または球根)の負担が重なるのでこの後カットしなくてはいけません。
これが奇跡的な花の最後の画像になります。
来季もまた同様の花が見られる保証はありませんので。
結局最後まで蕊が見えませんでしたので、完全な八重咲と呼んで差し支えないのだと思います。
ちなみに3日ほど前に開花した二番花。
ネイビーカラーの雄蕊が見えて、八重咲状とは云え「多弁花」と呼ばれる範囲に収まっています。
三番花の蕾も開きそうなので観察してみたところ、花弁の数は先行する花よりも少なめに見えます。
八重咲きの素質ありと云えども、まだ固定できそうな性質では無いようです。
暑さに強い性質のアネモネ・パブニナと云えども昨夏以上の猛暑が予想される今年の夏を乗り切ることができれば、来年もまたワクワクが続くかもしれませんが、東京のマンションにおけるベランダの温熱環境は年々植物にとっての夏越しのハードルが上がって行くことになるでしょう。
この画像が見納めになってしまうかもしれません。
この花と私が元気に来年の春を迎えられたなら、懲りもせずまたここにアップしますのでまた一年後にみに来てやって下さいませ。
アネモネ・パブニナの八重咲き
前回(2月23日)のお知らせにて掲載した「アネモネ・パブニナの八重咲きのような変異」についての続報なのですが、その後咲き進むにつれて特徴が判明してまいりましたので画像をアップしておきます。
2月20日に開いた花の様子がこちら。↓
そして2月27日の朝の様子がこちらの4点の画像です。↓
おそらく開花のピークがこの日になるのだと思われます。
直径は約65mm。
そして本日3月2日の朝の様子がこちらです。↓
いかがでしょうか?
まだ蕊が見つかりません。
まぎれもない「八重咲き」になったと思います。
アネモネの園芸種には八重咲きが存在しますが、原種パブニナとしては大変珍しい変異です。
八重咲き変異というのは雄蕊・雌蕊が花弁化してしまう現象。
この個体の花も蕊はほぼすべてが弁化してしまったように見えます。
念のためもう一度アップしておきますが、同一個体の昨春3月25日の花の画像がこちらです。↓
アネモネ・パブニナの代表的な一重の花姿ですね。
通常パブニナの花弁数は10枚前後。
この個体は20枚を超える花弁数なのでいわゆる多弁花の素質を持っていました。
八重咲きへと変異することがあるとするならばこういう形質を持った個体なのかもしれません。
育種家の横山直樹さんのインスタで拝見した記憶があるのですが、何輪か咲いたあとの晩成期にごく稀に八重咲きの変異が出現することがあったようですが、上記の花は今季の一番花です。
今後どのように変化または先祖返りをするのでしょうか?
ネット上で「アネモネ・パブニナの八重咲き」がどのくらい出現しているのかググってみましたが、事例は見つかりませんでした。
ちなみに二番花の蕾も開花間近です。↑
今のところなんとも云えませんが、一重にも八重にも見えます。
因果関係は定かではありませんが、種無しマスカットを作るために利用されるジベレリンにより八重咲きアネモネ・パブニナができてしまったというお話しでした。
ホルモン剤のひとつであるジベレリンを開花直後のマスカットの幼果に漬けて種子が出来ないように処理する訳ですが、上記のパブニナの花も蕊が弁化しているので同様の現象が起こった可能性があります。
これからこの個体の性質が固定されるのか、単なる変異で終わってしまうのか・・・
しばらくの間は目が離せません。
こちらもトピックになるほど立派に育ったラケナリア・クリプランデンシスの花穂が隣に居るのですが、影が薄くなってしまった気の毒な存在です。頑張っているのにねえ。↓
今日はこのあと2番目の孫のハーフバースデイとひな祭りのセレモニーに行ってまいります。
八重咲変異
火曜日の最高気温24℃はいったい何だったのだろうか?
4月の気候から真冬の気候へと逆戻りの東京。
三連休のはじまりの金曜日の最高気温は4℃。
三日間で20℃も気温が下降すると身体に変調をきたす人も多いのではないでしょうか。
春がきたかとセンサーが勘違いするのは動物に限ったことではなく、リズムを狂わされている植物たちも多数見受けられます。
当家の原種シクラメンは全体的に成長が思わしくありません。
昨年の夏、30℃を超える高気温の日が約2ヶ月間続いた影響を受けて夏越しがうまく行かなかったのかもしれません。
原種コウムのアルビッシマムの花。
葉の数は昨年よりも多いのですが花の数は昨年以下。
気象庁による今季の長期予報によると、夏の暑さは昨シーズン以上なのだとか・・・
当家ベランダの夏の陣。いよいよ変化へ適応力が試される時を迎えそうな2024年です。
とっくに終わっているはずの原種のネリネ・アルタはまだ花が残っていて、これが今季の見納め。
昨年までは観察できなかった種子がいくつか出来上がっているので初めての種子蒔きからの育成にも挑戦してみようと思っているところです。
その横ではラケナリア・クリプランデンシスが高気温の影響で一挙に花茎を伸ばしたところでストップモーション。
昨シーズンはその花が約15cmの長さにまで達したので、今季は記録の塗り替えがあるかどうか。
蕾が8つ見えるので全てが開花すればかなり見応えのある姿が期待できます。
さて本日のテーマなのですが、毎年バレンタインデイからホワイトデイにかけて花を見せる原種のアネモネ・パブニナに不思議な変化が起きつつあることをご覧いただこうと思います。
今季初めての開花を迎えたのですが、ちょっと変な咲き方なのです。
この個体の昨年の3月下旬の花はこんな姿でした。↑
濃いピンク色の花で、咲き進むにつれて色が変化するタイプ。
まあパブニナによくある花色ではあるのですが、発色が比較的鮮やかで多弁化する傾向があったので、花が終わって葉っぱだけが残った昨年4月にホルモン調整剤のジベレリンを散布しておいたのです。
ひとつの球根から普通の花と多弁化する花が見られたので、変化に対する素質がある個体なのかもしれないという勘でした。
ジベレリンの使用は主にネリネとシクラメンが対象だったのですが、少し余っていたのでアネモネ・パブニナの葉面と土壌にも散布してみたのです。
休眠を終えた昨年の10月、特に変化も無く普通に葉が展開してきました。
今春の開花シーズンも違えずに4つほど蕾が上がり、その一番花が咲いた姿がコレなのです。
いわゆる「八重咲」に変異してしまったのです。
花の色にも変化が見られ、いわゆるフラッシュが入っているのが観察できます。
アネモネ・パブニナから突然に八重咲が出現するという情報は聞いたことがあるのですが、この眼でそれを確認するのは初めてのこと。
ちょっと驚きました。
まるでクリスマスローズのような咲き方です。
開花してから数日が経過しましたが、今日現在でまだ「蕊」が見えて来ません。
「八重咲」というのは特定の遺伝子の成長が抑制されたことによって雄蕊が花弁化してしまう現象のようで、こういう変異は決して珍しいことでは無いらしいのですが、自分の手元で植物を育成していて初めて経験することです。
これはジベレリンの悪戯なのでしょうか?
そう云えば、ネリネや原種シクラメンのローフシアナムなどにもジベレリン投与の効果とみられる花や葉の数が増えるという現象が確認できました。
ちょっと不思議な現象です。
変化に対する驚きもさることながら今後異常な生育をしないかどうか心配もあります。
おそるおそるパブニナの今後の開花を観察してみようと思います。
春の珍事のレポートでした。