池袋暴走事故 遺族のブログ

池袋暴走事故 遺族のブログ

平成31年4月19日、池袋において発生した交通事故。10人が重軽傷を負い、私の最愛の妻と娘の尊い命が奪われました。
再発防止について活動して行きます。
何卒よろしくお願いいたします。




妻と娘が亡くなって5年。

会えなくても、抱きしめられなくても、いつまでも2人を愛している。愛しているからこそ悲しい。

この愛と悲しさを、事故防止活動のエネルギーに変えていく。

まずは、加害者と面会の準備を進めます。
面会は、彼を責めるためじゃない。

失敗した人の言葉には、未来の誰かが同じ過ちを繰り返さないためのヒントが隠されていると思う。

例えば、「社会がこうあれば、免許制度がこうあれば、医療がこうあれば、車の技術がこうあれば、自分は事故を起こさずに済んだかもしれない。」
というような言い分をバンバン言って欲しい。私はそれで怒らないし、社会の人々にも怒らないで欲しい。彼の言い分を、今後の活動に活かしたいから。

もちろん私も人間だから、彼に対する怒りは完全なゼロではない。
しかし2人が私に教えてくれた愛を、今を生きる人々に向けたい。誰もが被害者にも加害者にもならない社会になりますようにという願いを込めて。

真菜、莉子。
出会ってくれてありがとう。生まれてきてくれてありがとう。愛してくれてありがとう。
2人と過ごした日々が愛しい。お父さんは2人に出会えて、心から幸せだと思う。
2人の命を無駄にしたくないと思って活動をするから、いつかまた会える日まで見守ってて欲しい。いつまでも愛してる。

【告知】
明日4月20日 午後5時半から
TBSの 報道特集 にて特集されます。是非ご覧ください。


  加害者からの返答がありました

 先日お伝えしましたが、心情等伝達制度を使いました。

 

  どのような回答だったか

 答えないという選択肢もあったなかで、真摯に答えてくれました。 

「被害者と加害者という立場を超え、一緒の目線で再発防止を考えることが重要」という私の意見を理解し、再発防止の議論が進むため答えてくれたのだと思います。

回答の社会への公表、そして、 面会や対談も受け入れてくださる姿勢でした。

 

  以下、回答の要約

  私が提出した心情伝達内容

  報道

東京新聞の記事。

私の質問の意図まで書いてくださり、非常にわかりやすく書いてくださっています。

 


また今後動きがある場合は、またご報告いたします。

  池袋暴走事故の加害者に対し、「心情等伝達制度」にて心情を伝える

 

 

  心情等伝達制度とは

刑務所の職員を介して、被害者が加害者本人に心情を伝えることができる新たな制度です。

 

  心情等伝達制度を使った理由

 妻と娘の命を奪われた以上、罪を償って貰うために、必死に闘いました。その結果、彼は今、刑務所で服役をしています。

 

しかし、本当に大切なことは、罪を償うこと「だけ」ではないと私は思っています。

彼は過失犯であり、過失というのは「ミス」です。人間はミスをする生き物です。

 

本当に大切なこと。それは、誰しもが同じミスを二度と起こさず、同じような加害者と被害者を生まないよう、社会が取り組むことだと私は思います。

 

被害者と加害者という立場は明確に違う。

それでも、その立場を越えて、一緒の目線で再発防止を考えることが重要だと思っています。

私は彼の経験と、その言葉を社会全体の財産にしたい。だから、彼が私に想いを話し、それを私が社会に発信したいということを伝えてきました。

 

具体的には、以下の内容を伝えてきました。

 

  以下伝達内容

※刑務所職員と話し合いをする前に、私が事前に作ったメモです。

 

1.  命を奪いたくて奪ったわけではないのは分かっている。真菜と莉子のことは忘れないでほしい。

2.  再発防止に向け、高齢ドライバー問題についての、意見や経験を聞かせてほしい。

①    自分はどうすれば、この事故を起こさずに済みましたか。

②    高齢者として、どのような社会であれば、事故を起こさずに済みましたか。

③    病院までの無料または500円程度の送迎サービスなどがあれば使いましたか。

④    医師から、明確に運転を止められていたとしたら、あなたは運転をやめていましたか。

⑤    パーキンソン症候群が運転をしてはいけないという分類に属されていたとしたら、運転をやめていましたか。

⑥    家族からどんな声掛けがあれば、運転をやめようと思いましたか。

⑦    高齢で刑務所に入る苦しみはどのようなものですか。

⑧    事故当時パーキンソンまたはパーキンソン症候群の可能性があると感じていたか?

 

3.  上記①〜⑦の回答を社会に伝えたいのですが、いかがですか。

駄目であれば、①〜⑦のどれであれば伝えてよいですか。

 

4.  近いうち面会をしたい。

近いうち、面会の申し込みをしたい。あなたには断る権利があるので、断ることもできる。怒りや恨みをぶつけたくて会うのではありません。人と人として、向き合ってお話ししたい。もちろん体調面は考慮するので、考えてほしい。

 

5.  出所した後、対談したい。

 

6. 最後に

人類はこれまで、先人の失敗から学び、同じ過ちを繰り返さないよう工夫し、社会をより良くしてきました。そして、あなたは日本社会を技術面から支え、多くの人を幸せにしてきた人だと思う。

だから私は、あなたの言葉を聞き、私が伝えることで、社会のためになるよう行動してほしい。あなたの経験や失敗を無駄にしてほしくないから。

この願いは、自分のエゴだと思う。もし話したくないならしなくてもいい。でも、一緒に再発防止のために。高齢ドライバー問題の解決の糸口となるために、発信しませんか。真菜と莉子のため、そして社会のため、あなた自身のためにも、検討していただきたい。

私は、二人の命を無駄にしないため、「世の中から交通事故をひとつでも減らしていく活動」をこの5年間してきた。なぜなら、妻と娘の命を無駄にしたくないから。そして遺された遺族の苦悩や葛藤も無駄にしたくないから。同じような苦しみを誰にも体験してほしくないから。

そして、あなたの経験や苦悩も無駄にしたくない。あなたの失敗を、社会の財産にしてほしい。「自分と同じような加害者が生まれてほしくない」という視点を一緒に持ちませんか。

私にとっては、もうそれしか救いがない。二人の命は戻らないから。そして、あなたにとっても救いになるのではないでしょうか。

 

※2-⑥に関しては、彼のご家族を責める意味ではありません。今後の私の活動に活かしたい想いです。

 

  今後について

今後、刑務所の職員から、加害者の返答やリアクションが帰ってくることになります。

出来ることなら、想いが通じ、より良い返答があることを望みます。