本日お会いする著者は、ばりばり左翼の護憲派。本日のブログのタイトルが出す予定の本のタイトルだ。

 

 五野井さんのことをはじめ自衛隊内のパワハラ、セクハラが問題になる。その問題を全国的に取り上げ、解決のためにがんばっている「自衛官の人権弁護団」があって、そこの本ということになる。

 

 どんな角度からの本なのかというと、本の序章の目次を見ていただければ分かるだろう。以下だ。

 

 自衛隊の出自(創設70年)と集団的自衛権・安保3文書

 自衛官は兵士である前に市民であり、治外法権は許さない

 自衛官の人権を守ることは、軍事政策を誤らせないこと

 憲法9条を守り平和のうちに生きる権利を実現すること

 戦後の民主主義国家の軍事制度から学んで

 という主旨の本をつくりたいと考えていまして、本日午後、著者をお訪ねします。ずっと探り続けている安全保障論の延長線上ですけれど。

 

 ウクライナ問題の先行きがなかなか見通せません。共産党内にもかなり停戦論が広がっていますが、党中央はそれに対して、ロシアの侵略を容認するものだとして、痛烈な批判を浴びせているようです。

 

 じゃあ、ウクライナに対する軍事支援を強化するのかというと、それは主張しない。国連憲章に沿った世界の世論を高揚させ、ロシアを撤退させるのだと。

 

 一方、ウクライナ側は、欧米からの武器の供与抜きにそもそも戦えない。しかも現在、供与した武器はロシアのミサイル基地に対する反撃に使ってはならないという制約があり、いつまで経ってもミサイル攻撃は終わらないわけです。

 

 これは専守防衛の弱点でもあります。軍事的には、相手側の基地を叩くことなしに、防衛も成功しない。ウクライナのように専守防衛に徹することは、犠牲を積み重ねることでもあるわけです。

 

 では、ウクライナ側にロシアの基地攻撃を許可するとすれば、本当にロシアが参ったとなるのか。逆にさらなる大規模な戦争になっていって、ウクライナの犠牲も増大する可能性もあります。

 

 軍事的な合理性からして何が大事なのか。侵略を容認しないかたちでの停戦に結びつけるには、軍事的合理性にも制約があるのではないか。

 

 考えるべきことは多く、複雑です。よーくご相談してきます。

 6月20日刊行に向けて順調に進んでいます。本日、再校ゲラを出版社にお渡しして、私の仕事は終了です。

 

 見ていただければ分かりますが、サブタイトルは、「シン・日本共産党宣言Ⅱ」となりました。柳の下のドジョウになっちゃったりして。

 

 

 

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〈6月末まで常時掲載〉共産党からの除名撤回を求める裁判の第1回目の期日は6月20日(木)の午後2時から、東京地裁第421号法廷です。この日の午後6時より、池田香代子さんとの対談を行います。会場参加ご希望の方は、応援隊ブログから申し込んでください。なお、その日、裁判闘争を闘うために執筆中の『私は共産党員だ!』(文春新書)が刊行されます。6月末時点で私のメルマガを年間契約(8400円)してくださっている方には本をプレゼントしますので、それまでにメルマガをここからお申し込み下さい。

 先日のメルマガ第12号で、共産党を除名されたものの再審査権限を大会・中央委員会のみに限ったのは15大会(80年)と書きましたが、16大会(82年)の間違いでした。主張していることの中身が変わるわけではありませんが、お詫びして訂正します。メルマガの訂正は次号でも行いますが、まずブログでお知らせしておきます。お詫びの印に、党大会の関連部分を引用しておきます。

 

「党規約の一部改正の討議についての中央委員会の報告」(茨木良和常任幹部会委員、82.7.30)

「最後に、第69条の一部改正では処分をうけた党員と被除名者の扱いについて分離し、被除名者の再審申請については、『原則としてつぎの党大会までの期間に』とし、あわせて問題の性質からして中央機関のみで処理することとされました。これは再審を無期限にうけつけることになっていた現行規約のもとで、1948年にスパイで除名された者が、再三中央委員会に再審を申し立て党内の一部を攪乱し、挑発しようという例が生じた経験などから、改正案のようにあらためようとするものです。

 この改正案では、除名以外の処分をうけた党員の不服、再審の申し立てには期限が設けられていません。その点はどうかという意見も一部からでていますし、処分を受けた党員が、そのときは申し立てもせず、関係者の再調査も困難な時期になってはじめて再審を請求するのは道理がないので、処分された党員の再審請求についても期限を設ける方向で本大会で改正案を補充することとしたいと思います。」

 

「党規約の一部改正の討議についての結語」(茨木良和常任幹部会委員、82.7.31)

「最初に、規約改正についての報告で、処分された党員の再審査申請についても期限をもうける方向で本大会で改正案を補充することにしたい旨をのべておきましたが、中央委員会はけさお配りした文案(別項)どおりに第69条の2項を改正することを本大会に提案することにいたしました。この点を報告しておきます。」

 〈別項。規約第69条2項の追加改正をいれた改正案(傍線部分)〉

 処分をうけた党員は、その処分に不服であるならば、再審査をもとめることができる。また、中央委員会および党大会にいたるまでの上級機関に訴えることができる。被除名者は、処分に不服であるならば、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる

 再審査申請および上級機関への訴えは、原則としてつぎの党大会までの期間におこなうものとする

 狭い世界でしか話題になってこなかった事件である。私にとってはきわめて大きな意味を持つ事件なのだけれど。とはいえ、読売新聞22日付(水)の東京都民版に記事が掲載されたので、東京在住の読売新聞読者には少し知られたかもしれない。

 

 なお、「東京土建一般労働組合事件」とは、裁判所の判決文で使われている言葉である。どんな事件かは、新聞の記事を引用する。

 

「(東京土建の)複数の組合員は19年8月、政党への要望活動などのために任意団体を設立。20年8月、自民党都議に住宅リフォームの助成制度創設の要望書を出した。これに対して組合は規約が禁じ『組合の分裂を企てたり、混乱をもたらしたりする行為』と認定。……活動にかかわった役員2人を除名、別の役員2人を役職罷免(ひめん)などとした。」

 

 その後、除名された原告が東京地裁に提訴して勝訴し、東京高裁も地裁判決を支持。最高裁は今年2月、被告(東京土建)の上告を退けたというのが、この事件の経過だ。

 

 判決文がすごい。そのうちメルマガで解説しようと思うが、東京土建が組合員を除名した論理と手続きが、共産党が私を除名したそれと瓜二つなのだ。判決文はそれを完膚なきまでに否定している。

 

 ということで、近く仕事の出張で東京に行くのだが、時間を割いて原告にお会いすることになった。お伺いしたいことがいろいろあるので。

 

 そういえば、部分社会の法理が最初に打ち破られたのは地方議会の分野で、議員に対する出席停止処分を違法だとして最高裁が判示し、かつての判例が覆ったのだが、その原告だった議員(無党派)の方にも連絡をとったほうがいいかもしれない。部分社会の法理と闘う人びとの連合体をめざすとか。奈良や沖縄では、共産党の地方議員も出席停止処分を裁判で闘っているので、共産党も含めて「統一戦線」が出来たりして(笑)。

 

 まあでも、本業の仕事が最優先。9月には、自衛隊、九条、安全保障論で、あっと驚かれるような本を3冊出す予定であり、そのための出張なので。