BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Mike Nockというピアニストの名を知ったのはThe Fourth Wayといバンドのアルバムを手に入れた時であった。Jazz Rock関係の音盤を手当たり次第に漁りまくっていた頃、意味深なバンド名と4人のMusicianが笑顔をふりまくジャケットに妙に違和感を覚えつつ手に入れたのだが、当時はそれほど夢中になることはなかった。Michael Whiteが弾くViolinをFeatureして殆どの楽曲を手掛けるLeaderのMike Nockがエレピを弾いているのであるが、自分がそれまでに耳にしたViolin、エレピ入りのJazz Rock超絶名盤の数々の衝撃度があまりにも強すぎたのかもしれない。ベースのRon McClureとドラムスのEddie Marshallは共にお気に入りのMusicianでリズム隊はご機嫌であったのだが、楽曲としては当時の自分にピンとくるものがなかった。そして、本作と出会うことになり、Mike Nockというピアニストに興味を持つようになった。その頃はECMのアルバムを真剣に次々と聴き始めた頃であった。そのMike NockがECMに唯一残したこのアルバムは、硬質なLyricismとジャケットのように幽玄な世界が描き出された正にECMとしか言いようがない作品。当時、このアルバムをJazzではないと評した人が少なからず存在したのがよくわかる。ジャンルなど全く関係がない、これはECMの作品としか例えようがないのだから。Mike NockはNew ZealandChristchurchに生まれ、11歳でPianoを習い始め、18歳の頃にはAustraliaで演奏するようになっていた。60年代に渡米しBerklee College of Musicで学び、Yusef LateefのGroupに参加して『Live at Pep's』や『1984』といったアルバムでピアノを弾いている。60年代後半にはエレピ、70年代にはSynthesizerに積極的に取り組み、柔軟性をも持ち合わせた鍵盤奏者ではあるが、本質は唯一のECM作である本作にあるのかもしれない。

 

 『Ondas』はMike Nock82年ECMからリリースしたアルバム。ベースにEddie Gómez、ドラムスはNorwayが生んだECMには欠かせない独特の世界を持った名手Jon Christensen

アルバム1曲目は“Forgotten Love”。左手のベースと右手のBlock ChordをまじえたゆったりとしたピアノのRiffで始まり、Eddie Gómezのベースがピアノのフレーズと絡む。MinimalなピアノがHipnoticにずっと鳴り響いていく。Jon Christensenは殆ど叩かずSymbalでアクセントをつけているが、後半にようやく本領発揮でNockの繰り出すフレーズに呼応して盛り上げる。Gómezのベース・ソロは、まあ音数多く、いつもの手癖などが出てはしまうが雰囲気をうまく出してはいる。

タイトル曲“Ondas”は打ち寄せる波のように強弱をつけては浮遊するNockのフレージングに酔いしれる。Steve KuhnRichard Beirachとも異なる、その硬質な抒情は独特だ。

Visionary”は静謐で深遠な正にECMらしいNockのPianismが表現されたナンバー。ECM独特の素晴らしい録音がNockの明確なタッチが生み出す抒情的な世界を申し分なく伝えている。

Land Of The Long White Cloud”は美しく儚い、幾分抒情成分が多い映像を喚起させる音世界ではあるが、Steve Kuhn同様に安直ともいえる耽美的な抒情に終わらないImaginative深遠な世界が繰り広げられている。

Doors”はChristensenの繊細で思慮深いCymbalSnareから始まる。NockはMysteriousなChordを刻み、この時点でグイグイ惹きこまれてしまう。Gomezのウネるベースと共にNockは心地良く次々にフレーズを繰り出していく。Gomezのベース・ソロはやはり弾きすぎではあるが、それほど雰囲気を壊していないので良しとしよう。終盤のChristensenのドラミングは素晴らしい

(Hit-C Fiore)

Easier Said Than Done/Shakatak

 NewJeansの新曲が、やはり圧倒的に素晴らしい。心地良すぎて一日中何回聴いていても飽きない。なんて気持ち良いんだろう、FluteSynthe Bassの使い方もさることながら、やっぱりVocal、Chorus、Rap、Voiceの絡み方、Ensembleがセンスありまくりでヤバ過ぎるのである。まあ元ネタとか、どうでもよくなってしまうぐらい素晴らしい。MVVideo Tapeを挿入ところから始まり、扇風機ガラス玉風船シャボン玉時空を超えた初夏の思い出なのか、Nostalgicで新しい。正にRetro Future80~90年代のさまざまな音楽のエッセンスを取り入れ最新のBeat感覚再構築して永遠に輝き続けるEvergreenな音楽を新たに生み出す。何より音を詰め込み過ぎず心地良すぎる声の響きとEnsembleを前面に出すのが正に未来へと向かう音楽なのであろう。定番のChord進行なのにMelodyの絶妙なのせ方DeodatoKnights Of Fantasy的なRhythm Accentの付け方がセンス抜群。

 さて、Shakatakである。元々はCanterburry周辺のMusicianとも関りのあったDrummerで創設メンバーのRoger Odellが結成していたCMU、そしてTrevor Hornも参加していた(後に脱退)Tracksというバンドが母体となっている。“Easier Said Than Done”はJazz Funk Bandとしてスタートした彼らが81年にリリースして初のTop 20入りしたナンバー。定番のベースが下降する心地良いChord進行女性VocalをFeatureしたこの曲が、彼らの翌82年の大ヒット曲で代表曲となる“Night Birds”へ繋がることになる。興味深いことに女性Vocalの一人Jill SawardはRock BandのFusion Orchestraで歌っていた人で、その頃の声をはり上げた頑張り過ぎるVocalとは正反対の力の抜けたVocalになってShakatakで自然で心地良さそうに歌っているのは興味深い。

 

Night Birds/Shakatak

  

 “Easier Said Than Done”はShakatakが82年にリリースしたアルバム『Night Birds』に収録されていたナンバー。同時期のJazz Funk Band Level 42は良く聴いたけれど、こちらは正直苦手ではあった。それでもPopで泣きのMelodyもある彼らの曲はJazz FunkというよりはCatchyなMelodyを持った耳障りの良い、どちらかといえばFunk風味のFusionみたいな感じで当時のバブルに向かう前の日本で大いに人気を集めたのであった。

(Hit-C Fiore)

 Johnny Winter AndのLive盤とくれば、もう怖いものなしのご機嫌なブツに決まっているわけで、曲が書けて歌える、勿論ギターもバッチリのOhio州出身のギター小僧Rick DerringerとThe McCoysでDerringerと一緒だったJimi HendrixとSession経験もあるIndiana州Winchester出身のベーシストRandy Hobbs、そしてドラムスは後に泣く子も黙るCaptain Beyond~ArmageddonでそのAggressiveでキレキレのドラミングを披露するBobby Caldwell(あの“What You Won't Do for Love”のボビコさんではないっす)ときたもんだ。2本のギターにベース、そしてドラムスというThe Beatles以来Rockの基本形ともいうべきQuartet編成Bluesyで熱いRock魂が炸裂しているのだった。大将Johnny Winterは68年にAustinのSonobeatからDebut Album『The Progressive Blues Experiment』をリリースした頃は4曲の自作曲も含めMuddy WatersやSlim Harpo、Sonny Boy Williamson、Sonny Boy Williamson、Roosevelt SykesらのCoverで全曲Bluesドップリだった。ところがColumbiaと契約して翌69年リリースの『Johnny Winter』、『Second Winter』ときて、The McCoysというバンドのメンバー3人と組んだ70年の『Johnny Winter And』でChuck BerryやBob Dylanも取り込んできたJohnny Winterは自ら志向するBlues Rockの理想形を完成させたといってもいいかもしれない。そして、その集大成となるLive Albumの登場である。ここでもBlues一辺倒ではなくRockの持つDynamismとスリリングで破天荒な魅力が絶妙のバランスでぶち込まれて、観客を狂喜乱舞させるノリノリのLive。これぞJohnny Winter Andの魅力である。特に“Rock & Roll Medley”から始まるB面はたまらないものがある。これこそがWhite BoyAfrican-AmericanのBluesを上手くコピーしました的な単なる物真似には終わらない真のWhite Blues Rockのひとつなのかもしれない。

 

 『Live』はJohnny Winter And71年にリリースしたLive Album。New York CityFillmore EastFlorida州DaniaPirate's Worldでの演奏を収録している。

アルバム1発目はJohn Lee "Sonny Boy" Williamsonの37年のヒットで知られる“Good Morning, School Girl”。いきなりド肝をぬくBobby Caldwellの迫力に満ちたドラミングで始まりWinterと共に吼えるRick Derringerによる2本のギターが炸裂。

Debut Albumにも収録されていたSlow Blues“It's My Own Fault”。ドッシリしたBeatにのせて歌うJohnny Winterの黒くLazyなVocalも雰囲気タップリ。

A面をシメるのはThe Rolling Stonesの“Jumpin' Jack Flash”。Wildに唸りを上げるギター野卑なVocalが最高。

B面は“Rock & Roll Medley”からスタート。勢いにのってぶちかますJerry Lee Lewisの“Great Balls of Fire”からPercussionも飛び出しノリノリになってお次は“Long Tall Sally”で盛り上げまくって、トドメは再びJerry Lee Lewisのヒットで知られる“Whole Lotta Shakin' Goin' On”。ここでもPercussion入り混じって大盛り上がり大会。

ここでDebut Albumから“Mean Town Blues”。かなりTempo UpされたRockなノリが強調されたBluesといよりRock And RollなノリでDerringerとのギター・バトルも熱いのだが、Johnny得意のBottleneck Guitarが泥臭くBluesyに唸りを上げるあたりは、これぞJohnny Winter Andの唯一無比な世界。

最後をシメるのが『Second Winter』でもやってたChuck Berryの“Johnny B. Goode”。思わず『Rock And Roll!』と叫ぶJohnny。コレっすなあ。

(Hit-C Fiore)

裏金増税真理教の売国政権も酷いが、それ以上に無責任で詐欺まがいのことをやってる売国政党。こいつらに投票したら日本は確実に滅亡する。

 

「無責任すぎてありえない」大阪万博の赤字「府と市で負担も」吉村知事の発言に批判殺到…キャンセル料はすでに840億円の泥沼

(SmartFlash 4/22)

 

「万博3000億円!」で全部論破! 日本維新の会「身を切る改革」が失笑の対象に

(女性自身 2023/12/13)

 

万博、大阪市民1人当たりの負担は約2万7000円 大阪市試算

(毎日新聞 /3/8)

 

万博費倍増2350億円、大阪府民は赤ちゃんも約1万円負担…SNSで「#万博中止」拡散の必然

(日刊ゲンダイ  2023/11/05)

 

「税金泥棒」大阪万博 後出しで増える837億にネット怒り「少子化対策や減税の原資に使えたのに…」

(女性自身 2023/11/28 )

 

膨らみ続けて3187億円に…大阪万博に「身を切る改革」は必要ない? もっと膨らむことはないのか

(東京新聞 2023/11/29)

 

偉そうに「税金の無駄遣いを見直す」とほざいてたのは、どこの政党だっけか?

維新の身を切る改革(笑)というのは

日本国民や大阪府民の税金に後出しでタカって身を切らせ

テメエらは身を切らずにお仲間お友達は腹を肥やしまくりってか

 

維新のブレーンピンハネ中抜き派遣会社のお偉いさんだった奴

東京五輪でピンハネ中抜きで大儲けした手口ですな。

 

吉村知事“親密企業”が維新万博を続々受注している!《「350億円リングを強行」内部資料入手》

(週刊文春 2023/12/06)

 

維新市議の秘書兼職 これで「身を切る改革」か

(毎日新聞 2023/9/23)

 

コイツら、万博強行開催のドサクサに下火気味のIR事業も進めるつもりなのは見え見え、どんだけ中国に尻尾振っとんねん(笑)、税金をテメエの銭だと勘違いしてんじゃねえぞ、このボケが!

 

 (Hit-C Fiore)

 

 Aigues Vivesというフランス語をバンド名とする彼らは70年代初頭にドイツで結成されたFolk Group。België国境近くの街で結成された彼らは80年末から81年にかけて1枚のアルバムを残して消滅してしまったと思われる。Aigues Vivesというのは、Latin語で‘繁栄の源/泉’を意味する‘Aqua Vivae’からきていて、FranceにいくつかあるCommunesの名前だそう。元々は英国のProgressiveな音楽に影響を受けていたという彼らであったが、唯一残された本作ではFluteViolinAcoustic Guitarの爪弾きに、英語で歌われる男女による素朴で外連味のないVocalとChorusが欧州らしい抒情的で、時に神秘的な世界を描き出していく。とはいえ、曲の展開など凝ったころもも時折顔を出したり、所謂Folk Rock Bandとは少々趣きが異なるのが面白い。おそらく彼らの出自からくるものがあり、演奏/間奏が歌よりも長かったりするところも彼らの特徴である。ドイツには初期のHoelderlinや、Emtidi、Broselmaschineといった浪漫溢れるAcousticでFolkyな音楽性を持ったGroupが70年代初頭に幾つかの作品を残しているが、このAigues Vivesもまた、少々遅れてきたそういったGroupのひとつといってもいいだろう。欧州らしい陰影と幽玄が香り立ち幻想の扉を開けて聴く者をゲルマンの森に誘い出す。アルバムのリリースが80年代に入ってからというのが、彼らにとっては不幸なことであった。とはいえ、AcoustucなFolk Groupとして味わい深さや、心地良い微睡を与えてくれる本作は無視してしまうには惜しい作品である。BassとGuitar、VocalのKarl Beck、FluteとBaritoneのVocalが魅力のFranz Kremer、GuitarとBassのRoland Enders、Guitarと鍵盤とVocalのMaik Wolff、ViolinとVocalのPaul Possart、そして紅一点のFluteとVocalのHendrikje Hornという6人組

 

 『Water of Seasons』はがAigues Vives81年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“The Accident”。Acoustic Guitarの爪弾き素朴な男女VocalViolin哀感に満ちた欧州の抒情全開の世界を描き出す。しっかり地に足が付いた生命感漲るChorusもイイ感じ。

Heroes”は幻想的なAcoustic GuitarArpeggioで始まり、ここでも抒情的なViolinが、切々と歌い上げていくVocalとChorusを盛り立てていく。

Dent Du Géant”は清冽かつ生命感に満ちたAcoustic Guitarで始まりFluteと絡み合いながら、Imaginativeな空間を生む出していくインスト曲

Night”は翳りを帯びたVocalChorus、そしてチョイと寂しさを感じさせる曲調が正にゲルマンの森の夜のイメージを目の前に浮かび上がらせる。EndingにかけてのFluteが素晴らしい。

Flying Fortress”もイントロの哀感溢れるMelodyを歌い上げるVocal寄り添うChorusがイイ感じ。6/8拍子曲の展開の仕方も実に心地良い。ここでもViolinとFluteがイイ味を出している。

アルバム・タイトル曲“Water of Seasons”は落ち着いた声質で語りかけるように歌うVocalが良い。

Mediterranean Journey”は優美なAcoustic Guitarから始まり、GentleなVocal歌うViolinFluteが雰囲気タップリに幻想の森に誘い込む

アルバム最後をシメるのは“Planet Of Dreamers”。こちらも夢見心地のEnsembleとVocalが楽しめる。男女VocalとChorusも決して上手いとは言えないが実に味わい深い

(Hit-C Fiore)

 Black IvoryはNew York CityはHarlem出身のR&B Groupで、主に60年代末から70年代に活躍した。元々は69年の夏全員Teenagerによって結成されたMellow Soulsとして知られ、後にNew York Dance Music界のMaestroとして君臨するPatrick Adamsの電話!?でのAuditionを受けたところからキャリアをスタートしている。元々は5人いたメンバーはLeroy BurgessStuart Bascombe、Froilan (Vito) Ramirez、Lawrence (Larry) Newkirkの4人となり、Black Ivoryを名乗るようになる。BronxのRoosevelt High Schoolで行われたTalent Showで優勝した彼らは、 Ramirezが Russell Pattersonに交代し、NewkirkがGroupを離れたため、3人体制となってAdamsが待つPhiladelphiaSigma Sound Studiosへ向かうのであった。そこで“Don't Turn Around”と“I Keep Asking You Questions”の2曲が録音され、Adamsが設立したToday Recordsから71年SingleのAB面としてリリースされるのだった。そして72年に待望のDebut Albumとなる本作がリリースされる。Leroy Burgess、Stuart Bascombe、 Russell Pattersonの3人はVocalのみならずSongwritingも手掛け、アルバムではPatrck Adamsと共作したりするなどして、若々しくフレッシュな才能を発揮している。気持ちSweetなBalladが多すぎるようで、若々しく躍動感に満ち溢れたFunkyなナンバーも、もう少し欲しかったところだが、まあ、それはさておき、Debut Albumにして中々充実した作品に仕上がっており、流石Patrick Adamsといったところ。彼らは70年代5枚のアルバムをリリースしており、77年にBurgessが抜けた後も、BascombeとPattersonは解散する80年代初頭までDuo体制で活動を続けていた。その後、Black Ivoryは95年に再結成しており、Original Member3人をFeatureして活動を続けていたようだ。10代の若さでDebutして、苦難を乗り越え頑張ってきた彼らの結束は固いようだ。

 

 『Don't Turn Around』はBlack Ivory72年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はタイトル曲“Don't Turn Around”。Leroy BurgessFalsetto Vocal切ないSweetなBallad。この頃はまだ、Philly Soulの強い影響下にあったAdamsがSongwritingとProduceでStringsとChorusまで思いっきりベタに迫っているのが微笑ましい。

Surrender”はMotown的な若々しく躍動感に満ちたYoung Soulで、Funkyなリズム隊にのって初々しいVocalとChorusがイイ感じ。

I'll Find A Way”もBlack IvoryとAdams共作となるSweetなBallad。しかし捻りのある楽曲FalsettoChorusは中々のもの。アルバムで一番の聴きモノ。

上述のSingleB面となった“I Keep Asking You Questions”も生命感漲るFunkyなYoung Soul

Patrick Adams単独作の“She Said That She's Leaving”。VibraphoneHammondFalsettoのChorusが盛り上げまくる必殺のBallad。これはグッときますなあ。ウネるベースも最高。

Leroy Burgess単独作の“If I Could Be A Mirror”も甘々のBallad

Leroy BurgessとStuart Bascombe共作の“You And I”。これまた雰囲気タップリFalsseto VocalChorusが歌い上げるScaleの大きいBallad

ぶっといベースとOrgan、ドラムスの演奏メンバーの笑い声や話声が重なるOur Future”はFunkyなStreet感覚に満ちたインスト曲

Find The One Who Loves You”はBlack IvoryとAdams共作泣きのBallad

アルバム最後をシメるのは71年10月にリリースされたMichael JacksonSolo Debut SingleとなったElliot Willensky作の名曲“Got To Be There”。

(Hit-C Fiore)

  The Stranglers初期のアルバムを結構聴きこんではいたのだが、79年にリリースされた『Raven』以降のアルバムはそれほどのめり込むことはなかった。Punkの持つ暴力的ともいえる破壊衝動荒々しさ攻撃性が10代の頃の自分にとって魅力的であったわけで、少しでもPopな装いを持つようになった作品は興味から外れてしまっていたのだった。初期の3枚のStudio AlbumLive AlbumLive (X Cert)』は、そういう意味ではバッチリPunkのPrimitiveな初期衝動破天荒な魅力を持っていた作品であったが、『Raven』以降の作品は当時の自分には少し理解するのが難しかったのかもしれない。そしてJ.J. BurnelガンガンAggressiveに攻めたてるベースと Hugh CornwellインテリヤクザなVocalJet Blackぜい肉をそぎ落としたドラミング、そしてDave GreenfieldPsychedelicなHammondが他のPunk Bandとは一味違う個性を発揮していたのも良かった。当時憧れていたPunkなオネエサンから、来日公演ナチの親衛隊のコスプレをしていたアホを見つけたJ.J.が怒ってボコボコにしたという伝説を聞かされて、さすがStranglersは本物だと思って感心したものだ。それから何年か経って自分はPunkやRock以外の世界各国の様々な音楽を聴くようになって、再び80年代のStranglersの音に接した時、ようやくその魅力に気付いたのだった。元々Cassicalな教育を受け音大卒だというGreenfieldの、Hammondではなく欧州的な抒情と哀感を湛えたSynthesizerとHugh Cornwellの語りも含めた淡々としたVocal奇妙な味わいを残す作品。欧州的なDécadenceと幽玄な世界観が強く感じられる、何度も繰り返し聴くとクセになってしまう作品である。Tony ViscontiMixが素晴らしい。捨て曲なしの隠れた名盤である。そういえば、Dave GreenfieldはCaravanのアルバムをFavouriteにあげていたのだった。

 

 『Feline』はThe Stranglers83年Epicからリリースしたアルバム。

アルバム曲目は“Midnight Summer Dream”。欧州的な抒情が感じられるSynthesizerとHughの淡々としたCoolなVocalが最高。

Acoustic Guitarで始まる“It's A Small World”もやる気なさげなVocal無機的なSynthesizer欧州的な退廃感を生みだす。DigitalなBassFretless Bassの組み合わせもイイ感じ。

Ships That Pass In The Night”はらしくないテクノなベースSynthesizerの組み合わせが意外とイイ感じ。

The European Female (In Celebration Of)”は囁くようなVocalAcoustic Guitarがイイ感じ。Vocalと対照的にJ.J. Burnelのベースがガンガンいってるのが最高。

Let's Tango In Paris”は退廃感漂うPopなWaltz

Paradise”はゆったりDanceableなBeatにのって、2人の素人っぽい女性ChorusをまじえてJ.J. Burnelが肩の力を抜いたVocalを披露する。飄々とした感じが素晴らしい。

All Roads Lead To Rome”。Electro PopなSynthesizerにのせてHughの殆ど語りのようなVocalが激渋カッコイイ脱力したChorusもイイ感じ。4つ打ちのリズム隊も今聴くと最高である。

Blue Sister”はイントロのSynthesizerがイイ感じ。そして疾走感に満ちたリズム隊にのってHughのDandyismが炸裂する。こういうVocalの味わいは中々出せるものではない。

アルバム最後をシメるのは“Never Say Goodbye”。これまたEuropeanなギターとSynthesizerで始まり、優美なMelodyをHughCoolに歌い上げていくのが良い。J.J. Burnelのベースがここでは目立っていて自己主張しているのが良い。

 

The European Female (In Celebration Of)/The Stranglers

(Hit-C Fiore)

 Grateful Deadは、『Dick's PicksSeriesなど、どうしても次から次へとリリースされ続けているLive Albumを中心に聴いてしまう。Live BandとしてのDeadの魅力は格別であり、それは致し方ないものなのであるが、数あるStuio Albumの名作を忘れてはならないだろう。Live活動の中で演奏を重ねて試行錯誤の末、完成度を高めBand Magicによって芳醇な味わいを増していく楽曲Studioで録音するという、従来DeadがとってきたApproachではなく、あえてStudio入りしてゼロの状態から楽曲を録音していく手法がとられた本作。それは、Band LeaderのJerry Garciaの提案だったという。自分にとって、DeadのStudio Albumの中でも5本の指に入るくらいお気に入りの作品となった。実はLive  Albumや70年代初期のアルバムをずっと好んで聴いてきた自分にとって、本作との出会いは、Deadの新たな魅力を発見するきっかけとなったのであった。74年のバンド活動の一時休止を経て75年にリリースされた本作は、心地良く、JazzFunk民族音楽の要素が仄かに薫るところが気に入っている。 脱退した鍵盤奏者Ron "Pigpen" McKernanに代わってKeith Godchauxが加入した『Wake of the Flood』、『From the Mars Hotel』、そして本作と続く、バンド自ら立ち上げたLabelからの3部作は、彼らの楽曲、演奏力共に最も充実した時期ではないかと思われる。Keithと一緒に加入したPartner Donna Jean GodchauxVocalも馴染んできたし、何より脱退していたDrummerMickey Hartが戻ってきた。本作以降の70年代後半のDeadのStudio作品に関しては、Coreなファンの方々から、それほど高い評価を得ていないようであるが、多様性に富んだ楽曲と演奏はご機嫌だ。楽曲のQualityこそ本作に及ばないながら、よりPopな佇まいを感じさせる 『Terrapin Station』や『Shakedown Street』といったアルバムの魅力も、本作を聴きこんでからは、何となく理解できるようになった。歌詞も含めて中近東風の香りが漂う本作は、Deadの脱西洋音楽も狙った実験的でProgressiveな名作となった。

 

  『Blues For Allah』はGrateful Dead75年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目“Help on the Way”はFunkyなリズム隊にのってJerry Garcia独特の線の細いVocalChorusがイイ味を出している。

Slipknot!”はGarciaとBob Weirによる2本のギターの絡みやエレピが織り成すMagicalな演奏による夢見心地のJamが素晴らしい。

Franklin's Tower”もFunky気持ちReggaeを思わせるリズム隊にのってGarciaのVocalとギターが、これまた気持ち良いOrganがイイ感じ

ベースのPhil Lesh作の7拍子のインスト曲King Solomon's Marbles”。これが激カッコイイ仕上がり。Garcaのギター・ソロも最高

Leshとドラムスの2人、Mickey HartBill Kreutzmann共作の“Stronger than Dirt or Milkin' the Turkey”もGarciaのめくるめくギター・ソロが堪能できるFunkyな7拍子のインスト曲

Funkyなイントロからワクワクさせる“The Music Never Stopped”。作者のBob WeirのVocalが最高。SaxやBobに絡むDonna Jean GodchauxのSoulfulなVocalも良し。

Crazy Fingers”はReggae調ユッタリマッタリした曲で、GarciaのVocalが、っこういう曲には実にハマっているのが面白い。

イントロのアコギを中心とした典雅なEnsembleが絶品Bob Weir作“Sage & Spirit”。浮遊するFluteが絶品の味わいのインスト曲

最後はタイトル曲“Blues For Allah”から“Sand Castles & Glass Camels”、“Unusual Occurrences In The Desert”と続く3部構成。脱力した風に始まるけれど、無調風の旋律を奏でるVocalとの楽器のUnisonが何となくGentle Giantを思わせる部分もあり、続くDeadらしいPsychedelicなJamChorusと続き摩訶不思議な世界へ誘い込む。

 

The Music Never Stopped/Grateful Dead

(Hit-C Fiore)

 これは思いがけない、知る人ぞ知る名盤に巡り合ったものだ。『Trindade』というタイトルが付けられた同名の3人組による自主制作盤とのことだが、それが信じられないほどの完成度。曲良し歌良し演奏良しの三拍子揃った名盤である。それもそのはず、TrindadeMinas Gerais州の州都Belo Horizonte出身のViolinista鍵盤奏者ComposerArrangerとしても優れた才能を発揮し、映画TV音楽の世界でも活躍するMarcus Vianaが絡んだProjectなのであった。本作は、そのTrindade唯一のアルバムであり、90年代に自主制作されていた幻の逸品である。Marcus Vianaとの出会いは80年代にBrasilに登場したSagrado Coração De TerraというGroupのアルバムであった。84年にリリースされた彼らのデビュー・アルバム『Sagrado Coração De Terra』 で幻想的でSymphonicな香り漂うDramaticで雄大で躍動感に満ちたな演奏を聴かせてくれた、これもまたVianaのProjectなのであろうか、アルバム毎にメンバーが入れ替わっている。彼らが87年にリリースした2ndアルバム『Flecha』にChoirで参加していた女性Singer Carla Villarと、『Clube Da Esquina 2』などMilton NascimentoのアルバムやClube Da EsquinaのBeto GuedesFlávio VenturiniといったMinasの才人たちのアルバムに参加してきたギタリストTavinho MouraとVianaが組んだProjectがTridadeなのであった。Belo Horizonte出身で同地を活動の拠点としているCarla Villarは2007年に全曲Toninho HortaのCoverから成り、Toniho自身も演奏とVocalで参加しArrangementsも手掛けた名盤『Pedra da Lua』をリリースしている実力派Singerでもある。一方Tavinho Mouraの方もまた、その卓越したViolãoの腕前を数々の名盤で披露してきただけではなく78年リリースの『Como Vai Minha Aldeia』など自身のソロ作でも作曲やVocalの優れた才能を発揮している。

 

  『Trindade』は93年にリリースされたTrinadadeの唯一のアルバム。

アルバム1曲目は“Diadorado”。イントロのViolãoの謎めいた響きから惹きこまれてしまう。Marcus VianaViolinScatもイイ感じ。

Esperanca Manha”は魅惑の旋律を歌い上げるCarla VillarElegantで艶のあるVocalにメロメロ。男女Douetも雰囲気タップリ。勿論、VianaのViolinの典雅なソロも素晴らしい。

Debra/Trindade”もMinasの神秘感に満ちたイントロのViolãoの爪弾きとCarla絶品のScatに心癒される。SymphonicMysteriousな翳りも見え隠れする後半も魅力的だ。前半の男女Scatから後半のClassicalな展開に流れ込み、緩やかに高揚していくのがたまらない。

Carlaが艶っぽい伸びやかな歌声で歌う泣きの旋律に思わずグッときてしまう“Brasileira”。名曲中の名曲。

愛らしくも情景が浮かび上がってくるImaginativeなWaltzRio Doce”。地味ながらバックでうっすら鳴り響くStringsが素晴らしい。

これまた泣きの入ったイントロからグッと込み上げてしまうAmigos”。Carlaの清らかで透明感のあるScatがたまらんすなあ。

Minas的ともいえるMagicalな旋律をしっとり歌い上げる“Saudade Eu Canto Assim”。

CarlaのVocalとFluteソロにメロメロになってしまうBalladAmor Selvagem”。

Gente Que Vem De Lisboa”はキメをまじえながらSymphonicな管弦楽器のEnsembleがCarlaのVocalと絶妙な絡みで魅了する。

情感込めて歌い上げるCarlaのVocalが圧巻の“Dois Corpos”。

Passional”は哀感に満ちたArgentine Tangoなナンバー。

アルバム最後をシメるのは“Cruzada”。心地良く始まるがタイトルのごとく勇壮な演奏に展開していくのが興味深い。

(Hit-C Fiore)

 Jackson Heightsというバンドを語る時に、Emerson, Lake and Palmer(ELP)を結成するためにKeith Emersonが脱退して、70年に結局解散となったThe NiceのメンバーLee Jacksonが結成したという話から始まるのは仕方のないことかもしれない。しかし、Jackson HeightsはEmersonがLeader的存在であったThe Niceとは根本的に音楽性が異なるバンドであり、彼らの音楽をEmersonやELP絡みで比較したり、語ってしまうのは厳しいところであろう。Lee JacksonはThe Niceではベースを弾きLead Vocalを担当していたが、Jackson Heights結成にあたり、Acoustic Guitarを弾いてVocalを担当して、ベースはMario Enrique Covarrubias Tapiaにまかせている。Jacksonは当初、Acoustic Guitarを中心とする音楽を志向していた。Newcastle upon Tyneに生まれたLee Jacksonはメンバー募集を見て加入したGary Farr & The T-BonesでKeith Emersonに出会っている。Emmersonは、その後The V.I.P'sに加入するが、P. P. Arnoldのバックバンドで再びJacksonと組んで、それがThe Niceに発展する。Jackson Heightsでは、後にLindisfarneで活躍するCharlie HarcourtがElectric GuitarにPiano、Organ、Harpsichord 、Mellotron、そしてSpanish Guitarを演奏し、Tommy SioneがドラムスでJacksonがアコギとVocal、ベースは上述のMario Enrique Covarrubias Tapiaが担当してCharismaからDebut AlbumKing Progress』をリリースしている。しかし、商業的な成功を収めることができず、Jacksonは新たにバンドを再編し、今度はベースを弾きギターにJustineJohn McBurnieと鍵盤にFlaming YouthBrian Chattonをメンバーに迎え72年にアルバム『The Fifth Avenue Bus』、『Ragamuffins Fool』をリリース、本作はそれに続く彼らの最後のアルバムとなる。McBurnieと Chattonが加入してからの作品がJackson Heightsというバンドが最も充実していたともいえるだろう。

 

 『Public Romance』はJackson Heights73年Vertigoからリリースしたアルバム。彼らの最終作にして最高傑作と言われている。Moog SynthesizerのProgrammingのためにKeith Emersonが参加していたりKing Crimsonに在籍していた2人のDrummer Michael GilesIan Wallaceが参加しているというのが大きな話題だろうけれど、3人のメンバーの手による楽曲抒情的で捻りのある英国の香りを放ちStrings Sectionを配して優美で華やかな彩りを添えている。

アルバム1曲目は“I Could Be Your Orchestra”。Strings厚みのあるChorusPastoralな英国詩情に満ちた情景を描き出している。

Spaghetti Sunshine”も牧歌的でPopな英国の香りを濃厚に放っている。後半の展開も面白い。

Long Necked Lady”は重たいリズム隊にのって歌われるPopで抒情を感じさせるMelodyがイイ感じ。Fiddleも登場して、この捻り具合も良き。

Classicalなピアノで始まり軽快で捻りの効いたPopsに展開する“Public Romance”。Synthesizerソロがイイ感じ。

タイトル曲“Bump And Grind”はStringsとChorusLyricalで劇的な楽曲を盛り上げる。

イントロからお遊び感覚に満ちたCumberland Country”。ClavinetSteel Guitarが面白い。ここからJacksonとChattonの共作が4曲続く。

It's A Shame”はマッタリしたノリながら英国的抒情が香り立つ。

Ladies In The Chorus”は10ccにも通じる捻りのある凝ったPops

アルバム最後をシメるのは疾走感に満ちPopでめくるめく展開が英国的な“Whatever Happened To The Conversation”。

(Hit-C Fiore)