浅田進史研究室/歴史学

研究・教育・学会活動ノート

デジタル閲覧室の開始――ドイツ連邦文書館より

 2024年2月8日、ドイツ連邦文書館のホームぺージに「デジタル閲覧室」の開始についてのプレスリリースが公開されました。リンクを貼っておきます。

 

 

 ひとまず、22万件の映像史料がすぐに調査できるとのことです。それには、ヴァイマル期の劇映画・ドキュメンタリー映画ドイツ民主共和国の映像資料、1945年以前・以後のドイツの「ヴォッヘンシャウ(週刊ニュース)」が含まれています。事前の申請も必要なく、無料で利用できます。

 また、来年には、資料、図像、映像ごとに分かれていたプラットフォームが統合される予定とのことで、いっそう便利になりそうです。

 

カール・リープクネヒトとローザ・ルクセンブルクの暗殺について――ドイツ連邦文書館より

 ドイツ連邦文書館のウェブサイトでは、「ヴァイマル共和国100年(100 Jahre Weimarer Republik)」という特設サイトがあります。このブログでも、何度か紹介してきました。

 ドイツ連邦文書館の今年1月のSNSで、カール・リープクネヒトとローザ・ルクセンブルクの暗殺について解説するページが紹介されました。リンクを貼っておきます。

 

 

 背景説明に加えて、28点の図像資料が掲載されています。ベルリンでの1月蜂起のバリケード戦の写真や、ローザ・ルクセンブルクの遺体発見現場の捜査関係資料など、内容は豊富です。

 また、ドイツ連邦文書館に所蔵されている関連史料や参考文献も指示されていて、参考になります。

 

『基礎概念における20世紀』事典のオンライン公開について

 オットー・ブルンナー、ヴェルナー・コンツェ、ラインハルト・コゼレックが編集した全8巻の Geschichtliche Grundbegriffe(歴史的基礎概念)という事典がありますが、その批判的継承をめざした、Das 20. Jahrhundert in Grundbegriffen という事典のオンライン版の刊行が始まりました。リンクを貼っておきます。

 

 

 約150の見出し語のなかで、ドイツにおける歴史的な意味論を探るもので、非同時性、加速的な摩耗、概念的な革新、表記上の革命によって20世紀に特徴的な言葉が選ばれているとのことです。

 シュヴァーベ出版社の電子ライブラリーのなかで段階的にオープンアクセスで公開し、最終的に5巻本としてまとめられるそうです。

 

「下からの反ファシズム」特集――Partecipazione e Conflittoより

 イタリアの社会科学・政治学系のジャーナル、Partecipzione e Conflitto の第17巻第1号(2024年)に「下からの反ファシズム」という特集が組まれました。ちょっと興味がわきましたので、リンクを貼っておきます。

 

 

 カナダ、イギリス、ドイツ、ポーランドチェコキプロスギリシアの事例研究が掲載されています。ちょっとリンクが見つけにくいですが、どれもPDFをダウンロードできます。

 

 ドイツの事例の2本について、リンクを貼っておきます。

 

 

ドイツにおける研究者の任期付きの雇用形態を止めさせるためのキャンペーンについて

 すでにキャンペーン開始から半年が過ぎているようです。WeAct!という署名サイトのサービスを利用して、"Bündnis gegen Dauerbefristung in der Wissenschaft(学術における有期雇用反対同盟)"という団体が、ドイツ連邦教育研究大臣および関係連邦議会委員会と連邦議会議員宛に、「学術における有期雇用を止めよ」という署名キャンペーンを進めていることを知りました。リンクを貼っておきます。

 

 

 気候危機やデジタル化といった社会的・技術的な挑戦に対して、強い学問であるために、公正な労働条件でなければならない、と訴えています。そのうえで、ドイツの大学で雇用されている研究職の10人のうち約9人が有期雇用であり、また労働契約の42%が契約期間1年とのことです。人生設計や高度なプロジェクトはそうであってはいけない、変えなければならないと呼びかけています。

 具体的に6つの項目を掲げています。

  • 博士課程のある者には、実際の博士号取得に必要な年数での契約、すなわち6年、少なくとも4年のルールの期間を
  • 教育・研究における継続的課題に無期雇用の職を、つまり有期契約は資格取得段階にのみ正当化され、博士号取得とともに終了するように
  • 博士号取得後は無期雇用か、確固とした基準を満たした際には期間を解除することについての拘束力のある承諾を
  • 留保条件なしの賃金差し止め措置をなくすこと、すなわち他業種と同様に、労働組合と雇用主は被雇用者のための改善について協議することを認めなければならない
  • 育児、介護、障がい、慢性的な疾患、ならびにコロナ禍から生じた不利益に際して拘束力のある補償を
  • 学生の被雇用者には、少なくとも2年間の契約規定期間を

 

 その後で、ドイツの学術有期契約法(WissZeitVG)の問題についての見解などが説明されています。