語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】書誌(3月3日現在)

2024年03月03日 | ●佐藤優
 ※2024年3月3日現在。なお、「●」は所持するもの。

 《追加分》
●『悪の処世術』(宝島文庫、2023)
●『組織を生き抜く極意』(青春選書、2024)
●『宗教と不条理 信仰心はなぜ暴走するのか』(幻冬舎新書、2024)/共著:本村凌二
●『人士に効く寓話』(新書、2024)/共著:池上彰
●『公安調査庁』(中公新書ラクレ、2023)/共著:手島龍一
●『それからの帝国』(光文社、2023)
●『これならわかる「カラマーゾフの兄弟」』(青春新書、2023)
●『完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』』(文藝春秋、2022)/共著:片山杜秀
●『黎明日本左翼史 左翼の誕生と弾圧・転向 1867-1945』(講談社現代新書、2023)/共著:池上彰
●『最後の停戦論 ウクライナとロシアを躍らせた黒幕の正体』(徳間書店、2023)/共著:鈴木宗男
●『国難のインテリジェンス』(新潮新書、2023)
●『生き抜くための読書術』(扶桑社、2023)
●『ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音』(中公新書ラクレ、2023)/共著:手嶋龍一
●『共用としての「病」』(集英社インターナショナル新書、2023)/共著:片岡浩史
▼『柄谷行人『力と交換様式』を読む』(文春新書、2023)/共著:柄谷行人ほか
●『生き抜くための読書述』(扶桑社、2023)
●『危機の読書』(小学館新書、2022)
●佐藤優・監修『知の巨人が選んだ世界の名著200』(宝島社新書、2023)

(1)著書
●『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社、2005 →増補版:新潮文庫、2007《解説:川上弘美》)
  ※第59回毎日出版文化賞特別賞
●『自壊する帝国』(新潮社、2006 →新潮文庫、2008《解説:恩田陸》)
  ※第5回新潮ドキュメント賞および第38回大宅壮一ノンフィクション賞
●『日米開戦の真実 大川周明著「米英東亜侵略史」を読み解く』(小学館、2006 →小学館文庫、2011)
●『獄中記』(岩波書店、2006年 →改訂版:岩波現代文庫、2009)
●『国家と神とマルクス 「自由主義的保守主義者」かく語りき』(太陽企画出版、2007 →角川文庫 2008)
●『地球を斬る』(角川学芸出版、2007 →角川文庫 2009)
●『国家の謀略』(小学館、2007)
●『野蛮人のテーブルマナー ビジネスを勝ち抜く情報戦術』(講談社、2007 →講談社+α文庫、2009)
●『野蛮人のテーブルマナー 「諜報的生活」の技術』(講談社、2009)
●『私のマルクス』(文藝春秋、2007 →文春文庫 2010)
●『インテリジェンス人間論』(新潮社、2007 →新潮文庫 2010)
●『国家論 日本社会をどう強化するか』(NHKブックス、2007)
●『世界認識のための情報術』(週刊金曜日、2008)
●『交渉術』(文藝春秋、2009 →文春文庫、2011)
●『テロリズムの罠 右巻 忍び寄るファシズムの魅力』(角川ワンテーマ21、2009)
●『テロリズムの罠 左巻 新自由主義社会の行方』(角川ワンテーマ21、2009)
●『外務省ハレンチ物語』(徳間書店、2009 →徳間文庫、2011)
●『神学部とは何か 非キリスト教徒にとっての神学入門』(新教出版社、2009)
●『「諜報的(インテリジェンス)生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー』(講談社、2009)
●『甦る怪物 私のマルクス ロシア篇』(文藝春秋、2009)
●『功利主義者の読書術』(新潮社、2009 →新潮文庫、2012)
●『沖縄・久米島から日本国家を読み解く』(小学館、2009)
●『はじめての宗教論 右巻 見えない世界の逆襲』(NHK出版新書、2009)
●『はじめての宗教論 左巻 ナショナリズムと神学』(NHK出版新書、2011)
●『日本国家の神髄 禁書「国体の本義」を読み解く』(扶桑社、2009)
●『この国を動かす者へ』(徳間書店、2010)
『3・11クライシス!』(マガジンハウス、2011)
『予兆とインテリジェンス』(産経新聞出版、2011)
●『人たらしの流儀』(PHP研究所、2011)
●『佐藤優のウチナー評論』(琉球新報社、2011)
●『この国を壊す者へ』(徳間書店、2011)
『世界インテリジェンス事件史 祖国日本よ、新・帝国主義時代を生き残れ!』(双葉社、2011)
●『インテリジェンス人生相談 復興編』(扶桑社、2011)
『共産主義を読みとく いまこそ廣松渉を読み直す『エンゲルス論』ノート 廣松渉エンゲルス論との対座』(世界書院 2011)
●『外務省に告ぐ』(新潮社 2011 →新潮文庫、2014)
●『野蛮人の図書室』(講談社、2011)
●『国家の「罪と罰」』(小学館 2011)
●『新・帝国主義の時代 左巻 情勢分析論篇』(中央公論者、2013)
●『新・帝国主義の時代 右巻 日本の進路篇』(中央公論者、2013)
●『神学の履歴書 ~初学者のための神学書ガイド~』(新教出版社、2014)
●『紳士協定 私のイギリス物語』(新潮社、2012/新潮文庫、2014)
●『帝国の時代をどう生きるか 知識を教養へ、教養を叡智へ』(角川oneテーマ21、2012)
●『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』(東洋経済新報社、2012)
●『人間の叡智』(文春新書、2012)
●『同志社大学神学部』(光文社、2012)
●『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス、2013)
●『知の武装: 救国のインテリジェンス』(新潮新書、2013)
●『国境のインテリジェンス』(徳間書店、2013 →徳間文庫、2015)
●『地球時代の哲学 池田・トインビー対談を読み解く』(潮出版社、2014)
●『元外務省主任分析官・佐田勇の告白: 小説・北方領土交渉』(徳間書店、2014)
●『先生と私』(幻冬舎、2014/後に幻冬舎文庫、2016)
●『佐藤優の沖縄評論』(光文社知恵の森文庫、2014)
●『「知的野蛮人」になるための本棚 (PHP文庫、2014)
『野蛮人のテーブルマナー 完全版』(講談社、2014)
●『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』(KADOKAWA、2014)
●『いま生きる「資本論」』(新潮社、2014)
●『修羅場の極意』(中公新書ラクレ、2014)
●『逆境を乗り越える技術』(ワニブックス、2014)
●『「知」の読書術 』(集英社(知のトレッキング叢書)、2014)
●『私の「情報分析術」超入門 仕事に効く世界の捉え方』(徳間書店、2014)
●『創価学会と平和主義』(朝日新書、2014)
●『私が最も尊敬する外交官 ナチス・ドイツの崩壊を目撃した吉野文六』(講談社、2014)
●『佐藤優の10分で読む未来 キーワードで即理解 新帝国主義編』(講談社、2014)
●『日本国家の神髄 ~禁書『国体の本義』を読み解く~』 (扶桑社新書、2014)
●『「ズルさ」のすすめ』(青春新書インテリジェンス、2014)
●『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』(「文藝春秋」2015年2月臨時増刊号)
●『世界史の極意』(NHK出版新書、2015)
●『神学の思考 キリスト教とは何か』(平凡社、2015)
●『危機を克服する教養』(角川書店、2015)
●『人生の極意』(扶桑社新書、2015)
●『プラハの憂鬱』(新潮社、2015)
●『国家の攻防/興亡』(角川新書、2015)
●『希望の資本論』(朝日新聞出版、2015/後に朝日新聞出版、2016)/共著:池上彰
●『危機を克服する教養 ~知の実践講義「歴史とは何か」~』(KADOKAWA、2015)
●『超したたか勉強術』(朝日新書、2015)
●『知性とは何か』(祥伝社新書、2015)
『国境のインテリジェンス』(徳間文庫カレッジ、2015)
●『ケンカの流儀 -修羅場の達人に学べ』(中公新書ラクレ、2015)
●『いま生きる階級論』(新潮社、2015)
●『イスラエルとユダヤ人に関するノート』(ミルトス、2015)
●『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)・・・・『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』再構成したもの。
●『お金に強くなる生き方』(青春新書インテリジェンス、201)
●『同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか』(光文社新書、2015)
●『官僚階級論 ~霞が関(リヴァイアサン)といかに闘うか』(モナド新書、2015)
●『この国が戦争に導かれる時 超訳:小説・日米戦争』(徳間文庫、2015) 
『「池田大作 大学講演」を読み解く 世界宗教の条件』(潮出版社、2015)
●『佐藤優の「地政学リスク講座2016」 日本でテロが起きる日』(時事通信出版局、2015)
●『外務省犯罪黒書』(講談社エディトリアル、2015)
●『資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ』(NHK出版新書、2016)
●『危機を覆す情報分析 ~知の実戦講義「インテリジェンスとは何か」~』(KADOKAWA、2016)
●『組織の掟』(新潮新書、2016)
●『自分を動かす名言』(青春出版社、2016)
●『動因を探せ 中東発世界危機と日本の分断』(徳間書店、2016)
●『使える地政学 日本の大問題を読み解く』(朝日新聞出版、2016)
●『貧乏物語 現代語訳』(講談社現代新書、2016)
●『世界インテリジェンス事件史』(光文社文庫、2016)
●『現代の地政学』(晶文社、2016)
●『資本論の核心 純粋な資本主義を考える』(角川新書、2016)
●『現代に生きる信仰告白 改革派教会の伝統と神学』(キリスト新聞社、2016)
●『君たちが知っておくべきこと 未来のエリートとの対話』(新潮社、2016)
●『性と国家』(河出新書、2016.11.26)/共著:北原みのり
●『世界観 』(小学館新書、2016.12.1)
●『大国の掟 「歴史×地理」で解きほぐす大国の掟 「歴史×地理」で解きほぐす 』(NHK出版、2016.11.10)
●『秩序なき時代の知性』(ポプラ新書、2016.12.8)
●『知の操縦法』(平凡社、2016.11.28)
『悪いヤツほど愛される 』(講談社+α新書、2017)
●『ゼロからわかるキリスト教』(新潮社、2016.10.31)
●『キリスト教神学で読み解く共産主義』(光文社新書、2017.2.20)
●『僕ならこう読む 「今」と「自分」がわかる12冊の本』(青春出版社、2017.2.15)
●『嫉妬と自己愛 「負の感情」を制した者だけが生き残れる』(中公新書ラクレ、2017.2.10)
●『この世を知るための教養 10のキーワードですべてがわかる』(アスコム、2017.3.7)
『佐藤優の「公明党」論』(第三文明社、2017)
●『悪魔の勉強術 年収一千万稼ぐ大人になるために』(文春文庫、2017)
●『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』(講談社現代新書、2017)
●『日露外交 北方領土とインテリジェンス』(角川新書、2017)
●佐藤優・監修『地政学から読み解く米中露の戦略』(宝島社、2017)
●『学生を戦地へ送るには ~ 田辺元「悪魔の京大講義」を読む~』(新潮社、2017)
●『ゼロからわかる「世界の読み方」 ~プーチン・トランプ・金正恩~』(新潮社、2017)
●『佐藤優の集中講義 民族問題』(文春新書、2017)
●『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017.9.25)
●『独裁の宴 -世界の歪みを読み解く』(中公新書ラクレ、2017)
●『一触即発の世界』(時事通信出版局、2018)
『40代でシフトする働き方の極意』(青春新書インテリジェンス、2018)
●『ファシズムの正体』(集英社インターナショナル新書、2018)
●『十五の夏(上下)』(幻冬舎、2018)
●『勉強法 教養講座「情報分析とは何か」』(角川新書、2018))
●『読む力 現代の羅針盤となる150冊』(中公新書ラクレ、2015)
●『思考法 教養講座「歴史とは何か」』(角川新書、2018)
●『外務省犯罪黒書 日本国外務省検閲済み』(講談社+α文庫、2018)
●『神学の技法 キリスト教は役に立つ』(平凡社、2018)
●『高畠素之の亡霊 ある国家社会主義者の危険な思想』(新潮選書、2018)
●『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』(NHK出版新書、2018)
●『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』(KADOKAWA、2018)
●『新・学問のすすめ 脳を鍛える神学1000本ノック』(文春文庫、2018)
●『Gのインテリジェンス ゴルゴ13×佐藤優』(小学館、2018)
●『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)
●『格差社会を生き抜く読書』(ちくま新書、2018)
●『21世紀の宗教改革 小説『人間革命』を読む』(潮出版社、2018)
●『人に強くなる極意』(青春文庫、2019)
●『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源 』(角川ソフィア文庫、2019)
●『「情報読解」の私塾 赤版 日本、北朝鮮、韓国、中国の転換点・編』(徳間書店、2019)
●『サバイバル組織術』(文春新書、2019)
●『調べる技術 書く技術』(SBクリエイティブ株式会社、2019)
●『友情について 僕と豊島昭彦君の44年』(講談社、2019)
●『イスラエルとユダヤ人 考察ノート』(角川新書、2020)
●『ウイルスと内向の時代 コロナ後の大転換を国家と個人はどう生き残るか』(徳間書店、2020)
●『宗教改革者 教養講座「日蓮とルター」』 (角川新書、2020)
●『危機の正体 コロナ時代を生き抜く技法』(朝日新聞出版、2020)
●『人類の選択 「ポスト・コロナ」を世界史で解く』(NHK出版新書、2020)
●『池田大作研究 世界宗教への道を追う』(朝日新聞出版、2020)
●『人類の選択 「ポストコロナ」を世界史で解く』(新書、2020)
●『見抜く力――びびらない、騙されない。』(ペレンジデント社、2021)
●『還暦からの人生戦略 最高の人生に仕上げる“超実践的”ヒント』(青春新書、2021)
●『悪の処世術』(宝島新書、2021)
●『佐藤優の裏読み!国際関係論』(毎日新聞出版、2021)
●『危ない読書』(SB新書、2021)
●『同志社大学講義録 「悪」の進化論 ダーウィニズムはいかに悪用されてきたか』(集英社インターナショナル、2021)
●『教養はこうやって培う 読む力を鍛える』(PHP文庫、2021)
●『ベストセラーに学ぶ最強の教養』(文藝春秋、2021)
●『ドストエフスキーの預言』(文藝春秋、2021)
●『地政学入門』(角川新書、2021)
●『未来を生きるための読解力の強化書』(クロスメディア・パブリッシング、2021)
●『真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960 』(講談社現代新書、2021)
●『生き抜くためのドストエフスキー入門 』(新潮文庫、2021)
●『見抜く力――びびらない、騙されない。』(プレジデント社、2021)
●監修『世界の戦略図鑑』(宝島社、2021)
●『プーチンの野望』(潮出版社、2022)
●『国家と資本主義支配の構造 同志社大学講義録『民族とナショナリズム』を読み解く』(青春出版社、2022)
●『よみがえる戦略的思考 ウクライナ戦争で見る「動的体系」 』(朝日新書、2022)
●『神学の思考: キリスト教とは何か』(平凡社ライブラリー、2022)
●『危機の読書』(小学館新書、2022)
●佐藤優・監修『知の巨人が選んだ世界の名著200』(宝島社新書、2023)
●『君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力』(ジャパンタイムズ出版、2022)
●『生き抜くための読書術』(扶桑社、2023)
●『ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音』(中公新書ラクレ、2023)/共著:手嶋龍一
●『共用としての「病」』(集英社インターナショナル新書、2023)/共著:片岡浩史
●『国難のインテリジェンス』(新潮新書、2023)
●『それからの帝国』(光文社、2023)
●『これならわかる「カラマーゾフの兄弟」』(青春新書、2023)
●『悪の処世術』(宝島文庫、2023)
●『組織を生き抜く極意』(青春選書、2024)

(2)共著(対談・鼎談)
●『国家の自縛』(産経新聞出版、2005 →扶桑社文庫、2010)/聞き手:斎藤勉(産経新聞元モスクワ支局長)
●『国家の崩壊』(にんげん出版、2006)/聞き手:宮崎学
●『北方領土「特命交渉」』(講談社、2006 →講談社+α文庫、2007)/共著:鈴木宗男
●『インテリジェンス―武器なき戦争』(幻冬舎新書、2006)/共著:手嶋龍一
●『ナショナリズムという迷宮 -ラスプーチンかく語りき』(朝日新聞社、2006 →朝日文庫、2010)/対談:魚住昭
『アメリカの日本改造計画』(イースト・プレス、2006)/共著:関岡英之・小林よしのり・西部邁ら
『反省 私たちはなぜ失敗したのか?』(アスコム、2007)/共著:鈴木宗男
『国家情報戦略』(講談社、2007)/共著:高永哲
『中国の黒いワナ』(宝島社、2007)/共著:青木直人・西尾幹二
『佐藤優 国家を斬る』(同時代社、2007)/コーディネーター:宮崎学、連帯運動・編
●『国家と人生 寛容と多元主義が世界を変える』(太陽企画出版、2007 →角川文庫、2008)/対談:竹村健一
●『正義の正体』(集英社インターナショナル、2008)/共著:田中森一
●『大和ごころ入門』(扶桑社、2008)/共著:村上正邦
●『ロシア闇と魂の国家』( 文春新書、2008)/対談:亀山郁夫
『情報力―情報戦を勝ち抜く“知の技法”』(イースト・プレス、2008)/共著:鈴木琢磨
『政治を語る言葉』(七つ森書館、2008)/山口二郎・編
●『暴走する国家 恐慌化する世界―迫り来る新統制経済体制(ネオ・コーポラティズム)の罠』(日本文芸社、2008)/共著:副島隆彦、
『第三次世界大戦 左巻 新・帝国主義でこうなる!』(アスコム、2008)/共著:田原総一朗
『第三次世界大戦 右巻 新・世界恐慌でこうなる!』(アスコム、2008)/共著:田原総一朗
●『テロルとクーデターの予感-ラスプーチンかく語りき2』(朝日新聞出版、2009)/対談:魚住昭
●『インテリジェンス人生相談 社会編』、『同 個人編』(扶桑社、2009)
●『知の超人対談 岡本行夫・佐藤優の「世界を斬る」』(産経新聞出版、2009)/ 共著:岡本行夫
●『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』(文春新書、2009)/共著:立花隆
『徹底討論沖縄の未来』(芙蓉書房出版、2010)/共著:大田昌秀、沖縄大学地域研究所・編
●『猛毒国家に囲まれた日本 ロシア・中国・北朝鮮』(海竜社、2010)/共著:宮崎正弘
『小沢革命政権で日本を救え 国家の主人は官僚ではない』(日本文芸社、2010)/共著:副島隆彦
『週刊とりあたまニュース 最強コンビ結成!編』(新潮社、2011)/共著:西原理恵子
『国家の危機』(KKベストセラーズ、2011)/共著:的場昭弘
●『聖書を語る 宗教は震災後の日本を救えるか』(文藝春秋、2011 →文春文庫、2013)/共著:中村うさぎ
『沈黙より軽い言葉を発するなかれ』(創出版、2012)/対談:柳美里
●『はじめてのマルクス』(週刊金曜日、2013)/共著:鎌倉孝夫
●『世界と闘う「読書術」 思想を鍛える1000冊』 (集英社新書、2013)/共著:佐高信
●『知の武装 救国のインテリジェンス』(新潮新書、2013)/共著:手嶋龍一
『新・帝国主義時代を生き抜くインテリジェンス勉強法』(講談社、2014)/共著:荒井和夫
●『聖書を読む』(文藝春秋、2013)/共著:中村うさぎ
●『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』(文春新書、2014)/共著:池上彰
●『喧嘩の勝ち方 喧嘩に負けないための5つのルール 』(光文社、2014)/共著:佐高信
●『賢者の戦略』(新潮新書、2014)/共著:手嶋龍一
●『死を笑う うさぎとまさると生と死と』(毎日新聞社、2015)/共著:中村うさぎ
●『希望の資本論』(朝日新聞出版、2015)/共著:池上彰
●『反知性主義とファシズム』(金曜日、2015)/共著:斎藤環
●『崩れゆく世界 生き延びる知恵』(キャップス、2015)/共著:副島隆彦
●『「殺しあう」世界の読み方 (田原総一朗責任編集 オフレコ!BOOKS)』(アスコム、2015)/共著:田原総一朗・宮崎学
●『とりあたま大学: 世界一ブラックな授業!編』(新潮社、2015)/共著:西原理恵子
●『イスラエルとユダヤ人に関するノート』(ミルトス、2015)
●『国家のエゴ』(朝日新書、2015)/共著:姜尚中
●『異端の人間学』(幻冬舎新書、2015)/共著:五木寛之
●『インテリジェンスの最強テキスト』(東京堂出版、2015)/共著:手嶋龍一
●ニッポン放送「高嶋ひでたけのあさラジ!」編『90分でわかる日本の危機』(扶桑社新書、2015)
●『政治って何だ!? - いまこそ、マックス・ウェーバー『職業としての政治』に学ぶ-』(ワニブックスPLUS新書、2015)/共著:石川知裕
●『大世界史 現代を生きぬく最強の教科書』(文春新書、2015)/共著:池上彰
●『あぶない一神教』(小学館新書、2015)/共著:橋爪大三郎
●『インテリジェンスの最強テキスト』(東京堂出版、2015)/共著:手嶋龍一
●『第3次世界大戦の罠 -新たな国際秩序と地政学を読み解く』(徳間書店、2015)/共著:山内昌之
●『平和なき時代の世界地図 戦争と革命と暴力 単行本』(祥伝社、2015)/共著:宮崎学
●田原総一朗・責任編集『「殺し合う」世界の読み方』(文化放送、2015)/共著:宮崎学
●『マルクスと日本人 社会運動からみた戦後日本論』(明石書店、2015)/共著:山崎耕一郎
●『創価学会を語る』(第三文明社、2015)/共著:松岡幹夫
●『小学校社会科の教科書で、政治の知識をいっきに身につける』(東洋経済新報、2015)/共著:井戸まさえ
●『異端の人間学』(幻冬舎新書、2015)/共著:五木寛之
●『新・地政学 ~「第三次世界大戦」を読み解く』(中公新書ラクレ、2016)/共著:山内昌之
●『佐藤優さん、神は本当に存在するのですか?』(文藝春秋、2016)/共著:竹内久美子
●『復権するマルクス 戦争と恐慌の時代に』(角川新書、2016)/共著:的場昭弘
『竹中先生、これからの「世界経済」について本音を話していいですか』(ワニブックス、2016)/共著:竹中平蔵
●『右肩下がりの君たちへ』(ぴあ、2016)/共著:津田大介ほか
●『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』(東洋経済新報社、2016)/共著:山岸良二
●『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』(東洋経済新報社、2016)/共著:山岸良二
●『いま、公明党が考えていること』(潮新書、2016)/共著:山口那津男
●『21世紀の戦争論 昭和史から考える』(文春新書、2016)/共著:半藤一利
●『世界史の大転換 常識が通じない時代の読み方』(PHP新書、2016)/共著:宮家邦彦
●『右肩下がりの君たちへ』(ぴあ、2016)/共著:津田大介、ほか
●『新・リーダー論 ~大格差時代のインテリジェンス~』(文春新書、2016)/共著:池上彰
●『性と国家』(河出新書、2016.11.26)/共著:北原みのり
●『僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける77の極意』(東洋経済新聞社、2016.12.16)/共著:池上 彰
『トランプは世界をどう変えるか?』(朝日新書、2016.12.26)/共著:エマニュエル・トッド
●『死を語る』(PHP文庫、2017.8.3)/共著:中村 うさぎ
●『JAに何ができるのか』(新潮社、2017)/共著:奥野長衛
●『世界政治裏側の真実』(日本文芸社、2017.10.10)/共著:副島隆彦
●『「暴走する」世界の正体』(SB新書、2017)/共著:宮崎学
●『悪の指導者(リーダー)論 』(小学館新書、2017)/共著:山内昌之
●『なぜ私たちは生きているのか シュタイナー人智学とキリスト教神学の対話』(平凡社新書、2017)/共著:高橋巖
●『核と戦争のリスク 北朝鮮・アメリカ・日本・中国 動乱の世界情勢を読む』((朝日新書、2017)/共著:薮中三十二
●『大日本史』((文春新書、2017)/共著:山内昌之
●『武器を磨け 弱者の戦略教科書『キングダム』 (SB新書、2018)』/原作:原泰久
●『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)/共著:池上彰、松岡正剛、碧海寿広、若松英輔
●『宗教と暴力 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)/共著:池上彰、松岡正剛、石川明人、高岡豊
●『人生にムダなことはひとつもない』(潮出版社、2018)/共著:土屋伸之(お笑い芸人ナイツ)、塙宣之(同)
●『平成史』(小学館、2018)/共著:片山杜秀
●『知らなきゃよかった 予測不能時代の新・情報術』(文春新書、2018)/共著:池上彰
●『世界のエリートが学んでいる 哲学・宗教の授業』(PHP研究所、2018)/聞き手:小峯隆生
●『北東アジア市民圏構想』(第三文明社、2018)/共著:金恵京
●『いま大学で勉強するということ 「良く生きる」ための学びとは』(岩波書店、2018)/共著:松岡敬
●『米中衝突』(中公新書ラクレ、2018)/共著:手嶋龍一
●『未来のエリートのための 最強の学び方』(集英社インターナショナル、2019)/共著:野口範子
●『現代に生きるファシズム』(小学館新書、2019)/共著:片山杜秀
●『近代神学の誕生 シュライアマハー『宗教について』を読む』(春秋社、2019)/共著:深井智朗
●『新・リーダーのための教養講義 インプットとアウトプットの技法』(朝日新書、2019)/共著:同志社大学新島塾
●『〈危機〉の正体』(講談社、2019)/共著:深井智朗
●『近代神学の誕生: シュライアマハー『宗教について』を読む 』(春秋社、2019) /共著:深井智朗
●『知的再武装 60のヒント』(文春新書、2020) /共著:池上彰
●『宗教の現在地 資本主義、暴力、生命、国家』 (角川新書、2020)/共著:池上彰
●『公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動』(中公新書ラクレ、2020)/共著:手嶋龍一
●『長期政権のあと』(祥伝社新書、2020)/共著:山口二郎
●『現代に生きるファシズム』(小学館新書、2020)/共著:片山杜秀
●『子どもを守る仕事』(ちくまプリマー新書、2020)/共著:遠藤久江、池上和子
●『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』(新書、2020)/共著:池上彰
●『不条理を生きるチカラ コロナ禍が気づかせた幻想の社会』(ビジネス社、2020)/共著:香山リカ
●『長期政権のあと』(新書、2020)/共著:山口二郎
●『菅政権と米中危機 「大中華圏」と「日米豪印同盟」のはざまで』(新書、2020)/共著:手嶋龍一
●『ニッポン未完の民主主義 世界が驚く、日本の知られざる無意識と弱点』(中公新書ラクレ、2021)/共著:池上彰
●『真説日本左翼史 戦後左派の源流1945-1960』(講談社現代新書、2021)/共著:池上彰
●『危機の日本史 近代日本150年を読み解く』(講談社、2021)/共著:富岡幸一郎
●『賢慮の世界史 国民の知力が国を守る』(PHP新書、2021)/共著:岡部伸
●『伝え方の作法』(SB新書、2021)/共著:池上彰
●『この社会の歪みと希望』(第三文明社、2021)/共著:雨宮処凛
●『真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960 』(講談社現代新書、2021)/共著:池上彰
●『激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972 』(講談社現代新書、2021)/共著:池上彰
●『無敵の読解力 』(文春新書、2021)/共著:池上彰
●『世界史の分岐点 激変する新世界秩序の読み方』(SB新書、2022)/共著:橋爪大三郎
●『働く君に伝えたい「本物の教養」 佐藤優の地政学入門』(学研プラス、2022)
●『知的武装 60のヒント』(文春新書、2021)/共著:池上彰
●『ニッポン 未完の民主主義 世界が驚く、日本の知られざる無意識と弱点』(中公新書ラクレ、2021)/共著:池上彰
●『なぜ 人に会うのはつらいのか メンタルをすり減らさない38のヒント』(中公新書ラクレ、2021)/共著:斎藤環
●『完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』』(文藝春秋、2022)/共著:片山杜秀
●『組織で生き延びる45の秘策』(新書、2022)/共著:池上彰
●『人生は天国か、それとも地獄か』(白秋社、2022)/共著:田原総一朗
▼『柄谷行人『力と交換様式』を読む』(文春新書、2023)/共著:柄谷行人ほか
●『ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音』(中公新書ラクレ、2023)/共著:手嶋龍一
●『共用としての「病」』(集英社インターナショナル新書、2023)/共著:片岡浩史
●『最後の停戦論 ウクライナとロシアを躍らせた黒幕の正体』(徳間書店、2023)/共著:鈴木宗男
●『黎明日本左翼史 左翼の誕生と弾圧・転向 1867-1945』(講談社現代新書、2023)/共著:池上彰
●『完全読解 司馬遼太郎『坂の上の雲』』(文藝春秋、2022)/共著:片山杜秀
●『公安調査庁』(中公新書ラクレ、2023)/共著:手島龍一
●『宗教と不条理 信仰心はなぜ暴走するのか』(幻冬舎新書、2024)/共著:本村凌二
●『人士に効く寓話』(新書、2024)/共著:池上彰

(3)訳書
ゲンナジー・ジュガーノフ(佐藤優/黒岩幸子・共訳)『ロシアと現代世界 汎ユーラシア主義の戦略』(自由国民社、1996)
●J.L.フロマートカ(Josef Lukl Hromadka、日本ではロマドカの名称でも知られる)『なぜ私は生きているか J.L.フロマートカ自伝』(新教出版社、1997)
アレクサンドル・レベジ(工藤精一郎/工藤正広/黒岩幸子・共訳)『憂国』(徳間書店、1997)
●ヨゼフ・ルクル・フロマートカ (平野 清美・訳/佐藤優・監訳・解説)『神学入門 ~プロテスタント神学の転換点』(新教出版社、2012)
ヨゼフ・ルクル・フロマートカ (平野 清美・訳/佐藤優・監訳)『人間への途上にある福音 キリスト教信仰論』(新教出版社、2014)
●アモス・ギルボア/エフライム・ラピッド・編(佐藤優・監訳/河合洋一郎・訳)『イスラエル情報戦史』(並木書房、2015)
●『この国が戦争に導かれる時 超訳:小説・日米戦争』(徳間文庫、2015) 
●レム・クラシリニコフ(佐藤優・監訳、松澤一直・訳)『MI6対KGB 英露インテリジェンス抗争秘史』(東京堂出版、2017)
●ボアズ・ガノール(佐藤優・監訳、河合洋一郎・訳)『カウンター・テロリズム・パズル 政策決定者への提言』(並木書房 2018)
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【佐藤優】25年ぶりのテレビ出演 ~クローズアップ現代~

2024年01月24日 | ●佐藤優
【佐藤優】25年ぶりの“出演” “佐藤優”とは何者か ~クローズアップ現代・取材ノート~
NHK 2024年1月19日

 作家の佐藤優さんが、今月23日(火)の「クローズアップ現代」に出演する。
 佐藤さんが、NHKに本格的に出演するのは、実に25年ぶり。(前回出演は、1999年放送のETV特集「シリーズ 混迷するロシア」)
佐藤さんはその後、東京地検特捜部の捜査を受け、外務省を失職。作家に転身した。

 佐藤優さんとは、いかなる人物なのか。
 共著・対談の多いジャーナリスト、元上司、取り調べに当たった元検事の3人の証言を通じて、その人物像を探った。
(「クローズアップ現代」取材班)

INDEX
 ジャーナリスト 池上彰いけがみあきらさん
 元外務省局長 東郷和彦とうごうかずひこさん
 元東京地検特捜部検事 西村尚芳にしむらひさよしさん

【関連番組】NHKプラスで1/30(火) 夜7:57 まで見逃し配信

今月23日の「クローズアップ現代」に出演する、佐藤優さん

【佐藤 優(さとう まさる) 作家・元外交官】
 1960年生まれ。同志社大学大学院修了後、外務省で対ロシア外交に従事。 東京地検特捜部の捜査の実態を記録した「国家の罠」でデビュー、その後ベストセラー作家に。

■ジャーナリスト 池上彰いけがみあきらさん
 元NHK記者で、わかりやすい解説で知られるジャーナリストの池上彰さん。佐藤さんとこれまで、国際情勢や宗教、歴史、勉強法に至るまで、20冊余りの共著を発表してきた。書評で佐藤さんが池上さんの著書を評価したのをきっかけに知り合い、親交を深めていったという。

池上さん
 よく『ケミストリーが合う』という言い方があるんですけれども、何かこう意気投合してしまってですね。それまではこちらもよく知らなかったんですが、会って話をしてみると、彼のいろいろな思いとか、あるいは特に経済学、国際情勢とかについて非常に深い洞察力を持っていて、その部分でかなり意気投合するところがありました。なぜかその後親しくなり、そうするといろんな出版社から「対談しませんか」ということになり、結局共著あるいは対談という形で本がいっぱい出ているということですね。
 
NHK社会部の特ダネ記者として活躍した池上さん。記者の視点から見た佐藤さんの能力とは。

池上さん
 たとえば佐藤さんが外務省時代に、ソビエトの末期の時にクーデターが起きたわけですよね。で、当時のゴルバチョフ[1]大統領が行方不明になった。本当にゴルバチョフがどうなっているのかわからない、世界中が必死になって確認しようとしていたら、当時佐藤さんはモスクワの日本大使館にいて、ゴルバチョフは無事だというのを最初につかんできたんですね。
 アメリカもゴルバチョフが生きているかどうか確認できなかったのが、日本から無事が伝えられたというので、アメリカも日本の情報収集能力の高さに驚いたんですね。
これはすごい人だなと思いますし、いろいろ情報を得ようとして、相手に食い込んでいて信頼を得られるって、記者の鑑なんですよね。彼は記者ではないんだけれども、日本の外交官として、日本の国益のために、様々な情報を収集していたという能力の高さには仰天しましたね。

 ※[1]ミハイル・ゴルバチョフ(1931-2022)旧ソビエト最後の指導者。元大統領。「ペレストロイカ」と呼ばれた政治改革や、アメリカとの核軍縮などを進め、当時のアメリカのブッシュ大統領と共に東西冷戦の終結を宣言した。

「佐藤さんをひと言で表すと、どんな人物か」。池上さんにそう問うと、やや考えた上で、答えが返ってきた。

池上さん
 ひと言で言えば「愛国者」なんですね。「愛国者」というと、何となく右寄りのイメージがあるかもしれないけれども、政治的に右でも左でもなく、本当に日本のために何ができるのかということを考えている。だから、たとえば外務省に裏切られたり、東京地検特捜部に逮捕されたりすれば、それに対する恨みというのは持っていて当然ですよね。しかし日本のためであれば、今の外務省にもアドバイスをする。あるいは東京地検特捜部で自分のことを取り調べた検察官とも仲良くなってしまう。これはやっぱり類まれなる能力だなと思いますよね。

池上さん
 「内在的論理」とは、それぞれの国、あるいはそれぞれの団体がどのような論理でこのようなことをしようとしているのかということです。その論理をまず知ることが必要だと。つまりそれに賛成する反対するということではなく、まずは相手のことを知ろう、あるいは言ってしまえば敵のことを知らなければ対応もしようがないでしょうと、こういうことですね。
 たとえばロシアのプーチン大統領がウクライナに攻め込んだ。「ロシアは信じられないことをやっているよな」というように一般的には受け止めますけど、でもロシアには、あるいはプーチン大統領にはそれなりの論理があるはずだ。それはどういうことなのか、ということを解きほぐして、これを伝えていこうという、こういうことだと思うんですね。だからといってプーチン大統領がやっていることが正しいことだと言っているわけではないんですよね。こういう論理でこうやっているんだ、じゃあそれに対して私たちはどのような論理で立ち向かえばいいのかということを考えるきっかけになるわけですよね。
 あるいはイスラエルがガザ地区でハマスに対する攻撃をしている。イスラエルが怒るのもわかるけれど、「ちょっとやり過ぎじゃないの」と思う人がいるのは当然のことですよね。でもその時に「何でイスラエルがあんなことをやるのか」ということを理解した上で、じゃあそれに対してどのように止めることができるのか、あるいはアドバイスすることができるのか、ということを知っておかなければいけない。
 まずは内在的論理を知った上で私たちはどうするのかを考える。それを常に佐藤さんは訴えているということですね。
 相手の価値や信条の体系を把握する内在的論理。それを理解して対話を始めることが、今の日本に、そして世界に求められている。佐藤さんとの対話を経て、池上さんが今考えることだ。

池上さん
 今、「論破」って言葉があるでしょう。「論破王」がいたりしてですね。「論破したぜ」というと、そこで終わっちゃうんですよね。論破したよ、はいおしまい、になる。だから世の中はダメなんですよ。そうではない、相手との意見が対立していても、でも相手が何を考えているかを理解した上で、それについて対応する。そうしたらまた向こうから返ってくるという形で、キャッチボールが行われますよね。それが結果的に次の解決策につながってくる。
 とにかく「相手を論破したぞ」、「こっちが勝った」。勝ち負けだったら先に進まないわけですよね。結果的に対立が続くということになる。対話でとにかく何を言っているのかしっかり理解した上で、それについて私はこう思うという形で、少しでも議論をかみ合わせていくということ、それが(物事の)解決に進んでいくということだろうと思うんですね。

【池上 彰(いけがみ・あきら)】
 1950年生まれ、長野県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHKに入局し、報道局社会部記者や報道局記者主幹、「週刊こどもニュース」のお父さん役などを務め、退職。現在はフリージャーナリストとして活動。

■元外務省局長 東郷和彦とうごうかずひこさん
 外務省で対旧ソビエト・ロシア外交に従事した佐藤さん。その時の上司の1人が、ソ連課長、欧亜局長などを務めた東郷和彦さんだ。
 東郷さんは東京・霞ヶ関の外務省本省に勤めていた時代、旧ソビエトのディープな内政情報をモスクワから報告してくる佐藤さんのことを評価していたという。
 そして1991年。当時のゴルバチョフ 大統領が進めていた「ペレストロイカ」と呼ばれる政治改革に対抗し、保守派が起こしたクーデター。市内に戦車が走り、モスクワは大混乱に陥った。その中で「ゴルバチョフが生きている」という一報を世界に先駆けて入手したのが佐藤さんだった。当時、東郷さんはソ連課長だった。

東郷さん
 当時はクーデターが起きて、ゴルバチョフがどうなっていたかということは誰にも分からなかったわけです。クーデターは3日間で、佐藤はその間に、ものすごい量の情報を本省に送ってきました。
 そして、ゴルバチョフの生存という情報を、彼は保守派のイリイン第2書記から聞き取るわけです。それが電報でいう形で本省に入って、我々はこの情報を官邸や外務大臣に上げつつ、いろいろなチャンネルで世界に発信したわけですよね。日本がこの情報に関しては一番乗りということが世界に知れ渡りました。

ディレクター
 当時、まだ佐藤さんは大使館の中でもそんなに地位が高いわけじゃないのに、イリイン氏に直接会って話を聞けるというのは、どう思いましたか?

東郷さん
 すごいなって。その一点に尽きますよね、それまでもいろいろロシア社会に深く食い込んでいるような情報は来ていましたから、すごいなと思って見ていましたけれども、それが集約された形でポンと出たのは、あのクーデターの3日間ですね。
 そして1994年、モスクワの日本大使館に次席公使として勤務し始めたとき、佐藤さんから声をかけられたという。

東郷さん
 着任したら、すごく早い時点で(佐藤さんが)私のところにやってきましてね。
 「東郷さん、これからはこのロシア社会に食い込むんです。それにはね、1日に6回、ロシア人と食事をしてください。朝飯2回、昼飯2回、夕飯2回。1日に6回、ロシア人と飯を食ってください」と言って、膨大なリストを持ってきたんです。「これが、あなたが接触すべき大体の範囲です」と言って、はっきり覚えていないけれども、100人台のリストで。びっくりしましたが、気合いを感じましたね。

東郷さんと佐藤さんの会食
 佐藤さんのアドバイスを受け、会食を重ね、ロシア人と交流を深めた東郷さん。時には会食を共にすることもあった。その席で、一流のインテリジェンス・オフィサーである佐藤さんの能力を実感したという。

東郷さん
 右派の人たちと会う時は、ほとんど佐藤と一緒だったと思います。当然こちらもある程度、相手のことを勉強していくわけですが、私と佐藤の2人だと、ある程度私がしゃべらなくてはならない。一緒にいる佐藤が、相手の顔を見ながらですね、合いの手を入れるわけですよ。これが実に見事で。僕の言ったことに対して、向こうが言ったことに対して、合いの手を入れると、相手は「あ、この男は自分達のことを分かっているな」という印象を受ける。
 どうしてそんなことが出来たのかということを、今にして思えば、たぶんその日に来るロシア側のリストを見て、事前によく勉強していたんだと思います。相手の背景だとか、相手の琴線がどこにあるかとか、それを会話の中でチラチラと見せる。「お前のことを知っているぞ」と、ワっとしゃべるというのではなくて、チラチラと言うことによって、自分のことをよく分かっているなという印象を与える。この勉強と直感、すごかったですね。すごく勉強になりましたよ。

通訳にあたる佐藤さん
 1990年代、大きな動きがあった北方領土返還交渉。その中で佐藤さんは、戦略を練り、当時の総理大臣に直接ブリーフィングを行うこともあったという。

東郷さん
 橋本総理[2]が出てきた時に、もう1度日ロ関係を動かそうという動きがハッキリ出てきて、僕も立場上、官邸に行くべき立場に上がってくんですけども、その中で佐藤も橋本総理に直接いろいろお話する機会が出てきていました。橋本総理に対して佐藤がやったブリーフィングは、エリツィン[3]の琴線をつかむ、いろいろな橋本発言につながっていったように思うんです。
 ゴルバチョフ、それから今のプーチンもある程度そうですけども、どちらかと言うと論理的に考える。「こういう論理でいけばこういうことになるでしょう」と論理的に詰めていきます。ところがエリツィンは、そういう風に論理で物事を詰めてくと、だんだんイライラしてくる。論理で詰めるということは、エリツィンから見ると、「条件をつけて自分を責めてくる」というふうに、プレッシャーを感じるところもあったと思うんです。そうではなくて「私はこうする、これは無条件、あなたも無条件。お互いに持ち寄って一番いいものを決め、お互いに平等に選択していきましょう」と。このアプローチがエリツィンには効いたんですよね。
 エリツィンにはそういうアプローチがいいんだと見抜いたのは、やはり佐藤のエリツィンに対する勉強と、「これがいいんじゃないか」という直感の組み合わせで、エリツィンの琴線をつかんでいったということじゃないかなと思うんですね。
 従来は首脳会談をやれば、こういう成果を生み出そうと、一種の条件がつきますね。ただ、「信頼醸成サミット」として「成果は必要ないんだと。信頼を作るためにモスクワではないところで無条件に会いましょう」というのがありました。実際、その場はクラスノヤルスク[4]になるわけですけども、これはね、エリツィンから見ると非常に新鮮に見えたと思うんですね。外務省全体の指揮者は(当時の)丹波外務審議官[5]でしたけれども、その知恵袋としては佐藤といったことじゃないでしょうかね。

 ※[2] 橋本龍太郎(はしもと・りゅうたろう)(1937-2006)元総理大臣。1996年に総理大臣に就任し、沖縄・普天間基地の返還交渉や、北方領土交渉などに取り組んだ。
 ※[3]ボリス・エリツィン(1931-2007)元ロシア大統領。1991年に選挙を通じて、ロシア共和国の大統領に就任。市場経済改革とともに民主化を推進し欧米との関係を改善させた。
 ※[4]1997年11月、当時の橋本総理大臣とエリツィン大統領の間で、2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとした「クラスノヤルスク合意」が結ばれた。
 ※[5]丹波實(たんば・みのる)(1938-2016)元ロシア大使。東京大学法学部を卒業後、外務省に入り、条約局長や外務審議官などを歴任。北方領土返還交渉の指揮に携わった。

その後、作家として活躍する佐藤さん。当時の上司として、いまどのような思いで仕事ぶりを見ているのか。

東郷さん
 彼は外務省にいた時は、目標は平和条約の締結ということに絞られていました。不幸にしてああいう形で外務省を辞めて、そのあと作家になったじゃないですか。作家になって彼がいま30本ぐらいの連載を同時並行的に出していて。それで、何冊本を書いたか、もう数え切れないですよね。そういう形で彼の才能が、ある意味で開花した。外務省時代は、それが平和条約という一点に絞られていたから、いかに大きなパワーであったかということは、おわかりいただけるだろうと思うんです。
 “異能の才”ですからね。ああいうレベルでロシア人の琴線をつかむ人というのは、当時ももちろんいなかったし、その後もいないんじゃないかと思いますね。

【東郷和彦(とうごう・かずひこ)】
 1940年生まれ。東京大学教養学部を卒業後、外務省に入り、ソ連課長、条約局長、欧亜局長などを歴任。2002年に外務省を退職し、現在は静岡県立大学グローバル地域センター客員教授。

■元東京地検特捜部検事 西村尚芳にしむらひさよしさん
 2002年、東京地検特捜部に逮捕された佐藤さん。「国策捜査」の実態を訴えた著書で作家としてデビュー、人生の転機となる事件だった。その当時、取り調べに当たったのが、元東京地検特捜部検事の西村尚芳さんだ。今回、初めてNHKの取材に当時の状況を語った。佐藤さんと初めて会ったときの印象はよく覚えているという。

西村さん
 外務省の事件で、被疑者として任意で最初、東京地検特捜部のほうから外務省を通じて出頭要請をしていたのですが、「任意だったら行かない」と言われて。それで逮捕状を用意して、当時、彼が勤務していた外交資料館に出向いたわけです。それで、この場で逮捕しますと。普通、業務を経由した呼び出しに嫌だと言う人なんてそういないので、すごく変わった人なのかなと思いました。
 事前の印象は、写真で見ているとすごく太っている人で、「ラスプーチン」とも呼ばれて、威圧感がある感じで、そういうイメージでもってお会いしたんですが、実際お会いしてみると当時、やせていたんですよね。そして思ったよりはソフトな対応、柔らかい対応だとわかりましたね。だからイメージとは変わっていました。敵対して「完全黙秘をするぞ」と言ってくることもないし、突っかかってくることもないという感じで。

2002年の佐藤さん
 512日間に及んだ拘置所生活。その中でも、一切、自分を見失わなかった佐藤さんは、検察官人生の中でも特に印象に残っているという。

西村さん
 ひと言で言うと、崩れない人。普通の被疑者のように、居丈高になるとか、黙秘してやるとか、力むといったことが全然なく、ごく普通に、ソフトに対応しているんです。全然意識が崩れない。だらしないところがありませんでした。
 普通の人は大体どこかが崩れるんです。やはり特異な環境に入れられていますし。外から隔絶されたりすると不安になるものですが、そういうのは特になく「拘置所はこう住んだほうが楽しい」とか、「食事がうまい」とか、延々と自慢されました(笑)。取り調べは「きのう、何を食べたか」がスタートだったんですよ。美食家を自称していらっしゃるから、「いろいろなものを食べたよ」「きのうのコースの飯はうまかった」から始まる(笑)。
 3か月半、ほぼ毎日行われた取り調べ。その様子を詳しく聞くと、拘置所の中にありながらも、佐藤さんは相手の「内在的論理」を把握して事に臨もうとしている姿勢も見えてきた。

西村さん
 取り調べの過程で、彼は「自分はどういう立場でどういう仕事をしていたか」というのを、私に教えようとするんですよ。自分のことを私に理解してくれ、という感じでいろいろ言ってくる。つまり自分の立場をわかった上で、その立場と、その仕事内容をわかった上で捜査してくれということですね。それと同時に彼自身も私の仕事、検察官の仕事のこと、私がどんな仕事ぶりなのか、検察官はどんな行動原理で動くのかということを把握したかったんだと思います。
 要するに、双方がどんな立場で仕事をしているのか、どういう行動原理で動いているのかということをお互いすり合わせるという作業が取り調べのかなり前段階でありましたね。私も相手方の仕事を、行動原理を理解するというのは非常に重要だと思ったので、十分お聞きした上で動いていました。
 当時、佐藤さんが問われた罪は2つ。2000年にイスラエルで開かれた国際学会への参加費用などを、北方支援事業などを行う国際機関「支援委員会」から不正に引き出して、損害を与えたとする背任。もう1つは、支援委員会が発注した国後島のディーゼル発電施設工事の入札を妨害したとする偽計業務妨害だ。
 佐藤さんは「学会への参加費用の支出に当たっては事務次官などの決裁を受けている」「違法な行為は一切、行っていない」などとして、一貫して無罪を主張したが、執行猶予付きの有罪判決が言い渡された。

西村さんは事件をどう総括するのか。

西村さん
 彼は極めて特別な立場で特別な仕事をしていたわけです。(直属の上司を通して報告する、通常の)ラインから離れて仕事をしていました。ラインから離れた仕事なので支援体制がきちんとなければなりませんが、不十分だった。なので、かなり経済的に無理をしながら仕事をしていたんですよね。その無理のしわ寄せが「支援委員会」という機関にいってしまった。「支援委員会」に金はありますが、権限は限られていて立場が弱い。そこにしわ寄せがいくと、恨みが残る。この事件はそれなんですよ。
 佐藤さんは能力が突出しているので、上から重宝されているんです。だから、ラインから離れた特殊な仕事をさせられているということがあると思います。それはお話していて理解しました。それは幸運ではあるけれども、大変苦労は多いし、支援体制が必ずしも十分じゃないと、無理もしないと前に進まない。結果を出すためには無理も必要だというようなことで進めていかなければいけなくなってしまう。
 そして、「暴風」という表現で、あの事件の特異性を振り返った。

西村さん
 無理はどこかで歪みを生むんですよ。そしてどこかがしわ寄せをくらう。これが絶対出てくるんです。しわ寄せをくらっているほうはずっと怒っているんですよ。弱い立場ならそれは言えないけど、きっかけがあったら爆発します。そのきっかけが、あの暴風だったでしょうね。それが、あの時の外務省を中心に吹き荒れた佐藤優バッシングの時に、(事件の)ふたがトントンと開いていったというのが実情です。
 通常、ああいう暴風が吹く場合は検察由来のことが結構あるわけです。「検察が捜査しているから」と。あれは違った。明らかに暴風が吹いて、吹きまくって、それで押されて動いた話ですから。あの風がどうして吹いたか、僕らにはわからなかった。
 彼はずっと、あの風がなんで吹いたのかってことを考えていました。自分の仕事のどこにそういう原因があってあんな風が吹いたんだ、ということをずっと考えていたというのが私の印象です。ああいう大風が吹かなければ、ふたが開かず捜査にならなかったので、あの事件というのは、かなり特殊な背景があった話ですね。
 一方、判決では、佐藤さんが「私的な経済的利益を得ようとしていたとは認められない」ことも認定された。

西村さん
 捜査の際に彼の金回りを見ましたが、自分のポケットには一切、入らない。そういうところは一切ない。そのあたりも意識を高く持っていたんでしょうね。
 でも事件になるんですよ、そういう人でも。この事件で、彼は個人的に全然、悪いわけではない。しかし、仕事が出来すぎるというのも、実は事件の原因になるんです。
 逮捕をきっかけに作家に転じた佐藤さん。その「生みの親」とも呼べる1人が、実は西村さんだった。取り調べを通じて、その才能を実感していたという。

西村さん
 捜査の時から、この人は非常に特異な才能があるなと思っていました。捜査段階では、彼が外務省内で書いている文章を当然、いっぱい読むんですよ、公電とかね。それがすごく面白くて明解なんです。役人が書く文章じゃない。あまりに明解すぎて、回りくどさが一切ないというところがありますね。
 普通役人の文章はもっと回りくどい。エクスキューズがつくんです。つまり責任を自分にかからないように書くんです、役人の文章は。それが彼の文章には全くないわけですよ。「ドンっ」てきているんです、文章が。だから分かりやすいんです。そして全てが面白くなっちゃうんです。
 それと実際、取り調べでいろいろ話をする中で、彼は難しい話を分かりやすく噛み砕いて説明するんです、素人に対して。能力が高いなと思って見ていました。
 だからこそ、作家を勧めました。「独立して、書きたいことがあるんなら書いたらいいんじゃないの」と言いましたね。

記者
 佐藤さんの作家デビュー作「国家の罠」は読まれましたか?

西村さん
 本が出るという事前告知が週刊誌に載っていて、その時は北方領土がどうこうという話が書いてあったので、外交の話だろうと思い、油断していました。本が出たあとに東京の知人から電話がかかってきて「読んだ?」と言われて。「何ですか?」と言ったら、「君の名前もいっぱいある」と。で、思わず買い、自分で購入して読むと、確かにいっぱい書いてある。書くとは言っても「主要登場人物が僕かよ」と思って、それはびっくりしました。「本の半分ぐらい、僕の名前じゃない」と思って。氏名使用料もらっていないなと思って(笑)。ただ、意図的に検察官たる僕をおとしめるようなことは全然なく、そこはありがたかったですね。読みやすく、面白かったです。ただ役人としては、いろいろ大変なことが発生するわけでございまして、苦労はありました。
 西村さんは検事を退官したあとの、おととし、佐藤さんと20年ぶりの再会を果たした。病気からの回復を喜び、今後も作家としてますます活躍することを期待しているという。

西村さん
 あれだけ大活躍するというのは、いい話で、よかったねと思っています。次のステップに行けたねという感じですね、人生的にね。それに本当に体が治ったのはよかったなと。
 腎臓の移植手術が成功して、寿命が伸びていますから。手術が終わったあとすごく元気になっているので、これから何十年、10年、20年、一線で活動できると思うから、そういう意味で、今後も才能を生かして頑張っていただきたい。手術が成功して本当に良かったです。

【西村尚芳(にしむら・ひさよし)】
 1960年生まれ。金沢大学法文学部を卒業後、1990年に検事に任官。東京地検特捜部副部長、大阪地検特捜部長、高松地検検事正などを務めた後、2020年に退職し、現在は霞ヶ関公証役場で公証人を務める。

【関連番組】NHKプラスで1/30(火) 夜7:57 まで見逃し配信

https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic052.html
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【佐藤優】30代で35年ローンを組む異常

2023年11月03日 | ●佐藤優
 ①朝日新聞取材班『負動産時代 マイナス価格となる家と土地』(朝日新書 810円)
 ②宇野みどり『はじめはここからスワヒリ語』(第三文明社 1,500円)
 ③スティーヴン・ホーキング(青木薫・訳)『ビッグ・クエスチョン <人間の難問>に答えよう』(NHK出版 1,500円)

 (1)朝日新聞取材班『負動産時代』は、日本の不動産ビジネスが抱える問題を構造的に解明した優れたノンフィクションだ。
 <さまざまな「負動産」問題の根っこにあるのは、「新築主義」とも言うべきゆがんだ住宅政策と、焼き畑農業のような土地政策である。「土地神話」時代の政策の骨格をひきずったまま、噴出するさまざまな問題に対して場当たり的に対応しているように映る>
 との指摘はその通りだ。特に持ち家政策に諸悪の根源があるように思えてならない。サラリーパーソンが35歳で支払期間35年の住宅ローンを組むのは異常だ。ローンの支払いで苦しむよりも、賃貸住宅に住み、浮いた金を教育やレジャーに使った方が幸せな人生を送ることができると思う。

 (2)宇野みどり『はじめはここからスワヒリ語』を読むと文化交流における言語習得の重要性が分かる。
 <東アフリカの人々は本質的にやさしく陽気な性格を持っています。貧しいから助け合うというわけではなく、相手を思いやる気持ちが強く、明日の食べ物がなくても何とかなるさと笑顔で頑張っています。
 東アフリカには、広い広いサヴァンナ、そこに住む野生動物、真っ青なインド洋と熱帯魚、色とりどりの熱帯の花々、そして親しみやすい人々が待っています。スワヒリ語を学び、ぜひ一度アフリカのサファリを楽しんでください。一言でもスワヒリ語をしゃべれば、人々は“Rafiki”(ラフィキ=友だち)とあなたを歓迎してくれることでしょう>
 との宇野氏の指摘に共感を覚える。本書の刊行を契機にしてスワヒリ語を学ぶ人が増えることを期待する。

 (3)スティーヴン・ホーキング『ビッグ・クエスチョン』は、2018年3月に亡くなったホーキング博士のエッセー集だ。
 <思うに、最先端の科学技術とその応用を理解できるのは一握りのスーパーエリートだけだという世界は危険だし、貧しいのではないだろうか。そんな世界で、たとえば海をきれいにするとか途上国の病気を治すといった、長い目で見て恩恵のあるプロジェクトに高い優先順位が与えられるものだろうか? 悪くすると、最先端のテクノロジーが私たちに害をなすような使い方をされるかもしれず、私たちにはそれを阻止できないということにもなりかねない>
 との指摘が重要だ。自然科学の最先端の成果を一般の人々に分かりやすく説明することができるサイエンスコミュニケーターの養成が急務だ。また、高校段階で、文科系、理科系に生徒を区別する現在の教育を改めるべきだ。大学の文科系学部の入試には数学を、理科系学部の入試には現代文と歴史を必修にすれば、10年で事態が抜本的に変化すると思う。

□佐藤優「30代で35年ローンを組む異常 ~知を磨く読書 第289回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年3月30日号)引用

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【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~

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【佐藤優】安定してさえいればいい  ~官僚の掟(15)~

2019年03月22日 | ●佐藤優
 改めて「安倍政権は事実上の超然内閣だ」と私が考える要素をまとめてみます。
 安倍政権は、国会運営において議席数の優位から、その気になれば数の力でかなりのことができます。そんな安倍政権の強引さや政策の矛盾を国民にうまく伝え、政権交代を狙える力量のある野党もなければ、自民党内に安倍首相の求心力に対抗できる有力議員もいませんから、メディアや世論の非難は一時的なダメージにしかならないのです。小選挙区制も安倍政権に有利に作用しています。2017年の衆院選小選挙区での自民党の得票率は48%なのに、75%もの議席を獲得できたのです。
 つまり、安倍政権は、野党や自民党との関係において摩擦係数が「ほとんど0」という状況にあると言えます。そして世論は、政治への関心が薄く、混乱を望んでいませんから、他の選択肢に比べて、安定をもたらしてくれるように思える安倍政権の継続を容認している。
 これだけの条件がそろい「自分が理解したい形で世界を理解する」タイプの首相が政権を担えば、超然内閣になってしまうのも、仕方ないことなのかもしれません。決して、受け入れることはできませんが。
 そんな「一強」政権のもと、官僚たちは「一部の奉仕者」として、不祥事を繰り返しながらも、競争なき世界を享受し、新自由主義社会の中で容易に統治を進めているのが、現代の日本の状況と言えるのです。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「安定してさえいればいい」を引用

 【参考】
【佐藤優】混乱にはうんざり ~官僚の掟(14)~
【佐藤優】ロシアと似た無関心  ~官僚の掟(13)~
【佐藤優】安倍政権は事実上の超然内閣 ~官僚の掟(12)~
【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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【佐藤優】混乱にはうんざり ~官僚の掟(14)~

2019年03月21日 | ●佐藤優
 この構図を日本に移すと次のように描けます。日本経済は、戦後の混乱を経て朝鮮戦争の特需で立ち直ることができました。続く高度経済成長の過程で、分厚い中産階級が形成されていきました。一方で、東西冷戦という勢力均衡のもと、自民党政権がさまざまな腐敗を抱えながらも政権を維持し続けました。日本経済がピークを迎える1990年まで、国民生活は比較的安定していたと思います。しかし、冷戦構造が壊れ、バブルが崩壊し、景気が低迷。新自由主義改革とデフレ、さらにリーマン・ショックによって国民生活は不安定になりました。とどめは民主党政権の失敗です。国民はこうした混乱にうんざりして、不満はあっても他の選択肢よりマシに思える安倍政権を消極的に支持している。
 この現象は、日本において近代的な市民社会が完成していることの証なのかもしれません。内閣府が2018年8月26日に公表した「国民生活に関する世論調査」で、今の暮らしに満足している人とまあ満足している人を合計すると、73.9%にものぼり、過去最高を示しました。
 これは金銭的、物質的に満たされて満足しているということではなく、現状をとりあえず受け入れているということだと思います。「欲望の王国」の中で、誰もが自分に見合ったサイズの欲望を追求している姿が見えてくるように思います。その王国が崩れるほど世の中は混乱していないし、まだ欲望を追求するだけの余裕が日本にはある、ということを物語っている面もあります。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「混乱にはうんざり」を引用

 【参考】
【佐藤優】ロシアと似た無関心  ~官僚の掟(13)~
【佐藤優】安倍政権は事実上の超然内閣 ~官僚の掟(12)~
【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次

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【佐藤優】ロシアと似た無関心  ~官僚の掟(13)~

2019年03月20日 | ●佐藤優
 自国のことは第三者的に冷静な目で捉えづらいのです。2018年3月に行われたロシア大統領選挙の結果が、安倍内閣と世論の関係に共通する部分が多く、我々にとっても参考になると思います。ロシアでは、プーチン大統領は国民から好かれていません。それでも7割以上の得票率で大統領に当選しました。
 プーチンの政策のポイントは、ロシアに中産階級を作り出すことにあります。90年代、ソ連崩壊に伴って、急激なインフレが起きました。国有財産の民営化が進められる過程で貧富の差が極度に拡大し、社会が大混乱に陥りました。この混乱から脱却するには、分厚い中産階級を形成する必要がありました。プーチンはその政策を推し進め、中産階級の形成に成功した結果、人気を失ったのです。
 なぜならば、中産階級とは本質的に非政治的な存在だからです。これは代議制民主主義の根幹にかかわる話で、この制度下では、市民が政治家を投票によって選出します。すると、政治は職業政治家によって行われ、市民は政治に関して何をするかというと、何もしません。代わりに、「個の欲望」を追求するようになります。ヘーゲルやマルクスが市民社会を「欲望の王国」と呼んだのがこれに当たります。経済が順調である限り、市民は政治に無関心なのです。プーチン政権下でも、2014年までは経済が順調でしたから、市民の不満は少なかったのです。
 ところがこの年、プーチンがウクライナ南部のクリミア半島を併合したことで、欧米諸国はロシアに対する経済制裁を行い、ロシア経済は打撃を受けました。そのために中産階級の生活水準が低下し、プーチンに対する不満が高まりました。しかし、プーチン以外に受け皿になる人物が見当たらないし、プーチン以外の人間が政治の舵取りをしても大混乱が起きることが分かっている。だから、プーチンに不満を持っている市民も、混乱よりはプーチン政権が続くほうがマシだと判断して、大統領選挙で彼に投票したというわけです。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「ロシアと似た無関心」を引用

 【参考】
【佐藤優】安倍政権は事実上の超然内閣 ~官僚の掟(12)~
【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次
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【佐藤優】安倍政権は事実上の超然内閣 ~官僚の掟(12)~

2019年03月19日 | ●佐藤優
 今の安倍政権の姿がよく見えてくる話を、この章の締めくくりとしてみましょう。安倍政権は、どれだけ筋が通っていることでも、自分にとって好ましくなければ「超然」とした態度をとることができるのです。1889年、大日本帝国憲法公布の翌日、首相の黒田清隆は、集まった地方長官を前に「超然政党の外に立ち」不偏不党の立場で政治にあたれと演説をしました。これがおそらく皆さんも社会科の授業で習った「超然主義」あるいは「超然内閣」の由来となるエピソードです。
 大日本帝国憲法には、首相や閣僚は国会議員から選ぶという決まりはありませんでした。ですから政党に左右されず「超然」として政策を実行できる超然内閣が成り立ちました。いまの安倍政権は事実上の超然内閣だと思います。
 その根幹にあるのが、反知性主義だと思いますが、反知性主義だけでは、現在の議院内閣制の下で超然内閣は成り立ちません。常識的に見れば、森友・加計学園問題で明らかになった国会軽視の姿勢で、与党内から「安倍おろし」が始まり、野党から激しい攻撃を受け、政権を維持できないか、支持率の低下で求心力を失っていることでしょう。
 安倍政権が事実上の超然内閣になっているのは、いくつかの追い風が同時に吹くという幸運にも恵まれたからだと思います。繰り返すようですが、野党の弱体化がまず挙げられます。むしろ衰弱と言いたいくらいです。衆参両院の議席数を見ると、自民党は衆議院で283議席を占め、単独過半数です。連立を組む公明党の議席と合わせれば、憲法改正を発議できる3分の2を超えています。参議院は125議席。公明党と合わせれば、3分の2には達しないものの150議席。通常の国会運営には支障はありません。
 さらに安倍首相の出身母体、自民党はかつてのように、派閥が政策を競い、それぞれの派閥の長が首相の座を狙う、合従連衡は日常茶飯事という緊張感がありません。議員も小粒になりました。政策と胆力のある政治家が果たしてどれほどいるでしょうか。小選挙区制では一人しか当選できません。党から公認をもらえなければ莫大な選挙費用を捻出できず、中堅議員以下の当選はおぼつきません。必然的に自民党所属議員は安倍氏の顔色をうかがうようになります。超然内閣にならない方がおかしいのかもしれません。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「超然内閣の根にある反知性主義」を引用

 【参考】
【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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【佐藤優】中国を支配する秘密結社

2019年03月18日 | ●佐藤優
 ①楊海英『独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで』(文春新書 850円)
 ②井上ユリ『姉・米原万里』(文春文庫 700円)
 ③ケネス・ルオフ(木村剛久・訳)『天皇と日本人 ハーバード大学講義でみる「平成」と改元』(朝日新書 810円)

 (1)①は、中国について知るための必読書だ。
 <中国共産党を、西洋や日本の政党(ポリティカルパーティー)と同じものだと考えては、大きく誤ります。その本質は、社会のほとんどすべての領域で、国を支配する最高権力組織であり、体質的には監視と密告によって結束を維持する秘密結社なのです>
 と楊氏は指摘する。もっとも中国共産党員の数は約9,000万人なので、秘密結社としては空前の大きさと思う。中国共産党の機能を正確に理解することが、あの国の現在を分析し、将来を予測する際の鍵になる。

 (2)②は、作家でロシア語会議通訳の米原万里さん(1950~2005年)の妹である井上ユリ氏が、姉についてつづった愛情あふれるエッセーだ。
 <とにかく本が大好きで、いつも傍らに置いていた。万里の蔵書は、一部はロシア語関係者にお分けし、一部は売却した。でも五千冊を超える大切な本は、(引用者注…作家・井上ひさし氏の蔵書を収めた)遅筆堂文庫に置かせてもらっている。
 ちなみに万里は、歩いて三分の魚屋にネコ用のあらを買いに行くときも、バッグに辞書や、そのとき読んでいる本を詰め込んでいた。
 いつもあんなに重たいバッグを持ち歩いているから、肩こりが治らないのだ>
 と井上氏は記す。評者は、職業作家として第二の人生を始めるに当たって米原さんに助けてもらった。この恩は一生忘れない。評者が知る米原さんは、確かにいつも大きなかばんに本を何冊か入れていた。米原さんが生きていれば、日本の文壇と論壇はもっと活性化していたと思う。

 (3)③では、米国の大学教授による天皇の政治的、社会的機能に関する鋭い分析が展開されている。
 <日本の最右派は、とりわけ帝国の時代を中心とする歴史の解釈をはじめとして、日本は女性天皇を容認すべきではないという点にいたるまで、さまざまな主張をおこなっている。
 個人的にいうと、私はこうした主張に賛成しているわけではない。とはいえ、認識しておかなければならないのは、最右派が、そうした主張のもとに、しばしば実際に大衆の意見を結集させているということなのである。
 そして、政府がその主張に応じて動くときには、すでに状況は、人びとの好むと好まざるとにかかわらず、政権が上から政策を無理やり押しつけるといった段階ではなくなっている>
 と氏は警鐘を鳴らす。客観性、実証性を無視する歴史修正主義者について、有識者が反知性主義者の影響は限定的だと決め付け、無視していると、そういう人々が強い政治力を持ち、日本の進路を誤らせる危険がある。

□佐藤優「中国を支配する秘密結社  ~知を磨く読書 第288回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年3月23日号)

 【参考】
【佐藤優】首相機関説で動く官邸ポリスが生み出された意図とは
【佐藤優】短期的利益にしか関心がない人
【佐藤優】司馬遼太郎作品に見る対人諜報活動の極意
【佐藤優】「影の総理」の生涯
【佐藤優】安倍長期政権を維持する鍵
【佐藤優】少しだけしか成長しない時代
【佐藤優】外交交渉にも当てはまる暗号通貨の経済学
【佐藤優】人生設計と価値観の転換
【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
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【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
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【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
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【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
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【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
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【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~

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【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~

2019年03月17日 | ●佐藤優
 安倍総理は、2014年11月と2017年9月の2回、衆議院を解散し、その後行われた選挙で圧勝しました。現在は第4次安倍内閣となっています。
 安倍総理は、長く続くデフレ、円高で輸出企業の業績は上がらず、株価は低迷という、停滞していた経済を成長軌道に乗せることを目的に、アベノミクスと呼ばれる経済対策を目玉として打ち出しました。安倍政権発足とほぼ時を同じくして日本銀行総裁に就任した黒田東彦(はるひこ)さんは、デフレ脱却のため消費者物価を2年で2%上昇させることを目標に異次元緩和を行うと大見得を切りました。株価は上がり、失業率も改善されましたが、庶民に景気回復の実感は乏しいと言われています。「2年で2%」は、いまだ達成されることはなく、異次元の金融緩和の出口戦略を立てることもできず、副作用が心配され、いよいよ行き詰まりが見えてきています。
 振り返れば、この政権だって決して平たんな道のりではなかったはずです。ところが、何度か政権維持の危険水位まで低下した支持率は、いつの間にか回復しています。
 政権発足からしばらく、私は安倍政権を反知性主義だとして批判的な立場から論評してきました。反知性主義は「客観性や実証性を無視もしくは軽視して、自分が理解したい形で世界を理解する態度」と定義できると思います。平たく言うと、自分のことが好きで好きでしょうがない人には、そもそも周囲を見るという選択肢がない。国会のような公の場で、安倍総理は感情的になって、非論理的な言葉をまくし立ててすぐムキになります。野次もとばします。安倍総理は64歳です。この歳になっても自分の感情をコントロールできないのかもしれません。しかし、その感情が安倍さんの政治的原動力でもあるのです。
 ロシア文学者の内村剛介氏の著書に『ロシア無頼』(高木書房)があります。エッセイですが、内村氏が体験し、見聞きした事実に基づいた作品で、ロシア人の内面を深く見つめた作品です。この本の中にロシア人のものの考え方の特徴を言い表した「無法をもって法とする」という一文があります。これこそ安倍政権のあり方に重ね合わせて読むべきものと思います。権力の凄みは法的枠組みにとらわれないところにあります。
 反知性主義との戦いは非常に困難です。なぜなら、反知性主義者は知識が足りないだけではなく、知識や知性を憎んでいるからです。憲法をめぐる閣僚の答弁には、知識や知性に対する敬意が感じられません。このような人たちに対して啓蒙による説得は不可能です。しかし、そうだからこそ安倍政権は「強い」のだと思います。「自分が理解したい形で世界を理解する」ために都合のいい要素以外は、いくら正論であっても、雑音にしか聞こえないのでしょう。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「出口戦略も立てられず」を引用

 【参考】
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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【佐藤優】首相機関説で動く官邸ポリスが生み出された意図とは

2019年03月16日 | ●佐藤優
★幕蓮『官邸ポリス 総理を支配する闇の集団』(講談社、2018)

 (1)最近、複数の政治部記者や編集者から「佐藤さん、『官邸ポリス』についてどう思うか」と尋ねられたので、読んでみた。小説としての完成度については見方が分かれる。ただし、「嘘のようなほんとうの話」と「ほんとうのような嘘の話」を適宜ブレンドした謀略的意図をもった著作であることは間違いない。文部科学事務次官の風俗店通い、大阪の市立小学校への国有地払い下げ問題など、登場人物が誰をモデルにしているかも、すぐわかる構成になっている。小説と言うよりも、怪文書に近いノンフィクションと性格づけた方がいい。

 (2)日本国家を実質的に運営するのは有象無象の国民によって選ばれた政治家ではなく、難しい採用試験に合格した頭脳明晰でかつしっかりした国家観を持つ警察官僚が行うべきだという「首相機関説」とも言うべき思想に依拠した、官邸の警察出身官僚が国家を牛耳っているという筋書きだ。元警察キャリア官僚という触れ込みの著者は、「首相機関説」に対して肯定的だが、警察出身の瀬戸弘和・内閣官房副長官と工藤茂雄・内閣情報官に対して「怖くて嫌な人間だ」という印象を植え付けるように腐心している。警察は大所帯なので、組織内の派閥抗争と嫉妬がこの本を生み出す原動力になっていると思う。
 (中略)

 (3)官僚は、主観的には国益のために仕事をしている。評者が外務官僚だったときも、北方領土返還という国家目標を実現するために文字通り命を捧げるつもりで取り組んでいた。時の政権が安定していることが、官僚が自ら国家のために正しいと考える政策を実現するための必要条件だ。警察官僚だけでなく、財務官僚や外務官僚も、「役人だろうが、マスコミだろうが、民間人だろうが、うまく我々の味方に付けて活用していく。逆に、逆らう人間は懲らしめて浮かび上がれないようにする」という発想で行動している。

 (4)東京地方検察庁特捜部の捜査能力に対する見方も面白い。(中略)本書では、尾行の仕方や、尾行の点検法についても記されている。具体的には読者から読書の楽しみを奪ってはならないので、ここでは記さない。この点検法は、評者もときどき使っている。もっとも尾行されていると気付いても、相手にその事実を察知させずに、行き先を変更するといった対応法をとることが多い。あるいは「どうぞ見てください」とオープンな場所で外国人と会うようにしている。

 (5)国外での情報について、著者は<警察も自衛隊も、以下のように考えている。治安・国防に疎く、それらに関する情報を扱うセンスのない外務省に知らせる必要はない、むしろ知らせたら外に漏れるので、百害あって一利なしだ、と>と記しているが、これは外務官僚にとって耳が痛い話だ。外務省にはときどき局長クラスでも、間抜けた幹部がいて、自分が重要人物であると認知されたいために秘密情報を新聞記者に漏洩する。首相官邸が直接、情報を入手する仕組みを作りたくなるのは当然と思う。

□佐藤優「首相機関説で動く官邸ポリスが生み出された意図とは ~ビジネスパーソンの教養講座 名著、再び 第118回~」(「週刊現代」2019年3月23日号)から引用

 【参考】
【佐藤優】短期的利益にしか関心がない人
【佐藤優】司馬遼太郎作品に見る対人諜報活動の極意
【佐藤優】「影の総理」の生涯
【佐藤優】安倍長期政権を維持する鍵
【佐藤優】少しだけしか成長しない時代
【佐藤優】外交交渉にも当てはまる暗号通貨の経済学
【佐藤優】人生設計と価値観の転換
【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
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【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
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【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
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【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
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【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
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【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
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【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
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【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
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【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
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【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
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【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~

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【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~

2019年03月14日 | ●佐藤優
 ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンの著書『信頼』(大庭健、正村俊之訳、勁草書房)によれば、多くの人から信頼を集めている人や団体に不信を招く言動があった場合、しばらくの間はその人や団体を信じようとします。信頼した対象からすぐ離れてしまうと、信用した自分がみじめに思えるからです。しかし不信を招く言動が重なり、ある閾値を超えると、とたんに人々の信頼を失い、信頼は回復することはない、といったことが書かれています。信じていた人に何度も裏切られたら、「いい加減、もう、あなたのことは信じられない」となるのが人間の心理というものでしょう。
 民主党から枝分かれした現在の野党各党は、民主党政権の失敗のため、すでに信頼に足る閾値を外れています。現在の野党の体たらくが、それを証明しています。つまり、42%という内閣支持率は、野党が国民から信頼されていないことの裏返しに過ぎないのです。実態としては、いつ政権が崩壊してもおかしくない状況です。しかし、何度も言いますが、安倍政権は崩壊の兆しすら見えません。
 国民は、この政権をどのように見ているでしょうか。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「信用した自分がみじめになる」を引用

 【参考】
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~

2019年03月13日 | ●佐藤優
 総理が、国会で森友・加計問題をめぐって曖昧な答弁を繰り返し、麻生太郎財務大臣の「セクハラ罪という罪はない」などの暴言・失言が止まらなくても、なぜ内閣支持率が、あるところまで下がっては上昇するのか。象徴的だったのが、2018年3月27日、森友学園の国有地売却問題をめぐり、衆参両院で行われた佐川前長官の証人喚問を受けての世論調査の結果です。佐川氏の説明に納得できた人はあまりいなかったと思います。それでも佐川氏の証言が野党の追及により、一枚も二枚も上手だったということもあってか、内閣支持率はどん底にまでは落ちませんでした。
 読売新聞が4月2日に発表した世論調査では、前回より6ポイント落ちて42%。共同通信が4月1日に発表した世論調査では、前回より3.7ポイント上昇して42.4%でした。読売と共同では前回調査の日付が異なりますから、支持率の上昇・下降は意味を持ちません。私はむしろ、いまだ42%も支持があるという事実に目を向けました。佐川氏の証人喚問に世論の大半は納得していないにもかかわらず、なぜ、自分党政権にとってプラスともいえる数字が出てきたのでしょうか。
 結論から言えば、国民が混乱を嫌っているからです。佐川氏の証人喚問について、野党は共産党を除いて、事実関係の精査さえせず、ただ政争の具として使っていました。こんな野党が安倍内閣を潰して政権の座についたとしても大混乱しか起きないことが、国民には直感的に分かっているのです。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「世論と信頼」を引用

 【参考】
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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【佐藤優】短期的利益にしか関心がない人

2019年03月12日 | ●佐藤優
 ①ヤニス・バルファキス(関美和・訳)『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモンド社 1,500円)
 ②竹中平蔵『平成の教訓 改革と愚策の30年』(PHP新書 900円)
 ③黒川伊保子『ヒトは7年で脱皮する 近未来を予測する脳科学』(朝日新書 750円)

 (1)①は、ギリシャで財務大臣を務めたことがある著者が現代経済について分かりやすく解説した好著だ。
 <古代ギリシャでは、公共の利益を考えられない人、つまり自分のことしか考えられない人は「イディオテス」と呼ばれた。
 「節度のある者は詩人になり、節度のない者はイディオテスになる」という古代アテネのことわざがある。古代ギリシャの文章を研究した18世紀のイギリス人学者は、ギリシャ語「イディオテス」を「愚か者」と訳した。市場社会は人間をそのような節度のない愚か者にしてしまう>
 というバルファキス氏の見解に、評者も全面的に賛成する。人間は社会的動物なので、個人の短期的利益にしか関心がない人が増えると、社会が弱体化し、経済も国家も弱くなる。

 (2)②は、日本の国家機構が持つ宿痾を端的に示している。
 <問題の一つは、役所に真の専門家がいないことである。日銀の専門性については触れたが、金融庁の幹部にも金融マーケットで取引した経験のある人はいない。官僚や日銀マンをエリート視する傾向は依然として強いが、同じ組織に長年いるだけでは、真の専門家は生まれない。
 サイバーセキュリティの問題を議論する国際会議があるが、各国からの出席者は博士号(Ph.D)を持つ人か有名なハッカー連中など。日本からの出席者は外務省の役人だから、議論についていけないという。こういうことを、私たちは改めなければいけない>
 と竹中氏は指摘するが、その通りだ。官僚が国家を運営するために必要かつ十分なスキルを身に付けられるような仕組みをつくらなくてはならない。現在も官僚には記憶力と情報処理能力の高い人材が集まっている。若手官僚を民間企業や大学に出向させて鍛えれば、短期間で事態はかなり改善すると思う。

 (3)③では、
 <2013年以降、「夢」の代わりに使用頻度を劇的に高めたのが「使命」ということばだ。新幹線の電光掲示板に流れる企業のCIにも、「使命」が増えた。「業界に○○を提供するのが、わが社の使命」のような。
 起業家も、「○○するのがぼくの夢です」とは、もう言わなくなった。今言うのであれば「○○するのが私の使命なのです」が◎。夢を口にする起業家には投資できないが、使命に燃える起業家には投資できる、そんな時代である>
 との指摘がなされている。もっとも、ほんとうにやりたいことがある人にとって、「夢」と「使命」はほぼ重なっている。要は本気で仕事に打ち込む人材を養成することだ。 

□佐藤優「短期的利益にしか関心がない人  ~知を磨く読書 第287回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年3月16日号)

 【参考】
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【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
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【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
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【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
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【佐藤優】司馬遼太郎作品に見る対人諜報活動の極意

2019年03月10日 | ●佐藤優
★司馬遼太郎『梟の城』(新潮社文庫、1965)

 『梟の城』は、産経新聞記者時代の司馬遼太郎が宗教専門新聞『中外日報』に1958年4月から’59年2月まで連載した小説だ。連載時は「梟のいる都城」というタイトルだったが、’59年に講談社から書籍化された際に現代のタイトルに改められた。’59年下半期の第42回直木賞を受賞した。
 織田信長による1579(天正9)年の侵攻(伊賀の乱)によって、壊滅的打撃を受けた伊賀忍者は、各大名に雇われ、諜報や攪乱工作に従事していた。伊賀の乱から10年経った1591(天正19)年、伊賀忍者の葛籠(つづら)重蔵は、師匠の下柘植(しもつげ)次郎左衛門から太閤秀吉を暗殺せよとの指令を受ける。この動きを甲賀忍者が阻止しようとする。徳川家康が伊賀忍者を、豊臣方の石田三成が甲賀忍者を運営し、代理戦争が展開される。本書はミステリー小説の要素もあるので、読者から楽しみを奪わないようにネタバレを避けて論じるので、内容が断片的になることをお許し願いたい。
 梟について、豊臣家の重臣の玄以と甲賀忍者の洞玄がこんなやりとりをする。(中略)忍者は梟のように闇の世界を生きる。また、武士のような組織人ではなく、自らの腕だけで生きていくフリーランサーだ。だから、定期的に50貫文の支払いがなされる限り、雇い主との契約を誠実に履行する。
 この作品の中で重要な役割を役割を果たすのが甲賀の女忍者・小萩だ。(中略)スパイは男女にかかわらず、極端な美男美女には不向きだ。人々の記憶に定着しやすいからだ。同じ理由で、極端に醜い人も向かない。気配を消すことができる目立たない人がいい。同時に人の心をつかむ心理学に通暁していなくてはならない。小萩と重蔵は、21世紀のインテリジェンス戦争にも耐え抜くことができる資質を持った人たちだ。
 小萩は重蔵に恋してしまう。あるとき重傷を負った重蔵が小萩の館を訪ねてくる。小萩は忍者の職業的良心と恋愛感情の板挟みになって悩む。そのときに小萩の付き人で教育係の老齢の女忍者・楠が揺さぶりをかける。
 (中略)
 普段は優しい瞳をしているが、恫喝するときは三白眼になるというインテリジェンス・オフィサー(情報部員)を評者は何人か知っている。楠のような目で、他人に影響を与える人は、インテリジェンスの世界だけでなく永田町(政界)にもときどきいる。
 小萩は、カネを使って直情径行な関東出身の武士・渡辺慧(さとる)を操る。慧に気まずい思いをさせないために、カネを小萩が直には使わない。楠を通じて渡すようにしている。カネに支配される慧の心理が見事に描かれている。(中略)カネに無垢であった人ほど、自分がカネに支配されているという現実を認識したがらない。その結果、どんどん深みにはまっていくのである。こういう手法で大国のインテリジェンス機関は現在も協力者を獲得している。

□佐藤優「司馬遼太郎作品に見る対人諜報活動(ヒューミント)の極意とは ~ビジネスパーソンの教養講座 名著、再び 第116回~」(「週刊現代」2019年3月9日号)から引用

 【参考】
【佐藤優】「影の総理」の生涯
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【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~

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【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~

2019年03月09日 | ●佐藤優
 総合職の場合、国家公務員試験の成績結果は、府省に入るときには大きな意味を持ちますが、いったん入れば、その成績が直接的に出世に影響することはありません。こうした「ハンモックナンバー」(海軍兵学校の卒業年次)を使う役所はまずないと思います。だれの部下になったかという「上司のライン」が出世の決め手になるから、その意味において、日本の官僚組織は、陸軍の伝統を引いていると言えます。海軍の卒業成績は一生ついてくるけれど、陸軍の場合は関係ありません。
 「キャリア」「ノンキャリア」の身分差を強調する「元官僚」を売りにしている書籍をときどき見かけますが、私から言わせると、仕事のできない「劣位」なキャリアが自分を大きくみせようとして言っているか、あるいは、よほど組織に恨みをもって辞めたノンキャリアが言っていると見て間違いありません。ふつうに霞が関で仕事をする場合、「棲み分けの論理」が働いているので、それぞれの人が満足できる態勢ができあがっていると言えます。ですから、まともな官僚であったならば、自分がどんな仕事をしてきたのか、それを成し遂げたことで国の役に立つことができたのか、当初の志はなぜ折れたのか、そうしたことが論理的に説得力をもって書けるはずです。国益を判断の軸として仕事をしてきたつもりの私からすると、そうした中身のない空疎な「官僚論」など読むだけ時間の無駄になります。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「「劣位」の元キャリアの特徴」を引用

 【参考】
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


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