経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

5/8の日経

2024年05月08日 | 今日の日経
 2023年度の国の税収は、累計の前年同月比が大幅なマイナスを続けてきたが、徐々に幅が縮まり、3月末で-3.6%になった。トレンドでは前年度並みになりそうなところまできており、所得税は4月、法人税は5月がまとまった納税があるので、どこまで上ブレするのか予想は難しいが、2023年度補正後予算額の69.6兆円を上回って70兆円台になると見ている。また、2024年度は、一時的減税の2.4兆円がないとすると、73兆円ほどに上るだろう。

(図)



(今日までの日経)
 政策実現したバイデン氏。インテル、半導体組み立て自動化で国内14社と提携。社説・聖域なき年金改革で持続性高めよ。米インフレ、敵は財政。

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キシノミクス・実質経済はマイナス成長

2024年05月05日 | 経済(主なもの)
 1-3月期の実質成長率は、年率で-2%近いマイナスになりそうだ。10-12月期はプラスと言えど、微々たるもので、3期連続のマイナス成長にもなりかねず、実額では、1年前とほとんど変わらない。名目では伸びているから、景気が良いような気がするけれど、物価高で生活は苦しい。政治とカネの問題がなくても、支持率が低迷してもおかしくないし、少子化が止まらないのも当然だ。

………
 1-3月期の商業動態・小売業の前期比はゼロだったから、名目でこれなので、消費は若干のマイナスになるだろう。消費は4期連続で実質がマイナスになるわけで、国民の不満が鬱積するのもうなずける。しかも理由は、負担増による可処分所得の停滞なので、増税しているわけではないのに、増税批判が喧しいといった具合である。政権が賃上げをアピールしても空回りしている。

 なかなか悲惨なのは、鉱工業生産で、1-3月期は前期比-5.6の98.8と落ち込んだ。自動車の生産制約という要因が大きいが、そもそも、基調的に全然伸びていない。コロナ後は上下しつつも減退しており、消費増税前のピークの2018年10-12月期の115.5なんて及びもつかない。実質GDPの輸出が2022年の4-6月期にはピークを更新しているのに、このざまで、いかに内需が低迷しているのかが分かる。

 労働力調査では、3月の就業者数-23万人の反動減となり、1-3月期の前期比は+4万人にとどまり、男性は+2万人、女性は+5万人だった。男性はコロナ前とのギャップが50万人程あるのに、キャッチアップの気配がない。新規求人倍率は、4四半期連続で低下していたが、3月が高かったことで、1-3月期は前期比+0.06と、ようやくプラスに転じた。産業別では、製造業、建設業の水準が前年より低い。 

 1-3月期のGDPでは民需は総崩れの状況だが、公需はプラスが見込まれる。資材高の一服もあって公共投資が3四半期ぶり増加するからだ。それでも、名目ですら年率2%の長期トレンドを下回る水準にある。また、政府消費は、一進一退の状況というか、2023年に入ってからは、まったく成長していない。民間には成長を求めても、政府は財政再建を進めて成長の足を引っ張る構図だ。

(図)


………
 少子化は、端的に言うと、生活が苦しいからである。若年層の雇用が回復して賃金が上がれば、結婚と出生が上向きそうなものだが、未だ兆しが見られない。30歳前後の男性の就業率は、コロナ前水準に足りず、むろんデフレ前とはギャップがある。奨学金の返済を抱えるようになった世代なのに、これでは無理もない。賃上げを待つだけじゃなくて、結婚ができるよう盛り立ててやりたい。そういう意識を持たない社会だから衰退するのである。


(今日までの日経)
 子どもの人口最少、43年連続減。中国企業、5年ぶり減益。円上昇、一時151円台 米雇用 市場予想下回る。

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5/3の日経

2024年05月03日 | 基本内容
 3月の商業動態・小売業は前月比-1.4と、前月の+1.9の反動が出た形だ。これで1-3月期の前月比は0.0となった。1-3月期GDPの実質の消費は若干のマイナスにとどまるだろう。ただし、生産制約のあった自動車が極端に悪く、それ以外は順調だから、消費の状況は悪くない。賃上げは無論だが、1-3月期は低所得者向け給付、4-6月期は所得減税もあり、これで物価高をしのいでくれればと思う。円安の進んだ4月の消費者態度は、前月比-1.2と陰りが見られるので、何かと批判されたが、再分配をしておいて良かったというところだ。

(図)



(今日までの日経)
 2度目の介入観測、計8兆円か。東京のオフィス賃料回復。金融庁名物リポート、今年見送り。円安、遠のく実質賃金増。5兆円規模介入か 29日の円急騰。円急騰、160円台から一転 一時154円台、市場に介入観測。

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何のための金融政策

2024年04月28日 | 経済
 ドル高に苦しんでいるのは、日本だけではなくて、途上国では、辛くても通貨防衛のために利上げを忍んでいるだから、日本も、そうすれば、良いだけである。期待を裏切るようなことをすれば、円安が進むのは当然で、それを望んでいたとしか思えない。それとも、緩和に拘るのは、プライドのためなのか。金融緩和が物価を動かすと思っているのなら、黒田日銀総裁の時と大して変わらないことになる。 

 異次元緩和の頃から、金融緩和で設備投資が促されるとは、つゆぞ思っていなかったが、円高是正で輸出が拡大すれば、景気は良くなることは見えていた。デフレ脱却に失敗したのは、その効果が十分大きくなかっからに過ぎない。もし、黒田総裁が円安が行き過ぎた局面で、あっさり金融緩和から撤退していれば、金融政策で為替をコントロールした、悪辣だが有能なリアリストとして名を残したように思う。

 しょせん、金融政策は、為替と住宅しか動かせない。為替には、多少なりとも効くのだから、それに割り当てるべきで、住宅に弊害が出るのなら、財政で補うのが定石になる。こうした割り切りができないのが、今の政策状況である。円安対策の財政支出は、賃上げでやめられそうだし、金利が上がって国債の利払いが増すのも嫌だみたいな、気分で政策は動いているのだろう。

 コロナ後は、円安で輸入物価が上がっても、実質維持で名目消費は増える現象が起こったが、普通なら、消費増税の時のように、名目維持で実質消費が減る。今の円安局面では、消費の復元過程ではないので、名目消費が伸びず、物価が停滞することになるだろう。これって、持続的な物価上昇の抑制ではないか。すなわち、持続的な物価上昇には、利上げが適当という理屈になる。

 もっとも、円安にはメリットもあって、資源高とダブルだったときとは、重みが違う。だから、植田日銀総裁も、今の円安は放置なのだと見るべきかもしれない。消費者物価は、3月までの全国では上昇が緩んできたが、円安でインバウンドの「消費」が増えれば、物価を押し上げるかもしれない。かつては財の輸出で景気を浮上させたが、いまはサービスで稼ぐ時代である。

(図)



(今日までの日経)
 円安止まらず、158円台半ば。円安進行、歯止め役なく 日銀現状維持、市場肩すかし。強まる「悪い円安」論。744自治体「消滅可能性」全国の4割。対策、流出阻止に偏り。

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4/24の日経

2024年04月24日 | 今日の日経
 出生減が止まらない。2月の人口動態によると、前年同月比-4.2%、過去1年間では-5.1%である。この減少速度は、合計特殊出生率を0.05程下げるので、2024年は1.16人程になって、初の1.20割れである。だけど、危機感が薄いんだよね。非正規への育児休業給付という最重要の施策を外し、政治的に難しい社会保険料の引上げは実現した。この失敗は大きいよ。下手な施策が実現し、やってる感が出て、危機感が薄れてしまい、どうリカバーすれば良いのか途方に暮れる。

(図)



(今日までの日経)
 歴史的円安、過熱感乏しく。企業の現金保有検証丁寧に・山田和郎。新興国通貨にドル高圧力 インフレ・債務増に懸念。新興国通貨にドル高圧力 インフレ・債務増に懸念。首相は恐れず変化を語れ、橋本龍太郎元首相は「6大改革」。ドイツの中小企業1社あたりの輸出額(製造業)は日本の2.8倍。

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