DON'CRY -ドンクライ-

アニメやマンガ、ゲームに小説、音楽など、「作品」によって孤独から救われて生きている人のためのメディア

ロンドンで小袋さんに謝りました。DON'CRY、今後のガイドライン

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ロンドンで小袋成彬さんにお会いし、謝罪をしました。

経緯は、4月28日に公開した記事、「『カルチャー顔』が好きで好きで好きで。モトーラ世理奈を見ると胸が痛くなる」における不適切な表現について、インターネット上で多数のご指摘をいただいたことから始まります。

小袋さんからも、ツイッターでご指摘をいただきました。

さらには、小袋さんからこのお言葉をいただき、叶うことならば直に会って謝らせて頂きたいという一心でロンドンに向かいました。

2日間という、ごく短い滞在期間に限界があることは感じながらも、小袋さんが仰る「すべての人々がもれなく美しいこと」を、少しでも理解できるようになりたいと思いました。

ロンドンの街で気づいた「標準的なハーフ顔」という表現の問題

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なぜ小袋さんが「ロンドンまで謝りに来い」とおっしゃったのか。最初はその真意を十分に理解できていなかったかもしれません。

しかし、ロンドンに到着して街を歩くと、まず「標準的なハーフ顔」という表現がいかに問題があったかを実感しました。

たとえば地下鉄に乗った時、本当にたくさんの人種の人々が乗っていました。私の印象では、私のようなアジア系の人もいれば、中東系の人もいるし、ヨーロッパ系の人も、アフリカ系の人もいるように思えました。あくまでそれはロンドンの日常的な風景でしたが、私には、日本では見たことのない風景でした。

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さらにロンドンの街を歩いていて、不意に賑やかな集団が横を通りました。幼稚園か保育園児たちです。同じように、子どもたちの人種も様々でした。

「なんというものを書いてしまったんだろう」

その上で、そう後悔せずにはいられませんでした。

「標準的なハーフ顔」という言葉を、私はあの記事で無意識的に使ってしまいました。

しかしながら、そもそも、「ハーフ顔」という言葉自体、地下鉄にいた大人たちにも、通りを歩いていた子どもたちにも、決して言えない言葉でした。

「あなたはハーフ顔ですね」なんて言ったら、とんでもないことです。「ハーフ顔」という言葉は、多様性をからかうような言葉である、その感覚が初めて理解できました。

さらに言えば、「標準的」とはなんだ、とも。そもそも私が標準を決めること自体、間違っているのに、それにさらに「ハーフ顔」という言葉までくっつけてしまった。

あまりにも不適切な表現でした。自分が恥ずかしいです。

小袋さんにスタジオでお会いして

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お会いして謝罪をし、お許しをいただき、まず上に書いたようなことを話しました。緊張と申し訳なさで、しどろもどろになっていたと思います。

それでも、私の浅学を笑うことなく、小袋さんが仰ったことが今でも忘れられません。

「ロンドンに来ないと、この感覚はわかりませんよね。でも、日本が悪い訳じゃありません。」

「僕は、この表現は世界的にダメです、と押し付けるつもりはありません。正しさは、時と場所によるからです。大切なのは、相手を敬う心を忘れないことです。」

それから、小袋さんはスタジオのスピーカーで、あるアーティストの曲を聴かせて下さいました。

私はスピーカーに詳しくないので、素人感想になってしまい恐縮なのですが、とにかくもの凄い「存在感」でした。歌や演奏もさることながら、何より録音されたスタジオの空気感やら空間の広がりまで感じられるようで、そのアーティストの方が目の前にいるようでした。私のような素人でも、そう感じられたのです。

他者を敬う心が欠けていた

「アーティストはここまでこだわって作品を作っているんです。」

曲が終わると、小袋さんは静かにそう仰いました。そして、そう仰った空間(スタジオ)には、小袋さんが実際に使われている機材や楽器が並び、本当にこの場所で作品が作られているのだと感じさせられました。本当に、ご自身と向き合いながら、作られているのだと。

同時に、そうして作り出された作品に対し、私がいかに敬意を欠いていたのかも痛感しました。

歌詞の引用ミスはもちろん、作品にまともに触れず、主観的な容姿の印象でアーティストの方々を語ってしまった。しかも、それをカルチャーメディアを標榜するメディアにプロデューサーとして関わっておきながらやってしまった。

カルチャーに逆行する、本当に不勉強で、愚かな行いでした。

その後、小袋さんが仰っていた、スタジオで爆音の『おどるポンポコリン』を聞くお仕置きを受け、スタジオを後にしました。

容姿について語ることへの問題意識

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個人を一面から(特に容姿で)語るべきではなかった

不適切な表現、そしてアーティストや作品への敬意の不足という自らの過ちを反省したとき、容姿について語ることへの問題意識が低かったのは特に反省すべき点だと考えるようになりました。

個人を一面(特に容姿という簡単には変えられないもの)から一方的に語り、主観的な結論付けをするというのは、とんでもなく問題があったからです。それこそ、イギリスはもちろん、日本でもこのことは変わりません。

例えば、私が知らない人に突然、「あなたはヒゲがボサボサだ」「目つきが悪い」「猫背だ」「だから、あなたは犯罪者予備軍だ」と言われたら、「見た目だけを根拠に、勝手な判断をしないでください!」と、とても不快に感じることに気づきました。同じことを私が他者にしていい訳がありません。

「個人というのは、存在する時点で尊重されるべきものである」

理屈ではわかっていたはずのことを、理屈でしかわかっていなかったことに、今回気づかされました。

そして、国を問わず、個人というのはその尊さを以って、人生で与えられるもの全てを引き受けて、生き抜こうとしている。その姿は美しい以外の何物でもありませんでした。

「すべての人々がもれなく美しいことを知れ」
その言葉の意味を、このとき初めて理解できました。

それなのに、人を勝手に捕まえて、容姿という一側面だけをもって判断し、それを大きなくくりの中に入れるのは、とても失礼な行為でした。

主観的な判断でしかなかった

さらに言えば、その一面的な判断さえも、主観的であることに無自覚であったと反省しています。

「こういう顔が好きな人は、こういうものも好きだろう」などど、まるで一般性を持ちうる価値として、新たに提唱しているように語ってしまった。

しかし、それは全くの主観でしかなかったし、それを「#カルチャー顔」というハッシュタグまで作って広めようとしてしまった。その一面的な結論付けを、他の人もしてしまうように助長してしまった。

誰かがそうする度に、多様性は軽んじられ、他者を敬う心は失われ、個人を一面から貶めてしまう。そこまで思い至るだけの想像力を持つべきでした。

帰国後、仕事をしていて

帰国後、それらの反省点に加え、メディアの仕事をする中で、いま一度どのような表現は自分が関わるメディアのモラルとして問題があるかを考えて仕事をするようになりました。

たとえば、あるプロダクトを紹介する記事について、そのプロダクトと開発者は切り離されて話が展開しているか、懐疑的になるにしても、そのプロダクトをいま使っている人にも納得できる話をしているか、などです。

また、自分が関わり合うスタッフについても、相手が望んでいない形でコミュニケーションしていないか再考していきました。

たとえば、自分が深く関わるライターさんについては、「1~2年お付き合いして、こういう編集でやってきましたが、それで本当に大丈夫でしょうか? こういう編集の方が実は求めていた、ということはありませんか?」と、一人一人話していきました。

結果として、「今のやり方でフィットしている」という方もいれば、「いや、私は実はこうして欲しかったです」という方もいました。

長い付き合いがある方々でも、「この人はこういう人だから」という自分の中の主観的な判断は疑っていくべきだと今は感じています。

DON'CRYとしての今後のガイドライン

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そういった自らの変化に加え、小袋さんからの提案も受けて、DON'CRYとして今回のことを反省し、今後どのように記事を作るのか、その心構えをガイドラインとしてまとめました。

DON'CRY編集長 餅男氏とも話し合って決めたその内容は、大きく分けて2つです。

①精神性で繋がることに立ち返る

DON'CRY(ドンクライ)はカルチャーメディアを標榜しています。

しかし、恐らく「カルチャーメディア」という言葉でイメージされるメディアとは少し違った目的で存在しています。ここを先に補足した上で、書かせてください。

あくまで個人的なイメージですが、カルチャーメディアは、カルチャーという自然発生的な事象を最前線で追いかけ、インタビューや評論など、様々なアプローチを通じ、最新の情報を、そのメディアが紡ぐ文脈の上で、読者に伝えることが目的だと思っています。

対して、DON'CRYは「繋がり合うこと」が目的です。最新の事象を伝えることでも、評論をすることでもありません(そういうことを試みた時期もありましたが、最終的な目標はやはりこちらでした)。

「作品は個人にとっての救いである」という考えの下、書き手が作品に救われた、あくまで個人的な体験を記事として発信し、同じように感じている人がオンラインやオフラインで繋がり合うことが目的です。

(過去開催のオフラインイベントの例)

doncry.hatenablog.com

doncry.hatenablog.com

そのため、DON'CRYでは「辛かったときに、作品に救われた」人であれば、それ以外のことは一切関係なく、友人同士になれるかもしれないと信じてきました。

しかし、だからこそ、最も発信してはいけなかったのが今回の記事だと深く反省しています。

精神性とは関係ないところで他者を判断し、本当に、自分が依って立つべき信条を、自分で貶めたのだと恥ずかしい気持ちでいっぱいです。

今回の記事でDON'CRYを通じて友人になった方々からも多くのお叱りをいただきました。そして同時に「今回のことでDON'CRYがなくなったら、それが一番残念だ」とも言っていただきました。

だからこそ、自分の失敗を恥じ、反省をし、本来DON'CRYが掲げてきた「精神性で繋がる」ことに立ち返りたいと思います。

DON'CRYが精神性でフラットに繋がれる場所になれるよう努力します。

②他者を敬う心を大切にして表現をする

今回のことで、この言葉はDON'CRYが以後言うべきではない、というものを考えてきました。

例えば、「ハーフ顔」や「外国人風ヘア」などの表現は、DON’CRYでは多様性を軽んじる表現と認識し、以後使わないことに決めています。

しかし同時に、小袋さんのこの言葉を思い出します。

「僕は、この表現は世界的にダメです、と押し付けるつもりはありません。正しさは、時と場所によるからです。大切なのは、相手を敬う心を忘れないことです。」

どういった表現が問題かを考えることは、もちろん大切です。その上で、DON'CRYでは根本にある他者を敬う心をまず忘れないようにするべきだと感じました。

だから、DON'CRYとしては、表現としても他者を敬う心を忘れずに、精神性が込められた作品をベースに語ることを、まず大切にしたいと思います。

以上の2点を基本的な記事制作のガイドラインとして、編集部の参照先にしていきたいと思っています。

「世界を広げて、自分を深めることが大切です。」

ロンドンでスタジオを去る前に、小袋さんはそう仰いました。

短い渡航の間、私の思慮の浅さで学べたことはとても少ないと思います。そのため、いただいた言葉を胸に刻み、他者を傷つけてしまったことを忘れずに、今後も学び続けていきたいと思います。

最後に改めて、記事で身勝手に言及してしまった方々、誠に申し訳ございませんでした。

この記事にお時間を割いて読んでくださり、感謝いたします。ありがとうございました。

(執筆:野田翔 / 編集:餅男

記事内容についてのお詫びと掲載取り下げのお知らせ

記事内容についてのお詫び

4月28日に公開した記事、「『カルチャー顔』が好きで好きで好きで。モトーラ世理奈を見ると胸が痛くなる」について、「差別主義的ではないか」とインターネット上で多数のご指摘をいただきました。

記事内で身勝手に言及してしまった方々に対して、またそのファンの方々に対して、そして読者の皆様に対して、多大なご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

「愛している」と言いながら、個別の方の活動や人間性にフォーカスせず、容姿でカテゴライズしてしまったこと。

さらに、主観的な美醜で語ることで個人をないがしろにしてしまったこと。

また、DON’CRY、そして記事が転載されたROOMIEと、メディアに携わる立場にありながら、あまりにも不勉強かつ差別的な発言を記事にしてしまったこと。

そして何より、「#カルチャー顔」というハッシュタグを作成する形で、差別的な考え方を助長してしまったこと。

あまりにも稚拙であったと、重く受け止めて反省しております。

この記事を通じ、不快な想いをさせてしまった方々、改めて、申し訳ございませんでした。

2019年5月2日 野田翔

 

お詫びと掲載取り下げについて

この度、「『カルチャー顔』が好きで好きで好きで。モトーラ世理奈を見ると胸が痛くなる」という記事につきまして、個人の容姿に対して言及するという稚拙な内容であるにも関わらず、メディアという立場からそれを発信してしまったことを深くお詫び申し上げます。

この記事で紹介してしまった方々、そのファンの方々、不快な思いをさせてしまった読者の皆様、誠に申し訳ございません。

本記事により、多くの方を傷つけていることを痛感しており、編集長の立場として掲載を取り下げるという判断を致しました。

個人の容姿や思想ではなく、好きなカルチャーやコンテンツで繋がることを目的としたメディアを目指しておきながら、こうした内容の記事を作成し掲載してしまったことの愚かしさを深く反省しております。

今後は、DON’CRYというメディアの原点に立ち戻り精進して参ります。

本当に申し訳ございませんでした。

2019年5月2日 DON’CRY編集長 餅男

DON'CRYはもうちょっとイベントをやっていこうと思います

みなさま初めまして。『DON'CRY』再始動にあたってイベント担当になりました、あこと申します。

『DON'CRY』には、ウェブメディアとしてだけでなく別の一面があります。

それはコミュニティ的な機能。たまに開催されていた読者オフ会的なイベント。過去にいくつかあったけど、特に、好きなコンテンツを語り合って記事企画を考える「大編集会議」は、熱量のぶつけ合いではなく、誰かの「好き」に対してみんなで全力で盛りあがるだけの最高の場所でした。

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肩書きも年齢もお互いに知らないまま(というか関係ないから興味もない)、「あなたの好きなものはなんですか?」だけで会話をし、否定せず、むしろ取り繕うわけでもなく自然と「それいいじゃん」と肯定できる空気になっている。

肯定し合う場はたくさんあるけど、なんていうか私は、最初からむやみに人が人に対して肯定的なだけの空気は正直好きじゃない。相手のこと何も知らないし、なんかどうしても壁とか偏見とか線引きとかそういうのが見えちゃうし、こっちも身構えて同じことしてしまいがちになるから。

『DON'CRY』は、まず、「相手を知ろう」じゃなく「相手の好きなコンテンツを知ろう」から入るから、変に気負わなくて済む。時にはダサく泥臭く語って、でもそれを誰も「カッコ悪い」だなんて思わないし、ぽつりぽつりと話しても全力で耳を傾けてくれる。それを自然とできる空気がある、『DON'CRY』のイベントが奇跡だと思ったんです。

目の前の人が「好きなもの」でつながる。否定しない。仲良くなれなくても、否定は絶対しない。「お前がどんな人間はさておき、お前の好きなコンテンツ最高だぜ!」という空気が常に流れている。

それをもっとたくさんの人に広めたいなあと思って、いや違うな、私がそれを失いたくないから、イベント担当として『DON'CRY』をみんなと一緒に再始動することにしました。これからどうぞよろしくお願いします。

書いた人:あこ

twitter.com

 

DON'CRY編集長を引き継ぎます

『DON'CRY』2代目編集長の餅男と申します。

いきなりの自分語りで恐縮ですが、『DON'CRY』というメディアを初めてクリックした日、僕は正真正銘のニートでした。

社会人として働きはじめ、そこで大きくつまずき、ほとんど逃げるように辞め、そのまま半年以上社会との繋がりを持たないまま虚無な時間のなかに留まり続けていました。

そんな時、励まさずただ自分の傍にいてくれたのが、アニメや漫画のような大好きなカルチャーと、『DON'CRY』でした。

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第二回イベントの二次会

餅男というアカウント名のまま参加したイベントで、お酒の力を頼り、もうどうにでもなれと自分の好きなコンテンツの魅力をただただ吐き出すように語った時、「それめっちゃ分かるな~!」と言ってもらえた。自分の好きなもの通じて受け入れてもらえた。

あの場には、ニートだとか社会人だとかそういうクソみたいな線引きのない「コンテンツを通じた共感」が溢れていて、うずくまって動けなかった自分にとって何よりも幸福な場所でした。

そんな『DON'CRY』で記事を書かせてもらって、編集部にも入ることができて、クラウドファンディングのプロジェクトにも参加することができた。

多分、僕以上に『DON'CRY』から多くのものを貰った人間はこの世にいないでしょう。

だからこそ、メディアを閉じるという話を聞き、実際の終わりの場にも立ち会い、次のメディアをどうしていこうか?と話し合っている時も、心からそれをうまく受け入れることができなかった。

新しいメディアで新しい何かやろうとした時、きっと僕の口からは『DON'CRY』で自分がやりたかったことばかりが出てきてしまう。それじゃ多分意味がありません。

 

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大編集会議の様子

僕は、自分の手で絶望した人を救いたいだとか、そんな立派なことを考えているわけではありません。

ただ「記事という形で好きなモノを世に向かって叫ぶ機会」「好きなモノで通じる場」を作りたい。「大編集会議」のような体験を何度だって味わいたいし、味わってもらいたい。

それだけです。ほとんど自分たちのため。

 

腹を括ってリスタートすることを決めた時、編集長を引き継ぐことに不安はありませんでした。

能力や知名度とかそういうことよりも、『DON'CRY』を一番愛しているのが誰かと考えた時に、自分以上の人はいないだろうと確信したからです。

 

編集長を引き継ぐ際にTwitterのアカウントを作り直して『餅男』ではなく本名を名乗ろうと思ったのですが、このアカウントがあったからこそ『DON'CRY』と出会えたし、そう呼んでくれる仲間を作ることができたので、あえて『餅男』のままスタートしてみようと思います(もしかしたらこの考えを改める日がくるかもしれませんが)。

 

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そんなわけで、色々あったけど、『DON'CRY』再始動です。

みなさま、これからよろしくお願いします。

 

書いた人:餅男(DON'CRY2代目編集長)

DON’CRYを再開します

「いや、再開するんかーい!」
「love youとかいうの、どこ行ったんや!」

とか思っていただけたなら幸いです。元編集長の野田です。
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本文はめちゃくちゃ長いので、3行で要約すると…

①色々あって、表題通りlove youではなく、DON’CRYを再開することにしました

②「救う、救われる」とか辞めます

③ドンクライは、「キズを負ったことがあるカルチャー好きが、フラットに語り合う場所」に

 

キズがキズナに変わる場所

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覚えている方がいるかはわかりませんが、僕らはちょうど1年前、2018年4月に「大編集会議!!!」(&お花見)というイベントをやりました。

合計30人もの読者が集まり、「自分たちが読みたい企画」を考えるというイベントです 。

未だに、こんなよくわからないイベントに来てくれた30人はスゴいなと思う。どんな情報感度なんだ

さて、そんなイベントにはドンクライらしい特殊なルールがいくつかありました。

  1. 職業を明かしてはならない 
  2. 本名を明かしてはならない 
  3. 他人の好きなものを批判した人はその場で退場

この3つのルールは、参加者同士の間に上下関係や、優越感・劣等感を生み出さないように、そして、自分の好きなものを傷つけられるリスクを減らすためのものでした

好きなものを語り、面白いことを考えるには、安心感と自由が絶対に必要だと僕は信じているからです。そして、スゴいことが起きました。

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参加者同士は驚くほどにフラットになり、好きなものを語ったり、自分の辛さを打ち明けても誰も批判しなかった。

その結果、17時に始まったイベントはその後の花見を含めて朝5時まで、12時間ノンストップで盛り上がり続けたのです。

しかし、その盛り上がりはパリピのようなそれでは決してなく、それぞれのキズをお互いが静かに受け入れ合い、お互いの存在が今まであったことを、暖かく祝福するような場でした。

餅男の言葉を借りれば、それは「倖せな場」であり、「あったかいプールみたい」みたいな場所。

何より、RPGのキャッチコピーのように言えば、「キズがキズナに変わる場所」であったのです

「救う、救われる」ではない場に救われた

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この場は、編集長の僕にとっても最もドンクライらしく、救われた場だと自認しています。

例えば、お花見では、ストロングゼロのロング缶を5本飲んだ僕が途中から司会進行能力を失い、公園の端のトイレの前で「生きるのが辛い」と泣きながら地面をのたうってた(らしい)始末…

それでも、読者たちが僕を励まし、みんなが自分の生きづらさを語っていた場に連れ戻してくれた。

そういったことに僕は、信じられないくらいの安堵を感じていました

つまり、僕はそれまでメディアと編集部、そしてライターという「救う場を作る」人がいて、読者の方たちという「救われる」存在がいると心のどこかで思っていたのです。なんとも傲慢で、情けない話です。

でも、僕は「編集長である」という意識を失って始めて彼らとフラットになり、キズを負った一人の人間として向き合うことができた

結局、「救う、救われる」ではない場に救われていたのです

陰の人が本当の意味で陽に変わる時

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そして、気づいたことがあります。ドンクライの価値とは、陰の人が本当の意味で陽に変わるところにあると。 

二元論はあまり好きではないですが、話を分かりやすくするためにこの分類を使います。

そもそも、「陰」と「陽」とはなんでしょうか?

僕は「他人に興味を持ち、与えることを厭わないかどうか」だと思っています。

なので、陰の人は、「他人よりも自分の感情の変化に興味があり、他人に積極的に何かを与えるのは苦手な人」であり、対して陽の人は、「自分よりも他人に興味を持ち、与えることに抵抗がない人」だと思っています。

なので、自分の感情を常にモニタリングして、その変化を言語化することが得意な陰な人がクリエイターに多いのは納得しますし、常に自分ではない他人を励ましたり、サポートしたりする職業に、陽の人が多いのも納得できます。

そして、この分け方でいくなら、ドンクライの編集部やライター、読者の皆さんは圧倒的に「陰」寄りの方が多かった 。

ですが、あの場だけは違ったのです。

お互いキズを抱えた方が集まり、フラットに好きなものを語り合い、お互いの興味を持って信頼関係を作り、自分のキズをお互いに少しずつ晒し、相手の存在を励まし合う これはまるっきり、「陽」の行動なのです。

そして、それがとても自然に行われていた。

何より、他人にとって自分は無意味で無価値な存在ではなく、むしろ価値ある人間なのだと感じられることは、とても心地よかったのです。

ドンクライは、「キズを負ったことがあるカルチャー好きが、フラットに語り合う場所」に

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これまで僕らは他者を救い、自分を救うことを標榜してきました。

でも、上に書いたことに気づいた時、そんなことは言わなくてもいいのだと気づいたのです。

たとえば、僕のことを救おうとなんか思ってないドンクライメンバー、餅男とあこさんといると、強い安心感を感じます。

それは自分の好きなものを安心して語れる、辛いことも話してもいいという度量の広さが、場に存在するから。

 

それは別に、好きなものを語る楽しい時も、そこにまつわる辛い過去を振り返る時も、「ただ、いてくれる」というだけでよかったということで。

 

そういうことができる空間を持った場は、これからも失いたくないと思ったし、きっと他の人にとっても価値ある場所だと。

だから、救いなんて標榜せず、純粋に「キズを負ったことがあるカルチャー好きが、フラットに語り合う場所」として再スタートさせたいと思いました。

批評なんか一切いらない。「あれ読んでないの?」なんてマウントしてくる人はユリイカでも読んでいればいい。

ドンクライは、ただ「自分」にとっても、「あなた」にとっても、カルチャーがとても大切なんだよね、と語り合える場所であればいいのです。

これからの体制的なこと

とはいえ、僕は記事を作るという行為にいかんせん疲れてしまったのは事実で。

だから、編集長という立場は餅男に譲り、イベントを仕切るということはあこさんに譲り、僕は2人の側を付かず離れず一緒に歩いていたいと思います。

長々と読んでくださり、ありがとうございます。イベントでお会いしたら、一緒にカルチャートークしてください。

それでは、新たなドンクライをよろしくお願いいたします。

激画団を語り終えて。DON'CRYはなくなります

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こんにちは、編集長の野田翔(ノダショー)です。

激画団の劇場上映プロジェクト、ついに終幕となりました!

 

語り部として付き合ってきた1年

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京都・激画荘への取材からほぼ1年、彼らの劇場上映を僕らDON'CRYはプロデュースしてきました。

初めて監督と出会った時、彼が話していた一言がこのプロジェクトにつながったことを今も思い出します。

それが、自分たちが激画荘に集まったという背景を含めて、激画団のフィルムを楽しんで欲しい、というものです。

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(イベントには多くの読者が訪れてくれた)

僕らはメディアです。メディアには読者の皆様がいて、語り手の僕ら編集者やライター・カメマンが存在します。

そしてメディア人の僕らに作品は作れないけど、語り手としてなら彼らの背景を、彼らより上手く伝え、さらにはまだ存在しない文脈を作ることができる。発信と文脈作りはメディアの本分だからです。

何より、僕らは作品に救われてきた人間。作品に強烈な愛を注ぐ彼らに、強く共感しました。

こうして彼らの物語と背景を、自主制作アニメ・クラファン・ロボットアニメの3つの文脈と絡め、糸を紡いできました。

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その結果、DAICON FILMやGAINAX創立メンバーの1人武田康廣さんや、そこから派生したTRIGGERの雨宮哲さん、自主制作アニメをマンガで描く大童澄瞳さん、自主制作でクラファンを行った山本寛さんや金子祥之さん、ロボアニメの巨匠吉田徹さん、同じくロボアニメ伝説のプロデューサー植田益朗さん、そして、自主制作アニメの聖地下北沢トリウッドとの関わりが実現したのです。

 

プロの作り手として晒される厳しさ

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(京都、武田康廣さんとの対談)

「創作ではなく、発信である」

これは激画団が劇場上映にあたってパンフレットに記したキャッチコピーです。

しかし、このキャッチコピーを作り手として何者かとなった彼らが劇場で掲げることによって、当然、プロの作り手たちからは厳しい意見が飛ぶこともあります。

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『映像研には手を出すな!』の大童澄瞳さんは映像をメールで送った段階から既に、

「パロディの評価とは全て構成と技術力にかかっている」という指摘をされていました。

対談でも和気藹々とはしつつも、常に「僕はオリジナリティあるものしか作らない」とスタンスを分けたトークを展開されました。

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最終日の山本寛さんも、裏設定にオリジナリティがあるなら、それは出さなければオリジナリティにはならないという指摘をされていました。

表現をする限り、批判は常に隣り合わせ。しかし、彼らがただの大学生と違うのは、お金を頂いて劇場上映をした以上、プロと同じ土俵で批判される点でしょう。

「創作ではなく、発信である」

これはパロディーてんこ盛りの作品を作った彼らの今回のスタンスです。

しかし、この言葉が創作者としての逃げ道にならないように注意は必要だぞ、というのが、プロの第一線にいる先輩たちからの暗黙の主張であったことは間違いありません。

 

本気でそう言わせたことは誇ってほしい

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(驚いていた金子祥之さんと雨宮哲さん)

しかし同時に、多くのゲストから寄せられたのは自分が学生の時、このレベルのものを作って上映なんてできなかったという感嘆の声であったことも、彼らを語る上では忘れてはなりません。

そもそも学生での集団自主制作というのは、失敗が常です。

その中で、プロ未満のところは多々あったにしろ、とてもじゃないが学生が作れるモノではないモノを作った。

だからこそ、先輩方からはトータルでみれば賞賛もあったし、きっちりと批判もあったはず。

そこは忘れないでおきたいポイントだと何度でも思います。

 

彼らを見て、DON'CRYをなくすことにした

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激画団はすでに激画荘を解体し、同時に今後の激画団の進路は同じという訳ではありません。

でも、作画監督の内田くんは「恐らく数年後に集まって、また激画団として作っている気がする」と再結集の意思を覗かせてくれます。

今回の劇場上映で自分たちの実力がよく見えたからこそ、プロの現場での試行錯誤が、彼らには必要なのかもしれません。

そして、そんな激画団の姿、いや勇姿を傍で見続けてきた僕らも、自分たちの中に起こった抗いがたい変化を受け止めていました。

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そして決めたことがあります。DON'CRYも、メディアとして変わる時だと。

DON'CRYは「孤独の苦しみ」と「受容の愛」という分かちがたい陰陽を描いてきたつもりです。

しかし、愛という陽をもっと伝えたくなったのです。

なにより激画団とは違い、我々はむしろプロのサークル活動的な存在ゆえの「慣れで作ってしまう」病があります。

でも、そんなのつまらないじゃん! 今本気で伝えたいことを伝えようよ! そう、彼らを見て思ってしまったのです。

ということで、DON'CRYを卒業し、新たなメディアを作ります。

来年3月くらいに、愛溢れた淡いピンク色の桜が咲く日をご期待いただければと思います。それではまた。

あれは無名の大学生たちが何者かになった夜だった。雨宮哲さん、金子祥之さん、大童澄瞳さんらとの激論と爆笑

不安入り混じる初日…

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10月6日(土)、かつて新海誠が『ほしのこえ』を上映した自主制作アニメの聖地こと下北沢Tollywoodの周辺は異様な緊張感につつまれていました。

それもそのはず……。

この日、激画団制作「空中軍艦アトランティス」の劇場上映が、とうとう始まろうとしていたのです……!

昨年11月に公開されたたった1本の動画から始まったこのプロジェクトは、沢山の人を巻き込み続けてこんなところまで来てしまいました。

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会場では、上映開始直前にコンビニのプリンターで刷られたという、文字通り出来たてホカホカなチラシ(あったかい)が配られ、そこに書かれたメッセージを見てすでに泣きそうになる……。

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ホールへの入場が始まると次第に席が埋まっていき、空席を見つけるほうが難しいぐらい沢山の人が足を運んでくれました!

そんな沢山の人に見守られながら、いよいよ「空中軍艦アトランティス」の上映、スタートです……!

 

凄いモンを見た…!

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一言で言うなら、「空中軍艦アトランティス」めちゃくちゃアツかったッ!!!

上映までにさらに5分が追加された約19分のアニメーション。それを見ただけで、胸の中で膨大な熱量が暴れまわっているようで、興奮が収まりませんでした。

「アニメが好きだ!!!」その気持ちをここまでダイレクトにぶつけられた経験は、今までになかったと言い切れます。

 

トークイベントスタート!

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(感動して泣いている編集部員稲田ズイキと、編集長ノダショー)

恐らく誰もが強い興奮を抱いたまま、トークイベント前半、DON'CRY×激画団の対談が幕を開けました。

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(緊張した面持ちの監督長野くんと、作監内田くん)

まずは激画団の拠点、激画荘への初取材のエピソード。

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外を灯油の移動販売車が近くを通った途端、「あれを逃したら僕らは凍死するんです!」メンバーが一斉にそこへ突撃していったエピソードや、

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「激画荘で雑魚寝した回数によって激画団員としてのレベルが決まる!」という過酷かつユニークな生活ぶりに、会場は爆笑の渦に包まれました!

話の内容が激画団創設にまつわる内容になると、

「自分の好きだった80~90年代のようなアニメが、どんどん少なくなっていくのが悲しかった。」

「美大のアニメ科なのに、アニメを作っている人が余りに少なかったから、じゃあ俺たちで作ってやろう!となった。」

と、長野監督のトークにも熱が!

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純粋にただアニメが好き。だから、それを自分たちでカタチにしたい。

そんな想いに触れたからこそ、我々ドンクライも応援団として立ち上がり、この劇場上映を実現させるために奔走したのだと、実感させられましたね…。

 

金子祥之さん&サプライズゲスト雨宮哲さんが登場!

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(金子祥之さんと、雨宮哲さん)

トークイベント後半には、絶賛放送中のアニメ「SSSS.GRIDMAN」の監督を務める雨宮哲さんと、同アニメの助監督を務める金子祥之さんが登壇!

雨宮さんからは、

「今、プロの現場でも手書きでロボットを描きたがる人なんて全然いない(笑)」

「汗くさくて最高だった!スクリーンから汗がしみ出してるんじゃないかと思うぐらい(笑)」

とアトランティスへの率直かつポジティブな感想が。

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その後も、激画団にとっての“パロディ”とプロの考える”パロディ”についてや、制作現場の士気の上げ方などの興味深い話が続きました!

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激画団メンバーの今後については、作監の内田君から

「1年間休学して自分を見つめなおすつもりです。」

という少し驚きの発言が飛び出すと、すかさずお二人から

「あれぐらい描けたら普通は調子に乗るのに凄いね!でも、自分を見つめなすのは大切なこと。」

「アニメの世界はいつでも入ってこられるのがいいところだから(笑)」

とプロならではのコメントが。

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熱量たっぷりの激画団と、アドバイスを軽快なトークに織り交ぜるお二人の対談は最後まで盛り上がり、初日は最高のかたちで幕を閉じました。

 

そして2日目!

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2日目は前日以上の盛況ぶり。

トークイベントに来て下さったのは、『月刊!スピリッツ』で好評連載中の『映像研には手を出すな!』の作者、大童澄瞳先生が登場!

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実は本番前の打ち合わせで、かなり長野監督と激論を交わしていたようで、二人の息はある意味でピッタリ(笑)。

「空中軍艦アトランティス」を成り立たせていたパロディという要素に対し、大童先生は、

「僕の場合は、オリジナルの作品を作ることに意味を見出している。」

「パロディはキチンとしたリスペクトや土台がないといけない。ただなぞるだけのトレースに意味はない。」

と、それを貫いた長野監督とはまた違う主張をされました。

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表現へのスタンスはまさに対極的とも思われる二人ですが、かなり意気投合した様子。

「いつか生身で空を飛びたい」という願望で爆笑しあったり、爆発のエフェクトについて15分以上マニアックなトークを繰り広げていました。

2人の盛り上がりに引き込まれるかたちで、私たちも大いに笑ったり関心させられたり。

あっという間に時間は過ぎていき、第2回のトークイベントも惜しまれつつ終了。

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最後には激画団のメンバーたちwith大童先生が、来場された方々にペコリと一礼。会場は大きな拍手が鳴り響きました!

 

打ち上げじゃ~い!

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上映後は、大童先生・激画団・ドンクライ編集部・支援者の方々が入り乱れての打ち上げに突入!

お互いの顔を突き合わせるのが初めてという人も多かったため、最初はぎこちない雰囲気でした(笑)

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しかし、お酒が入ると距離も近づき、好きなアニメや将来の活動などの話を通じて「また会いましょう!」と握手を交わすほどに!

激画団のメンバーのなかには、授業のため深夜バスで帰るという子たちもいましたが、帰りがけに

「いつだって作画の中に僕はいます!」

と最高のセリフを残していきました…。

 

素敵な感想をありがとうございます!

イベント後のtwitterでは、上映会に参加された方々から嬉しい感想が!

 

 

 

 

 

どれも見ていて涙がでるほど嬉しい言葉たち!

もともとは無名の大学生だった彼らのアニメが、これだけ多く人たちの胸を打ったことを知ると、やってきたことには大きな意味があったのだと、しみじみ……。

 

まだゴールじゃない!

打ち上げも終わり、これで終わり……とはまだまだなりません!

13日/14日は京都での上映会もありますし、27日には再び東京でスペシャルゲストを招いたイベントも残っています!

twitterの反響やこの記事で興味を持って下さった方がいれば、ぜひ劇場に足をお運び下さい! 限られた数ですが当日券も用意してあります!

激画団という大学生たちが、自分たちの魂をそのまま映像にした「空中軍艦アトランティス」という作品は、その目で見届ける価値があります。断言できる。 

これは大学生のお遊びなんかじゃない。彼らの本気の覚悟なんだから。

 

書いた人:餅男(DON'CRY編集部)

twitter.com

クラウドファンディング、大成功! ありがとうございました!

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(稲田ズイキ、ノダショー、佐伯ポインティ)

こんにちは、編集長のノダショーです。

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7月7日より募集を開始した、『激画団応援プロジェクト』。先日8月30日にて、募集を終了…

そ し て

100万円の目標金額に対して、集まったご支援は、なんと129万8,000円!

ご支援くださった方の数は、なんと192人!!!

この大変ありがたい結果に…

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編集部一同…

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厚く御礼申し上げます!!!

ありがとうございましたッーーー!!!

 

取材対象者と速攻で決まったクラウドファンディング

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(学生アニメ制作集団、激画団のメンバー)

さて、もともとこのプロジェクトは、僕が激画団のパイロットフィルムをTwitterでみかけたのがキッカケでした。

その熱量すさまじい映像に「これは会わないワケにはいかない!」とすぐにDMを飛ばしてアポ取り。

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(激画荘)

稲田ズイキと共に彼らの京都の拠点、「激画荘」を訪れたのでした。

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(監督、長野風太さん)

そこで出会った監督、長野風太くんにインタビューをする中で、団の経済事情や、「たくさんの人に、生で見てもらいたい」という心意気を知ったのです。

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(団員や、応援する方々の「カンパ」で成り立っている激画団)

彼らの熱い想いに共感した僕らは、「自分たちにも何か協力できないか?」と取材中に話し始めました。

しかし、僕らは絵も描けないし、映像の編集やら音響だってできない。作品に対しては無力です。

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(ドンクライ、第2,3回目イベント)

でも、僕らは幸い、メディアを通じて読者と繋がり、ドンクライをやっていない平日は編集者やライター、デジタルコミュニケーションのプロとして生計を立てていました。

ならば、プロデュースサイドとして、劇場上映のための「宣伝と資金集め」ならできるのではないか?と思い、クラウドファンディングをもちかけたのが始まりです。

長野くん含む激画団はすぐに賛成してくれ、今年10月まで連なる企画がスタート。

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そう、「ウェブメディアがアニメ製作に挑戦する」という前代未聞かつ、実に1年がかりのプロジェクトが生まれた瞬間でした

 

1ヶ月後には豪華ゲストと劇場上映!

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そして時は流れ、ついに来月には劇場上映です。

まずは東京!

10/6から一週間、劇場は下北沢トリウッド。かつて新海誠が『ほしのこえ』を上映し、伝説となった自主制作アニメの聖地です。

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ここで初日はまず、激画団と我々(以降省略)、そして、アニメ演出家の金子祥之さんをお迎え。

金子さんは『リトルウィッチアカデミア』『ダーリン・イン・ザ・フランキス 』などで演出を務められ、今後も数多くのTRIGGER作品に関わる演出家。

自身でもクラウドファンディングで1000万円もの支援を募った経験がおありです。

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翌日は、マンガ『映像研には手を出すな!』の作者、大童澄瞳さんをお迎え。

アニメの自主制作をやってらっしゃったこともあり、自主制作の大先輩、クリエイティブ業界のプロとして、時に過激な指摘も飛ぶかも…?

そして京都!

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こちらの初日は、激画団も大きな影響を受けたDAICON FILMの創設者の一人武田康廣さんをお迎え!

かつて庵野秀明も所属したクリエイター集団の当時のお話や、その後のGAINAXについて伺いますよ。

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2日目は、『機動戦士ガンダム』シリーズ、『装甲騎兵ボトムズ』シリーズ、『勇者』シリーズまで、作画監督やメカ作画監督を務める吉田徹さんが登壇。

ロボットアニメへの想いを語り合います。

締めは東京・CAMP FIRE本社にて…

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そして、締めの最終日には、『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』で知られ、昨今は『薄暮』にてクラウドファンディングを行った山本寛監督、そして…

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追加ゲストとして、サンライズのプロデューサーを経て、アニプレックスA-1 Pictures社長を歴任された植田益朗さんの登壇が決定!

作品リストを見れば、おそらく「見たことがないアニメが、ない」。

そんな伝説的プロデューサーもお迎えします。

 

あ、そういえば…

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(編集部、カエデ)

ドンクライメンバーで、Vtuber狂いの筋肉こと、カエデ

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ついに、ヴァーチャルの世界にいってしまいましたが…。

 

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「ありがとうございました!」(ボイチェン声)

と、御礼を申し上げておりました…。

そして、9月〜10月頭は上映準備のため、記事更新はお休みさせていただきます。ご了承ください。

さて、そんなメチャクチャなドンクライですが、上映、激画団と共にお待ちしております。それではまた!

激画団監督が語る、自主制作アニメ『空中軍艦アトランティス』に込めた想い

現在クラウドファンディング中の「激画団応援プロジェクト」も残すはあと1週間になりました!

ありがたいことに、これまで145名の方に支援いただき、961,500円もの金額が集まっています。目標とする100万円まで、あともう少しとなりました!

さて、今日までDON'CRYは、激画団の応援団長として、様々な角度から情報を発信してきましたが、今回ばかしは、ド直球

激画団監督の直筆コメントです!

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まだ支援するか迷っている方のため、そして支援いただいた方に感謝の意を伝えるため、監督に思いを綴ってもらっています。

自主制作にかける思いアニメーションへの愛。ぜひご一読ください。


 今、一昔前では考えられない時代になっています。

1年に170以上ものアニメ作品が放送され、動画サイトには多くの自主制作アニメー ション作品があげられています。ゼロックスがスキャナーに姿を変えて、セルがアニメス タジオのゴミ捨て場から姿を消しました。

そんな時代で、自主制作のアニメーションも大きく変わりつつあると思います。タップと紙、スキャナーとパソコンがあればアニメーションが作れるわけです。アニメーションの専門学科からは卒業制作アニメーションが毎年数多く自主制作というタグ付けで ネットにアップされています。

集団制作は減り、個人制作が主流になりました。ツイッターで知り合った人との制作なんて企画もよく見ます。今の時代、自主制作のアニメーション作品なんていうのは珍しくありません。至極普通のことなんです。とてもいい時代に生まれたと思っています。

しかしながら今、かつてのように、自分の作ったフィルム 、自分の好きなフィルムを持ち寄って集まり、アーダコーダと夜通し語り合う。そんな光景を見ることはなくなりました。アニメ雑誌にはもう、地方の自主上映会の情報欄はありません。ボロイアパートの一室にいい年した連中が集まって、アニメを語り合う時代でなくなってしまったのもまた事実なのです。

僕ら激画団は、 アニメーションを本当に好きな人々が本当に好きだからこそ、作る側も観る側も全力で楽しめるような 、そんなアニメーション文化であってほしいと心から思っています。

僕らがアマチュアだけの完全自主制作にこだわるのも、住み込みで共同制作をしているのも、上映会を開催するのも、「アニメーションが好きだ」その想い一つです。

現在は追加コンテの作業に加え、そのほか修正箇所の修正作業中です。10月の劇場公開までに自分達の納得の出来る形にするため、気になる点を時間いっぱいまで修正しています。

支援していただいた方々への気持ちを全て画面にしてお返しできるよう。全身全霊で残りの1ヶ月をがんばりたいと思います。

もし僕らの思いや活動に賛同いただける方は、上映会や僕らが登壇するトーク上映会などのイベントにいらしてください。お会いできるのを楽しみにしております。

 


激画団を応援したい方、上映イベントに参加したい方、グッズ等がほしい方は、ぜひともこちらからリターンをお選びください!

激画団の活動がもっと気になる方は、こちらのインタビュー記事をご覧ください!

『ゆるキャン△』に影響されて初キャンプ行ったら最高だった話。初心者でも大丈夫!

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みなさん、アニメ『ゆるキャン△』はご覧になりましたか? 

漫画でも、もちろん大丈夫です。どちらも最高。どちらも至高。

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(引用:TVアニメ『ゆるキャン△』公式サイト Story 11話)

女子たちがワイワイキャッキャゆるゆるキャンプをする世界にトリップできれば最高。最高の作品です。

※ここからはみなさんが「ゆるキャン△」に触れたことがあることを前提に進めていくので、作品についての説明などは特に入れません。

さてみなさん、あの作品に触れていて……

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(引用:TVアニメ『ゆるキャン△』公式サイトSpecial)

キャンプしたい
って、なりませんでしたか?

キャンプしたことある人もない人も、あれだけ初心者にもやさしく丁寧にワクワクするように描かれたら、キャンプしたくなっちゃいませんか……?

私はというと、「キャンプというものをしてみたい」とは常々思っていたのですが、

揃えなきゃいけないものも多いし、お金かかりそうだし、そもそもテント泊ってかなりしんどいのでは……?

とかぐるぐる考えて、結局できないままでした。

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(引用:TVアニメ『ゆるキャン△』公式サイト Story 11話)

しかし、なにやら「ゆるキャン△」の世界を体験できるうえに、必要な道具は全部用意されているプランがあるらしい……。

そう聞いて、勇気を出してとあるキャンプ場へ行ってきました!

 

ちゃんと再現度高くて最高

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場所はPICA富士西湖。こちらのキャンプ場では、「ゆるキャン△in PICA富士西湖」と題し、「ゆるキャン△体験宿泊プラン」というコラボプランを来年2019年の3月31日まで実施中なのです。

(「西湖はゆるキャン△に出てこなくない?」みたいな話はやめようね!)

プランの詳細は公式サイトを見てもらえばわかると思うので、もうここからは、何がどう最高だったかだけまとめたいと思います。

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(引用:TVアニメ「ゆるキャン△」予告編第二弾映像 )

まずテントが、リンちゃんが作中で使っているmon-bell(モンベル)のムーンライト!

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で、これが貸してもらえるテント。そのまんまじゃーん!

スタートからテンション上がります!

※リンちゃんのは2〜3人用。プランで貸してもらえるのは1〜2人用なので注意!

 

湖の近くでのんびり過ごすのが最高

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これはもう普通にキャンプ場の良さなんですが、キャンプサイトからすぐに西湖へ出られるのが最高。

高くそびえる山々、静かで穏やかな湖……。物音といえば、鳥たちの鳴き声と彼らが湖面を叩く音くらい……。

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ひとり静かで雄大な自然に包まれていると、都会で人の目を気にしていた自分がバカらしくなってきます。

自然はこんなに雄大なのに、自分はいつもちっぽけなことでくよくよしてたな、って……。

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各々ビールを持参して読書をしたり音楽を聴いたりしました。

ここで各々の時間をのんびりと過ごせるわけです。

都会にいたら意識しないと心なんて落ち着かないのに、もうこの湖畔は、来ただけですっと心が穏やかになる……。

そう、まだテント張って湖畔に来ただけ。なのに、昼の時点で大満足でした。

大人にとってもこんなにいいものを、女子高生で味わっているなんて、リンちゃんと野クラのみんなはほんとに贅沢だな!!

 

なでしこ特製坦々餃子鍋の再現度が最高

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(引用:TVアニメ「ゆるキャン△」第3話より)

第3話で出てくる、なでしこ特製坦々餃子鍋。これを再現するための具材とレシピを用意してくれます。

そしてできあがった鍋がこちら……

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ほら! これ! もうあれじゃん!! なでしこの作ったやつじゃん!!!!

いや、ちょっとミスもしたんですが、それでもすごい。

ちゃんとこれだけのものを用意してくれます。最高。そしてめちゃおいしいんですよ……。

煮込んだ水餃子が少しトロっとして、口当たりよくてたまらない。食欲をそそる甘辛い坦々鍋スープが餃子の具と混ざり合って、箸がどんどん進んじゃいます。

特にこれからの秋冬シーズン、最高だろうな……。

 

焚き火がびっくりするほどハチャメチャに最高

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\コンニチハ/

もちろん作品に倣ってマツボックリを集め、焚き火もやりましたよ。

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(引用:TVアニメ『ゆるキャン△』公式サイト Story 1話)

焚き火したことない人は「は? 焚き火?」って思うかもしれないですし、まあ私も思ってたわけなんですけど、焚き火最高なんですよ焚き火。

見てるだけで心が穏やかになって、火見てるだけで平気で1時間くらい経ってる。

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まずこちら。日が落ちてきて、焚き火をしたばかりの様子。

いやちょっと、この時点で最高じゃないですか、この薄ぼんやりしてきた中で燃えるやさしい炎……どうですか?

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そしてこちらが完全に日が落ちてから。これもいいんですよ。

このキャンプは5月に行ってきたのですが、夜はまだまだ寒くて、この焚き火でずいぶん暖をとりました。

ふたりして必死に焚き火をいい感じに撮ろうとスマホを向けている様子ですが、だんだんスマホを下げて、火をひたすら見つめるフェーズに入ります。

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こうやって、内側でふつふつする炎も……

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燃え上がる様子も最高……。

焚き火セットも、もちろんプランについてきます!(薪は別売り。火の付け方や薪の種類はスタッフの人が教えてくれます)

 

焚き火が深い話もさせてくれる

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そのあとようやく、飲みながら話す時間に。焚き火を囲んでお酒飲むの最高に心穏やかになります。

ほんとに。大げさじゃなくてほんとに心スッ……ってなるから。

普段って、「こんなこと話したら嫌がられるんじゃないか」とか思うじゃないですか。

聞く側も聞く側でつい返しがトゲトゲしくなることとかもあると思うんですよ。

都会で生きてるとね、いや、都会でなくても社会生活を送っていると、そうなることは多いと思うんです。

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たまに手入れするのも楽しい

でも焚き火の前ではみな平等。心穏やか。くだらないことを言い合う中で、自然と深い話もできちゃう。

それを変に気にして重く話してしまうのではなく、くだらないことと同じくらいのテンションで自然と……。

だから、話す側も聞く側も気負わなくていいんです。おそるべし焚き火効果……。

 

キャンプは朝が最高

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キャンプ場に着いて湖畔でのんびりするのも、夜に焚き火をするのも楽しい。

ですが、朝露が降りる澄んだ空気の中で食べる朝ごはんも、とにかく最高!

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こんな感じの朝食セットを用意してくれます。スキレットで焼くよ!

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たまごも焼くよ!

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それらがこうなってこうじゃ。

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パンもついてきますよ〜。

※ちなみにこのパンはこのあとトンビにさらわれていきました。みんな、トンビとネコとカラスに注意してね!

 

初心者でもゆるキャンできた!

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今回実は初キャンプだったのですが、持ち物は着替えとお風呂セットだけ(なんとキャンプ場内に大浴場あるよ!)

なのに、本当にたっぷり楽しめました! 満足度200パーセント!

フロントには広い売店があって、お風呂セットや洗剤、お土産まで売られています。

だから、もし何か忘れてしまっても借りたり買ったりできるので安心です。

キャンプエリアには電源もあるので、ほんと安心。

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正直、想像してたよりずっとずっと楽しくて、そして、想像してたよりずっとずっとゆるキャン△でした。

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(引用:TVアニメ『ゆるキャン△』公式サイト Story 12話)

「ああ、リンちゃんやなでしこたちはこんな気持ちになってたんだな……」と、より一層の感情移入と、あの世界に入り込んだような錯覚すらしました。

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ゆるキャン△しながらアニメ『ゆるキャン△』を視聴する準備もして行ったのですが、焚き火に夢中になり、結局実行には至らず。

それくらい最高にゆるキャン△だったのです。しかも、PICA富士西湖が都心から車で1時間半〜2時間ほどの好アクセス。

とにかくめっちゃ便利なキャンプ場なので、私のような初心者キャンパーにもオススメです。

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(引用:TVアニメ「ゆるキャン△」公式サイト Story 11話)

ぜひみなさんも『ゆるキャン△』の世界、ご堪能くださいね〜!!

書いた人:あこ(@aco220)

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写真:飯本貴子(@tako_i)※鍋の写真を除く

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