東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

5/6付けレス

 本日は『BF』感想を書きました。
 余談ですが、「曙・四郎」の表記を基本的に「曙」にしているのは、「四郎」だと近い時期に見ていた『仮面ライダーV3』の「風見・志郎」と音が被って、脳内でしっくり来なかった為です。
 ちなみに『ブンブンジャー』の「阿久瀬・錠」は、「錠」だと文中で人名と認識しにくい気がしたので、ごつごつとした「阿久瀬」の方を取りました。それでいうと「未来」も一般名詞すぎて、わかりづらくなる時がありそうには感じており、劇中での呼びかけのニュアンス的にも「ミラ」表記でもいいかな……とはちょっと考え中。

グランプリは諦めない

◆電子レンジマンさん
 >前回の話を見て知りたいと思った謎がほとんど明かされなくてだいぶ拍子抜けはしました
やはり、前回の流れから触れてほしかった部分が、軒並みスルーされたのは物足りなくなりましたよね……1つぐらいは、具体的な踏み込みが欲しかったなと。
 >謎が明かされないなりに納得や満足ができる内容になっていて戦闘なども盛り上がっていたのでOK…という感じでした。
テンポが良く、気持ちの良い戦闘は大きな武器になっているので、この調子で進んでほしい部分ですね。
 >できればあと1ヶ月分くらい届け屋やヒーロー関連の通常エピソードを積み重ねてくれていれば、もっと感動できたように思います。
立ち上がりに魅力的な届け屋フォーマットを提示してきた事もあって、もう少しそれを活用した後での一波乱、でも良かった感じはありますよね。今後の予定もあるのでしょうが、ちょっと慌てた作りになってしまったのかなとは。

◆ピンクまさん
 >この回、プロデューサー的には相当力を入れた回のようで、タイトルもここで使うことを固辞したそうで、
サブタイトルはホント、凄く良かったのですが……1クール以内に最初の一山を持ってくる組み立ては、『ゴーオン』が7-8話で成功させていますが、以降で上手く行ったと思う作品は、だいたい11話前後なので、『ゴーオン』は奇蹟的な特例だなと改めて。
 >特に公と私の問題はあまりにも曖昧すぎますし、阿久瀬がこれで納得するのも個人的によく分からず。
阿久瀬、精神的には「公」サイドに近いけど、納得させる優先順位としては未来より下なので、ちょっとおまけ感が出てしまいましたね……現状、単純なようで割と難しいキャラになっている印象です。
 >多数の脚本家で回していく久々の流れだと思われるので、今後爆上げてくれることを期待したいところです。
一山を越えた後のフェーズで出来が良いと全体のベースアップに繋がるので、改めて積み上げに期待したいですね。
 >今回はちょっと、買ってみるか変形を動画で見るか是非していただきたいと思いました。
ひとまずミニプラの公式サイトを覗いてみましたが、最近のはまた、進化している感じで凄いですね……ちょっと探してみようと思います。

◆MOPさん
 >宇宙人のブンドリオには話すら聞いてなかったのは納得いってませんでした。
確かに、普通に基地を歩き回っているのに、「ひとまずブンブンに話を聞けば?」を誰もやらないのは、今作全体の悪い誤魔化しになってしまっていますね……。
 >私財を投じ、戦いに手を抜いている訳でもない大地が、夢があるからといって責められるのも、観ていて気持ちよくはありませんでしたしね。
順序でいえば、大也とブンブンの夢があったから幸運にもハシリヤンに対抗できたのに、そこの因果が逆転された理屈に、細武はともかく未来や阿久瀬も乗っかり加減なのが、対立ありきの組み立てになってしまいましたよね……。阿久瀬なんかはむしろ、大也に頭下げて地球防衛の優先を願うとかの方が好感持てたのかなと。
 >未来ちゃん達の不満は大地が自分達に詳しい話をしてくれていない(信頼してくれてない?)事だったようなのに
前回の演出を見ると大也は、聞かれれば腹を割って話し合う意識はありそうですが、結局、ちゃんと向かい合わないままブンブン経由で処理されてしまったのは、引っかかる部分になりました。
 >ラスボスとの決着がそのレースになるのではとも考えています。
BBGの組み込み方次第で、シリーズ従来に無かった新しい見せ方は出来そうなので、どう使ってくるか楽しみですね。

◆Gimmickさん
 >通常回の積み重ねがあった末に2クール半ば辺りでやるような話を、8-9話で凝縮して出力
現時点での視聴者目線ではありますが、今作の場合は、メンバー増員の流れから怒濤のチームアップよりも、しばらく落ち着いたところで一波乱、にした方が向いていたかもですね。
 >おそらく敢えてふんわりと濁してるのでしょうけど、もう少し踏み込んでくれた方が良かったかなと。
ちょっと今回は、手札の中身を隠しすぎかな……というのが出た感じで、どう転がしていくのか引き続き楽しみではありますが、もうちょっと、この時点でそこを見せるのか! というのは欲しかったですよね。
 >"夢"というワードは、脳内で或人社長がノイズとして邪魔してくるので、慎重な扱いを切に願ってます。
夢は大切だけど、夢無罪作劇は避けてほしいですね……そういえば、或人と大也は、顔の系統が似ているなと(笑)
 >やりたかった事がやれない故の悔しさは確かに分かりますが、ここで露骨に不満気な態度をしてしまうのがなんとも...。
部長さん、「文句あるなら辞めてくれても構わんぞ」ぐらい言うのかと思ったら、バイト先まで来て丁寧に諭してくれるだいぶいい人でしたね……。
 >あきらに笛のコツを教えてもらう前向きな明日夢、みたいなイベントを挟むだけで好感度アップに繋がりそうですが、勿体ない...。
確かにそういうのあれば、ひとみの反応も空回り感が抑えられて具体的になりますし、あきらの存在感も上がり、明日夢くんもぼんやり無神経なわけじゃない、となって、3人とも得でしたね。
 >一気に株を下げるような知能低下と言いますか、根本の設定に無理があった感じですね。
今作の特色にして魅力の一つに「組織的な連携」があるのに、話の都合でそれを切断してしまって、キャラも軒並みおかしな感じになってしまったのは、残念でしたよねー。
 >1968年生まれということは37歳、本人のやる気が凄まじいのかもしれませんが、もう引退の時期では...(笑)
次回、河童にやられて引退問題が具体的になってしまうのかもですが、ヒビキさんよりも年長で、パーソナルな部分が気になると共に、活躍シーンも欲しいですね(笑)

◆グヌさん
 >届け屋として人の役に立てる喜び、他者への奉仕を大事にしてるキャラなのは間違いなく、
流れとしては、ここに戸惑いを感じた未来と阿久瀬が、改めて大也の“そういう部分”を信じる事にした、といったニュアンスが入っていた感じですが、次回は久々に届け屋の通常業務をやってくれるようなので、その辺りの補強も期待したいです。
 >彼がなぜ届け屋にこだわるのか?は後々ちゃんと説明するために敢えて明言しなかったのだと思いたいです。
ブンブンに出会った時点で既に一財産築いている雰囲気でしたし、更にそれ以前が「届け屋」の誕生と関わってきそうなのは、上手く繋がっていってほしいですね。

◆たかしさん
 >①大也にとってブンブンジャーとは何なのか?
ここをもう少し具体的に踏み込んでくれれば、仲間達の位置づけやハシリヤンと戦う理由などにも連鎖するので、一粒で他のほのめかしにもなったと思うのですが、ちょっとふんわりしすぎましたね……。
 >2人の疑問の大部分に納得できるような答えを提示できていないのに、2人が納得してしまった
未来と阿久瀬、立場の違いもあり一番問題にしている部分が多分それぞれちょっと違うのですが、それを二人まとめて解決しようとしたら落とし穴にはまった部分もあったのかな……とは思うところです。
 >団結してからのマッドレックスとの決戦自体は大変カッコ良かっただけに、そこに至る助走がイマイチ決まりきらないのは大変に残念でした…。
個人的には今回かなり、マッドレックス加点が入っているのですが、決戦の盛り上がりにしっかり寄与してくれて、良い倒されぶりでありました。

◆chi-chanさん
 >初期ライダーシリーズの立花藤兵衛とライダー達の関係性(特に藤兵衛と本郷)に対する鏡のようにも見えますね…。
過去作への意識がちらほら見える今作の作り方だと、意識がゼロでは無い感じもありますね。
 >どうやって地球からライセンス試験を受けるんだ、がまず気になりますが
ライセンスは、既に資格を持っている相手から、「なんらかの手段で入手」みたいなルールなのかもですね……そこに、ハシリヤンが向こうから来てくれたぜ! みたいなのはありそうかもと(笑)
 >ディスクアニマル達の合唱?が楽しそうでしたねー。この子達にコーラス機能を付ければ、音撃の威力も上がりそうとも。
ディスクアニマル関係は、今作ならではの画として工夫もあって、毎度楽しくていいですね。……最終局面、鬼の切り札がコーラスアニマルになるのは、戦隊だとありえそうな(笑)
 >別に太鼓したいなら街でバンドサークルや和太鼓サークル探すとかでもいい気もするので
今回、全く部活マインドになっていない明日夢くんだったので、これなら街で老人会とかに気に入られて「少年、太鼓叩いてみるか?」とかの方が、明日夢の個性と好感度には繋がった感じになってしまいましたね。
 >キャストクレジットの役名が「学校の先輩」
クレジットに気配りが足りない、のは東映特撮の伝統ぽさありますが、こういうところで、とりあえず名前つけとくと、また出番あるのかな……? とか思えるだけに、勿体ないところですよね。
 >怪人の人間態も無いとは言えネームドのゲストが妙に少ないような…?(CGバトルで予算かつかつ?)。
キャリアのある主演・郊外ロケ多め・魔化魍などのCG……と、予算かつかつは、ありそうですね……。
 >こうした面に自覚があるから弟子を取りたくないのかも知れませんが
一応、自己申告通りのヒビキさんではありましたが、組織としてはそれでは困るので、あまり甘やかしてもいけないヒビキさんでしたね……(笑)
 >一応設定では「夏の魔化魍」担当の別人だそうです。
成る程、ありがとうございます。この辺りの、季節の巡りとカミへの近接、みたいなのは面白い部分ではあるのですが。
 >これで太鼓バックルをプラスしたらどれほどの火力が…(バックルが壊れるオチかもですが)。
ああ、勢いで叩いてバックル壊してみどりさんに怒られた過去、とかはありそうな(笑)
 >劇場版撮影でキャストスケジュールが大変だった(映画用に軽井沢ロケもしたそうなので)のは確かでしょうが。
制作体制で色々起きていたであろう頃に、それはそれとして映画も……となっていたとすると、前も後ろも大変そうですね……。

◆ヘイスタックさん
 >「余裕のある隙間の多い作り」がそのまま「穴の多い作り」になってしまっているように思えてちょっと不安ですね。
通常回だと、そういった余裕が上手く転がってましたが、だからこそ節目の回ではある程度カチッとしてほしかったところで、思ったよりカチッとやってくれなかった感じでしたよね……。
 >泥田坊は『ゲゲゲの鬼太郎』でも「体が泥で出来ている為、物理的に破壊しても分裂増殖するだけ」という能力だった
おお成る程。泥田坊といえば『鬼太郎』のイメージは強いので、その影響は確かにありそうですね。

サバンナにもほえろ

『バトルフィーバーJ』感想・第43話

◆第43話「暗殺者ジャッカル」◆ (監督:竹本弘一 脚本:高久進
 カプセルから転がり出るような難産で生まれたのは、全身トゲだらけで何故か頭に小さなパラボラアンテナのついた、新たな御子。
 「お前の誕生が遅れた為、暗殺者を雇った」
 だが、サタンエゴス様は御子の誕生を待っていられずに外部のヒットマンを雇っており、来日する暗号名:ジャッカル。FBIルートからこの情報を伝えられたBF隊は、やられる前にやれとばかりにジャッカルの捜索に向かい、ジャッカル対策も兼ねて苦手な射撃の訓練に励む曙の前に現れた、どこか飄々として斜に構えたスーツの男は、かつて曙と野生動物の保護に従事していた経験のある旧友・竹内。
 「四郎……また会おう。急ぎの仕事がある」
 だが竹内は、久々に再会した曙と旧交を温める事もなく、ライフル銃を肩にかついで足早に去って行き……仕事の前に、逮捕されるのでは。
 …………まあ、そこに居るのが曙と気付く前から、
 「すまんすまん、射撃の練習に来たもんだから、標的を見た途端、つい撃ってしまった」
 でいきなり銃をぶっ放していたので、ここは銃規制の全くされなかった日本です。
 その竹内こそ勿論ジャッカルで、来日直後の行動が既に迂闊すぎて目眩がしてきますが、腕試しをしてやると標的の空き缶(序盤の立て看板と較べると、だいぶ予算節約)を用意したエゴスの皆さんが、吊り橋を人力で揺らすのがとても楽しそうでほっこり(笑)
 姑息な嫌がらせに対し、不安定な足場を自ら捨てて空中5弾撃ちを披露したジャッカルは前金を手に仕事へと向かい、エゴスが爆弾を仕掛けたと偽情報を流すと、おびき寄せたBF隊を狙撃。しかし、ケニアを狙った弾丸は強化服に弾かれて背後で絵を描いていた少女をかすめ……いきなり駄目すぎるぞジャッカル。
 ならばと、少女の見舞いに来たところを狙うジャッカルは、スコープの中でバトルケニア=曙四郎と知り、いやその情報、教えられてないの?!
 狙撃による暗殺を目論むならどう考えても、変身後の姿より変身前の正体を教えておくべきだと思うのですがサタンエゴス様……!
 標的の正体が旧友と知り、必殺のチャンスに迷ったジャッカルは、曙を囮に使った伝らに逆に取り囲まれ……あまりにも駄目すぎるぞジャッカル。
 包囲組の京介から通信を受けた曙は、サバンナで鍛えた視力により、ジャッカル=竹内と認識するが、エゴス戦闘員の邪魔が入って、竹内は逃走。だがジャッカルは標的のBF一同にばっちり顔を見られてしまい……致命的に駄目すぎるぞジャッカル。
 そろそろ、暗殺者を雇う費用をケチって、正規エージェントを通さずにネットの広告経由で済ませた事を白状して下さいサタンエゴス様!
 「開いた口が塞がらないとはまさにこの事だよジャッカル。バトルフィーバーの狙撃には失敗し、その上、正体まで見破られた奴に用は無い!」
 御子史上最大の正論が叩きつけられ、吊り橋を揺らされて普通に慌て始めた時点で悪い予感はしていたのですが、プロフィール欄に書かれていた売り文句と全然違う!
 ふ、普段はヘッダーが、そういう手続きはやってくれていたから!(今回はお休み)
 「俺も、ジャッカルと言われた男……今度こそ……今度こそ、必ず、殺す」
 雪辱を誓って前金を取り戻したジャッカルは、病院の少女をさらって人質に取ると曙を呼び出し、互いに銃を手に、埋め立て地で対峙する2人の男。
 「金だ! この世は金が全てだ。アフリカでの奉仕活動なんて、馬鹿馬鹿しくなったのさ」
 「俺は……おまえがライオンの子を抱いていた、あの時の肌のぬくもりを信じている」
 シニカルな笑みを浮かべ、金こそ全てだとうそぶく竹内(曙と離れた後、何かあったのだろうなとは思わせる見せ方)に対し、一度は銃を構えた曙だが、それを放り捨てると人質に向けて真っ直ぐに歩いていき、〔説得する刑事-旧知の立てこもり犯-人質〕な、刑事ドラマの文脈強めな構図。
 今回の曙がまた、刑事ドラマに居てもおかしくなさそうなファッションなのも、その印象を強め……あ、撃たれた。
 そこへ残りのBFメンバーが駆けつけると、高所を取った誠が容赦ない狙撃を浴びせて曙と人質の救出に成功。またもジャッカルが無様な失敗を見せると、崖の上にエゴスが姿を現して手榴弾を投擲し……あ、ジャッカル死んだ。
 怒りの曙がジャッカルの亡骸を抱え、爆風の中を駆け抜けるBFは、EDをバックにエゴスと激突。そこに身軽な前転後転で弟ロボットが出現し、
 「回転すると火が出るぞ」
 時々、急に平熱になるのやめて下さい(笑)
 火炎放射であぶられるBFはバトルシャークを要請し、日米がBFロボに登場すると、地上の御子は、トゲボール攻撃のカウンターから、ペンタフォース!
 「行くぞ、ゴロンゴロボ!!」
 残すは弟ロボットだけとなったところで、今回の怪人ネームが明らかになり、だから、ゴロゴロ転がっていたの……!?
 デザイナーの野口竜氏によるとモチーフは岩だというゴロンゴロボは、身軽に転がり回ってBFロボを翻弄しようとするも、慌てず騒がず特に前振りもない電光剣唐竹割りで一刀両断。
 悲しい戦いに決着がつくと、ライフル銃を墓標に東映特撮名物:勝手にお墓が作られ、心配する仲間たちに背を向けたまま、それを見つめる曙四郎。
 「ほっといてくれないか……俺はこの痛みをもう少し噛み締めていたい。ツヨシほどの男が、撃ち損なう筈は無いんだ。きっとあいつの心のどこかに、昔のあいつが残っていて、それで狙いが外れたんだ。いやそうに違いない。俺はそう信じたいんだ……」
 銃弾による負傷は、憎しみでも裏切りでもなく、むしろ友情の残滓と受け止める曙の呟きが渋く、この後『デンジマン』にも連続参加、後に代表作となる『宇宙刑事ギャバン』で、本邦ヒーロー像の定番イメージの一つを築くに至る大葉健二さんの魅力を押し出すエピソードとはなりました。
 高久脚本回では以前にもあった、刑事ドラマ文脈の強めな内容でしたが、ジャッカルがもう少し真っ当な暗殺者なら、もう少し話が引き締まった気がするだけに惜しい。
 次回――とんちき忍者回の予感。

迷える夏

仮面ライダー響鬼』感想・第23-24話

◆二十三之巻「鍛える夏」◆ (監督:諸田敏 脚本:大石真司
 響鬼轟鬼のダブル太鼓が夜明けを告げ、ブラバンとチアリーディング部は合同朝練に励み、明日夢くんは……ホイッスルを吹いていた。
 そしてトドロキは、太鼓を指導するヒビキに対して、なんかこの人、他人に物を教えるのに向いていないな……という顔になっていた。
 一流アスリート、必ずしも一流コーチならず、とヒビキ&トドロキ夏の太鼓合宿がギクシャクする中、白服のメーター太郎が現れて童子と姫を生み出し、これは別人なのか、それとも、夏服なのか。
 いつもよりテンション高く、愉快な雰囲気で歌い踊る変わり種の姫と童子だが、人間を魔化魍の餌とするその性質は変わらず、農作業中の老人を田んぼの中へと沈める泥だらけの手――。
 ヒビキがトドロキと共に合宿に入ったのは、この夏の風物詩・泥田坊に対抗する為であり……劇中の台詞から判断する限り、毎年恒例の魔化魍のようなのですが、基本、対魔化魍は後手に回る事になる今作(出現予測どんぴしゃで初動で童子と姫を撃破できる事もゼロではないでしょうが……)、毎年毎年、稲作農家で夏場に行方不明者が出ている事になるのは、さすがに無理のある設定だったのでは。
 ここまで、“山や海における事故”や“天災の被害”と思われたものが実は他界の怪異によるものかもしれない、という、「解釈装置の実体化」が魔化魍であり、魔化魍による被害をゼロには出来ないし事前に止める事も出来ないのは、今作世界における、ある種の“自然の摂理”ではあったわけですが、それにしても、特定時期に、特定ポイント付近で、特定の事業従事者の危険度が極めて高まる状況が、猛士組織にとって被害前提のイベント化してしまっているのは、劇中現実的にも万全の対処は難しいだろうとしても、フィクションの秘密組織としては“格好良くない”と思ってしまうところ。
 猛士組織の戦い、「偶発性」vs「過去のデータ」+「限られた人員」のせめぎ合いの中で、できる限りの被害を防ごうとしているところにヒーローフィクションとしての“格好良さ”が存在しているので、「偶発性」の要素をある程度まで下げてしまうと、いかに日本中の田んぼを見張るのが現実的ではないとはいえ、一定の被害を余儀なくされる戦いのマイナス面が強く出てしまい、今作の基本設計と年中行事的イベントは、相性が大変悪く感じました。
 そういうところは、これはヒーローフィクションなのだから堂々と嘘を描いてほしい、のが私のスタンスなので。

◆二十四之巻「燃える紅」◆ (監督:諸田敏 脚本:大石真司
 ……もっちーはそろそろ、明日夢くんの後頭部を灼熱したバチで強打しても、大半の視聴者は許してくれるのではないでしょうか。
 私は許します。
 分裂増殖する魔化魍泥田坊に対抗する為、体内火力を高める響鬼だが、調整不足から両腕の赤熱化に留まるも、一体を撃破。だがもう一体には逃げられてしまい、泥田坊が分裂増殖するのは稲の分けつのイメージで、荒ぶる怪異と化した稲魂、といったニュアンスでありましょうか。
 ヒビキの忠告を聞かずにギターで戦おうとしてしくじったトドロキは猛省し、トドロキの一本気さや不器用といえる生真面目さがマイナスに出たとしたかったのかもですが、
 ・あまりにも人の話を聞かないトドロキ
 ・やたらトドロキへの当たりが強く無駄に感じの悪いヒビキ
 ・トドロキに対して業務と私情の狭間で空回りを繰り返す日菜佳
 ・日菜佳へボールを打ち返したいのかスルーしたいのか全くわからないトドロキ
 ・謎の動きを繰り返しながらトドロキの話を聞く香須実
 と違和感が強かったり掴み所があまりに無くて困惑する描写が続き、人間関係の距離感が完全に行方不明。
 特に酷かったのが、トドロキからギターにこだわる事情を聞く香須実とのやり取りで、脚本上では延々と会話が続いていて、なんとか画面に動きをつけなければと演出が困ったりしたのかもですが、ただでさえトドロキと香須実の長い会話自体が初なのに、そぞろ歩きで謎のお茶目を発揮する香須実、かと思えば吊り橋の上で妙に立ち位置の近い二人、急に絶叫するトドロキ、と間合いの掴めない会話が延々と続き、見ていてストレスを感じるレベルの大迷走。
 ヒビキはヒビキで、過去の自分を思い返しながら先輩ムーヴのキャラ作りをしていた可能性もありますが、少年を相手には言葉を選びながら前向きな言葉を贈るのに、後輩に対しては四の五の言わずに指示に従えばいいんだコラ、になるのは、シビアな職場におけるオンオフの切り替えというよりも、東映特撮におけるナチュラルなパワハラ傾向が画面から出てしまった感じで、大幅な悪印象。
 更に、前職が“シビアな状況に置かれる場面もあり上下関係の厳しい警察官”だったトドロキが、現在はそれを辞めた身とはいえ(性格的に合わなかったようには見えない)、先輩の指示にやたら反発を見せるのも違和感が大きい上、いくらトドロキが鬼としてデビュー間もないとはいえ、“太鼓しか効かない毎年恒例の魔化魍”について事前に情報を共有しないのは不自然が過ぎ、「特殊な魔化魍対策に最低限のスキル修得は必須」と「鬼としての幅を広げる為に他の楽器も学んでほしい」を不必要に混ぜて、しっちゃかめっちゃか。
 「ふえろ ふえろ! どんどんふえろー! ふえたらみんなで ひとおそOh」
 泥童子が順調に魔化魍を増殖させていく中、例年より早い泥田坊の出現に急ピッチで仕上げたヒビキ、気持ちを入れ替えてシャドー太鼓に打ち込んでいたトドロキに、一反木綿を撃破したイブキ組(あきらの怪我はひとまず大丈夫そう)が合流し……これ、太鼓を教わっていた頃のイブキさんが行儀良く指示に従って不足も自分で補ってくれるから、ヒビキコーチが凄く駄目な感じに育ってしまったのでは?!
 「名付けて、太鼓祭りで決めていこうぜ」
 響鬼威吹鬼轟鬼が、赤青緑のバチを手にして並ぶと増殖泥田坊の前に立ちはだかり、今作としては変化球となる、着ぐるみ怪人との集団戦に突入。
 威吹鬼轟鬼も慣れない太鼓で奮戦すると、鍛えに鍛えて夏の視線を独り占め、と噴き上がる闘気に包み込んだ響鬼が、全身真っ赤に銀アーマーの、響鬼@夏毛ならぬ、響鬼・紅へと変貌。
 疾走しながらバチを叩きつけるだけで泥田坊に清めの音を打ち込んで次々と撃破すると、最後は灼熱真紅の型で親玉を撃破し、夏の風物詩の一掃を完了するのであった。
 ……後年のメタ視点を交えると、制作体制の混乱がそのまま出た、といった具合だったのかもですが、響鬼の強化は強化として、そこにトドロキと明日夢の立場を重ね、ヒビキの過去も加えて「時には遠回りが大事」のテーマをねじ込む為に、あまりにも色々なものを歪めてしまった感。
 キャラも物語も先行き不透明になっていたのかもですが、上述した人間関係の見せ方の混迷ぶりに加えて、食事シーンを汚く撮るとか、明日夢くんの脱衣ネタとか、急にやかましくするとか、生理的嫌悪感やノイズを故意にまぶして画面に目を留めさせる事を目的化する、悪い時の石田監督の模倣みたいな演出も感心せず、前後編セットでは、ここまでワーストといっていい出来でありました。
 次回――夏だ! プールだ! 今度は河童にやられる裁鬼さんだ!!