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『X-MEN '97』〈シーズン1〉(2024) 全10話/最初の5話と最終話は良かった。最後が良いDisney+MARVEL作品はロキS2しか無かったから良い方かも。星屑とおがくずにかけて……🧬


原題:X-MEN'97 シリーズ構成:ボー・デマーヨ 監修:ジェイク・カストレナ 原作:スタン・リー、ジャック・カービー 製作総指揮:ブラッド・ウィンダーバウム、ケヴィン・フェルジ、ルイス・デスポシート、ビクトリア・アローンソ、ボー・デマーヨ 制作スタジオ:マーベル・アニメーション 配信サービス:Disney+ 製作国:アメリカ 配信時間:各話約30分(最終話だけ約40分)、全10話 配信開始日:2024年3月20日-5月20日 シリーズ:MARVELスタジオのDisney+アニメシリーズ。『X-MEN』(1992-1997)の続き

 


MARVELを代表するヒーローチームのコミックの一つX-MENが90年代にアニメ化された『X-メン』(1992-1997)……その最終回から27年経った今、MARVELスタジオ&Disney+によって続きが作られた。
当時のアニメは、日本では日本人スタッフが嘘で固めたOPを作って日本でもシーズン3くらいまで地上波の夕方で放映されてた。
X-MEN 日本版OP1-2(JPN) - YouTube

本作では当然ながら、日本制作のOPではなくオリジナルのOP曲が使われている。でも僕も普通に嘘で固めたナイフじゃなくてオリジナルの方が好きだったので都合がいい。
ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』(1996-1997)と放映時期が違いが実際にビーストウォーズほどではないがビースト役の千葉繁だけはスキを見てアドリブを差し込んだりしてた気がする。
あと日本での放映が始まった頃に、アニメの内容を岡本夏生X-MENのアニメキャラと会話しながら番組を紹介する謎すぎる特番『岡本夏生X-MEN大好きスペシャル』(1994)が放映された。これは本放送じゃないので千葉繁を始めとした声優陣がめちゃくちゃな吹き替えしまくっていた。
(1994)『岡本夏生のX-MEN大好きスペシャル』のOP・EDとCM - YouTube

上記のOP&EDがUPされた時は驚愕したが、肝心の本編がネットにUPされたのは30年間見たことないので見る方法はない(昔ビデオに録画したものがひょっとして押し入れにあるかもしれないが観る手段ないし)。
で、肝心のアニメはというと時々観てたが、その時実家を出て大阪に一人暮らしして仕事とか恋愛とかリアルが忙しかったのでアニメ自体あまり熱心に観てなかった……いや、当時、今川泰宏監督のファンだったので『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』(1992-1998)『機動武闘伝Gガンダム』(1994-1995)だけは熱心に見てた)。……あ、X-MENはたまにしか観てなかったけど同じ海外アニメでも天才ブルース・ティムの『バットマン』(1992-1993)は熱心に観てたわ。で、このブルース・ティムバットマンの作画が凄すぎて、並べるとX-MENが凄くショボく見えて、それであまり観てなかったんだと思う。作画はあれだが内容は名作だったと聞く。
今ならDisney+で全話観れるはず(同じく90年代に作られてたスパイダーマンやアイアンマンなどのアニメも全部Disney+にある)。
X-メンを視聴 | Disney+(ディズニープラス)

で、そのアニメ版X-MENの日本での放映が始まった1994年。小学館から『X-MEN』の邦訳が始まった。以前の日本でのアメコミ翻訳は70年代の『月刊スーパーマン』とか光文社のMARVEL翻訳など以前でもあったが一時止まっていたが、このX-MEN邦訳版のヒットからアメコミ邦訳が再開された感ある。邦訳版X-MENジム・リーが担当した範囲を中心に17巻まで出版された後、雑誌形式でMARVELの色んなタイトルを複数収録する事によって月に千円であらゆるMARVELヒーローを脳に叩き込まれた『マーヴルクロス』全17号(1996-1997)、リア充が時計やスニーカーと同じノリでアクションフィギュアハマったが今の時代にその記憶が全く残ってないので集団幻覚みたいな雰囲気になっているトッド・マクファーレンの『SPAWN スポーン』、『ウォッチメン』の邦訳一回目、『バットマン ダークナイト・リターンズ』の邦訳一回目……とか色々あり、浮き沈みはありつつ何だかんだ言って現在までアメコミ翻訳は続いている(あまりに雑語りですがすみません)。
また同じく1994年に当時カプコンに居たアメコミ好きの秋友克也氏が頑張って格闘ゲーム『エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム』(1994)発売。僕は黄色と青のコスチュームやジム・リーの絵やキャラ選択画面のわくわくするBGM、サイクロップスウルヴァリンやサイロック、あとアイスマンやオメガレッドやジャガーノートのキャラ性能などに魅せられた。このシリーズは北米で大人気で続いて『MARVEL vs.カプコン インフィニット』(2017)で大失敗するまで続いた。僕はこのシリーズ大好きだったが『エックスメン VS. ストリートファイター』(1996)が一番丁度良くて好きだった。世界的にはマブカプ2やアルカプ3が一番人気なんだけど正直やりたくても三人動かすのは難しくてついていけなかった……。

……こうして振り返ると邦訳と地上波夕方アニメと当時大人気だった格ゲー……と一気にメディアミックスしてたのね(あと日本の漫画家によるX-MEN漫画も出てた)。
これらのメディアミックスの”教育”のおかげで現在の40~50代の中年はアメコミ映画が公開されても出てくるキャラを知っている事が多い。中年男性は主にMARVELカプコンの格ゲーで、邦訳を読み続けた人はそのまま原書を読み始める人が多かった。

僕はというと英語が苦手なので原書には手を出さなかったがX-MENの邦訳は……90年代の小学館のやつは20歳前後だったのでかなり好きで全部買って(特にクリス・バチャロのアートが好きでした)、一旦翻訳が止まった後はヴィレッジブックスの2000年代の『アストニッシングX-MEN』シリーズとか『ハウス・オブ・M』は好きだったけどあまり読んでなくて、あと小学館から出た『X-MEN:ファーストクラス 明日への架け橋』は妙に好きでした。でも2000~2010年代は、FOXのX-MEN映画があまり好きじゃなかったのも合わさってX-MENからは離れてアベンジャーズの方がいいぞって離れてたんですが(読んでないくせに一応ネット等でX-MENの動向はチェックしていた)FOXのX-MENもようやく無事滅び去ってくれてMARVELスタジオに帰ってきた。そんでMCUは〈X-MEN登場〉への地ならしとして『ミズ・マーベル』 (2022)『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエヴァー』(2022)『マーベルズ』(2023)など色んな作品に〈ミュータント〉や〈X-MEN〉を出してきているが正直この辺のフェイズ4&5作品はもう一般層の多くにそっぽ向かれて誰も観てないという悲しさ。今夏公開の『デッドプールウルヴァリン』(2024)は今まで観られた予告編の再生回数の新記録出たそうなので、さすがに久々のヒットするだろう。
で、最近の原作のX-MENは〈クラコア編〉が最近終わったと聞くが、その一冊目の『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』も翻訳されたが、この『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』がめちゃくちゃ面白かった。X-MENの中でも……というか今まで読んだアメコミでベスト3に入るくらい面白かった。その続きはまだ途中までしか読んでないけど、ミュータントたちがあまりに人間離れしすぎてて感情移入できなくなり「ミュータント達には悪いけど早くクラコア壊滅して欲しい……」と思ってたら壊滅した。
原作の古いエピソードだと『ダーク・フェニックス・サーガ』が一番好きです。なんかX-MENとかMARVELコミックスそのものに求める楽しさが全て詰まってる気がする。この辺りのジョン・バーンのアートも好きです。

なんか正直言って一個一個について書いてたら無限に書けるので全て短くおさえた。
そんなこんなでX-MEN '97の感想に話を戻そう。

ネタバレあり

 

 

 

 

これまでのあらすじ 『X-メン』(1992-1997)
X-MENとは、悪の脅威から人類を護り、人類とミュータントとの平和的共存を実現するために組織されたミュータントヒーローチームである――
人類との平和的共存のために長年戦い続けたX-MENだったが、その指導者プロフェッサーXが人類に撃たれ致命傷を負い、彼は治療のため惑星シーアーに旅立った。
一体、何度繰り返したら地上に居場所ができるのか?――
Marvel Animation's X-Men '97 | Previously On X-Men | Disney+ - YouTube

……という27年前のアニメ最終話の直後から始まる。
OP曲も引き継がれてSNSのTL上の北米のオタは咽び泣いていた(声優とかも当時の人なのかな?)。なんでもケヴィン・ファイギが「絶対にあの当時のOP曲じゃないとアカン!」と強く言ってたらしいね。でも実際すごくいいOP。
ドラマやアニメのOPとか初回以降は飛ばすけど本作のOPは最後まで飛ばさなかった。
毎回ほんのちょっとづつ違うからね(戦死したメンバーが消えたり加入したメンバーが追加されたり、その回に起こる出来事に関係した過去の思い出が挿入されたり)

www.youtube.comちなみに27年前のはこれ
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こうして見比べるとジュビリーがやってた”新入り”役を本作ではサンスポットがやってるんだな。
それにしても〈立体的な”X-MEN”のロゴ〉が水平線に投下されて核爆発が起こるところ、それぞれ違うフォントのクソデカいキャラクター名とキャラクターが次々登場するところなど最高。曲も勿論すばらしい。
ついでに日本版OPも載せておこう

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こちらは90年代日本アニメ特有の過剰にメランコリックな感じがたまらない。
「SHOCK!嘘で固めたナイフ斬り付け」という出だし、
また「リアルタイム 濡れた幻ィ~……ィィィイイイ~ッ↑↑↑♬」と勝手に一人で盛り上がって上がっていく箇所などたまらない。
欧米人は、ウルヴァリンとオメガレッドがエリアルレイブしながら上空に舞い上がりきったところで「 ブレイクアウト 」と言う箇所のダサさで膝から崩れ落ちる快感がたまらないらしい。同時に、別に現在の目から観てダサいわけではなく30年前の時点で既にダサかったことを君に教える。だが別に私が言う「ダサい」は悪い意味だけではない事もわかってほしい。「うわ……ダサ……」それも楽しい思い出だ。しかも80、90、00年代のダサさは今から狙っても作れない希少なダサさなので無視せず微笑んでいたい。

前回までのあらすじ
プロフェッサーX(以下教授orエグゼビアorハゲ)が反ミュータント過激派のヘンリー・ピーター・ガイリックに撃たれた!

脱線したのでまたあらすじを言う羽目になった。
前のアニメの終盤見てないので、そういうあらましはよく知らん。教授は恋人であるリランドラ女王に治療のためシーアー帝国に連れて行かれたらしい。昔の邦訳ではシャイア帝国と言われてたね。
だが最初の数話観てたらサイクロップスとかマグニートーとか皆、まるで教授が死んだかのように振る舞ってるから「今は教授死んでるのか」と素直に受け取ってたら数話後で普通に生きてたので「普通に生きてるじゃん」と思った。
あまりに皆、教授が死んでるかのように振る舞うので「みんなハゲが死んでると思ってるのかな?」と思い、後で生きてた教授が地球に帰還したら驚くかなと思ってたら皆ノーリアクションでいつの間にかハゲが帰還してたので俺のほうが驚かされた。
第1話は、第1話らしくX-MENを一人ひとり紹介しながら反ミュータント勢やセンチネル軍団を軽くボコす素晴らしい第1話。
サイクが上空から飛び降りて地面にオプティックブラストして着地したり(かっこいい)、ガンビットウルヴァリンの爪にチャージする合体技を見せたり、ビーストがセンチネルの配線をいじって鹵獲したり、ストームが登場しただけでセンチネル達が「オメガ級ミュータントを検知……」と警戒モードになるのも素晴らしい。
へそ出しの恥ずかしいタンクトップ着たガンビットとかジム・リーX-MENを思わせるバスケットに興じるX-MENなどなどファンサービスに満ちた第1話だった。
ちなみに作画は、昔のアニメの絵柄のまま美しい作画になっていて素晴らしい。全体的に『ホワット・イフ…?』〈シーズン1-2〉(2021-2023)っぽい。多分スタッフも同じだろう。
昔のアニメではジュビリーがX-MENに保護されてそのままメンバー入りしてたが今回のアニメでは大富豪の息子のロベルト・ダ・コスタがそのポジションになる。彼は勿論後のサンスポットだが何でサンスポット?
まぁいいや。ロベルトはX-MENに入るのを拒絶してたが親との断絶で、なし崩し的にX-MEN入りする。シーズンの後半まで全然パワーも使いたがらないし何か重要な役割があるのかと思ってたけど終盤でやっとパワーを使ってジュビリーを助けるだけだった。
だからジュビリーは先輩キャラになった、かつては生意気小娘キャラだったジュビリーだが後輩ができたせいかロベルトが反発するのを見守ったり、彼と楽しいことして黙って柔和なニッコリ顔で微笑んだりして妙に可愛らしい。2人は微笑ましい感じのカップルになる。
他には今シーズン前半では教授の代わりにX-MEN指導者となったマグニートー。ノースリーブで紫の妙にセクシーなコスチュームを着て、ことある毎に教授への愛をぶつぶつ呟いたかと思うと攻撃を受けて乳まるだしでエッチなやられ方したりするのが可笑しかった。
ガンビットと良い感じだったローグが、昔いい仲だったマグニートーと三角関係になる。ガンビットはまるでティーンエイジャーのようにむくれる。
ウルヴァリンは、X-MENリーダーのサイクロップスの妻ジーン・グレイ(妊婦)に未だに惚れている。ジーンが出産間際になって急いで病院に連れて行って出産を手伝ったりするが、最終的にはジーンは夫サイクロップスの元に帰るわけでさの度にウルヴァリンは悲しそうな顔でジーンをじっとりした顔で見る……可哀相だが面白い。
ちなみに「ジーン(と夫サイクロップス)が写った写真をじっとり見つめるウルヴァリン」はフィギュアにもなっている。なんたる屈辱……!

そしてモーフが親友ウルヴァリンガンビットを変身能力でからかう!(モーフの変身いたずらは殴られそうなラインのイタズラなのでヒヤヒヤするが面白い)
ガンビットウルヴァリンの好きな女子、昔のアニメがキッズに観て欲しい感じだったためか。

第2話は、教授の遺言によってX-MEN指導者になったマグニートーが、ミュータントを危険視する人類によって裁かれる事件。
第3話は、サイクとの間にできた息子を出産したジーン・グレイが、実はジーン本人ではなくジーンのクローンであったと判明。後にマデリーン・プライヤーと名乗ることになるクローンは闇落ちしてゴブリン・クイーンというヴィランになってX-MENと戦う。
第4話は、ジュビリーとロベルトが異次元空間を司るモジョーが作り出したベルトスクロール・アクション・ゲームのような世界に引きずり込まれて脱出するために戦う楽しい話。ゲーム画面はコナミX-MENゲーム風で、両端の顔はカプコンの『マーヴル VS. カプコン クラッシュ オブ スーパーヒーローズ』(1998)のヴァリアブル・クロスだね。

第5話は、平和の祭典をジェノーシャ(ミュータントだけの架空の国家)で行っていたら正体不明のセンチネルが襲来して惨劇となり多くの犠牲が出る……。

という、この第5話が多くのドラマやアニメで第3話~第5話あたりで起こりがちな「流れ変わったな?」回。
個人的には、一話完結の楽しい話が続く前半が第五話で流れ変わる、という本作の前半が個人的にはかなり神アニメ的に面白かった。”楽しい事件”とは言いつつマグニートー裁判もゴブリン・クイーン事件もそれだけで映画一本作れるほど壮大な事件を24分にまとめてるので当然面白い。

その前に「X-MEN」は〈差別をテーマにしたヒーローもの〉という大前提がある。アメリカやアメリカの延長としての地球を守るアベンジャーズや、個人的な悩みとそのメタファーとしての平和維持につとめるスパイダーマンとは少し違う。
そして新しいX-MENが始まると毎回新しく観はじめた人から「アベンジャーズスパイダーマンは市民から人気なのに何でX-MENだけ迫害されてるの?」という疑問が出てくる。アベンジャーズスパイダーマンは(基本的に)後天的なアクシデントや過程の結果スーパーパワーを身につける、だから「俺達(人類)の代表だ!」という感じなのに対してX-MEN……ミュータントは突然変異で生まれつきパワーを持った人類(遺伝子が違うから人類そっくりの違う生物かも)。だから人類からすると「俺達は、遥かに優れた能力を持つミュータントに取って代わられるかもしれない」という本能的な恐怖を抱く、そして迫害される。肌の違う人種やLGBTQ+のメタファーみたいな感じ?
人がいる限り差別は(ほぼ)なくならないのと同じようにX-MENは差別と戦い続ける運命。
また劇中には基本的にX-MENとミュータントのヴィランしか出てこないのでミュータント=スーパーパワーを持って産まれた突然変異という印象になるが、X-MENはミュータントの中でも上澄みで、画面外には使い道のないパワーを持って産まれた上に迫害されてたり単純に身体異常を持って産まれただけの弱者ミュータントなども大勢いる。「田舎町でリンチに遭って死んだ可哀想なミュータント……しかし彼は只の身体障害者だった……」みたいな悲しいエピソードもよくある。
本作で言うと地下に逃れ住んでるモーロックスが弱者ミュータントの代表として描かれている。緑色の子供リーチとか。しかし第5話、謎の反ミュータントの繰り出したセンチネルによって皆殺しに遭う。マグニートーは以前もこの時も「君たちを護る」と誓って目をキラキラさせてマグニートーに憧れていたリーチも最後は絶望の表情を浮かべ、救えないままマグニートーの眼前で死んだ。
また原作では「X-MEN加入前にモーロックス虐殺の手引きをした」という後ろ暗い過去があったガンビットが、本作ではモーロックスを助けようと単身、三ッ首センチネルに突撃して相打ちとなり戦死したのが熱かった。ガンビットって一見カッコいいのだが主役になれないパッとしない印象だったが、この第5話では文句なくカッコよかった(というかガンビットを30年ぶりにカッコいいと思った)。個人的にはこの第5話が本作のピーク。「物体に破壊エネルギーをチャージできる」という吉良吉影的なガンビットは相打ち覚悟なら誰でも倒せそうだなぁとかロマンも広がって良かった。



この第5話がピークだったとして、続く第6話、第7話の三話が中盤といった感じ。
第6話、MCUでもお馴染みのクリー帝国やスクラル帝国と並ぶ宇宙の大国シーアー帝国にて女王リランドラと結婚するために領域展開〈教室〉とか展開して頑張っていた教授だったがミュータントやX-MENの危機を知り「もうシーアーとかどうでもいい!」とか言って地球へ帰還してしまう。もっと言い方ないのか?というかシーアーはフォローないからデスバードのものになってしまいシーズン2とか3でシーアーの問題に再び取り掛からなきゃならんのか?そして第2話でパワー消失弾を撃ち込まれて只の人間になっちゃってたストームだったが、知り合ったフォージと共闘してパワーを取り戻す……というか最初からパワー無くなっておらず精神的な問題なんだっけ?よくわからんがとりあえずパワーは戻った。

そして、ジェノーシャでの虐殺はバスチオン、そして彼をサポートするミスター・シニスターの仕業だとわかる。
絶望と人類への怒りによって何度目かの闇落ちしたマグニートーは地球全土への停電現象を起こす(というか具体的には描かれてないけどこれだけで凄まじい数の死人が出てるよね?)。X-MEN vs. マグニートー vs.バスチオン&シニスター&センチネル軍団という三つ巴が描かれるのが後半。

といってもマグニートーヴィランというよりも「一時的に闇落ちしてしまったX-MEN」という印象が強い。マグニートーを説得するために教授を中心としたメンバーが彼が根城としている衛星アステロイドMに向かうX-MEN。バスチオン&シニスターを倒すためのX-MENと2チームに別れて解決にのぞむ。
X-MEN以外のヒーローは何してるのか?」というのも最終話で少し描かれていた。

デアデビルやクローク&ダガーなどのNYローカルヒーローブラックパンサーはセンチネルプライムと戦って市民を護る、ドクター・ストレンジは魔術を使って停電した病院で手術を行っていた。ピーター・パーカーやMJや他のヒーローも90年代MARVELアニメの作画で出てきてた、ファンサービスだね。
一方、キャップとアイアンマンは地球に降ってきているアステロイドMを戦っているX-MENごとミサイルで吹き飛ばそうとする大統領と共にいた。キャップは悲しい顔で見てるだけ。X-MENはあくまでもはぐれ者たちなのだ。
色んな戦いがあって、赤い彗星マグニートーが落とすアクシズ……じゃないアステロイドMを何とか止めることに成功するX-MEN、しかし時空の裂け目に飲み込まれて大半のX-MENは過去や未来へと飛ばされてしまう。
ジェノーシャでアポカリプスがガンビットを蘇らせて配下のフォー・ホースメンにする事を匂わせてシーズン2へ……。

 

 

作画や動きも綺麗だしファンサービスもふんだんで楽しかったんですけど、第6話から最後まで、話や場所があっち行ったりこっち行ったりでかなり落ち着かないものがあった。「それがX-MENのよくある展開だろ」と言われたらそうなんだけど、中盤は特に「アメコミ好きにも先の展開を読ませないぞ」という事に全力を出してて、ストーリーの流れそのものはゴツゴツした道のりだった。
またX-MENってチート級だらけで、最強レベルのテレパシー能力を持つ教授、フェニックスの力を覚醒させれば惑星の一つや2つ容易く滅せられるジーン・グレイ、フルパワー出せば地球全土にマグネットパワーを作用させられるマグニートー、天候を操るストーム……など、ローグも対ミュータントなら触るだけでKOそうじゃなくても常時キャプテン・マーベルより少し弱いくらい強いというバケモノなのだが、ストーリーの都合に合わせてパワーが強くなったり弱くなったりするのも少し醒めました。
第5話で「ちょっと強いだけのセンチネルに何でマグニートー負けたん?」とか「最終話でフェニックスの力を覚醒させたジーンだったが蘇った後はその力使えなくなった」とか「ストームもチートパワーで活躍してたが衝撃波かなんか来て失神しちゃった」みたいな事が多すぎて、観てるうちになんだかどうでも良くなってくる事が多々あった。
敵のバスチオンやシニスターマグニートーもチート級なので苦戦するのはわかるんだけど「ここで強いX-MENを気絶させとこう」みたいなのが多すぎてね……。
最初の5話と最終話は楽しかったんだけど、中盤から第9話にかけてぐらいはかなり観ててダレました。しかし最終話が盛り上がったDisney+のMARVEL作品って、あれだけいっぱい作っといて『ロキ』〈シーズン2〉(2023)の一本しかなかったから最終話が盛り上がった本作はまだ良い方なのかもね……。シーズン2と3はもっと中盤も腰を据えて作ってほしい、アメコミ好きに展開読まれてもいいから面白くするのが先決……。
そんな感じで、色んな思い出に触れてるうちに長くなったけど本作の評価自体は「まぁまぁ」といった感じでした。アメコミ好き的に「過去のあのX-MENエピソードが!」とか「アイツが出た!」みたいに喜ぶオタク的なポイントは、いっぱいあったんですが、もうMCU疲れになって何年も経ってるので、そういう要素で喜ぶ体調じゃないんですよね(というか自分の過去のTwitter検索したら11年前の『アイアンマン3』(2013)の時点で一回目のMCU疲れになってた)。確かに3年くらい前までは「◯◯が出てきた!」とか「きっと□□に繋がる要素だ楽しみだな!」などとオタク的なはしゃぎ方も出来てたんですが、フェイズ4以降の一体いつ回収されるかわからない膨大な新キャラとか新要素とか全部、次にいつ出てくるかわからない、場合によっては再登場ない奴も多そうだしもうはしゃいでられないんですよね。というか個人的にそんな全キャラの現状を趣味でまとめてるから近々全部載せるので考えてみましょう。宇宙に拉致されたエターナルズや闇落ちしたシャロン・カーターは果たしていつ出てこれるのか?
「◯◯が出てきた!」「きっと□□に繋がる要素だ!」っていうのは本業(面白いかどうか)が成立して、余った時間で楽しめるオマケですからね。面白さが伴ってなければそういったオタク要素は楽しめません。「本編はともかく、◯◯が出てきて来年の△△に繋がる要素か!?」とか、そんなもんスコセッシじゃないけど「映画でもない」要素ですからね。『マーベルズ』(2023)に僕が大好きなビーストが出た!だが出たから何だってんだ?同じく僕が一番好きなカマラがヤング・アベンジャーズ作ろうとしてるけど一体いつ観れるの?そういう状況です。勿論デップー&ウルヴィーやらデアデビルやF4や実写X-MENでのMCU復権を信じてますけどね。でも今はつまらないよね、という事実を言ってるだけです。

次のMARVEL作品は7月26日に〈MCU最後の希望〉と言われている『デッドプールウルヴァリン』(2024)、今年のMCU映画はこれ一本のみ!(「よかった今年は一本しか観なくて済む」と思っている僕が居ます)。
そして、もはや誰も観なくなって2年くらい経っているDisney+によるMCU作品は9月18日に『アガサ:オール・ア・ロング』(2024)がある。よりにもよって誰も観なさそうなタイトルだな……しかしアガサなんて好きじゃないけど途中まで死ぬほど面白かった『ワンダビジョン』(2021)のスタッフが作るしワンダの事もわかるかもしれないから少し期待しよう。とりあえず僕だけは観ますわ。

 

 

 

 

そんな感じでした

X-MEN関連作〉
『X-MEN: アポカリプス』(2016)/昔のつまらないX-MENが帰ってきました❌ - gock221B
『LOGAN / ローガン』(2017)/レイティングがあがってやっとまともに殺せるウルヴァリンとローラ役の子の魅力❌ - gock221B
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X-Men '97 (TV Series 2024– ) - IMDb
X-Men '97 | Rotten Tomatoes

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『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』(2022)/〈手〉のアイデアも凄いしワンアイデアを主人公の人間ドラマと絡めてどんどん展開させていくのが上手くて、これが若のデビュー作と思うと凄いですね🖐️


原題:Talk to Me 監督&脚本:ダニー・フィリッポウ 監督:マイケル・フィリッポウ 脚本:ビル・ハインツマン 原案:デイリー・ピアソン 配給:A24 製作国:オーストラリア 上映時間:95分 劇場公開日:2023年7月27日(日本では2023年12月22日)

 

 

人気YouTubeチャンネル「RackaRacka」を運営する双子の兄弟ダニー&マイケル・フェリッポウがA24から長編映画監督デビューを果たし、2023年サンダンス映画祭で話題を呼んだオーストラリア製ホラー映画。
これは観に行きはしなかったのだが、あらすじ聞いたら気になりすぎたので配信とかに来るのを待ちきれずレンタルで観た。
A24はBackroomsの短編をYOUTUBEにUPしてた高校生をBackroomsの映画『The Backrooms』の監督に招いたりして新人発掘に余念がないですね。
このチャンネルは、WWE好きな青年たちが友達集めて色んなキャラに扮してプロレスごっこしてるものが登録者数684万人にまで膨れ上がり「もうYOUTUBEでやる事全部やったから新しい事をはじめたい」と言って作ったデビュー作がこれ。で、高評価&スマッシュヒット。すごいね。
カプコンの格ゲー『ストリート・ファイターII』の実写版の監督に決まったそうだけど、監督兄弟はオタクなのでストIIも当然好きでわざわざタイに行ってサガット役を探したりしていて期待が持てる(タイに演技できるあんな巨人居るかなぁ)。

ネタバレあり

 

 

 


2年前の母の死から立ち直れずにいた高校生ミア(演:ソフィー・ワイルド)は、友人ジェイド(演:アレクサンドラ・ジェンセン)から、同級生のホームパーティにてSNSで話題の「90秒憑依チャレンジ」が出来ると誘われ、ミアが想いを寄せる幼馴染ダニエル (演:オーティス・ダンジ)も参加すると聞きパーティへ。
それは呪われているという〈〉の形のオブジェを握って「トーク・トゥ・ミー」と唱えると霊が視え、招き入れると霊に憑依される。その手は「90秒以内に離さなければ霊に乗っ取られてしまう」というルールがあった。
強烈なスリルと快感にのめり込みチャレンジを繰り返すミアや仲間たちだったが、ジェイドの幼い弟ライリー(演:ジョー・バード)に今は亡きミアの母が憑依して――

という話。

主人公ミアの母は、ミアとも仲の良い快活な女性だったのだが鬱っぽくなり「自死したんじゃないか?」と匂わされている。その日、ミアの母は自室で薬を飲みすぎた。異変を感じた父が開けようとするが母は扉の前でぐったりしていたため、扉が開けられず間に合わなかった。この状況は後で何度か出てくる。
母を救えなかったと思ったのか父ともギクシャクしており、友達のジェイドの家に入り浸っている。

この〈手〉は、超能力者または霊能者または悪魔崇拝者……とにかく「霊と交信ができる能力者の切り落とした手の上からセラミックで加工したもの」などと悪ガキから語られるが、手の正体は最後までよくわからない。まぁあまり手の真相は重要じゃない。とにかく握るだけで凡人でも霊が視えて霊を憑依させることが出来るという特級呪物。
〈手〉を握って「トーク・トゥ・ミー」と言うと、ランダムで幽霊が目の前に出現して、霊と手を繋いだ状態になりなかなか怖い。その霊は〈手〉を握ってる本人にしか見えない。ランダムなので事故死して血まみれのオバサンとか綺麗な幼女とか様々。
この段階では乗っ取られたり人間に危害を加えたりはできない。
「入っていいよ」と許可すると憑依される。許可しないと入れないというのは吸血鬼ドラキュラとかと同じだね。
憑依した霊は自分の想いを喋ったり、肉体を得て快感を得ようと憑依した身体を弄ったりとか色々ある。この時に暴れたりどっか行ったりしないように「トーク・トゥ・ミー」する人は事前に縛っておく。
90秒以上経ったら乗っ取られてしまうため、83秒くらいの時に「そろそろやめようぜ」と〈手〉から体験者の手を離す。これで憑依状態から解ける。
この〈手〉の設定は面白い。これで映画一本つくろうと思ったのも分かる。
〈手〉を試したミアだが少し暴れてしまったため、90秒を少し過ぎてやっと憑依を脱した。〈手〉を握っていた時間が長かったせいか、その日からミアはちょいちょい日常生活で霊を見るようになる。
この霊もバリエーション豊かで、死んだ母はミアが会いたいと思ってる存在なので全く怖くない人間ドラマっぽい若干ハートウォーミングな感じで現れる。病院のトイレで、母の霊が自室の自死のトラウマを再現するシーンはスティーブン・キングで出てきそうなシーンで普通に良い。あとはミアが曇ガラスの向こうに知らないオバサンが一瞬立ってたり(ちなみにこれが一番怖かった)、あとミアの自室で服とかを積み重ねてある?って感じの隅っこが「よく見たら人じゃないか?」と思ったら事故に遭ったらしき太ったオバサンが動き出して這いだすシーンも凄く良かった(だけどあまりに鮮明に映りすぎてて怖さが減った、もっとわかりにくい方がよかった)。

 

そんな風にミアが私生活でも幽霊を見始め、ジェイドの家でママ(RotRのエオウィン役の人)が留守中にホームパーティを開き〈手〉で遊ぶ。皆、ルールを守って適度な恐怖と快感を味わって楽しんでいたがジェイドの弟ライリーがやった時に「ミアの母」を名乗る存在がライリーに憑依してしまった。「ライリーまだ若いから50秒くらいにしとこうぜ」としてたのだが、母の死に心残りがあるミアが、母の霊と喋りたいがあまりライリーの憑依時間を引き伸ばしてしまった。それが災いしたのか邪悪な霊が入って暴れてライリーは意識不明の重症を負ってしまう。これが終わりの始まり。まだ幼さが残るライリーの顔がボコボコになってしまった様が迫真で良かったです。

ライリーの事で心の拠り所であるジェイドとジェイド母に拒絶してしまったり、ミアが好きな幼馴染ダニエルと良い感じになったと思ったら寝てる間に憑依されて大失敗してしまったりしてミアは坂道を転がり落ちるかのように悪循環に陥っていく。
その一つ起きた事が次の良くないことに派生し、それがまた次の良くないことに派生し……と次々と展開させていく過程も凄く上手い。これがYOUTUBERの若者のデビュー作だと考えるとかなり凄い。〈手〉のアイデアは確かに良いけど、このワンアイデアで最後まで突き進むのは結構難しいはず。そこで「母を喪った主人公」「その母は自殺だったのか?」など主人公の人間ドラマを〈手〉に絡めて、2つの相互作用で次々と展開させていくのが本当に上手い。「そろそろ半分くらい観たかな?」とシークバー観たらもう残り少なかったりして「こんなに時間の進みが早く感じるほど面白いとは!」と思った。先日観た『マエストロ:その音楽と愛と』(2023)が、展開のさせ方が下手で最初の50分観るのに一週間かかってしまったのと対象的だ。
また〈手〉を使っての「トーク・トゥ・ミー」遊びは、一目瞭然でドラッグで遊ぶ若者たちのメタファーとして描かれてる。本作は「母を失って哀しいミアが同級生に混じってドラッグを試してたら幻覚幻聴を聴いたりする内に自分をフォローしてくれるはずの人間も離れてしまいバッドに入って破滅」してしまう青春の悲劇を、ホラー映画として作り上げて表現した映画とも言える。
最後も素晴らしいオチで綺麗に終わる(序盤で言ってた「鏡に映った自分が消える悪夢をよく見る」という前フリも効いていた)。
母の霊や死の原因は、結局謎が多いのだが、父が言ってたことや母の遺書が「真実」であり、「母の霊」がミアに言うことは基本的に嘘またはミアの幻想だと思った。母もまた別の霊が母を騙って言ってたのかもしれないし死後の孤独で発狂した母の霊が悪魔のように娘を破滅に追いやろうとしてたのかもしれない。まぁ母の霊の正体は割とどうでもいい、どんどん情緒不安定になっていくミアの良くない精神状態のメタファーとして霊を使ってるだけなので厳密な真実とかは重要じゃない。
それにしてもミアのパパの今後は悲惨だな……。
そんな感じで特に欠点もなく楽しめました。しかもデビュー作だからね。『イット・フォローズ』(2014)を観た時の瑞々しさを思い出しました。あと一歩!あと一歩なにか重要なポイントがあればもっと歴史に名を残す傑作にもなり得た勢いがあった。

冒頭で書いたようにこの監督コンビは格ゲー『ストリート・ファイター』の実写映画化をしているほか本作の続編を作るという噂もある。
今後も楽しみな監督がまた出てきたなと思いました。

 

 

 

 

そんな感じでした

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Talk to Me | A24
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『マエストロ:その音楽と愛と』(2023)/中盤以降は良いんですけど最初の50分が信じられないくらいつまらなくて前半50分観るのに一週間かかった。キャリー・マリガンとマヤ・ホークは全シーン良かったです👨🏻👩🏼♬


原題:Maestro 監督&脚本&製作&主演:ブラッドリー・クーパー 製作:マーティン・スコセッシスティーヴン・スピルバーグほか 音楽:レナード・バーンスタイン 配給:Netflix 製作国:アメリカ 上映時間:131分 公開日:2023年11月22日(日本は2023年12月8日)、Netflixでの配信は2023年12月20日から

 

色男俳優ブラッドリー・クーパーが監督、脚本、主演、製作……など務めまくってスコセッシやスピルバーグなどの後押しもあった監督主演第二作目。
指揮者レナード・バーンスタインと舞台女優の妻フェリシアの愛と音楽を描いた実話を描いた映画。
一作目の『アリー / スター誕生』(2018)は、前半は普通に面白くて2人で唄うめっちゃエモいシーンがよかったのは覚えてる、でも後半センチメンタルすぎて心が離れた……そんな記憶がある。
続く本作は、何となく見る前から自分が興味なさそうなんだけど、今年から「アカデミー賞作品賞にノミネートされたものはなるべく観る(あとパルムドール)」という縛りを自らにかしたので観ました。かつてアカデミー賞ノミネート作はつまらないものばかりだったが七年くらい前から面白さも両立した作品が多くノミネートされるようになってきたからね。今のところ観た2024年ノミネート作6本は全部おもしろい。残り三本。

ネタバレも多いですし。あとあまり良い様には書いてないのでお好きな方は読まない方が良いかもしれませぬ。

 

 

 

 

舞台女優フェリシア(演:キャリー・マリガン)と、バイセクシャルで愛煙家の指揮者レナード・バーンスタイン(演:ブラッドリー・クーパー)の夫婦愛をバーンスタインの音楽活動を通して描いた映画。
一作目『アリー / スター誕生』(2018)同様に「ブラッドリー・クーパーが監督&主演&製作(今回は脚本も)」「少し問題あるが魅力的なハンサム男性主人公と振り回される女性主人公」「音楽を通して愛を描くのがテーマ」……などといったところが共通している
なんか、ブラッドリー・クーパーはろくでなし系ハンサム主人公に感情移入して題材に選んで自ら演じてそうだよね。

まず若かりし才能あふれる2人が出会って草むらで背中合わせで座って数字あてゲームとかして仲良くなる「昔」の部分は白黒で描かれている。
やがて画面はカラーになり子供達も大きくなる。バイセクシャルであるレナードの長年の浮気が原因でフェリシアは怒りを爆発させたり凄い演奏シーンでよりを戻す中盤。
しかし後半はフェリシアに腫瘍が見つかり……というのが大体の流れ。

まず主人公フェリシアを演じるキャリー・マリガンの熱演が全編凄かった。
レナードと知り合ったばかりの可愛いフェリシア、夫に振り回され睨みつけ終いには怒りを爆発させるフェリシア、レナードの妹シャーリー(演:サラ・シルヴァーマン)と頻繁に女子会するフェリシア、良い子の娘ジェイシー(演:マヤ・ホーク)と触れ合うフェリシア、夫と一旦離れて男性と仲良くなるが「私はドキドキしてたのに、彼は私の友達を紹介してほしいだけだった……」とシャーリーとの女子回で寂しく微笑むフェリシア、癌が発覚するが若い頃のように夫と草むらに座って数字あてゲームをする寿命が残り少ないフェリシア、闘病生活に突入して優しい家族や友達にが「彼女を励ます会」をしてくれるのだが自分が惨めになったのか会の終わりには「もう誰にも会いたくない!」と泣き出すフェリシア、末期症状でままならぬ自分の身体に苛つき優しいジェイシーに八つ当たりしてすぐ謝るフェリシア、夫とベッドで横になり微笑むフェリシア、ラストカットの微笑むフェリシア……など全編良い。彼女の子ども達とか孫が観たら号泣してるだろ(なんかフェリシア名場面集を列挙してたら走馬灯を追体験してる気持ちになってきて、だんだん良い映画のように思えてきた)。

ブラッドリー・クーパー演じるレナードは、恐らく本作の見せ場であろう中盤の長くて素晴らしい指揮シーンが圧巻。レナードは全体的にフェリシアをほっといて同性愛に興じている、しかも音楽界に入ってきた何も知らない若手ばかりと次々つきあってるのはかなりイメージ悪い。娘のジェイシーに酔って「いま妖精のような子と付き合っててね」と語りだして「そんな話聞きたくない」とか言われてしまうし妻の闘病中は男遊びをやめるが、彼女が亡くなるとまためちゃくちゃ若手と付き合い始める。何が言いたいのかというと夫婦愛とか感動的なところだけ描くのであればレナードのチャラ性愛は描かないだろうにバンバン描きつつ、夫婦愛を描いてるところが良いなと思った。特に妻が亡くなった後はすぐ映画終わるのだから「ジジイになっても若い男と遊んでるぜ」ってシーンは入れないほうが良い話っぽく終われる、それなのに「いや、でもこの爺さんは男好きだから……」と、わざわざ入れる。ここは誠実で良いなと思った。ラストシーンでは特殊メイクでバーンスタインそっくりになるのも圧巻。

サブキャラも、夫婦の娘役を演じたマヤ・ホークや、バーンスタインの妹シャーリー役のサラ・シルヴァーマンスタンダップ・コメディアン)、二人とも前から凄く好きなので嬉しかった。
イーサン・ホークユマ・サーマンの娘マヤ・ホークは大体何の作品でも良いんですが、今回も本当に良い。もう彼女の「良いやつ」っぷりがいつも表情や痩せっぽちの全身から出まくっている。夫婦の快活な「良い娘」として描かれていて、おどけたり常に母に寄り添う姿が本当に良い。
サラ・シルヴァーマンは、普段のスタンダップ・コメディとか観ても日本人なので全然わからないし、本作での役もフェリシアの話し相手になってるだけのチョイ役なんだけど彼女も大体いつも良い。なんか彼女の無責任な表情とかがツボにはまるというか。

 


……良かったところばかり列挙していったので書いてる自分も「良い映画だった」と錯覚してきたが、実際に観ていて前半のバーンスタイン夫婦の出会いと人生を白黒画面でじっくり描く50年代幸せ描写があまりにも平坦すぎて興味持てなさすぎて全部観るのに一週間くらいかかった。正直言ってマジでおもんない。
一流の出演陣や美術とか撮影とか……映画としては多分いい映画なんでしょうけど、もう本当に内容に一切興味が持てなさすぎて苦痛で苦痛で仕方なかった。アカデミー賞ノミネート全部観るしばりしたから観ざるを得なくて連日脱落しました。
だけど50分くらい経過した時にレナードの長年の浮気にキレたフィリシアとケンカし始めたあたりで興味湧いて何とか最後まで観れた。
そんな不仲で盛り上げる中盤の後、フェリシアの哀しみが伝わってくる闘病生活の後半とかは普通に良い。
映画って最初の20分がつまらないと大抵最後まで観てもつまらない事が多い。
途中から面白くなる映画もたまにはある。この話題の時にがよく『カメラを止めるな!』(2018)、『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007)やイーライ・ロスのホラー映画などがよく出てくる、だけどそれらの映画はわざと前半つまらなくしてるし、その「わざと今つまらなくしてるな」って気配がバンバン出てるんですよ序盤から。「どこがそうなのか具体的に挙げよ」と言われても言葉で説明しにくいしそもそも俺がそんな証明する必要ないからしないけど、とにかく中盤から面白くなる映画は滅多にない。しいて言うなら本作は数少ないそんな一本だった。僕にはね?
だが最初の50分くらいが本当に興味持てなさすぎてその後がそこそこ良くてもなかなか入っていきにくいんですよね。遊びに誘ったのに「行かない」「行く」「やっぱり行かない」とか繰り返す奴いたら遊びに行っても100%面白くないだろ?あと遅刻ばっかりする新人が仕事はそこそこ出来たとしても認めたくないだろ、それに似てる。
「やっとパーティ始まったけど、もうピザ冷めて固くなってるよ」ってやつだ。
癌発覚して若いときみたいに芝生で数字当てゲームしたり、ラストのフェリシアのカットなどは本当ならめちゃ感動しそうなもんだが感動しきれなかったところがある。
映画の序盤は大抵あげていかないと入りにくいよね。ギャング映画とか芸能映画は前半はバンバン成り上がってカタルシス凄いし、恋愛映画は出会った若い男女の喜びが炸裂しないとダメだし、それは割と難しくないと思うのだが……。
『アリー / スター誕生』(2018)は前半と中盤が面白かったので変だな……と思って調べたら脚本が違うな。ブラッドリー・クーパー自ら脚本書いたっていうのが前半のつまらなさの所為かもしれないな?
あとブラッドリー・クーパー作品は要所要所でメソメソとセンチメンタルで湿ってるんですよね。それが良い人もいるだろうが僕、ウェットなシーンが苦手だからアメリカ映画ばかり観てるのであんまり得意な方じゃないかもね。
映画としては多分いい映画なんだろうと思うが僕にはちょっと合わなかったかも。前述の通り、中盤くらいからの展開や女優陣の演技は良かったですけど……。
丁寧に描いてるしウェットなシーンが多いので日本の年寄りが観たら感動するかも。

 

 

 

 

そんな感じでした
ブラッドリー・クーパー監督作〉
『アリー / スター誕生』(2018)/前半とガガとShallowと自分の行動を全部説明するブラッドリー・クーパーは良かった👱🏻‍♀️🧔
👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬👨🏻👩🏼♬

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Maestro (2023) - IMDb
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『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・エンパイア』(2024) 全6話/バリスがあまりにもカッコよすぎて鳥肌立った。テイルズオブジェダイもそうだったがマンダロリアンとかアソーカよりずっと優れてる気がする🔴🔵


原題:Tales of the Empire 企画&製作総指揮:デイヴ・フィローニ 原作:ジョージ・ルーカス 音楽:ケヴィン・カイナー オリジナル音楽:ジョン・ウィリアムズ 配給:Disney+ 配信時間:各話15分前後、全6話 配信日:2024年5月4日 シリーズ:『スター・ウォーズ テイルズ』シリーズ、『スター・ウォーズ』シリーズのアニメーション・シリーズ

 

 

スター・ウォーズ」シリーズの単発アニメシリーズ。
一昨年の『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022)では、ドゥーク伯爵、アソーカ・タノという2人のジェダイを描き、今回はモーガンとバリスという帝国側の……随分マイナーキャラを2人描いた。

『マンダロリアン』〈シーズン1-3〉(2019-2023)によって、すっかりディズニーSWの良心という感じになってきたルーカスの愛弟子デイヴ・フィローニ。彼の手によるアニメ映画『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008)、続くTVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020)、続く『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018)……などで取りこぼしたエピソードを描きつつ今後の自分の実写作品にも活かす……といった印象があるのがこの「テイルズ・オブ」シリーズ?外伝みたいな感じか。
スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020)はですね、映画一本とTVアニメ全133本あるんですが、映画一本とTVアニメを興味あるとこから先に78話観て、大変面白いけど残り55話ってところで今止まってます。今後SW映画を作ることも決まってるフィロー二の近年のドラマ、『マンダロリアン』〈シーズン3〉(2023) とか『スター・ウォーズ:アソーカ』(2023) とかが、もはやアニメ作品観てないと楽しめないようなSWマニア向けの内容にどんどんなってきてて、僕は全部じゃないけど主要なエピソード観てるので一応楽しめはしたんですが、フィローに作品の方向性がどんどんマニア向けになってて少し「大丈夫かな」と思いはじめたせいで過去のアニメ視聴が止まってます。「クローン・ウォーズ残り55話観ても『反乱者たち』全70話があり、それ全部観ても『バッド・バッチ』全47話ある……」という未見の分量が単純にしんどいです。
どれも一定以上の面白さがあり中には「この24分のアニメ、そのまま実写にするだけで傑作になるじゃん」ってくらい良い話も多くあるのは知ってるんですがシンプルに話数が多すぎる。別にSWだけ観て生きてるわけじゃなく単純に幅広く観たい映画を常に積んで生きてるのでね……。『クローン・ウォーズ』はSW作品が作られなくなりルーカスがディズニーにSW売るまでの期間にやってたからモリモリ作ってたから話数が多いのだが、素直に多いです。またSW熱が再燃したら観ます。

で、話は戻って前シーズンともいえる『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022)は、主人公の一人ドゥークーよりも元ジェダイ評議会のヤドル(ヨーダと同じ希少種族のジェダイ・マスター)の死闘とアソーカの再起が心に強く残りました。

 

ネタバレあり

 

 

 

 

『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022)の時は、主人公のアソーカとドゥークー伯爵を15分づつ交互に全6話描いてたが今回は第3話までがモーガン編、そこから残りの第6話までバリス編という形式になっている。

🔴モーガン

まず、モーガンは誰かというと『マンダロリアン』〈シーズン2〉(2020)の第5話で登場、惑星コルヴァスで圧政を敷いてたらアソーカにボコられた監督官。
そして『スター・ウォーズ:アソーカ』〈シーズン1〉(2023) で、マルチバースに飛ばされていたスローン大提督をSW銀河に帰還させるため奮闘してジェダイに倒されたダソミアの魔女こと〈ナイト・シスター〉。〈ダソミアの魔女〉って何かというと『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020)に出てきて、ドゥークー伯爵によって滅ぼされた惑星ダソミアに住む魔女軍団。ダース・モールとその弟もダソミアの魔女によって凶暴化されたダソミアの男たちだった(ダソミアでは男の地位は物凄く低い)。それの数少ない生き残りがモーガン。だけど正直いって印象薄いので「モーガンの過去」と言われても全くワクワクしないものがある。もう既にジェダイに殺されてるし、殺された時も全く印象に残ってない……エズラが殺したっけ?アソーカだったか……去年観たのにそれすら忘れてるくらいだからね。感想に入る前の説明が長くなった割には前提となる作品がやたら多く、それでいてそれら全部観たとしてもモーガンなんて特に大したことキャラという……しかもSW詳しい人ならここ読まなくても知ってるし、知らない人がここを読んだとしても特に面白くないだろうしかなり無駄な情報。
このブログは一応、何も知らん人が読むことを想定して書いてるので一応説明したがそれも本当はたいして重要じゃないという虚しい時間だった。

あ、あとSW世界に出てくる〈BBY〉〈ABY〉という年号について。
『スター・ウォーズ ep4/新たなる希望』(1977)で反乱軍がデス・スターをブッ壊す何年前という数え方。デス・スター破壊後の年号はABYとなる。だから0BBYと0ABYは同じ年って事になる。

 

第1話「恐怖の道」
劇中での時系列は20BBY
映画でいうと『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)『スター・ウォーズ ep3/シスの復讐』(2005)の間。〈クローン戦争〉の間の期間。

惑星ダソミアのダソミアの魔女〈ナイトシスター〉たちは分離主義勢力のシス卿ドゥークー伯爵の怒りを買い、ドロイド軍指揮官グリーヴァス将軍を派遣させられて壊滅した。
家族や仲間を皆殺しにされた若きナイトシスターのモーガン・エルズベスは〈山の民〉に助けられた。
「突然出てきて何ですか〈山の民〉って?」という感じだが観てればわかる。とりあえずダソミアにひっそり住んでる女性たちのようだ。
〈山の民〉の中で”母”と呼ばれるリーダーは身を潜めてドロイド軍団がダソミアから引き上げるのを待って、やり過ごそうとするが血気盛んなモーガンは〈山の民〉の若手を先導してナイトシスターの武器を取りに行き、ドロイド軍団に見つかって多くの犠牲者が出る。
「強いバトル・ドロイドとか相手にどうするんだ?」と思ってたら〈山の民の母〉が魔術でドロイド達を全滅させてしまった。
どうやら〈山の民の母〉もナイトシスターだったが、静かに暮らしたくなって山に棲んでた魔女だったみたい。
山の民の母の娘も戦死した。母はモーガンに目も合わさず「貴女の生きる道が決まったようね」とモーガンを追い出す。山の民と静かに過ごしてれば良かっただろうがこの瞬間にモーガンの怒りに満ちた人生が決定されたってわけね。
それにしても〈山の民の母〉はめっちゃ強いんだから(というかナイトシスターの中でも最高クラスでは?下手したら大抵のジェダイより強いだろ)娘や若手達やモーガンにちゃんと説明すればこうはならんかったんじゃないか?と思わなくもないが、まぁいいか。
ちなみに僕は名作ゲーム『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』(2019)もプレイしてて、ダソミアのステージもあった。下手にウロウロしてたらダソミアの魔女の魔法攻撃、あとダソミアの男衆(ダース・モールを蛮人にした感じ)が大量に殴りかかってくる恐ろしい惑星だった。このゲームしてたおかげでダソミアがでてきただけで「あ、ダソミアだ、懐かしいなぁ」と「過去の体験」として思い出された。こういう時、巨大フランチャイズ作品って良いよね。そんなのSWくらいだ。

 

第2話「怒りの道」
劇中の時期は9BBYから2BBYの間……らしい(この時期はSWの海外FANDOMのWiki見てパクっただけなので合ってるかどうかはよくわからん)『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018)の期間、反乱軍が大きくなってくる辺りの時期か。
第1話から11~18年が経過した。途中で何してたかはわからんがモーガンにも色々あったようで惑星コルヴァスの監督官となっていた。
そして帝国にTIEディフェンダーのプレゼンをしていた。
帝国はモーガンのプレゼンを却下して「君の惑星、資源が多く取れるみたいだからくれよ」と搾取されそうな勢い。しかしモーガンのプレゼンを気に入った帝国の士官がいた。
『反乱者たち』まだシーズン2くらい?までしか観てないので知らなかったが、このオッサンはスローンの副官ペレオンとかいう重要なキャラだったらしい。
コルヴァスに帰ったモーガンは、民衆に「あんたのプレゼンでここも栄えると聞いたから尽くしてきたのに失敗したのか!魔女め!」とめっちゃ怒られる。
「私だって皆のために頑張ったのにあんな言い方ないんちゃう?」と、モーガンの方も民衆に腹立ってくる。
そこに突然現れたルクという暗殺者を打ち負かすと、それは武力テストだったようで、スローン大提督が登場。モーガンの動機が〈復讐〉だと知り心技体ともに自分の部下にふさわしいと思ったスローンはモーガンに艦隊をプレゼントする。
コルヴァスの民衆たちは今後の圧政を予感して暗い顔になる。
スローンたちは今後のフィロー二の実写ドラマ&映画世界でラスボスになるであろう強力な敵……だったらモーガンじゃなくてスローンの話をすればよかったのでは?と思ったがスローンは大物すぎるので後に回した感じか。

 

第3話「憎しみの道」
劇中の時期は5ABYから9ABYの間のいつか。
映画でいうと『スター・ウォーズ ep6/ジェダイの帰還』(1983)結末から1年後から『マンダロリアン』〈シーズン2〉(2020)の第5話までの期間。『マンダロリアン』〈シーズン2〉(2020)の第5話のすぐ前っぽい雰囲気だったが。
モーガンの圧政に苦しむコルヴァス。
モーガンは恐らくスローンを救いに行くためのあの凄いリング状の宇宙船を作るために民衆をこき使って資源を掘らせてる感じか。
そこに新共和国の特使がやってくる。彼女はこの村の者だったらしいが出ていって新共和国で立派に働いている模様。
「もう帝国は滅んだし貴女もここを明け渡し裁判を受けてもらう」と言いに来た。
そんな事言うもんだから特使や新共和国兵士は普通に皆殺しにされて、ついでに森を炎上させる(なんで?)。
しかし彼女は死ぬ前に助けの通信をしていた……というラスト。
てっきり後でモーガンをしばきに来るアソーカかと思って検索したらボ・カターンたしい。なんでボに?と不思議だがそういうことらしい。
そういう感じでモーガンのオリジンを三話使って見せられたわけだが、最初に言った通りモーガンの過去とか何の興味もないし、いざ観ても「観てなかった時も大体こんな感じだと思ってたよ?」としか思えないもので、観て腹が立つわけでもないし別にモーガンのことも嫌いではないが、かといって観ても何の感想も浮かばない、正に〈無〉って感じのモーガン編だった。
そんな感想も、観ないとわからないので観ざるを得ないので作らないで欲しかった。
続くバリス編は普通に観たかったのものなので楽しみに観た。

 

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🔴バリス編

ジェダイのパダワン、バリス・オフィーは『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)に初登場……したらしいけどハッキリ言って只のモブだったので今の今まで出てたの知らなかった。
『クローン・ウォーズ』では、同じパダワンである主人公アソーカとたまに共闘したりしていた。そして後半で……これは書かんとこう。アソーカにとって重大な事件を起こして無期懲役になってしまう。だが、その後正史の劇中に出てこないのでバリスの出番はそれで終わり謎のままだった。ジェダイへの疑念から罪を犯して裁判も行われて収監される……そんな風に結末は描かれてるのでこれで終わりで良いのだが、彼女が囚われてる間に、劇中ではクローン戦争終結、オーダー66、アナキンがシスに転向、ジェダイと共和国滅亡、アソーカ逃亡、銀河帝国誕生……と、銀河を揺るがす大事件が連発されてるので「アソーカは逃亡したが、バリスはどうしてたんだろう」と思い起こさざるを得ない状況だった。
SWの世界では『反乱者たち』以降、帝国に〈審問官〉というフォースとライトセーバーを使う敵の役職が出はじめた。一言で言うとジェダイ崩れ?パダワンなどを帝国に従わせてジェダイ狩りに派遣するキャラ。便利なのでアニメとかゲームやコミックなどによく出てくる(そしてあまり強くなくてドラマも薄いので印象も薄い。ただそのキャラの薄さに比べてルックスが全員めちゃくちゃカッコいい)……「ジェダイに疑問を持ってたバリスも審問官になったんじゃないか?」と思ってたがなかなか出てこない。バリスと因縁深いアソーカの実写単体作が遂に作られた『スター・ウォーズ:アソーカ』(2023)、これに仮面を被って一言も喋らない小柄な審問官マロックが出てきたので「よし、これは中身バリスだろ。長年の因縁で戦うんだ」とか思ってたのだが、いざアソーカが倒したら只のマロックだった。確かに顔隠して喋らない以外に怪しいところはなかったのだが、紛らわしすぎて腹立ちました。それなら大柄の審問官とか男の声で喋る審問官にしとけ!と思った。
とか思ってたら突然、本作でバリスのその後が描かれるという……。
前回、『スター・ウォーズ:アソーカ』(2023)配信前に、アソーカの再起を描いた『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022) が配信された。
だから本作で、バリスが審問官になってどうしたかが描かれて『スター・ウォーズ:アソーカ』シーズン2か映画か何かで審問官バリスを出してアソーカと真の決着。そうにちがいないと思って観た。

 

第4話「献身」
劇中で19BBY
当然、オーダー66発生、ジェダイと共和国滅亡、帝国誕生……激動の刻。
劇中でバリスは……ジェダイに異をとなえて大事件を起こして収監されて……一年くらいか?
牢の窓からコルサントの街が燃えているのが見える。そこへ元ジェダイリン・ラキッシュという女性がやってくる。既にダークサイドに堕ち審問官フォース・シスターとなっていたリンはバリスを審問官へと勧誘する。
このリン、新キャラかと思ってたけど調べたらコミック版とか『オビ=ワン・ケノービ』(2022)に出てたらしい。まぁウロウロしてただけなので全く覚えてなかったけど。
バリスとはアソーカのように旧知の間柄らしい。
帝国に行ったバリスは大審問官の元で審問官になるテストを受けて合格。
大審問官はバリスの裁判の言葉に影響された説があるから、大審問官としてはバリスは最初から欲しい人材だったのではないか。
他の審問官と共にダース・ベイダーと謁見する。
『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022) でアソーカに5秒で殺された見た目だけやたらカッコいい審問官やマロックも居た(というか殆どの審問官はカッコいい見た目、ほどほどの強さは共通してる)。
やっぱり審問官になったのね、というのがやっと観れて満足した。

 

🔴🔵第5話「認識」
劇中で前話と同じく19BBY。審問官になったばかりのバリスは、リンに連れられてジェダイ狩りの任務に出かける。
リンは高圧的に村人を尋問し抵抗されるが、バリスは仮面を脱いで子供に優しく尋ねてジェダイの居場所を聞き出す。まるでジェダイの時のままのようだ。
リンは嘘をつかれたことに激怒し、村の出口を塞いで村人を皆殺しにする。
このシーン、殺害してる場面は直接見えず扉の向こうでリンが殺しまくってる音や血の飛沫だけ見えるのだが凄くカッコいいシーン。
あまりに凶暴なリンは、ジェダイの居場所を喋った弱々しい子供以外の村人を全員殺してしまった。
山に登りながらバリスは「ちょっとやりすぎじゃない?」的な事をリンに言う。
ジェダイ評議会に疑問を持ちはして過激な手段に出たが、バリス自身は温かい心を持ったままな様子が伺える(そしてジェダイが腐敗してたのも実際そうだったし)。
リンは第4話よりも狂信的になっている印象。
山の上に居たジェダイと交戦するリンとバリス。
まだパダワンだったと思われるジェダイ青年は孤独な逃亡生活で疲弊している。無益な殺生を好まないバリスは青年を優しく諭し審問官に勧誘する。もう戦いに疲れ切ったジェダイ青年は投降しようとセーバーを収める。それなのにリンが斬ってしまった。
バリスは「ジェダイは、まだ息がある。船に連れて行こう」と言うがリンは「そのまま死なせろ!救う価値などない!」と言う。
バリス「あの男は降伏しかけていた」
リン「関係ない!ジェダイは根絶すべき脅威だ」
バリスが足を止める。
バリス「ここに一人いるわよ
バリスに襲いかかったリンはバリスのフォースプッシュで断崖から落下する。
ヤバい、カッコよすぎて鳥肌立った。
かつての旧友だった(らしい)リンの暴挙に耐えかねてライトサイドへ帰還したわけだが、審問官の仮面によってバリスの表情が一切見えない。見えないが故に、能面のようにバリスの表情、そしてバリスの感情を探るしかない。
目には見えないがバリスが怒っているのが伝わってくる。そう思った瞬間のタイミングで自分はジェダイだと、少し前までテロを起こすくらい憎んでいたジェダイ、今は帝国に狩られるのみなので最強のヨーダやオビワンですら世棄て人になっている絶対に不利になる絶対に名乗りたくない「ジェダイ」を名乗る。マジでカッコいい。
それと、前述した通り、バリスを審問官にして『アソーカ』シーズン2とかフィローニ映画などで大人アソーカとぶつけると(勝手に)思ってたのでライトサイド転向を全く考慮に入れてなかったので完全に撃ち抜かれました。
『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022) で、ヤドルが逃げようと思えば逃げられたのにわざわざ斬られるためにドゥークーの前に身を晒したシーンも良かったけど、今回のこれも良かったですね……。
というか肝心の実写版『スター・ウォーズ:アソーカ』(2023)より、『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022) や本作での、ほんの1シーンの方が完全に超えてるんだが。
「マンダロリアン」も全く注目されてなかったシーズン1-2の時は自由にやれてたっぽいけど、人気爆発してディズニーSWの中心になったら『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022)などでディズニーにめちゃくちゃ口出されるようになって以降、そのせいか変な展開増えたもんね。
完全にコントロールできるアニメだから素直に良いシーンできたのかもしれないよね。
実写の方も上手くいくよう祈ります。

 

🔵第6話「出口」
劇中の時間で0ABY~9ABY
『スター・ウォーズ ep4/新たなる希望』(1977)から『マンダロリアン』〈シーズン1-2〉(2019-2020)までの間のいつか。
熱かった前話から、いきなり19~28年が経過している。
中年にさしかかったバリスは氷の惑星で二人の部下から”賢母様”と呼ばれていた。
フォース・センシティブの赤ん坊が帝国に狙われた夫婦が、賢母の事を教わって辿り着いたらしい。
前話からこの話までの間に何があったかは知らないが、各地で隠れ住みながら僅かな仲間と人助けしていたのだと思われる。前話で助けたジェダイ青年は居ないが彼がどうなったのか非常に気になる。
そこへ追手のフォース・シスター……リンが到着する。
バリスは仲間たちと親子に今生の別れだと言って逃がす。部下たちはバリスから離れたくないらしい。
バリスは審問官時代のライトセーバーを改造して青くしたかな?とか思ってたが、『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』(2022) の逃亡中アソーカと同様にどうやらセーバーはもう持っていないのかもしれない。
リンはバリスに斬りかかるが、セーバーの紅刃はバリスをとらえることが一切出来ない。第4話でバリスの攻撃が当たらなかった大審問官……以上の開きがある。
全ての迷いから解き放たれ悟った様子のバリスは未だ迷っているリンを哀れに思う。
リンは氷の洞窟で迷い出られなくなる。これがフォースの幻術なのか、『スター・ウォーズ ep5/帝国の逆襲』(1980)に出てきた運命が見える不思議な洞窟みたいな謎スポットなのかはよくわからないがリンは脱出できなくなる(ちなみにバリスの仲間や親子たちはあっさり抜けられた)。
ジェダイ狩りを続けて「間違ったことをしている」と思い、しかし今更審問官をやめるわけにも行かない出口のないリンの心が洞窟に反映されているようだ。
バリスに優しく諭されて反抗するリンは、大審問官やベイダーを恐れているようだった。
リンは背後にバリスの気配を感じてセーバーで貫いてしまう。バリスは非武装でリンを抱擁しようとしただけだったが世界の全てが恐ろしいリンは敵だと思い唯一の理解者を殺してしまった事になる。しかしバリスはリンをライトサイドに戻すことに成功して死んでいく。
バリスは仲間を逃がす時、もう明らかにリンのために死ぬつもりの顔してたから未来も見えていたのかもしれない。
まさかこんな終わりを迎えるとは思わず驚いた。勝手な思い込みだが今後もキャラクター商売に使うために出したとばかり思ってたらバリスの締めくくりだったのね。
野暮を言うと、命を投げ出してまで救う価値があるのか?とリンに対して思いもしたが、バリスがそうしたかったということは何かあるんだろう。
つい昨日までリンは、ただ居るだけだった審問官だったのにたった40分くらいで重要なキャラになった気がする。
バリスが生かした(活かした)からにはリンはまだバリスの後継者として出てきてほしいなと思った。

そんな感じで前々から気になってた「バリスのその後」が知れて良かった。そのまんまお別れになるとは思ってなかったが……というかもはやアソーカとか他のジェダイよりもぶっちぎりで印象深いジェダイになってしまった。バリス。
しかしやっぱりアソーカと会ってるところは観たかった。賢母活動してる長い期間のどこかでアソーカが訪れて許しあった……と思いたい。これは今後ちょっとでいいから観たいな。

 

 

 

 

そんな感じでした

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『マンダロリアン』〈シーズン2〉(2020) 全8話/全ての面白さとサプライズが集結する最終話も完璧だが、何でもない回も全て最高👽 - gock221B
『スター・ウォーズ:アソーカ』〈シーズン1〉(2023) 全8話/最後まで楽しんだけど正直ファンサービスやサプライズをここ10年で多く観すぎて「こんなのいいから話をもっと進めたり主人公を活躍させろよ」と思うようになった🔵🟠 - gock221B

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Star Wars: Tales of the Empire (TV Mini Series 2024– ) - IMDb
Star Wars: Tales of the Empire | Rotten Tomatoes

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