ひなび釜石
◆種別:快速
◆区間:盛岡~釜石
「ひなび」は昨年8月に運行終了した「リゾートあすなろ」の1編成を改造して、北東北を巡る観光列車として再登場した車両です。昨年12月から釜石線で運行を開始し、今後山田線や大湊線でも運行されるようです。「リゾートあすなろ」のもう1編成は南東北を巡る観光列車「SATONO」に改造されて今月から運転開始しました。
形は大きく変わっていませんが見た目は大きく変わりました。塗色は白地にワインレッドに近い赤の配色で、かつての盛岡色の気動車を思い起こされるカラーリングです。
大きな変化は花巻方の1号車が普通車からグリーン車に変更されたことです。それに伴って車番も「HB-E302-3」から「HB-E302-703」に変更されています。「SATONO」も同様の改造が行われています。
昨年の大晦日に嫁と「ひなび」に乗車した際のグリーン券です。離れた指定席を2席確保していたんですが、前日に隣り合わせでグリーン席が取れたので変更しました。ちなみに3月30日運行分より絵柄入りのチケッターが導入されたそうです。
「ひなび」のグリーン車は2人用・4人用のソファータイプのボックス席と窓側に向いた一人席が3席あります。ボックス単位での発売ではないため、人数分いないと別の人と相席になる場合もあります。お一人様であれば窓側に向いた3席を狙うことになろうかと思います。
ソファーの横幅が広くテーブルも十分すぎるほどのスペースがあり、ゆったりとして居心地が良かったです。これなら長時間乗るのもさほど苦にならないだろうなと感じました。
「リゾートあすなろ」時代にあった展望席はラウンジとしてほぼそのまま残っていますが、1号車についてはグリーン車の利用客専用となっています。私が乗車した日はグリーン車もほぼ満席でしたが、意外と競争率が低くて長い間専有できました。下りの盛岡→花巻間と上りの釜石→花巻間が前面になります。
普通車は2-2列の座席で「リゾートあすなろ」からモケットは張り替えたものの、大きくは変わっていないように見えました。
車内サービスとして遠野駅からおにぎりBOXの積み込みがあります。これはその場で買えるものではなく、5日前までの事前予約が必要です。今回の私のように直前で指定が取れてしまった場合はどうしようもありません。せめて2~3日前まで受け付けてもらえると助かるんですが…。
ところで、JR東日本管内の「のってたのしい列車」と総称する観光列車の指定席料金およびグリーン料金は昨年10月乗車分から「料金の見直し」と称する値上げが行われています。
指定席料金およびグリーン料金は以下の表の通りに値上げされています。このプレスリリース当時はグリーン車が連結されている対象列車は「SLばんえつ物語」ぐらいでしたが、新たにグリーン車が導入された「ひなび」「SATONO」にもしっかり新料金が適用されています。
2023年9月30日まで | 2023年10月1日以降 | |||
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指定席料金 | 通常期 | 530円 | 通年 | 840円 |
閑散期 | 320円 | |||
グリーン料金 | 50Kmまで | 780円 | 150Kmまで | 2,000円 |
100Kmまで | 1,000円 | |||
150Kmまで | 1,700円 | |||
151Km以上 | 1,990円 | 151Km以上 | 3,000円 |
指定席料金は通年同額となり、グリーン料金は50Km刻みの4区分から150Kmを境とする2区分へとシンプルな料金体系になりました。
「リゾートあすなろ」の座席はすべて普通席で78席でした。「ひなび」は普通席が34席にグリーン席が25席の計59席です。仮に運転区間が150Km以内の列車で通常期に全区間大人で両列車が満席になったとしたら、
【リゾートあすなろ】
530円×78席=41,340円
【ひなび】
840円×34席+2,000円×25席=78,560円
∴増収率→78,560円÷41,340円×100=52.6%
「ひなび」だと料金の値上げと1両分のグリーン車化によって、編成全体の座席数は減っても50%以上の増収を確保できています。
ちなみに私が乗車した釜石→新花巻間は100Km以内なので2,000円です。値上げ前だったら1,000円なのでちょうど2倍になっています。2人利用だったので余計に値上げが響いた感じがしました。「リゾートあすなろ」に乗ったことがあって「ひなび」に乗る機会があればぜひ快適なグリーン車の乗車をオススメしたいところですが、この値上がり幅はちょっと躊躇します。
JR東日本は値上げの理由について「当社を取り巻く経営環境の変化を受けて」という何とでも捉えようのある抽象的な説明をしていますが、値上げするんだったら利益を溜め込むのではなくこういう感じで列車自体の付加価値を高める方向にも変化してほしいと思っています。