ふくらむ読書27は「炭焼日記」

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柳田國男『炭焼日記』がおもしろく、原武史さん解説でちくま文庫にと進言したが、難しそうだ。

『ふくらむ読書』見本出来、届くのが楽しみ。例によってサイン本を作るので、ご所望の書店、古書店さんは、えんりょなく「春陽堂書店」担当永安さんまでお申し出ください。

山田太一「春までの祭」(1989)を、日本映画専門チャンネルで初めて視聴。山田太一脚本で、ほとんど話題に上らない作。吉永小百合藤竜也笠智衆。3年前に夫を失って義父(笠)とともに鎌倉で暮らす吉永。高校生の息子がいる。ガラス器デザイナーという変わった仕事で多忙である。家事は義父と息子が分担。そこへゴルフ会員権販売(バブルが背景)で成り上がった藤竜也が、強引に吉永へすり寄る。「家に帰って何があるんですか」と脅す。傾斜する吉永。やきもきする笠。口うるさく無遠慮な妹が野際陽子

ううん、どうなのだろう。ぼくはあまり感情移入できず。ありえないことではないが、ぎくしゃくした齟齬感を覚える。美しい鎌倉の風景をもっとインサートしてもよかった。頭木さんはどうお考えか。山田先生、何を描きたかったのか。いやテーマははっきりしている。吉永小百合が美しいという前提で進むストーリー。じじつ美しく、演技が下手とも思わないが、山田作品にはなじまないように思えた。山田洋次ならなじむ。

藤竜也は「早春スケッチブック」の山崎努を思わせる平穏を破る悪魔的存在(ただし弱い人間)。バブル崩壊でたぶんすってんてんになるだろう。山口美江が社長の手がついているんではないか風情を漂わせ、秘書役で登場。懐かしや(しば漬けCM)。笠にスタジャンにキャップをつけさせて、その意図もわからない(美しき嫁へのデモンストレーション?)。和久井映見が出ていたようだが、どこか。

中学時代の恩師と話す雨の月曜日

昨日、「ふくらむ読書」柳田國男『炭焼日記』その2を書いて送付。深夜、日付変わるぎりぎり、締め切り日にまにあわせ「本の雑誌」連載、国分寺「イム書房」について書いて送付。

知り合いからメールあり。「ふくらむ読書」の山崎ナオコーラ『文豪お墓まいりの記』、集英社文庫ではなく文春だと指摘あり。「あ、しまった!」と血圧が上がる。なんて凡ミスをするのか。すぐ訂正を入れるよう、担当者に言う。山崎ナオコーラさん、ごめんなさい。

「雨の日と月曜日は」の雨の日の月曜日となる。中学三年時代の恩師が上京してきていて、「顔がみたい」というので駅前喫茶で1時間ほど談笑。50年近く、卒業してからもやりとりがある。教育現場の悪しき変化について、批判を聞く。国語教育が文学偏重から実用にシフトすること、いい面もあるが漱石も啄木も太宰も読まない人たちが大量に世にあふれ出す。それはちょっと困る。

ぼくは先生から教わった有島武郎『生まれいずる悩み』に感動して、授業を今でも覚えている、と告げる。同じ学年のとき、英語の若い男性教師が、「500マイル」や「花はどこへ行った」などアメリカのフォークソングを原文でプリントに刷り、それを聞かせながら授業をした、などと思い出話を(いまの教育現場ではそんなことできないよと先生)。机を4つくっつけ、班単位で授業を受け、班活動(班ノートを書く)をする。

班は男女2名ずつ4人で、班名は「アナタ班」。桐野夏生東京島』のモデルとなった「アナタハン事件」をそのとき知っていたのかどうか。班長はN村M美という頭のいいしっかり者で、森光子みたいな存在であった。出来が違う、という感じで世の中にはすごい奴がいるなあ、と尊敬していたのだ。67になる現在の私より大人だったと思う。同じ班の男子Sとは、中学3年の1年間、べったり一緒に行動することになる。

これから締め切り2本。やる気が出ないけど、とにかくがんばります。

連休去り、われらが日々

大型連休中、われらに触りなし。けっきょく、4日に八王子古本まつりを少し見て、高円寺西部「書友会」へ出かけたのが唯一のおでかけ。『ふくらむ読書』書籍化の最終局面にあたふたしたぐらい。一般人の祝祭の日々が終わり、ようやく、少し動き出そうかと思っている。これから来週あたりにかけて、締め切りが集中する。

日中は夏のようだが、夕風は涼しいという日が何日かあった。大したことをしていないのに、なんだか疲れてしまうということ多し。下手な考え休むに足らず、をこのところのスローガンとする。

本だけは、あいかわらずよく読んでいる。若き日のロートレックが、男前なのに驚く。ロートレックの死の翌々日かに、恋人が投身自殺したと知る。そうか、ある時期、彫刻に力を入れていたのか。などなど。

 

 

連休去り、われらが日々

大型連休中、われらに触りなし。けっきょく、4日に八王子古本まつりを少し見て、高円寺西部「書友会」へ出かけたのが唯一のおでかけ。『ふくらむ読書』書籍化の最終局面にあたふたしたぐらい。一般人の祝祭の日々が終わり、ようやく、少し動き出そうかと思っている。これから来週あたりにかけて、締め切りが集中する。

日中は夏のようだが、夕風は涼しいという日が何日かあった。大したことをしていないのに、なんだか疲れてしまうということ多し。下手な考え休むに足らず、をこのところのスローガンとする。

本だけは、あいかわらずよく読んでいる。若き日のロートレックが、男前なのに驚く。ロートレックの死の翌々日かに、恋人が投身自殺したと知る。そうか、ある時期、彫刻に力を入れていたのか。などなど。

 

 

西荻で人に会ってステッキさんぽ

2日連休半ば、快晴。西荻窪へ。

安井かずみ沢田研二などの評伝を書いたノンフィクションライターの島崎今日子さん(崎は立に可)から連絡あり。いま取り組んでいる人物が、上京する文學3部作に登場するので、話を聞かせてもらいたいというのだ。書いた以上のことは出てこないかもしれないが、話し相手ぐらいならとお目にかかることに。

島崎さんは「アエラ」現代の肖像を中心に仕事をされてきた。幅広い人脈を持つ。私よりちょっとお姉さん。プロフィールには京都府出身とあるが、「おかざきさん、わたし一時期、枚方に住んでたんです」というので「おおおお」と声が出る。しかも、町名を聞くと、わたしが枚方第二小学校へ通学していた際、いつも超えていた団地と林のある丘のあたりだ。

1時間半ほど、当該の人物(調査が進んでいる)について、わたしの思うところと知るところを述べる。お役にたったかしらん。いつでもなんでも聞いてください、と告げて別れる。盛林堂で補充と4月分の精算。昭和51年の「ぴあ」2冊、「太陽」温泉特集などを買う。音羽館では広瀬くんにお茶を誘われ、物豆奇へ行くも満席(ずっと女性に人気で何度か入れなかった)。ハンバーガショップで近況報告と情報交換。

この日もステッキさんぽで、みんなに「どうしたんですか?」と聞かれる。使えばわかるが、歩くのが楽だし、席から立ちあがる補助ともなる。腰痛だという広瀬くんにも勧める。西荻はステッキをついているご老人何人か見かけ、安心。

中村光夫二葉亭四迷伝』、過去に何度か挫折しているが、今回は3分の1あたりまで読み進める。なんとかゴールしたい。講談社文芸文庫版で、ラインがあちこち引いてあるので安かった。こっちもおかまいなしにラインをガシガシ引く。

『ふくらむ読書』書籍化

五月の雨、一日中降り続く。よって家にとじこもる。肌寒い。

昨日、『ふくらむ読書』(春陽堂書店)の再校ゲラを駅前で手渡し、本日、表紙カバーなどのデザイン、昨日送付した「あとがき」やプロフィールなどがメール送稿されチェックとあわただしい。連休を挟んでの作業でこうなった。

装幀と本文レイアウトはクラフト・エヴィング商會さん。瀟洒で可愛らしいカバーは、一目でそれと分かる。うれしい。5月25日刊行とゴールが決まっている。しばらく、あわただしかった。突貫工事、という感じか。

ロバート・B・パーカーのスペンサーもの、読み返したくなり、もう5冊ほど読んだか。たいてい3度目か4度目になる。