柳田國男『炭焼日記』がおもしろく、原武史さん解説でちくま文庫にと進言したが、難しそうだ。
『ふくらむ読書』見本出来、届くのが楽しみ。例によってサイン本を作るので、ご所望の書店、古書店さんは、えんりょなく「春陽堂書店」担当永安さんまでお申し出ください。
山田太一「春までの祭」(1989)を、日本映画専門チャンネルで初めて視聴。山田太一脚本で、ほとんど話題に上らない作。吉永小百合、藤竜也、笠智衆。3年前に夫を失って義父(笠)とともに鎌倉で暮らす吉永。高校生の息子がいる。ガラス器デザイナーという変わった仕事で多忙である。家事は義父と息子が分担。そこへゴルフ会員権販売(バブルが背景)で成り上がった藤竜也が、強引に吉永へすり寄る。「家に帰って何があるんですか」と脅す。傾斜する吉永。やきもきする笠。口うるさく無遠慮な妹が野際陽子。
ううん、どうなのだろう。ぼくはあまり感情移入できず。ありえないことではないが、ぎくしゃくした齟齬感を覚える。美しい鎌倉の風景をもっとインサートしてもよかった。頭木さんはどうお考えか。山田先生、何を描きたかったのか。いやテーマははっきりしている。吉永小百合が美しいという前提で進むストーリー。じじつ美しく、演技が下手とも思わないが、山田作品にはなじまないように思えた。山田洋次ならなじむ。
藤竜也は「早春スケッチブック」の山崎努を思わせる平穏を破る悪魔的存在(ただし弱い人間)。バブル崩壊でたぶんすってんてんになるだろう。山口美江が社長の手がついているんではないか風情を漂わせ、秘書役で登場。懐かしや(しば漬けCM)。笠にスタジャンにキャップをつけさせて、その意図もわからない(美しき嫁へのデモンストレーション?)。和久井映見が出ていたようだが、どこか。