椹野道流

猫に仕えたり、専門学校で解剖学や法医学、公衆衛生学を教えたり、たまに医師のお仕事も。メ…

椹野道流

猫に仕えたり、専門学校で解剖学や法医学、公衆衛生学を教えたり、たまに医師のお仕事も。メインのお仕事は小説家です。「祖母姫、ロンドンへ行く!」(小学館)、「最後の晩ごはんシリーズ」(角川文庫)、「鬼籍通覧シリーズ」(講談社文庫)、「時をかける眼鏡」(集英社オレンジ文庫)など。

マガジン

  • ちょいちょい書くかもしれない日記

    気が向いたら覗いておくれよ。

  • たまに書く日記

    そのまんま、気が向いたときにさらさらっと書く日記です。

  • たまにあいつらが作っている料理

    拙著に出てくるキャラクターたちが、お喋りしながらごはんを作ります。ちゃんとした計量などはあんまりしません。

最近の記事

ちょいちょい書くかもしれない日記(酉に翼)

事情があってここ数日、母と過ごす時間が多い。 母は毎朝、忘れたときは昼に、「虎に翼」を見ているそうだ。 「ストーリーは難しすぎてよくわからない」そうだが。そうだろうな。 「あなたは酉年だったわね。でも、トラちゃんをを見ているとね、いつもあなたを思い出すの」 それはねー、なんか知らんけどひゃっぺん言われてるわ、色んな人に。 別に私、地獄を切り拓いた憶えなんかないんやけどね。 何かがあるんやろね。 でも、トラちゃんは私と違って、資格を取って結婚して子供も持ちはるんやろし。全部持っ

    • ちょいちょい書くかもしれない日記(牛乳)

      幼い頃から、牛乳が苦手だった。 フルーツ牛乳とかコーヒー牛乳とか、何らかの味がついていたら平気なのだが、そのまんまの牛乳がどうにも駄目なのだ。 あと、あたためた牛乳の表面に張る蛋白質の膜が致命的に苦手で、うっかり口に入れてしまうと、今でも真剣に慌てる。 湯葉は大好きなのに、勝手かつ不思議なものだ。 遠い昔、牛乳を飲まない幼子に、よほど強い危機感を感じたのだろう。 私が大人になっても、母は毎晩、私に牛乳を飲ませようと奮闘していた。 認知症が徐々に進み、色んなことを忘れたり、少

      • ちょいちょい書くかもしれない日記(喋る)

        友人たちが帰って、自宅はまた静かになった。 猫たちはたくさん構ってもらって、大満足でホワホワしている。 ここしばらく本当に切羽詰まった気持ちで過ごしていて、猫たちにゆったりした接し方をなかなかしてやれなかったので、本当に助かった。 キリキリ巻きの日々はまだ当分続きそうなのだが、他愛ないお喋りで気持ちを緩めることができたのもありがたかった。 お喋りといえば、去年の夏までは、母と毎日夕食を作って食べながら、一時間あまりは必ず話していた。 認知症の母は、テレビ番組の進行の流れや、取

        • ちょいちょい書くかもしれない日記(友人)

          けっこう頻繁に拙宅を訪ねてくれる友人たちが、この週末、我が家で過ごしている。 猫たちももうすっかり慣れて、いちばん警戒心の強い長男猫も、もう自分から撫でられにいく。 腰をトントンしてもらったり、撫でてもらったり、ブラッシングしてもらったり、もうやりたい放題だ。 私が様々な厄介事で取り込んでいても、彼女たちが猫たちを構い倒してくれるので、とてもとても助かっている。 猫たちは「私がたいへんに忙しくしている」という事実は理解するものの、それが自分たちとの時間を減らす理由になる、とは

        ちょいちょい書くかもしれない日記(酉に翼)

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        • ちょいちょい書くかもしれない日記
          75本
        • たまに書く日記
          4本
        • たまにあいつらが作っている料理
          2本

        記事

          ちょいちょい書くかもしれない日記(中華料理)

          両親が長年行きつけにしていた中華料理店は、どうも弟ではなく、私のほうを「跡継ぎ」と認識したらしい。 まあ、両親に付き合ってよく行っていたので、私のほうにより馴染みがあるからだろう。 それは大変光栄なことだし、とても美味しい店なのでこれからもずっとお馴染みでいたいのだが、いかんせん、円卓料理なのだ。 ひとりでふらりと行って食べるというのは難しいので、友人知人がこちらに来てくれるタイミングで付き合ってもらうことにしている。 予約の電話をして名前を告げると、問われるのは日と時間だけ

          ちょいちょい書くかもしれない日記(中華料理)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(木の器)

          新型コロナウイルス感染症の後遺症で、腕に筋炎が起こると、ちょいと重い物を持つのがしんどくなる。 いつもは好きなイッタラのシンプルな器は、実はとても重いのだな、とそういうときに実感する。 母がよく、「器が重くて手がしんどい」と言っていたのはこれか。 そのくせ母は、食後の洗い物は自分がやるのだと言ってきかなかったので、やむなくコレールの軽くて薄くて割れにくい、三つに仕切られたランチプレートを買ってきて、10年ほどもそれで凌いでいただろうか。 私自身はいろんな食器を使いたいほうなの

          ちょいちょい書くかもしれない日記(木の器)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(凝り)

          気を張ることや、柄にもなく集中することがあると、うなじが猛烈に凝る。 小さなマッサージガンで、パワーをいちばん弱にして、うなじから肩甲骨のあたりまで順番に当てていくと、本当にこう……生き返る、という感じがする。 痛みが消えるわけではないけれど、少しは効いているのだろう。 こういう便利なガジェットや湿布がなかった頃、我等の先輩たちはどうやって肩凝りや首凝りをしのいできたのだろう。 書き物をしたら、紫式部も清少納言も西行も肩が凝っただろうな……と思いを馳せたりする。 過去にタイプ

          ちょいちょい書くかもしれない日記(凝り)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(遠くへ)

          父が死んで以来、なんだかんだと山のような手続きがあり、その中にはけっこう、先方に出向いてやらなくてはならないことがある。 面倒だし、その手のことを私にぶん投げて知らん顔の弟にもまあまあむかつくが、どの手続きを誰がやるかをわざわざ話し合う煩雑さ、そして当然の分担なのに、何故かこちらがお願いしてやってもらう感じになるあの理不尽感に比べれば、自分ひとりが面倒くさいほうがまだマシ。 厄介ごとに慣れきった長女あるある、というやつだ。 でもおかげで、こんなことがなければ一生知らないままだ

          ちょいちょい書くかもしれない日記(遠くへ)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(外出着)

          出掛ける機会が増え、困っている。 私はそこそこの高所に住んでおり、だいたい気温が街中より数度低い。 出掛けるときに、今の時期、必要以上に悩みが多いのだ。 長袖でいいだろうか、それとも思いきって半袖を着ちゃう? 上着は要るかしら。 サンダルはまだ早い? 嫌がる人もいるけれど、私は靴下+サンダルがけっこう好き。 でもそういうの、今日のお出掛け先ではどうかしら。 ちょっとカジュアルすぎかも? ワンピース、いや、パンツのほうが動きやすくていいかな。 着るものが、なかなか決まらない。

          ちょいちょい書くかもしれない日記(外出着)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(母の日)

          つい先日、東京で人混みを幾度も経験してしまったので、母の日に施設を訪問することは遠慮した。 コロナ禍が始まって以来、母がお世話になっている施設は、スタッフと入居者を守るべく、たいへんな努力とご苦労をしてこられたことと思う。 入居者の身内として、病原菌を持ち込みがちなアクションは控えねば、と強く感じているので、親不孝は許されたい。 去年まで、母の日には母の大好物のちらし寿司を作り、苺のショートケーキを買い、だいたいパジャマか、カジュアルな衣服をプレゼントしてきた。 母は勿体な

          ちょいちょい書くかもしれない日記(母の日)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(猫の毛)

          猫には春と秋に換毛期がある。 その時期は、とにかくブラッシングを毎日したところで、家じゅうが毛だらけになる。 一階から二階までまんべんなく。もう、ふわふわのプチタングルウイードよろしく床を転がっている毛玉たち。 「どこから湧くねん」と思わず愚痴ってしまうが、無論、猫からである。 日々の掃除が、まるで賽の河原のような虚しさ。 朝、掃除機をかけても、昼過ぎにはふわふわが発生している。 ああー、もう。 いつまでも続くわけではないとわかっていても、メンタルがジワジワと削られてつらい。

          ちょいちょい書くかもしれない日記(猫の毛)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(褒められた)

          あまり褒められることがない人生を送ってきたので、お前を表彰してやろうと言われたら、まず「なんのドッキリやねん」と身構えてしまうのだが、ガチだった。 楽天さんが、拙著「祖母姫、ロンドンへ行く!」に楽天Kobo電子書籍Kobo Award 2024の特別賞をくださるらしい。マジか。 というわけで、のこのこ上京した。 新幹線の車両には、インドから来た観光客の大家族がいた。 みんなに食べ物を配りにきたおじさんが、ひとりだけスルーは可哀想だと思ったのか、私にもいちいちくれる。 クッキー

          ちょいちょい書くかもしれない日記(褒められた)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(揺れない)

          連休中は体調が優れない日が多く、なんだかグンニャリしているうちに終わった感じがするが、唯一、小さなテーブルをひとつ組み立てたことは成果と言ってもいいと思う。 仕事部屋の隣にミニキッチンがあるのだが、そこに数年前、電子レンジを置こうと思い立った。 二階にはちゃんとした台所があり、そこにも電子レンジがあるのだが、紅茶を飲むためのお湯を電子レンジで沸かすようになって以来、いちいちそのために作業を中断して二階へ行くのが億劫になった。 ただでさえ運動量が足りなくなりがちな作家業、家庭内

          ちょいちょい書くかもしれない日記(揺れない)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(回復)

          体調が微妙にすぐれず、働く時間と休む時間が同じくらいになってしまっている。作業がはかどらなくて困るけれど、こればかりは仕方がない。 早く治るといいですね、と言われると、「本当に」と相づちを打つものの、まあ、後遺症は、無理をしなければある程度までジワジワよくなって、そこで止まるだろうな、100%元どおりということはなかろうな、と正直思っている。 七割八割戻れば御の字なんだろうな、と。 八割を目指して、夏以来あまりにハードモードだった自分を労ろうと思っている。 そういえば、父が

          ちょいちょい書くかもしれない日記(回復)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(酢豚)

          もう最初に言っておこう。 酢豚にパイナップル、入れる派なのよ。 何なら炒飯にも入れるし、ピザにも載せるし、食べたあとのヘタを植えて育てて増やしたりもしている。 パイナップルが好きなのだ。 しかも、料理に使って、しょっぱい味と組み合わせるのがたまらなく好きなのだ。 というわけで、久し振りに酢豚が食べたくなった。 材料を揃える時点でそこそこまとまった量を作らざるを得ないことがわかっているので、一人暮らしになってからは敬遠してきた。 でも、食べたい。 市販のお惣菜を買えば済むような

          ちょいちょい書くかもしれない日記(酢豚)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(面白くない)

          猫が5匹いると、だいたい誰かは寝ていて、誰かは起きている。 深夜、突然スイッチが入って走り回り始めた末っ子が、寝ている私の身体の上を斜めに横断し、そのとき、みぞおちを思いきり踏んでいった。 大きくなったとはいえ兄たちに比べれば軽い猫だ。 それでも、猫の「手のひら、足の裏」はとても小さいので、体重がピンポイントにそこにかかる。けっこう痛い。 眠気がシュッと撤退したので、布団の中で、「こういうのはよくないねえ」などと呟きながらも、ついスマホを弄り始めた。 ふと気になって、「そろそ

          ちょいちょい書くかもしれない日記(面白くない)