年間読書人

その名のとおり、読書が趣味で、守備範囲はかなり広範ですが、主に「文学全般」「宗教」「映…

年間読書人

その名のとおり、読書が趣味で、守備範囲はかなり広範ですが、主に「文学全般」「宗教」「映画」「アニメ」に関連するところ。昔から論争家で、書く文章は、いまどき流行らない、忌憚のない批評文が多い。要は、本音主義でおべんちゃらが大嫌い。ただし論理的です。だからタチが悪いとも言われる。

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  • 「ミステリ・SFなど(純文学系以外)」関連書のレビュー

    もとより文学におけるジャンル分けは恣意的なものとならざるを得ないが、ここでは「娯楽性」に主眼を置いた、小説やマンガ、映画などの作品を扱ったレビューを紹介します。

  • 「政治・経済・社会」関連書のレビュー

    「政治」「経済」「社会」などの関連書のレビューを紹介します。

  • 「宗教(キリスト教以外)」関連書レビュー

    キリスト教以外の「宗教」関連書のレビューを集めました。 後日、整理の予定です。

  • 「キリスト教」関連書レビュー

    キリスト教関連書のレビューを、ひとまとめにしています。 後日、内容別に整理の予定です。

  • 「学術書・学術啓蒙書」のレビュー

    人文書、科学書など(別立ての宗教関連書を除く)学術書と啓蒙書を紹介します。

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〈宇山秀雄殺し〉の 謎を解く : 『宇山日出臣 追悼文集』の密室

書評:太田克史編『新本格ミステリはどのようにして生まれてきたのか? 編集者宇山日出臣追悼文集』(星海社) エディターネーム「宇山日出臣」、本名「宇山秀雄」が、「新本格ミステリの仕掛け人」などと呼ばれた名編集者であることについて、ここであらためて説明する必要などないだろう。本書を購読したり、ネットで本書の内容を確認したりするほどの人なら、宇山についてそれなりの予備知識を、あらかじめ持っているはずだからだ。 本書は内容は、次のとおり。 (1)序文(太田克史) (2)編集者・

    • サミュエル・R・ディレイニー 『ノヴァ』 : オリエンタリズム的「文学性」の勘違い

      書評:サミュエル・R・ディレイニー『ノヴァ』(ハヤカワ文庫) サミュエル・R・ディレイニーが、アメリカにおける「ニュー・ウエーブSF」の代表選手のひとりだということくらいは、ずいぶん前から知っていた。今となっては、40年以上前の話である。 その頃すでに、「ニュー・ウエーブSF」の日本での紹介者として知られ、『季刊NW-SF』という雑誌まで出していたSF作家・山野浩一については、短編をいくつか読んでおり、ファンにもなっていたためだ。 山野の作風が「ニュー・ウエーブSF」を代

      • ジャック・リヴェット監督 『王手飛車取り』 : 作品自体を見てもらえない作品

        映画評:ジャック・リヴェット監督『王手飛車取り』(1956年・短編フランス映画) 本作は、作品の内容や出来不出来にかかわりなく、「ヌーヴェル・ヴァーグの発火点となった作品」として「過大評価」される作品である。 本作を、そうした「背景」なしに、わざわざ見るような人は、少なくとも日本にはいないと、そう断じても良いだろう。そうでなければ、フランスのモノクロ短編映画など、映画研究者以外の誰が見るだろうか。 本作は、作品自体を見ようが見まいが、同じような褒め方しか出来ないような手合い

        • Kashmir 『てるみな 5』 : 日常のなかの異界へ

          書評:Kashmir『てるみな 東京猫耳巡礼記(5)』(楽園コミックス・白泉社) 前の第4巻の刊行が2021年5月だったから、じつに3年ぶりの刊行である。 しかし、「「楽園」web 増刊」への、年に3本平均の不定期連載とは言え、『楽園 Le Paradis』本誌に別作品『ぱらのま』を連載している作者としては、ちょうど良いくらいの執筆ペースなのではないだろうか。 昔の「マンガ週刊誌連載」のような、異常な執筆ペースで、読み切り作品の連載などできるわけもなく、作品の品質を保つに

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        • 「ミステリ・SFなど(純文学系以外)」関連書のレビュー
          563本
        • 「政治・経済・社会」関連書のレビュー
          938本
        • 「宗教(キリスト教以外)」関連書レビュー
          329本
        • 「キリスト教」関連書レビュー
          363本
        • 「学術書・学術啓蒙書」のレビュー
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        • 「思想・哲学」関連書のレビュー
          784本

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          リンク集 「漫画 (生きづらさ・女の子と男の子・オタク・本好き・カワイイ系)+α」関連レビュー

          【主たる収録作家】 (生きづらさ系) 模造クリスタル、藤生、長崎ライチ、平方イコルスン、三島芳治、つくみず 三堂マツリ、春場ねぎ、右腹、若林稔弥、柴、玉川重機 きづきあきら、ニコ・ニコルソン、安野モヨコ、にゃるら 道草晴子、水谷緑、やまだ紫、大白小蟹 (男の子系) 今井哲也、阿部共実、山口つばさ、小畑健&大場つぐみ、山本崇一朗 じゃんぽ〜る西 (本好き系) 施川ユウキ、COCO、久住昌之 (カワイイ系) 遠藤達哉、芹沢俊介(手塚治虫論)、藤井おでこ、西森裕之 小林拓己、赤井さ

          リンク集 「漫画 (生きづらさ・女の子と男の子・オタク・本好き・カワイイ系)+α」関連レビュー

          リンク集 「異界行系の 漫画・小説・特撮ドラマ+ガロ系漫画」関連レビュー

          【主な収録作家】 (漫画家) panpanya、Kashmir、コマツシンヤ、坂月さかな、三堂マツリ (特撮・怪獣系) 佐々木守、南洋一郎、大伴昌司、円谷プロ(円谷英二)、山崎貴、紀里谷和明 (小説家) 平山瑞穂、小田雅久仁、荻原浩、吉村萬壱、中野美代子 スティーブン・ミルハウザー (画家・イラストレーター) 小池結衣、藤田新策 (ガロ系漫画家) やまだ紫、白取千夏雄、近藤聡乃、久住昌之、竹熊健太郎、ハルオサン ○ ○ ○ ・ ・  ○ ○ ○  ○ ○ ○  ○

          リンク集 「異界行系の 漫画・小説・特撮ドラマ+ガロ系漫画」関連レビュー

          リンク集 「〈心って何?〉 ロボット・AI系 漫画・アニメ・小説・批評研究書」関連レビュー

          【収録作家(作品)】 (ロボット系漫画) 矢寺圭太『ポンコツぽん子』 池辺葵『私にできることのすべて』、村上たかし『ピノ:PINO』 福井健太編『SFマンガ傑作選』 (収録作家:手塚治虫、松本零士、筒井康隆、萩尾望都、石ノ森章太郎、諸星大二郎、竹宮惠子、山田ミネコ、横山光輝、佐藤史生、佐々木淳子、高橋葉介、水樹和佳子、星野之宣) 今井哲也『ぼくらのよあけ』、アニメ映画版『ぼくらのよあけ』(黒川智之監督) (ロボット系アニメ) 今川泰宏監督 『ジャイアントロボ THE ANIM

          リンク集 「〈心って何?〉 ロボット・AI系 漫画・アニメ・小説・批評研究書」関連レビュー

          リンク集 「漫画(SF・ホラー系)」関連レビュー

          【主たる収録作家】 (SF系) 瀬野反人、今井哲也 福井健太編『SFマンガ傑作選』 (収録作家:手塚治虫、松本零士、筒井康隆、萩尾望都、石ノ森章太郎、諸星大二郎、竹宮惠子、山田ミネコ、横山光輝、佐藤史生、佐々木淳子、高橋葉介、水樹和佳子、星野之宣) 藤子・F・不二雄、山上たつひこ、山下和美、北村みなみ、山本和音、ごとうにも 魚豊 萩尾望都 〔萩尾望都関連 参考レビュー〕 栗本薫、稲垣足穂、ミッシェル・フーコー (ホラー系) 諸星大二郎、中山昌亮、宮澤ひしを、てぃーろんたろん

          リンク集 「漫画(SF・ホラー系)」関連レビュー

          シドニー・ルメット監督 『十二人の怒れる男』 : 理想を信じた時代の「アメリカの良心」

          映画評:シドニー・ルメット監督『十二人の怒れる男』(1957年・アメリカ映画) 本作は、子供の頃にテレビで視て感動した「思い出の作品」であり、今でも私の「実写映画のオールタイムベスト10」に入る傑作である。 本作の元型となったのは、脚本家レジナルド・ローズの脚本を、1話完結のテレビドラマとして制作したもので、これが大変な評判作となった。ところが、当時のテレビドラマは、実質的に「生放送」の一発放送であり、録画が製作者(テレビ局)サイドには残らなかった。 また、このテレビドラ

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          『井上俊之の作画遊蕩』 : アニメーター目線の問題提起とその限界

          書評:井上俊之著・高瀬康司編著『井上俊之の作画遊蕩』(KADOKAWA) 本書は、ベテラン人気アニメーター井上俊之による対談集である。対談相手は、新旧のアニメーターを中心とした、アニメ制作関係者。 「編著」者の高瀬康司は、「アニメ研究家」とでも呼ぶべき人で、「作品論」ではなく「表現(方法)論」の側面からアニメを研究している人のようだ。 つまり、本書では、井上の対談に立ち合い、その対談記録をまとめる(文章化する)とともに、井上と自身の共通認識としての「現在のアニメ制作現場の

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          ロジェ・ヴァディム監督 『素直な悪女』 : 女の魅力 と「ヌーヴェル・ヴァーグ」

          映画評:ロジェ・ヴァディム監督『素直な悪女』(1956年・フランス映画) 先日、レビューを書いた、SFファンタジー映画『バーバレラ』(1962年)を撮ったロジェ・ヴァディムの、監督デビュー作である。 どうしてこの映画を見たのか、その理由から書いていこう。 私が『バーバレラ』を見たのは、伝説的な「SF映画」としてであり、監督の方にはまったく興味がなかった。だから、『バーバレラ』を見てレビューを書くまでは、私は同作を「アメリカ映画」だとばかり思い込んでもいた。 なにしろ「SF

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          小林秀雄 『戦争について』 : 戦時における「時局迎合と 俗情との結託」

          書評:小林秀雄『戦争について』(中公文庫) これまでは「小林秀雄の恥部」として、全集には収められていても、文庫化はされなかった「戦時中の文章」を、セレクトしてまとめたアンソロジーが本書である。 小林秀雄が、いかに「低レベル」の人間かが、とてもよくわかるので、小林秀雄批判派は無論のこと、擁護派にも必読の一書だ。 それにしても「ひどい」。 一一かく言う「小林秀雄ぎらい」の私でも、わざわざ全集(やその端本)を読むほど小林秀雄批判に熱心ではなかったため、読むのはもっぱら、文庫本に

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          スタンリー・キューブリック監督 『時計じかけのオレンジ』 : 半世紀前の「暴力とエロス」描写

          映画評:スタンリー・キューブリック監督『時計じかけのオレンジ』(1972年・アメリカ映画) アンソニー・バージェスの近未来ディストピアSF小説を原作として、スタンリー・キューブリックが映画化した、1972年の作品。 「名作」の誉高い作品だが、いま見ると、いささか「評判だおれ」。 歴史的な価値は認めるものの、私には「いま見ても、古びることなく素晴らしい作品」だなどとは、歯が浮くから、とうてい言えない。 なにしろ、本作は1972年の作品で、日本では、大阪での最初の万国博覧会

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          ジョルジュ・シムノン 『証人たち』 : 「裁くなかれ」は、 無欠の神にしか言い得ない。

          書評:ジョルジュ・シムノン『証人たち』(河出書房新社) 「メグレ警視」シリーズで知られる、ジョルジュ・シムノンによるノンシリーズの法廷小説である。 ただし、ミステリ(推理小説)ではない。 あくまでも「法廷もの」であり、大岡昇平による法廷ものの傑作『事件』よりもさらにミステリ的な要素は薄く、本作の場合は「人間とは、どういうものであるか」ということと、その結果「人間が人間を(誤りなく)裁くことは可能なのか」ということがテーマとなっている。 本作は、重罪裁判所の裁判長である主人

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          今敏 監督 『妄想代理人』 : 「少年バット」の正体

          作品評:今敏監督『妄想代理人』(2004年・TVシリーズ全13話) 『妄想代理人』は、2004年に「WOWOW」で全13話が放送された、今敏監督 唯一のテレビアニメ作品である。 今敏については、最初に『パプリカ』(2006年)を観て惚れ込み、続いて『PERFECT BLUE』(1997年)、『千年女優』(2001年)、『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)と劇場用長編作品を続けざまに見たのだが、正直なところ『パプリカ』以上の作品ではないと感じた。 なにより今敏の作品は、

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          仲野佑希 『ザ・ダークパターン ユーザーの心や行動をあざむくデザイン』 : Amazon が、 まさにこれ!

          書評:仲野佑希『ザ・ダークパターン ユーザーの心や行動をあざむくデザイン』(翔泳社) 本書は、商用ウェブサイトにおける「欺瞞的手口」の解説書であり、主にウェブサイト制作者に向けてその問題点を解説し、こうしたものを安易に作ってしまうという罠に陥らない(共犯者になってしまうことのない)ようにするための、正しい考え方を指南した本である。 つまり、利用者である顧客目線ではなく、基本的には、そうしたウェブサイトを作ったり運用したりする側に対し、具体例を示して、ありがちな「心得違い」

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