大山誠一郎

大山誠一郎

最近の記事

2023年の仕事

 2023年の仕事をまとめてみました。 ●小説(新作、全面改稿) 3月 「二十年後、梅ノ橋で」(北國新聞3月25日付「土曜小説」欄) 5月 「30年目の自首」(オール讀物6月号(文藝春秋)) 5月 「探偵の血脈第1話 灰燼の夢・1946」前編(小説推理7月号(双葉社)) 6月 「探偵の血脈第1話 灰燼の夢・1946」後編(小説推理8月号) 6月 『仮面幻双曲』(小学館文庫) ※2006年の単行本版を全面改稿のうえ文庫化 8月 「探偵の血脈第2話 コンクリートの幻・1964」

    • 共犯関係に関するトリック分類

       私はトリック分類を読むのが大好きなのですが、どのトリック分類にも欠けている項目があるように思えます。それは、「共犯関係に関するトリック」です。  たとえば、江戸川乱歩の「類別トリック集成」の「犯人(または被害者)の人間に関するトリック」という項目では、「犯人が被害者に化ける」例や「共犯者が被害者に化ける」例のように、犯人、共犯者それぞれの弄するトリックは挙げられていますが、犯人と共犯者のあいだの「関係」に関するトリックは挙げられていません。  そこで、「共犯関係に関するトリ

      • 2022年の仕事

         2022年の仕事をまとめてみました。 ●小説(単行本) 1月 『記憶の中の誘拐 赤い博物館』(文春文庫) 3月 『時計屋探偵の冒険 アリバイ崩し承ります2』(実業之日本社) ●小説(雑誌、書き下ろしアンソロジー) 3月「どちらが先に死んだのか?」(朝日新聞出版「小説トリッパー」2022 SPRING) 5月「電影パズル」(光文社「ジャーロ」No.82) 6月「どこで降りたのか?」(「小説トリッパー」2022 SUMMER) 9月「何を企んでいるのか?」(「小説トリッパー

        • アリバイトリック、十一番目のパターン

           有栖川有栖氏の傑作『マジックミラー』で語られる有名なアリバイ講義では、アリバイトリックが九つのパターンに分類されています。有栖川氏は講談社ノベルス版のあとがきで、さらに「手順の盲点」という十番目のパターンも提案されています。  この「アリバイ講義」を何十回となく読み返すうちに、「こういうパターンもあるのでは?」と思うようになったので、それを十一番目のパターンとして提案させていただきたいと思います。 *  アリバイトリックの十一番目のパターンは、「犯行時刻に犯行現場から離

        2023年の仕事

          法月綸太郎さんの「心理的瑕疵あり」に挑戦

           法月綸太郎さんが、東京創元社の雑誌『ミステリーズ!』名物の懸賞付き犯人当て小説企画で、「心理的瑕疵あり」という作品を書かれました。法月ファンのはしくれとして、挑戦しないわけにはいきません。『ミステリーズ!』vol.100掲載の問題編を熟読して推理してみました。  真相を見抜けたような気がしたので、vol.101をいただくとすぐに解答編に目を通したのですが……犯人の正体も、メインの謎も、見事に答えを外していました。  その外しっぷりを楽しんでいただくために、私の迷推理を披露

          法月綸太郎さんの「心理的瑕疵あり」に挑戦

          人間消失トリック分類

           本稿では、消失した人間を「消失者」、消失を成立させる証言をする者を「証人」、消失が起きた空間を「消失発生空間」、消失が起きた時間を「消失発生時間」と呼びます。 1.消失者が消失発生空間に初めからいなかった場合  消失者が消失したと見なされるのは、消失者が初めは消失発生空間にいたという前提があるためです。そこで、消失者が実際には消失発生空間に初めからいなかったのに、何らかの手段でいたように見せることで、人間消失を起こすことができます。 ●別人が消失者に化ける。  例1……

          人間消失トリック分類