牛尾 剛

米マイクロソフトの Azure Functions プロダクトチームのシニアソフトウェ…

牛尾 剛

米マイクロソフトの Azure Functions プロダクトチームのシニアソフトウェアエンジニア。シアトル在住。Serverless, DevOps, Agile などソフトウェア開発のよりよいやり方に興味があります。ブログは個人の意見であり所属会社と関係ありません。

最近の記事

クラウド人材って一体何やねん?

 先日個人的に勝手に尊敬している登さんにインタビューした記事があって面白い切り口やなぁと思ったので自分でも考えてみることにした。今回も自分の所属会社ではなく、私個人の意見であることを強調しておきます。  この記事ではいろいろなことが書いてあるが、クラウド人材というのは、クラウドを「創れる」人であって「使う」人ではないと書いてあります。私はアメリカのレッドモンドでマイクロソフトのクラウドAzureの開発者なので、この定義でも「クラウド人材」と言えると思います。自分としては、上

    • 歴代最高の「職場環境の秘密」が分かってきたかもという話

       今の職場はアメリカのマイクロソフトのレッドモンドキャンパスでもう5年ぐらい働いている。正直めっちゃくちゃ快適で居心地がよい。英語のハンデがあったとしても正直過去に勤めたどんな会社より圧倒的に快適。人生でここでもう最後までやってもええわと思えたのは本当に初めて。  なんでやろう?といろいろ考えてきたけど、最近いろいろ見えてきたことがあるのでシェアしてみたい。  毎回そうなのだけど、これは所属会社の見解とかではなく、一個人の意見であることをお断りしておきます。 この職場はどう

      • 今のチームに来てから最も生産性が上がった考え方

         多分今回のポストは多くの人には参考にならないだろう。相当ニッチなので。でもこれは自分にとってはとても大きなことだったので、忘れないように記録しておきます。 生産性の悩み あまりこの世界では生産性とはあいまいな言葉で、何をもって生産性が高いとは言いにくい。速いのが良いのではない。ただ、自分の実感として自分は生産性が良くないといつも感じていた。だからいろいろ努力したり、考え方をできる人を観察して真似してみたり、直接本人に聞いたりして工夫をしてきた。  実は自分はめっちゃコーデ

        • 世界一流エンジニアは自分と考えが真逆だった話

           今日はちょっと驚いたことがあったので、自分の記録のためにも書き残しておきたい。 ライブサイトの問題 自分のやっているプロジェクトで問題が起こって、その障害の復旧と調査にあたっていた。問題は大きいが、DividedByZero が起こっている。これはスポットしやすい。  自分の見慣れたコードパスをログを頼りに DividedByZero が起こりうるところを特定する。  実際にそれが起こるところは2点と特定する。 フロントエンドが0台になる アプリケーションの必須の設定

        クラウド人材って一体何やねん?

          マイクロソフトの時価総額3兆ドル突破が嬉しいので中から見てたらどんな感じだったかを書いてみた

           私はマイクロソフトに2015年に入社して、日本のリージョンでエヴァンジェリストをしたのちソフトウェアエンジニアになって、今アメリカの Redmond で Azure の開発者として勤務している。中の人としてはとても嬉しいニュースで感慨深い事なのでブログを書いてみたい。尚、ここに書いていることは単なる私の体験で、私の意見であり、所属会社の見解ではないことを断っておく。 マイクロソフト前夜 私は子供のころから、マイクロソフトのコンピュータは全然使ってなくて、マイクロソフトに入

          マイクロソフトの時価総額3兆ドル突破が嬉しいので中から見てたらどんな感じだったかを書いてみた

          科学的根拠に基づく最高の勉強法がガチで良かった話

          最近読んでめっちゃ良かった本が下記の本だ。現在Amazonを見たら総合で35位で、星の評価が5つと半端ない。著者の方は以前から YouTube 動画などで勉強させていただいてたが、本が出たので速攻で買った。 勉強法とか大好物の自分としては読むしかないと思って買った。これは星5つは間違いない出来であった。さっそく自分も著者のメソッドを実施してみた。 実はこの本は、この本で紹介されている、そして私もそう思っている科学的に証明されたメソッドが効果の高い順から掲載されている。しか

          科学的根拠に基づく最高の勉強法がガチで良かった話

          納期がなぜ生産性をぶち壊しにしているのか?

           昨年NewsPicks さんに取り上げてもらって最近動画が公開されました。そこでもお話させてもらっていることなのですが、アメリカで働きはじめると日本人からすると「納期が無い」感覚が物凄く衝撃的だった。  最近、納期が無いことと生産性について頭の中で整理がついてきたのでシェアしておこうと思う。ちなみに、動画も含めて、私の発言は私の体験と意見であり、所属会社には全く関係が無いことを改めてお断りしておきます。 日米納期の感覚の違い アメリカで働いていると、日本人からすると納期が

          納期がなぜ生産性をぶち壊しにしているのか?

          最近自分がADHD対策でやっていること

          私はADHDで短期記憶が最悪で、とても気が散りやすい。些細なことかもしれないが、本人にしてはなにやってもめっちゃくちゃ効率わるいし、やる気になるまで相当時間がかかる。よくあるのは休日に「これやらなきゃ」とか思ってスイッチがはいるのが夕食の前ぐらいで、夕食が始まるからそれも終了…ということもしょっちゅうある。  ADHDの特性の出方はかなり個人差があり、環境によってなにが「困りごと」になるかも様々だから他の人がどんな感じかわからないけど、集中力がクソほどなくて、効率が悪い自分

          最近自分がADHD対策でやっていること

          かずき師匠から学んだ「努力」するから駄目だったのかもしれないという話

           私は子供の頃から不器用で、何をやっても出来なかった。だから、ずっとどうやったら「出来る」ようになれるのかを追求してきた。  そして、今は幸いなことにアメリカのレッドモンドで、クラウドのプログラマとして勤務してコードを書くことを楽しんでいる。正直環境は最高でまわりの人は優秀でかつめっちゃいい人で、マネージャも最高なので気持ちよく働けている。  ただ、自分的には自分が一番下手というのはわかっているので、何とかせねば首になるぞ、もっとうまくならなければという気持ちが常にある。自分

          かずき師匠から学んだ「努力」するから駄目だったのかもしれないという話

          プログラミングというより物事が出来る思考法~実践編

           大変多く読んでいただいた「プログラミングというより物事が出来る思考法」というポストや、世界一流エンジニアの思考法の書籍で紹介した内容がある。  私の職場でも、ものすごく出来る人が「実践」しているところを何回も目撃しているので「実践編」として皆さんにシェアしようと思って今回のポストを書いてみた。  タイトルにもある通り、私はエンジニアだが、ビジネス書である書籍と書かれた多くの思考法と同じく、あまりエンジニアリングというものに関係ない要素であると感じている。  上記のポストや

          プログラミングというより物事が出来る思考法~実践編

          コードや設計で「シンプル」が良いのはわかるが実際にどうすれば良いだろう?

          先日、IaC (Infrastructure as Code) のコードを書いている時に自分が体験したシンプルさの威力の体験と、どうやったら「シンプル」に設計・コーディングができるか?ということについて調べてみたので整理したい。 「はじめて」の人に敗北 先日、私がSLA Site というアプリのデプロイスクリプトを terraform で書いていた時のこと。この Site は内部で機能に何か問題が起きた時にお客さんより先に気づくための仕組みで、私は、Azure Funct

          コードや設計で「シンプル」が良いのはわかるが実際にどうすれば良いだろう?

          「Be Lazy」のマネジメントでチームの成果が出る理由

          自分の新刊や、インタビューでも一部説明している「Be Lazy」の考え方は、生産性とは、仕事の物量ではなく、物量はむしろ減らして、インパクトに重視するという考え方だ。詳しくは下記のリンクを参考にしてほしい。 この記事はそこからいただいた質問に対するフォローアップだ。 インタビュー記事リンク この考え方はマイクロソフトに来てから本当に何度も出会ってきた考え方で、ものすごく生産性に貢献する考えなので、ぜひ日本でももっと広まってほしいと思っている。これは私オリジナルとかではなく

          「Be Lazy」のマネジメントでチームの成果が出る理由

          炎上にビビらずブログ生活をエンジョイする方法

          先日友人と話しているとこんなことを言われた。私はよくブログを読んでいただけるのだが、確かに昔はこういう事に悩んでいたこともあった。だから、炎上を恐れることなく、昔の私のように困っている人にもブログを楽しんで欲しいなと思って書いてみました。 炎上王子と言われていた私私がマイクロソフトのエヴァンジェリストだった頃、周りの人に良く「炎上王子」と呼ばれていました。本当によく炎上したので。 例えばこのブログはよく燃えた。別に燃やしにいっていたわけではない。ただ、素直に自分の意見をシェ

          炎上にビビらずブログ生活をエンジョイする方法

          「〇〇だから出来ない」おじさん対策と自分がそうならない方法

           私が日本で働いている時に頻繁に出会った存在が「〇〇だから出来ない」おじさんだ。誰かが新しい事に挑戦しようとしているのに「やめておきなさい」とか「〇〇だから無理」とか「弊社は特殊なので無理」とかともかく出来ない理由を探すことにかけて天下一品の人の事だ。  私は今アメリカのクラウドプラットフォームの開発者としてアメリカのレッドモンドというところで勤務しているのだが、ふと気づいたのが、日本であれだけ頻繁に見かけた「〇〇だから出来ない」おじさんに出会ったことが無い事に気づいたのだ

          「〇〇だから出来ない」おじさん対策と自分がそうならない方法

          フィーチャーフラグは簡単ではない ~自分のせいで障害を起こしてしまった話

          自分は巨大クラウドの開発者なのだが、先日自分のミスで障害を起こしてしまった。幸いなことに、お客様が気づく前に仲間がアラートで気づいてMitigate してくれた。この恥ずかしい失敗を世にさらして絶対に同じミスをしないようにしようと思う。 それはフィーチャーフラグをONにしただけ私たちは定期的にサービシングループという期間があり定期的に回ってくる。その期間は開発をストップして、インシデントと呼ばれる障害の対応をする。ある時、自分がサービシングループの時にアラートが問題を検出し

          フィーチャーフラグは簡単ではない ~自分のせいで障害を起こしてしまった話

          かつて「のび太君」だった私からの復讐 新刊『世界一流エンジニアの思考法』に込めた思い

           私は牛尾剛と申します。米国でマイクロソフトのクラウドを開発するソフトウェアエンジニアをしています。私は過去にははてなで、今は note でブログを書いていますが、幸いなことに沢山の方々に読んでいただけることが多く、文藝春秋の山本さんから提案されてこの度本を出版させていただくことになりました。新著はブログの文章に大幅加筆をしてビジネス書として一から構成したものですが、背景にある思いをお伝えしたいと思います。今回は私がなぜこのようなブログ、そして書籍を書いているのかをブログに書

          かつて「のび太君」だった私からの復讐 新刊『世界一流エンジニアの思考法』に込めた思い