加藤茶常

模型文化人

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  • 模型と人 3rd season

    第3期。まったり進行。

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    その他の作文たち

  • 模型と人 2nd season

    今期は不定期です

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    今のところ毎週水曜日更新

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孤独の模型

私は模型を作ると云う中々にマニアックな趣味を持っております。世間のおたくの認知の変化に伴い大分世間の眼差しは温かいものになりましたが四半世紀前まではおたくは迫害するものと云う世間の風潮が確かにありました。その頃からおたくをしておりますので、未だに表立っておたくである事を喋るのは抵抗と云うよりも恐怖が先立ちます。中学の頃には周りでプラモデルを作る人など居らず、1人家に帰っては少ない小遣いで買った144分の1のガンプラを組んでいるような少年でした。インターネットも勿論ないので、羅

    • 心に納める

      氷室京介のKISS MEを聞くと、スーパーファミコンのSDガンダム円卓の騎士が想起されます。これは当時、このゲームをやりながらリピートでずっと聞いていた為なのですが、このような(聞くと全く違うものが想起される)曲がいくつかあります。劇伴が良い映画は名作が多いのですが、音とシチュエーションはリンクしやすいのでしょう。いずれにしても記憶と密に絡んでいます。何の話かと云えば、模型においても記憶と深くリンクする、印象の強い模型があるのではないか。そんなお話です。先日ガンダムベ

      • 道を外す

        最近、飛行機のプラモデルを作っています。F-2と云う戦闘機です。このハセガワのF-2、作るのは2度目で数年前にも1度作っています。大きなサイズのプラモデルです。私が普段よく作る(塗る)のはアニメのロボだったりキャラだったりします。なので飛行機のプラモデルはほぼ作ったことがないと云えます。ただ子供の頃より模型誌を読んでいたので、飛行機プラモの作り方(流れ)は知っています。キャラクターモデルと違い塗りながら作っていく感覚ですね。しかし耳年増とはまさにこの事で、知ってる事と出来る事

        • ガラクタを集める

          先日、会社の同僚の方がエアブラシを買ったので塗装のコツを聞きたいと質問を受けました。これには非常に悩みました。美味しいご飯に連れて行って欲しいと云われた時くらい要望としては高難易度(ほんとに?)です。どれをどのように塗りたいのか、で塗料の濃度は(少なくとも自分は)変わってきますし、色によっても濃く吹きたい時と薄く吹くので済む時とで微妙に違う時があります。概ねこのくらいの濃度かなと云うのはありますが、それこそ感覚的なものなので伝達が難しい。手癖もありますからやりながら自分の吹き

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        孤独の模型

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        • 模型と人 3rd season
          8本
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          10本
        • 模型と人 2nd season
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        • 模型と人
          20本

        記事

          錯覚を楽しむ

          ミステリ小説が好きで良く読みます。日本の作家が多いですが最近はちょこちょこ海外の作家も読むようになりました。文体や話の展開の仕方が日本のそれと違うので刺激として新鮮だなと思ったからですね。ミステリの不思議なところは「騙される事」が楽しい事なんです。普通は騙されたら悔しいのに、むしろ騙されるために読む。なのでこちらもさあ騙してみろ、簡単には騙されないぞ、と覚悟を決めて読むわけです。上手く騙してくれたら良作、途中でこれはとバレてしまうと不発となる訳ですね。勿論犯人探し以外にも面白

          錯覚を楽しむ

          メッキをかける

          昨年あたりから模型仲間とプラモデルのランナーにメッキをかけてくれる業者があると盛り上がっておりました。1枚500円で掛けてもらえるとのこと。まあお安い。ツイッターでもその業者さんに頼んでかけてもらったものを作った方のものを見ていたんですが、これがまたとても綺麗で良いのです。昨年の暮れにその模型仲間であつまり、メッキをかけたいランナーを持ち寄り、一括発送してもらいました。2月に仕上がりの連絡を受け、仲間宅にてそれを受け取りました。これが本当にとても良い。ピカピカです。とても頭の

          メッキをかける

          山下しゅんや先生という功夫の達人

          山下しゅんや先生の「山下しゅんやの『ガールズ&パンツァー』イラストレーション2 」を購入しました。勿論1の方も購入しております。と云うよりもしゅんや先生の画集は出る度に買っているのですが、どの画集も最高なのです。特に最近も出ましたプラスチック・エンジェル1と2はすべてフィギュアになってもらいたい位かわいい子で埋め尽くされています。その山下しゅんや先生が描くガルパンキャラ、かわいくないわけがないのですが、全ページもうかわいさの暴力。見終わる頃に我々はコテンパンのメロメロ(死語)

          山下しゅんや先生という功夫の達人

          文を作る

          常々文が上手くなりたいなと思っている私ですが、はて文が上手いとはどう云うものなのかなと考えてみるとこれがよく分からないものです。短歌のように短いものなら評価の基準のようなものがありそうですが、ざっくりと文が上手いと云うのは今ひとつピンとこないように思います。もしかしたら明確な基準があるのかもしれないですが、私は知りません。模型なら工作の精度や発想などから上手いと云う評価はありますし、料理なども美味い不味いは大抵少し食べれば分かります。しかしいずれも観測者の好みが少なからず作用

          文を作る

          実家が無くなる日 後篇

          承前。漫画はざっと目算で1000冊以上、小説の類は500冊。ダンボール箱30箱相当。とにかく詰めるだけ詰める。PC周りもある程度梱包し、まず一旦新居の方へピストンする。本は奥さんの実家の方にとりあえず置いてもらい、選別した本だけを新居に持ってくる。残りは売り払う。新しい本棚を埋める。本棚はその人の人となりだ。改めて作り直すのであれば最初から綺麗にしておきたい。並べ直すと心が洗われるようだ。正直こんな事は今やる事ではなく、後でやればいいのだが、何かを捨てていくだけの作業は心にく

          有料
          200

          実家が無くなる日 後篇

          実家が無くなる日 前篇

          引越しをした。 と云うよりも実家を取り壊した、が近いかもしれない。私は少し変わった生活をしていて、私の家族は既に新しい家でしばらく生活をしている。私は母がなくなり誰も住まなくなった実家を、弟がそこを建て替える算段が取れるまでの間、繋ぎとしてそこで生活をしていた。築40年以上の古い戸建てだ。冬は寒いし夏は暑い。勿論私の新居の方が快適なのだが、この実家に戻る数年間実は仕事の兼ね合いで単身赴任をしており、人生初の一人暮らしを謳歌していた。そこに母の死に伴いこの話が舞い込んできたので

          実家が無くなる日 前篇

          「足らぬ」を知る

          先日、Twitterのホロワーさんであるからぱたさんに写真のデジタル現像の触りを教えて頂きました。先般実に10年振りにデジタル一眼レフカメラを買い換えまして、昔よりも写真が綺麗に撮れるようになったのですが、なんかしっくりくる写真が取れない。実際シャッターを切った時の絵と、スマホで見た時の写真にギャップを感じるのですが、何が悪いのかがわからない。料理を作ってみたのだけれども、何だか思ってた味と違う。でも何が足りないのか(間違っているのか)かがわからない。分からないので治しようが

          「足らぬ」を知る

          楽しさを探す

          「この世に面白くない本など1冊もない」と云うのは京極夏彦氏の言葉で、私が感銘を受けた好きな言葉のひとつです。小説は1人で書くものですが、本になるまでに多数の人間が力を合わせて世の中に出版されます。その過程において誰もが面白くないと思ったら、それは本になりません。ですので世の中にある本は須らく面白いと云う考え方なのですが、これはどの製品にも当てはまることだと思います。製造の過程で、誰も面白くないものだったら世の中に出てきません。この考えを聞いた時から私は色んなものを読んでみよう

          楽しさを探す

          役に立つ

          最近、模型仲間の友人から「アルティマ7凄くいいよ」と云う情報を得たので早速買ってみたのですが、これがすこぶる良くてとても役に立つアイテムでした。Gポリッシャーで難しいところがするする磨けます。すると、以前アルティマ5を買った人から「ほんとに役に立つの?何がいいの?」と云う疑問をぶつけられました。私はアルティマ5を使ったことがないので比較が出来ません。暫くしてホロワーの柚Pさんがご自身のページで比較検証をされており、なるほどなぁと思いました。 確かにこれを見ると5を買った人は

          役に立つ

          劇団四季ミュージカル「アナと雪の女王」を観てきました。

          アナ雪馬鹿蔵こと私がついに観てまいりました。劇団四季ミュージカル「アナと雪の女王」を。見に行こうと思い立ってから半年超、待ちました。私の腰が重かったのではなく、シンプルに予約が取れなかったのです。人気過ぎて。世の中には関わらないと絶対に分からない世界がありまして、劇団四季のチケット、軽い気持ちで取れないんですね。ちょっとガンプラの現状に似ています。こちらも首を突っ込まないと分からない世界です。そう云えば宝塚歌劇団のチケットも取れなかったな昔……。兎角ファンに(ファンが?)特化

          劇団四季ミュージカル「アナと雪の女王」を観てきました。

          着せ恋がこうも俺らに響く理由(ワケ)

          「その着せ替え人形は恋をする」、通称着せ恋は漫画原作のアニメで、その世界観を忠実に再現し好評を博して終わりました。原作は現在進行しており、2期が待ち遠しいアニメです。雛人形の頭師を目指すごじょーくんとコスプレが好きなギャル喜多川さんの恋模様を描いた作品なのですが、所謂『オタクに優しいギャル』な訳です喜多川さん。私自身弱い属性ではあるものの、世の中にごまんといるであろうオタクに優しいギャルと云うキャラ付けには今ひとつリアリティと云うものは感じておりませんでした。好きですよ。でも

          着せ恋がこうも俺らに響く理由(ワケ)

          リアルロボットプラスチックモデル回顧録の感想録

          インターネットを見ていたら『リアルロボットプラスチックモデル回顧録』と云う本が出ることを知り、80年代大好きっ子としてはこれは読まねばと使命感に駆られ発売日に購入しました。何故かKindle Unlimitedでも読めます。あさのまさひこ氏と五十嵐浩司氏による対談形式の回顧録で、4年しか続かなかったリアルロボットプラスチックモデルの盛衰を子細に振り返る、云わば模型の民俗学的アプローチの資料になっております。 時系列ではありますが、ガンダムMSVを基軸として各プラモデルメーカ

          リアルロボットプラスチックモデル回顧録の感想録