おんにょの真空管オーディオ

おんにょの真空管オーディオ

主に真空管を使用した自作アンプでの試行錯誤を公開しています。(お約束事) 追試は歓迎しますが自己責任でお願いします。

4P1Lシングルアンプ・フィラメント点火実験

4P1Lシングルアンプ1号機の内部を見ていたら、ダイオードブリッジW04Gの足が黒く変色している。気になるので手持ちのAM1510に変更して点火実験を行ったところ、AC6.6V入力で入出力電位差が2.47Vだった。これでは入力のリプルがそのまま出てしまうと考えてSBDのSB340LSのブリッジ整流に変更することにした。

4P1Lのフィラメントは直列で4.2V325mAなので、LDOの3端子レギュレータが使える。それならTA4805SでDC点火したらどうか。

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点火実験中のぐちゃぐちゃ。

回路はこんなふう。赤字で実測の電圧を記入した。

オシロで波形観測。黄色がTA4805Sの入力電圧で、ピンクが4P1Lのフィラメント電圧。TA4805Sの出力電圧は実測4.97Vで抵抗R2による降圧は0.77Vとなり、2-0.77=1.23VがTA4805Sのリプルを含まない入出力電圧となる。カタログスペックの最低0.5Vに対し十分な入出力電圧を確保しているので大丈夫だろう。

なお、残留リプルは0.24mVだった。

なんで入出力電圧を気にするのかというと、電源トランスを西崎電機に特注すると2次電圧が低めになる傾向があり、実際そうなったとしても最低入出力電圧を割りたくないから。

4P1Lシングルアンプ・バラック実験その3

今度はC3oに代えて依頼者提供のEF42で実験することにした。

EF42はプレート電流が流れにくく、カソード抵抗R1を1kΩにした。利得が多すぎるのでプレート抵抗R3を51kΩとした。C3oではNFB量を6dBのつもりが5dBで測定してしまったので、NFB量が6dBになる抵抗値R9を探ったら1.5kΩとなったので、これでやることにする。また、NFBをかけて周波数特性を測定したら10Hz前後に小ピークが生じたので、カップリングコンデンサC3を0.1μFから0.33μFとした。

実測の電圧を赤字で記入した。

まず最初は4P1Lの3結で特性を調べた。EF42のプレート抵抗を下げたためか高域が伸びた。DFは8.3まで増えた。残留ノイズはNFB後で0.6mV前後と多い。

EF42はまじめにヒーターハム対策をしてませんといった様相で、無帰還での残留ノイズが1mV以上あった。低減するためには電源トランスのヒーター巻線を別にしてGNDに接続するか、ヒーターバイアスをかける必要がある。今回は4P1Lのフィラメント電源とEF42のヒーター電源を電源トランスの6.3V端子で共用している。

NFB有り無しの周波数特性。高域と低域で曲線が重ならないが、2度測定しても同じだった。

歪率特性。100Hzだとオーディオアナライザの針がゆらゆらして測定できないので110Hzとした。各周波数で曲線が揃っている。特に110Hzの歪率が下がったのがその理由。

次に4P1Lのg2をプレートからOPTの2.5kタップにつないだUL接続で特性を調べた。

 

残留ノイズは0.6mV前後。出力が3結に比べて増えた。DFは7.1まで下がったが十分。

周波数特性。160kHzあたりに小さな段差がある。

歪率特性。1kHzと10kHzに歪み打ち消しが起きているようだ。110Hzは変わらなかった。

オシロで10kHzの方形波を観測しながらSP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサを接続し、ダミーロードをオンオフしてみたが、発振する様子は無かった。

もしEF42を使うのならヒータートランスを追加するか、ヒーター巻線を3つにした電源トランスを特注する必要がある。

4P1Lシングルアンプ・バラック実験その2

前回は4P1Lを3結にしたが、今回は3結に近いUL接続にして特性を調べてみた。

回路図。g2を4P1LのプレートからOPTの5k端子に接続した。3結に近いUL接続と書いたのは、ULタップは巻数比で40%~50%から出すので、巻数比の2乗がインピーダンスとなるから√7k=83.7、√5k=70.7より70.7/83.7=0.84、即ち84%のタップを使っていることになる。合ってるかな?

諸特性を測定。利得は増えてNFB量も増加。周波数特性はNFB量の増加のためかすこし高低域が伸びた。出力も増加。DFは5.6から5.3へ下がった。残留ノイズは減った。

NFB有り無しの周波数特性。UL接続にして高域に暴れが生じるかと予想したが、大丈夫だった。

無帰還での3結とUL接続の周波数特性を比較。利得が違っている他に特性の変化はない。

歪率特性。全体にカーブが右下へ移動。3結では1W以上で明確にクリップしていたが、UL接続でははっきりしない。

1kHzでの3結とUL接続の歪率特性を比較。UL接続のほうが低歪みで出力が増えていることがわかる。

 

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[10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div]

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしても発振しないことを確認。

3結に近いUL接続のほうが特性的には良くなるようだ。唯一DFが低下したが、あまり変わらないといえる。これで試聴結果が良かったら採用して良いかもしれない。

 

(2024.04.10追記)

TANGO U-608には1次2.5kΩタップがあるので、4P1Lのg2を2.5kΩタップにつないで特性を測定してみた。√2.5k=50なので、7kΩに対し60%のタップに接続したことになる。合ってるかな?

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諸特性を測定。周波数特性は帯域が高域へ移動したかんじ。歪率5%における1kHzでの出力は2.2Wまで増加。利得も増えたしNFB量も増加。DFは5.0まで低下したが、そんなに下がっていない。残留ノイズはほぼ同じだった。

NFB有り無しの周波数特性。160kHz付近に小さな段差が現れた。

無帰還での3結・UL 5kΩ・UL 2.5kΩの周波数特性。利得が増えるとともに高域に移動していることがわかる。わずかだけど。

歪率特性。1kHzと10kHzに歪みの打ち消しがかかって最低歪率が0.06%台まで低下。

1kHzでの3結・UL 5kΩ・UL 2.5kΩの歪率特性を比較。最大出力が増えるとともに最低歪率が低下していることがわかる。

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[10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div]

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしても発振しないことを確認。

特性的にはULの2.5kΩのほうが良いし、DFも5.0あってあまり下がっていない。試聴すると周波数特性からは低域があまり出なくなったと感じるかもしれない。これは試聴結果次第だけど。

4P1Lシングルアンプ・バラック実験

4P1Lシングルアンプの電圧増幅段にC3oを使った場合でのCRパラメータフィッティングを行う。当初は+Bに昇圧DCDC、フィラメント電源にスイッチングACアダプタを使用したが、残留ノイズが9mVもあり歪率特性が測れないので4P1Lシングルアンプ1号機の電源を使うことにした。

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バラックで組んだ回路に4P1Lシングルアンプ1号機の電源を接続し、実験中。1号機の片チャンネルの4P1Lは抜いてある。

 

回路の電圧を赤字で記入。CRパラメータはC3oのカソード抵抗3kΩ、g2抵抗470kΩ、プレート抵抗68kΩとした。

諸特性を測定。NFB抵抗R9を2.2kΩとした時のNFB量は5dBとなった。高域-3dB点の周波数は77kHz。1kHzでの歪率5%における出力は1.5Wだった。DFは5.6あり十分といったところ。残留ノイズは0.4mVで、バラックで組んだにしては低い値となった。

NFB有り無しの周波数特性。OPTのタンゴU-608は優秀で、高域まで凸凹がない。

2個のOPTの無帰還での周波数特性。良く揃っている。

歪率特性。1Wを超えるとクリップし歪率が悪化する。100Hzでも0.1Wにおける歪率は0.3%で十分低い。

 

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[10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div]

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしても発振しないことを確認。OPTは優秀だね。

バラックでの実験では特性的に問題は無かった。後は(3結に近い)UL接続を試してみる、C3oをEF42に替えて特性を測定、などを考えている。

またBluetooth基板を入手

ヤフオクでまたBluetooth基板を入手した。"ブルートゥースデコーダボード"で検索するといくつか出てくるものの1つ。リモコン付き。ヤフオクではXY-WRBTとなっているが、入手したものはZZ-WRBTと印字されている。何が違うのかわからない。

なぜ入手する気になったのかというと、電源電圧が3.7V~24Vとなっていたから。この手のBluetooth基板の出力は0.9Vと小さいので、差動プリアンプと組み合わせれば2Vの出力が得られると思う。これならクラシックをメインに聴く人でも問題ない。差動プリアンプの電源をそのまま共用できる。

リモコンの電池はCR2025で、手持ちに無いので試していない。基板のサイズは30mm×40mmで、巷に出回っているBluetooth基板より少し大きい。リモコンの受光部を設けた基板と、スイッチで簡単な動作が可能な基板があるようだ。

チップにはAC22BP0C819-25C4と印字されている。電源はPCからUSB Micro B接続ケーブルで供給できる。電源供給するとプチ プチ数回、ポロリンで起動、コキンで接続される。女性のアナウンスはない。Bluetoothレシーバーとして使うのなら、ボリュームを電源オン後の数秒間、絞っておいてから上げて使うのが良いと思う。PCでのデバイス名はZZ-WRBTとなっている。

基板には固定用に4個の穴が開いており、M2のスペーサーで固定できる。

電源を切って入れ直すとボリュームの位置を覚えておらず、表示は50%となっているが100%出ている。ボリュームを触ると50%からスタートする。これは去年入手したBluetooth基板へ退化した感じ。

残留ノイズは0.68mVと高く、高周波ノイズが出ているものと思われる。そこでLPFを通してみることにした。2.2mHのインダクタと0.01μFのコンデンサは手持ちを使用。当初はR1を560Ωとしている。

オーディオアナライザで0dBFS(=0.92V)の周波数特性を測定。20Hz以下はオーディオアナライザ自身の特性と思われるレベル低下があるので無視してほしい。高域はオリジナルでは20kHzで-1dBの低下が見られる。R1を560Ωとしたら20kHzで-1.8dBの低下が見られたので(LPF)、R1を470Ωとしたらオリジナルの周波数特性とほぼ同じになった(LPF1)。ただ接続ケーブルの容量により高域のレベル低下が起きているのかもしれない。

LPFを入れた時の残留ノイズは20μV前後をフラフラしており、十分低くなることがわかった。ただしBluetoothの入力がない状態で、出力のミュートが働くのかもしれない。

0dBFSの歪率を測定。PCの送り出しにはWaveGeneを使った。ただしPCの送り出し側の歪率は測りようがないのでわからない。オリジナルでは0.35%と高く、10kHzではノイズのためか1.8%にもなっている。LPFを入れたら下がることが確認できた。

消費電流はDCアダプタ使用で、5Vでは待機時14mA、WaveGene出力時20mA前後だった。WaveGene出力時にはLEDが点滅するので変化する。DCアダプタ24Vでは待機時14.6mA、WaveGene出力時21mA前後だった。

このBluetooth基板を、現在使っていない差動ライン・プリアンプに組み込んでみようかと思っている。

 

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回路はこんな感じ。バスブーストを取っ払った。マイナス電圧はACアダプタから抵抗分割で作っているんだね。だからACアダプタのマイナスはGNDじゃない。Bluetooth基板のGNDをつなぐと、基板の電源はマイナス電圧ぶん低くなる。それはいいんだけど、Bluetooth基板の電流がLEDの点滅で変動すると、マイナス電圧も変動してしまう。それで抵抗をツェナーに替えてみたのだが、実際試してみないと何が起きるかわからない。

 

4P1Lシングルアンプの製作依頼

とある方から真空管アンプの製作依頼があった。それは4P1Lを使ったシングルアンプだ。

4P1Lはロクタルの直熱5極出力管で、自分好みの音がするので好んで使っている。

同時に支給されたのがC3o。C3gは有名だがC3oって?これもロクタル管の電圧増幅5極管。

さらに支給されたEF42。リムロック管でソケットが特殊。

電圧増幅管は知識に乏しいのでプレート電流に何mA流せばいいのかわからないし、ましてどっちが「良い音」がするなんて皆目見当がつかない。バラックでテストしてみてCRのパラメータフィッティング、試作機を組んで聴く以外あるまい。

さらにOPTはTANGOのU-608が支給された。これって未開封だし、かなりの価格じゃね?

 

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回路はこんなふうに考えている。CRのパラメータはまだ未検討。

電圧増幅は5極管の標準接続、電力増幅は4P1Lの3結とする。3結に近いUL接続でもいいかもしれない。3結だとせいぜい出力は1.5Wくらいなので、ULのほうが増えると思う。

電圧増幅を3結、電力増幅を5結にしてNFBを多めにかける方法もあるが、4P1Lの5結って半導体アンプに近い音色になると思っているので避けたい。実際試してみないとわからないけどね。

VT-25シングルアンプ・比較試聴

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VT-62シングルアンプ(左)と新作のVT-25シングルアンプ(右)を比較試聴してみた。VT-62シングルアンプは6DN7の直結カソードチョークドライブ、VT-25シングルアンプは6DN7の直結カソードフォロアドライブだ。OPTは同じアンディクス・オーディオのOPT-S14。

アンプを取り替えながら同じ数曲を流して聴き比べてみると、結論から言えばVT-62とVT-25の聴き比べとなった。VT-25は中高域が良く出て繊細感がある。VT-62は中庸でオールマイティといったところか。これはVT-25シングルアンプにVT-62を挿してみた時と同じ印象。意外にVT-25シングルアンプで低音が出ていると感じることがあった。

出力を欲張らなければVT-25の2Wでいいかなあ、という感じ。私の駄耳ではカソードチョークドライブとカソードフォロアに音色の違いは見い出せなかった。

話題は変わって、VT-25シングルアンプの歪率特性は1kHzや10kHzに比べ、110Hzの曲線が悪め。何が原因だろうか。

歪率カーブを測定するのは大変なので、0.01Wと0.1Wで調べてみた。1kHzや10kHzは電圧増幅段と出力段で歪みの打ち消しが起きていると考えられるので、2SK30A-Yの|Yfs|が変わったらどうなるか。

(1)は現状で、2SK30A-YはId=1.5mAでのVgs=-0.407Vだった。

(2)はVgs=-0.477VのFETを仮付けして測定。結果は110Hzに現状との違いは見られなかった。

無作為に他の2SK30A-Yを試してみたが傾向は同じ。2SK30A-Yの|Yfs|が110Hzの歪率に影響しているとは考えにくい。

(3)はVT-62に挿し替えてカソード抵抗を1421Ωから993Ωに変更、プレート電流を29.1mAまで増やしてみた。110Hzの歪率が低下しているのがわかる。おそらくVT-62で内部抵抗が低くなった為と思われる。

VT-25のような内部抵抗が高い真空管ではOPTのインダクタンスが多いほうが有利。結果から考えると、OPTのインダクタンスが増えれば110Hzの歪率が改善すると予想する。

VT-25シングルアンプ・完成

このアンプを製作しようと思ったきっかけは、拙VT-62シングルアンプで音楽を聴いていた時にフィラメントの輝きが美しいと思ったことだった。

 

同じ送信管であるVT-25なら何本か持っていたはずなので、探してみると3本見つかった。これを使ってVT-25シングルアンプを製作しようと考えた。

電圧増幅段はVT-62シングルアンプと同様に6DN7を使ったらどうだろう。手持ちには7本の6DN7がある。これは電圧増幅と電力増幅の3極管が1本に封入されたテレビ球だ。VT-62シングルアンプはカソードチョークドライブだが、例えばチョークコイルにゼネラルトランスのPMC-80Hを使うと2個で1万円を超えてしまう。ならば6DN7のカソードフォロア直結ドライブではどうか。

VT-25のフィラメントをDC点火する時にCRフィルタを使う場合、残留ノイズを減らすためハムバランサを使う。これは真空管を差し替えるごとに調整する必要がある。また真空管の劣化具合によって調整がずれる。DC点火をするなら3端子レギュレータを使ったら良いのではないかと思った。残留リプルが低いのでハムバランサが不要になる。DCDCを使う方法もあるけれど、ノイズ低減のためLCフィルタを入れる必要がある。ただノイズ成分は高周波だから、測定器に聞こえるのを気にしなければ入れなくても構わない。

VT-25のカソード抵抗の代わりに定電流回路を使えば6DN7カソードフォロア段のバイアス調整が不要になる。ただVT-25がエミ減になるとカソード電圧が上昇し、定電流回路の耐圧を超えてしまう恐れがある(高耐圧の3端子レギュレータなら問題が解決する)。ただ、電流を確保するためにVT-25のエミ減が加速されると思われるので、抵抗による自己バイアスが安全だと思う。

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前置きが長くなったが、本機の回路を上記に示す。VT-62シングルアンプのアンプ部に倣い、初段をFETと3極管によるカスコードとしている。電源トランスはVT-25のフィラメント電源のため西崎電機に特注した。LM350Tは最低入出力電位差が2.6V以上である必要がある。LM350Tは最大電流が3Aだが低損失レギュレータに電流を流せるものが見つからない。VT-25の冷間時のフィラメント抵抗は約1Ωと低く、電流に余裕がないと3端子レギュレータの保護回路が働く可能性大。

6DN7のカソードフォロア段の±電源が2段のCRとなっているのは、残留リプルが残留ノイズに影響すると考えたからで、こんなに大掛かりにする必要はないかもしれない。

なるべく電源回路を簡単にしようと無いアタマをひねってみたが、やっぱり大掛かりになってしまった。

OPTはアンディクス・オーディオのOPT-S14で1次10kΩ、出力容量5W。OPTにお金をかけるのなら1次14kΩのISOトランス FC-20-14S、ハシモトトランス H-20-14Uが良いだろう。でも、たかだか出力2Wのアンプに20WのOPTを使うのは大げさな気がする。ゼネラルトランスのPMF-7WS-1014ならリーズナブルな価格かな。なぜこれらのOPTを候補に挙げたのかは、VT-25のrpが5kΩと高く、インダクタンスの小さいOPTでは低域を充実させることができないから。

特注した電源トランス。1次100V 50/60Hz、2次 0-320V 0.1A、0-115V 0.1A、8.5V2.2A×2、6.3V2A。

 

諸特性を上記に示す。高域は-3dB点の周波数が70kHzで伸びていないが、OPTの特性によるもの。出力は1kHzで2W。これはA2級でグリッドをプラスまでドライブしているため。残留ノイズは0.11mVと低くなった。これくらい低いと静けさの表現が良くなるように思う。

周波数特性。両チャンネルがよく揃っている。

クロストーク特性。20Hz~20kHzでは-70dB以下。

Lchの歪率特性。110Hzが悪めなのは、VT-25のrpが5kΩなのに対し、OPTのインダクタンスが約19Hであるためと思われる。もっとインダクタンスの大きいOPTなら良くなるんじゃないかな。

Rchの歪率特性。

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[10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div]

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしても発振しないことを確認。

使用機材
オシレータ TRIO AG-203
ミリボルトメータ LEADER LMV-181B
デジタルオシロスコープ IWATSU DS-5105B
オーディオアナライザ Panasonic VP-7721A
ANALOG DISCOVERY 2
PC Lenovo ThinkPad E14 OS Windows11 Home 23H2

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レイアウト図。アルミシャーシは株式会社奥澤のO-45でW300mm×D170mm×H50mm、t=1.5mm。電源部は12Pの平ラグに無理やり乗せたが、フィラメント電源の平ラグ5PをOPTとVT-25の間に置き、電源部を8P×2で電源トランスの両側に配置したほうが良かった。平ラグを多用し、VT-25のカソードCRを除き、CRをほぼ全部乗せてある。

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シャーシと裏蓋の穴加工は自分で行い、ダークグレーマイカメタリックに塗装した。磨きはコンパウンドシートの導入でラクになった。

ワンパターンだが今回もブツ撮りをしたので掲載する。

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拙VT-62シングルアンプとの違いはVT-25をソケットプレートで15mm沈めたことにある。これでOPTケースより真空管があまり飛び出さなくなった。

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6DN7はコインベースのものを使ったが、見た目はコンパクトロン管のような感じ。

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やっぱりこういう光り輝くフィラメントというのは見栄えがする。

 

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電源トランスの養生テープを剥がす時に塗装がところどころ剥がれてしまったので、マットブラックで塗装した。プラサフを使わなかったので、剥がれたところが少々凸凹しているが気にしないことにする。形あるものはいずれ壊れるのである。アンプを使えば傷がついていくものだ。

 

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https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/o/onnyo01/20240327/20240327163127_original.jpg電源部の平ラグとの干渉を避けるため、SP端子をその両側に置いた。

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シャーシ内部。平ラグからの配線が多くてゴチャゴチャしている。TO-220の3端子レギュレータやMOSFETを平ラグのスペーサーに共締めしたので直接見えない。LM350Tはフルモールドではなく放熱のフィンが剥き出しのため、絶縁ワッシャを使う必要があって固定し難かった。背の高い電解コンデンサの頭にはシャーシとのショートを避けるため気休めにシールを貼ってある。実際は間隔が空いているので問題ない。

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駄耳の私による試聴結果。送信管のせいか中高域に浸透力があって音がよく飛ぶ。反面、低域は普通といった印象。後日VT-62シングルアンプと比較試聴をしてみようと思っている。出力管の違いはあるものの、VT-62シングルアンプのカソードチョークドライブとVT-25シングルアンプのカソードフォロアドライブの差がどう出るか。

 

VT-25シングルアンプ・VT-62を挿してみる

VT-25(10)の上位互換球(と言うのか?)としてはVT-62(801A)がある。これは最大プレート電圧と最大プレート損失をアップさせた送信管で特性的には同一とされている。手持ちにVT-62が2本あるので、いわゆるタマころがしをしてみる。ただ差し替えるだけではなく、特性データを取っておきたい。

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回路図に赤字で実測の電圧を記入した。VT-62のカソード電圧はVT-25と同じ27Vに調整した。プレート電流は19mAとなる。もっと流すこともできるが同じにしてVT-25と比べてみたかった。

特性を上記に示す。出力は微増、ダンピングファクタは3.9~4.0とすこし増えた。

Analog Discoveryによる周波数特性。VT-25とほぼ同じ。

参考にクロストーク特性。20Hz~20kHzでは-70dB以下だった。

Lchの歪率特性。変わることを期待したが、VT-25とほぼ同じだった。

Rchの歪率特性。

3階の自室で試聴。VT-25が腰高な印象なのに比べ、低音が出てスケール感が増した感じ。総じてハイファイ調。音色に色付けがないのを好む人向きかもしれない。私としてはVT-25の鮮やかな中高域が良いと思う。

じつは電源トランスの上部カバーの養生テープを剥がした際に塗装がところどころ剥がれてしまい、黒の油性ペンでごまかしてある。ビニール袋に四角の穴を開けて貼り付け、上部カバーだけをマットブラックに塗装しようかと思っている。でも天候不順な日が続くようなので、なかなかできそうにない。

 

VT-25シングルアンプ・NFBをかける

VT-25シングルアンプは無帰還での特性に問題ないことが確認できたので、NFBをかけることにした。NFB抵抗は実験機で1kΩとすれば6dBとなることがわかっている。発振防止に位相補正容量1000pFを並列に入れる。

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現状の回路図。

諸特性を測定。高域は70kHz前後まで伸び、1kHzでの歪率5%の出力は2Wだった。DFは3.5~3.9で、違っているのはVT-25の内部抵抗のバラツキによると思われる。残留ノイズは0.11mVと低い。

Lchの周波数特性。位相補正により30kHz~60kHzにかけて下がっていることがわかる。

Rchの周波数特性。Lchと同様だった。

NFB後の周波数特性。左右チャンネルで特性がよく揃っている。

クロストーク特性。6DN7カソードフォロアの±電源が左右で共通ということで低域のクロストーク悪化を心配したが、20Hzで-70dB取れている。20Hz~20kHzでは-70dB以下となった。

Lchの歪率特性。実験機と同様な特性になった。

Rchの歪率特性。

歪率特性からはRchのほうが残留ノイズが多いことを示しているが、残留ノイズは両チャンネルで0.11mVで同じ。おそらく特性測定時に残留ノイズの変動があったものと思われる。

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[10kHz方形波、ダミーロード8Ωでの出力2Vp-p、100mV/div(プローブ10:1)、20μS/div]

SP端子に0.047μF~0.47μFのコンデンサをつないで方形波観測し、ダミーロードをオンオフしても発振しないことを確認。

特性は問題ないことが確認できたので、3階の自室で試聴する。送信管のためか中高域に浸透力があって音がよく飛ぶ。反面、低域は普通といった印象。

 

現状何か改善すべき項目は見つからないし、このまま完成まで行きそうな気がしてきた。ただ一点、VT-62に挿し替えたら特性がどうなるのか興味がある。もしVT-62にしてプレート電流を増やしたら主役交代になりかねないので、あくまで参考データとして取っておきたい。

 

VT-25シングルアンプ・動作確認

配線の終わったVT-25シングルアンプの配線チェックを行う。誤配線や配線忘れ、ショート・オープンは無いようなので、真空管を挿して電源オン、カソード電圧を27Vに調整。各部の電圧に設計と大きな違いがないことを確認。

SP端子にDMMをACレンジにして接続、RCA端子に指を触れて電圧が上昇するのを確認。今回も動作一発OKだ。

AC100Vが実測101V~102Vあるのに+Bが設計の392Vに対し実測382V程度で10V程度低い。+Bの整流後の電圧は設計425Vに対し415Vとやはり10V程度低いので、R12を75kΩから51kΩに変更した。

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各部の電圧を測定。+BはAC100V基準で390VとなったのでOKとした。

Analog Discoveryによる周波数特性。かまぼこだが2個のOPTの特性がよく揃っている。


簡単に特性を測定。利得は21.1倍~21.6倍、ダンピングファクタは1.4~1.5で、NFB前提のため低くても問題ない。残留ノイズは測定するたびに変化するが、0.14mV~0.18mVだった。

特性を調べた限りにおいては特に問題なし。NFBをかけて詳細な特性を測定する予定。

VT-25シングルアンプ・組立~配線

VT-25シングルアンプの組み立てを始めた。軽いものから外装パーツを取り付けていく。仮組みで確認しているから、特に問題なくパーツが付いた。

フロント部分には傷防止のため厚紙をカットして貼り付けた。真空管を挿して「観球アンプ」。

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シャーシ内。仮組みの時に+B電源の平ラグを反対向きに取り付けてしまったのを、当初の予定どおりにした。フィラメント電源を反対向きに取り付けてしまったのは御愛嬌。

Lchのアンプ部の平ラグは作成済。中央に対しミラー配置となっている。平ラグはこういうのが得意。

 

+B電源のコンデンサの頭はシャーシに対して間隔が空いている。これが正解。

コンデンサが裏蓋に触れたり飛び出さないのを確認。

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配線をスタートする。まずはAC100V配線(白)を済ませて電源トランスの電圧を確認。次に6DN7のヒーター配線(青)をする。-C1電源(立ラグ)への配線もやってしまう。更にVT-25のフィラメント電源の配線(青)をする。

真空管を挿して点灯式。VT-25のフィラメント電圧は7.0V、6DN7のヒーター電圧は6.3Vだった。

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+B電源の平ラグに配線してシャーシに取り付け結線する。電源基板周りが込み入っているが、何とかできた。

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ダミー抵抗を取り付けて電源部の動作確認を行う。

 

実測の電圧を赤字で記入。+Bは高め、+B1と-C、-C1はほぼ設計どおりだった。

SP端子の配線に手こずった。奥まったプラス側の端子に配線を2本、CRのリードを1本差し込んでハンダ付けする。ラグ端子の穴がもう少し大きければ楽だと思うのだが。

 

アンプ部基板への配線を進める。基板に取り付ける配線と、外からつなぎ込みする配線を慎重に選んだ。忘れている配線が無いように注意した。続いて真空管ソケットへ配線をハンダ付け。

 

VT-25のソケット周りのCRを取り付ける。カソードバイパスコンデンサの向きを思いつきで90度曲げたが、-C1電源のコンデンサを寝かすだけで良いことに気づいた。とりあえず付いたので良いだろう。

 

ボリュームから初段FETゲートへのシールド線を作成。

 

目の疲れと肩こりで片頭痛が出そうになったのでボルタレンを飲んだ。これ以上の作業は無理と判断して本日は終了。

 

翌日。RCA端子からボリュームへのシールド線を作成。シールド線はカットした網線が散らばるのが嫌。シールド線かんたん処理ツールみたいなのがありそうなものだが。

 

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(右クリック→新しいタブで画像を開くで拡大表示できます) これで配線とCRの取り付けはおしまい。とにかく平ラグ周りに配線が多くてゴチャゴチャになった。背の高い電解コンデンサの頭には気休めだがシールを貼った。


今後は配線チェック後に動作確認を行う予定。

VT-25シングルアンプ・シャーシと裏蓋の塗装

今回も金太郎飴的な記事だが備忘録なのでご了承を。塗装は外の駐車スペースで行うので、雨が降ったり風が強くて塗装のできない日が数日。ようやく風の弱い晴れた日に一気に塗装する。

シャーシと裏蓋の保護ビニールを剥がし、溶接跡やバリをリューターにつけたペーパーコーンで削った。

浴室で水をかけながら#400のペーパーで縦横斜めに傷をつける。塗装の密着性が良くなるらしいのだが定かではない。その後洗剤で油分を洗い流した。私はシリコンオフを使わない。ガスレンジで乾かした後、カットしたカレンダー紙を貼り付けて塗装準備完了。そのまま塗装待ちの状態に。

塗装に使うスプレー類。左から下地にプラサフ、本塗装にダークグレーマイカメタリック1E2、上地にクリアA-4。今回は拙VT-62シングルアンプと同じ塗色の1E2とした。これはブラックマイカと呼んでもいいくらい黒で、磨き傷が目立つために避けていた。コンパウンドシートの導入で磨きが楽になったので採用となった。

寒い時期はスプレーを30℃くらいで湯煎する。粒子が細かく出るようになる。

駐車スペースに新聞紙を敷き、養生テープで固定。シャーシと裏蓋はヨーグルトの容器で浮かせている。

塗装はプラサフを2回、本塗装を2回、上地を3回塗った。ひたすら7回繰り返した。大体1回に1時間半、7回で10.5時間といったところ。1回塗るごとに#2000のペーパーで軽く塗装面に付いたホコリを払った。

 

塗装後は20分くらい自然乾燥させ、その後赤外線ストーブで1時間くらい高温乾燥させる。塗装1回ごとに溶剤を飛ばす。乾かないまま塗り重ねると溶剤が閉じ込められていつまでも乾燥しない。

 

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最後に1時間、カレンダー紙を剥がして高温乾燥を行い、終了とした。

数日乾燥させた後に磨きを行う。

塗装が乾いたのを見計らって磨きを行う。まず塗装面についた大きめのゴミを#2000のペーパーで削った。極力ゴミの周辺部を削らないように注意した。

浴室でコンパウンドシートを使い水研ぎをする。削れてくると水に白い色がつく。時々セルローススポンジで水気を拭き取ってみると、どのくらい削れているかがわかる。

 

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塗装面が平坦になって曇った状態になったら終了。

コンパウンドの細目~極細で、縦横の直線でひたすら磨く。磨き傷がほぼ消えたらOK。

仕上げに液体コンパウンドで磨いた。最後にクルマ用のコーティング剤を塗ったら磨きは完了。

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こんな感じになった。ゆず肌は完全には消えないが、作業が大変なのと、角の下地が出てしまう危険があるので止めた。

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K.Yairi RF-65 Customのブリッジピン交換

K.Yairi RF-65 Customのブリッジピンを交換してみた。最初からついていたのはたぶんプラスチック製のもの。

交換するブリッジピンには根元の径がTraditionalタイプ(太い)、Presentationタイプ(細い)の2種類があり、ブリッジピンを抜いて径を確認する必要がある。測ってみたら約5.1mmだったのでTraditionalタイプのを購入した。

これはGRAPHTECHのPP-2182-00で、Paua貝が埋め込まれている。ブリッジピンの材質はTUSQ(人工象牙)。根元径は約5.14mm、首より下の長さは約25mmとなっている。

太くて刺さらないので削る必要がある。最初は#240のペーパーでやってみたが全然削れるようすがない。次は爪ヤスリでやってみたがやはり同様だった。結局金工用の棒ヤスリでピンを回しながら削った。

これは作業途中で左から2番目が加工前、3番目が元々使われていたもの。削っては挿して刺さり具合を確認する。ピンがブリッジの穴に当たっているところが光ってわかるので、そこを重点的に削る。1本の加工に15分~20分位かかった。

全部のピンの加工が終わったところ。まだ高さが不揃いだがこれで勘弁。削っていたら指先が痛くなってしまった。弦を張ったり緩めたりするので、交換前の弦でやると良い。

交換が終わって試し弾きしてみると、キラキラ感があって弦を新しいものに交換したよう。音量が上がったように感じる。ただし私は駄耳だし、単に気分的にそう感じるのかもしれない。交換したほうが音が良くなってくれなくては困る。というか、自分の好みの音色になってほしいから。

果たして購入価格ぶんの効果があるかは疑わしいが、元に戻すのは簡単だから大丈夫。

VT-25シングルアンプ・仮組み

VT-25シングルアンプの金属加工が終わったので、仮組みをしてパーツの干渉や接近しすぎな箇所が無いかどうか確認する。試行錯誤しながら組み立てていったので時間がかかった。シャーシの追加工は無かった。いきなり電源部の平ラグの電解コンデンサの頭がつかえたので黄銅スペーサーを10mmから7mmに変更。

 

VT-25のフィラメント電源で電解コンデンサの頭が飛び出してしまい、裏蓋につかえてしまうことがわかった。黄銅スペーサーを10mmから7mmに交換、3端子レギュレータに共締めするスペーサーは短いものが手持ちにないので7mmから5mmに短くする加工を行った。

ノギスで測りながら2mm削った。どうしても傾いて削れてしまうので、削れ具合を見ながら加工した。その結果、電解コンデンサの頭が飛び出さないようにできた。10000μF16Vを4700μF16Vの2個並列にしても良かったが、買い出しに行かないと手持ちに無い。

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パーツが付いたシャーシ内部。部分的に込み入っているので配線し難そう。特に電源トランス周り。

 

電解コンデンサの頭はぎりぎりシャーシに触れていない。電解コンデンサのケースは電極のマイナス側へ高抵抗で接続されていると考えたほうがよく、今回の場合は-C電源の最初のコンデンサなので、もしケースがシャーシ(GND)にショートした場合、-CからGNDへ微小電流が流れるだけなので問題ない。

 

真空管ソケットは配線をハンダ付けするだけなので大丈夫そう。

ソケットのピンと平ラグとはぎりぎり離れている。

画像中央の立ラグには1000μF50Vの電解コンデンサを取り付けるが、-C電源の立ラグ(右)と干渉しそう。

 

真空管を挿していつものように「観球アンプ」。6DN7はコインベースを挿してみた。VT-25はスペーサーで15mm沈めているが、まだOPTのトランスケースより高い。

 

バナナ専用SP端子は電源基板を避けるため画像のようにしたが、仕方ないけどやはり違和感がある。

 

アンプ部の平ラグ基板を作成する作業が残っている。画像のように左右ミラーにする。これは電源トランスからなるべく初段アンプ部を離そうという魂胆。

 

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シャーシ内部画像を見ていて思いついたのが、フィラメント電源をVT-25の近くに置くこと。電源トランスの左右には電源の平ラグ8Pを2枚、振り分ければ良い。これならコンデンサの過密配置にならないし、ベストだと思う。後悔先に立たず。


今後の予定はシャーシと裏蓋の塗装をするが、外の駐車スペースで作業する都合上、雨が降らなくて風の弱い日を選ばなければならない。