杉江松恋の新鋭作家ハンティング 無限の広がりを持った小説ーー田中空『未来経過観測員』
文字通り、無限の広がりを持った小説だ。 田中空『未来経過観測員』(KADOKAWA)を軽い気持ちで読み始め、途中から、おっ、…
杉江松恋の新鋭作家ハンティング 機械の体を手に入れた〈わたし〉の家族史『ここはすべての夜明けまえ』
この文体にやられたのだ。 間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房)に心がざわつかされている。新人の作品に触れることに…
杉江松恋の新鋭作家ハンティング 胸に突き刺さる現実の物語ーー麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』
小説に書かれた台詞が胸に突き刺さる。 投擲された槍みたいに、ずしんと刺さるというわけではないのだ。ぐさぐさ、ちくちくと刺さっ…
杉江松恋の新鋭作家ハンティング 十代の心情をあらゆる角度から描き出す『まだ終わらないで、文化祭』
どこから一方向からではなく、あらゆる角度から見て人の肖像を描く。 藤つかさ『まだ終わらないで、文化祭』(双葉社)を読んで、あ…
杉江松恋の新鋭作家ハンティング 還暦を過ぎてのデビュー作、東圭一『奥州狼狩奉行始末』
熊も怖いが狼も怖い。 東圭一『奥州狼狩奉行始末』(角川春樹事務所)は、自然と共に生きてきた人間のありように思いを馳せさせられ…
杉江松恋の新鋭作家ハンティング 日比野コレコ『モモ100%』に溢れる“強烈な言葉”たち
高らかに宣言するような始まり方をする小説である。 日比野コレコ『モモ100%』(河出書房新社)は中学三年生の少女たちがテニス…
杉江松恋の新鋭作家ハンティング 古典作品の本歌取りを行った謎解き小説『毒入りコーヒー事件』
ああ、なるほど。だからチョコレートがコーヒーにずらしてあるのかな。 と、未読の人にはなんだかわからない感心の仕方をしてみた。…
気鋭の書評家たちが古典と最新の両面から迫る! 『十四人の識者が選ぶ 本当に面白いミステリ・ガイド』
杉江松恋(監修)『十四人の識者が選ぶ 本当に面白いミステリ・ガイド』が7月31日に株式会社Pヴァイン/ele-king book…
杉江松恋の新鋭作家ハンティング ミステリーを分析、解体、再構成する大滝瓶太『その謎を解いてはいけない』
ミステリーという小説形式をこれほど理解している書き手もいない。 『その謎を解いてはいけない』は大滝瓶太初の著書である。「…
杉江松恋の新鋭作家ハンティング 朝比奈秋『あなたの燃える左手で』の意欲的な挑戦
朝比奈秋には三島賞だけではなくて芥川賞もあげてもらえないだろうか。 先日第169回芥川・直木両賞の候補作が発表された。残…
連載:道玄坂上ミステリ監視塔 書評家たちが選ぶ、2023年5月のベスト国内ミステリ小説
今のミステリ界は幹線道路沿いのメガ・ドンキ並みになんでもあり。そこで最先端の情報を提供するためのレビューを毎月ご用意しました。 …