限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【アメリカの今】南米からの移民の13の要求とネットのコメントまとめ(米国版ヤフコメみたいなやつ)

移民の現状とデンバーでの移民の要求

 アメリカの今を知ることで、今後の経済予想の幅を広げて投資などに役立てないかと、日々、アメリカ経済・アメリカ社会の時事問題をまとめています。

 アメリカは移民の国と言われています。移民が安い労働力と消費者としてアメリカ経済を支えている現実があります。また、人口の増加も移民によるものが多いのです。反面、移民に仕事を取られてしまうという一部アメリカ人の危機感や、職に就けない移民がホームレスなどになってしまう問題がずっと起こっています。
 具体的な移民の数としては、メキシコとの国境で、国境警備隊が遭遇した不法入国者数は2023年度(2022年10月~23年9月)で205万人(22年度:221万人)と、2年連続で200万人を超えるなど歴史的な高水準にあります。

 アメリコロラド州デンバーという都市があります。人口70万人余りの都市ですが、経済的にも恵まれている都市でもあり、日本の高山市姉妹都市でもあります。
 このデンバーに移民4000人がキャンプを張っており、デンバー市に13の要求をしています。この要求と、ネットに書き込まれた感想をまとめてみました。

13の要求項目

移民の要求項目は以下の通りです。移民はほとんど英語を話せない事から、彼らを支援しているホームレス擁護団体が作成したという指摘もあります。

①調理済みの食料配布の代わりに、米、鶏肉、小麦粉、トマト、玉ねぎなど、「新鮮で文化的に適切な食材を使って、自分たちで食事を調理する」ことを許されるべきである。また、避難所の外から食料を持ち込んだり食べたりしても罰せられないようにして欲しい。
②時間制限なしのシャワーの利用。
③定期的な医療の提供と、必要に応じた専門医療の提供。
④適切な住宅支援。
⑤不適切な移民への退去を行わないよう適正なプロセスの提示。
⑥雇用支援。
⑦弁護士との無料相談サポート、法的サポートの要求
⑧避難所にいる家族のプライバシーを守れる体制をつくること。
⑨保安官等による24時間の監視を停止すること。
⑩子供たちへの教育サポート。
⑪移民間や移民の家族を分散させない事。
⑫市長や市の移民支援プログラムの運営に携わる人々と「待遇のさらなる改善について話し合う」事。
⑬すべての避難所の住民に対して、これらの要求が達成されているか、英語とスペイン語による通報窓口の開設

ネットの書き込み(口汚いものもありますので注意してください)

・彼らやその家族を守るために必要な要求であり、放置するのではなく助けるべきだし、それの何が悪いのか分からない。彼らがホームレスになってしまうより、社会に適合した方が良いはずだ。
(そのコメントへの反論)それなら、あなたが自分で支払えばよい。彼らに税金を使う事には違和感を感じる。本来なら、退役軍人や貧しい人に税金を使うべきだ。

アメリカ人も要求リストを作るべきだ。「移民を強制送還しろ」と。

・彼らを強制送還して、ついでにバイデン政権も強制送還したらめでたい。

民主党アメリカ弱体プログラムの一環だろう。共和党もそれを知っているが、共和党も古くから腐敗しているので、そのことに触れない。

・永眠させろ。

・自分の好みの味が食べたいなら、自分の国から離れなければいいのに。(アメリカの代表的な食べ物)ピーナッツバターとジェリーのサンドイッチを愛することから覚えなさい。

民主党が起こしたバカバカしい騒ぎだ。まもなく終わるよ。

・これから金銭的要求が行われるんじゃないか。コロラドはスキーに行くには良いが。
(そのコメントへの反論)来なくていい。自分の家にいろ。

デンバーは素晴らしい。これから、ワイオミングやユタやカンザスからも移民が訪れるだろう。

・中国に送ってしまえ

・こんな金使うより強制送還した方が安上がりだろう
(そのコメントへの同意)その通りだね。しかし、数十億ドルが移民に使われ、強制送還にも数十億ドルが使われ、インフラ整備や退役軍人へのサポートの金が無くなるな。

コロラドは5つの軍事基地があり、(移民に敵意を示す)トランプのテリトリーだが、関係ない。彼ら移民が英語を話して働くのなら、人種、政治、宗教も関係ないし、私は彼らと同じ道を歩むよ。

ドナルド・トランプは正しい。移民に対して抜本的措置を取るべきだ。

 全部はとても書ききれませんが、民主党やバイデン政権批判に結び付ける書き込みが非常に多かったのが印象的でした。移民問題というよりは政治思想的な面も垣間見える書き込みが多いように感じました。また、移民問題も複雑で、様々な経緯やトラブルもあるのでしょうが、アメリカも中南米国も相互に利用し合ったり反発したり、様々な歴史があることを考えると、安易に答えが出せないなと思います。まずは現状をまとめてみた形です。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:Denver Migrants Send List of 13 Demands to Mayor (newsweek.com)
引用:Denver migrants' list of demands reeks of influence from leftist activists (nypost.com)

【アメリカの今】アメリカ人の半数が借金‼若者の借金も激増

クレジットカード所有者の44%が借金

 アメリカの今を知ることで、今後の経済予想の幅を広げて投資などに役立てないかと、日々、アメリカ経済・アメリカ社会の時事問題をまとめています。

 アメリカ人が日本人と比べても消費意欲が高く、それが、インフレにもつながっていることはよく知られています。しかし、今のアメリカでは住宅購入には手が届かず、享楽的に消費をし、借金を積み重ねている、とBankrateが調査を発表しました。アメリカでは50/30/20ルールといって、収入の50%を必要経費に、30%を娯楽、嗜好品に、20%を貯蓄することが理想的なスタイルと言われますが、そんなことはどこ吹く風と借金を積み重ねている今のアメリカの構図があります。クレジットカードを持つアメリカ人の44%が月の支払いが出来ず、借金を繰り越しています。その場合、遅延利息などがかかりますので当然生活はさらに苦しくなり、いわゆるサブプライム層になってしまうアメリカ人も少なくないようです。
 調査ではクレジットカード所有者のほぼ半数(44%)が、毎月借金を抱えています。また、裁量的支出に関する項目では、アメリカ人の3人に1人以上(38%)が、今年は楽しみのために借金をすると回答しているそうです。
 また、アメリカ人の3人に1人以上(39%)は、クレジットカードの支払いを翌月以降に繰り越しするだけでなく、後払い(BNPL)サービスを少なくとも1回利用したことがあると答えています。BLPNとは「Buy Now Pay Later」(いま買って、後で支払う)という後払い決済サービスですが、氏名や年収などで2000ドル程度の枠がすぐに与えられ、信用機関にもその情報は登録されず、ローンの信用を毀損しない反面、多重債務に陥りがちな制度でもあり、一部から警鐘を鳴らされている制度になります。
また、細かなデータは次の通りです。
借金に追われる:アメリカ人の5人に1人以上(22%)が、毎月の残高を抱えていると回答し、クレジットカードの借金が支払い切れないと答えています。

ローンが組めない:米連邦準備制度理事会(FRB)が2022年3月に主要政策金利の引き上げを開始して以来、ローンや金融商品を申請した米国人の半数(50%)が拒否されている。

十分な節約ができない:貯蓄のあるアメリカ人の3人に2人(67%)は収入が4%未満で、3人に1人(33%)は緊急に何かが起こった場合、1000ドルの貯蓄がないと回答しています。

家を買う余裕がない:住宅購入希望者の半数以上が、現在の生活費が高すぎるか、頭金(51%)と住宅取得に関する諸費用(54%)を支払う余裕がないほど収入が足りないと回答しています。さらに、住宅購入きぶしゃの20%は、家を買うのに十分な貯蓄ができるとは思っていません。

経済的な富を築くことができない:Z世代(1997~2012年生まれ、アメリカ人の20%)とミレニアル世代(1981~1996年生まれ、アメリカ人の23%)のほぼ5人に2人(38%)は、経済のために、親が同年代の頃よりも経済的資産を築くのに苦労していると考えています。

なぜ、アメリカ人、特に若者の借金が多いのか

 アメリカ人の半数近く(47%)が、お金はメンタルヘルスに悪影響を及ぼすと答えています。つまり、お金に関するストレスを非常に大きく感じているにもかかわらず、なぜ、ここまで借金をしてまでお金を費やすのでしょうか?
  大きな理由はまず、インフレです。家賃の高騰などが生活を圧迫し、余裕がなく、借金をせざるを得ない状況が続いています。さらに、年々高額化する学費のために多額のローンを組んで社会人になった世代は、そのローンにも苦しむことになります。そのため、思うような生活が出来ず、住宅取得もほぼ諦めて、貯蓄も出来ず、借金をして消費に走る若年者の姿があります。特にミレニアル世代よりもより若いX世代の借金が増加傾向にあり、若者が経済的に苦しんでいる状況です。十年前のミレニアル世代が自動車ローンを組む割合は25%だったのに対して、現在、X世代は30%になります。
   アメリカ人のクレジットカード残高は1兆ドル(150兆円)を超えるとされ、新たなサブプライムショックになりかねないのでは、と危惧する声も出ているようです。

当ブログにお越しい頂きありがとうございました。
引用:Almost half of Americans are in debt. Is doom spending to blame? (yahoo.com)
引用:Gen Z leaning more on credit than millennials did starting out | Fox Business
引用:Survey: More than half of aspiring homeowners say cost of living, low income hold them back (bankrate.com)
  

【アメリカの今】米国の中流層がインフレで今後5年に諦めなければならない7つの事

インフレによってアメリカ人中流層の生活が大ピンチ

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 アメリカのインフレや2極化する経済構造の中で、中流家庭の生活が大変厳しくなっています。GobankingRatesに「米国の中流層が今後5年で諦めなければならない7つの事」として記事が出ていましたので、私なりに解説を入れながらご紹介ていきたいと思います。

1つ目・・・長期家族旅行

 長期休暇を取得して家族でゆっくりと旅行を楽しむのがアメリカの伝統でもあります。しかし、近年はコストも高く、リゾートホテルなどを経営するPacasoの調査によると、アメリカ人1人当たりの旅行費用は1週間でおよそ2,000ドルとされています。約30万円ですね。夫婦2人、子供2人いれば8,000ドルですから、およそ120万円となります。これは、アメリカの10万ドルほどの中流階級の年収の1割になりますから、この余裕は今後無くなっていくだろう、としています。

2つ目・・・新車

 コロナ渦を経て車の費用は劇的に値上がりしています。コロナ渦前の新車の平均取引価格は3万8500ドルだったのが、2023年11月にはこれが4万7939ドルに跳ね上がってしまっているのです。また、それに輪をかけて費用が掛かるのが自動車保険です。2023 年 2 月から 2024 年 2 月の間に、自動車保険の平均費用は 20.6% 上昇して 806.44 ドル(120,966円)になりました。これだけの新車の価格を高金利で自動車ローンを組み、なおかつ自動車保険を支払うのは難しく、中流層は中古車に流れていくでしょう。
 しかし、新車の高価格化に伴って中古車市場も高騰しており、アメリカ人の象徴である自動車が高値の花となりつつあります。
詳細は次のブログをお読みください。

shiina-saba13.hatenablog.com

 

3つ目・・・・私立学校の授業料

 アメリカでは子女に良い教育を受けさせようと思うと、公立学校より私立学校を選ぶ傾向があります。学業レベルや場所、宗教(カトリック系の学校など)により学費は様々ですが、Research.comによると、年間平均で、小学校は14,370ドル(約216万円)、中学校は15,180ドル(約228万円)、高校は19,020ドル(285万円)です。今後もインフレによってその金額は上がり続けるとも言われており、ミドルクラスの家庭ではこの学費は維持できないだろう、とみられています。

4つ目・・・持ち家と不動産

 アメリカの不動産価格は高騰し続けています。コロナ前の住宅用不動産は約30万ドルと言われました。1ドル150円で計算しても、4,500万円となります。しかし、コロナ後の現在の全米の新築住宅価格の平均値は41万2千ドルとなり、約6,180万円となります。加えて、住宅ローンの金利が7%前後となっており、その支払額は相当なものになります。6,180万円の住宅ローンを6.8%の金利で30年ローンの場合、総支払額は1億円を超えます。これも、10万ドル前後のミドルクラスには厳しい価格であることが分かります。「持ち家と不動産」と書きましたが、親の持ち家を相続するのも厳しいのがアメリカです。カリフォルニアでは、持ち家の高齢者の固定資産税などを減免する政策を打ち出しましたが、代わりに相続の際の税率は上がります。そのため、親の不動産をあてにすることは厳しいと記事では述べています。

shiina-saba13.hatenablog.com

5つ目・・・医療費

 アメリカの医療費が高いことはよく知られています。アメリカには日本のような皆保険制度はありませんから、アメリカ人はそれぞれが民間の保険に入ります。インフレの影響により医療費が上がり、保険料が上がっています。遅れてきたインフレと言われており、コロナのパンデミック時などの医療費の高騰を受けて、数年ごとの契約改定時に値上げを通告される形で保険料が値上がりしています。また、医療技術の発展に伴う医療費の高騰もあり、平均的な医療や介護を生涯にわたって受け続けることが困難になっています。

6つめ・・・退職後のレジャーと旅行

 今までの5つ、旅行、自動車、教育、住宅、医療費が支払えない状況で、十分なレジャー費用を賄える中流家庭は少なくなると見られています。かつては、中南米で長期旅行を行い穏やかな老後を迎えていた合衆国国民から、そのような余裕は無くなるとされています。

7つめ・・・退職者のための安全な投資

 アメリカにはソーシャル・セキュリティ信託基金というものがあります。公的年金である老齢・遺族・障害保険(OASDI)は、ソーシャル・セキュリティと呼ばれ、その資金は、独立したソーシャル・セキュリティ信託基金で管理されています。今、ベビーブーマーと呼ばれる世代が多く老後を迎え、その基金2033年に枯渇すると言われています。そうなると年金支給額は現在の4分の3になると試算されています。加えて、今のインフレでは少々高金利の債券を購入しても、インフレ率をカバー出来るかと問われると厳しい結果になる可能性も高いのです。そのため、これから退職を迎える世代は、厳しい老後が待っているとも言われます。

 以上が、アメリカの中流家庭が諦めなければならない事7選となります。現実は厳しいですね。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:

【アメリカの今】若年層~中年層の相続にみるアメリカの親ガチャ(相続)の現状

アメリカ版親ガチャ

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 「親ガチャ」という言葉が流行りましたね。元々は、生れた環境は選べず、虐待や教育格差を受けてしまうのは運不運でしかない、児童虐待や荒んだ家庭に生まれた子供を指し、そこからのサバイブをどうするか、という意味ではあったのですが、最近は親が裕福とか「実家が太い(金持ち)」という趣旨で使われます。今回は後者の意味も含めてアメリカの親ガチャ、特に相続について書いてみたいと思います。

アメリカで進む格差

 ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスでマーケティングを教えるスコット・ギャロウェイ教授はアメリカ社会の格差についてしばしば言及することで知られています。彼の発言の一部を引用します。「私が小さいころディズニーランドに行ったとき、そこには裕福な子、中間所得の家庭の子、低所得家庭の子がいた。
 しかしディズニーランドでは、みんな同じディズニーランドを経験した。みんなチケットブックに9ドル50セント払った。Eチケットをとっておき、「カリブの海賊」の行列に45分並んだ。ディズニーではみんな同じ経験をしたのだ。
 いまディズニーはこう言っている。カネをあまり持っていない人は119ドル。普通の食事をして、順番待ちの列に並んで。少しカネのある人は、170ドル払えばファストパスというものをあげよう。「カリブの海賊」に1時間並ぶことなく、たった10分で入れる。
  そして上位1%の超リッチな人々には、VIPツアーがある。5000ドルであなたと友人6人のグループにツアーガイドが1人つく。特別なダイニングルームでコスチュームを着たキャラクターが給仕してくれる。バックステージにも入れる。列に並ばなくていいどころではない。従業員用エントランスから入れるのだ。」と例え話をし、大学進学においても、かつては進学はやる気と希望さえあれば出来たものが、現在は、多額の費用を必要とし、生れた家庭によって待ち受けえる様々な困難さを指摘し、その解消を訴えています。

ベビーブーマー団塊世代)の巨額の遺産

 しかし、そんな格差を一掃するかのようなニュースが最近、アメリカで流れています。1928年から1945年に生まれたサイレントジェネレーション、そして最大の人口ボリュームを持ち、史上もっともな裕福な世代と言われる1946年から1964年に生まれたベビーブーマーがフェードアウトしていきます。その流れで、今後2020年から2045年までの間に、84兆ドル(1京3千億円)とも言われる巨額の資産が子や孫であるミレニアム世代やX世代と言った若年層に移転(相続)されるだろうと言われています。ミレニアム世代やX世代はサブプライムショックなど経済不況の中で育ち、多額の学生ローン(就職)の支払いを抱えながら就職し、世代間格差を訴えている世代でもありますが、その世代が資産を得て、生活の質が大きく変わるだろう、と注目されています。
   しかし、次世代の全てが潤うわけではありません。ベビーブーマーの資産は連邦準備制度理事会のデータによると、2022 年の 65 歳から 74 歳の平均純資産は約 180 万ドル(2億8千万円)でした。しかし、この数字は富裕層の上位層によって歪められています。中央値では、この年齢層の平均純資産はおよそ410,000ドル(6千5百万円)で、住宅や投資の価値を含む数字です。
  しかし、そんなに簡単に資産の移転があるのでしょうか?
   金融機関のアライアント・クレジット・ユニオンの調査によると、お金を相続すると予想していたミレニアル世代の半数強が、少なくとも35万ドル(5千5百万円)は得られると予想していました。しかし、子供や他の若い家族に資産を遺贈する予定であると答えた団塊世代の55%は、その金額は25万ドル未満(4千万円)になると答えています。
 そして、団塊世代はこれから医療を受ける事が増える世代です。フィデリティの年間退職者医療費の見積もりによると、 65歳の独身者は退職後の医療費を賄うために税引き後約157,500ドル(2千5百万円)が必要で、夫婦は315,000ドル(5千万円)が必要になる可能性があると指摘しています。
   要は、大病、長患いがあれば、平均的な団塊世代の資産はほぼゼロになってしまいます。一部の富裕層を除けば実はあてには出来ない制度であることが分かります。バージニア州アーリントンのファイナンシャルプランナーによると、ミレニアル世代の顧客のうち、相続計画について両親に相談したことがあるのはわずか10%程度だと指摘しています。つまり、親の財産をしっかり把握している人は全体の1割に過ぎないということになります。アメリカは高齢者への公的補助も様々にありますが、その恩恵を最大限受けるということは、資産が限りなくゼロでなくては受けられません、自己負担、自己責任社会であるアメリカでは親の財産を手にするのは一種、バカラのようなものなのかもしれません。
   また、そもそも最初から相続を当てにできない人も当然います。  ベトナム戦をを経てアメリカ移住(従軍した韓国人兵士は市民権を優遇して与えられた)した韓国系アメリカ人は、アジア人のメンタリティとして高齢者の面倒を見るが、少なくとも遺産を残すことは無いだろう、とニュースに答えています。また、黒人やヒスパニックの経済状況に触れ、多くが老後の最残を築けておらず、その生活に不安を抱えているとのレポートもあります。この場合、子供が親の面倒を見ることになり、相続どころか多額の出費をすることもあり得ます。
 結局、親の財産で豊かになれるかどうかは運、不運としか言いようがないということになるのだろうと思いました。
    当ブログにお越しいただきありがとうございました。

関連記事はこちらです。

shiina-saba13.hatenablog.com

引用:A Wealth Shift That Could Leave Some Younger Americans Behind
引用:NBC News - Breaking News & Top Stories - Latest World, US & Local News | NBC News
引用:金持ちにはわからない「親ガチャ」の悲しさ残酷さ 「日本の未来」を暗示する格差大国アメリカの姿 | 読書 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
引用:Forbes

【アメリカの今】住宅ローンの繰り上げ返済はしてはいけない(ほぼ否定的な読者コメント付きで)

住宅ローンの繰り上げ返済

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

  GOBankingRates.comの記事とそれが転載されたYahoo!financeのコメントです。住宅ローンは経済情勢や個人事情などもあるでしょうが、基本的にはいつの時代でもどの国でも負担だと思います。ですが、あえて、住宅ローンの繰り上げ返済をすべきでない、との記事が出ていたので概要をご紹介します。

 アメリカで有名なファイナンシャルプランナーのデイヴ・ラウジーは、いくつかの条件付きながら繰り上げ返済をすべきではないとしています。その、前提条件ですが

・個人ごとのライフプランが万能ではないことに注意することが重要です。リスク許容度、投資収益率、財務目標、個々の状況などの要因があることを念頭に入れる事。
・15年以上の固定金利ローンを組まず、手取り給与の25%以上を支払わないこと(これは難易度高いですね)
・VAローンでは借りない事。あまりに、高い金利となるからです。(VAローンは現軍人・退役軍人の福利厚生のためのローンで頭金不要の長期ローンです。日本にはありませんが、頭金ゼロの長期ローンはありますよね)
・3か月から6か月の生活費(日本で言う生活防衛資金です)は別の財布にすること。

 以上の条件をもって、パーソナルファイナンス(個人ごとの経済的ライフプラン)を立てようというものです。

複利の力に身を委ねる

 彼は低金利の住宅ローンの返済に余分なお金を投入する代わりに、投資信託や退職金口座など、長期的により高いリターンを提供する手段にそのお金を投資することで、個人がより多くの利益を得ることができると主張しています。複利を活用することで、投資家は住宅ローンを早期に返済することで節約した利息よりも多くの利益を得ることができる可能性を指摘しています。

流動性と柔軟性を保つことを選ぶ

 資産のかなりの部分をホームエクイティローン(居住する物件を担保に借りるローン)に縛り付けないことで、緊急事態に対処したり、投資機会を利用したり、その他の財務目標を追求したりするための資産の流動性を確保することです。(「自宅は負債」という意見をたまに目にしますが、それに近い発想かも知れません)

税制上の優遇措置に注意する

 日本でも住宅ローン減税があって、時期によっては信じられない条件での借り入れが可能でしたが、アメリカでも住宅ローン減税はあります。元々、金利分を所得から控除できたのですが、さらに住宅インフレを受けて、初めて住宅を購入する中流階級に2年間、年5,000ドルの税額控除を付与することが決まりました。住宅に関する税制度を熟知したうえで、資金を活用することが、資産を増やすコツとなります。

リスク分散の実践

 ホームエクイティが資産の大半を占める場合、何か緊急的な問題が起こった場合に、資金的に対処できない可能性があります。そのために、資産を分散させることは、ある一定の生活防衛となります。

機会費用の損失

 経済状況、市場の変化により、大きなチャンスが訪れた際に、住宅ローンに縛られた状態、あるいは、余裕なく返済を仕切った状態では、そのチャンスに乗り遅れることがあります。

私個人の経験から

 余談ですが、結論代わりに、私個人の経験も記しておきます。知人がリストラに会い早期割増退職金を貰いました。知人は再就職先も決まり、まず、早期割増退職金を全て住宅ローンの繰り上げ返済に使いました。しかし、知人は急性心筋梗塞で亡くなってしまいます。幼い子供と専業主婦状態のご家族に残されたのは、少なくなった残債の残る自宅のみでした。普通に、そのまま勤めているか、退職金を保持していれば、団体信用保険で住宅ローンはゼロになり、手元にお金も残っている状態だったのですが、厳しい状況に陥り、お香典のほかに、お子さんの教育資金の基金を作って皆で寄付したという実話があります。金利の高い時代でしたが、人生何が起こるか分からないと思いました。そういった意味でも、資産の増加を目指すだけではなく、特にご家族がいる場合はよく考えて経済的行動を起こした方が良いと今でも思います。もちろん、日本の生命保険は屋上屋のようなものだと揶揄する人がいますが、幼い子供がいる場合は、数千万円の死亡保険に入っていても良かったようにも思いますが。皆さま、いかがでしょうか?

コメント欄から

この記事に関して、アメリカのヤフコメでのコメントをいくつか紹介します。

・何かがあっても、借金を返済してしまえばホームレスにならない。

・私は6.375%の金利を繰り上げ返済しました。その資金を7%の利回りのものに投資するよりも、耐用年数に余裕のある住宅を確保し、金利の支払いを抑えることを優先します。そもそも、金融の第一人者たちはローンを返済していないのでしょうか?返済しているはずですから、注意が必要ですね。

・経済的に最善の行動だったかどうかは議論の余地があると思いますが、私は住宅ローンを早期に返済し、それ以来ずっとよく眠れるようになりました。
(上記コメントへの返信)完全に同意します。私は年末に 30 年の住宅ローンを完済する予定ですが、完済するのに 10 年しかかかりませんでした。このことは自分を誇りに思うことはできませんし、借金が 100% なくなることに興奮しています。

・この意見には同意できない。早く住宅ローンを完済すれば、(クレジットスコアも良くなり)緊急時には低金利のローンを借りる事が可能になる。

・住宅ローンの金利にもよると思います。 6 ~ 8% を支払っている場合、住宅ローンを完済出来ないというリスクは低くなります。私の金利は 2% なので、余った分を株式市場につぎ込むだけで、より多くの利益が得られています。確かに常にある程度のリスクはありますが。

・銀行はあなたの友達じゃない事に注意が必要だ。銀行はより多くのお金を私たちから支払ってもらうことが義務の仕事なのだ。

・15年を超える固定金利のローンは絶対に組まない、手取り額の25%を超える支払いはしないというラウジー氏の意見を実行するなら、カリフォルニア州で家を買う人は誰もいないことを意味する。

・住宅ローンを完済した日は、私の人生で最高の日の一つでした。完全に借金なしで退職し、これまでに経験したことのないほどの安心感を得ました。

・私は自宅に 2.3% の金利で 145,000ドル の借金があります。私は高利回りの普通預金口座に十分なお金を持っており、得られる利息で毎月の住宅ローンを支払うことができます。なので、金利が下がり始めるまでは返済しません。この記事で触れられていないことの 1 つは、金利の高い借金の返済を優先することです。クレジット カードの請求額が 22% ある場合は、そちらを優先し、6% のローンを後回しにすべきでしょう。

・私の投資収益率は低金利の住宅ローンよりもはるかに高いため、住宅ローンはそのまま払い続け、浮いた資金を再投資することにしました。ただし、それは個人の判断です。

・50代半ばであれば、住宅ローンを持たないことの利点は大きいです。高齢になって解雇された場合、新しい仕事を見つけるのは困難です。ローンを完済して、通常住宅ローンで支払う金額と同額を普通預金口座に振り込んでいれば問題ない。住宅ローンがないことは素晴らしいことです

 ほぼ、否定的な意見で、借金がない事は素晴らしい、との意見が大半でした。やはり、日本人より投資意欲が強いと言われるアメリカ人も借金は嫌なんでしょうね(^^;)

 長文の記事になりましたが、以上となります。
    当ブログにお越しいただきありがとうございました。
引用:Dave Ramsey: Why You Shouldn’t Pay Off Your Mortgage Early Even If You Can (yahoo.com)
引用:https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/03/faae2646c12ccf85.html

 

 

 

 

【アメリカの今】ディスカウントショップが次々と閉店しています

アメリカ版100均ショップの閉鎖

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 アメリカで有名な売国版100均ショップの破綻が報道されました。CBSのニュースによると40年以上の歴史を持つディスカウントチェーンの99セント・オンリー・ストアーズ(99 Cents Only Stores)は、全371店舗を閉鎖し、営業を停止するとのことです。約17000人の雇用を持つ99セントストアの破綻は話題となりました。もともと、40年以上前に、ワインを1ドル以下の99セントで売る商売で有名になり、発展していった会社ですが、その歴史に幕を閉じます。
    しかし、その他の同様の格安ショップでも苦境が伝えられています。CNNは大手ディスカウントチェーンのダラーツリーとその傘下にあるファミリーダラーにおいて1000店舗を閉鎖すると伝えました。結果、ダラーツリーの株価が大きく下がりました。

 もともと、ファミリーダラーは衛生管理上の不祥事があり4000万ドルにも及ぶ罰金をアメリカ当局に課され、苦境に立っていたところをダラーツリーに買収されます。しかしながら、経営再建はならず、規模縮小という結果になりました。全米とカナダで8000店舗を経営する企業ですから、99セントと違って閉鎖ではないものの、ダラーツリーが苦しい状況にあることが分かります。
   近年はベッド・バス・アンド・ビヨンド(Bed Bath and Beyond)、クリスマス・ツリー・ショップス(Christmas Tree Shops)、チューズデー・モーニング(Tuesday Morning)など中小規模のディスカウントショップの破綻が続いており、この業態が岐路に立たされていると言えます。

ディスカウントショップ苦境の理由

①競争の激化・・・アメリカではウォルマートコストコ、ターゲットなどの小売業が巨大化しており、経営規模で圧倒するこれらの企業が一括仕入れやデジタル化に成功し、コスト縮減を行っているのに対し、このインフレ下において、コスト縮減がうまくいかない企業が一気に苦境に立たされている構図が見て取れます。ダラーツリーなどはECにも活路を見出していますが、ECでは巨人Amazonがおり、やはり、過当な競争によって老舗であっても閉鎖・縮小していくことを余儀なくされています。

低所得者層のさらなる冷え込み・・・これらディスカウントショップは基本的には中低所得者層をターゲットとして成り立っています。しかし、米国では州によって異なりますが、低所得者を支える補助的栄養支援プログラムであるSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Prog)が削減されています。コロナ渦を過ぎて財政の厳しい州ほど削減幅が大きく、低所得者層は余裕が無い状態となっています。さらに、このインフレ下において家賃などの生活に欠かせない経費が高騰しており、ますます、消費に回せるお金が減っており、このことが、ディスカウントショップの売り上げの現象の原因となっています。

③治安の悪化・・・万引き、返品詐欺、従業員の窃盗などを「シュリンク」と言いますが、このシュリンクは米国の小売り店に尋常ではない損害をもたらしています。大手ターゲットは「窃盗や組織犯罪」がスタッフや客の安全を脅かし、業績を悪化させているとして、4州で計9店舗を閉鎖すると発表しました。シュリンクが主な原因としています。アメリカでは治安の悪化に伴い、犯罪者が増えたことから、逆に少額の万引きは軽犯罪として刑務所への収容を逃れられるような状況になっています。カリフォルニアでは950ドルまでの窃盗は軽犯罪扱いとなり、犯罪の増加に拍車をかけていると言われています。少し古い数字ですが、NRF(全米小売業協会)の集計によると、アメリカの小売店における、万引き等による被害額は、年々増加傾向にあり、2021年は約945億ドル(約15兆円)に達していると発表されています。世界的大企業の売上高のような被害額になっています。

FRBによる高金利政策・・・これら、小売店の多くは土地、スペースをリースで調達しています。アメリカの高金利政策により、商業用不動産が苦境に立たされていますが、テナント入った建物が、銀行融資によって成り立っている場合、賃料を上げざるを得ません。契約更新の際に、テナント料の増加による収益の悪化が、これら薄利多売のディスカウントショップの経営に及ぼす影響は大きく、店舗の閉鎖、合理化の要因となっていると指摘されています。

アメリカのディスカウントショップの破綻・合理化をまとめてみました。
当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:Popular discount retailer shuts down all stores, liquidating - TheStreet
引用:99 Cents Only closing all stores nationwide, including over 40 in Texas - CBS Texas (cbsnews.com)
引用:Family Dollar and Dollar Tree will close 1,000 stores | CNN Business
引用:【次々と!閉鎖に破綻】トレンド格安ショップの経営難 - YouTube

 

【アメリカの今】65歳で引退できず「もっと働け⁉」アメリカ人高齢者の憂鬱

65歳リタイアは早すぎる

 アメリカの今を知ることで、今後の経済予想の幅を広げて投資などに役立てないかと、日々、アメリカ経済・アメリカ社会の時事問題をまとめています。

 世界最大の資産運用会社であるアメリカのブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)が米国の社会保障制度の維持や現在のアメリカの人口動態を指して、米国の社会保障制度への危機感を表明し、アメリカ人はもっと長く働くべきだ、と表明し、話題になりました。
 推定12億ドルの資産を持つフィンクは、1950年代初頭の65歳の若者の多くがすでに亡くなっていたため、引退する機会を得られなかったと指摘し、言い換えれば、社会保障費を支払った労働者の半数以上が、給付金を請求する前に亡くなったため、一銭ももらえなかった時代とは異なり、長寿化が進んでいる時代において経済を維持するためにも高齢者へ就労を求めています。
   今現在のアメリカの定年年齢は65歳とされる事が多いのですが、実際の平均定年年齢は62歳だと言われ、制度的定年年齢より早めにリタイアメントしている事になります。

アメリカの社会保障給付

 アメリカにはソーシャル・セキュリティ信託基金というものがあります。公的年金である老齢・遺族・障害保険(OASDI)は、ソーシャル・セキュリティと呼ばれ、その資金は、独立したソーシャル・セキュリティ信託基金で管理されています。今、ベビーブーマーと呼ばれる第二次大戦終結後からケネディ政権発足前までの1946年から1959年ごろに生まれた世代が老後または引退を迎えます。2026年にはこのベビーブーマーの全てが67歳以上となり、社会的に大きな存在となっています。
  アメリカの社会保障給付は前倒しした場合、(削減はされますが)62歳から給付を受け取ることが出来ます。現在は66歳で満額、2027年以降では、満額で貰えるのが67歳であり、67歳から70歳まで待つごとに、給付額が増えます。68歳まで待つと、社会保障給付の108%を受け取ることができます。これは、70歳まで毎年8%ずつ増加する仕組みになっています。
  話がそれますが、ドイツも年金支給は67歳まで引き上げる予定で、欧米を超える高齢化社会の日本においても確実に年金支給年齢の後倒し(もしくは増税)がなされるのではないでしょうか?
  話を元に戻しますが、このアメリカのソーシャル・セキュリティ基金2033年に資金が枯渇すると見られており、資金枯渇後は支給額が4分の3程度になると言われています。アメリカの場合、日本のような生活保護制度は無いのですが、低所得者の場合SSI(補償的補足給付)と言われる65歳以上の就労が難しい高齢者への給付や、体が不自由な高齢者および高齢者世帯に温かい食事を配達する「ミールズ・オン・ホィールズ」(MOW)や、無料の「公的在宅支援サービス」(IHSS)などのプログラムがあります。弱肉強食のイメージが強いアメリカですが、最低限度の生活は保障されます。さすがに、日本のように高度医療を万人が受けられるところまではいかないものの、高齢者向け福祉制度はある程度発達しています。しかし、これらとて予算がある以上、莫大な人口ボリュームがあるベビーブーマーを支えていくには財政的な危機感を表す声もあるというのがアメリカ人高齢者を取り巻く環境の厳しさです。具体的には、社会保障税の上限引き上げなど、負担を分かち合う議論がなされています。

困窮する高齢者層

 アメリカの4000万人を擁する非営利団体AARP(旧全米退職者協会であり、大統領選をも左右すると言われる高齢者団体)の調査では50歳以上のアメリカ人に向けた調査結果を次の通り発表しています。
・50歳の成人の20%が退職後の貯蓄がなく、半数以上(61%)が退職後の生活を支えるのに十分なお金がないのではないかと心配しています。
・男性の経済的安定感が全体的に低下していることも明らかになり、42%が自分の経済状況を「普通」または「貧しい」と表現しており、2022年初頭の34%から増加しています。しかし、老後のために定期的に貯蓄している男性の約40%が十分な貯蓄をしていると考えているのに対し、女性はわずか30%です。
・3分の1以上(37%)が、食費や住居費などの基本的な費用を賄うことを心配しています。
・4分の1以上(26%)が、家族の介護費用の負担を心配しています。
・10人中7人(70%)が、収入よりも早く物価が上昇することを懸念しています。
・まだ退職していない人の4分の1以上(26%)が、引退することはないだろうと答えています。
 つまり、現在、老後を迎えた(あるいは、これから迎える)世代のうち多くの人が経済的困難な状態にあり、満足したリタイア後の生活が望めないと考えているという事です。AARPは退職に向けた貯蓄をしやすい環境を作るよう米国政府および州政府に訴えかけています。

 また、その一方でアメリカは深刻なな人手不足の状況であり、高齢者を労働市場に残したいとの経済的な思惑が政府や経済界にあるのも事実です。

 これらアメリカ人高齢者を取り巻く環境とその結果は世界的に注目を集めており、その影響はいずれ多くの国々におよぶのではないでしょうか?(なんだか、極東のどこかの国に似てますしね・・・)

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:AARP® Official Site - Join & Explore the Benefits
引用:https://finance.yahoo.com/
引用:https://www.mhlw.go.jp/index.html
引用:A solution to the retirement crisis? Americans should work for more years, BlackRock CEO says - CBS News

【アメリカの今】アメリカの世代間格差・経済格差と少子化、若者の嘆き

アメリカで世代間・経済格差が広がっている

 アメリカの今を知ることで、今後の経済予想の幅を広げて投資などに役立てないかと、日々、アメリカ経済・アメリカ社会の時事問題をまとめています。

 アメリカでは第二次大戦終結後からケネディ政権発足前までの1946年から1959年ごろに生まれた世代がベビーブーマーと呼ばれています。対して、ミレニアル世代として、西暦2000年以降に成人を迎えた世代、あるいは社会人になった世代がいます。アメリカの方が幅が広く対象年齢も違うのですが、日本の団塊世代団塊ジュニアといった世代のように、称されています。
 調査会社ギャラップが最近発表した「世界幸福度報告書」で、米国は前年から順位を8段階下げて23位となりました。同社が12年前に「世界で最も幸福な国」ランキングの発表を開始して以来、米国が上位20カ国に入らなかったのは初めてことです。しかしながら、幸福度の調査対象を60歳以上に絞ると、幸福度は上位10か国に入るそうです。

広がる経済格差

 ベビーブーマー世代は地球上で最も裕福だと言われています。米経済誌フォーチュンによれば、同国のベビーブーマーは平均で97万ドル(約1億5200万円)~120万ドル(約1億8800万円)の純資産を持っているとされています。(アメリカの純資産は持ち家も含みます。個人金融資産ではありません)
 米連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、2023年第4四半期のベビーブーマー世代は76兆1700億ドル(1京1千億円)を保有し、米国の総資産の51.8%を占めています。対照的に、ミレニアル世代の資産は13兆5,000億ドル(2千850兆円)と大幅に少なく、富のシェアの9.2%に過ぎません。
 もちろん、働いてきた期間を考慮すれば、若者より高齢者の方がより資産が多いくなるのは当然の事とも言えます。しかしながら、その資産額だけでなく、他にも若い世代の不満はもっと深いところにあります。
 アメリカの若い世代はより良い職を求めるために高学歴を目指す傾向がありますが、そのために組んだ学生ローン(奨学金)が高額になります。ローンを利用した卒業生1人当たりの負債は平均して2万9900ドル(約494万円)とこれまでで一番多く、総額で1兆6300億ドル(約226兆円)に上ります。かなりの負担をしながら学位を得ており、若年層に大きな負担となっています。この学生ローンの大きさはアメリカ経済に影響を与える存在とまで言われており、政治問題化しています。
 また、住宅価格の急激な上昇や、COVID-19のパンデミック時に起きたコロナバブルによって住宅や株式などの資産価値を膨らませる経済政策の影響も世代間格差・経済格差を助長したとの指摘もあります。コロナショックはミレニアム世代にとっては、厳しい経済状況になりましたが、政府の補助も出ました。それによって、資産を持つベビーブーマー世代は「貰う側」として、より豊かになった傾向があります。つまり、若い世代を犠牲にして富裕層に不釣り合いな利益をもたらしている言えます。このことを強調するのはニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスでマーケティングを教えるスコット・ギャロウェイ教授です。
 具体的に言うと、パンデミック対策としてアメリカ政府は、住宅価格の譲渡利益(キャピタルゲイン)への現在と住宅ローンの優遇策を行いました。その結果、住宅ローンは高騰し、持ち家の無い若い世代は上昇し続ける高い家賃を払うために疲弊していますが、それに対して不動産資産を持つベビーブーマー達を富ませました。また、そこから生じたゆとりは株式市場等に向かい、2020年初頭の急激な下落にもかかわらず、S&P 500は過去5年間で70%以上上昇し、株式市場の投資家の資産を大幅に増加させました。アメリカの株式市場の所有権の80%を55歳以上の人々が占めている現実もあります。株式に投資できない、不動産を持っていない層はより厳しい状況になります。
  ちなみに、最近のFRBのデータによると、米国で最も裕福な1%の純資産総額は、昨年末に過去最高の44兆6000億ドルに達しました。CNBCは、この数字が2020年から約15兆ドル(49%)増加したと報じました。アメリカの全国民資産が120兆ドルとも言われていますから、1%の富裕層が全国民の資産のおよそ3分の1を所有していることになります。

また、巨額の債務問題も世代間の問題ととらえる考えもあります。

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少子化を産んだ経済的現実

 ハーバード大学を拠点とする調査イニシアチブ「オポチュニティ・インサイツ」の2016年の調査によると、1940年代に生まれた子どもの90%以上が、30歳の時点で親よりも多くの収入を得ていると指摘し、しかし、1980年代に生まれた子どもは、親よりも稼いでいる子どもは半数に過ぎなかったとしています。老齢化する世代が裕福で黄金の時間を過ごしたのに比べ、奨学金や住宅費で苦しむ現役、若年世代という構図です。これらのデータを踏まえ、先に出たギャロウェイ教授は「30歳から34歳の人たちは、1990年には60%の人が子どもを産んでいました。今は27%です」と若者の婚数の減少、少子化を指摘しています。アメリカではマジョリティーの白人の出生率が下がり続け、ヒスパニックやアジア系の出生率が高いことが近年指摘されていますが、その背景には、こういった世代間格差、経済格差があると言われています。

 それ以外にも、個人差、考え方の差はありますが、ベビーブーマーが公害などをまき散らし、それらの企業で働く、あるいは投資して資産を増やしたことに対して、環境に対する意識が相対的に高いミレニアム世代が、それら公害の後始末をつけなければならないことに対して、憤慨しているとも伝えられています。
  簡単に判断できる問題ではありません。ベビーブーマーアメリカを作ったともいえますが、逆の見方もできます。そもそも、正直に言って、どこの国にも世代間格差はあると思います。日本においても高度成長期の日本人と就職氷河期では差があるとの指摘もあります。アメリカにも同様に、世代間の経済格差などがあることをまとめました。

当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:https://www.businessinsider.jp/post-224474
引用:https://finance.yahoo.com/news/not-having-kids-nyu-professor-101400588.html
引用:https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/06/02ce718b1b316bd4.html

【アメリカの今】高すぎて中流層も自動車が買えない‼インフレだけじゃない自動車市場

下流層どころか中流層でも車が買えない

 アメリカの今を知ることで、今後の経済予想の幅を広げて投資などに役立てないかと、日々、アメリカ経済・アメリカ社会の時事問題をまとめています。

 今回は、高騰するアメリカの自動車市場についてです。コロナ渦がはじまり、当初は自動車の販売は一気に落ちました。しかし、コロナ渦はかえって自動車の需要を一気に押し上げました。しかしながら、コロナによるサプライチェーンの混乱は中々おさまらず、半導体を始めとして様々な部品の製造が滞っており、自動車の供給が追い付かない状態となりました。フォード・モーターゼネラル・モーターズ(GM)、あるいはトヨタ自動車、日産も苦戦しますが、そのコロナ渦では、人と接触せずに動けて、アウトドアなどにも使える高級車の売れ行きが特に好調だったという結果を産みます。そのため、新モデルを販売する際には、低価格モデルの販売を縮小または取やめて、高価格モデルの車の販売に一斉にシフトしました。そうなると、割安だと言われる2万ドル程度のコンパクトカーは市場に出てこず、結果として、所得の低い人々が中古車市場に殺到し、新車も中古車も値段が跳ね上げる状況が続いています。
 従来から自動車の高度化は進んでおり、1台の自動車に使われるセンサーは50~60にも及び、半導体は低価格モデルの車でも30個、高級車になると80個も使われ、価格もそれに伴い上昇しています。従来の内燃機関の車より30%は高いEVの出現もあり、さらに、近年のアメリカの消費者は大型のSUV(スポーツ多目的車)などを好む傾向にあり、あらゆる要素が高価格化に拍車をかけています。
  アメリカの各メーカーはコロナ渦前までは、大量に生産し、大量の在庫を抱え、値引きをしてでも在庫を売るビジネスモデルでしたが、それは過去のものとなっています。
 昨年の米国の自動車販売台数は約1300万台と21年から8%減少し、10年間で最も少ない台数でした、しかし、フォードの22年の粗利益は前年比4.4%増加し、GMの調整後利益が145億ドルと約2億ドル増ていおり、車の高価格化はメーカーにとっては都合の良いものであることを示しています。

中間層でも新車が買えない

 車の購入をサポートするAIアプリ「CoPilot」のデータによれば、2020年以降、新車価格は30%、中古車価格は38%高騰しているそうです。
   金融関連ニュースサイト「MarketWatch(マーケットウォッチ)」の2023年10月のリポートによれば、アメリカ人が車を買うのに必要な年収は最低で10万ドル(1500万円)と言われています。コロナ渦前の新車の平均取引価格は3万8500ドルだったのが、2023年11月にはこれが4万7939ドルに跳ね上がってしまっているのです。つまり、アメリカの全世帯の60%、単身世帯の80%は年収10万ドル以下なので、この層は車を買えないことになります。特に新車は無理でしょう。代わりに年収15万ドル(約2300万円)の世帯の自動車の購入は全世帯の30%を占めます。コロナ渦前は22%だったので、現在のアメリカ自動車市場は高価格化と相まって資金に余裕があるアッパーミドル以上の世帯が引っ張っていると言えます。毎月の自動車ローン等に関する支払額もコロナ渦前は400ドル程度だったのが700ドルを超えており、中間層以下の世帯には厳しい現状となっています。
 また、この問題に輪をかけているのが、自動車保険の値上がりです。車体が高価格になれば当然部品も高価となり、自動車保険の金額を押し上げています。

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 しかしながら、最近の半導体の安定供給などにより、高騰した中古車が僅かながら最高時よりは価格が落ちており、中間層はここに期待するしかないでしょう。
 

 こちらは、米国トヨタの認定中古車の現在の価格を検索してみました。米国では割安のコンパクトカーと言える最安値の中古車としてトヨタカローラの価格を見てみました。走行距離6万~8万キロ弱で、2万3千ドル(約350万円)程度ですから、これならば年収10万ドル以下の層でも購入が可能となります。
  アメリカと言えば、車社会であり、アメリカ社会を代表するツールですが、アメリカの低所得者層はおろかミドルクラスにも車を買うのに厳しい社会になっていることが分かります。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:Most Americans Can't Afford A New Car Anymore (carbuzz.com)
引用:もう車が買えなくなったアメリカ人──年収10万ドルの壁|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
引用:For the middle class, new cars are high-rooted flowers - Stocks squeezed in the U.S. and prices soar - Bloomberg
引用:New Cars, Trucks, SUVs & Hybrids | Toyota Official Site

  

【アメリカの今】アメリカの国家債務が5千兆円。国民1人当たり1500万へ

5,214兆円の借金。米国民1人1580万円

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 アメリカの国の債務(借金)が33兆ドルに達しました。現在、ドル高円安が進み、158円となっているので、換算すると5000兆円を超える債務があることになります。上の図はGDPに占める債務の比率ですが、126.9%となっています。2000年には55%の比率だったものが、伸び続け、コロナのパンデミックではトランプ大統領が2.2兆円を使い、バイデン大統領はインフレ削減法(気候変動対策や医療保険改革)などで、債務上限を上げ続けて現在に至ります。このことは何を意味し、アメリカではどうとらえられてるのでしょうか?

一部に強い危機感を表す声

 財政問題の監視団体、「責任ある連邦予算委員会」のマヤ・マッギネアス委員長は、今回過去最大に達した債務残高を「真に気が重くなる『偉業』」と危機感を表しました。また、別の声明で「我が国の債務レベルは経済と安全保障の両方にとって危険な水準だ。」とも指摘しています。格付け会社フィッチ・レーティングスは昨年8月、米国債の格付けを最上位の「AAA」から「AA+」に1段階引き下げたことも話題になりました。2023年5月、ホワイトハウスの経済諮問委員会(CEA)は、仮にデフォルトが起き、それが長引けば800万人以上の雇用が失われ、株価は半分の水準に落ち込むとの試算を示しました。政府の財務部門はやはり債務に懸念を示しています。他にも、JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、米国債の外国人所有者が「反乱」を起こす前に、米国は債務水準に対処する必要があると述べ、FRBのジェローム・パウエル議長は、米国民は債務水準について「大人の会話」をする時は終わり、現実から目を背けるべきではない、と述べました。高金利が高止まりする中、利払いに問題はないのか、懸念の声は高まっています。多額の債務に対して、保有する海外諸国(1位日本、2位中国)と行った国がアメリカ国債に投資するこをを止めるのではないかとの懸念も多いようです。

アメリカ人の気質

 支出が増加し、債務が膨らむ背景に米国民の気質があると指摘する意見もあります。米国市民は、一般的に借金に抵抗がありません。例えば、2021年には、国内の3分の2以上の人がクレジットカードを所有していたのに対し、フランスでは約38%の人がクレジットカードを所有していました。ちなみに日本人は85%が保有しています。しかしながら中身が違います。日本は異質と言われており、一括払いが主流ですが、アメリカの場合、多くはリボルビング払いやローンをしていることを意味しています。また、BNPL(Buy Now Pay Later)も盛んで、代金後払い(これも借金の一種)も多く行われます。
 しかし、トレンドが変わってきているとの指摘もあります。国際通貨基金(IMF)のデータによると、米国の民間債務の対GDP比は2007年の99%から2022年には74%に低下しています。個人の借金が減っています。一方、フランスの民間債務は、同じ期間に約46%から68%に跳ね上がりました。個人ローンに抵抗があったフランス人の債務が増え、アメリカ人の債務が減っています。
 国としてみても、欧州のいくつかの政府は、歴史的に個人債務と公的債務の水準についてよりタカ派的でした。例えば、ドイツでは、財政赤字を年間GDPの0.35%に制限する憲法上の財政ルールがあります(景気後退時には延長することができます)。この、ドイツ人の気質は民間にも表れていて、ライプニッツ欧州経済研究センター(ZEW)の法人税・財政研究ユニットのザレフ・アサトリャン所長はドイツ人について、「例えば、住宅ローンの借り入れを見ると、ドイツ人の半分しか住宅を所有していません。住宅ローンを組んで住宅を買うのは嫌がるのです」と語っています。持ち家率は日(88.6%)、韓国(78.4%)、アメリカ(67.6%)、スウェーデン(55.3%)、ドイツ(52.1%)の順となります。住宅ローンをかなり嫌うのですね。ドイツの債務比率は対GDP比率64%ですから、国も個人も債務を嫌う国だというのが分かります。
 話がそれましたが、アメリカ人は世界の中でもローンに寛容でありつつ、サブプライムショックなどの金融危機を経験し、お金に対して手堅くなりつつある、と言ったとことでしょうか。

この債務をどう受け止めるべきか

 ムーディーズ・アナリティクスの首席エコノミスト、マーク・ザンディは、「(33兆ドルという数字には)意味がない。実際にはこの数字は、GDPという文脈のなかに存在する。つまり、この債務の元本支払額にかかる利子を返済するために利用できる資金という文脈だ」と述べています。つまり、利払い部分が対処できるか、というレベル感で考えるべきだという事ですね。また、ノーベル賞を受賞した経済学者ポール・クルーグマン(Paul Krugman)によれば、実際のところ、多額の債務残高が発生した国家がその債務を完済するケースはあまりないとの事です。たとえばイギリスの場合、ナポレオン戦争の際に負った債務をいまだに抱えていることを指摘しています(1700年代のコンソル公債(永久債)という特殊な債務です)。アメリカ行政管理予算局(OMB)によれば、2022年におけるアメリカの債務返済額はわずか3950億ドル(約62兆4100億円)であり、これは、同年におけるGDPの1%程度であるので問題はないとの見方です。最初の方で述べた、民間団体やFRB、市場関係者と比べるとかなり楽観的とも言えます。

結論に代えて

 調べて書いている中で、私は、FRB議長や市場関係者の債務への厳しい意見と、ノーベル経済学賞受賞者の割と楽観的とも言える意見を断定し、結論付けることは出来ませんでした。しかしながら、債務に対するハト派でも、利払いの重要性には言及しています。
  圧倒的に多い債務を持つ日本人としては、このアメリカの議論は参考になると思いましたが、いかがでしょうか?

当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:U.S. panic over national debt might mark a culture shift—are Americans becoming more ‘European’ about money?
引用:米国債務上限問題 市場はデフォルトリスクを警戒 (pictet.co.jp)
引用:米政府がデフォルトに陥る事態に備えよ 債務上限問題が引き起こす | 政治・経済|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
引用:米国政府の債務負担についての考察 | アライアンス・バーンスタイン株式会社 (alliancebernstein.co.jp)
引用:

 

 

 

【アメリカの今】アメリカでの持ち家VS賃貸論争について

アメリカでの持ち家VS賃貸論争

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

日本では永遠の論争と言われる持ち家派と賃貸派の論争ですが、アメリカでも購入かレンタルかで意見が分かれています。ネットでの議論も盛んです。その一部をご紹介します。以下は米国の投資のコラムのを引用しつつ私の見解としています。

 アメリカでも家を買うことは、人々が人生で下す最大の経済的決定と見なされることがあります。あるいは資産形成の第一歩という意見もあります。その結果、賃貸と比較して購入が正しい選択であるかどうかはやはり悩むようです。そして、その決断は、米国経済の将来予想と実際に訪れる将来の米国経済によって異なる結果になるという事です。

 アメリカ経済のインフレ率や投資の平均的リターンを前提として賃貸がお得なのか購入がお得なのかを計算することとなります。たとえば、家の家賃が月額4,000ドルで、同じ家を購入すると、住宅ローン、固定資産税、メンテナンス、保険で月額7,000ドルかかる場合、最初は月額約3,000ドルを節約でき、この3,000ドルを多様なポートフォリオに投資できます。

 住宅購入者はローンの返済後に住宅価格がどのようになっているか、を気にするでしょうし、賃貸で済ませた人は頭金分を投資したことによる、平均的な投資のリターンを得たとして、30年後にどちらが経済的に有利な状況にあるかを計算してみます。

どちらが有利かの前提条件

家を借りる場合の前提条件

家賃:賃貸に関連する主な費用は、毎月支払われる家賃とその家賃のインフレによる上昇率です。(アメリカでは家賃は物価上昇率ともに引き上げられます)。

引っ越し費用:必ずしも多額ではありませんが、賃借人が住宅事情を変えるたびに支払われる引っ越し費用を組み込む必要があります。これを年間1,000ドルと仮定しました(そしてインフレによる調整があります)。

インフレ:インフレが続けば、賃借人は時間の経過とともに一貫して上がり続ける家賃を支払わなければならないため、賃借人の懐具合に大きな影響を与えます。他の条件がすべて同じであれば、将来のインフレ率が低くい場合は、家賃の値上がりもなく、賃借人に利益をもたらします。しかし、将来のインフレ率の上昇は、資産価値がインフレに対応して値上がりをもたらし、家賃の値上げから逃れられるので、住宅所有者に利益をもたらします。
さらに重要なことは、賃貸インフレ率が全体的なインフレ率をわずかに上回る傾向があることです。アメリカでは1940年以降、家賃は年間約4.8%(名目ベース)上昇しており、同時期のインフレ率を約1%上回っています。
ポートフォリオ・リターン:分散ポートフォリオのインフレ率を上回る利益です。米国株は歴史的に見ても分散型投資の利益は年率7%程度ですが、オールカントリーのようなグローバル型インデックス等に投資した利回りとしては、4%です。あえて少なめなこちらの4%を仮定条件にします。
頭金:賃借人は、頭金を住宅ではなく分散ポートフォリオに投資することを前提としています。今回は総額のの価値の23%であると仮定します。つまり賃借人は30年に及ぶローンの頭金を30年の長期投資に回せるという計算になります。

購入する場合

住宅ローンの支払い::現在のアメリカ社会では30年固定金利ローンの場合、6.5%程度で借りれます(アメリは固定金利がメインです)
住宅維持費:アメリカの多くの専門家は、毎年不動産の価値の約1%をメンテナンスに費やすと推定しています。百万ドルの家では、これは$10,000/年か$833/月に相当します。
住宅所有者保険:洪水、火災、地震対策になります。住宅所有者保険は、毎年不動産価値の0.5%〜1%の費用がかかる傾向があるため、低めの0.5%を採用します。
固定資産税:アメリカの全ての州の平均約0.84%を採用します。ただし、ハワイのように0.3%だったり、ニュージャージーのように1.79%の場合もあります。
インフレ:インフレは住宅価格が上がるので、賃借人が受けるであろう、家賃の値上げを避けることが出来きますし、自身の資産額が増えます。そういう意味で購入者にとってメリットがあります。「ノーベル賞を受賞した経済学者ロバート・シラーは、1915年から2015年までの米国の住宅のインフレ調整後リターンは『年率わずか0.6%』としています。これは、上記の1940年にさかのぼる賃貸価格の1%の上昇(インフレ率を上回る)と重なります。したがって、米国の住宅価格は今後、家賃と同じペースで上昇するか、全体的なインフレ率よりも約1%高くなると想定します。

計算後

 前述の計算でシュミレーションした場合ですが、緑色が結果を示しています。賃貸購入者は約450万ドルの資産を築くことが出来たのに対して、持ち家の価格は約400万ドルなので、30年後、賃貸派の人は50万ドル(7,500万円)多くの財産の形成に成功するということです。
しかし、仮定条件をわずかに変えると結果は一変します。

 変数を 1 つだけ変更します。たとえば、毎月の住宅ローンの支払いを4,000ドル(800,000ドルを借りた場合の4.4%の30年固定住宅ローンに相当)に落とすと、今度は購入が優先されます。賃貸派が313万ドルの資産しか築けていないのに、住宅価格は400万ドルを超える価値を持ちます。つまり、持ち家か賃貸かは、このコラムでは住宅購入はインフレに対するヘッジにしかならないとしています。今、現在、アメリカはかなりのインフレに悩まされています。ですので、高金利なのですが、そうなると住居を買うには適さない状況です。しかしながら、家賃も高騰し続けているため、家賃の高騰に付き合うなら、高金利でも住宅を購入し、とにかく毎月の支払額をロックしてしまおうとする人も出て来る現状であり、これも、インフレへのヘッジと言えるでしょう。

 もちろん、子どもの家庭環境など様々な事を考えれば、その家庭や個人の環境によるので、そこを考えずに、持ち家か賃貸かをオンラインで論争することはあまり意味を持たないであろう、としています。

 アメリカ社会らしいですね。1例ではありますが、賃貸派は浮いたコストを投資に回し、いくらの財産を30年後に築けるかという観点での議論がなされています。また、ライフサイクルによって住み替えを行うアメリカ人にとって、自宅は「終の棲家」というより、資産、投資としての意味を持ちます。
マイホームに一生住む、あるいは、投資というものに積極的ではなく、持ち家か賃貸かをインフレを加味しない総コストのみで比較する日本人の発想とも違うことが分かります。今後インフレが続くとまた、違う見方が出るかもしれませんね。以上がアメリカでの持ち家VS賃貸の論争の一片でした。

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引用:https://ofdollarsanddata.com/

【アメリカの今】新たに地銀の破綻が発生。商業用不動産不振と高金利も影響

リパブリックファースト銀行の破綻

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 アメリカで新たな銀行の破綻がニュースとなりました。ロイターでは「米連邦預金保険公社FDIC)は26日、経営不振の米地銀リパブリック・ファースト銀行(FRBK.PK), opens new tabを公的管理下に置き、資産を同業フルトン・バンクに売却すると発表した。」と報じています。連邦準備制度理事会FRB)は四半期ごとに3億ドル以上の資産のある銀行のランキングを発表していますが、リパブリック・ファースト銀行は2129行の中で211位の資産を持つ銀行として公表されています。ペンシルバニアに拠点をもち32の支店を運営する、中規模銀行といったところです。
    リパブリック銀行の2024年1月31日時点での総資産は約60億ドル、預金総額は約40億ドルとなります。結果として米連邦預金保険公社FDIC)が管理下に置いた、預金などはフルトン銀行に譲渡されることになりました。フルトン銀行は、前述したFRBのランキングでは、2129行のアメリカの銀行のうち69位に位置する銀行で、資産額は、274億ドルとなります。完全な吸収合併ですね。そのため、預金は全額保護されることとなり、取り付け騒ぎが起きているといったニュースは入ってきません。株価は次の通り、価値はほとんどありませんが。。。

 昨年、シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の相次ぐ破綻が問題となりましたが、今年は初の銀行の破綻となります。構図は先の2銀行と似ており、CRE(商業用不動産)ローンの不振が原因となります。コロナ渦を経て、リモート勤務を行う人が増えて、商業用不動産の空室が目立ち、価格が大幅に下落しています。また、FRBによる高金利政策がCREローンの金利を押し上げています。そのため、商業用不動産を担保に資金の融資を受けている企業などが、支払いを出来ず、担保としている不動産も、貸出当時の価格を下回る評価割れを起こしてしまい不良債権と化しています。結果、地銀が破綻するという流れになっています。詳しくは、以前に書いた「【アメリカの今】高金利で商業用不動産危機・地銀危機がささやかれている事について」をご覧ください。

 

shiina-saba13.hatenablog.com

 現在のところ、アメリカの景気は非常に強く、地銀1行の破綻で、アメリカ経済に大きな影響を及ぼすことも考えにくく、株式市場への影響も無いと言えます。しかしながら、商業用不動産の下落と、それに伴う一部金融機関の経営不安は完全には無視できないのではないでしょうか?注目に値すると思います。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:【米地銀の閉鎖!】 地銀を襲う商業用不動産問題 (youtube.com)
引用:Federal Reserve Board - Large Commercial Banks - LBR - Release Dates
引用:Home | Republic Bank (myrepublicbank.com)
 

【リアルな海外賃金事情⑧】福祉国家スウェーデンの平均給与と税と社会保険料について

福祉国家スウェーデン

北欧を代表する国家の一つで福祉国家と名高いスウェーデンについて書きたいと思います。人口1000万人余りの小国で、有名な福祉は、大学まで無料、医療は外来医療なら900クローネ(12600円)薬剤費は1800クローネ(25,200円)以上は基本無料であり、病気で休暇を取った場合14日間は企業が賃金を払い、その後は国が賃金を払ってくれる福祉大国です。ちなみに病院に行くとそのまま薬局にデータが行き、全国どこの薬局でも薬が受け取れる合理的な制度です。多剤投与などの問題も起きません。マイナンバーで揉めてる日本とは(良し悪しは別として)全く違う世界ですね。

しかしながら、その福祉を支えるためには高額の税金がかかります。いわゆる消費税は最高25%で、課税対象外、6%、12%、25%というような4段階になっています。ちなみに外食は25%、本や新聞は6%です。食料は12%と意外と高く設定されています。また、所得税は29%から35%と高く、さらに年収が602,600クローネ(およそ850万円)を超えるとなんと60%の超重税国家でもあります。

国を支えるため、移民に寛容(批判もありますが)であり、出生率は移民によって伸ばされており、原発推進、武器輸出にも熱心な国家でもあることはあまり知られていません。ちなみに、税金が高すぎて、若者が無料で大学を出たのに、そのまま外国に就職してしまうケースが後を絶たず、スウェーデンでの社会問題になっています。

スウェーデン人の給料

元ネタは経済産業省傘下の独立行政法人日本貿易振興機構のデータで、日本企業が海外進出する際に、現地でどれほどのコストがかかるのかを定期的に調査し公表しています。実際に日本企業が海外に進出する際のコスト計算の基礎となるデータですから信ぴょう性は高いと思います。今回はこの日本貿易振興機構スウェーデン中央統計局のデータをもとに日系企業スウェーデンに進出する際の平均賃金を掲載しているのでここに転載します。1ドル150円で計算しています。賞与は企業によりますが、多くの企業で支払われるので、年収は月収の13倍としています。

データ内訳
製造業
①ワーカー(一般工職) ②エンジニア(中堅技術者) ③管理職(課長クラス)
非税増業
①スタッフ(営業職) ②スタッフ(飲食)
のデータがあり、次の通りとなります。

製造業の場合 ①ワーカー   3,200米ドル(月給480,000円   年額6,240,000円)
       ②エンジニア  4,241米ドル(月給636,150円   年額8,269.950円)
       ③中間管理職  6,445米ドル (月給966,750円    年額12,567,750円)
非製造業の場合①スタッフ   4,349米ドル(月給652,350円   年額8,480,550円)
       ②スタッフ   2,826米ドル(月給423,900円   年額5.510,700円)

かなりの円安計算なので、それほど高いという感じはしませんね。ちなみに、この額から7%の社会保険(年金)が引かれ(事業者負担31.42%ですから企業負担も大きいことが分かります。)、先ほど挙げた所得税が引かれます。社会保険の企業負担は管理職ともなると60%の税金ですから、かなり厳しいですね。有能な人材の国外流出は深刻な問題ですね。

簡単ですが、福祉国家の賃金と税と社会保険料のお話でした。

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