初って肝心な所でロクな男と出会わないから、何だかんだ人生って実力もだけど人との出会いも運命を左右しますよね~。
(以下、原作を含むドラマのネタバレあり)
※原作者が今回の改変に関して批判意見を述べていたので追記しました。
(2024.05.22)
「籠球果実 Basket Fruits」
今回のゲームは原作の10巻~12巻にわたって展開された、これまでのゲームと比べてやや長丁場な戦いとなる。ドラマでは照朝と初の友人同士の戦いという描かれ方をしていたが、原作の照朝と初の関係はほぼ初対面に近く、3歳の頃に会ったという程度だ。照朝の父親と初の父親が友人だったため、そのよしみで照朝と初は幼少期に顔を合わせていたようだが、実はこの初の父親が原作では総理大臣であり、グングニルに操られて日本を独裁国家に変えてしまった張本人なのだ。
そういう訳で原作の照朝と初にとってグングニルは父親の仇なのは間違いないが、あくまでも初は照朝を下僕として扱おうとし、孤高の帝王という感じで高圧的に照朝と対峙する。初のこの不遜な態度には勿論彼なりの事情や孤独が関係しているのだけど、今回のチーム戦では照朝と紫が協力プレイで挑んだのに対し、初と伊達のペアはチームとはいえ上下関係という結びつきで「個」として戦ったことが勝敗に大きく関わることとなる。
そんな初のペアとなった心理学者の伊達俊一郎は一言で評すると変態サディスト野郎だ。原作10巻ではそんな彼の人となりがより詳しく説明されていて、自分以外の人間を観察・実験の対象と見なし、相手の心をズタズタにしてへし折ることに快楽を覚えるというクズ野郎だ。そのくせ『人の飼い方』という、どう見ても炎上必至なタイトルの本を著してベストセラーになっているし、大学で専用の研究室を持っていたりと、とんでもねぇクズの割にそれなりの社会的地位がある設定なのが、いかにも漫画的ではある。(っていうか、『人の飼い方』という本がベストセラーになるって原作の日本は相当なディストピアだよな…)
ではここからはゲーム解説に移る。「籠球果実 Basket Fruits」は5種類の果実の球(ドラマは牌)を選択して場に出された20個の球から、果実の種類とその個数を当てるゲームだ。ゲームとしては3話で照朝と潜夜がプレイした「五印一当」をチーム戦用にアレンジしたという感じだが、リタイアしたプレイヤーの手球を公開する辺りはトランプゲームのコントラクトブリッジ※1を彷彿とさせる。
ゲームの具体的なルールは原作と同じで、コールされた果実とその個数をダウト(原作は「ジャッジ」と宣言)した際に、コールされた個数と実際の個数が合っていればコールした側に加点され、間違っていた場合はダウトした側に得点が入る。当然ながら、一番点数の高いリンゴでダウトを成功すれば勝利に近づく訳だが、失敗してコールした側に得点を与えてしまうリスクもある。そこの見極めが勝敗の鍵となってくるのだが、今回は4セット目を除いて、特に手駒に細工をするといったイカサマを仕掛けることもなく、悪魔の能力も使わずに、純粋に頭をはたらかせてゲームに臨んでいるのが注目すべきポイントだろう。各プレイヤーの思考の流れを把握するためにも、今一度ゲームの展開をおさらいしてみようと思う…のだけど、実は点数の推移や選択した手球の種類は原作と違っているため、ドラマのゲーム展開をまずおさらいして、その上で原作との違いについて説明しよう。※2
〈1セット目〉順番:紫→伊達→照朝→初
照朝:リンゴ3、ナシ2
紫:リンゴ2、ナシ2、イチジク1
初:ナシ1、イチジク1(残り3つはミカンかズッキーニの両方か片方)
伊達:リンゴ1、ナシ1、ミカン1、ズッキーニ2
合計:リンゴ6、ナシ6、ミカン1(+?)、ズッキーニ2(+?)、イチジク2
ポイント:照朝-1、紫-5、初5、伊達1
まずは一番点数の低いイチジクからコールを始めるのは誰しも思いつくこと、しかし初はリンゴをコールするという強気の態度に出ることで、場にリンゴが7個以上あると紫に思わせた。このように、あえて実際より多めにコールをすることで次の次、つまり伊達にダウトをさせて得点をゲットさせるという戦法をとったのだが、それに加えて紫がリタイアしたことで順番が初から伊達、つまり味方から味方という流れになったことを利用して初はわざと「1つ以上」のコールをしてそれを伊達にダウトさせる、つまり伊達のポイントを初へと流すポイントの譲渡を行った訳だから、この時点で初はかなりゲームの特性を把握していることがわかるだろう。この頭の回転の速さこそ、初の強みであり、更に初は照朝に対して選択肢を提示することで追い打ちをかける。
ミカン:場に出されたのは1個だけ。場に出た果実+照朝自身の手球から初の持っているミカンは最大3個だと考えると、4個以上をコールするのが妥当。
ズッキーニ:2個以上コール済みなので、3個以上コールしなければならない。初曰く「自分は持っていない」ため2個で確定か。
イチジク:4個以上コール済みなので5個以上をコールするしかない。ただし初がイチジクを3個持っていたとしても5個以上にはならないし、コールした時点で照朝はダウトを宣言するのでコールする必要がない。
以上を説明した上で初は「ミカン4個以上」をコールし、結局照朝は「イチジク12個以上」のコールで失点を最小限に抑えるという方策をとった。
ちなみに原作では照朝は初の勢いに気圧されることなく、更に思考を巡らせて初の手球を推理し、その度胸が功を奏して1ポイント獲得している。ここは尺の都合でカットせざるを得なかった部分だと思うが、ドラマの初はこれまでの活躍度合いを考えると照朝と互角にするよりは優勢の立場にしておいた方が良いと判断されたのだろう。この後の2セット目の展開を考えれば、改変としては問題ないと思う。
〈2セット目〉順番:照朝→初→紫→伊達
照朝:リンゴ1、ミカン2、イチジク2
紫:ズッキーニ2、イチジク3
初:(不明)
伊達:(不明)
合計:リンゴ1、ナシ3、ミカン(?)、ズッキーニ2、イチジク2(+?)ポイント:照朝3、紫-9、初0、伊達4
この2セット目は伊達が実利目的ではなく愉快犯的な人物であることを紹介するためのセットなので、初と伊達の手球は明らかになっていない。なのでゲームとしては特別注目すべき点はないのだが、原作における2セット目は勝者が敗者に課した「絶対服従」の拘束に抜け道があることを明らかにしており、そこがゲーム展開と密接に関わっている。この絶対服従のルールは「アクマゲーム」ならではの設定なので、ここをカットしてしまったのは何とも勿体ない話である。
〈3セット目〉順番:照朝→伊達→紫→初
照朝:ミカン2、ズッキーニ3
紫:ミカン3、イチジク2
初:ズッキーニ2、イチジク3
伊達:ナシ2、ミカン2、イチジク1
合計:リンゴ0、ナシ2、ミカン7、ズッキーニ5、イチジク6ポイント:照朝4、紫-14、初9、伊達1
3セット目は1セット目の経験を活かして照朝・紫ペアは手球にリンゴは選択せずリンゴをコール、1つずつ上乗せすることで自分たちもリンゴを持っていると思わせダウトで5ポイントを狙ったが、その作戦は初・伊達ペアも考えていたため初に5ポイントが渡り、次のコールでは「ミカン12個以上」のコールによるポイント譲渡で初に更に3ポイントが加算される。原作の照朝はこの時点で7ポイント、初は6ポイント獲得しており、先にナシで4ポイントをとった方が勝者という一騎打ちの状況だったのに対し、ドラマの照朝はこの時点で5ポイントしか取っていないため、初に4ポイント入るのはどうしても防がないといけないという、この状況の違いが注目すべき点だろう。
原作もドラマも照朝は初の手球にナシが3個あると推理して外すという結果に終わったが、原作は一騎打ちという状況ゆえにナシでジャッジ(ダウト)を宣言しなかったことに対して初は「臆病者」とかなり手厳しいコメントを返している。
〈4セット目〉順番:初→照朝→伊達→紫
照朝:ミカン3、ズッキーニ2
紫:ミカン3、ナシ2
初:リンゴ3、ズッキーニ2
伊達:ナシ2、イチジク3
合計:リンゴ3、ナシ4、ミカン6、ズッキーニ4、イチジク3ポイント:照朝11、紫-16、初6、伊達-1
最終セットは両チームともここで相手が10ポイントに到達すると決着してしまうので駆け引きもこれまで以上に熾烈さを増す。初・伊達のペアは盗聴器によって照朝・紫ペアが「ミカン0個」で来ると判断したが、照朝は盗聴器が仕掛けられていることに気づきそれを逆手にとって初にダウトを宣言させることに成功した。
ちなみに原作ではこの「ミカン0個(嘘)作戦」は少し複雑な展開になっている。照朝は2セット目で初と伊達のペアが一枚岩の関係ではないと見抜き、それを利用して伊達にわざと裏切りを持ち掛けて「ミカン0個」でいくと話す。伊達と照朝の会話は無線によって初に筒抜け状態だったのだが、伊達が初を2セット目で裏切ったことがカモフラージュの効果を果たし、照朝の裏切り工作自体が罠だということに気づかず失点することになる。
紫のポイント譲渡によって5ポイント獲得した照朝は残った伊達と対決することになるが、ここからは悪魔の能力による攻防が繰り広げられるのが面白い所で、伊達の「視界の強制交換 サイトジャック」※3によって照朝の手球を盗み見ようとするも、照朝の「一分間の絶対固定」によって見ることが出来ず、それならばと初は自身の「肯定する従順羊 イエスマン・シープ」を発動して、照朝に「YES」と答えさせることで紫の反応から照朝はズッキーニを2個持っていないと判断した。しかし、ここは演技の天才である紫の面目躍如、見事初を欺きダウトを宣言させることに成功した。
※2:原作の各プレイヤーの選択した手球と得点の推移は以下の通り。
〈1セット目〉
照朝:リンゴ3、ナシ2
紫:リンゴ2、ナシ2、イチジク1
初:ミカン3、ズッキーニ1、イチジク1
伊達:リンゴ1、ナシ1、ミカン1、ズッキーニ2
合計:リンゴ6、ナシ5、ミカン4、ズッキーニ3、イチジク2
ポイント:照朝1、紫-5、初3、伊達1
〈2セット目〉
照朝:ズッキーニ2(残りの3つはミカンかイチジクの両方か片方)
紫:リンゴ3、ナシ2
初:ズッキーニ2、イチジク3
伊達:ナシ1、ミカン3、イチジク1
合計:リンゴ3、ナシ3、ミカン3(+?)、ズッキーニ4、イチジク4(+?)
ポイント:照朝7、紫-9、初-2、伊達4
〈3セット目〉
照朝:ミカン2、イチジク3
紫:ミカン3、ズッキーニ2
初:ズッキーニ3、イチジク2
伊達:ナシ2、ミカン2、ズッキーニ1
合計:リンゴ0、ナシ2、ミカン7、ズッキーニ6、イチジク5
ポイント:照朝5、紫-14、初8、伊達1
〈4セット目〉
照朝:ミカン3、ズッキーニ2
紫:ミカン3、ナシ2
初:ミカン3、ズッキーニ2
伊達:ミカン3、イチジク2
合計:リンゴ0、ナシ2、ミカン12、ズッキーニ4、イチジク2
ポイント:照朝12、紫-16、初5、伊達-1
※3:これって某ホラーゲームの「視界ジャック」そのものですよね。
原作者による批判
ドラマACMA:GAME(#アクマゲーム) 第7話感想①/11
— メーブ (漫画原作者) (@meebmeebmeeb) 2024年5月21日
ううーん…🥹
ちょっと流石に不明なこと、はっきりしないことが増えすぎて、7話は楽しめなかった…😭
今回は批判多めの感想になりそう😣
そういうの読みたくない方はスルーしてね。🙇🙇🙇 pic.twitter.com/pZCeNBlre1
原作者のメーブ氏による批判ツイートを拝見したので、3話の時と同様にツイートを紹介しながら私の意見も述べたい。一応言っておくと今回原作者はかなり厳しい批判をしているのでそれを踏まえた上で読んでいただきたい。
1.結局何のためのトーナメント戦?
②/11
— メーブ (漫画原作者) (@meebmeebmeeb) 2024年5月21日
結局このトーナメントは何のためにやっているの?
優勝したらどうなるの?
逆に優勝できなかった人はどうなるの?
そのあたりがはっきりしないから、どんな気持ちで勝負を見守ったらいいのかわからない。😣
命懸けなのに、1回戦で負けた人もみんな平気な顔してるし、みんな何考えてるの?🤔 pic.twitter.com/NcxafOLq2Y
私は先に原作を読んでいるので、グングニルが世界革命をする上で日本支部を作ってその支部のトップを任せられる逸材を選出するために今回のトーナメント戦を開催したことはわかっているのだけど、原作未読の人にとってはこのトーナメント戦がどういう目的なのか、そしてそれを行うことがグングニルにとってどんなメリットがあるのか、全くもってわからないため、原作者が批判したのも納得である。
ドラマの劇中でも照朝は崩心たちの目的を問いただしているのに、崩心は答えをはぐらかして一向に教えてくれないし、そのくせ他の参加者はその点について全然疑問に思っていないのもおかしな話ではある。悪魔の鍵を所有する数が多いほど幸運が舞い込むというドラマオリジナルの鍵の付加価値があるにせよ、それだけの目的で参加者がここに来た訳ではないのは明確だし、優勝したらどうなるかも不明なので、明確な返答をはぐらかすだけの理由がドラマのグングニルにはあるのか、今後の脚本の舵取り次第でこの辺りの出来栄え、評価が変わってくるだろう。
2.今回のゲームは何を賭けてたの?
④/11
— メーブ (漫画原作者) (@meebmeebmeeb) 2024年5月21日
そして今回のゲーム…🦉
とうとう何を賭けるのかも言わなくなっちゃったね…
勝っても負けてもどうなるかわかんなくて、「🤔?」状態で見ることに…
7話最後の崩心のセリフで、「ああ、命賭けてたんだ」ってわかったけど遅いよ…😣
トーナメント戦は「敗者が勝者に絶対服従する=勝者に生殺与奪の権を与える」ことを前提としているため、今回ドラマスタッフ(多分脚本か編集を担当した人だろうか?)は「別に台詞をカットしても良いだろう」と思って賭けに関する台詞をカットしたのかもしれない。ただ原作者としてはそこは毎回明言した上でゲームを始めてほしかったのだろう。
3.「籠球」果実なのに…
⑤/11
— メーブ (漫画原作者) (@meebmeebmeeb) 2024年5月21日
ゲーム`籠’球果実…ゲーム名は原作漫画のままなんだけど、どう見ても中央にあるのは籠じゃないよね。🧺
6話ではゲームの名前を変えてたのに(しかも漢字四文字のルールも無視)、今回は籠じゃないのに名前はそのままなのはなぜなんだ…🙄
一方で「ジャッジ」は「ダウト」に変えてるという謎🤔 pic.twitter.com/YeTnuvpzUG
ゲーム解説の項で上述した通り、ドラマは手球が牌になっているのにプレイヤーは原作通り「手球」と呼んでいる。しかも中央の籠となるスペースはコロシアム風に改変されており、ゲーム名やアイテムの名称はそのままなのに、実際のゲーム用のアイテムは違っていることにモヤっとしたようだ。一方で「ジャッジ」は「ダウト」に変えているし、前回のゲームはゲーム名やスイッチの名称に変更があったりと、ゲームの名称・アイテムの改変がどういう基準で行われているのか、そこがハッキリしないから原作者も不満なのだと思う。
今回のゲームに関して言うと、手球を牌に変えた理由は恐らくカメラで映す際に球状だと少し動かしただけでも転がってしまい、球に描かれた果実の絵がハッキリ映らなくなるから四角い牌に変えたのではないか?と私なら推理する。そして「ジャッジ」よりも「ダウト」の方が前の人のコールが嘘だと宣言するニュアンスとしては正確でありわかりやすいから「ダウト」に変更したのではないか?と私なら考える。
なので個人的にはアイテム・名称等の改変は撮影の都合やわかりやすさを考えての変更だと考えているし、そんなに目くじらを立てる程のことではないかなと思っている。
(あ、別にこれは「私ならこう考える」ってだけの話であって、3話の時みたいに「原作者のくせに思慮が浅いよな」という意図は含まれてません!)
⑥/11
— メーブ (漫画原作者) (@meebmeebmeeb) 2024年5月21日
このゲーム、みんな「チーム戦」って言ってたけどどう考えても個人戦だと思う🤔
漫画では「絶対服従」があったからチーム戦になってたけど、なかったら個人戦だよ。
賭けているものが「命の権利」で、「絶対服従」もないなら、ふつうは4人全員それぞれ勝利を目指すのが当然だと思う。👦🏻🧑🏻👩🏻👨🏻 pic.twitter.com/NyPwIgWE9l
照朝と初の交流期間が中学の2年間以来13年も途絶えていたくせに「お前のことはよく知っている」という初の発言については「それだけその時期の二人の交流がBL並みに濃厚だったんだよ!」で片付くと思うので流します。(!?)
問題なのは上述した通り、ドラマは絶対服従の設定をいい加減にあしらって、2セット目における原作の流れをカットした点だ。絶対服従がないのであれば、伊達にしろ紫にしろ裏切って勝ったら主従関係を逆転することは十分可能だし、チーム戦でやる意味がなくなるのだから、これはドラマのミスであることは間違いない。
5.伊達はどうして悪魔の能力を使えたのか?
⑧/11
— メーブ (漫画原作者) (@meebmeebmeeb) 2024年5月21日
あと、伊達さんはどうして悪魔の能力を使えたの?🤔
1回戦で初に負けて悪魔の鍵は失ったよね?🔑
ドラマ版は、自分で悪魔の鍵を使った時に能力がもらえる設定じゃなかった?
今回悪魔の鍵使ったの初くんだったよね?🤔
原作では敗者は鍵と同時に悪魔の能力も失うという設定があるのだけど、多分脚本家はその辺りの情報をイマイチ把握出来ていないまま7話の執筆をしたのだろう。伊達が初に絶対服従なら、ゲーム中はその能力が初の同意の下で使用が許可されるという拡大解釈を脚本が行っている可能性は高い。
6.知っているなら使わせる必要はない
⑨/11
— メーブ (漫画原作者) (@meebmeebmeeb) 2024年5月21日
初の最後の、「狙い通り照朝の能力を使わせた」もよくわからない…😣
漫画では初は照朝の能力を知らなかったから、使わせて不確定要素を排除したかったんだけど、ドラマでは知ってたよね?🤔
使わせなくても、初の「イエスマンシープ」を使った作戦には照朝の能力はなんの影響もないよね?🙄
ここは私もうっかり見落としていた。確かに初は3話で照朝の能力を目にして知っているはずなので、わざわざ伊達に能力を使わせて照朝の「一分間の絶対固定」を使用させる必要はないのだ。3話を担当した脚本家はいずみ吉紘氏だが、今回の7話は谷口純一郎氏なので、両者の間で脚本・改変の確認・打ち合わせが出来ていなかったことで生まれたミスだと考えられる。
7.鍵の保管場所について
⑩/11
— メーブ (漫画原作者) (@meebmeebmeeb) 2024年5月21日
悠季ちゃんが「50本の鍵を保管する場所があるはず🔑」って言って探してたけど、そりゃどこかにはそういう場所があるだろうけど、この島とは限らないよね?🏝️
日本のどこかかもしれないし、
そもそもトーナメントは世界中でやってるらしいし…🌍
敵(グングニル)の視点で考えればトーナメント会場から離れていて、なおかつ厳重な警備で固めた場所に保管しているはずだし、グングニルを潰す目的でトーナメント戦に参加した照朝の存在を考えると島内に鍵を隠すのはリスクが高すぎる。原作者の指摘ももっともである。
ただこれは冷静かつ論理的に考えた場合の話であって、悠季の立場で考えればこのままグングニルの言いなりでゲームに参加するのは嫌で、何かしら照朝の助けになるようなことをしたいと思っての発言だと私は考えている。人間心理としては別に何の矛盾もないし、50本全てでなくとも鍵を奪うことが出来れば勝機が見えてくると悠季は踏んだのだろう。
原作者としては「悠季らしくない」と思ったのかもしれないが、人間は思っているほど論理的には行動出来ない生き物だ。時には感情的・直感的に動くことも視野に入れないとね?
さいごに
ゲーム解説の項で説明出来なかったけど、今回のゲームは原作ではゴリラの悪魔・ダーシンが考案したものであり、あの「1ジク」「ズッキー2」とかいうダジャレで得点と果実を結びつけるアイデアもダーシンが考えたことなので、そこは悪魔コルジァの名誉のために言っておきたい(あんなエレガントなフクロウ悪魔がダジャレというのは似合わないもん)。
前述したように「籠球果実」はこれまでのゲームと違い手駒に細工をするといったイカサマをあまり差しはさめない分、非常にゲームとしての純度が高いと感じたし、初の帝王然とした振る舞いでゲームを支配する感じもなかなか堂に入っていたのではないだろうか(ゲームの展開を1話で収めるために一部カット・省略したのはいただけなかったけど)。
原作の初は伊達を手駒としか思っていなかったことが敗因となったが、ドラマの初は友人設定に加えて4話の段階では苦労人として描写されていたので、「伊達と協力しなかった初が悪い」というよりも、「初って全然人に恵まれないよな…」と、トーナメントでよりにもよって変態サディストの伊達と組む羽目になった、その不憫さが私としては同情を誘うポイントである。目の前にめっちゃ頼りになるし信頼できる照朝がいるのに、そういう照朝に対抗意識をバチバチ向けて来るのって、友人を通り越して兄弟の関係に近いって感じがする。近しい関係だからこそ嫉妬心や対抗心が湧いてくるってよくある話だし、まぁそこが人間のわずらわしくも愛おしい一面ではあるよね?
さて、次回は潜夜&悠季ペアと毛利&浅井ペアの対戦、ということで原作13巻の「粘土問答」が開催されるようだけど、原作既読勢として先に言っておくと次回は間違いなくゲームの展開が改変されているはずなので、あのトンデモない原作の設定・展開をどうアレンジするのか、脚本のお手並み拝見とさせていただこう。