Coming Up Roses 『Coming Up Roses』 

 

 

Label: Self Release

Release: 2024/04/27

 

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Review


いよいよ謎めいた新人がロンドンに登場する。シンガポールで結成された四人組のオルタナティヴロックバンド、Coming Up Rosesはイギリスに活動拠点を移動し、近日中にロンドンでのライブを予定している。エミリー・セラ - ヴォーカル/ベース/ シンセ)ダリウス・オーン(ギター、シンセ、パーカッション)チャーリー・ウィルソン (ギター)ケイレブ・ブレイク(ドラム)で構成される。EPのレコーディングには、ロレンツォ・マリウムがギターで参加している。


シンガー・ベーシストのエミリー・セラが率いるこのグループは、ダイナミックなライヴ・ショーと心に響く歌詞のテーマにより、東南アジアで最も有望なアーティストの一組として頭角を現している。


台湾やインドネシアでのツアーに加え、カナディアン・ミュージック・ウィーク、フレッド・ペリー・サブカルチャー、アレックス-ブレイク・チャーリー・セッションズなどのフェスティバルにも出演している。

 

Coming Up Rosesは、デビュー作『Waters』(2018年)と2nd EP『Everything Is』(2022年)の2枚のEPをリリースしている。2024年4月、シングル「Don't Let It Break Your Heart」と「Back The Way We Came」に先駆けて、セルフタイトルの3rd EPをリリースした。 

 

セルフタイトルのEPには4曲が収録。コクトー・ツインズを彷彿とさせるドリームポップとシューゲイズギターが融合している。音楽的には1980年代のUKロックの既存のスタイルに準じているが、エミリー・セラの伸びやかなボーカルは、シューゲイズサウンドに華やかさと明るさをもたらしている。

 

このEPで、セラは歌詞を通じて個人的な人間関係について歌っている。#1「Don't Let It Break Heart」は彼らを知らぬリスナーに対する名刺代わりのナンバーといえる。シューゲイズギターとシンプルなリズム構成に加えられるエミリーのボーカルのフレーズはこのバンドの音楽に聞きやすいさをもたらす。

 

2曲目に収録されている「Back The Way Come」はバンドの飛翔作と言えるかもしれない。Say Sue Meを彷彿とせる純粋な感情を込めたメロディアスなロックが展開される。音の運びやバンドアンサンブルは簡素だが、カナダのAlvvaysを思わせるパンキッシュなメロディー性が込められている。ハイレベルの水準に達しているかは分からないけれども、この曲の中にはオルタナティヴロックの普遍的な魅力が含まれている。ボーカルはポピュラリティーが重視されているが、アウトロのダリウス・オーンのギターリフにはロックのニュアンスが含まれている。これが今後、バンドサウンドの中でどのようなエフェクトを及ぼすのか楽しみ。アウトロにかけてのシンセの導入を見ると、バンドのスペシャリティーが少しずつ芽生え始めているように思える。

 

バンドは、このセルフタイトルの4曲の中で、音楽の複雑化を極力避けて、簡素化にポイントを置いている。ドリーム・ポップやオルタナティヴロックの音楽性の中で、#3「Silence」では、アコースティックギターの演奏をフィーチャーし、インディーフォークのナンバーに取り組んでいる。


エミリー・セラの英詩のボーカルには少し訛りがあるのだけれど、それらは洗練されていない”純粋な魅力”としてリスナーの心を捉える。CURの音楽はまたまだ荒削りなものがあるため、バンドサウンドとしてすべてが完成したわけではないかもしれない。しかし、成長過程にあるゆえに魅力が込められているように思える。演奏の揺れや生きた休符を重視したバラード風の叙情的なインディーフォークは、シンガポールの現地のポピュラー・ミュージックが反映されている。アジア的な響きもあり、英国のインディーフォークに対する親和性もある。それはタイトルにあるように、シューゲイズバンドとしての性質の対極にある静寂の側面を示唆する。

 

EPのクローズ「Why」は、カナダの双子デュオ、Softcultを彷彿とさせる抽象的な音像を持つシューゲイズソングとして楽しめる。Alvvays、Sobsのような口ずさめるキャッチーなメロディーの要素が押し出され、それらが音響派に近い抽象的なディストーションギターで縁取られる。ノイズポップ性には、Evanesenceのような要素も感じられ、メタリックな音楽性に接近する瞬間もある。


しかし、これらのノイジーなサウンドの渦中にあろうとも、バンドサウンドがドリームポップのスペシャリティやエモーションを失うことないのが彼らの素晴らしさ。また、セラのボーカルは、オーガニックな雰囲気を漂わせ、オープンハートな感覚に満ちている。このEPには、4人のメンバーの深い友情や信頼関係のようなものが感じられる。それは感情的な温かさとして胸を打つ。

 

 

 78/100




 

Best Track-「Back The Way Come」

 


クンビア”はラテンアメリカのダンス音楽の一つで、コロンビアの伝統音楽でもある。この伝統音楽はおよそ1800年頃には存在したと言われ、1960年代に人気が沸騰し、世界中で人気を博した。

 

この音楽が近隣諸国に伝播してくにつれて、アスカンビア・ペルアナ(ペルー)、クンビア、アルゼンチン(アルゼンチン)、クンビア・チレナ(チリ)、クンビア・メキシカナ(メキシコ)など、各諸国で新しい形態のクンビアの派生音楽を生み出すことになった。メキシカーナなど上記の派生した音楽にも心を惹かれるものがあるが、特にコロンビアの海岸地域で発生した伝統的なクンビア、その音楽の最初期の発展こそがコロンビアという国家の重要な文化の基礎を形成している。

 

クンビアにはその前身となる音楽のスタイルがあるらしく、フォルクロルコロンビアーノといわれるアフリカ系コロンビア人が植民地時代に大陸から持ち寄った民族音楽がその発祥とされる。植民地化以降、コロンビアの沿岸地域には、スペイン人、ネイティヴのコロンビア人、アフリカ系のコロンビア人が混在して生活していたと言われている。それらの人種的な混在が多様な音楽のスタイルを生み出し、何世紀にわたる音楽文化の礎石を築き上げていった。そして、この音楽は、移民としてアフリカ大陸から渡来した人々の音楽の記憶の継承でもある。 時々、遊牧民やジプシー等の民族をはじめとする人々は、定住する土地を持たぬため、音楽やそれにまつわるダンス、あるいは物語という形によって以降の人々に記憶を継承していくのである。

 

 

”クンビア”はコロンビアの伝統的な民俗音楽ーFolkーとして知られている。日頃、わたしたちがよく使用する”フォーク音楽”というのは、民俗音楽を指し示し、それは以前の時代の一地域に生きていた誰かの記憶や行動形式、あるいは生活規範であったり思想形態の継承を意味する。それは旋律やリズム、そして、スケールなどを単に模倣したり、なぞらえたりするのではなく、誰かの口伝によって次の世代に伝えられていく物語と同様に、次の世代に向けての文化継承の意味が込められている。 それは、写真や映像のように形あるアーカイブとして保存できぬために、歴史的にとても意義深いものなのである。他地域のフォーク音楽の起源や発展の経緯が深い靄の中にあるのと同じく、クンビアという伝統音楽の出発については明らかになっていない。

 

例えば、コロンビアのミュージシャンで、ギジェルモ・カルボ・オリベラ、ギジェルモ・アバディア・モラレスなどの民俗学者や音楽学者は、クンビアがバントゥー語の「Kumbe」に由来すると指摘している。この語源は踊る(kumbe)という意味があると両氏は言うのである。また、2006年になって、同国の音楽学者でミュージシャンのギジェルモ・カルボ・ロンデロスはクンビアについて、「まだ議論の余地がある」としている。少なくとも同氏は、この音楽が「cumbe」という語に由来すると指摘している。

 

''クンベ''は赤道ギニアのダンス形式がその前身とされる。現在のマグダレナ川地域の上流渓谷の先住民族が住む地域、”ポカブイ”という場所に最初に出現したと現地の人々は信じているのだ。

 

該当する音楽を聴けばお分かりのように、クンビアは、スペインのサルサの音楽的な気風に近い。情熱があり、陽気で、反復的なリズムや歌を通じて、舞踊音楽の一つの重要な特性である強固なエネルギーを外側に放つ。また、それらが世界各地のカーニバルのように、多くの人で演奏されたり、踊られるものとあれば、その意味は一層強まるはずだ。つまり、クンビアがラテンアメリカの舞踊音楽として発展していったことは、民俗学の観点から見ると、ブラジルのサンバ、スペインのサルサと同じような音楽的な動機があるのではないかと推測出来るわけである。

 


 

文化というのは、単一民族の行動形式や思想形態の伝承から成り立つことはきわめて少ない。これは、神聖ローマ帝国や、スペイン帝国、オスマン・トルコ帝国、大英帝国、アメリカというように、世界の中心地が何世紀にわたって絶えず塗り替えられてきた歴史の変遷を見ると明らかである。つまり、現代的な政治学における移民という考えと切り離してみても、オセアニアの歴史は土地に住む民俗が変遷し、それらの異文化が交流しながら、新しい伝統形式が積み上げられていったのである。ラテンアメリカの一地域であるコロンビアという土地も同じである。この地域はとりわけスペインやその国境を接するフランスからの影響が強く、クンビアの演奏時に着用される民族衣装は、スペインとチロル地方の服飾の影響がどこかに見受けられる。それらにアフリカの大胆な原色を中心とした色合いを加えたのが、クンビアの衣装なのだ。

 

また、ヨーロッパからの文化的な影響の他に、リズムやビート、実際に使用される楽器を見ると、アフリカの儀式音楽の影響が含まれている。また、ガイタ、カニャデミロという楽器を演奏する点を見ると、コロンビアの先住民族の音楽の影響もあるという指摘もある。これらの複数の地域の音楽や文化のフュージョン性は異質な音響、音楽におけるエキゾチックな気風を生み出す。その中にはアフロ・ビートやアフロ・ジャズの原始的なリズムの継承性もあるが、一方で、ラテンアメリカの音楽的な陽気さもまた、この舞踏音楽の重要な礎となっているのである。

 

このジャンルの音楽的な特徴は、特に2/4、4/4というシンプルなリズム性に求められる。これらはアフリカの音楽からの影響もあるかもしれないが、リズムそのものを簡素化して踊りのための音楽として洗練させたのだろうか。しかし、クンビアのリズムにはサンバやサルサに引けを取らない迫力があり、原始的な質感を持つパーカッションがこの音楽の最大の魅力になっている。当初、クンビアは、ボーカルなしの器楽曲として始まったが、他の地域のフォーク音楽と同じように、叙情的な詩がスケールとリズムに追加されることになった。そして、演奏者たちはさまざまな変奏や工夫を重ね、楽器を増やしたりすることで、この音楽を発展させていった。

 

 

また、伝聞するところによれば、クンビアには男女間のシンプルな情愛が踊りと音楽によって表現される。これは実際のダンスのなかで、男女がペアで踊るというサルサと同じような様式にその概念が込められている。ダンス全体の動きを通して、男性は女性の体を自分の方に引き寄せる。またクンビアの女性ダンサーはサンバのように派手な衣装を身にまとうのが一般的であり、スパンコール、花の頭冠、そしてイヤリング、長いスカートを身につける。これらは、スペインやアルゼンチン、ブラジル等の服飾的な影響が込められているようだ。他方、男性の衣装はコロンビアの性質が強く、ソンブレロ、白いズボン、白いシャツ、そして赤いバンダナという扇情的な色合いの民族衣装を身につける。そして踊りを通じて、民族的な歴史を表現している。アフリカとスペイン、そしてコロンビアの先住民族へのリスペクトを織り交ぜるのである。






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Tears For Fears

 

AOR/ソフト・ロックとは、タワーレコードによると、”大人向けのロック”と説明されている。2000年初頭に同レコード・ショップが配布していたフリーペーパーでも同様の趣旨の説明がなされていた。ヴィジュアル系の一歩手前のナルシスティックなロック/ポップとも言えるかもしれない。シンセサイザーの演奏を押し出したきらきらしたサウンドは、T~Rexのグリッターロックや、その前の70年代後半のニューウェイブ/テクノとも共通項がある。音楽的に言及すれば、現在のシンセポップに当たり、軽めの音やビートが特徴である。これはハードロックやメタルが徐々に先鋭化していく時代、それに対するカウンターの動きであったと定義付けられる。

 

この音楽運動は80年代前後に隆盛をきわめ、白人を中心とするロックカルチャーのメインストリームを形成し、MTVの全盛期の華やかりし商業音楽のイメージを決定づけた。もっとも象徴的なところでは、デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、TOTO、JAPAN等がその代表例。しかし、AORやソフトロックが白人音楽というのは極論である。少なくとも、1978年頃にはブラック・ミュージックの一貫として、クインシー・ジョーンズの1976年の傑作『Mello Madness』など、以降のソフト・ロックによく似たジャンルが登場していたからである。

 

同様に、スティーヴィーやマーヴィンの音楽が併行して、これらの白人音楽になんらかの影響を及ぼした可能性があることを指摘したとしても、完全な的外れとはならないはずである。より詳細な指摘をしておけば、AOR/ソフト・ロックに該当するアーティストやバンドが英国のニューウェイブに傾倒していた可能性があるとしても、このジャンルのグループの音楽にはソウルフルな香りが漂っていた。それらは分けてもスティング擁するPOLICEの初期から中期の作品や、ポール・ウェラー擁するThe Style Councilのデビュー・アルバムを聴けば瞭然だろう。 現在でも、白人のアーティストが黒人のスポークンワードやフロウのスタイルをポップの歌唱法の中に取り入れる(Torres、Maggie Rogersの楽曲を参照)場合もあるように、どんな時代においても、人種的な垣根を越えて、互いに音楽的な影響を分かち合ったと見るべきなのである。

 

これらの音楽は後に、シンセ・ポップやアヴァン・ポップという形で2010年代や以降の20年代に受け継がれていくが、その本質的な意義は変わっていない。 AORの音楽はよく「アーバン」とか「メロウ」という作風が代表例として挙げられるが、これはブラックミュージックの1970年代後半の象徴的なアーティストが、時代に先んじて試作していた音楽でもあった。そのように考えると、このAOR/ソフト・ロックというジャンルの正体は、ローリング・ストーンズやエリック・クラブトンがブラック・ミュージックをロックの文脈にセンスよく取り入れたように、80年代のロックの流れに、以前のR&Bやソウルのニュアンスを取り入れ、それらを、以前のグリッターロックやニューウェイブと関連付けたと見るのが妥当かもしれない。

 

少なくとも、2024年の音楽を聞く上で、AORをしっかりと抑えておけば、現代の音楽に対する理解も深まるに違いない。2020年代以降の音楽では、多かれ少なかれ、この音楽ジャンルの要素を取り入れることはそれほど珍しくない。それは実験的なロックやポップとは対蹠地にある”親しみやすいポピュラー音楽”という形で、今も多くのリスナーに親しまれているのである。以下に掲載する名盤ガイドは、いつもと同じようにこのジャンルの最初の9つの入口を示唆したに過ぎない。もちろん、その背後に無数の名作が隠れていると言っておかなければならない。





Tears For Fears  『Songs From The Big Chair』 1985



Songs From The Big Chair』は、英国のバンド、Tears For Fears(ティアーズ・フォー・フィアーズ)のセカンドアルバムで、1985年2月25日にマーキュリー・レコードからリリース。

 

前作のダークで内省的なシンセポップから脱却し、メインストリームな軽妙なギターを基調としたポップロックサウンド、洗練されたプロダクション・バリュー、多様なスタイルの影響を特徴としている。ローランド・オルザバルとイアン・スタンリーの歌詞は、社会的、政治的なテーマを表現している。このアルバムはユニットは全英で2位、全米で1位を獲得し、一躍スターダムに躍り出た。アルバムの収録曲「Everyone Wants To Rule The World」は普遍的な魅力がある。後にデラックスバージョン、及びスーパーでラックスバージョンが再発されている。



「Everyone Wants To Rule The World」

 

 

 

 

The Cars 『Heartbeat City』1984


リック・オケイセック擁するカーズの1984年の代表作『Heartbeat City』はAOR/ソフト・ロックを知るのに最適な一枚。米国の同バンドのリリースしたアルバムの中で最も商業的成功を収めている。ポップなアルバムとして知られているが、シニカルな陰影のある歌詞も織り交ぜられている。

 


ロックな印象を押し出した前々作『Panorama』、前作『Shake It Up』に比べると、全体的にポップでキャッチーな仕上がりになっている。『ラジオ&レコーズ』の年間アルバムチャートでは1位を獲得している。「Drive」「Hello Again」「Magic」「You Might Think」がトップ20に入るなど、シングル・カットでヒットを量産している。 アメリカのチャートで最高3位、イギリスでは25位を獲得。後のこのアルバムで、カーズはロックの殿堂入りを果たした。


「Drive」




The Police 『Synchronicity』 1983

 


スティング擁するポリスは当初、レゲエやダブサウンドを絡めた気鋭のロックバンドとしてニューウェイブの真っ只中に登場したが、年代と併行してよりポップなバンドに変化していった。5作目のアルバムは彼らの実験的な音楽とポピュラー性が劇的に融合した。その後の活動休止を見ると、バンドとしてかなり危ういところで均衡を図っている緊張感のある作品である。

 

『シンクロニシティ』は、1983年6月にA&Mレコードから発売。バンドで最も成功を収めた本作には、ヒットシングル「Every Breath You Take」、「King of Pain」、「Wrapped Around Your Finger」、「Synchronicity II」が収録。アルバムのタイトルと曲のネタの多くは、アーサー・ケストラーの著書『偶然の根源』(1972年)にインスパイアされている。1984年のグラミー賞では、アルバム・オブ・ザ・イヤーを含む計5部門にノミネート、3部門を受賞した。リリース当時、そして、シンクロニシティ・ツアーの後、ポリスの人気は最高潮に達し、BBCとガーディアン紙によれば、彼らは間違いなく「世界最大のバンド」だったという。




「Every Breath You Take」

 

 

 

 

TOTO 『Ⅳ』 1982

 

 

 

『Toto IV』は、1982年3月にコロムビア・レコードから発売されたアメリカのロックバンドTotoの4枚目のスタジオアルバム。「Rosanna」を始め、シンセの演奏を押し出したポピュラーアルバムだが、異文化へのロマンが表明され、それはアルバムのクローズ「Africa」で明らかになる。

 

リードシングルの「Rosanna」はビルボードホット100チャートで5週間2位を記録し、アルバムの3枚目のシングル「Africa」はホット100チャートで首位を獲得し、グループにとって最初で唯一のナンバー1ヒットとなった。アルバム・オブ・ザ・イヤー、プロデューサー・オブ・ザ・イヤー、レコード・オブ・ザ・イヤーを含む3つのグラミー賞を受賞した。

 

発売直後、アメリカのビルボード200アルバムチャートで4位を記録。また、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、オランダ、イタリア、ノルウェー、イギリス、日本を含む他の国々でもトップ10入りを果たす。また、このアルバムは、オリジナル・ベーシストのデヴィッド・ハンゲイトが2014年に復帰するまで(2015年のアルバム『TOTO XIV』のリリースで)、オリジナル・ベーシストをフィーチャーした最後のTOTOアルバム。オリジナル・リード・ヴォーカリストのボビー・キンボールが1998年にカムバックするまで(『TOTO XIV』のリリースで)、オリジナル・リード・ヴォーカルをフィーチャーした最後のアルバムでもあった。

 


「Africa」

 

 

 

 

Daryl Hall &  John Oates 『Private Eyes』 1981


 

AOR/ソフト・ロックの中でも、よりR&Bに根ざしたアルバムがある。それが意外なことにダリル・ホール & ジョン・オーツの1981年の『Private Eyes』である。この年のデュオのアルバムには1980年代前後のアーバン・コンテンポラリーからの影響が大きく、ファンクやソウルに触発を受けながら、それらを親しみやすく軽快なシンセ・ポップとしてアウトプットしている。

 

『プライベート・アイズ』(Private Eyes)は、1981年9月1日にRCAからリリースされたホール&オーツの10枚目のスタジオアルバム。このアルバムには、2枚のナンバーワン・シングル、タイトル曲と "I Can't Go for That (No Can Do)"、トップ10シングル "Did It in a Minute "が収録されている。「I Can't Go for That (No Can Do)」はR&Bチャートでも1週間首位を獲得した。この曲は現在でも古びていない。2020年代の商業音楽にも共鳴する何かがある。

 

 「I Can't Go for That (No Can Do)」

 

 

 

Christpher Cross 『Christpher Cross』 1979

 


クリストファー・クロスは、テキサス/アントニオ出身のシンガーソングライター/ギタリストで、フラミンゴをトレードマークにしている。知る人ぞ知るロックギタリストで、この音楽家を畏れるファンは多いはずだ。

 

本作はクリストファー・クロスのデビュー・アルバムで、1979年半ばにレコーディングされ12月にリリースされた。このアルバムは、3M デジタル・レコーディング・システム (3M Digital Recording System) を活用した初期のデジタル・レコーディング・アルバムのひとつである。

 

1981年のグラミー賞では、ピンク・フロイドの『The Wall』を抑えて最優秀アルバム賞を受賞し、1970年代末から1980年代初めにかけての最も影響力のあったソフトロックのアルバムのひとつであると評されている。『Christpher Cross』はアルバム・オブ・ザ・イヤー、レコード・オブ・ザ・イヤー、ソング・オブ・ザ・イヤー、最優秀新人賞を含む5部門でグラミー賞を受賞した。この驚異的な記録は2020年のビリー・アイリッシュの時まで破られることがなかった。


 

「Ride Like The Wind」

 

 

The Aran Persons Project 『Eye In The Sky』 1982

 


『Eye In The Sky』は、1982年5月にアリスタ・レコードからリリースされたイギリスのロックバンド、The Aran Persons Project(アラン・パーソンズ・プロジェクト)の6枚目のスタジオアルバム。アルバムジャケットはファラオの目。

 

1983年の第25回グラミー賞で、『Eye In The Sky』はグラミー賞の最優秀エンジニア・アルバム賞にノミネートされた。2019年、このアルバムは第61回グラミー賞で最優秀イマーシヴ・オーディオ・アルバム賞を受賞した。

 

『Eye In The Sky』には、最大のヒット曲であるタイトル曲が収録。リード・ヴォーカルはエリック・ウルフソン。アルバム自体も大成功を収め、多くの国でトップ10入りを果たした。


このアルバムにはインストゥルメンタル曲「Sirius」が収録されており、北米中の多くの大学やプロのスポーツ・アリーナの定番曲となっている。この曲は、1990年代にシカゴ・ブルズが優勝した際に、スターティング・ラインナップを紹介するために使用された。



もう1つのインスト曲「Mammagamma」は、1980年代半ばにニュージーランドのTVNZとBBCウェールズでスヌーカー中継のために個別に使用され、1989年から1990年にかけてアイルランドのトニー・フェントンの深夜2FM番組で「My Favourite Five」特集として使用された。また、このインストゥルメンタルはイタリアのIvecoのインダストリアル・ビデオでも使用された。


「Eye In The Sky」

 

 

 

 

Don Henley 『Actual Miles: Henley’s Greatest Hits』 1995

 


 

最後にご紹介するのは『Actual Miles:Henley’s Greatest Hits』1995年にリリースされたアメリカのシンガー・ソングライター、ドン・ヘンリーによる初のコンピレーション・アルバム。

 

このコンピレーションアルバムは1980年代を通した3枚のソロ・アルバムからのヘンリーのヒット曲を網羅している。アルバムには3曲の新曲、「The Garden of Allah」、「You Don't Know Me at All」、ヘンリーによる「Everybody Knows」のカヴァーが収録されている。この作品集はチャート最高48位を記録し、プラチナに達した。「The Garden of Allah」はメインストリーム・ロック・トラックス・チャートで16位を記録。

 

ジャケットの写真には、葉巻を吸う中古車セールスマンのヘンリーが冗談半分に描かれているが、これは1995年の『Late Show』出演後、デヴィッド・レターマンに質問されたドン自身が語った。ヘンリーは、この写真とアルバム・タイトルはレコード業界に対する微妙な風刺と説明している。 



ジャケットの写真には、葉巻を吸う中古車セールスマンのヘンリーが冗談半分に描かれているが、これは1995年の『レイト・ショー』出演後、デヴィッド・レターマンに質問されたドン自身が語ったものだ。ヘンリーは、この写真とアルバム・タイトルはレコード業界に対する微妙な風刺だと説明している。 

 

 

 「The Boys Of Summer」

Yuko Araki

実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するイベントシリーズ『MODE』が2024年6月1日から6月9日までの9日間にわたって都内複数会場にて開催されます。開催場所は表参道、南青山、港区。


世界各国から国際的に高い評価を受けるアーティストや、日本・アジアを拠点に世界で活躍するアーティストたちが東京に集結し、パフォーマンスを披露。


本エディションの幕開けを飾るのはノイズミュージックの変遷を感じ取ることのできるプログラム。日本のアンダーグラウンド・ノイズ・ミュージックのレジェンドINCAPACITANTSを筆頭に、2010年代を代表する世界的に評価の高いデンマーク出身の実験音楽家、作曲家のPuce Mary、東京を拠点に国際的に活動するフリーフォームなアナログ・ノイズへのアプローチを発展させてきたマルチ・インストゥルメンタリスト、作曲家のYuko Arakiが出演予定。詳細はこちら


Mode 2024






フランスのミュージシャン、詩人として活動する、Merle Bardenoir(メル・バルドゥノワール)のプロジェクト、Glamourieがセカンドアルバム『Lady From The Outside』を4月27日にリリースした。


Glamourieの音楽はインストゥルメンタルで、プロジェクトを構成する幻想的なテーマの展開は、タイトルだけでなく、ビジュアルを通じても展開される。また、メル・バルドゥノワールは、画家/イラストレーターとしても活動しており、美しく幻想的なアートワークを幾つか製作している。


イマジナル・ステージの経験をさらに発展させたこの第2作は、アーサー王伝説にインスパイアされ、ケルト音楽、ミニマル・ミュージック、アンビエント・ミュージックの要素を融合させている。


アルバムの楽曲はBandcampにてご視聴/ご購入することが出来ます。 アートワークとともに下記より御覧下さい。







ニューヨークのアンビエント・プロデューサー、Rafael Anton Irissari(ラファエル・イリサリ)がセルビア在住の音楽家、Abul Mogardとのコラボレーション作品を発表した。アブル・モガードの経歴はほとんど知られておらず、ベルグラードの工場を2012年に退職した後、音楽活動を行うようになった。 

 

アブール・モガードとラファエル・イリサリのパートナーシップは、2023年にマドリードの文化センター、コンデドゥケで開催されたサウンドセット・シリーズのソールドアウトのオープニングでセレンディピティに展開した。その晩、スペインのラジオ3で録音されたこのデュオのアンコールは、聴衆の心に深く響いた。


彼らのコラボ制作の中心には、抑制と革新の微妙なバランスがある。それはライブ・コンサート曲の "Waking Up Dizzy on a Bastion "に表れている。

 

彼らの音楽的感性にインスパイアされたこの曲は、彼らが共有するビジョンと相互尊重の証となっている。パラレル・コード進行を用いたこの曲は、シンセで生演奏されるシンプルなメロディ・モチーフから始まり、モガードのシンセ・ラインとイリサリの弓弾きギター・ループのコール・アンド・レスポンスに変化し、ミュージシャン同士の対話のような相互作用を生み出す。


ライブのエネルギーを基に、モガードとイリサリは、モガードのファルフィサ・オルガンとモジュラー・シンセサイザーとイリサリのシンセサイザーを組み合わせた「Place of Forever」を制作した。


現在、Bandcamp限定で、40分近い2曲のシングルがストリーミング未公開で発売されている。(限定10枚。購入はこちら)他のストリーミングでは、一曲目に収録されている「Place of Forever」のエディットバージョンが配信されている。

 


「Place of Forever」ーAM Radio Edit

 

©Eloïse Labarbe-Lafon


フランスを代表するシンガー、クリスティン・アンド・ザ・クイーンズがニューシングル「rentrer chez moi」をリリースした。クリスが作詞、作曲、プロデュースしたこの曲は、プルミエ・クリがプロデュース、パリとハンシュで撮影されたサーシャ・モンガン監督のビデオと合わせて公開された。


クリスはこのシングルについて次のように語っている。


「この曲は真実だから泣けるんだ。私が君に対して抱いているたくさんの愛、いつも正直でいようとするこの深い決意、そしてダンスが共有される瞬間、喜びの祝典になるように。一瞬を共に。健全な降伏。このビデオのために踊る前に、私はバーバラを聴いた」

 

私は覚えている

リビングルームで踊っていた彼女の動きを

祝福、 

分かち合い 

詩のように、自分の内面を表現するダンス


「rentrer chez moi」は2023年のアルバム『PARANOÏA, ANGELS, TRUE LOVE』に続く作品。今年初め、クリスティン&ザ・クイーンズはMGMTとの史上初のデュエット曲「Dancing in Babylon」に参加した。

 


「rentrer chez moi」

 



Maya Hawke(マヤ・ホーク)が、5月31日にMom + Popからニューアルバム『Chaos Angel』をリリースする。その3枚目のシングル「Hang in There」のリリックビデオが公開された。


ホークはプレスリリースでこの曲について次のように語っている。「『ハング・イン・ゼア』のアイデアは、身近な人がいて、その人が自分の人生の早い時期に経験したようなひどいことを経験しているとき、干渉してはいけないとわかっている。だから、あなたは、彼らが本当に傷つくのをただ見守るしかない。彼らが、自分がずっと有害な状況に置かれていたことに気づく瞬間が来るまで。そして彼らはあなたのところにやってきて、一緒にそこから抜け出す手助けをする。すべてのピースがカチッとはまる瞬間を目撃できるのは、本当に幸せな瞬間なんだ」



『Chaos Angel』は、2022年の『MOSS』に続くアルバムだ。同アルバムと同様、ホークはクリスチャン・リー・ハトソンと共作し、プロデュースも担当している。『カオス・エンジェル』には、ホークの常連であるベンジャミン・ラザール・デイヴィスとウィル・グレイフも参加している。


俳優イーサン・ホークとユマ・サーマンの娘であるホークは、ネットフリックスのヒット番組『ストレンジャー・シングス』でその名を知られるようになった。昨年は評価の高い映画『アステロイド・シティ』と『マエストロ』に出演した。

 


 「Hang in There」

 

©Michal Pudelka


Bat For Lashes(バット・フォー・ラッシズ)が新曲「Home」を発表した。この曲はナターシャ・カーンの次作『The Dream of Delphi』の収録曲。すでにタイトル曲と「Letter to My Daughter」でプレビューされている。
 
 
この新曲には、カーンと娘のデルフィをフィーチャーしたビデオが付属しており、以下でチェックできる。
 
 

「デルフィのお気に入りの曲だった。 彼女がこのアルバムを振り返ったときに、小さな赤ちゃんのときに大好きだった曲だと言えるようにね」
 

Bat For Lashesのアルバム『The Dream of Delphi』はMercury KXから5月31日にリリースされる。



「Home」

4月27日、東京のオルタナティヴロックバンド"PSP Social"が4作目のフルアルバム『Second Communication』をリリースする。バンドは新宿にある''Hill Valley Studio''(東京のアンダーグラウンドパンク/ハードコアの象徴的なライブスポット、Antiknockの親会社が運営)での自主企画を定期的に打ちながら、東京のコアなベースメントシーンでじわじわと存在感を示し始めている。 

 

『Second Communication』はbloodthirsty butchersやダイナソーJr.を彷彿とさせる爽快感溢れるギターサウンド、ピンクフロイドに触発されたプログレッシブな音楽性及び物語性を兼ね備えている。先行公開された「エンジェル・ハイロウ」、及び、15分を超える大曲「Communication Breakdown vol.2」も収録。日本語ロックとスロウコアが絶妙にマッチした「土」も要チェック。

 

"コミュニケーション”を中心に関係や疎外とそれに対するオルタナティブや超越をテーマとしていて精神的な内容だが、ロック音楽としての快感、JROCK的サブカリズムを軸に作られた令和プログレとオルタナティブの共感が40分にわたって溶け混ざりあうコンセプト作品となっている。


レコーディングは前作に引き続き、元例のKのヤミニが担当した。アルバムジャケットはDJで美術家の"rench kee"が担当している。

 

今作は前作『宇宙から来た人』のフォローアップとなり、彼らの自主レーベル”エスパーキック”からのリリース。6月よりレーベル企画「エスパー教室」も再開予定。こちらもお楽しみに。



「Tuchi-土」



『Second Communication』/PSP Social



2024年4/27リリース

フォーマット:デジタル配信

レーベル:エスパーキック

価格:¥2,000(税抜)


【Track List】

01.Theme

02.エンジェル・ハイロゥ

03.撃滅サンダーボルトⅡ

04.Communication Breakdown vol.2

05.壁

06.土

07.mood


配信URL:https://ultravybe.lnk.to/ssc


mix&mastering:ヤミニ&エスパーキック

illustration:rench kee

Weekly Music Feature


-Tara Jane O'Niel



タラ・ジェーン・オニール(TJO)はマルチ・インストゥルメンタリスト、作曲家、ビジュアル・アーティスト。自身の名義で、他のミュージシャン、アーティスト、ダンサー、映像作家とのコラボレーションで作曲、演奏活動を行っている。ソロ・アーティストとしては10枚のフルアルバムをリリースしている。  


オニールはロダン、ソノラ・パイン、その他いくつかのバンドの創立メンバーだった。パパ・M、スティーブ・ガン、ハンド・ハビッツ、ローワー・デンズ、マイケル・ハーリー、リトル・ウィングス、マリサ・アンダーソン、キャサリン・アーウィン、ミラ、マウント・イーリー、その他多くのアーティストとレコーディングやステージでコラボレーションしている。


1992年以来、世界中のクラブ、ギャラリー、DIYスペースや、ポンデュセンター、ホイットニー美術館、ハンマー、ブロードなどの会場でパフォーマンスを行っている。 ミュージシャンは、カルト・クラシック映画『Half-Cocked』に主演し、『His Lost Name』、『Great Speeches From a Dying World』などの長編映画の音楽を担当した。彼女のビジュアル・アート作品は、ロンドン、東京、LA、ニューヨーク、ポートランドなどで展示され、3冊のモノグラフが出版されている。


オニールのアルバム『The Cool Cloud of Okayness』は、セルフ・タイトルから7年(その間、魅力的なコラボレーション、トリビュート、レアもの、実験作がリリースされている)の小競り合いとシャッフルの中で書かれた。TJOがカリフォルニア州アッパー・オハイの自宅スタジオで録音した。トーマス火災で消失した自宅の灰の上に建てられたスタジオにて。


「The Cool Cloud of Okayness」の9曲の多くは、山火事と再建の間、ロックダウンと再開の間に開発された。TJOと彼女のパートナー(ダンサー、振付師、頻繁なコラボレーター)であるジェイミー・ジェームス・キッドと彼らの犬は、南カリフォルニアの高地砂漠とケンタッキー州ルイビルの深い郊外で嵐から避難した。


これらの土地で、キッドのダンスに即興でベース・ギターのフィギュアを発見し、パンデミックによる隔離の間に歌へと変化させ、それから、ドラマー/パーカッショニストのシェリダン・ライリー(Alvvaysのメンバー)、マルチ・インストゥルメンタリストのウォルト・マクレメンツ、そして、カップルでギタリストでもある、メグ・ダフィー(Hand Habitsのメンバー)のアンサンブルに持ち込んだ。彼らは演奏を構築し、嬉々として破壊し、それを再構築した。


このアンサンブルが共有するクィア・アイデンティティーには喜びがある。このアルバムもまた、安易なジャンルや定義に挑戦している。このレコードは彫刻であり、過ぎ去った時間と愛する人の肖像画である。スピリチュアルであり、サイケデリックでもある。TJOの巧みなプロダクションと揺るぎないベースが中心を支え、彼女の妖艶なギターと歌声がメッセージを伝える。


「The Cool Cloud of Okayness」は、時に約束のように、時にマントラのように神秘的に歌いあげる。''私たちは明るい、炎のように。喜びもまた、戦い方のひとつなのだ "と。


持続するリズムの中で、繰り返しはすべて挑戦のように感じられる。太陽の周りを何周するのか? 毎回何が変わるのか? 人はどれだけの喪失を受け入れることができるのだろうか? それらの悲しみは、延々と続くフィードバック・ループとなるが、耳を澄ませば希望が芽生え、小さな苗木が泥の中を突き進む音が聞こえてくる。「悲しみを変容させ、松明を運ぶ。松明は明るい」

 


--最初に矢を受けた場所には喜びの傷が残る。喜びは戦いの形なのだから、私たちはとても明るい。--


-Tara Jane 0'Neil- 「We Bright」

 



TJO   『The Cool Cloud of Okayness』


タラ・ジェーン・オニールの新作アルバムはかなり以前から制作され、2017年頃から七年をかけて制作された。カルフォルニアの山火事の悲劇から始まったオニールの音楽の長大な旅。


『The Cool Cloud of Okayness』は、異質であまり聴いたことがないタイプのアルバムで、唯一、プログレの代表格、YESの『Fragile』が近い印象を持つ作品として思い浮かべられるかもしれない。アルバムジャケットのシュールレアリスティックなイメージを入り口とし、ミステリアスな世界への扉が開かれる。


真実の世界。しかも、濃密な世界が無限に開けている。タラ・オニールの音楽的な引き出しは、クロスオーバーやジャンルレスという、一般的な言葉では言い尽くせないものがある。分けても素晴らしいと言いたいのは、オニールは、ノンバイナリーやトランスであることを自認しているが、それらを音楽及び歌詞で披瀝せず、表現に同化させる。これがプロパガンダ音楽とは異なり、純粋な音楽として耳に迫り、心に潤いを与える。主張、スタンス、アティテュードは控え目にしておき、タラ・オニールは音楽のパワーだけで、それらを力強く表現する。そして、これこそが本物のプロのミュージシャンだけに許された”特権”なのである。

 

アルバムの#1「The Cool Cloud of Okayness」はサイケデリックロックをベースにしているが、ハワイアンやボサノヴァのように緩やかな気風のフォーク音楽が繰り広げられる。心地良いギターとオニールの歌は、寄せては返す波のような美しさ。浜辺のヨットロックのような安らぎとカルフォルニアの海が夕景に染め上げられていくような淡い印象を浮かび上がらせる。この曲は、序章”オープニング”の意味をなす。

 

これは映画音楽の制作や、実際に俳優として映像作品に出演経験があるTJ・オニールが、音楽の映像的なモチーフを巧緻に反映させたとも解釈出来るかもしれない。#2「Seeing Glass」は、ノルウェーのジャズ・グループ、Jagga Jazzistの音楽を彷彿とさせる。シャッフル・ビートを多用したリズム、ミニマルミュージックを反映させたタラ・オニールのボーカルは、作曲の方法論に限定されることはなく、春のそよ風のような開放感、柔らかさ、爽やかさを併せ持つ。

 


 #1「The Cool Cloud of Okayness」

 

 

#3「Two Stone」ではさらに深度を増し、夢幻の世界へ入り込む。この曲では、Jagga JazzistやLars Horntvethがソロ作品で追求したようなエレクトロニックとジャズの融合があるが、バンドの場合は、それらにフュージョン、アフロビート、アフロジャズの要素を付け加えている。

 

アルバムの冒頭で、南国的な雰囲気で始まった音楽が、一瞬で長い距離を移動し、三曲目でアフリカのような雄大さ、そして、開放的な気風を持つ大陸的な音楽に変遷を辿っていく。しかし、アフロジャズの創成期のような原始的な音楽やリズムについては極力抑えておき、ラウンジ・ジャズのようなメロウさとスタイリッシュさを強調させている。それらのメロウさを上手い具合に引き立てているのが、金管楽器、パーカション、アンニュイなボーカル。オニールのボーカルは、ベス・ギボンズのようなアーティスティックなニュアンスに近づくときもある。 



#4「We Bright」では、クイアネスの人生を反映させ、「最初に矢を受けた場所には喜びの傷が残る。喜びは戦いの形なのだから、私たちはとても明るい」という秀逸な表現を通して、内的な痛みをシンガーは歌いこむ。ただ、そこにはアンニュイさや悲哀こそあれ、悲嘆や絶望には至らない。"悲しみは歓喜への入り口である"と、シンガーソングライターは通解しているのだ。続いて、オニールは、アフロジャズ/フュージョンのトラックに、抽象的な音像を持つコーラスとボーカルを交え、歌詞に見出されるように、''暗い場所から明るい場所に向かう過程''を表現する。ここでは、人生の中で受けた内的な傷や痛みが、その後、全然別の意味に成り代わることを暗示する。続く「Dash」は、インタリュードをギターとシンセで巧みに表現している。二方向からの音楽的なパッセージは結果的にアンビエントのような音像空間を生み出す。

 

#6「Glass Land」では、シカゴ/ルイヴィルに関するオニールの音楽的な蓄積が現れている。つまり、イントロではポストロックが展開され、ジム・オルークのGastre Del Sol、Rodan、Jone of Arcの彷彿とさせるセリエリズム(無調)を元にしたミステリアスな導入部を形作る。

 

しかし、その後、スノビズムやマニア性が束の間の煙のようにふっと立ち消えてしまい、Portisheadのベス・ギボンズを思わせるアンニュイなボーカル、現代のロンドンのジャズ・シーンに触発されたドラミングを反映させた異質な音楽が繰り広げられる。見晴るかすことの叶わぬ暗い海溝のような寂しさがあるが、他方、ペシミスティックな表現性に限定付けられることはなく、それよりもバリエーション豊かな感覚が織り交ぜられていることに驚きを覚える。

 

明るさ、暗さ、淡さ、喜び、安らぎ、ときめき、悲しさ、苦しさ、それを乗り越えようとすること。挫折しても再び起き上がり、どこかに向けて歩き出す。ほとんど数えきれないような人生の経験を基底にした感覚的なボーカルが多角的な印象をもって胸にリアルに迫ってくるのである。 

 

 

 #6「Glass Land」

 

#7「Curling」では、Jagga Jazzistのノルウェージャズと電子音楽の融合ーーニュージャズを元に、Pink Floyd/YESのような卓越した演奏力を擁するプログレを構築させる。 特にシンセサイザーがバンドのアンサンブルを牽引するという点では、リック・ウェイクマンの「こわれもの」、「危機」の神がかりの演奏を思わせる。タラ・オニールによるバンドは続いて、マスロックの音楽的な要素を加え、Don Cabarelloが『Amrican Don』で繰り広げたようなミニマル・ロックと電子音楽の融合を復刻させる。ただ、これらがBattlesのようなワイアードな音楽にならないのは、オニールのボーカルがポップネスを最重視しているからだろう。

 

後半部では、スピリチュアル・ジャズの音楽的な要素が強調される。「Fresh End」はアフロジャズとシカゴのポスト・ロック/ルイヴィルのマス・ロックの進化系であり、Don Cabarelloの『What Burns Never Returns』のアヴァンギャルド・ロックのスタイル、そして、Jagga Jazzistのエレクトロ・ジャズを、アフロビートの観点から解釈することによって、音楽の持つ未知の可能性を押し広げる。ベースラインのスタッカートの連続は、最終的にダンスミュージックのような熱狂性と強固なエナジーを生み出す。それは実際、アルバムを聞き始めた時点とは全く異なる場所にリスナーを連れてゆく。これを神秘性と呼ばずしてなんと呼ぶべきなのか??

 

『The Cool Cloud of Okayness』のクライマックスを飾る「Kaichan Kitchen」は圧巻であり、衝撃的なエンディングを迎える。サイケロック、サーフ、ヨットロックをアンビエントの観点から解釈し、ギター/シンセのみで、Mogwai/Sigur Rosに比する極大の音響空間を生み出す。天才的なシンガーソングライター、TJ・オニールに加えて、シェリダン・ライリー、メグ・ダフィー、秀逸なミュージシャンの共同制作による衝撃的なアルバムの登場。収録曲は、9曲とコンパクトな構成であるが、制作七年にわたる長い歳月が背景に貫流していて、感慨深い。

 



92/100
 


#7「Curling」

 

 

 

Tara Jane O’Niel(TJO)の新作アルバム『The Cool Cloud of Okayness』はOrindal Recordsより本日発売。

 

 


 

東京のLuby Sparksは、このところコンスタントに良作を発表している。今回、彼らは、Yeah Yeah Yeah’sのカバーソング「Maps」に続いて、シングル「Somebody Else」をリリース。春や初夏にふさわしい清涼感のあるインディーポップナンバーとなっている。配信リンクは下記より。

 

英語による歌詞ではあるが、エリカ・マーフィーの甘酸っぱいフレーズは往年のスピッツのヒットソングを彷彿とさせる。マフィーは英語を通じて日本語のようなニュアンスと響きを重視しているらしいことがわかる。「Somebody Else」は全体的には、ギターラインとシンセと心地よい、ベース、ドラムがのシンプルな構成を通してこの曲の支柱を形成するが、アウトロにかけてベース/シンセのカトウ・ナツキのコーラスが入ると、イントロや中盤とは異なる色彩的な印象をもたらす。この曲には、ルービー・スパークスの着実な成長とステップアップが感じられる。

 


ルービー・スパークスは2月下旬にオリジナル・シングル「Stayaway」をリリースしている。


 

 「Somebody Else」

 

 


Luby Sparks 「Somebody Else」‐ New Single


Luby Sparks「Somebody Else」
LSEP-3 | 2024.04.26 Release
Released by AWDR/LR2


配信リンク:  https://lubysparks.lnk.to/SomebodyElse

 

 
Lyrics : Natsuki Kato
Music :  Natsuki Kato

Vocal : Erika Murphy
Backing Vocal, Bass & Synthesizers : Natsuki Kato
Electric Guitar & Acoustic Guitar : Tamio Sakuma
Electric Guitar & Wind Chimes : Sunao Hiwatari
Drums : Shin Hasegawa
Triangle & Tambourine : Genya Ishizaki
Shaker : Ryu Kawashima

Arranged by Erika Murphy, Natsuki Kato, Taimo Sakuma, Sunao Hiwatari & Shin Hasegawa

Recorded by Ryu Kawashima at Red Bull Studios Tokyo
Mixed by Zin Yoshida at Garden Wall
Mastered by Kentaro Kimura at Kimken Studio

Produced by Luby Sparks & Zin Yoshida

Cover Photography : Annika White

 

 

 

Luby Sparks Bio:

 

 
Natsuki (ba/vo)  Erika (vo)  Sunao (gt)  Tamio (gt)  Shin (dr)。


2016年3月結成。2018年1月、Max Bloom (Yuck) と全編ロンドンで制作したデビューアルバム「Luby Sparks」を発売。2019年9月に発表したシングル「Somewhere」では、Cocteau TwinsのRobin Guthrieによるリミックスもリリースされた。

 

2022年5月11日にMy Bloody Valentine、Rina Sawayamaなどのプロデュース/エンジニアを手掛けるAndy Savoursを共同プロデューサーに迎え、セカンド・アルバム「Search + Destroy」をリリース。

 

同年6月には、ワンマンライブ「Search + Destroy Live」(WWW X) も行い、ソールドアウト。10月にはタイ・バンコクでの海外公演を行い、2023年3月17日より、NY、ボストン、フィラデルフィア、サンフランシスコ、シアトル、サンディエゴ、LAの全7都市にて「US Tour 2023」、9月には中国「Strawberry Music Festival 2023」を含む全7都市「China Tour 2023」、10月には韓国のストリートカルチャーコンベンション「FLOPPY 1.0 - Let’s FLOPPY」、11月にはインドネシア「Joyland Festival」に出演するなど海外展開も積極的に行う。

 


ロンドンを拠点に活動するダニエル・カニンガムによるプロジェクト、Actress(アクトレス)が昨年の『LXXXVIII』に続く作品を発表した。タイトルは『Statik』で、Smalltown Supersoundから6月7日に発売される。

 

本日、シングル「Dolphin Spray」、「Static」が先行公開された。前者はモジュラーシンセを駆使したミニマル・テクノ/アシッド・ハウスで、後者は、抽象的なアンビエント/ドローンである。

 

アルバムについての声明で、カニンガムは次のように書いている。これはアーティストによる現代詩としても読めなくもない。

 


暗い森の中、血に染まった松の向こうに、静かなプール(ポータル)が煌めく。

見つめて。目を凝らして。心の目をグリッチする。

煙に包まれた空に静止した新月を見る。

不気味だ。あなたはここに映っていない。

(あなたはここにはいない)。

水が渦を巻いても目をそらさないで。

より深く見つめ、より近づき、その流れに身を委ねるんだ。

落ちる。

(落ちる)

落ちる...

地獄でも楽園でもない

銀のモノクロームの壮大な幻影が明滅する。

オリハルカムの鉢の中で炎が踊り、大理石の広間には反射池が並ぶ。

この廃墟のような寺院には、いまだに驚かされる。静まれ。

静まれ。聞け。ここには恐怖はない。

聞け。生きてきた瞬間のスペクトラルな響きに耳を澄ますんだ:

メロディー、モチーフ、リフレインが滴り、飛び散り、流れ落ちる。

ポセイドンの壁にアズド・レインが降り注ぎ、輝く玉座の前に薪がそびえ立つ。

儀式(レクイエム)が始まる。

絹のような音と水色の靄に包まれ、青黒い炎の上に浮かび上がる。

上へ下へ、下へ上へ。上へ下へ、無限の海へ。

波の下の鳩グレーの空では、突き刺すような月の光の中でイルカがおしゃべりし、水しぶきを上げる。

木々や森や土や血の下で、この鳩のようにまろやかな場所こそ、あなたがいる(映し出される)場所だ。

今も、これからも

 

 

「Dolphin Spray」

 

 

カニンガムの最新アルバムは、自由と静寂の感覚に満ちている。構想から制作、リリースに至るまで、「スタティック」は不自然なほどのシンプルさがある。アルバムの大半をフロー状態で書き上げたアクトレスにとって、この天空のように広大なプロジェクトは芸術的解放の証なのだ。



昨年の『LXXXVIII』(ニンジャ・チューンからリリース)に続く、繊細かつ荘厳な『Statik』は、アクトレスにとってSmalltown Supersoundからリリースする初のフルアルバムとなる。

 
カニンガムとオスロを拠点とする高音質サウンドを提供する尊敬すべきアーティストとのコラボレーションに注目。アクトレスがカルメン・ヴィラン(北欧のダブ・ステップの急峰。きわめて前衛的な作風で知られる)のカットを”Only Love From Now On LP”の12インチ用にリミックスした。


「Statik」



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ACTRESS 『Statik』


Label: Smalltown Supersound

Release: 2024/06/07

 

Tracklist:


1. Hell

2. Static

3. My Ways

4. Rainlines

5. Ray

6. Six

7. Cafe Del Mars

8. Dolphin Spray

9. System Verse

10. Doves Over Atlantis

11. Mello Checx

 

©Kaylene Widdoes


カナダのシューゲイズ・デュオ、Softcultは、5月24日にリリースされるEP『Heaven』からのニューシングル「One of the Pack」を発表した。このシングルは、前作「Shortest Fuse」「Haunt You Still」「Spiralling Out」、そしてタイトル曲に続く。以下からチェックしてほしい。


「この曲を書いたとき、私たちは女性をサポートする女性を大いに称えたかった。もちろん、そこには、POCやトランスジェンダーの女性も含まれている。しかし、フェミニズムや "女性 "という言葉から特定のコミュニティを排除しようとする”TERF”がいるのも事実。私たちは、私たちのやり方で、シューゲイザー・コミュニティにライオット・グラール・フェミニズムとアクティヴィズムを紹介したこともあり、交差するフェミニストであることに誇りを持っています。私たちの音楽を聴いている人々には、POC、トランス女性、ノンバイナリー・ピープルは、常に私たちのグラール・ギャングの歓迎すべき重要な一部であることを知っていてほしいです」



「One of the Pack」

 

©Ingmar Chen

Lightning Bugが、『No Paradise』の3枚目のシングル「Lullaby for Love」をリリースした。この曲は「December Song」「Opus」に続く。この曲のビデオは、キット・ザウハルが監督、アンドラス・ラドッシが撮影し、フロントウーマンのオードリー・カンと頻繁にコラボレートしているサラ・ボランダーが出演している。視聴は以下から。


「元パートナーのためにミックステープの一部として "愛の子守唄 "を書いた」とカンはプレスリリースで説明した。


「この曲は私たちの間で冗談のようなもので、恋をしていることの安っぽさに寄り添うようなものだった。でも、人生が流れるにつれて、この曲が私の心に引っかかってきた。本当に恋をしているときは、時間と空間の外に存在する特別な世界のように感じる。ただ、必ずしも恋愛相手とという意味ではなくて。海や太陽の光、本当に完璧な一日に恋をしているのかもしれない。そして、それが永遠に続いてほしいと思う。それがこの曲で表現したかったことなんだ」



「Lullaby for Love」

 


Los Bitchosがニューシングル「La Bomba」をCity Slangからリリースした。ラテンの陽気なムードとディスコのリズムを織り交ぜたユニークなナンバー。今年の夏に流すのに最適な一曲だ。トム・ミッチェルが監督したビデオは、クイーンの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」へのオマージュだ。

 

ロス・ビッチョスはロンドンの多国籍のバンドで、セラ・ペターレ、アグスティナ・ルイス、ホセフィーヌ・ヨンソン、ニック・クロショーの四人で構成される。ルイス、ホセという名前からみても分かる通り、南米系の移民が多いのかもしれない。彼らは、70、80年代のラテン音楽の一つである”クンビア”のスタイルを継承していると言われている。クンビアとはおそらくコロンビアが転訛したもの。カリブ海に位置する地域を指し示し、コロンビア、コスタリカ、チリの固有の民族音楽のことを意味する。ビッチョスの音楽はインストゥルメンタルのスリリングさに重点を置く曲構成だが、その中にはロックスタイルのニュアンスが含まれている。


この曲はオーリー・バートン・ウッドがプロデュースした。バンドは次のように語っている。


「”La Bomba”はエネルギーとパワーの爆発だ! 去年の夏、フェスティバルで演奏し始めたんだけど、そのエネルギーがとても気持ちよかった」


「冒頭のスタブは、キッチンで料理をしているとき、私(セラ)が最初に思いついたものなんだ。冒頭のギターのトーンとその下のスタブには、とても勇壮で力強いものがある。ツンとしたギターの音色が、クラップ、ポンピングするディスコ・ベースライン、夢見心地で渦巻くシンセ・サウンドの混沌とした風景を切り裂く」

 

「この曲にはディスコ時代の影響が色濃く出ており、ベースラインがこの曲のトーンを完璧なものにしていると思う。曲の構造的には、そのままコーラスに入る(ナイル・ロジャースが言ったように、なぜ待つのか?)。私たちは、この曲をできるだけクラシックなポップスの構成に近づけたいと思った」


この曲を盛り上げているのは、小さなピンポン・ドラムの音(Ring My Bell、Anita Wardを思い浮かべてほしい)だ。


彼らはミュージックビデオについてこう補足している。「この曲はハイ・エナジーで勢いのある曲なので、それにマッチさせるべく、曲に命を吹き込むようなダイナミックなビジュアルがぜひとも必要だった。このビデオには、キラキラした瞬間がたくさんあり、パフォーマンスとシュールな部分を行き来します。メイク・アップはとても楽しかったよ」

 

「La Bomba」