ゆうやんのアトランタ路地裏ブログ

Magic: The Gatheringの大会参加レポやデッキガイドなど

【スタンダード】スゥルタイ・コンシード【デッキ解説】

さて、前回のエントリと話が前後してしまいますが、グランプリ京都で使用したデッキのお話を本日はしたいと思います。

既にご存知の方も多いと思いますが、本戦の結果は5-3ドロップと散々なものでした。なので、「自信を持ってこのデッキをオススメできる」というわけではありません。その点、ご了承ください。
ただ、アリーナやリアルでのトーナメントの結果はすこぶる良かったですし、回していて楽しいことは確かなので、一度は組んでみてほしいかなとは思います。

それでは前置きが長くなりましたが、本日もお付き合いください。

 


デッキリスト

4《繁殖池》
4《草むした墓》
4《湿った墓》
4《水没した地下墓地》
2《森林の墓地》
2《内陸の湾港》
3《沼》
3《島》
4《アズカンタの探索》
4《喪心》
4《思考消去》
4《悪意ある妨害》
4《荒野の再生》
4《薬術師の眼識》
3《肉儀場の叫び》
2《ヴラスカの侮辱》
1《任務説明》
1《否認》
1《暗殺者の戦利品》
1《秘宝探究者、ヴラスカ》
1《首謀者の収得》


サイドボード
4《正気泥棒》
2《強迫》
2《押し潰す梢》
2《最古再誕》
2《渇望の時》
1《記憶の裏切り》
1《漂流自我》
1《探知の塔》


■スゥルタイ・コンシード概要

日本語公式でデッキテクに取り上げていただきましたので、そちらも併せてご覧ください。⇒https://mtg-jp.com/coverage/mfkyo19/article/0032206/


このデッキは、言うまでもなくコントロールデッキです。ただしデッキで5マナ以上のカードは僅か2枚とデッキ全体が軽く、2マナ域のアクションが大量に入っているため、序盤にアクションが取れないような事故が起きづらいのが特徴です。更にメインボードで緑のカードは《荒野の再生》と1枚の《暗殺者の戦利品》のみとなっており、デッキはほぼ青黒タッチ緑です。そのため3色デッキながら色事故も少なく、この2点から、コントロールながら事故を起こしづらい構成となっています。

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タッチする価値アリ

更に必殺技も搭載しています。それがネクサスでおなじみの「《荒野の再生》+《アズカンタの探索》」です。一度このエンジンが動き出せば、ビートダウン相手にはただ除去を供給し続けているだけで勝てますし、コントロールやネクサスにはハンデスと打ち消しをかき集めて勝利できます。

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荒野の再生の相方と言えば


アグロとコントロール、ネクサスと言ったスタンダード環境のあらゆるデッキを見据えた、全方位型のコントロールデッキというわけです。

スゥルタイ・コンシードの名前の由来は、《荒野の再生》と《アズカンタの探索》で盤面を掌握すると、相手が投了(=コンシード)してしまうことが非常に多かったからです。それほど、この2枚が揃うと一瞬で勝ててしまうのです。

ここでまず浮かんでくる疑問は、「《荒野の再生》と《アズカンタの探索》を使うならばネクサスやティムール再生で良いのではないか?」ということでしょう。
ですが僕は、ゲームに勝利するために《運命のきずな》も《発展+発破》もデッキには必要がないと判断しました。それは《荒野の再生》を着地させなければ強さが半減し、サイドボード後では《荒野の再生》を狙い撃ちされると厳しくなってしまうことを意味します。ネクサスやティムール再生はオーバーキル気味なカードを採用し、それによって手札事故の確率も上がってしまっているのです。

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オーバーキル!


さて、スゥルタイ・コンシードについて少し理解してもらえたところで、ここからはこのデッキを作成するに至った経緯をお話ししましょう。

 

■始まりは妄想から

時は遡って、ミシックチャンピオンシップの2日目。会場でシャヒーン・スーラニが「スゥルタイ荒野の再生デッキ」で公式デッキテクを取られているところを見ていたら、原根君がこう言ったのです。
「僕あのデッキに負けましたよ。《荒野の再生》で《水没遺跡、アズカンタ》無限にグルグルされてやられました。たぶんほとんどノンクリです。サイド後はもちろん《正気泥棒》でイかれました」
その話を聞いて、漠然と僕はそのデッキコンセプトが強そうだと感じました。
除去を大量に搭載することでアグロデッキに耐性を付け、コントロールやネクサスには《荒野の再生》と《アズカンタの探索》で戦う。両方を見るために無駄なカードをそぎ落としたため、デッキにはほぼクリーチャーが入っていない。これは、スタンダード環境にあるほとんどのデッキに対して有利に戦えるのではないかと思ったのです。

帰りの機内ではシミックネクサスのサイドボーディングガイドを書きつつ、余った時間でこのスゥルタイ荒野の再生デッキについて考えていた僕は、帰国して間もなくSCGに上がったシャヒーン・スーラニのスゥルタイ荒野の再生を見て、妄想していたリストと照らし合わせました。
シャヒーン・スーラニのリストはメインから《ハイドロイド混成体》が4枚入っていたりと、原根君が想像していたよりもずっとクリーチャーが多めに入っている構成でした。すぐにコピーして回してみるものの、《ハイドロイド混成体》が《荒野の再生》と絶望的にかみ合っておらず、スゥルタイ・ミッドレンジ以外のすべての相手にプレイしたい瞬間がありませんでした。

結局僕は、当初妄想していた自分のリストを、まずは形にすることにしたのです。


4《繁殖池》
4《草むした墓》
4《湿った墓》
4《水没した地下墓地》
4《森林の墓地》
4《内陸の湾港》
1《沼》
1《島》
2《生体性軟泥》
2《アズカンタの探索》
4《喪心》
4《思考消去》
4《悪意ある妨害》
2《荒野の再生》
4《薬術師の眼識》
2《煤の儀式》
3《ヴラスカの侮辱》
2《予知覚》
2《否認》
1《漂流自我》
1《秘宝探究者、ヴラスカ》
1《渇望の時》


これが最初の形でした。
このデッキがシミックネクサスに勝てないのは明らかでした。《荒野の再生》と《アズカンタの探索》を揃えてもゴールとなるものがなく、相手はただドローをし続けているだけで《運命のきずな》ループに辿り着けてしまうためです。
そこでメインから《漂流自我》を入れることにしました。

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狂気のメイン


シミックネクサス相手には《荒野の再生》と《アズカンタの探索》を揃えること自体は決して難しくないため、《漂流自我》が1枚であろうと探すのは容易なことでした。このプロトタイプでは3度シミックネクサスに当たりましたが、1ゲームも落とすことなく勝利しました。

 

■デッキの進化

デッキの方向性が定まった矢先の焼肉にて、このデッキの話をジョニーのお店スポンサードの高尾君にしたところ、意外にも「強そう」との反応があり、そのまま相談に乗ってくれることに。
そしてここからデッキは進化を始めます。
高尾君はデッキを作る際に、他のプレイヤーよりも手札事故を嫌う傾向にあります。重いカードばかりでゲームができないという状態に敏感なのですよね。だからビートダウンが好きなのだろうと勝手に思っています。
それは僕にはあまりない感性なので、高尾君の指摘があるまではデッキの重さについて気になりませんでした。上記のリストは、確かに4マナ以上のカードがあまりにも多かったのです。

まず抜いたのはクリーチャーです。《生体性軟泥》をプレイしているタイミングはいつでも既にゲームが半ば終わりかけている時でした。その上、《水没遺跡、アズカンタ》で手札に加わらないフィニッシャーなので、盤面を掌握してからなかなか手札に入らずにやきもきしました。5マナと重く、迷わずに抜きました。
《煤の儀式》もすぐに0枚になりました。このスロットは《肉儀場の叫び》でもほとんど変わらないどころか、白アグロや赤単に対して有効なだけでなく、イゼットフェニックスにも腐らないのです。
《ヴラスカの侮辱》については頭を悩ませましたが、3マナ以下の除去に変えるべきと言う結論に至り、《渇望の時》や《菌類感染》を試しました。が、どちらもしっくり来ず、そこで結局採用したのは《殺害》でした。エスパーが《屈辱》を使っている時に《殺害》。まさに屈辱なのですが、3マナでクリーチャーを破壊できるカードが欲しかったのです。後にこの《殺害》は、何故かずっと気付かなかった《暗殺者の戦利品》にすり替わるのですが。

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シェイプアップ!


そんなこんなでシェイプアップを遂げた一方で、BIGsの加藤さんからは《首謀者の収得》についておすすめされました。
アモンケットがスタンダードにあった頃に存在した緑黒砂漠コントロール。すべての攻め手をさばいて、ライブラリーアウトで勝つことすらあるコントロールデッキを使用していた加藤さんは、その時に《首謀者の収得》を使っていたようで、このデッキにも合うのではないか?と提案してくれたのです。

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デッキを一段階レベルアップさせた立役者


そしてまさにそれは、僕が望んでいたカードでした。
《首謀者の収得》を入れることで、アグロ相手に腐る《漂流自我》をメインから排除することができますし、また場合によってはフィニッシャーにアクセスすることができます。《生体性軟泥》を抜いたことでこのデッキには《秘宝探究者、ヴラスカ》以外にゲームに勝つ手段がなく、何かしらを入れる必要があったのです。
また、《殺戮の暴君》に触れないという悩みも解決しました。サイドボードに《探知の塔》を取り、アクセスできるようにしたのです。スゥルタイの《殺戮の暴君》はほとんどが1枚なため、6ターン目に出されることはほとんどありません。であれば《荒野の再生》+《アズカンタの探索》が揃った後に出てくる場合がほとんどで、それならば《首謀者の収得》から《探知の塔》を持ってくる時間が十分にあるのです。

こうして、スゥルタイ・コンシードの大部分は完成していきました。

 

■カード解説

4《荒野の再生》

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回している当初は2枚でしたが、どんどんと枚数が増え、気付けば4枚になっていました。
《荒野の再生》はアグロデッキに強い1枚です。通常、コントロールはアグロに対して、ドロースペルをサイドアウトします。それはなぜかというと、序盤に除去を打ち続ける必要があり、ドロースペルを唱える暇がないためです。そして除去ばかり引いてしまいマナフラッドに陥ってしまうことも多いのです。
ですが《荒野の再生》を張ることで、除去とドロースペルを同ターンに唱えられます。相手のクリーチャーをさばきながら、次の除去を事前に用意しておけるのです。
サイドボード後はビートダウンが重い構成になります。白アグロなら《暴君への敵対者、アジャニ》、赤単なら《実験の狂乱》がコントロールに対する切り札でしょう。それらに対して《悪意ある妨害》は強力ですが、やはり除去を打ち続ける必要のあるアグロ相手には、打ち消しを構えている余裕がありません。だからこそ、アグロ側は重いカードで攻めてくるのですが。
そのサイド後のゲームでも、《荒野の再生》が入っているこのデッキならば《悪意ある妨害》を抜かずに済みます。そしてとにかくこの打ち消しが突き刺さります。

ビートダウン、コントロールのどちらに対しても、常に4ターン目に手札にあってほしいと思うようになり、4枚で落ち着きました。
《アズカンタの探索》との相性はもちろん抜群です。このデッキは《荒野の再生》と《アズカンタの探索》が心臓となっています。

 


4《アズカンタの探索》

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ずっと3枚で回していましたが、BIG MAGICプロの瀧村君のアドバイスで、4枚へと増やしました。
このスロットは長く《予知覚》だったのですが、4ターン目に《荒野の再生》を張った時でないと重く感じてしまい、瀧村君からも「デッキの軸がこのカードだから4の方が良い」と意見をもらい、意を決して試したところ、4枚が実にしっくりと来ました。
2ターン目に絶対に設置したいですし、デッキが軽いため変身も比較的速く、《荒野の再生》を4枚にしたこともあいまって、デッキが引き締まりました。

 


4《思考消去》/4《悪意ある妨害》/4《喪心》/4《薬術師の眼識》

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当初から一度も動くことのなかった16枚です。
《思考消去》と《悪意ある妨害》はそれぞれ、2マナと3マナでそれ以上のマナのカードと交換できる可能性があるだけでなく、諜報を持っていることで事故防止にも一役買います。《アズカンタの探索》の変身を助けることもでき、枚数を触ろうとは全く考えませんでした。
《喪心》は2マナの除去としては破格の性能です。《渇望の時》と枚数を散らすことも考えましたが、《ハイドロイド混成体》・《ゴブリンの鎖回し》・4/3になった《翡翠光のレインジャー》など、《喪心》でなければならない場面は多く、結局4枚からは動かしませんでした。
《薬術師の眼識》については説明不要ですね。《荒野の再生》をデッキに入れている以上、入れない選択肢がありません。《薬術師の眼識》がなければスゥルタイ・コンシードはマナフラッドに陥り、機能しなくなるでしょう。

 


3《肉儀場の叫び》

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全体除去枠として《煤の儀式》に代わって入ったのがこのカード。
イゼットフェニックス、白単、赤単に対して強力なカードでありながら、スゥルタイ・ミッドレンジにもほとんど腐ることなく活躍してくれます。《野茂み歩き》と4/3の《翡翠光のレインジャー》と《ハイドロイド混成体》以外には効いてくれますから十分です。
オメガスゥルタイが流行したのも追い風ですね。

 


2《ヴラスカの侮辱》/1《暗殺者の戦利品》

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4マナ域の多さから《ヴラスカの侮辱》は2枚に抑え、1枚は《暗殺者の戦利品》としました。4ターン目に《アズカンタの探索》を置きながら打てたり、コントロール相手には後半で《水没遺跡、アズカンタ》を破壊できるなど、オンリーワンの活躍が期待できます。
なぜ俺はあんな無駄な時間を…(《殺害》)

 


1《否認》

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コントロールやネクサス相手にはデッキのほとんどを使うことになるため、打ち消しの絶対数を4枚より多くしたく、1枚採用しています。

 


1《秘宝探究者、ヴラスカ》

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メインボードに入っている唯一のフィニッシャーです。基本的には《アズカンタの探索》でこのカードを公開すると、速やかに投了されます。
忠誠度が高く、奥義までがすぐなので、速やかにゲームに勝利出来て素晴らしいです。まさにこのデッキのための1枚。

 


1《首謀者の収得》

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《漂流自我》であり、《探知の塔》であり、緊急時のフィニッシャーと、非常に器用な1枚です。
このカードを教えてもらっていなかったら、もしかしたら今もメインに《漂流自我》を入れていたかもしれません。恐ろしい。
4マナのソーサリーは少し重く感じますが、《荒野の再生》さえ貼ってあればほとんど気になりません。こういった重いソーサリーを隙なく使えるのも《荒野の再生》の魅力であり、デッキと合った1枚です。

 


1《任務説明》

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このカードは、たまたま出たスタンダードショーダウンで、全く偶然にこのデッキのミラーマッチとなった時に、相手がプレイしてきて、感動したカードです。
実は《首謀者の収得》を入れ始めた当初は、2枚採用していました。1枚目が《アズカンタの探索》で見えた時に落とす可能性がありますし、手札破壊を食らったりもするため、1枚では不安でした。ですが、2枚となると途端に重く感じました。
それが《任務説明》ならどうでしょうか。アグロ相手には追加の除去になり、ネクサスやコントロールには打ち消しに、そして《首謀者の収得》になります。このカードは除去であり打ち消しであり、フィニッシャーも兼ねているのです。2枚目を入れることも検討しましたが、抜くカードがなくて断念しました。

 

 

4《正気泥棒》

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ここからはサイドボードのお話です。
《正気泥棒》は実は抜けていた時期も長いカードでした。理由はもちろん、あらゆるデッキが《正気泥棒》を意識してサイド後も除去を残すためです。
実際、《正気泥棒》がなくともエスパーやスゥルタイには有利でした。《喪心》や《ヴラスカの侮辱》を手札に余らせることでアドバンテージを得ていたほどです。
ですが、ティムール再生やシミックネクサスに対して明確に取りこぼすようになりました。手札破壊を絡めた《正気泥棒》はこれらのデッキに対しては明確な勝ち筋となります。《正気泥棒》に《押し潰す梢》を使わせることで《荒野の再生》が残ったり、相手にメインでのアクションを強制させて《荒野の再生》を通したりなど、《正気泥棒》を対処されてしまうことも織り込み済みのゲームプランを作れるのです。
本戦では特にティムール再生に当たるだろうと予想していたため、4枚採用することにしました。

 


2《最古再誕》

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主にスゥルタイとエスパーコントロールにサイドインすることを想定しています。
サイド後のリソース勝負にめっぽう強く、またスゥルタイの《殺戮の暴君》やエスパーの《ウルザの後継、カーン》・《ドミナリアの英雄、テフェリー》など、致命的なカードにもよく突き刺さります。《正気泥棒》が入っていない時は3枚目を入れていました。
《荒野の再生》と《アズカンタの探索》のエンジンに触ってくる相手に《最古再誕》を入れて、リソース勝負に挑むイメージです。

 


2《押し潰す梢》

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《正気泥棒》と《荒野の再生》に触るおなじみのヤツ。シミックネクサスに続いて今回もお世話になりました。エスパー相手の安定の1枚ですね。ティムール再生の《パルン、ニヴ=ミゼット》なんかにも触れます。

 

2《強迫》

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《正気泥棒》と合わせてプランを立てやすいので、打ち消しではなく手札破壊を優先しています。《荒野の再生》を無理に通しに行く時にも重宝します。

《思考消去》と合わせて手札破壊は6枚が限界だと思います。7枚以上は後半で腐ることが多くなるので、もし追加でコントロールやネクサスに対してカードを入れたい場合は、《否認》をおすすめします。

 

1《漂流自我》

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サイドインする相手はシミックネクサスのみです。
ただ、メインで《首謀者の収得》からサーチしてくる相手も一応います。エスパーには《ドミナリアの英雄、テフェリー》を抜くことでゲームに勝てますからね。
ネクサス相手はとりあえず《運命のきずな》を指定するもよし、《ハイドロイド混成体》もよしです。《任務説明》で使い回せるのもお忘れなく。

 


1《記憶の裏切り》

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主に《首謀者の収得》からサーチして、エスパーやティムール再生相手に使用します。インスタントをたくさん唱える可能性のある相手に、《荒野の再生》のバックアップを経て大量にアドバンテージを稼ぐのが目的です。
例えばエスパーならば、《屈辱》で《アズカンタの探索》を破壊しながら《ドミナリアの英雄、テフェリー》に《ヴラスカの侮辱》を打つ、なんて芸当ができます。マナさえ余っていれば《思考消去》を連打できますね。
一番サーチすることが多いのはティムール再生相手で、相手の墓地から《荒野の再生》を吊り上げてそのまま墓地から《発展+発破》を本体に打って勝利することが非常に多かったです。というかティムール再生相手はほとんどのゲームでこのカードを使ってフィニッシュしました。
極端にマナフラッドした状態ならばスゥルタイ・ミッドレンジ相手に持ってくることもありますし、意外とサーチする場面が多かったので、サイドボードの枠を割きました。

 

■サイドボーディング

VSスゥルタイミッドレンジ

In
2《最古再誕》

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Out
1《否認》
1《暗殺者の戦利品》

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☆解説
サイドインアウトは最小限に抑え、《正気泥棒》も入れません。相手は《正気泥棒》メタ兼クロックとして《クロールの銛撃ち》をほぼ確実にサイドインしてくるので、まず《正気泥棒》プランは成就しません。
《アズカンタの探索》が変身したら勝ちます。
《最古再誕》は《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》を食らわないようにしましょう。《ビビアン・リード》をつり出させて返しで《最古再誕》を出すのが基本です。


VSエスパーコントロール

In
2《強迫》
2《押し潰す梢》
2《最古再誕》

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Out
3《肉儀場の叫び》
1《荒野の再生》
1《ヴラスカの侮辱》
1《喪心》

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☆解説
《正気泥棒》を全力で入れられるので、抜く除去は最低限に抑えます。最終的には《アズカンタの探索》の枚数がこちらの方が多いので、変身して勝利できます。
《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》もあるので《ヴラスカの侮辱》は2枚残しても良いですが、《喪心》は3枚は絶対に入れておくことをオススメします。抜くのであれば《荒野の再生》が良いでしょう。個人的には《ヴラスカの侮辱》は重く感じたので、2枚とも抜いていました。


VS白アグロ(タッチ青含む)

先手
In
3《正気泥棒》
2《渇望の時》

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Out
1《ヴラスカの侮辱》
1《首謀者の収得》
1《否認》
2《悪意ある妨害》

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後手
In
2《渇望の時》

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Out
2《悪意ある妨害》

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☆解説
基本的には相手のクリーチャーを全力でさばいて、《荒野の再生》と《アズカンタの探索》で速やかに勝ちを目指します。《アズカンタの探索》と《荒野の再生》が揃うと一気にフィニッシャーまで辿り着くので、思っているよりも《一番砦、アダント》で負けることは少ないです。
サイド後は先手の場合のみ、《正気泥棒》をサイドインします。対白アグロにおいて《正気泥棒》は、攻撃するたびに軽量ブロッカーを無限に供給してくれるスーパーカードです。後手では《ベナリア史》の返しになってしまうためあまり有効ではありませんが、先手なら十分間に合います。


VS赤単(タッチ緑、タッチ黒含む)

先手
In
2《渇望の時》

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Out
1《アズカンタの探索》
1《任務説明》

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後手
In
2《渇望の時》
2《強迫》

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Out
2《思考消去》
1《アズカンタの探索》
1《任務説明》

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☆解説
《実験の狂乱》負けしないように気を付けるだけです。タッチ緑の場合は《押し潰す梢》を1枚入れても良いです(《燃えがら蔦》と《実験の狂乱》があるので)


VSシミックネクサス

In
4《正気泥棒》
2《強迫》
2《押し潰す梢》
1《漂流自我》

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f:id:yuyanmtg:20190328233303p:plain


Out
3《喪心》
3《肉儀場の叫び》
2《ヴラスカの侮辱》
1《秘宝探究者、ヴラスカ》

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☆解説
《正気泥棒》オールインして、場に残れば勝ち、残らなかったら《荒野の再生》プランへと移行しましょう。《荒野の再生》と《正気泥棒》をどっちも使えることの強みはここにあります。《正気泥棒》を対処されたとしても、《荒野の再生》合戦を挑めば良いだけなのです。妨害はこちらの方が多いので、まず《アズカンタの探索》+《荒野の再生》は成就することでしょう。
ゲームをあまり長引かせないのがコツです。


VSティムール再生

In
4《正気泥棒》
2《強迫》
2《押し潰す梢》

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Out
4《喪心》
3《肉儀場の叫び》
1《秘宝探究者、ヴラスカ》

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☆解説
基本的にはシミックネクサスと同じ戦い方をします。異なるのは《パルン、ニヴ=ミゼット》と《再燃するフェニックス》のために《ヴラスカの侮辱》を残すぐらいです。
《発展+発破》でハンデスをコピーされると鬱陶しいので気を付けましょう、
ゲーム2で《軍勢の戦親分》を見た場合は《喪心》を2枚ほどメインに戻しましょう。


VS青単

In
4《正気泥棒》
2《押し潰す梢》
2《強迫》
2《渇望の時》

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Out
4《悪意ある妨害》
1《アズカンタの探索》
1《秘宝探究者、ヴラスカ》
1《否認》
2《思考消去》
1《肉儀場の叫び》

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☆解説
全部除去りましょう!除去はどんどんメインで使っていくことをオススメします。


■終わりに

というわけで、今回はスゥルタイ・コンシードの紹介となりました。
本戦で振るわなかったデッキについて解説するのは正直かなり迷いましたが、今回は事前の練習では高い勝率を出していたため文章に残したいという気持ちと、ツイッターでの反応に後押しされ、こうして公開に至りました。
現環境でのスタンダードは残り1か月。更にモダンシーズン到来。スタンダードをやる機会はそう多くはないかもしれませんが、興味を持った方はぜひ回してみてください。

ちなみにBO1で使用するのであれば、《精神純化》を入れることをオススメします。

それでは!

敗北の原因を振り返る

こんにちは。
プラハから始まった好調が幸いなことにミシックチャンピオンシップまで続いたおかげで、今サイクルをシルバーレベルとして迎えることが出来ました。
そんな僕が今日綴るのは、好調の秘訣でもミシックチャンピオンシップの勝ち方…ではなく(というかそんなものがあったら知りたい)。
 
グランプリのアベレージが落ちていることと、その原因についてです。

この事実は薄々感じ始めていましたが、はっきりと意識したのは昨日のことでした。それは自分のプロポイント獲得表を見ていて、この直近2サイクルで2イベントでしかプロポイントを取れなかったという事実を目の当たりにした時でした。
その内1イベントはミシックチャンピオンシップです。そしてもう一つはGP名古屋。名古屋のフォーマットはチームリミテッドです。
つまり、僕は構築グランプリにおいて、昨年の香港以来、一度もプロポイントを稼いでいないのです。それどころか、二日目にも進出出来ていません。

実は僕は、構築グランプリでは4敗が最も多い成績です。初めてのグランプリだったGP静岡2008で4敗マネーフィニッシュを終えたのを皮切りに、年に2回は4敗程度で終え、初日落ち自体はほとんどありませんでした。構築グランプリ2連続初日落ちなんて、初めてかもしれません。マジック自体の調子は比較的良いにもかかわらずです。
だからこそ、その原因を明確にするために、こうして書き連ねることとしました。

まずはドミナリアサイクルから今回までのグランプリ・ミシックチャンピオンシップの成績を時系列順に振り返ります。

 

 

■成績振り返り

・GPシンガポール(スタンダード)

成績:10-4-1
デッキ:青白コントロール

《熱烈の神ハゾレト》の全盛期だったGPシンガポール。使用したのは青白コントロールでした。
赤いデッキやビートダウン全般に強かった青白コントロールは、青白タッチ黒のエスパーコントロールと共に、環境に君臨していました。
僕のリストで特徴的だったのはサイドボードの《空中対応員》。ミラーマッチなどで出される《ベナリア史》を完璧に受け止めるだけでなく、赤単に対しても強力でした。
余談ですが、僕のリストを使用して小林 タツウミ君がRPTQを抜けてくれていたそうです。


・GPプラハ(モダン)

成績:13-2
使用デッキ:白緑ドルイドコンボ

5色人間全盛期にして、スピリットが活躍し始めたモダン環境。そして青白コントロールが世に放たれた瞬間でもあったGPプラハ
僕が使用したのは、日本で人気の兆しを見せていたものの、ヨーロッパのプレイヤーはほとんど知らなかった《献身のドルイド》+《療治の侍臣》コンボでした。
旧モダン神である小田さんが使用して挑戦者決定戦を勝ち抜き、それを見た行弘君がリストに惚れこんで調整をし、2度のグランプリで好成績だったという白緑ドルイド。僕はその行弘君の言葉を信じて、調整をしていました。
その甲斐あって13-2の好成績でした。


・GP香港(モダン)

成績:11-4
使用デッキ:青白コントロール

プラハから2週間後のGP香港。白緑ドルイドではなく、青白コントロールを使用しました。
白緑ドルイドが最も苦手とする青白コントロール。このデッキをプロたちが持ち込んだのが、まさにGPプラハでした。プラハでは一度当たり、その時はギリギリの戦いを制したのですが、二度と対戦したくないと思うほどだったのです。
そしてその青白コントロールの感触が良かったため、香港に持ち込むことにしました。
ミラーマッチ用の《光輝王の昇天》と、《血清の幻視》を4枚にした点が特徴でした。


・GP名古屋(チームリミテッド)

割愛します。練習と本番を含め、ただただ三原さんが神だったためです。僕の力ではありません。


・GPポートランド(モダン)

成績:3-3
使用デッキ:ジェスカイ・コントロール

12月に行われたアメリカでのモダンGP。バントスピリットと5色人間がトップメタとなり、その下にKCIなどがいました。
そこで僕は、上位のデッキに相性が良く、更にGPで多くのプレイヤーが選択するであろうバーンに対しても強い、ジェスカイ・コントロールを選択しました。
ジェスカイ・コントロールはとても使用者が少なく、ハビエル・ドミンゲスぐらいしかGPで成績を残していませんでした。
結果は、2bye明け3-0からの3連敗で初日落ち。バーン、スピリットに負けました。


・ミシックチャンピオンシップクリーブランド(スタンダード)

成績:11-4-1
使用デッキ:シミックネクサス

バントネクサスを使用するつもりでしたが、直前のGPでの武蔵型シミックネクサスに惚れ込み、使用。
本戦では苦手なデッキを避け続ける幸運により、好成績。


・GP京都(スタンダード)

成績:3-3
使用デッキ:スゥルタイ・コントロール

ほぼ完全にオリジナルデッキとなったスゥルタイ・コントロール。グランプリに完全なオリジナルデッキを持ち込んだのは、青赤ドレッジ以来かなと思います。
アグロからシミックネクサス、エスパーまで全方位を見られる構成にし、更にデッキを実質青黒タッチ緑とすることで色マナ事故をケアしたのですが、本戦の結果は振るわず。

 

 

■敗北の原因

こうして書きだしてみると、ポートランド・京都での敗因は明らかですね。そう、僕がオリジナルデッキを持ち込んだからです。
シンガポールで使用した青白コントロールは、一般的なリストとさほど変わりありません。《排斥》が4枚だったり、細部のこだわりはありますが、《空中対応員》以外に珍しいカードは入っていません。
プラハの白緑ドルイドは、小田さん謹製のデッキで、僕はそのリストに独自の調整を加えたに過ぎません。行弘君の力も大いにありました。
シミックネクサスはメインサイド含めてほぼ完コピですし、香港の青白コントロールも細かいドロースペルの選択以外は既存のデッキです。

僕が初日落ちした2つのグランプリは、どちらもオリジナルデッキを使用した時なのです。

これははっきりと、僕のデッキ構築能力の無さが表れていると言って良いでしょう。
と同時に、GPプラハの好成績をきっかけに「自分はオリジナルデッキを持ち込んで勝てるレベルのプレイヤーになった」という勘違いをしてしまった。
この2つが、敗北の原因です。

GPプラハの13勝2敗は、僕のマジック人生で間違いなく最高に素晴らしいことの一つでした。白緑ドルイドは海外では珍しかったのか、ツイッターで外国人から「サイドインアウトを教えてほしい」というDMが何回か来ましたし、外国人のフォロワーも増えました。
そして僕の書いたサイドインアウトの記事に「参考になった」とたくさんの方が言ってくれて、ありがたいことに最近でも僕の記事をきっかけに白緑ドルイドを作り始めた人が声をかけてくれました。
しかし、それは「デッキビルダーとしてのゆうやん」を褒め称えたものではありません。何故なら白緑ドルイドは僕が作ったデッキではないからです。デッキを回していく内に弱点や苦手な相手を知り、的確なサイドプランやキラーカードを搭載したに過ぎないのです。
シミックネクサスの記事はありがたいことにBIG MAGICさんに寄稿することとなりました。グランプリ京都で使用する予定のプレイヤーの方に「詳しく教えてください」と声を掛けられましたし、本戦でも「記事拝見しました」と言ってもらいました。ですがあのデッキは、ご存じ武蔵の市川さんと原根さんの作成したデッキです。

結局、デッキビルダーとしての僕は何も成し遂げていませんし、何の成績もあげられていないのです。
にも関わらず、直近の構築イベントでの成績が良かったことで鼻を高くした僕は、オリジナルデッキを持ち込んで惨敗しました。当然のことです。僕が良い成績を上げたデッキたちは、僕の及んでいる力は精々5%程度。他人の力を借りて勝てたに等しいのです。
これまでであれば、僕はどこかで勘違いにすぐに気が付くことが出来ました。成績が振るわない時ほど、人は自分を見つめなおすものです。ですが調子の良さゆえに、僕は「自分が間違っている」「構築能力が劣っている」などと、全く考えもしませんでした。

端的に言って、僕は「勘違いして、驕っていた」のでしょう。「デッキを世に生み出して行く側のプロプレイヤー」にでもなった気でいたのです。お恥ずかしいことに、最近の調子の良さが自分を盲目にしていました。

それは認めたくない事実でした。プラハをきっかけにプレイヤーとして一皮剥けて、一段階上のデッキビルダーになったと思い込むことは、さぞ気分が良かったからです。記事について褒めてもらい、ビルダーとして色々なプレイヤーから認識してもらい始めたという事実も、僕の目を曇らせていました。
今回のグランプリ京都で使用した「スゥルタイ・コンシード」は、調整段階において成績は決して悪くありませんでした。本戦では不運な事故が重なりましたし、歯車が少し違えば初日を1敗で終えることも可能だったでしょう。
ですが、そうはなりませんでした。そしてそれがすべてなのです。僕はまたしても、オリジナルデッキを使って勝てなかった。今の実力のすべてです。

僕には卓越したデッキビルド能力も、グランプリの上位8名に残りうる力もない。ただの一プレイヤーでしかない。
この当たり前の事実を、改めて自覚する必要があると感じました。

 

 

■今後

ミシックチャンピオンシップで好成績を上げ、シルバーレベルに到達し、バルセロナまでの2回分のプロツアーの権利を獲得と、今波が来ているのは確かです。
でもだからこそ、自分の実力をしっかりと見つめ直し、それに適した練習をしたいと思います。
ミシックチャンピオンシップの舞台は最高でした。またあそこでプレイできるということは光栄であり、今度はスポットライトを浴びたいという欲も出てきました。そのたけには、あの場に相応しいプレイヤーになれるよう、努力していく必要があります。
今の自分は、まだライトを受けるには不相応な実力です。今回のGP京都の惨敗でははっきりとそれを知ることが出来ました。

次のイベントはGP横浜、そしてミシックチャンピオンシップ(ロンドン)。モダン2連戦、頑張ります。暖かい応援をよろしくお願いいたします。

RPTQからプロツアーまでの道のり

9年越しの夢だったプロツアークリーブランドが終わって、帰りの機内で今この文章を書いています。
今回は調整に費やした時間は1/15~2/18、ほぼ丸々1ヶ月のお話となります。 
僕の使用したシミックネクサスのリストとサイドボーディングなどはまた別でアップいたします。

 

 

調整メンバー

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プロツアークリーブランドに向けたスタンダードの調整は、まずメンバーを選定するところから始めました。
プロツアー権利保持者のプロプレイヤーの方々の多くは、チームに所属しており、その中で調整するため、そこに入れてもらうのは容易なことではなく、また実力的に迷惑を掛けてしまうのは必然。
とは言っても、プロツアー権利持ちの僕の友人は、そのほとんどがチームシリーズのメンバーの調整チームに所属しています。例えば高尾君は武蔵ですし、井川さんは曲者です。

そんなことを考えていたのが2018年の年の瀬。
そして、話が急激に進んだのは1月の最初の週。

Final Last Samuraiにしてonogamesの木原君と焼肉を食べていた時に、プロツアーの調整メンバーの話を振ってみたところ、「特に決まった調整相手はいない」との返事。
更に木原君と調整することが決まったため、同じFinal Last Samuraiの三原さんにも声をかけると、こちらも快諾。

あっという間にメンバーが二人決まったのですが、ここで問題が発生。

僕はコンボデッキとコントロールが好きで、ビートダウンを使ったことはほとんどありませんでしたし、使ってもだいたい初日落ちでした(GP静岡2018はセレズニアで初日落ち)
木原君は生粋のコントロール好きで、前回のプロツアーでもエスパーコントロールで好成績をあげていました。
三原さんもまた、ビートダウンを使わないプレイヤーとして知られています。

そう、3人ともビートダウンプレイヤーではないのです!

もちろん、三原さんは超一流プレイヤーですし、木原君はゴールドレベル間近(今回のプロツアーでゴールドになりました。おめでとう!)、二人ともビートダウンを回すことはできます。
ですがそれはあくまで調整に付き合う時にビートダウンを回す、という程度。ビートダウンの調整にMOで時間を費やしたり、ブラッシュアップしたり、トーナメントで使用するということはありません。
そしてこれは、調整チームでの明確な問題にもなります。

なぜかというと、ビートダウンプレイヤーがいない調整チームでは、ビートダウンの研究がきちんとなされないからです。
MOやGPなどからコピーデッキを引っ張り出し、本命デッキとの相性やサイドボードプランを模索するためにビートダウンを使う。そのため、ビートダウンのリストは進化することなく、調整チームが好ましいと思うデッキだけが強くなって行きます。
また、強いビートダウンに対しての嗅覚もありません。だからこそ、少し勝っているビートダウンがあったとしても、それを本気で調整しようとは考えません。

調整チームには、ビートダウンを愛するビートダウン担当が必要なのです。


そこで声をかけたのが、Hareruya Hopesの齋藤 慎也さん。齋藤さんは今回のプロツアーの権利はないのですが、その2週間前にRPTQがあるため、時間を割いてくれるだろうと判断して打診。
快く調整チームに齋藤さんが入ってくれて4人。

更にここで、クリーブランドのホテルをまだ取っていない人をツイッターで探していた時に手を挙げてくれたBIG MAGICプロの玉田さんにも、調整チーム入りを打診したところ快諾。
そしてGP名古屋を三原さんと共に戦ったチームメイト、シミチンを加えた6人で、調整チームは始動しました。


 チームの調整方法

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簡単に、チームでの調整方法について書いておきます。

まずメンバーが集まって対戦をする調整は週に1回程度。これはメンバーがほとんど社会人で、かつ玉田さんは関西住みのためです。

なので、平日は個々でMagic OnlineやMagic Arenaでデッキを回します。そしてその結果をスプレッドシートに記載して、雑感などをライングループで話し合います。

スプレッドシートで勝率が高いデッキがあれば、そのデッキを回しているプレイヤーに意見を聞いたりします。が、基本的には各々が好きなデッキを回します。

メンバーが一同に介した際は、それぞれが回しているデッキの他にも、主要デッキは大体持ち込みます。

デッキの相性を確かめたいデッキがあれば対戦(先手5回、後手5回で合計10回)で大体の相性をつかんで、サイドボード後も同じようにゲームをしていきます。

同時にメンバー全員がゲームをすることもあれば、2人のゲームを残りのメンバーで見て指摘しあう時もあります。この指摘はかなり重要だったので、ゲームをする時間とみている時間の二つを常に設けるべきだと感じました。

特に、使いたいデッキが明確にチーム内で定まっている場合などは、この「ゲームを見る」は絶対にやるべきだと思いました。複数人で話し合いながらゲームを見るだけで、十分な経験値となるのです。

毎日メンバーが集まる必要はありませんが、週1ないし2週に1回程度は、メンバーで集まっての調整は必要だと思いました。

集まった時の1時間は、一人で練習する数時間分に匹敵すると言っても過言ではありません。特定のデッキとの相性が良いと思い込んでいただけで実は相手のプレイがいまいちなだけだったり、逆に厳しいと思っていた相手との闘いが、単に自分のプランミスによるものであることもしばしばあります。

さて、チームでの調整方法についてはこんなところにして、実際にRPTQからの歩みについてお話します。

 

RPTQに向けて

まず目先のトーナメントはRPTQ。この時のメタゲームは、まさにスゥルタイ祭り。
押しも押されもせぬトップレア、《ハイドロイド混成体》を得て進化したゴルガリがスゥルタイと名を変えてMOPTQ優勝という華々しいデビューを飾りました。

そのため、まずはスゥルタイを仮想的に定めます。

三原さんとシミチンは本命であるスゥルタイを、木原君は前環境から使っていたエスパーを、玉田さんはイゼットドレイクを、齋藤さんは赤単、僕はバントネクサスと、それぞれが好みのデッキを使って、それぞれMOやアリーナで練習していました。

そしてRPTQ1週間前に僕の家で調整会を行い、個々のデッキのブラッシュアップや相性を正確に確かめることに。
その結果、あまりにも勝率が高いデッキが発覚。なんと勝率85%ほど。

それが玉田さんがずっと使っていたイゼットドレイクでした。

 

 イゼットドレイク

4《硫黄の滝》
4《蒸気孔》
8《島》
6《山》
4《奇怪なドレイク》
4《弾けるドレイク》
4《ショック》
4《溶岩コイル》
4《発見+発散》
4《航路の作成》
4《選択》
3《呪文貫き》
3《潜水》
2《イゼット副長、ラル》
1《幻惑の旋律》
1《標の稲妻》

サイド
4《猛竜の幼生》
2《パルン、ニヴ=ミゼット》
2《否認》
2《幻惑の旋律》
2《軽蔑的な一撃》
1《アズカンタの探索》
1《宝物の地図》
1《絶滅の星》

 

 

なんと《プテラマンダー》なし!

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この時のメタゲームではスゥルタイの次に赤単が多く、《プテラマンダー》は赤単に特にいまいちでした。

スゥルタイに対してはそもそも2種のドレイクを守れば勝てるゲームで、《プテラマンダー》はもちろん弱いカードではないものの、別段必要には感じませんでした。
そこでスゥルタイに対してかなり強力な《イゼット副長、ラル》を入れることにしました。
赤単に対してはやはりいまいちなものの、対スゥルタイでの強さは劇的。またサイドボードの《イゼット副長、ラル》をメインに押し上げられるので、スロットを空けることにもなったのです。

このイゼットドレイクがとにかく強い。赤単とスゥルタイをいとも簡単に倒しました。

赤単に対しては、軽い除去からのドレイク2種が非常に強力です。ドレイクは赤単の火力1枚では除去できずブロッカーとして優秀なのはもちろんのこと、複数体並べれば一撃で相手を屠れます。除去、ドレイク、ドレイクと動けばまず負けません。

スゥルタイにも非常に有利に感じました。《人質取り》は火力で除去できますし、《ヴラスカの侮辱》と《ビビアン・リード》には《潜水》と《呪文貫き》が突き刺さります。
唯一《喪心》だけがドレイクに対処できるカードであり、この時は《喪心》の数は精々2枚程度。ドレイクがほとんどのゲームで残りました。

この二つのデッキが多いと睨んでいた僕らは、イゼットドレイクに惚れ込みました。

木原君のエスパーコントロールには負けましたし、バントネクサスも絶望的ではあったものの、下記の理由で、RPTQではその2種のデッキは少ないと睨んでいました。

エスパーコントロールは、本命のスゥルタイとの相性が悪いと感じました。以前のゴルガリであればリソースを枯らせることが容易だったのですが、《ハイドロイド混成体》がアドバンテージ勝負を可能としたのです。

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《採取+最終》と《ハイドロイド混成体》、《真夜中の死神》というドロー連合に、サイドからは《強迫》と《否認》。スゥルタイを嬉々として回す三原さんに歯が立ちませんでした。《ドミナリアの英雄、テフェリー》をプレイして打ち消しを構えて相手の盤面に何もなし、というところから何度も《ハイドロイド混成体》にまくられました。


バントネクサスはリストが洗練されておらず、スゥルタイと赤単のどちらにも弱い状態。

 

そう、イゼットドレイクはこの日最強のデッキだったのです!!

興奮してこの日の練習会は終了。しかしそこに飛び込んだのが、MOPTQの結果。
なんとイゼットドレイクがトップ8に4人という大フィーバー。

イゼットドレイクが強いデッキであることは、一瞬にして知れ渡ってしまいました。


イゼットドレイクとの別れ

ということで、僕には二つの道が残されました。

1.イゼットドレイクを使用する。
2.イゼットドレイクに強いデッキを使用する。

結果、すぐに諦めました。出る杭は打たれます。イゼットドレイクはすぐにメタられる存在となりました。白系アグロの台頭や各種デッキのサイドボードなど、イゼットドレイク包囲網は出来上がっていました。その結果勝率は見る見るうちに落ちていったのです。

それを顕著に感じたのは対スゥルタイです。《クロールの銛撃ち》に《疫病造り師》など、これまで見なかったサイドカードによってドレイクは対策されていきました。

そこでイゼットドレイクを使うのではなく、メタる側に回ろうと決めました。この時の練習ではイゼットドレイクに当たることも多く、またイゼットドレイクは新カードをほとんど採用していないため、以前からデッキを回していた人はMOPTQの結果を見てデッキを乗り換えてくるであろうことが予想できたからです。

というわけで、イゼットドレイクに強いデッキを探し、すぐに結論は出ました。

そう、少し上でも書きましたね。イゼットドレイクがきついデッキである一つ、エスパーコントロールです。

RPTQ前々日のこと、僕が晴れる屋に行った時に、井川さんがエスパーコントロールを回しているのを見て、その後翌日の調整会に誘ってみました。

井川さんは前述の通り、曲者で調整をしている身なのですが、こちらの調整会への参加を快諾してくれました。

その日の調整会では井川さんと木原君がエスパーコントロールを回し続けていました。そして赤単、ドレイクに対して強いだけでなく、対スゥルタイにも最古再誕を入れることで明確に強くなり、メタゲーム上のほとんどのデッキに勝てるようになりました。ドレイクに相性の良い白系アグロに強いのもエスパーの魅力でした。
…ネクサスだけはやはり厳しかったですが。

唯一にして最大の難点は土地が止まることと色マナ事故。マナトラブルです。

ただ、デッキパワーは非常に高いと感じたので、RPTQで使用することにしました。

 

エスパーコントロール

4《神聖なる泉》
4《湿った墓》
4《神無き祭殿》
4《氷河の城砦》
4《孤立した礼拝堂》
4《水没した地下墓地》
1《ディミーアのギルド門》
1《沼》
1《変遷の龍、クロミウム》
4《吸収》
4《ケイヤの怒り》
4《ドミナリアの英雄、テフェリー》
4《思考消去》
3《喪心》
3《薬術師の眼識》
3《屈辱》
2《アズカンタの探索》
2《最古再誕》
2《ヴラスカの侮辱》
1《渇望の時》
1《否認》


サイドボード

3《正気泥棒》
3《聖堂の鐘憑き》
3《人質取り》
2《否認》
2《強迫》
1《渇望の時》
1《最古再誕》


結果は4-3ドロップ。

エスパーコントロールはきちんと色マナが出てデッキが回りさえすれば強いものの、とても事故るデッキだという印象を受けました。
3ターン目の青青白、4ターン目の白白黒黒という要求の高さに加えて、序盤にとにかく土地が止まります。キャントリップがないのが厳しく、長いラウンドでは不向きだと感じました。

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ちなみにご存知の通り井川さんはエスパーコントロールの調整を続けて見事にプロツアー準優勝、そして木原君もドラフトで苦しみながらもエスパーコントロールで好成績をあげ、見事にゴールドレベルに到達しました。
《吸収》と《ケイヤの怒り》というマナベースに負担のかかるカードをそれぞれ3枚に抑えるなど、きちんと色事故を軽減する構築を見事にしていましたね。
二人はやっぱりエスパーマスターでした!おめでとうございます!

 

原点回帰

RPTQをぼろ負けした僕は、実家に帰ってみることにしました。
実家、すなわちそれはバントネクサスです。

実はイゼットドレイクが大勝ちしたMOPTQで優勝したのはバントネクサスでした。しかもそのリストはあまりに斬新で革新的なものだったのです。
4枚の《選択》に4枚の《解任+開展》。そして《ドミナリアの英雄、テフェリー》が2枚と抑えられている。

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どこを見ても全く新しい形のバントネクサスでした。

そしてこのリストがあまりにも強かったのです。

《選択》は、《成長のらせん》経由で2ターン目に打つのが非常に強い他、2マナの行動のついでに打てたり、5ターン目に眼識と合わせて掘り進めたり、とても器用なカードでした。

《解任+開展》は、もともとフィニッシャー枠として僕は2枚入れていましたが、4枚にするという発想は全くありませんでした。
ですが使ってみて納得の強さでした。イゼットドレイクに対してはタップ能力が、実質《根の罠》のように機能しますし、赤単に対してはトークンで延命措置、エスパーは相手の《ドミナリアの英雄、テフェリー》のマイナス能力を使われたターン終了時に唱えることでテフェリーを撃ち落とせます。このシチュエーションは主に、《荒野の再生》を貼った返しでよく起きました。

バントネクサスは、チーム内のあらゆるデッキをなぎ倒しました。
スゥルタイに圧勝、エスパーコントロールにも圧勝、赤単にもメイン先手ゲー。明確に不利なマッチは青単しかありませんでした。その青単に対してもメインではまあまあ勝つことができますから、サイド後のどちらかを取り返せば良いのです。

プロツアーのメタゲームでは、スゥルタイとエスパーが特に多いだろうと僕は予想しており、であればバントネクサスは高い勝率を上げられるであろうと考えていました。青単はスゥルタイ側がサイドボーディングに枚数を割くと途端に相性が変わり、またエスパーにも厳しいため、そこまで増えることはないだろうと判断していたのです。

更にこのタイミングで、調整チームにBIG MAGICプロの松本 友樹さん(以下Aさん)と、諸藤さんのFinal Last Samuraiの両名が加入してくれたことで、バントネクサスの調整は捗りました。
Aさんと言えばバントネクサスマスター。ちなみに以前環境名人戦で僕はバントネクサスミラーでAさんに敗れています。
昨日の敵は今日の友。共にバントネクサスを調整することになったのです。

諸藤さんも、青単や白t青アグロなどといった、調整チームのメンバーが着手しなかったデッキをテストしてくれていました。
特に白t青アグロは誰も調整していなかった上にろくに練習もしておらず、アリーナやMOであまり当たることがなかったため、相性をきちんと把握しきれませんでした。なので諸藤さんの加入も非常に助かりました。

グランプリメンフィス前に集まった最後の調整会での意見交換の末、バントネクサスは以下のリストとなりました。

 

バントネクサス

4《繁殖池》
4《神聖なる泉》
4《寺院の庭》
4《内陸の湾口》
4《氷河の城砦》
3《陽花弁の木立ち》
2《オラーズカの拱門》
4《成長のらせん》
4《根の罠》
4《荒野の再生》
4《解任+開展》
4《運命のきずな》
4《選択》
3《アズカンタの探索》
3《吸収》
3《薬術師の眼識》
2《ドミナリアの英雄、テフェリー》


サイドボード
4《ハイドロイド混成体》
4《拘留代理人
3《否認》
2《押し潰す梢》
2《秋の騎士》


もともとサイドボードに置いていた《吸収》をメインに引き上げました。

バントネクサスミラー、エスパーコントロールに対してメインにカウンターを入れていることは非常に大きく、またメインでは警戒が薄れているであろうと思い、メイン採用に踏み切りました。
スゥルタイに対しても《荒野の再生》から構えることで《ビビアン・リード》をケアできますし、感触はとても良かったです。

《拘留代理人》は青単と白単に強いカードで、バントネクサスならばサイドに絶対に欲しいと感じました。

 

GPメンフィスの衝撃

さて、細部を話し合ってもう終わり。後はプロツアーを待つのみ、というところに飛び込んできたのが、GPメンフィスの結果でした。
そう、武蔵謹製のシミックネクサスが世に出たのです。

このリストの衝撃は計り知れないものでした。ほぼデッキがバントネクサスで決まりかけていたはずなのに、僕はすぐにライングループにシミックネクサスの話題を投下しました。

《エリマキ神秘家》が0枚で、《悪意ある妨害》が3枚。これがなんと素晴らしいことか。

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《荒野の再生》を貼った状態以外ではどうしても重く感じ、《薬術師の眼識》とマナ域もかぶる《エリマキ神秘家》家は、従来のシミックネクサスに4投入されていたものの、違和感しか感じませんでした。
それが3マナの打ち消しになるとどうでしょうか。単体でキープ基準になったのです。《アズカンタの探索》、《悪意ある妨害》、《薬術師の眼識》と初手にあるだけでほとんどのメイン戦を勝つことができます。

また、シミックネクサスというデッキの安定感の高さも感じました。バントネクサスではよく起きていた色事故が全くありません。長いラウンドを事故らないデッキはそれだけで価値があります。
ギルドランドによるアンタップインの多さも課題の一つでした。ここでダメージを受けすぎたために1ターン早く《根の罠》を打つハメになって負けてしまったゲームはいくつもありましたから。

とにかくメインボードで圧倒的に高い勝率を誇る、それがシミックネクサスでした。ぶん回った時の速度、デッキパワー、そして安定感。全てが他のデッキを凌駕していると感じました。
この感動的なリストに、Aさんもすぐに虜になりました。以前にもシミックネクサスを回していたAさんからフィードバックをもらいつつ、サイドボードなどを煮詰め、そしてシミックネクサスを使うことに決めました。

 

シミックネクサス

6《森》
4《島》
4《繁殖池》
4《内陸の湾港》
4《天才の記念像》
2《シミックのギルド門》
3《ハイドロイド混成体》
4《選択》
4《成長のらせん》
4《悪意ある妨害》
4《荒野の再生》
4《薬術師の眼識》
4《根の罠》
4《運命のきずな》
3《アズカンタの探索》
2《一瞬》


サイドボード
3《生体性軟泥》
3《押し潰す梢》
3《アゾカンの射手》
2《否認》
2《原初の呪物》
2《僧帽地帯のドルイド

 

終わりに

結局、最終的にはPT前のGPメンフィスの結果を見てデッキを選択することにしましたが、RPTQ前からのこの1ヶ月は、練習としてとても充実したものでした。
三原さんをはじめとした調整チームのメンバーは僕自身よりも上手く、また異なる考え方を持ったプレイヤーたちばかりだったので、そんな人たちとの調整は単純に面白かったし、また新たな発見や考え方もいくつも生まれました。

その結果、こうしてプロツアーをチェインしてシルバーレベルプロになれたわけですから、感無量です。
調整チームの皆さん、お疲れ様でした。本当にお世話になりました。この場でお礼を言います。

シミックネクサスのサイドボーディングやゲームプランについては後日公開予定です。

 

余談

調整チーム内でシミックネクサスを使用したのは僕とAさんだけになりました。
シミチンと三原さんはシミチンデッキ(スプラトゥーンって名前らしい)
玉田さん、諸藤さんは玉田さん謹製の赤単。
木原君は、ずっと調整し続けていたエスパーコントロール

今回はプロツアー終了後に玉田さんに「そんな(シミックネクサス)強いならもっと推してや~」と言われたので、次回調整する際はもっと僕の選択するデッキを推していこうかなと思いました。

僕、まあまあ推した気がするんですけどね!

【スタンダード】ターボフォグ【デッキ解説】

 『ラヴニカの献身』、盛り上がっていますね!
 《吸収》の再録に平成の《ヤヴィマヤの火》など、今回は特に『インベイジョン・ブロック』を彷彿とさせる収録内容で、いわゆる「おじプレイヤー」達は歓喜しています。
 さて、そんな最中に今更現スタンダード環境のデッキについて書いても需要はあまりないかもしれませんが、ご安心ください。
本日紹介するのは、次環境で大幅に強化が予想されるデッキなのですから。本文の最後には、僕が現段階で使用している『ラヴニカの献身』入りのリストもご紹介いたします。

 非常に長いので、デッキだけ見たい方は目次から飛んでください。


【目次】

 

 

デッキリスト

5《島》
3《森》
4《寺院の庭》
4《内陸の湾港》
4《氷河の城砦》
3《陽花弁の木立ち》
2《オラーズカの拱門》
4《ドミナリアの英雄、テフェリー》
2《ウルザの後継、カーン》
4《根の罠》
4《楽園の贈り物》
4《航路の作成》
4《運命のきずな》
3《アズカンタの探索》
2《不快な冷気》
2《内省のための小休止》
2《発見+発散》
2《薬術師の眼識》
1《残骸の漂着》
1《浄化の輝き》


サイドボード
4《否認》
3《神秘の考古学者》
3《秋の騎士》
2《原初の潮流、ネザール》
2《異形化するワンド》
1《浄化の輝き》


基本的な動き

 さて、デッキリストを紹介したところでカード選択…と行きたいところなのですが、その前にまずはターボフォグについて軽くおさらいします。

 ターボフォグは、簡単に言ってしまえば《運命のきずな》を何度も唱え、最終的には無限ターンで勝利するデッキです。

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 《運命のきずな》はプレイすることでライブラリーに戻りますから、カードを引いていくたびにライブラリーからは《運命のきずな》以外のカードが減ることになります。つまりデッキをすべて引いてしまえば、デッキに残るのは《運命のきずな》のみ。すなわち勝利ということです。

 と言っても、60枚のライブラリーをすべて削りきるのは大変ですし、《運命のきずな》は7マナと決して軽いカードではありません。
そのため、《運命のきずな》で無限ターンを得るためのお膳立てが必要となります。

1.マナ加速やドローを連打する。
2.《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱える。
3.フォグ(《根の罠》、《内省のための小休止》)を打つ。
4.《運命のきずな》を打つ。
5.追加ターンでドロースペルを打ち、再び《運命のきずな》を引いて打つ。この過程を繰り返す。
6.勝ち。

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 非常に簡単な勝ちまでの流れがこちらになります。


主要カード紹介

《ドミナリアの英雄、テフェリー》

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 最早フォーマットを問わず、コントロールデッキの引っ張りだことなっているこのプレインズウォーカー。5ターン目に唱えてカードを引き、除去か打ち消しを構え、後は《ドミナリアの英雄、テフェリー》を生き残らせるだけで勝利できるという凄まじい強さを持ちます。
 そしてこのデッキで、《ドミナリアの英雄、テフェリー》は獅子奮迅の活躍を見せます。
 《ドミナリアの英雄、テフェリー》のドロー能力は、言うまでもなく強力です。ダメージを軽減する「フォグカード」や《運命のきずな》に辿り着けますからね。《運命のきずな》で追加ターンを得るごとにカードを引けるため、単純に追加ターンを得る能力とドローは相性が良いです。
 奥義についても同様です。《運命のきずな》を毎ターン打ち続け、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の奥義を使用すると、相手のパーマネントをすべて追放することができます。そして盤面をすべて掃除したら相手にターンを返すと、相手は何もできません。それを毎ターン繰り返して行けば相手はライブラリーアウトします。つまり、テフェリーはドローとフィニッシャーの役割を兼ねています。
 更にもう一つ。土地を2つアンタップする能力。この能力を、他のどんなデッキよりも強力に使えるのが、ターボフォグの《ドミナリアの英雄、テフェリー》です。
 《運命のきずな》は7マナと非常に重いカードですが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》のプラス能力と合わせれば、場に5枚の土地があるだけでキャストできます。コントロールデッキでは余りがちなこの2マナを、ターボフォグでは無駄にすることなくマナブーストとして活用できます。
 また、《楽園の贈り物》があれば、使用できるマナは更に跳ね上がります。
 5枚の土地と《楽園の贈り物》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》がある状態では場には9マナがあります。《航路の作成》を打ちながら《運命のきずな》を、たった5枚の土地(と《楽園の贈り物》)で行うことが出来るのです。

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 そして「土地を2枚アンタップする能力」の強さは、マナブーストだけにとどまりません。
 《水没遺跡、アズカンタ》は土地ながら、デッキを4枚掘り進められる素晴らしいカードです。そう、このカードは土地。つまりメインターンで1度能力を起動した後、ターン終了時に《ドミナリアの英雄、テフェリー》の能力でアンタップすることで、もう1度使用可能なのです。そこに《運命のきずな》が見つかれば、次のターンも同じことができ、《運命のきずな》ループが始まります。毎ターン、30枚ぐらいのライブラリーから10枚ドロー(2回の《水没遺跡、アズカンタ》起動+通常ドロー+《ドミナリアの英雄、テフェリー》ドロー)して4枚のカードを探せば良いのですから、そこまでハードルは高くないですよね。
「そんなにマナはあるのか?」と思うかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。
 場に土地が10枚、《水没遺跡、アズカンタ》が1枚、《楽園の贈り物》が1枚、そして《ドミナリアの英雄、テフェリー》があるだけで、上記の状況を作り上げることができます。《運命のきずな》が少し回り始めれば、この土地10枚と言う数字は非常に現実的です。
 ターボフォグの最も多い勝ち筋はこの《ドミナリアの英雄、テフェリー》+《水没遺跡、アズカンタ》+《運命のきずな》であると言っても良いぐらいです。

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デッキの名を冠するフォグたち

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 さて、主役の《ドミナリアの英雄、テフェリー》の脇を固めるグッドカード、それがフォグたちです。
 フォグというのは、「戦闘ダメージを軽減して0にする」という効果を持つインスタント呪文の総称であり、《濃霧》の英語名Fogに由来しています。このデッキでは、《根の罠》と《内省のための小休止》がフォグです。

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 フォグの役割はそのテキストに書かれている通り、相手の攻撃を無駄に終わらせることです。スタンダードに存在するデッキのほとんどはクリーチャーのダメージで勝利を目指しているため、戦闘ダメージを0にすることは、そのターンを飛ばすことに等しく、実質《運命のきずな》をキャストするのと同じことになります。

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実質同じカード

 《根の罠》と《内省のための小休止》に違いはありません。もちろん、2マナと軽い分《根の罠》の方がより強力です。
 フォグが最も輝く瞬間は、出した《ドミナリアの英雄、テフェリー》を守る時です。このデッキにはご覧の通り、除去がほとんど入っていません。そのため、ジェスカイ・コントロールと違い、更地に《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出せるようなことはほぼありません。大体、既に場には5点以上の打点が存在します。
 そこで活躍するのがこのフォグです。《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出してカードを引いて、起こした土地でフォグを構える。そうすることで、《ヴラスカの侮辱》のようなカードで直接対処されない限りは、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を守れるのです。《ドミナリアの英雄、テフェリー》が生き残って6ターン目を迎えれば、前述の通り《運命のきずな》を打ち始められるため、ゲームセットのカウントダウンを始められるでしょう。

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 《ドミナリアの英雄、テフェリー》コントロール下で《運命のきずな》を唱えた場合、ほとんどは即勝利とは行きません。単純に計算して、先手5ターン目に《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出した場合、ライブラリーはおよそ45枚~47枚。そこから毎ターンの2ドローで《運命のきずな》を引き続けるのは難しいでしょう。
 ですが、フォグがその勝利を限りなく強固なものとしてくれます。先ほども言いましたが、フォグは実質《運命のきずな》なのです。47枚の内、4枚の《運命のきずな》を毎ターンの2ドローで引くのは難しいかもしれませんが、そこにフォグも加わった10枚となればどうでしょうか?しかも、デッキには大量のドロースペルが入っており、フォグたちを探しにいけるのです。
 《水没遺跡、アズカンタ》+《ドミナリアの英雄、テフェリー》が揃った状態はほぼ勝ちなのですが、その理由はフォグにあります。《ドミナリアの英雄、テフェリー》の説明時に触れたように、《楽園の贈り物》+《水没遺跡、アズカンタ》+《ドミナリアの英雄、テフェリー》は、毎ターン都合10枚のカードを探せるため、ほぼ勝利となりますが、《運命のきずな》を打とうとすると、10枚の土地が必要となります。
 しかしフォグであれば7マナのところが2マナ、あるいは3マナで済むのです。ということは必要な土地の枚数は僅か5枚です。10枚のドローで6枚のフォグを探し続ければ、いずれは土地が並び、《運命のきずな》を打てるマナが確保できます。
 

 フォグと《ドミナリアの英雄、テフェリー》、そして数多の呪文たちのおかげで、最終的にはデッキには《運命のきずな》だけが残るというわけです。

デッキリスト解説

4《ドミナリアの英雄、テフェリー》

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 理由は上記で説明したため、割愛します。
 このデッキで最も強いカードです。ターボフォグと言うデッキは、勝利するために「《運命のきずな》かフォグを引き込むための恒久的なドロー」と「《運命のきずな》を打ちながらそれを探すためのマナ加速」が同時に必要となり、《ドミナリアの英雄、テフェリー》はその2つの役割を1人でやってのけるのです。
 デッキに6枚ぐらいなら入ると思います。


4《運命のきずな》

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 これも説明不要。4枚入らない理由がありません。
 初手にあると邪魔になりますが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》が生き残った瞬間に死に札ではなくなるので、ダブついても悲観する必要はありません。
 忘れがちですが、インスタントなので相手のターンエンドにも打てます。大体はメインターンでキャストするため、そのターンの行動が大幅に制限されますが、相手のターンエンドに唱えることで丸々2ターン自由に動けるので、きちんと意識して使いましょう。
 というか《ドミナリアの英雄、テフェリー》コントロール下でなく、相手の場に致死量の打点がない場合は、大抵相手のターンエンドに打つレベルです。
 プレインズウォーカーをコントロールしていない時はその強さが半減してしまうため、むやみやたらと打つのはNGです。追加ターンで何ができるかきちんと考えてからキャストするよう心がけましょう。


4《根の罠》、2《内省のための小休止》、2《不快な冷気》

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 フォグ枠となる8枚です。
 フォグは、《ドミナリアの英雄、テフェリー》コントロール下以外でただ打ち続けるだけでは手札が減っていってしまいます。そのためにドローも出来て、フォグのような役割を果たせる《不快な冷気》が入っています。
 《不快な冷気》は、ゴルガリやボロスなど、横に生物を並べてくるデッキ相手にはフォグとして働き、その上ドローまでついているという中々優れたカードです。ただ、イゼット・ドレイクやゴルガリの《殺戮の暴君》にはほぼ無力なので過信すべきではありません。


2《ウルザの後継、カーン》

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 ドロー兼フィニッシャーです。
 《ウルザの後継、カーン》のプラス能力は、毎ターン土地を置き続けたいこのデッキと非常にあっています。相手は土地とスペルがめくれたら、まず土地を手札に加えさせたいと思いますからね。
 《運命のきずな》が動き出すと、1ターン目でプラス、2ターン目でマイナスを行うことで、プラスした2枚ともを手札に加えられます。《ドミナリアの英雄、テフェリー》と合わせて凄まじいスピードでライブラリーを掘り進められます。
 無限ターンが決まった後は生み出したトークンで殴りきることになります。

 このデッキではトークンを生み出すタイミングはほとんどありません。出してプラス、強いカードがめくれたら次のターンはマイナス、という使い方が基本です。土地が欲しい場合はプラスをし続け、そうでなければドロースペルを拾って打つのが良いでしょう。


4《楽園の贈り物》

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 4ターン目に《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えられるようになるだけでなく、土地を起こす能力の恩恵も倍になる優れたマナブースト。3点ゲインも地味ながらジェスカイと赤単に重宝します。(ジェスカイは《火による戦い》+《発展+発破》の20点コンボがあるためです)
 エンチャントする対象は《廃墟の地》をケアして基本地形にしましょう。そして間違っても《オラーズカの拱門》には付けないように。《オラーズカの拱門》の起動型能力を使いづらくなってしまいます。


4《航路の作成》

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 デッキの潤滑油です。マッチアップによって必要牌と不要牌がはっきりしているデッキなので、捨てるカードにはあまり困らないと思います。
 ただ、だからこそどんな相手に何が必要なのかは知っておいた方が良いでしょう。ジェスカイ相手に《根の罠》が不要なのは明らかですが、イゼット・ドレイク相手に《根の罠》を捨ててはいけませんし、ボロス相手ならば2枚目の《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《根の罠》しか捨てるものがなければ、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を捨てます。
 デッキに入っているドロースペルで最も強いカードは《ドミナリアの英雄、テフェリー》で、次点で《アズカンタの探索》です。逆に最も捨てて構わないのは《薬術師の眼識》となります。捨てるスペルに悩んだら《薬術師の眼識》を捨てましょう。


3《アズカンタの探索》

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 既に説明していますが、ターボフォグにおける《アズカンタの探索》はコンボパーツです。そのためどのゲームでも絶対に設置したく、4枚目を入れていたこともありましたが、かさばった時の弱さから3枚に落ち着きました。
 《アズカンタの探索》はゴルガリには《ビビアン・リード》と《ゴルガリの女王、ヴラスカ》で狙われます。ただし、一度変身してしまえば《暗殺者の戦利品》以外で対処されることはありません。
 そのため、4ターン目などに引いた場合はプレイせず、相手のエンド前の《運命のきずな》からメインターンで《アズカンタの探索》を設置しましょう。
 これで安全に変身させることができます。


2《発見+発散》

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 2マナのドロー枠として《航路の作成》の追加で入っています。特定のカードに辿り着きたい時は《航路の作成》より優秀ですが、ほとんどの場合では劣ります。
 《発見》で打つことが大抵ですが、《発散》は思わぬ状況で活躍します。《殺戮の暴君》をバウンスできるのはもちろん、メインではほぼ対処手段のない 《不滅の太陽》から、《パルン、ニヴ=ミゼット》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》にも効きます。
 ドローが他にある場合は、《発散》で打つことを考えて手札に温存しておきましょう。


1《残骸の漂着》、1《浄化の輝き》

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 フリースロット枠の除去です。ここを追加のフォグにしてもいいですし、ドローに変えても良いでしょう。
 この2枚はどちらも重く、特に《浄化の輝き》は《ドミナリアの英雄、テフェリー》と同ターンにはまずキャストできません。
 それでも2枚採用している理由は、1枚でフォグ2枚分の働きをする可能性があるからです。フォグは盤面の10点をそのターンは0点にしてくれますが、この2枚は盤面をリセットしてくれますからね。
 《浄化の輝き》は《イクサランの束縛》を割ったり、《宝物の地図》を変身前に壊すなど、地味に小回りが利くので1枚入れています。

 

2《薬術師の眼識》

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 追加のドローカードです。複数枚引いた《アズカンタの探索》や、コントロール相手の《根の罠》など、捨てるカードには困らないので再活も楽々。
 《ドミナリアの英雄、テフェリー》を対処されてマナフラッドに陥ることがあるので、3枚目も検討していましたが、《運命のきずな》との相性を考慮して《ウルザの後継、カーン》を優先しました。
 ですが、増量の検討に値するほどのパワーカードです。


2《オラーズカの拱門》

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 マナベースについては語ることはないので(《繁殖池》と《神聖なる泉》がない現状の精いっぱいのマナベースです、特殊地形のこのカードだけ。
 基本的にはマナフラッド受けのカードとなります。起動が《水没遺跡、アズカンタ》より非常に重いので《運命のきずな》を打つターンには起動できませんが、フォグを打ちながらであればカードを引けます。
 ただ、土地とプレインズウォーカーしかほとんどデッキに入っていないのでなかなか都市の承認を達成しづらいです。この都市の承認のために《ウルザの後継、カーン》でトークンを出すことが稀にあります。


4《否認》

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 ここからはサイドボードです。
 主にコントロール相手にサイドインします。メインでは《ドミナリアの英雄、テフェリー》に対して無力なため、最速で出されるとほとんど負けてしまいます。サイド後はその負けを防ぎたいので、4枚です。
 メタゲーム次第では《否認》を1~2枚メインボードに移しても良いと思います。


3《神秘の考古学者》

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 コントロール・ゴルガリ・その他黒いデッキ全般にサイドインします。
 最初にこのカードに目を付けたのは、対ゴルガリとのサイドボード後の負け筋を考えていた時でした。
 デッキの核となる恒久的なドロー手段の《アズカンタの探索》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》が徹底的に対処されて負けてしまうことが非常に多かったのです。
 それを《神秘の考古学者》は解決します。このカードと5マナさえあれば《強迫》も効果が薄く、フォグを打って延命している間にどんどんと手札を供給できます。《最古再誕》避けにも使え、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の身代わりとして生贄に捧げることもできるのです。
 このカードを入れてからゴルガリとの相性は激変しました。
 ジェスカイに対しても、唱えただけで相手の《軍勢の戦親分》本体が殴りづらいため、ドロー能力以外も地味に強いです。


3《秋の騎士》

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 主にジェスカイを想定していますが、白いミッドレンジには大体サイドインします。《宝物の地図》と《イクサランの束縛》を狙いましょう。
 特にジェスカイ相手には《軍勢の戦親分》に対して4/3で出すことで強固なブロッカーとなるので、何枚引いても腐りません。以前は4枚目を入れていました。
 腐ることのない置物破壊枠なので非常に強力なカードです。


2《原初の潮流、ネザール》

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 サイド後の頼もしいフィニッシャーです。主にサイドインする相手はゴルガリとジェスカイです。
 ゴルガリ相手は、サイド後に《ドミナリアの英雄、テフェリー》+《運命のきずな》を中々セットで揃えづらいです。《運命のきずな》を《強迫》で残されてドローを対処されるという展開が多いため、《原初の潮流、ネザール》+《運命のきずな》で一気にダメージレースをまくることがよく起きます。
 プレインズウォーカーと《真夜中の死神》という場でも《原初の潮流、ネザール》がなんとかしてくれます。《浄化の輝き》で6枚ぐらい引かれた後の綺麗な戦場に《原初の潮流、ネザール》だけ残って、そのまま殴り勝つこともしばしば。そのため、サイドから《浄化の輝き》を追加しています。


2《異形化するワンド》

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 《パルン、ニヴ=ミゼット》を除去する枠です。
 《イクサランの束縛》と迷いましたが、先に置いておけることで有効な場面が多かったので、こちらにしました。
 具体的には、相手が《パルン、ニヴ=ミゼット》を出して《潜水》を構えている時に、《異形化するワンド》の起動を《潜水》させて《運命のきずな》を通す、というプレイができるようになります。《イクサランの束縛》だと《潜水》された時にもう1アクション起こせなくなってしまいます。
 青赤ドレイク相手はとりあえず《奇怪なドレイク》と《弾けるドレイク》に使っていきます。最後の1回だけは《パルン、ニヴ=ミゼット》に残しましょう。


1《浄化の輝き》

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 ゴルガリやビートダウン相手の追加です。
 ゴルガリに対して、ハンデスが効きづらいサイドボーディングが可能になったと先で説明しましたが、一方で《ラノワールのエルフ》から《翡翠光のレインジャー》といったビートダウンプランに対しては、サイド後は耐性がありません。相手が《強迫》でフォグを抜くだけでよくなってしまいますからね。
そこで、《浄化の輝き》を追加しています。


マリガン

 このデッキはとにかくドローカードが多いのでキープしやすいです。
 2枚以上の土地と《アズカンタの探索》か《発見+発散》、《航路の作成》があればキープですし、《楽園の贈り物》も単体でキープ基準となります。

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これが初手にあれば安心

 《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《ウルザの後継、カーン》、フォグに土地みたいな手札が来ると悩ましいですが、大体はキープします。初手に土地が3~4枚の場合はキープ、土地2枚で他が重い場合はマリガンします。初手に能動的な3マナ以下のアクションがなく、フォグとプレインズウォーカーとその他という手札は、土地を引き込まなければならない初手のみマリガンと覚えておいてください。

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 《ドミナリアの英雄、テフェリー》とフォグは一見序盤に何もしない手札のように思えますが、フォグを早いターンでもう1枚引き込めば、4ターン目にフォグ、5ターン目に《ドミナリアの英雄、テフェリー》経由でフォグを構えられるため、十分です。
 フォグ3枚、土地4枚の手札についてはマリガンで、ただし《オラーズカの拱門》があればギリギリキープします。フォグ2、《運命のきずな》についても同様です。

 

ターボフォグ基礎知識

このデッキは非常にプレイが簡単なデッキです。
カードを引いて、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出して守っていれば勝手に勝つデッキですからね。
メインボードには打ち消しも入っていませんから、「除去を打つか打ち消しを構えるか」という2択を迫られることもありませんし。
なので、まず最初に心がけておくべき点だけ書いておきます。

【《ドミナリアの英雄、テフェリー》は使い捨てない】

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 このデッキは《ドミナリアの英雄、テフェリー》で勝つのが基本です。依存していると言って良いです。それゆえに、6枚のフォグと《不快な冷気》、《残骸の漂着》と守るカードが大量に入っています。これだけ《ドミナリアの英雄、テフェリー》が守りやすいデッキなのですから、守りましょう。
 《ドミナリアの英雄、テフェリー》が《ヴラスカの侮辱》などによって直接対処されるのは仕方ありませんが、「ドローを進めたい」という理由でフォグのバックアップなしに5ターン目にプレイするのはNGです。
《ドミナリアの英雄、テフェリー》がいない状態でのフォグは、ただ単に延命措置でしかありません。《ドミナリアの英雄、テフェリー》が生き残ってライブラリーを掘り進められる状況において、初めてフォグは真価を発揮するのです。

 

【フォグを打つのはギリギリの状況下のみ】

 当然のことですが、フォグは《ドミナリアの英雄、テフェリー》を守るためか、致死量のダメージを受ける場合にのみ使いましょう。《ドミナリアの英雄、テフェリー》に殴られた場合、忠誠値が残るようであればフォグは使いません。
 赤単とマッチする場合は、残り数点を火力で削られることもあるので難しいです。が、僕は7になるまではフォグは打ちません。《稲妻の一撃》+《魔術師の稲妻》でもライフが残るため、7としています。

 

【最終的に場に揃えたいカード】

 勝つために必要なのは、土地と《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《水没遺跡、アズカンタ》です。

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 これらを場に並べ、1ターンに《水没遺跡、アズカンタ》を2回起動できるようにするのが、最もゲームに簡単に勝つ方法です。
上記の状態を作り上げることを念頭に置いてプレイしてみてください。

 

【《運命のきずな》は相手のターンでも打てる】

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 テキストをそのまま読んだだけですが、ターボフォグを使い始めた頃は特に忘れがちです。
 《運命のきずな》は自分のターンに打つと、ほとんどもう一行動取れません。特に《ドミナリアの英雄、テフェリー》がない場合は。
 しかし、相手のターン終了時に《運命のきずな》をキャストすることで、丸々2ターン分の行動が約束されます。これは特にクロックを並べずに《ヴラスカの侮辱》を構えているようなゴルガリ相手に有効なテクニックです。
追加1ターン目で《ドミナリアの英雄、テフェリー》→《ヴラスカの侮辱》、追加2ターン目で《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出してそのまま《運命のきずな》などと言った勝ち方が出来ます。


ターボフォグTIPS

ここからはもう少し細かい話などを。

 

【カードをプレイする順番】

 《運命のきずな》や《航路の作成》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》などがある場合、何からプレイすれば良いのか迷うと思います。
 まず基本的な考え方として、あらゆるドロースペルを打つよりも先に、《運命のきずな》をキャストします。何故ならデッキ内に《運命のきずな》があった方が、ドロースペルで《運命のきずな》に辿り着きやすいためです。

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 《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《水没遺跡、アズカンタ》と《楽園の贈り物》と10枚以上の土地があり、手札に《運命のきずな》ある場合は、まず《運命のきずな》から打ち、その次に《水没遺跡、アズカンタ》を起動します。1ターンで《水没遺跡、アズカンタ》2回起動+《運命のきずな》が確定しているからです。
 なので、上記の状態では常に《運命のきずな》を最初に打った方が良いですし、手札に《運命のきずな》がなければアップキープに《水没遺跡、アズカンタ》を起動して《運命のきずな》を探しに行きましょう。

 さて、実際は…というよりは上で挙げた例になるまでの間は、《運命のきずな》を打つのはターンの最後になるケースが多いです。

 例えば《ドミナリアの英雄、テフェリー》をコントロールしていて場に9マナ。手札に《航路の作成》と《運命のきずな》と持っている場合は、まず《ドミナリアの英雄、テフェリー》のプラス能力を使います。
 何故かというと、戦場にはまだ《アズカンタの探索》がありません。だから《アズカンタの探索》を探しに行きたいのです。先に《運命のきずな》を打ってしまうと、《ドミナリアの英雄、テフェリー》のドローと《航路の作成》の2ドローでマナがなくなってしまいます。《アズカンタの探索》を引いても唱えられません。ターン終了ステップにアンタップする土地分、マナがもったいなくなります。
 このデッキには《アズカンタの探索》も含めると、2マナのドローカードが多く入っています。そしてそれらはすべてソーサリータイミングであり、《ドミナリアの英雄、テフェリー》でアンタップした土地から唱えられません。
 エンドにアンタップする2マナの使い道は、このデッキでは《薬術師の眼識》・《運命のきずな》・《水没遺跡、アズカンタ》・《オラーズカの拱門》しかありません。

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なので、上記のどれかのために常にエンド前の2マナを使いましょう。《運命のきずな》は最優先で打つカードでありながら、ターンの最後になりがちですが、こんな事情のためです。


【最優先するのは《水没遺跡、アズカンタ》】

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 デッキに入っているカードの中で、一番枚数が掘れるのは《水没遺跡、アズカンタ》です。そのため、《運命のきずな》を探しに行く時は、何はともあれまず《水没遺跡、アズカンタ》を起動します。
 《航路の作成》を2回打ってようやく《水没遺跡、アズカンタ》1枚分です。そしてかかるマナは同じです。それなら《水没遺跡、アズカンタ》を起動しましょう。しかも《水没遺跡、アズカンタ》は土地だからタダでカードを手に入れられます。
 無駄な《航路の作成》を打ったがばかりに、《水没遺跡、アズカンタ》1回分を起動できずに手札が土地だらけになって負けてしまうこともあるのです。
 アップキープに《運命のきずな》が欲しいタイミングが来たらまずアップキープに《水没遺跡、アズカンタ》を起動しましょう。デッキ内で最も《運命のきずな》を手に入れる手段に秀でているのは《水没遺跡、アズカンタ》なのですから。
 
 これは簡単なことですが、見落としがちです。ご飯を食べる時に箸を使うかのごとく、ターンの最初は《水没遺跡、アズカンタ》から始めましょう。


【《航路の作成》と《発見+発散》の優先度】

 カード説明でも触れましたが、この2種が手札にあった場合、基本的には《航路の作成》から唱えます。

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 《発見+発散》が《航路の作成》より優れている点は「1枚多く掘り進められる」だけです。なので、3枚目の土地がどうしても欲しい場合は《発見+発散》から打ちます。それ以外の状況ではすべて《航路の作成》からです。

 「捨てるカードに迷うから《発見+発散》から打つ」というプレイはしないことをオススメします。《航路の作成》で2枚引けば自然と不要牌は出てきますし(例えば土地が手札に4枚あれば1枚捨てます)、スペルだらけの手札なら《発見+発散》を捨てれば良いのです。


【ターボフォグは、自分のライブラリーを13枚にした瞬間に勝つコンボデッキ】

 これは強く意識した方が良いことです。
 何故13枚なのかというと、通常ドロー+テフェリーのドロー+2回の《水没遺跡、アズカンタ》起動で確実に《運命のきずな》にアクセスできるからです。

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 この13枚という数字を意識するとどうなるとかというと、ターボフォグを回すことを「ただ《運命のきずな》を打ち続けていればよい」から「ライブラリーをなるべく掘り進める」に考え方を変えられるのです。
 少し上で触れましたが、通常ならば《航路の作成》を2回唱えるよりも《水没遺跡、アズカンタ》を起動した方が良いのですが、《運命のきずな》で次のターンが既に確定している状態、あるいは手札に次の《運命のきずな》があるのであれば、《水没遺跡、アズカンタ》で2枚目を探しに行くよりも、ライブラリーの枚数を減らした方が良いです。
 ライブラリーをなるべく減らす=勝利の図式は、意識しておくとジェスカイ・コントロールとの戦いで有効です。どうやってゲームを進めるべきかがはっきりしますからね。

極論、勝つためにはただの1枚の《ドミナリアの英雄、テフェリー》も必要ないのです。ドローを連打してデッキをなくしてしまえば《運命のきずな》はいつか通って勝つのですから。
 また、「勝ち手段は自分のライブラリーを13枚にすること」をきちんと理解しておくことで、余計なプレイミスはなくなります。《ドミナリアの英雄、テフェリー》の奥義が出来るようになると、すぐ起動してしまう人も多くいます。状況次第では正しい選択になりえますが、大抵はプラスでドローをし続けるのが最もベターです。なぜなら、ライブラリーを13枚以下にすること=勝利となるからです。

 

マッチアップ解説

VSゴルガリ

【メインボード】

 メインボードはかなり有利です。ゴルガリ側はこちらのフォグに干渉できないため、実質デッキに《運命のきずな》が10枚入っているのと同じになります。(《不快な冷気》も含めれば12枚)

 特筆すべきプレイは2点ほど。

1.《アズカンタの探索》を《ビビアン・リード》で割られないようにする。

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 既に一度書いていますが、改めて。
 《アズカンタの探索》は、《運命のきずな》を相手のターン終了時に打って自分のメインターンで設置することで、《ビビアン・リード》と《ゴルガリの女王、ヴラスカ》から守って変身まで持っていけます。そして一度変身すると、《暗殺者の戦利品》以外で触れないため、ゴルガリ相手には非常に強力です。
 《運命のきずな》以外にも守るテクニックはあります。《楽園の贈り物》を割らせて忠誠度を2以下にしてしまいましょう。相手視点ではかなり嫌なカードなため、結構な確率で割りに来てくれます。

 ちなみに、2ターン目にやることがなければ《アズカンタの探索》は置くべきです。ドローの質を高める目的としても十分なカードですから。《航路の作成》がある場合でも、僕は1枚目はとりあえず優先して置きます。
 置かない選択肢を取るべきは4ターン目以降です。相手の5マナ目のアクションを見るまでは置くのは自重しましょう。5マナ目と同時に《ビビアン・リード》が出て来なければ置いて構いません。これは5マナのアクションで最も相手視点で強いアクションが《ビビアン・リード》で、他の行動を起こす=《ビビアン・リード》は手札にない、と読めるためです。(例外は《破滅を囁くもの》ぐらいですね)


2.《ドミナリアの英雄、テフェリー》設置のタイミング。
 基本的に相手が《ヴラスカの侮辱》を構えていない(4マナオープンでない)状態は常に《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えます。相手のメインフェイズで《ドミナリアの英雄、テフェリー》が処理される分には問題ありません。(もちろん、盤面のクリーチャーだけで倒されてしまう時に出すのはNGです。プレイして良いのは、フォグが手札にあるか、場の打点が5に満たない状態のみです)

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 ただ、相手が露骨に4マナを残し続けて来ているならば、こちらも《ドミナリアの英雄、テフェリー》は出さずに構えるべきです。相手がしびれを切らして6マナ目と同時に《殺戮の暴君》を出して来たら、そこで初めて《ドミナリアの英雄、テフェリー》に手を伸ばしましょう。
 相手が常に4マナを残すのであれば、その分ライフに多少の余裕があると思います。そのため、相手のエンド前に《運命のきずな》を打ち、2ターンを自由に使える状態にしましょう。こうすることで、1枚目の《ドミナリアの英雄、テフェリー》→《ヴラスカの侮辱》、追加ターンで2枚目の《ドミナリアの英雄、テフェリー》→そのまま《運命のきずな》に繋げやすくなります。

【サイドボード】

In
2《原初の潮流、ネザール》
3《神秘の考古学者》
1《浄化の輝き》

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Out
2《不快な冷気》
2《発見+発散》
1《残骸の漂着》
1《楽園の贈り物》

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 主に入ってくるのは《最古再誕》、《強迫》です。
 サイド後に意識するのは、とにかく手札不足に陥らないことです。相手の手札が多いのは気にしなくて良いです。お互いに7枚の手札がある状態は万々歳、逆にお互い1枚しか手札がない状態は芳しくありません。
 《ドミナリアの英雄、テフェリー》はサイド後にかなり生き残りづらくなり、そのせいで手札が枯渇してしまいます。それを防ぐために《神秘の考古学者》をサイドインします。

 《原初の潮流、ネザール》と《神秘の考古学者》、それぞれのメリットについてはカード紹介で触れた通りです。サイド後はほとんどこれらのカードで勝ちにいくことになります。

 サイドボード後の主な負け筋は早いターンのクロックです。逆に《強迫》、《翡翠光のレインジャー》、《最古再誕》のようなサイドカード過多の展開は、こちらのプランがハマって勝ちます。

 

VSジェスカイ・コントロール

【メインボード】

 とにかく5ターン目の《ドミナリアの英雄、テフェリー》がどうしようもないので、負ける時は最速《ドミナリアの英雄、テフェリー》です。最速で着地してそのまま打ち消しを構えられたらおおむね負けです。

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 《ドミナリアの英雄、テフェリー》の対処は《ドミナリアの英雄、テフェリー》(と《発散》)しかないので、こちらの《ドミナリアの英雄、テフェリー》が通ったらまず相手の《ドミナリアの英雄、テフェリー》を-3で処理することから始めましょう。
 ゲームが長引けば長引くほどこちらは有利になります。《運命のきずな》が相手にとってマストカウンターにも関わらず、デッキからドローする確率がどんどん上がっていくためです。そのため意外とターボフォグ側が有利です。
 《アズカンタの探索》が変身して、相手が7ターン目ぐらいまでに《ドミナリアの英雄、テフェリー》を着地させていなかったら(or対処できていたら)おおむね勝利です。
 《運命のきずな》はマストカウンターかつ、相手のターンで仕掛けられる貴重なカードです。雑に7ターン目に切らないように。例えばお互い土地を8枚ほど並べ合った時に相手が3マナを残して《ドミナリアの英雄、テフェリー》をプレイしてきたら、チャンスです。《運命のきずな》を仕掛けて相手に《イオン化》を引き出させ、返しで《ドミナリアの英雄、テフェリー》+《アズカンタの探索》などのアクションを取りましょう。
 最序盤の《ドミナリアの英雄、テフェリー》に一直線に奥義に向かわれるとすぐ負けるので、このマッチでは《発見+発散》は《発散》として残しておくことが多いです。
 ライブラリーが減れば減るほど《運命のきずな》を引きやすくなるので、ドロースペルは打ち続けましょう。ディスカードで捨てたいカードは山ほどあるので、手札がどれだけあろうと《薬術師の眼識》も使ってOKです。

 フランス型のジェスカイが今の主流なので、《楽園の贈り物》はどこかで通してライフを23にしておくと気が楽です。

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注意!

【サイドボード】

In
4《否認》
3《神秘の考古学者》
3《秋の騎士》
2《原初の潮流、ネザール》

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Out
4《根の罠》
2《内省のための小休止》
2《不快な冷気》
1《残骸の漂着》
1《浄化の輝き》
1《楽園の贈り物》
1《発見+発散》

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 サイドボード後は、負け筋の《ドミナリアの英雄、テフェリー》に対して《否認》を4枚入れられるので、かなり有利になります。
 逆に相手からプレイされて嫌なカードは《軍勢の戦親分》ですが、《秋の騎士》を入れているため、思ったよりもダメージを受けません。
 《秋の騎士》はサイド後に《宝物の地図》や《イクサランの束縛》を割るのに重宝しますが、《軍勢の戦親分》のブロッカーとしても十分な役割です。(4/3として出します)
 地図ミゼット型の場合は《異形化するワンド》を2枚とも入れましょう。


VS青単

【メインボード】

 意外と勝てます。というのも、メインでは打ち消しが《魔術師の反駁》しかないので、フォグがほとんど通るためです。
 とはいえ《執着的探訪》を2ターン目につけられて殴られ始めたら大体は負けます。それは諦めます。

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 《呪文貫き》には当然気を付けたいところですが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》は2マナ構えるまで待たずに出すべきです。通った時に勝率がグンと跳ね上がります。
 5ターン目に《ドミナリアの英雄、テフェリー》が通った場合、相手のアップキープにフォグを打つことを忘れずに。通常ドローで打ち消しを引かれたら目も当てられません。


【サイドボード】

In
3《秋の騎士》
2《異形化するワンド》
2《原初の潮流、ネザール》
1《浄化の輝き》

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Out
4《運命のきずな》
2《発見+発散》
1《ウルザの後継、カーン》
1《薬術師の眼識》

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 ご覧の通り、大して入れるものがない上に相手は打ち消しを入れてくるので、かなり厳しい戦いとなります。
 《運命のきずな》は重いだけであまりに何もしなかったのですべて抜きます。サイド後は《水没遺跡、アズカンタ》とフォグと全体除去を駆使して《ドミナリアの英雄、テフェリー》の奥義を目指します。
 試行回数は少ないですが、現状上記のサイドボーディングが一番勝てました。が、厳しいマッチとなることは間違いありません。


VSイゼットドレイク

【メインボード】

 いわゆる、《ゴブリンの電術師》の入っていない「ナベ型」のイゼットドレイクを想定しています。
 メインボードでは相手の妨害手段が《呪文貫き》しかないので相性が良いです。ライフさえ保っていれば《パルン、ニヴ=ミゼット》もさほど脅威にはなりません。
 フォグを打っているだけでその内勝ちます。


【サイドボード】

In
2《異形化するワンド》
2《原初の潮流、ネザール》
1《浄化の輝き》

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Out
2《ウルザの後継、カーン》
2《不快な冷気》
1《内省のための小休止》

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 サイド後はそれなりに厳しい戦いになります。打ち消しが入るので、こちらのフォグをカウンターされてドレイクに一気にダメージを持っていかれてしまうためです。
 《浄化の輝き》は重いという印象はありますが、相手は《奇怪なドレイク》や《パルン、ニヴ=ミゼット》を並べてくることもあり、サイド後はさほどケアされないため、追加しています。
 呪文よりもクリーチャーの方がきついカードが多いので《否認》は腐る場面が多く、サイドインはしません。ハンドの枚数差で負けるゲームではないので 《神秘の考古学者》も入れません(そもそも相手が《ショック》を残しているためカードが引けませんでした)


VSボロス、セレズニア(白系アグロ)

【メインボード】

 かなり相性の良いマッチです。
 《ドミナリアの英雄、テフェリー》とフォグが揃えばあっという間にゲームセットです。
 ただ、ボロスの場合《英雄的援軍》が入っている分、ゴルガリより少しばかり早いので、フォグを引かないと速やかに負けます。なので、ゴルガリ相手のメインボードよりは少し落としやすくなっています。
 とはいえ、かなり当たりたい相手です。


【サイドボード】

In
3《秋の騎士》
1《浄化の輝き》

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Out
2《発見+発散》
1《ウルザの後継、カーン》
1《薬術師の眼識》

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 サイドボード後も特に不利にはなりません。相手にとってクリティカルなサイドカードが存在しないからです。
 《イクサランの束縛》か《議事会の裁き》が入るでしょうが、《秋の騎士》で対処できます。
 4マナのドローがかさばりがちなので、1枚ずつサイドアウトします。

 ボロスの場合、サイド後は《苦悩火》でライフを削ってきますので、複数枚手札にフォグがあるなら、早めに打っていきましょう。ライフが6とかになると少し危ないです。


VS赤単アグロ

【メインボード】

 非常に厳しいマッチアップ。《遁走する蒸気族》を引かれるかどうかです。引かれたゲームはほとんどすべて負けました。
 《遁走する蒸気族》からの《危険因子》はおおむね投了です。

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 序盤にダメージを食らいすぎるとライフが火力圏内になってしまうので、3ターン目にフォグを打たなければならない場合もあります。
 《遁走する蒸気族》さえ出てこなければ、《危険因子》を打たれてもあまり怖くはありません。《遁走する蒸気族》を引かれるかどうかがカギです。

 ちなみに《危険因子》はすべて引かせます。4点は喰らいません。

 既に触れていますが、このマッチではライフを直接火力で削られるので、フォグについては早めに切ります。3点火力2発分をケアして7か、もしくは1発分を耐える4がギリギリです。手札と相談してケアしましょう。


【サイドボード】

In
3《秋の騎士》
1《浄化の輝き》

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Out
2《発見+発散》
1《薬術師の眼識》
1《ウルザの後継、カーン》

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 サイドボーディング自体は白系アグロと同じです。そして相手がサイドから大したカードを入れてこないのも同様。
 やはり《遁走する蒸気族》次第です。《実験の狂乱》がゲームに絡むことはあまりなかったので、《秋の騎士》はどんどん4点ゲインで出していきましょう。


『ラヴニカの献身』加入後のターボフォグ

 最後に、現時点での『ラヴニカの献身』加入後のターボフォグのリストを掲載して、終わろうと思います。

4《繁殖池》
4《神聖なる泉》
1《寺院の庭》
4《内陸の湾港》
4《陽花弁の木立ち》
4《氷河の城砦》
3《オラーズカの拱門》
2《森》
4《ドミナリアの英雄、テフェリー》
1《ウルザの後継、カーン》
4《成長のらせん》
4《荒野の再生》
4《航路の作成》
4《根の罠》
4《運命のきずな》
3《アズカンタの探索》
2《薬術師の眼識》
2《内省のための小休止》
2《宝物の地図》

 

簡易解説

 新カード、《成長のらせん》と《荒野の再生》をフル投入しました。

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 《成長のらせん》は公開されたと同時にターボフォグへの内定が約束されたようなカードです。
 マナブーストとドローを同時にこなせるカードがこのデッキでいかに貴重かは《ドミナリアの英雄、テフェリー》の項目で既にお話したと思います。《成長のらせん》はまさしくこのデッキのために生まれてきたようなカードです。《ドミナリアの英雄、テフェリー》でアンタップした土地の使い道としても使えるのはズルすぎますね。

 

 そしてなんといっても《荒野の再生》。このカードにはたまげました。この衝撃は青単ストームに《練達飛行機械職人、サイ》を入れた時に似ています。
 ターン終了時に土地がアンタップするということは、まず唱えたターンに4マナを構えることができます。フォグを構えられますね。
 5ターン目を迎えたら、エンド前のアンタップと合わせて都合10マナを使えます。《運命のきずな》を打っても3マナ余るほどのマナを、たった1枚のカードをプレイしただけで得ることができるのです。
 既に何度も書いた通り、このデッキは《水没遺跡、アズカンタ》を《ドミナリアの英雄、テフェリー》で2回起動して《運命のきずな》を手札に加え続けるのが主な勝ち手段です。ですが、《荒野の再生》さえあれば《ドミナリアの英雄、テフェリー》すら不要になるのです。
 2枚貼れば《水没遺跡、アズカンタ》を3回使えますし、そこに《ドミナリアの英雄、テフェリー》が加われば4回。つまり16枚掘れるということになります。

 ここまで読んでくださった方なら、書いてあることの恐ろしさがわかったことでしょう。

 《荒野の再生》を活かすために、《オラーズカの拱門》も3枚採用しています。それに伴って都市の承認を満たしやすくするよう、《宝物の地図》を入れてみました。

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 《荒野の再生》にはそれだけの価値があると思っています。


 それでは本当に長くなりましたがこんなところで。

 これから2月いっぱいは、RPTQにプロツアーとスタンダード漬けの日々が続きます。
 果たして僕は嬉々としてターボフォグを回しているのでしょうか。それとも別の相棒を見つけているのか。乞うご期待。

 Twitchではマジックアリーナでターボフォグを配信しています。19時~23時頃に配信しておりますので、ご興味がおありの方や、今回の記事の質問をされたいという場合は、ぜひご覧になってください!

 それでは!

www.twitch.tv

【モダン】青白コントロール【デッキガイド】

白緑カンパニーに続いて、青白コンの話になります。

 


プラハから香港へ
GPプラハでは運良く13勝2敗の好成績を出せた白緑カンパニー。2週間後の同じフォーマットで、一度成功を収めたデッキを再び手に取るというのは、いかにも理に適っているのですが、プラハの結果を見てデッキ選択について考え直さざるを得ませんでした。
ご存知の通り、GPプラハトップ16ではそうそうたるメンバーが青白コントロールを使用していました。
そして、白緑カンパニーは青白コントロールが厳しいという事実をまさにそのグランプリで、俺自身が体験していたのです。

《精神を刻む者、ジェイス》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》の着地、定着を簡単に許し、《終末》に無力で、かつ《献身のドルイド》のコンボを決めづらい。サイドボード後もこの相性の改善は厳しかったのです。

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というわけでデッキ選択は振り出しに。
この時のメタゲームは人間がトップメタは変わらず、それに次いで青白コントロール。バントスピリットがそれに続き、鱗親和が新たに台頭し始めました。反対にメタゲームからはホロウワンとKCIが減りました。これに香港という地であることを踏まえてバーンが多いと仮定して、デッキ選択を始めます。

そしてすぐに浮かんだのが、青白コントロールでした。というか人間に強いデッキなんてほとんどありません。同じく人間に強いとされている鱗親和は青白コントロールが厳しかったのです。

「青白コントロールが良いかもしれない」と友人のモカ君(なんとモカ君はプラハにも行ったモダンジャンキーです)に話したところ、「実は俺もそう思ってた」ということで、2人でデッキを調整することに。

結局青白コントロールは2人とも好感触。残り時間の少なさから考えて第二の選択は取らずに、青白コントロールを使用することが決まりました。

 


デッキリスト
6《島》
2《平地》
4《天界の列柱》
4《溢れかえる岸辺》
4《廃墟の地》
2《氷河の城砦》
2《神聖なる泉》
1《幽霊街》
2《瞬唱の魔道士》
4《流刑への道》
4《血清の幻視》
4《終末》
3《精神を刻む者、ジェイス》
3《謎めいた命令》
2《ドミナリアの英雄、テフェリー》
2《拘留の宝球》
2《ヒエログリフの輝き》
2《否認》
1《アズカンタの探索》
1《祖先の幻視》
1《マナ漏出》
1《失脚》
1《機を見た援軍》
1《論理の結び目》
1《至高の評決》


サイドボード
3《安らかなる眠り》
2《光輝王の昇天》
2《払拭》
2《斑岩の節》
2《石のような静寂》
1《否認》
1《機を見た援軍》
1《悪斬の天使》
1《黎明をもたらす者ライラ》

 


■カード選択
今回は種類別に、それぞれ話をしていきます。


【ドロー枠】
4《血清の幻視》、2《ヒエログリフの輝き》

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1マナのドロースペル枠として、《選択》を採用しませんでした。
なぜ《選択》を採用しなかったかというと、《終末》を見つけに行く以外のタイミングで、《選択》が全く強くなかったからです。そして、《終末》を探す目的ならば、より多くの枚数を掘ることのできる《血清の幻視》の方が強力です。
《終末》を《精神を刻む者、ジェイス》で積み込んで相手のターンで打つことは多いですが、それならば《選択》の占術は無駄になります。それならば《ヒエログリフの輝き》で良いのです。

《血清の幻視》の魅力は《終末》を探しに行くカードとして優秀な点と、もう一つはサイドボードのカードにアクセスしやすいというところにあります。特に後者については非常に重要で、《石のような静寂》と《安らかなる眠り》を探しに行きたい場面が非常に多いのです。

ヒエログリフの輝き》は意外な活躍を見せることもあります。例えば《スレイベンの守護者、サリア》を置かれた状態でも1マナでドローできます。もちろん、ミラーマッチやミッドレンジとのマッチでは2ドローモードとして活躍します。

ヒエログリフの輝き》はMOPTQのトップ4のリストに採用されていて、それを見て試してみたのですが、その強さに感動しました。
この1マナの6枚のドロースペルには非常に満足しています。



1《アズカンタの探索》、1《祖先の幻視》

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引いたターンに効果を及ぼさないドロー枠のカードは、2枚に抑えています。
《祖先の幻視》を3枚入れていたのですが、初手に2枚あってアグロに負けたり、後半に固め引いてまるで役に立たなかったりと、様々な問題がありました。
《アズカンタの探索》は後半引いた際に次のターンに即座に変身できたり、序盤に着地させると《終末》の奇跡を少し起こしやすくできるなど、強力なカードです。が、2枚引きたいカードではありません。
そしてそれは《祖先の幻視》にも言えます。アグロ相手には1ターン目の待機以外はほぼ意味を成さない一方で、コントロール対決では引きたい1枚です。

ドローカードの枚数には頭を悩ませましたが、最序盤から《終末》にアクセスしやすい手段6+αの現在の形が一番アグロに対して耐性がありました。

 


【除去枠】
4《終末》、1《至高の評決》

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全体除去は合計で5枚採用することにしました。
《終末》を減らして《至高の評決》を増やしたリストも増えてきていますが、俺の中で《終末》は4枚固定にすべきだと考えています。
まず、《終末》は初手にあって死に札とはなりません。《精神を刻む者、ジェイス》があればトップに積み込めますし、勿論初手にないことに越したことはありませんが、あったとしても困りはしません。
困るとすれば、奇跡で打てる確率が下がってしまうからなのですが、3枚に減らして初手にあったらデッキには2枚の《終末》しか残りません。4枚入れておけば3枚がデッキに残ります。4枚にすれば初手に来る確率は高まりますが、当然ながら奇跡する確率も高くなるのです。

人間が多いと睨んで、《至高の評決》を1枚だけ入れています。《翻弄する魔道士/》の指定はまず《終末》か《流刑への道》なので、それ以外の除去は何枚かほしいのです。



4《流刑への道》、1《失脚》、2《拘留の宝球》

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1マナの除去は5枚です。《流刑への道》は説明不要ですね。《廃墟の地》と合わせて基本地形を枯らせてしまうことがほとんどです。
《失脚》は《糾弾》との選択になりましたが、全体的にやや《失脚》の方が強いという結論でした。《献身のドルイド》に打てる点や、攻撃してこない可能性のある《翻弄する魔道士》、《帆凧の掠め盗り》にもきちんと効きますし、バーン相手には自分の《瞬唱の魔道士》を戻せます。

《拘留の宝球》は、もともと1枚だったところを、「サイドからの《ガドック・ティーグ》がきつい」という調整の報告を受けて増やしました。前述の通り、《翻弄する魔道士》で指定されづらい除去は増やしたくて、確かに《ガドック・ティーグ》負けも多かったので、《拘留の宝球》の2枚目は悪くありませんでした。
《最後の望み、リリアナ》のような触りづらいプレインズウォーカーにも安心できます。

除去は腐るマッチと効くマッチがはっきり分かれているため、枚数には大いに悩みました。10枚だと人間デッキに心もとなく、12枚だと効かない相手に腐って負けてしまいます。そんな中、10枚+《拘留の宝球》2は腐るマッチがほとんどなく、非常に良かったと自負しています。

 


【打ち消し枠】
3《謎めいた命令》

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青いデッキのお供、《謎めいた命令》。このデッキではオールタップ・ドローモードで《終末》を引きに行くプレイができ、それが従来のコントロールデッキよりも強力な部分です。
ビートダウン相手にも抜くことがなく、特に人間相手では《翻弄する魔道士》や《霊気の薬瓶》を戻す展開も多く、持ち前の器用さを存分に発揮しています。


2《否認》、1《マナ漏出》、1《論理の結び目》

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クリーチャーに対処するカードが大量にデッキに入っているため、相性補完として《否認》が2枚です。人間には全く効かないカードですが、メインボードに2枚のスペースを作る価値は十分にあると思います。特にコンボデッキやミラーマッチでは、《否認》は必須です。
《マナ漏出》と《論理の結び目》は共に2マナの万能カウンターですが、《マナ漏出》は後半に引いた際に完全に無駄牌となる点、《論理の結び目》は《安らかなる眠り》をサイドインした際に死に札となることや、デッキに2枚入れておくと2枚目の探査がしづらいといった事情から、《マナ漏出》と1枚ずつにしています。

打ち消し呪文は人間をはじめとした多くのビートダウンに腐りやすいことから4枚が限界、《謎めいた命令》を合わせた7枚より多くは入れることはできません。これは最初からずっと変わりませんでした。

 


【クリーチャー枠】
2《瞬唱の魔道士》

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ジェスカイと違って火力で本体を攻めに行くプランを取るデッキではないため、《瞬唱の魔道士》は2枚に抑えています。
特にサイド後の《安らかなる眠り》を強く使得える点が大きいです。
3枚目を入れましたが、軽いカードがなくてプレインズウォーカーと《瞬唱の魔道士》ばかりという手札になることも少なくなく、すぐに2枚に戻しました。

 

 

1《機を見た援軍》

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バーンへのガードを下げたくなかったため、75枚に2枚入れたいカードなのですが、サイドボードの15枚の中から最もメインで噛み合う可能性が大きいため、メインに1枚入れました。
アグロ相手に《機を見た援軍》でブロッカーを作っておいて次のターンに《精神を刻む者、ジェイス》、あるいは序盤に喰らいすぎたライフを回復して次のターン《終末》など、プレインズウォーカーの定着と延命措置を同時にこなせる器用なカードです。


なお、《ヴェンディリオン三人衆》は不採用しました。

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コンボとミラーマッチでは強力なカードながら、初手にあった際にそれらのデッキに対して単体で勝てるような力はなく、アグロ相手に引いて腐って負けるゲームがあまりにも多かったのです。
特にミラーマッチでは、手札を見れるアドバンテージこそ大きいものの、3/1に価値はなく、すぐに《流刑への道》されました。もちろん土地が伸びるのは嬉しいですが、ミラーマッチにおいて劇的なカードとまでは思いませんでした。
トロンに対してはかなり強いカードなので、明確に意識するのであれば2枚ほど入れるべきだとは思います。

 

 

【プレインズウォーカー枠】
3《精神を刻む者、ジェイス》

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《精神を刻む者、ジェイス》の枚数は一度も減ることはありませんでした。
《終末》が4枚である関係上、初手に来ることは多く、それを戻す手段として《精神を刻む者、ジェイス》は重宝しました。
そして3枚入っていることで、《精神を刻む者、ジェイス》を使い捨てるプレイができるのも重要です。
《終末》をトップに積み込んでターンを返して、相手に《精神を刻む者、ジェイス》を攻撃させ、返しで《終末》。この展開は非常に多いのですが、《精神を刻む者、ジェイス》が3枚入っていることで、この使い捨てがしやすくなります。
デッキに2枚しか入っていないのでは、中々対処される前提で《精神を刻む者、ジェイス》は出しにくいものです。



2《ドミナリアの英雄、テフェリー》

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《ドミナリアの英雄、テフェリー》は、1枚のプレイヤーが多い中で、一貫して2枚でした。
この青白コントロールは、コントロールデッキでありながらブン回りがあります。それは除去からのプレインズウォーカーであり、《ドミナリアの英雄、テフェリー》はこのブン回りにおいて重要です。
《流刑への道》や2マナのカウンターなどがあり、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出したターンに隙を作らないのは容易です。そして一度着地してターンが帰ってきてしまえば、後は《ドミナリアの英雄、テフェリー》の大マイナスまで耐えるだけでいいのです。
ドロー、フィニッシュ、盤面処理とあらゆる役目をこなし、しかも実質3マナのこのカードを2枚から減らすことはできませんでした。

 

 

【サイドボード】
3《安らかなる眠り》

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ドレッジヴァイン、ホロウワン、KCIなど、墓地を活用するデッキは沢山あり、青白コントロールはとにかく墓地活用デッキを苦手としています。割られた時に2枚目がほしい場面が多いので、3枚と多めに入れています。
《血清の幻視》で探しやすいため、初手に《安らかなる眠り》がないからと言ってマリガンすることはありません。これもデッキに3枚投入している強みではあります。

 


2《光輝王の昇天》

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ミラーマッチで輝く1枚です。
ミラーマッチの決め手になるのは《精神を刻む者、ジェイス》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》。そしてそれらを安全に着地させるための《払拭》や《否認》になるわけですが、《光輝王の昇天》はそれを許しません。
ミラーマッチで強い《変遷の龍、クロミウム》ですが、《幽霊街》で《沼》を壊されると完全に腐ってしまうこと、ハンドの枚数で負けていると普通に対処されて負けてしまうことから、諦めました。マナベースにも負担がかかりますしね。
《光輝王の昇天》は相手の《変遷の龍、クロミウム》に対しても強く、とても良かったです。
《呪文捕らえ》などをサイドインされますが、こちらは《流刑への道》を4枚残しているので問題ありません。《光輝王の昇天》を先手2ターン目にプレイすれば勝ちがぐっと近づきます。
ミラー以外でも、赤青ストームのようにハンドを貯めていつか仕掛けてくるような相手には強力なカードとなります。サイド後にどんなゲームになるかを想像して、サイドインすると良いでしょう。


2《払拭》

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最初は1枚でしたが、あまりに強いので枚数が増えました。
ミラーマッチでは《精神を刻む者、ジェイス》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》をめぐるカウンター合戦で強く、KCIやトロンに対しては《自然の要求》から《石のような静寂》を守れますし、バーンの3点火力を1マナで打ち消せ、《集合した中隊》と《召喚の調べ》、そして《悪斬の天使》に向けられる《流刑への道》をはじけるなど、すさまじい活躍でした。
元々は1枚だったのですが、ほとんど引くことはなく、その内《軽蔑的な一撃》などに変えようと思っていたのですが、モカ君が2枚にしていて俺も試したところ、《払拭》を引いたゲームでやたら勝ったので、2枚に固定して、そこからこのカードの強さがだんだんとわかってきました。
今では2枚は欠かせません。

 


2《斑岩の節》

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こちらはHareruya Prosのジェレミー・デザーニにオススメされた1枚。プラハトップ16だったジェレミーに青白について聞いたところ、《斑岩の節》を増やすのをオススメすると言われて、それから試していますが、増量も納得の強さ。
人間・白緑カンパニー・スピリットと様々なデッキに対してサイドインでき、効果は絶大でした。スピリットはインスタントタイミングで動くことが多いため、効きづらいかと思いきや、《霊廟の放浪者》を無視してプレイできるので、かなり相手は困っていました。
1対2交換が取れれば十分で、後手ならば1ターン目にプレイすることもあります。相手は2ターン目にクリーチャーを出したくないでしょうから、このカードは相手のクリーチャーを破壊しながら、2ターン目をパスさせているのと同じなのです。
サイドボードに除去を取るのであれば、《至高の評決》や《神の怒り》でなく、《斑岩の節》をオススメします。

 


2《石のような静寂》

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説明不要のアーティファクト対策です。
KCI、トロンに対して強い他、最近流行の鱗親和にも効くので3枚目を検討しましたが、鱗親和には《安らかなる眠り》をサイドインすることから、枚数的に厳しくて諦めました。
トロンに対しては効果はあるものの、後手では間に合わないこともあり、劇的とまではいきません。それもあって、2枚です。

 


1《否認》

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追加の打ち消し呪文です。《軽蔑的な一撃》と《否認》にほとんど変わりがないため、《否認》にしています。トロン相手には《軽蔑的な一撃》の方が優れていますね。(《難題の予見者》と《スラーグ牙》を打ち消せるのは大きい)

 


1《機を見た援軍》

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言わずもがな、バーン対策です。人間に対しては2枚目をサイドインしません。

 


1《悪斬の天使》、1《黎明をもたらす者ライラ》

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多くのデッキにサイドインします。サイド後はあらゆるビートダウンが除去などを抜いてくるので、多少不利な状況で5ターン目を迎えても、天使1枚がまくってくれることがあります。
白緑カンパニーのようなコンボデッキもサイド後は《献身のドルイド》に頼らない勝ちプランを取ってきたり、墓地活用系デッキは《安らかなる眠り》の上からビートダウンを仕掛けてきますが、それらをシャットアウトできます。

 

 

■サイドボーディングとゲームプラン
VS人間
In
2《斑岩の節》
1《悪斬の天使》
1《黎明をもたらす者ライラ》
1《石のような静寂》

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Out
2《否認》
1《マナ漏出》
1《論理の結び目》
1《祖先の幻視》

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☆ゲームプラン
とにかく盤面をコントロールしつくします。
《翻弄する魔道士》と《帆凧の掠め盗り》でとにかく相手はこちらを妨害してきますが、《翻弄する魔道士》で指定されていない除去を引けば、そこから一気に相手を打ち崩すことができます。
《終末》奇跡も勝ち手段です。
この戦いでは初手に《終末》がある場合、4ターン目に《精神を刻む者、ジェイス》でトップに《終末》を積み込む、いわゆるジェイス使い捨てプレイが頻繁におきます。
ただし、ここで危険なのがジェイスを放置して本体を狙われる場合です。そのため、《終末》で流す予定があったとしても、盤面のクリーチャーを除去することを怠らないようにしましょう。打点を計算して、タップアウトして無防備になったとしてもそのターンには負けない状態を作りましょう。
サイド後はこちらの無駄牌が追加の除去と天使になるのでかなり戦いやすくなります。相手は《罪の収集者》と《ガドック・ティーグ》を入れてきますが、特に注意したいのは《ガドック・ティーグ》です。《拘留の宝球》、《失脚》、《流刑への道》をむやみに打たないようにしましょう。
《石のような静寂》は《霊気の薬瓶》に対して1枚だけサイドインします。《霊気の薬瓶》がなければ、《精神を刻む者、ジェイス》の定着がかなり安定します。サイドインする価値はあります。

 

 

対ミラーマッチ(青白コントロール
In
2《光輝王の昇天》
2《払拭》
1《否認》

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Out
4《終末》
1《失脚》

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☆ゲームプラン
メインボードはとにかく《精神を刻む者、ジェイス》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》を揃えることに心血を注ぎます。先に《精神を刻む者、ジェイス》を着地させると有利になるのは言うまでもありませんが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の使い方には気を付けましょう。
特に、こちらが《ドミナリアの英雄、テフェリー》、相手が《精神を刻む者、ジェイス》と出してきた場合は、どれだけ手札が強かったとしても、《ドミナリアの英雄、テフェリー》のマイナス能力で《精神を刻む者、ジェイス》をデッキに返すべきです。
《精神を刻む者、ジェイス》対《ドミナリアの英雄、テフェリー》でお互いにドローをしていると、必ず《精神を刻む者、ジェイス》側が有利になります。俺はこれでミラーマッチを何度も制しました。
サイド後は、《光輝王の昇天》で勝ちに行きます。《流刑への道》は《呪文捕らえ》と《ヴェンディリオン三人衆》のために抜きません。《光輝王の昇天》が出れば後は待っていれば良いので、その状態で出てきたクリーチャーを《流刑への道》すると、相手はかなり嫌な顔をするでしょう。

 

 

VSバーン
In
2《払拭》
1《悪斬の天使》
1《黎明をもたらす者ライラ》
1《機を見た援軍》

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Out
1《祖先の幻視》
1《アズカンタの探索》
1《至高の評決》
1《終末》
1《拘留の宝球》

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☆ゲームプラン
メインではとにかくクリーチャーからのダメージをシャットアウトし、《精神を刻む者、ジェイス》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》で早急にゲームを決めに行きます。
《精神を刻む者、ジェイス》は一度忠誠値を5にしてから《渦まく知識》で打ち消しをかき集め、その後に奥義を目指すのが基本です。最初から奥義を目指すのはリスキーです。
《焼尽の猛火》を腐らせることのできるマッチなので、《瞬唱の魔道士》は出さないようにして、《天界の列柱》によるブロックもやめましょう。相手が手札をため込んでいる時は《焼尽の猛火》が腐っている場合がほとんどと言って良いです。
サイド後は相手の《極上の炎技》と《頭蓋割り》に気を付けましょう。《極上の炎技》は打ち消せないため、ライフを5以上にきちんと保つことを心掛けてください。《頭蓋割り》を《機を見た援軍》に合わせられないように、打ち消しを必ず構えながらプレイしましょう。
《瞬唱の魔道士》と《失脚》を組み合わせると、3ゲインしながら《瞬唱の魔道士》をライブラリーの2番目に戻せます。このテクニックはバーン相手にかなりよくやるので、覚えておきましょう。

 

 

VSスピリット
In
2《斑岩の節》
2《払拭》
1《悪斬の天使》
1《黎明をもたらす者ライラ》

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Out
1《マナ漏出》
2《否認》
1《論理の結び目》
1《機を見た援軍》
1《謎めいた命令》

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☆ゲームプラン
メインボードでは《終末》が奇跡できるかどうかにかかっています。かなり悪いマッチアップと言われていますが、俺は通算成績ではかなり勝ち越しています。
エンド前の《集合した中隊》は基本的に《謎めいた命令》します。相手のメインフェイズでのアクションで怖いものはあまりないため、タップアウトすることを恐れる必要はありません。相手はいつでもマナを立ててターンを返したいはずです。
サイド後は状況がかなり良くなります。《斑岩の節》は《霊廟の放浪者》に強く、2種の天使はスピリットをシャットアウトします。
《払拭》は、《集合した中隊》と《流刑への道》を同時に対処できる素晴らしいカードです。《集合した中隊》にはすぐに打っていきましょう。

 

 

VSトロン
In
1《光輝王の昇天》
2《石のような静寂》
2《払拭》
1《否認》
1《黎明をもたらす者ライラ》

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Out
4《終末》
1《失脚》
1《至高の評決》
1《機を見た援軍》

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☆ゲームプラン
はっきり言ってトロンから少し目をそらしたリストなため、苦しい戦いを強いられます。
基本は《廃墟の地》で土地を攻めて、揃う前にプレインズウォーカーによる蓋です。先手であれば成就することが多いです。
《精神を刻む者、ジェイス》→《ドミナリアの英雄、テフェリー》と言う流れだと、追加の《廃墟の地》、打ち消し呪文を確保できて、それなりに安定して勝つことができます。
後手でよくあるシチュエーションですが、相手が3ターン目に揃えて《解放された者、カーン》などを出してきて、こちらが打ち消し、返しで2枚目の打ち消し呪文と《廃墟の地》の起動がどちらも行える、と言う場合。おおむね《廃墟の地》を起動した方が良いです。相手が次のウルザランドをストレートに引く確率よりも、もう一度7マナ以上のスペルをプレイされる確率の方が高く、そうでなかった場合に相手が《探検の地図》や《森の占術》で再びウルザランドを揃えるのにターンを費やした時に、打ち消しを構える行為が裏目に出てしまいます。
ちなみに、トロンを揃える手段に対してはなるべく打ち消し呪文は使わない方が良いです。
サイド後は相手が《難題の予見者》や《スラーグ牙》を入れてきますが、さほどメイン戦と変わりはありません。
《払拭》は腐ることもありますが、《石のような静寂》を守る貴重なカードです。一度《石のような静寂》が場に残れば相手のデッキのキャントリップ呪文が機能不全に陥り、《忘却石》も使えなくなるので、プレインズウォーカーによる勝ちがぐっと近づきます。

 

 

VSホロウワン
In
3《安らかなる眠り》
1《悪斬の天使》
1《黎明をもたらす者ライラ》
1《機を見た援軍》

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Out
1《論理の結び目》
1《マナ漏出》
2《否認》
1《祖先の幻視》
1《ドミナリアの英雄、テフェリー》

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☆ゲームプラン
かなり分の良いマッチアップ。《虚ろな者》をしっかり対処してしまえば、後はプレインズウォーカーでイージーウィン。それに《終末》も良く刺さります。
サイド後からは更に良くなります。《思考囲い》と《集団的蛮行》ぐらいしか相手は入れるものがなく、天使に対して対処する術がありません。

 

 

VSドレッジヴァイン
In
3《安らかなる眠り》
1《悪斬の天使》
1《黎明をもたらす者ライラ》
1《機を見た援軍》

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Out
1《論理の結び目》
1《マナ漏出》
2《否認》
1《祖先の幻視》
1《ドミナリアの英雄、テフェリー》

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☆ゲームプラン
サイドボーディングも同じ、ゲームプランも同じですが、ドレッジヴァインはホロウワンと違って厳しいマッチアップです。
サクり台が残っていると《終末》が無効化されてしまうのがあまりに厳しいです。《臓物の予見者》はなんとしても除去しましょう。
サイド後も《安らかなる眠り》を《破壊的な享楽》で割られるので、安心できません。
《大いなるガルガドン》を引かれたらおおむね負けるので、相手のデッキが回らないことを祈りましょう。

 

 

VSマルドゥパイロマンサー
In
3《安らかなる眠り》
1《悪斬の天使》
1《黎明をもたらす者ライラ》

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Out
1《機を見た援軍》
1《マナ漏出》
1《論理の結び目》
1《終末》
1《失脚》

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☆ゲームプラン
《未練ある魂》厳しいマッチアップ。とはいえ《精神を刻む者、ジェイス》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》が強いので勝ちます。
メインはとにかく《終末》で《未練ある魂》を流せるかどうかにかかっています。
《若き紅蓮術士》も厳しいので、《終末》が奇跡できるかにかかっていますね。
サイド後は《安らかなる眠り》がとにかく突き刺さるのと、天使2種がとても心強いです。ライフで押され始めても、《若き紅蓮術士》が残っても、天使が立っていればなんとかなります。

 

 

VSアイアンワークス(KCI)
In
3《安らかなる眠り》
2《石のような静寂》
2《払拭》
1《否認》

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Out
4《終末》
1《拘留の宝球》
1《至高の評決》
1《機を見た援軍》
1《失脚》

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☆ゲームプラン
メインでは打ち消しを何枚引けるかにかかっています。さっさとカウンターしてプレインズウォーカーで勝ちましょう。《埋没した廃墟》を《廃墟の地》で壊しておくことを忘れないように。
インスタントタイミングで除去が飛んでこないので、《謎めいた命令》を《瞬唱の魔道士》でフラッシュバックした時は、モードをカウンターと《瞬唱の魔道士》バウンスモードで使いましょう。これで次のカウンターの備えにできます。
サイド後は《練達飛行機械職人、サイ》に気を付けます。とはいえ《終末》と《至高の評決》は抜くべきです。《流刑への道》だけを残して、トークンをたくさん生み出されないようにしましょう。
《安らかなる眠り》は実は《石のような静寂》以上に効きます。というのも、《練達飛行機械職人、サイ》を手に入れたKCIは、《石のような静寂》を張られた状態でも、《彩色の星》や《胆液の水源》を生贄してカードを引くことができるのです。
ですが、《安らかなる眠り》はそれらでカードを引くことを許しません(《練達飛行機械職人、サイ》の能力自体では引かれますが)
どちらも手札にあった場合、より場に残したいのは《安らかなる眠り》です。例えば相手が《否認》を構えていて、手札に《石のような静寂》と《安らかなる眠り》がある場合には、《石のような静寂》から出してみましょう。

 

VS鱗親和
In
3《安らかなる眠り》
2《石のような静寂》
2《斑岩の節》

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Out
1《機を見た援軍》
1《論理の結び目》
1《マナ漏出》
1《祖先の幻視》
1《瞬唱の魔道士》
2《否認》

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☆ゲームプラン
基本的には相性が良いです。鱗親和はビートダウン対決で無双するデッキなので、コントロールを苦手としています。
サイドボード後に《瞬唱の魔道士》を抜いていますが、《安らかなる眠り》との兼ね合いによるものです。ホロウワンなどと違って、《流刑への道》を使い回したいと思うことがさほどなかったので、《瞬唱の魔道士》を抜くことにしています。
《アズカンタの探索》も《安らかなる眠り》を張ると機能不全に陥りますが、こちらは2ターン目にキャストした際に《終末》の奇跡を助けてくれて最低限の活躍はします。そのため、《瞬唱の魔道士》よりも有用だと考えています。
《ウルザの後継、カーン》がかなり厳しいので、複数枚入っていそうな場合は(例えばゲーム2で4ターン目に出されたりなど)、ゲーム3で《マナ漏出》を戻しても良いです。

 

 

VS親和
In
2《石のような静寂》
2《斑岩の節》
1《悪斬の天使》
1《黎明をもたらす者ライラ》

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Out
1《機を見た援軍》
1《論理の結び目》
1《マナ漏出》
1《祖先の幻視》
2《否認》

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☆ゲームプラン
注意すべきは、鱗親和でも話したように《ウルザの後継、カーン》のみです。
《血染めの月》が入っている可能性があるため、可能なら基本地形を確保しておきましょう。暇な時に《ちらつき蛾の生息地》などを割っておくことをオススメします。

 

 

■終わりに
今回はモカ君と10日ほど意見交換し、調整しました。モカ君の力がなければこのリストにはなりませんでしたし、とても調整相手として頼りになりました。この場を借りて御礼を言いたいと思います。ありがとう!そして香港に来られなくて本当に残念。


そしてグランプリ香港は、初日全勝から、2日目は3-4と失速したものの、プロポイント2点を獲得。来年のプロツアー・クリーブランドに参加することでブロンズレベルに到達します。
PPTQ制度がなくなるのでは?と言う声もありますが、ひとまずはブロンズレベルとなったことを喜びたいと思います。できればブロンズレベルの恩恵を受けたいから、PPTQ制度は変わらないでほしいのだけども。

次のイベントはグランプリ名古屋。チームリミテッドです。チームメンバーはとても強い二人(プロツアーサンデー経験者と殿堂)なので、足を引っ張らないように練習をしたいと思います。
それでは。

【モダン】白緑カンパニー【デッキガイド】

モダンGP2連戦が終わりました。
今回はGPプラハで使用して、念願のプロツアーの権利をもたらしてくれた白緑カンパニーのお話をしようと思います。

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■カンパニーに至るまで
俺が白緑カンパニーを初めて使用したのは、7月の最終週でした。
その時は純鋼ストームがなぜか強いのではないかと妄想していて、MOで2リーグ回したらどちらも4-1と好成績で、正直本戦で使う気満々でカードを集めていました。

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で、純鋼ストームを持って休日晴れる屋杯に参加しようと思っていたのですが、当日晴れる屋で一人回しをしていたら全く回らなくて、不安になっていて、そんな時に「オススメのデッキがありますよ」とOnogamesの木原君が言ってくれて、その手にあったデッキが「白緑ドルイドコンボ」だったのです。(木原君のデッキはドルイドコンボで、《集合した中隊》が入っていない)

結局その日は4勝1敗1分、その翌週のPPTQでは4-0-2からSEの決勝戦で敗北と成績はまずまずでした。

ドルイドコンボの魅力は何と言っても《献身のドルイド》と言うカードの圧倒的なプレッシャーです。

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除去できなければ即敗北してしまう可能性のある《献身のドルイド》。モダンにおけるコンボデッキはほとんどが4ターンキルですが、ドルイドコンボはその上を行きます。1ターン目に《虚ろな者》が複数枚出てきても、ドルイドコンボ側が先手であれば勝てる可能性すらありますし、何と言ってもモダン環境で今最も強いとされている人間デッキですら、《反射魔道士》しか対抗策がない上に、人間側が後手ならばその《反射魔道士》も間に合いません。
3ターンキルというキルスピードの速さ、そしてモダンで最も当たることを想定しなければならない人間デッキに対して強いというこの2点が、ドルイドコンボの魅力であり、俺はすっかり魅了されました。

ですが、コンボを決めることに特化したドルイドコンボにはいくつかの問題もありました。
特に大きかったのは3つ。
1.《献身のドルイド》を狙い撃ちされ続けるとそれだけで敗北してしまう。
2.《墓掘りの檻》があまりにも刺さってしまう。
3.ドルイドコンボにオールインするために《異界の進化》まで入れている構成だと《集合した中隊》が採用できず、デッキパワーが落ちる。(これは1の《献身のドルイド》を狙い撃ちされ続けると敗北する、とも関わっています)

この中の1、3の問題を解決するために、《集合した中隊》を使うことに決めました。

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■最強の白緑カンパニーを探せ
というわけでまずはHareruya Hopes浦瀬君が好成績を叩き出し続けている《民兵のラッパ手》型白緑カンパニーを。
ですが、あまり成績は良くなく。というのも、《民兵のラッパ手》と言うカードがあまり強いと感じられませんでした。

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民兵のラッパ手》は確かに《献身のドルイド》と《療治の侍臣》を探すのに便利で、《集合した中隊》によるコンボ達成が容易となります。
ですがその一方で、《献身のドルイド》に対処する手段をたっぷりと擁する除去コントロールデッキに対しては、強くありません。
「《献身のドルイド》が除去された結果、2/3警戒が残るのだから、《民兵のラッパ手》はコントロールデッキに強いのではないか」と思う方も多いと思いますが、俺の考えは違います。マルドゥパイロマンサー相手には《騒乱の歓楽者》で止まりますし、そもそもデッキがコンボに依存しているため、殴り勝つのはそう容易くありません。《聖遺の騎士》ぐらいしかまともに殴れるクリーチャーがいないのです。そのため残った2/3の価値は低く、加えて《献身のドルイド》か《療治の侍臣》を探すと言う仕事は、対コントロールではまるでありがたくないのです。
なぜありがたくないのか。それは《献身のドルイド》が確実に場に残らないからです。ジェスカイなら《瞬唱の魔道士》を合わせて14枚以上の除去が入っていますよね。こちらがいくら《民兵のラッパ手》で《献身のドルイド》を探したところで、対処できるカードの枚数の方が多いのです。それならば、《献身のドルイド》と《療治の侍臣》を探せるカードに本当に価値があるでしょうか。
人間デッキに対しても、《民兵のラッパ手》の強さは懐疑的でした。まず2/3と言うサイズは人間デッキに対して全く強くありませんし、3ターン目に《献身のドルイド》を探しに行く動きはあまりに弱い。2ターン目に《献身のドルイド》、3ターン目に《民兵のラッパ手》で《療治の侍臣》を探すという動きは非常に強かったものの、それ以外の展開で《民兵のラッパ手》を強いと思ったことはありませんでした。
《墓掘りの檻》を貼られた状態でもコンボカードをサーチできるor《再利用の賢者》にアクセスできる点は、《民兵のラッパ手》は素晴らしいと感じました。それでも、多くのデッキがドルイドコンボに対して《献身のドルイド》を倒せるカードをサイドインしてくるのに対して、こちらはコンボ達成のために《民兵のラッパ手》を唱えなければならない。これは、サイド後の勝率が明確に落ちる原因だと感じました。

そんな悩みを、祝勝会でいつも行く寿司屋で打ち明けたところ、その祝われる立場である行弘が、一つ提案してくれました。
「俺がGP京都で使ったカンパニーどう?」
行弘がGP京都で使用した白緑カンパニーとは、モダン神挑戦者決定戦で小田 光一さんが使用していた、メインに《不屈の追跡者》が4枚入ったリストのことでした。

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行弘は2回のトーナメントでこの白緑カンパニーを使い、非常に好感触で成績も良く、その理由を明確に説明してくれました。
特に《不屈の追跡者》について「最強」「いつでも強い」「なんならこいつ一枚で勝つ」と何度もべた褒めしていました。
「単体で強い上に《集合した中隊》の当たり枠になって、マナばかり引くというデッキの弱点を補ってくれて、サイド後の《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》みたいなカードに引っかからない。しかも《献身のドルイド》に除去を合わせなくちゃいけないからこいつが場に残りやすい」
強い理由も簡潔にまとめてくれました。

そこから、家に帰って《不屈の追跡者》4枚のリストを試すことに。なお、調整にはデータメガネことコジマにも付き合ってもらいました。ありがとう、データメガネ。

そしてしばらく回していて、、この《不屈の追跡者》入りの白緑カンパニーこそ、求めていた最強のデッキだったのです!
長くなってきたので経緯はここまでにして、デッキリストとカード選択に。

 


デッキリスト
6《森》
1《平地》
4《吹きさらしの荒野》
2《新緑の地下墓地》
1《樹木茂る山麓
3《廃墟の地》
2《寺院の庭》
2《幽霊街》
1《地盤の際》
4《貴族の教主》
4《献身のドルイド
4《療治の侍臣》
4《聖遺の騎士》
4《不屈の追跡者》
3《極楽鳥》
2《薄暮見の徴募兵》
1《博覧会場の警備員》
1《歩行バリスタ
1《漁る軟泥》
1《永遠の証人》
1《豊潤の声、シャライ》
4《召喚の調べ》
4《集合した中隊》


サイドボード
3《崇拝》
2《ブレンタンの炉の世話人
2《弁論の幻霊》
2《流刑への道》
1《クァーサルの群れ魔道士》
1《再利用の賢者》
1《戦争の報い、禍汰奇》
1《漁る軟泥》
1《ファイレクシアの破棄者》
1《ボジューカの沼》

 

 

■カード選択

4《献身のドルイド》、4《療治の侍臣》

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このデッキのコンボパーツとなる2種類。当然、4枚ずつです。
2ターン目に他のアクションがある場合でも、ほとんどの場合で《献身のドルイド》を優先的にプレイします。それは、このカードが場にあるだけで対戦相手は必ず除去しなければならないからです。
《献身のドルイド》は拳銃のようなものです。プレイする=対戦相手に銃口を向けている状態だと考えて下さい。2ターン目に《聖遺の騎士》が出せる場合でも、《献身のドルイド》から出すことをオススメします。
《療治の侍臣》は一方で、何のプレッシャーにもならないカードです。そのため、プレイせず温存していく場合がほとんどです。《献身のドルイド》がマナを生み出せるようになって初めてプレイするのが良いでしょう。
基本的に役に立たない2/1ですが、《召喚の調べ》の召集コストにしたり、逆に相手に除去を使わせるために早いターンにプレイすることもあります。相手視点ではなぜかこの2/1が嫌なようで、多くの状況で《稲妻》されました。このカードに除去を打つのは本当に無駄なのでやめましょう。

 


4《貴族の教主》、3《極楽鳥》

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マナクリーチャーです。1ターン目にプレイするとゲームが簡単になりますが、《献身のドルイド》と合わせて12枚だとデッキのマナソースが34枚となってしまうため少し多く感じました。土地を削ることも考えましたが、色マナ的な観点から見ても22枚はほしいため、《極楽鳥》が3枚に。

 


4《不屈の追跡者》

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デッキのキーカードその2です。《不屈の追跡者》の強さについては行弘の語ってくれた言葉が全てですが、もう少し詳しくお話しましょう。
まず、《不屈の追跡者》は3マナの強力なクリーチャーです。土地を置くだけで1ドローが約束され、2マナを支払うとどんどん大きくなります。6/5などになれば人間デッキ相手にもブロッカーになりますし、タフネスが4になるだけで《稲妻》で焼けないサイズへと跳ね上がります。言うまでもなくこのカードは、《集合した中隊》でめくれて嬉しいカードということになります。
次に、このデッキには多くの土地シナジーがあります。《廃墟の地》にフェッチランド、そして何より《聖遺の騎士》です。《民兵のラッパ手》と《聖遺の騎士》は何のシナジーもありませんが、《不屈の追跡者》は違います。《聖遺の騎士》の能力が起動できる状態で《不屈の追跡者》をプレイすれば、それだけで2つの手がかりが確定するのです。そこに通常セットランド、そして元々場にあった《廃墟の地》などが絡めば、あっという間に手がかりが膨れ上がり、それはすぐに手札へと変わります。このデッキには大量のマナクリーチャーが入っているため、手がかりを生贄に捧げることは容易です。
《不屈の追跡者》は長期戦だけに強いカードだけだと思われがちですが、それは違います。このデッキでありがちな「無限マナは決まったけどフィニッシュ手段がない」という時にも、《不屈の追跡者》は役立ちます。手がかりを残した後に無限マナが決まれば、手がかりをすべて生贄にしてコンボパーツにアクセスできますし、無限マナを決める→《不屈の追跡者》をプレイ→セットランドで手がかりと言ったように、コンボパーツを探しに行けます。《民兵のラッパ手》では白マナがかかりますし、《召喚の調べ》や《集合した中隊》にはアクセスできません。
そしてなんといっても、《不屈の追跡者》はサイドボード後のゲームで真価を発揮します。白緑カンパニー相手に通常行われるサイドボーディングは、《献身のドルイド》への除去手段と《墓掘りの檻》といったサーチ封じです。これらのどちらも、《不屈の追跡者》は無視できます。《献身のドルイド》が除去されても《不屈の追跡者》が生き残れば、《集合した中隊》や《召喚の調べ》や次の《献身のドルイド》に辿り着けますし、《墓掘りの檻》によって《集合した中隊》が封じられても、手がかりで引き続ければ良いのです。

長々と書きましたが、つまり《不屈の追跡者》が最強ということです。

 


4《聖遺の騎士》

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《不屈の追跡者》とよく噛み合ういぶし銀カード。
2ターン目に出た時のインパクトはなかなかのもので、トロン相手には2ターン目に《聖遺の騎士》を出すのが勝ち手段の一つでもあります。先手2ターン目に出して相手の土地を永遠に《廃墟の地》と《幽霊街》で割り続ければ良いのです。そして《忘却石/Oblivion Stone》を置かれたら、5マナ目を置かれる前に《地盤の際》をサーチしておきましょう。
ドルイドコンボに一切絡まない3マナ圏のクリーチャーですが、《不屈の追跡者》との相性の良さと、上記の土地ハメが行えることから、見た目以上に強いカードとなっています。残ると強い3マナのカードという意味では《不屈の追跡者》と同じで、《献身のドルイド》が除去された返しによくプレイします。
手札にフェッチランドが2枚以上ある場合は、率先して1ターン目からフェッチランドを切っていきましょう。4/4で出すと《稲妻》で焼かれませんからね。

 


2《薄暮見の徴募兵》

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無限マナを決めた後の勝ち手段です。2ターン目にプレイしたいカードではなかったため、枚数は押さえています。

 


1《歩行バリスタ

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無限マナを決めた後、《薄暮見の徴募兵》が場に出たら、後はこのカードを公開するだけ。2枚入れていた時もありましたが、同じ無限マナでの勝ち手段として《豊潤の声、シャライ》を入れたことで、1枚に落ち着きました。

 


1《豊潤の声、シャライ》

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2枚目の《歩行バリスタ》ではなくこちらを入れました。苦手なバーンに対して《召喚の調べ》からサーチできるだけでなく、素で引いた場合にもそこそこ強いため、気に入りました。
無限マナを決めた後に白マナさえあれば、無限パンプを行うことができます。

 


1《永遠の証人》

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安定の1枚ですね。《集合した中隊》からめくれたら回収できますし、不慮の事故で墓地に落ちた《歩行バリスタ》を拾うケースもあり、まあまあな強さです。結局抜きたいと思ったことは一度もなかったので、1枚は入れておくことをオススメします。
《召喚の調べ》で《永遠の証人》を場に出して《召喚の調べ》を回収すると、タダで場に2/1を残すことができます。頻繁に行うプレイなので覚えておきましょう。



1《漁る軟泥》

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ホロウワンやドレッジヴァイン相手に引きたい1枚。サイド合わせて2枚の枠がほしくて、メインに1枚入れています。メインに1枚居場所が必須と言うカードではなく、75枚の中に2枚欲しいのです。素で引いて活躍するマッチが多いですね。
75枚に2枚ほしいというのは、《漁る軟泥》が活躍するマッチアップが比較的多いのが理由です。ブリッジヴァインやホロウワンに対しては、墓地から蘇るクリーチャーを追放するだけでなく、そのままブロッカーに、やがてフィニッシャーになる強さを持っています。一方、KCIに対しては《屑鉄さらい》のけん制、青系デッキに対しては《瞬唱の魔道士》を抑え込めます。
このように、用途の広いカードについては、《召喚の調べ》によるサーチ目的のための1枚では足りないと判断しています。そこで、75枚の中に2枚を入れたいと考えています。



1《博覧会場の警備員》

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《カマキリの乗り手》などの飛行クリーチャーからミラーマッチの《献身のドルイド》など、対象に困ることはあまりありません。これも75枚に1枚入れておきたいカードだったのですが、調整相手のコジマから「メインに欲しい時が何度かありました」と報告を受けていたため、メインに。
白緑カンパニーは飛行クリーチャーを苦手としているので、干渉手段を1枚でも用意しておくと何かと役に立ちます。
俺自身は特別恩恵を受けられませんでしたが、邪魔には感じませんでした。


4《集合した中隊》、4《召喚の調べ》

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デッキの必須パーツです。
特に《召喚の調べ》は抜くマッチが一つもありません。どちらもエンド前に《献身のドルイド》を場に出せるため、人間デッキ相手にはエンド前に《献身のドルイド》からの《療治の侍臣》という勝ち方が多いです。

 

 

3《廃墟の地》、2《幽霊街》、1《地盤の際》

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デッキの脇を固める特殊地形破壊カード達。《聖遺の騎士》がこのデッキに入っているのは、これらの土地破壊を運用するためでもあります。
合計で6枚入っていますが、《廃墟の地》は色マナ換算になります。よく白マナを持ってくることになります。
《幽霊街》は後手番で1ターン目に《極楽鳥》、2ターン目に《献身のドルイド》から《幽霊街》と言う展開でトロンの成立を遅らせることができ、重宝します。
《聖遺の騎士》のところでも説明しましたが、《地盤の際》が入っているのは、トロン相手に《忘却石》の起動マナを出させないためです。2ターン目に《聖遺の騎士》を出して3ターン目から土地を破壊し始めた場合、こちらが殴り切るより早く、相手は《忘却石》を起動できてしまいます。それを1ターンずらすことができれば、膨れ上がった《聖遺の騎士》で殴り勝つ展開を作れます。
トロン相手に《地盤の際》がとても強かったため、この6枚のバランスには不満ありません。

そもそもトロンに対して以外、これらの無色ランドはすべて無駄牌になるのか、というとそれは違います。青白コントロールの《天界の列柱》を割ることには大きな意味がありますし、何よりも《不屈の追跡者》と《廃墟の地》は抜群の相性です。
《幽霊街》も、無限マナが決まって手札に《不屈の追跡者》しかないという状況なら、自分の土地を破壊することで手がかりを生み出せます。

 


3《崇拝》

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これはBIGs加茂君にオススメされて入れることにしました。人間、スピリット、バーンなどにサイドインする想定です。
人間に相性が良いこのデッキですが、それはあくまでメインボードの話。サイド後は除去を増やされますし、そもそも後手番では《反射魔道士》と《幻影の像》でハメを食らうこともあります。
バーンにはそもそも《献身のドルイド》が生き残らず、相手のクロックも止まらないため、非常に厳しい戦いとなります。
そういった相手に対してまとめてサイドインできるのがこの《崇拝》です。ゲーム2は特に全く予想外の角度から突き刺さってそのまま勝利できる場合が多いです。
ちなみにバーンはエンチャント破壊手段が《破壊的な享楽》のため、一度《踏み鳴らされる地》を破壊してしまえば、もう撃たれることはありません。相手が不用心にサーチしてきたらさっさと割ってしまいましょう。
ホロウワンやドレッジヴァインに対してもサイドインしますが、《集団的蛮行》は喰らってしまうので注意しましょう。一応テクニックとして、《漁る軟泥》を出して常に2マナを立てておけば、《集団的蛮行》でダメージを食らう前に2点回復できるので、ケアできます。そもそも《漁る軟泥》がアクティブならさっさと勝っていますが。

GPプラハのMVPでした。確定で負けていたマッチのほとんどをこの《崇拝》で勝ちました。

 


2《ブレンタンの炉の世話人

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最初は1枚でしたが、《崇拝》を3枚入れるにあたって2枚に増やしました。主にバーン対策で、ジェスカイにもサイドインします。
《神々の憤怒》が入っていそうな相手にはとりあえず1枚は入れておきましょう。

 


2《流刑への道》

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飛行クロックのあるデッキに対してよくサイドインします。ビートダウン全般には大体入れることになるため、《崇拝》とセットで投入する場合が多いです。

 


2《弁論の幻霊》

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KCI、ストームに。並べると完封できるため、2枚入れています。複数枚入れておくとマナクリーチャーから2ターン目に出ることもあって何かと便利です。
今はメタゲームからKCIが消えかかっているため、1枚で良いと思います。一応1枚でも《豊潤の声、シャライ》と組めばがっちりガードです。
《召喚の調べ》でサーチする時は、相手がカードを唱えて、それがスタック上にある時にしましょう。そうすることで、相手は確実にそのターンを終えることになります。

 


1《再利用の賢者》、1《クァーサルの群れ魔道士》

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《墓掘りの檻》を割るナイスガイたち。《クァーサルの群れ魔道士》には先出しできるメリットがあります。《召喚の調べ》を持っていて相手が《墓掘りの檻》をトップデッキしてしまうと、《再利用の賢者》はサーチできませんが、《クァーサルの群れ魔道士》なら先に出しておけますからね。そういう理由で1枚ずつ散らしています。

 


1《ファイレクシアの破棄者》

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ミラーマッチやKCI想定しています。ミラーで相手に先に決められそうになったら《献身のドルイド》を指定して延命できますし、《歩行バリスタ》しか入っていないリストであることを賭けて指定するのも良いでしょう。ゲーム1でかなり深くまで《薄暮見の徴募兵》で掘られた結果、《歩行バリスタ》で負けた場合は、入っていない可能性があります。
KCIには《クラーク族の鉄工所》を指定しておきましょう。《弁論の幻霊》を並べた後なら《仕組まれた爆薬》でもいいですね。

 


1《戦争の報い、禍汰奇》

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KCIを主に想定。
2枚目の《弁論の幻霊》と《戦争の報い、禍汰奇》はどちらもKCI対策として入れているため、今のメタゲームを鑑みると、このあたりを青白コントロール対策に割くのが良いと思います。
オススメは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》です。

 


1《ボジューカの沼》

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《聖遺の騎士》からサーチできる墓地対策として。《瞬唱の魔道士》が入っているデッキにも一応入れておきます。消耗戦になりがちな《瞬唱の魔道士》デッキに対してはマナクリーチャーをサイドアウトする関係上、土地が増えるのは悪いことではありません。

 

 

■マリガン
このデッキのマリガンは非常にシンプルです。11枚のマナクリーチャーと土地があればほとんどキープできます。

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逆に、3マナ以上しかないような手札についてはマリガンすべきです。2マナが《薄暮見の徴募兵》の場合でも躊躇なくマリガンしましょう。
《集合した中隊》や《召喚の調べ》はキープ基準となるカードではありません。マナクリーチャーが手札にある場合は嬉しいカードですが、それはあくまでマナクリーチャーがあるからキープなのです。間違っても《集合した中隊》2枚、《聖遺の騎士》、《不屈の追跡者》、土地3みたいな手札をキープしないように。

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※もちろんサイドボード後では上記の手札をキープすることはあります。実際にGPプラハで青白コントロール相手に上記の手札をキープして勝ちました。

土地が1枚、マナクリーチャーが1枚の場合は大体マリガンします。2枚以上の土地とマナクリーチャーがいるならばまずマリガンすることはありません。
土地が1枚と《献身のドルイド》と言う手札はキープしたくなる気持ちはわかりますが、これもやはりマリガンしましょう。

簡単な指針としては、
・《献身のドルイド》と2枚の土地がある場合は絶対にキープ
・土地とマナクリーチャーしかないような手札もキープする(マナ過多には寛容に)
・初動が3ターン目になってしまうような手札はマリガン
と言ったところです。

 

 

■プレイガイド
ドルイドコンボを知らない方に向けて一応説明しますと、《献身のドルイド》のマナ能力が起動できる状態で《療治の侍臣》をプレイすると、《献身のドルイド》のアンタップ能力を好きなだけ使うことができます。そして無限マナを生み出し、《薄暮見の徴募兵》を出して、デッキの中から《歩行バリスタ》を探し、無限マナからプレイ。これが基本の流れです。
薄暮見の徴募兵》は《召喚の調べ》でもサーチできるため、実質6枚。それに《歩行バリスタ》と《豊潤の声、シャライ》を合わせて、8枚のフィニッシャーが入っていることになります。

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※《献身のドルイド》は唱えたターンではマナ能力を生み出せないため、《療治の侍臣》と揃えても無限マナはできません。そのため、《献身のドルイド》がきちんと動く状態の時にのみ、《療治の侍臣》は出しましょう。

 

プレイ中に基本的に心がけることは、何よりも《献身のドルイド》を優先してプレイすることです。
1ターン目に《貴族の教主》、2ターン目に《聖遺の騎士》と《献身のドルイド》と言ったハンドでは、《献身のドルイド》から出しましょう。

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《献身のドルイド》を除去させて、《不屈の追跡者》か《聖遺の騎士》、あるいは《集合した中隊》と繋げていくのが白緑カンパニーの基本です。

《献身のドルイド》が既にマナを生み出せる状態にあって手札に《召喚の調べ》がある場合は、インスタントタイミングで無限マナを決めることができます。通常はソーサリータイミングでしかコンボを決められませんが、《召喚の調べ》と《集合した中隊》は隙を見てコンボに向かえます。
とはいえ、だからといって常に構えるのは禁物です。というのも、そもそも相手は《献身のドルイド》に触れないのですから、そもそも除去を持っていない可能性が高いのです。

言うまでもありませんが、無限マナの先に勝ち手段がない場合は、絶対に無限マナを決めてはいけません。

 

 

■サイドボーディングとゲームプラン
VS人間
In
3《崇拝》
2《流刑への道》

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Out
4《集合した中隊》
1《永遠の証人》

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☆ゲームプラン
メインボードは非常に単純です。《献身のドルイド》に触られなければ勝ち、《反射魔道士》されるとおおむね負けです。そのためこちらが先手の場合はかなりの確率で勝利でき、逆に後手の場合は祈る必要があります。《反射魔道士》を1枚出されると《幻影の像》でコピーされるため、おおむね詰みます。
手札に複数枚の《献身のドルイド》がある場合は、《反射魔道士》で対象にされた時に起動型能力を2回使って自殺しておきましょう。

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《集合した中隊》や《召喚の調べ》は《反射魔道士》が効きづらいのですが、《スレイベンの守護者、サリア》や《帆凧の掠め盗り》があるので、過信は禁物です。


飛行クロックが止まらない一方、地上クリーチャーは止まりやすいです。《聖遺の騎士》や《不屈の追跡者》はタフネスが4になると途端に頼もしくなり、相手が《反射魔道士》や《翻弄する魔道士》しか引いていない場合は地上を止めて勝利できることもあります。


サイド後は《集合した中隊》をサイドアウトして、《崇拝》と《流刑への道》を入れます。
《集合した中隊》をサイドアウトする理由は、相手の飛行クロックに対して《集合した中隊》を打ったところで解決策が見つからない場合が多いからです。《カマキリの乗り手》に殴られている状態で打って、《献身のドルイド》が見つからなければ負け、というギャンブルになりやすく(しかもサイド後は《献身のドルイド》を除去できる《四肢切断》が何枚か入っています)、《翻弄する魔道士》で真っ先に指定されるカードなため、思い切ってすべてサイドアウトしています。
サイド後は相手が地上クリーチャーをサイドアウトすることもあり、《集合した中隊》で盤面が止まることはほとんどありません。

《崇拝》は《再利用の賢者》を人間側がサイドインしてなければ、まず確実に1ゲームを取ることができます。メインボードを取ってサイド後《崇拝》で勝つことが多いため、人間相手は2-0で勝利することが比較的多いです。

《流刑への道》の対象はほとんどが《カマキリの乗り手》になります。特に1枚目の《カマキリの乗り手》をきちんと除去しておくと、《幻影の像》で増やされずに済むので、ためらわずに打つことをオススメします。

 

 

VS青白コントロール
In
1《再利用の賢者》
1《クァーサルの群れ魔道士》
1《漁る軟泥》
1《ファイレクシアの破棄者》
1《ボジューカの沼》

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Out
3《極楽鳥》
1《療治の侍臣》
1《博覧会場の警備員》

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☆ゲームプラン
先程も一度触れましたが、GPプラハの前は青白コントロールはほとんどいませんでした。なのでほとんど当たることを想定しておらず、サイドインするカードもクリティカルなものはありません。
幸いGPでは一度しか青白にしか当たらず、その時は上記のサイドボーディングを行いました。ちなみにマッチは勝利しましたが、とても厳しい相手だと感じました(そしてこの対戦で、俺は青白コントロールを使うことを決めました)

今緑白を使うのであれば《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を入れますが、あくまでGPで使用したリストで、インアウトの解説をします。

まず目指すべきこととしては、コンボです。《献身のドルイド》を出して、祈ります。
《不屈の追跡者》ではなるべく多くの手がかりを出せるようにしたいですが、《謎めいた命令》を食らうと最悪なので、4マナを立たせてエンドしてきたら出さないようにしましょう。

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《集合した中隊》と《召喚の調べ》は、マナを立たせている青白コントロールに対して仕掛ける最高のカードです。これらを何枚引けるかが、青白に勝てるかどうかのカギになります。
そのため、《集合した中隊》の使い方について詳しく書きます。

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こちらが先手4ターン目だった場合、相手のアップキープに《集合した中隊》を打つかどうかですが、おおむね打たない方がいいです。例えば《極楽鳥》と《貴族の教主》みたいなはずれを引いてしまうと相手は安心して《精神を刻む者、ジェイス》を出しますし、そもそも《極楽鳥》と《不屈の追跡者》がめくれたら《不屈の追跡者》をバウンスされてしまい、《精神を刻む者、ジェイス》の着地を許すことになります。それは絶対にNGです。
《集合した中隊》をエンド前に打つ時は、カウンターされた後のことを考えましょう。《謎めいた命令》で打ち消された場合、返しで《不屈の追跡者》は出せるか、《聖遺の騎士》は、あるいは《献身のドルイド》は。大したアクションがないのなら《集合した中隊》は打つべきではありません。
エンド前に《集合した中隊》を唱えないことで相手の警戒を一瞬解ける、というのは覚えておきましょう。これは結構利用できて、実際にGPでは行いました。
2ターン目ぐらいから、4ターン目に《集合した中隊》を打つかきちんと決めておくと良いでしょう。例えば「《不屈の追跡者》を4ターン目までにドローしていたら、4ターン目に《集合した中隊》を打とう」などと決めておけば、いざ引かなかった時に、4ターン目に《集合した中隊》を打つかどうか吟味せずに済みます。一瞬でも考える時間を作ると本当にすぐにバレます。

 

《終末》や《至高の評決》はあまりケアせずに、それなりに展開していくことをオススメします。

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重要なクリーチャーは《献身のドルイド》と《不屈の追跡者》、《薄暮見の徴募兵》です。これらの内2枚を場に出しておき、それ以外のカードは適当に展開しても構いません。逆に中途半端に展開をしないでおくと、《精神を刻む者、ジェイス/》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》で一瞬でマウントを取られます。
どうして上記の3種の内2枚なのかというと、エンド前に《流刑への道》されてしまうからです。
《召喚の調べ》や《集合した中隊》がある場合には、上記の重要なクリーチャーは1種に留めるべきです。相手がプレインズウォーカーを出したターンが大きな隙になります。プレインズウォーカーの着地は攻め手が入れ替わる瞬間なので、それは許してはいけません。

 

VSバーン
In
3《崇拝》
2《流刑への道》
2《ブレンタンの炉の世話人
1《漁る軟泥》

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Out
4《集合した中隊》
1《永遠の証人》
1《療治の侍臣》
1《博覧会場の警備員》
1《極楽鳥》

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☆ゲームプラン
メインボードはほとんど負けます。《献身のドルイド》は焼かれて、《焼尽の猛火/Searing Blaze》がぶっ刺さります。
サイド後は《崇拝》と《ブレンタンの炉の世話人》で勝ちに行きます。ここでも、《崇拝》と《集合した中隊》を入れ替えます。
《献身のドルイド》が生き残りづらいマッチなので《療治の侍臣》は減らします。《博覧会場の警備員》もほとんど意味をなさないためにサイドアウト。
《ブレンタンの炉の世話人》で《献身のドルイド》を守って勝つことはあまりなく、ほとんどが《崇拝》勝ちでした。ゲーム2は相手がそもそも《破壊的な享楽》を入れてなくて勝ち、ゲーム3は《踏み鳴らされる地》を《廃墟の地》で破壊して《崇拝》でよく勝ちました。
《不屈の追跡者》は《崇拝》に辿り着きたいのでサイドアウトしません。
《豊潤の声、シャライ》も立派な勝ち手段ですが、《流刑への道》は確実に入っているので、過信しすぎないように。

 

 

VSスピリット
In
3《崇拝》
2《流刑への道》

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Out
4《集合した中隊》
1《永遠の証人》

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☆ゲームプラン
人間相手とサイドボーディング自体は全く同じです。
《集合した中隊》は、対人間で話したように「飛行クロックに対して《集合した中隊》を打ってもブロッカーが出ない」ことに加えて《霊廟の放浪者》に引っかかりやすいため、サイドアウトします。
《召喚の調べ》は《集合した中隊》よりも重いものの、生物を並べていれば軽く運用できるのと、先手での3ターンキルが行えるため、抜きません。
基本的には《崇拝》で勝つことになります。
バントスピリットの《ドロモカの命令》がかなりメジャーになってきたので、上記のサイドボードで勝つのは難しくなってきているかもしれません。ちなみに当時は青白スピリットに当たることの方が圧倒的に多く、まったく負けませんでした。

 

 

VSトロン
In
1《ファイレクシアの破棄者》
1《クァーサルの群れ魔道士》

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Out
1《漁る軟泥》
1《博覧会場の警備員》

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☆ゲームプラン
《献身のドルイド》のコンボ、または《聖遺の騎士》での土地ハメで勝ちます。
先手2ターン目に《聖遺の騎士》が出た場合、非常に簡単に勝てます。相手の土地を毎ターン破壊しながら、クリーチャーを展開して殴っていけば良いのです。3ターン目に《忘却石》を出された場合、起動されるのは5ターン目ですが、《地盤の際》で壊すと6ターン目に遅らせることができます。それまでの間に《集合した中隊》が《献身のドルイド》を持ってくればコンボ成立ですし、《不屈の追跡者》を引けば《聖遺の騎士》と殴って一撃でゲームを終わらせられます。
サイド後も大きくゲームプランは変わりません。《次元の歪曲》が入っている場合があるので《聖遺の騎士》は4/4で出すように心がけましょう。

 

 

VSホロウワン(ブリッジヴァイン)
In
3《崇拝》
2《流刑への道》
1《漁る軟泥》
1《ボジューカの沼》

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Out
4《集合した中隊》
1《療治の侍臣》
1《薄暮見の徴募兵》
1《幽霊街》

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☆ゲームプラン
メインはとにかくコンボを決め、サイド後は《崇拝》による勝利を目指します。
一見、地上クリーチャーが多いホロウワン相手には《集合した中隊》が効果的に見えますが、《虚ろな者》が1ターン目に出てくる展開では《集合した中隊》で出した《不屈の追跡者》がチャンプブロックする展開になりがちです。《炎跡のフェニックス/》も止まらなくてよく負けます。そのため、《崇拝》に切り替えます。
《崇拝》を貼れば後は《集団的蛮行》以外で負けることはないため、《豊潤の声、シャライ》を出せばほとんど勝ちますし、《漁る軟泥》を出して緑マナを2つ立てて、墓地のクリーチャーを2枚追放しなければ、絶対に負けることはありません。

※ブリッジヴァイン相手にも同様のサイドボーディングを行います。

 

 

VSマルドゥパイロマンサー
In
2《ブレンタンの炉の世話人
1《ボジューカの沼》
1《漁る軟泥》

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Out
1《博覧会場の警備員》
3《極楽鳥》

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☆ゲームプラン
思ったより楽な相手です。というか《不屈の追跡者》が無双するマッチです。
1対1交換を繰り返した先の相手のゴールが《精神を刻む者、ジェイス》ではなく《騒乱の歓楽者》というのが、青系コントロールとの大きな差です。《騒乱の歓楽者》以上のアドバンテージを叩き出せる可能性が《集合した中隊》にはあります。《献身のドルイド》はまず生き残りませんが、《不屈の追跡者》などをしつこく出していけばいつか通ります。
消耗戦になるのでマナクリーチャーをサイドアウトします。

 

 

VSアイアンワークス(KCI)
In
2《弁論の幻霊》
1《戦争の報い、禍汰奇》
1《クァーサルの群れ魔道士》
1《再利用の賢者》
1《漁る軟泥》

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Out
4《聖遺の騎士》
1《博覧会場の警備員》
1《永遠の証人》

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☆ゲームプラン
メインボードはスピード勝負です。先手ゲーと言い換えてもいいですね。
サイド後は、対策を詰め込みます。《献身のドルイド》が《稲妻》で焼かれるので相手は後手からでも十分にまくってきますから、こちらも徹底的に妨害します。
対策カードを引き込みにいく《不屈の追跡者》は全て残して、《聖遺の騎士》は抜きましょう。《ボジューカの沼》をサーチできるのは確かですが、それだけのために残しておくのは得策ではないです。
《不屈の追跡者》を大きくしつつ《弁論の幻霊》や各種アーティファクト破壊で妨害し、早く殴り切りましょう。

 

 

VS鱗親和、親和
In
3《崇拝》
2《流刑への道》
1《ファイレクシアの破棄者》
1《戦争の報い、禍汰奇》
1《クァーサルの群れ魔道士》
1《再利用の賢者》

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Out
4《集合した中隊》
1《漁る軟泥》
4《聖遺の騎士》

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☆ゲームプラン
メインはコンボ、サイド後は《崇拝》です。
メインは《献身のドルイド》に触る手段が《歩行バリスタ》しかないため、おおむね勝ちます。鱗親和は早いデッキではなく、クリーチャーデッキ対決において強いクリーチャーデッキであり、白緑カンパニーは鱗親和にはかなり相性が良いと言えます。
サイド後は《崇拝》で安全に勝ちに行きます。《歩行バリスタ》さえ生かさなければ負けることはないので、《ファイレクシアの破棄者》で指定することはもちろん、《クァーサルの群れ魔道士》などで即座に叩き割りましょう。
《献身のドルイド》を倒すことに相手は躍起になりますが、こちらは《崇拝》勝ちできますから、心配しなくて良いのです。ほとんど負けたことはありません。

親和に対しても同じサイドボーディングを行います。
《鞭打ち炎》があるので《ブレンタンの炉の世話人》を1枚入れても良いです。

 

 

■最後に
というわけで、GPプラハで使用した白緑カンパニーのお話でした。
プラハでは人間に2回負け、13勝2敗。結果は9位でしたが、プロツアーの権利を手にすることができました。
白緑カンパニーは、青白コントロールが台頭しているメタゲームでなければ活躍できるデッキだと今も思っています。サイド後に明確なプランがあって、相手のサイドボーディングを苦にしないコンボデッキは、非常に強力です。そのことを改めて、このデッキを使って思い知りました。
《崇拝》はバレてしまっているとはいえ、多くのデッキに効果的です。それは「相手にとって一番の脅威は《献身のドルイド》である事実は変わらない」からです。バレたら終わりのテクニックではないので、一度ぜひ試してみてください。

この後、続けて、2週間後のグランプリ香港で使用した青白について書く予定です。
残りのPPTQはもう少ないですが、参加予定の皆さんのお力にちょっとでもなれたらと思います。
それでは。

俺とプロツアー

プロツアーを目指すようになったのは、いつからだっただろうか。
今となっては、その正確な日付を思い出すことはできない。既に10年以上前にはプロツアーに憧れを抱いていて、栄光の舞台を目の当たりにするために、マジックを続けてきた。

きっかけだけは今でも覚えている。エクステンデッドのPTQで初めてトップ8に入り、準々決勝で敗れた後に、言われた言葉だ。

 

俺がマジックに初めて触れたのは、旧ミラディンの時だった。その時組んだデッキは「ブルードスター型の親和」で、ダークスティールが加入してからは「電結親和」を組んでいた。当時からFNMにはよく出ていたし、五竜杯やPWCといった7回戦を超える草の根大会にも積極的に参加していた。
学校の友人とマジックをカジュアルに遊んでやがてのめり込んで大会に参加する、というありがちなプロセスを俺は踏まなかった。

 

そんな俺が何を目指していたのかと言えば、それはわからなかった。漠然と「勝ちたい」であったり、「賞金がもらえるようになりたい」という気持ちはあった。でもどういった大会で賞金をもらえるのかはわからなかったし、グランプリとプロツアーの違いも知らなかった。

だからPTQにも、五竜杯やPWCと同じ気持ちで参加していた。
初めてトップ8に残った時は、ただ純粋に嬉しかった。準々決勝で敗れて賞品のパックをもらった後も、俺は笑顔だった。大会に出て、決勝ラウンドまで勝ち進み、賞品がもらえるなんて。自分が優れたプレイヤーであることの証明に他ならないと考えていたからだ。

 

だからこそ、疑問だった。
「悔しいね」
準々決勝で敗北した俺に対しての、井川さんのその言葉が。

 

Hareruya Prosの井川 良彦さんは、当時は学生だった。
イグニス大泉学園店の常連だった井川さんは、当時はPTQに向けて熱心にマジックをしていた。
俺は友人がきっかけでイグニスに通うようになり、そこで井川さんと出会い、PTQという大会の存在を教えてもらった。
「PTQは普通の大会より強い人がたくさんいて、優勝するとプロツアーに行けるんだよ」
確か、そんな風に説明してくれていたと思う。
だけど俺は、PTQの準々決勝で負けた時、「強い人がたくさんいる大会でベスト8だったんだ」という気持ちしかなかった。

 

だから、井川さんの言葉がわからなかったのだ。
俺は悔しくなかったのだから。

 

それから、井川さんがPTQで涙を呑む姿を何度も見てきた。
ある時は準々決勝で、またある時は決勝で。井川さんは何度もプロツアーの権利を取る寸前まで行っていた。時には東京で、またある時は大阪で。
決勝ラウンドで負けた悔しさを語る井川さんを見て、俺の心は、プロツアーに釘付けになっていった。
「この人が憧れるプロツアーと言う場所は、どんなところなのだろうか」と。

 

そんな疑問を抱きながらマジックをプレイしていくにつれて、徐々にプロツアーへの憧れは大きくなっていった。

特にPTQでは強いプレイヤーと対戦することも多く、明らかに俺は自分が格下だと確信していた。例えば山本 賢太郎さんだったり、高橋 優太さんがそうだ。

そんな強いプレイヤーが一心不乱に目指すプロツアーとはどんな場所なのか、好奇心と憧れが膨らむばかりだった。

そして、草の根大会で5勝2敗の成績を収めるのに安定していた俺は、プレイヤーとして確実に強くなっていた。
優勝したらグランプリの3ByeがもらえるGPTで優勝できる程度の実力はあり、PTQのトップ8で敗北すると、嬉しさよりも悔しさが先行していた。

自分が強くなって、プロツアーが近づいていると感じるようになったから、悔しさを感じていたのだ。今考えればおこがましいのだが、血気盛んな18歳ゆえ、許してほしい。

 

俺が初めてPTQを突破したのは、2010年1月17日のことだった。
プロツアー・サンファン予選。それは千葉市民会館で行われた、エクステンデッドのPTQ。
予選ラウンドでは平林さんをはじめとした数多の強敵を倒し、準々決勝ではチンネンさんが立ちはだかった。
チンネンさんが使っていたのはアイアンワークスコンボ。メインボードを3ターンキルした後、2ゲーム目では《虚空の力線/Leyline of the Void》を張られたが、《ナルコメーバ/Narcomoeba》に《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を装備して、そのまま殴って勝利した。
準決勝ではデブのドレッジと壮絶なミラーマッチを戦った。
デブのリストは《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》を2枚入れており、明確に俺のドレッジよりも優れていた。だがその日の俺はデブよりツイていて、デブはいつものように不機嫌そうな顔でため息をついて、投了した。
決勝では、もりしょーが立ちはだかった。
楽勝なはずのメインボード。だが《留まらぬ発想/Ideas Unbound》と《面晶体のカニ/Hedron Crab》で発掘カードが1枚も落ちないまま、俺は《タルモゴイフ/Tarmogoyf》に殴り殺された。
いつもなら腐るはずの俺だが、その日はなぜか冷静だった。発掘のできないハンドをきちんとマリガンし、《不可思の一瞥/Glimpse the Unthinkable》から発掘を続けた。もりしょーのデッキには墓地対策が《根絶/Extirpate》しか入っておらず、俺はなんとかサイド後の2ゲームを取り返した。

 

何十回目かの挑戦で、俺は初めてプロツアーの権利を獲得して、その瞬間はただ嬉しかった。「おめでとう」とみんなが祝福の言葉をかけてくれて、笑顔でそれに応えていた。
だが、友人のにゃがだけは、おめでとうの前に言った。
「長かったな」その後に、「おめでとう」と付け足した。
長かった。その言葉に俺は涙してしまった。プロツアーまで長い道のりで、長すぎて自分でもその距離を忘れていた。にゃがの言葉で、俺はそれを思い出した。

 

結果的に、俺はそのプロツアー・サンファンには出場できなかった。飛行機トラブルに見舞われて、俺が到着した時には既にドラフトラウンドは終了していた。
勿論プロツアーに出られないことは悲しかったが、悔しさはなかった。「真剣にマジックをしていればプロツアーにまた出られるようになるんだ」と、楽観的な気持ちがあった。PTQを抜けた自分に自信があったのだ。

それからというもの、俺は構築グランプリでほとんど二日目に残っていた。4敗や5敗でグランプリを終えることも多く、毎回のように少しのプロポイントと賞金を獲得していた。
だから、自分の実力を疑うこともしなかった。
「いつか順番が巡って、プロツアーに行ける。その実力があるから、グランプリで安定した成績を残せるんだ」そう確信して、グランプリとPTQに出続けていた。プロツアーに再び出られる日が来ると信じて。

 

だが、その日は訪れなかった。
PTQがなくなって、PPTQが始まった。ありがたいことに遊々亭や晴れる屋など、海外グランプリへの参加に肯定的な会社で働くようになった2016年からは、アジアグランプリも回れるようになった。調整仲間もできて、強いデッキをグランプリに持ち込めるようにもなった。
去年は、初めてアメリカのグランプリにも参加した。練習のために一日Magic Onlineを2リーグ以上プレイし、グランプリ・オクラホマの会場で誰よりもモダンをプレイしている自信さえあった。
それでも、チャンスは巡って来なかった。

 

そして、人生の転機も訪れようとしていた。
とある事情で、グランプリ・プラハとグランプリ・香港の連戦を最後に、しばらく海外グランプリへ参加するのは控えようと考えていた。

もちろん、「勝てなかったから海外グランプリへの参加を諦めようとした」わけではない。マジックをやめるつもりは元よりなく、少なくとも一年ほどは海外に行ってプレイするのは難しくなりそう、という程度の話だ。

とはいえ、それはプロツアーに参加するという長年の夢を、一時的にとはいえ諦めるということに等しかった。

 

しかし、グランプリ・プラハでマジックの神様はついに俺に微笑んだ。
15回戦、ゲーム3。俺の初手は《貴族の教主/Noble Hierarch》、《献身のドルイド/Devoted Druid》と2枚の《召喚の調べ/Chord of Calling》、後はすべて土地。意を決してキープした。
相手の初動は2ターン目の《翻弄する魔道士/Meddling Mage》。ごくりと唾を飲み込む。その指定は《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》だった。
俺は《献身のドルイド/Devoted Druid》をプレイしてターンを終了する。
相手は手札から2枚目の《翻弄する魔道士/Meddling Mage》。そして指定は――《療治の侍臣/Vizier of Remedies》。
そこからは、俺の記憶はほとんどなかった。《召喚の調べ/Chord of Calling》を打って《療治の侍臣/Vizier of Remedies》をサーチし、もう1枚あることを伝え、《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter》を見せる。そしてデッキの《歩行バリスタ/Walking Balista》を開示し、差し出された手を握り返した。


このつぶやきは、気付いたら打ち込んでいた。
何度、この瞬間を夢見たことか。
夢の中で、何度もプロツアーの権利を獲得したことがあった。だがその興奮がいつまでも醒めなかったのは、今回が初めてだった。そう、今回ばかりはそれは夢ではなく現実だった。

 

井川さんの「悔しいね」から十余年が経った。あの時、PTQに打ち込む井川さんに出会っていなかったら、プロツアーに取りつかれることはなかったかもしれない。
にゃがの「長かったな」から8年が経った。にゃがの言葉通り、本当に辿り着くのに、長くなってしまった。

最近は俺よりもずっと若いプレイヤーや、マジック歴の短いプレイヤーが、何人もプロツアーへ出場している。だからプロツアーで優勝したならまだしも、権利を獲得した程度で、これまでのマジック人生を振り返るというのは、大袈裟に感じるかもしれない。
それでも、俺にとってプロツアーは、長年の悲願だった。プロツアーの舞台は、夢そのものだ。そこに俺が立てる。光を浴びるチャンスがある。そう思うと、胸の高鳴りが収まらない。

 

待っていろ、プロツアー。

今度こそ栄光の舞台に俺は立つ。